説明

表示パネル支持装置

【課題】可動部材と固定部材との間に人体の一部が挟まれて怪我等することを防止でき、安全性の高い表示パネル支持装置を提供する。
【解決手段】鉛直な被固定面にその背面が沿うように固定される固定部材5を備える。前面側に表示パネル3が取り付けられる可動部材6を備える。固定部材5と可動部材6とを連結すると共に可動部材6が固定部材5に近接した後退位置から前方に出た前進位置まで移動自在となるよう駆動する連結支持部材7を備える。可動部材6の後面側又は固定部材5の前面側のうちの少なくともいずれか一方にクッション材29が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶テレビやプラズマテレビ等の平面状の表示パネルを支持する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビやプラズマテレビ等の表示パネルを建物の壁に沿わせた状態で設置するための表示パネル支持装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に示される表示パネル支持装置は、壁に固定される固定部材と、表示パネルが取り付けられる可動部材と、固定部材と可動部材とを連結する連結支持部材とを備え、可動部材は固定部材に対して前後位置や向きを変更できるよう連結支持部材によって支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−148504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような表示パネル支持装置にあっては、可動部材が不意にあるいはいたずら等により動かされたとき、可動部材と固定部材とで体の一部が挟まれて怪我等することが懸念される。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、可動部材と固定部材との間に人体の一部が挟まれて怪我等することを防止でき、安全性の高い表示パネル支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の表示パネル支持装置は、以下の構成を有する。鉛直な被固定面にその背面が沿うように固定される固定部材5と、前面側に表示パネル3が取り付けられる可動部材6とを備える。また、固定部材5と可動部材6とを連結すると共に可動部材6が固定部材5に近接した後退位置から前方に出た前進位置まで移動自在となるよう駆動する連結支持部材7を備える。そして、可動部材6の後面側又は固定部材5の前面側のうちの少なくともいずれか一方にクッション材29が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このように可動部材6の後面側又は固定部材5の前面側のうちの少なくともいずれか一方にクッション材29を設けることにより、可動部材6と固定部材5との間に人体の一部が入り、この際に前進位置に配置された可動部材6が後退動作して人体の一部が可動部材6と固定部材5との間に挟まれたとしても、この時の衝撃をクッション材29により和らげることができる。このため、可動部材6と固定部材5との間に人体の一部が挟まれて怪我等することを防止でき、安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、可動部材と固定部材との間に人体の一部が挟まれて怪我等することを防止でき、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の表示パネル支持装置の平面図である。
【図2】同上の表示パネル支持装置の基本的構造を示し、可動部材を前進位置に配置したときの表示パネル支持装置を前側から見た斜視図である。
【図3】同上の表示パネル支持装置を後側から見た斜視図である。
【図4】同上の表示パネル支持装置の平面図である。
【図5】同上の連結支持部材の分解斜視図である。
【図6】同上の可動部材を後退位置に配置した状態を示す平面図である。
【図7】同上の前進位置に配置した可動部材を回動させた状態を示す平面図である。
【図8】(a)は図4の要部拡大図であり、(b)は図7の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図2〜図8に基づいて本実施形態の表示パネル支持装置1の基本的構成について説明する。
【0012】
本実施形態の表示パネル支持装置1は、鉛直な被固定面に沿って取り付けられ、液晶テレビやプラズマテレビ、コンピュータのディスプレイ等の薄型で平面状の表示パネル3を前後動可能に支持するものである。なお、本実施形態の被固定面は部屋の壁面2であるが、壁面に沿って設けられてテレビのラックに用いられる家具の前面等であってもよいものとする。
【0013】
なお、以下では、図2に示されるように壁面2に取り付けられた表示パネル支持装置1から見て室内側の方向(矢印F)を前方、壁面2側の方向(矢印B)を後方、後方を向いた時に壁面2に沿う横方向を左右方向(矢印Lが左、矢印Rが右)と定義して説明する。
【0014】
表示パネル支持装置1の主体は、背面側が鉛直な壁面2に固定される固定部材5と、前面側に表示パネル3が取り付けられる可動部材6と、固定部材5と可動部材6とを連結すると共に可動部材6が固定部材5に沿った後退位置から前方に出た前進位置まで移動自在となるよう駆動する連結支持部材7とで構成されている。
【0015】
可動部材6は上下左右の金属製の枠材8を矩形状に枠組みしてなり、表示パネル3は左右の枠材8に形成された係止孔9に前方から引掛けることにより可動部材6に取り付けられる。
【0016】
図3に示されるように可動部材6の上下の枠材8には、背面の左右方向の中央部に軸受け10が夫々固着されている。また、可動部材6の上の枠材8の背面において軸受け10より左方に位置する部分にはスライド機構部11が設けられている。
【0017】
固定部材5は壁面2に沿って固定される正面視略矩形状の金属製のプレートによって構成されている。固定部材5には複数の固着具挿通孔12が穿設され、これら固着具挿通孔12に前方からビス等の固着具(図示せず)を挿通し、壁面2に固着することによって固定部材5は壁面2に固定される。
【0018】
図2に示されるように固定部材5の前面において左右方向の中央部の上下には軸受け13が固着され、また、固定部材5の前面において両軸受け13よりも左方の上下には、左右に長いガイドレール15が設けられている。
【0019】
連結支持部材7は、2個のアーム16a、16bの中間部同士を上下に長い連結縦軸17で縦軸回りに回動自在に連結してなり、両アーム16a、16bは平面視でX字状をなす。連結支持部材7は後端側が固定部材5に連結されると共に前端側が可動部材6を縦軸回りに回動自在に支持するものであり、可動部材6を固定部材5に対して前後方向に移動したとき、前後方向に伸縮するようになっている。
【0020】
図5に示されるように2個のアーム16a、16bのうちの一方のアームである第一アーム16aの両端部には回動縦軸19が設けられている。
【0021】
第一アーム16aの固定部材5側の回動縦軸19(以下、回動縦軸19aと記載する)の上下両端部は対応する軸受け13に縦軸回りに回動自在に支持されている。すなわち、第一アーム16aの一端部は、固定部材5に対して、縦軸回りに回動自在に連結されている。
【0022】
第一アーム16aの可動部材6側の回動縦軸19の上端部は、図3に示される縦長棒状の操作レバー20の下端部に縦軸回りに回動自在に連結されている。
【0023】
操作レバー20は、第一アーム16aの可動部材6側の端部を連結する連結部を構成し、スライド機構部11に上方から挿入され、スライド機構部11に対して横方向にスライド自在となっている。すなわち、第一アーム16aの可動部材6側の端部は、可動部材6に対して縦軸回りに回動自在に且つ横方向にスライド自在に連結されている。
【0024】
図4に示されるように操作レバー20はスライド機構部11の上面部を構成するガイド部21に形成されたガイド孔22に挿通され、ガイド部21によってそのスライド方向が規制される。
【0025】
ガイド孔22は、可動部材6の背面に沿う左右に長い直線状の孔からなる回動規制部23と、回動規制部23の右側端部に接続されて平面視で左方に向かって凸となる円弧状に形成された孔からなる回動許容部25とで構成されている。回動許容部25はその長手方向の中間部が回動規制部23に接続され、すなわちガイド孔22は右側端部で前後に分岐した孔となっている。
【0026】
他方、第二アーム16bは、図5のように両端部に回動縦軸27を設けたものである。第二アーム16bの可動部材6側の回動縦軸27(以下、回動縦軸27aと記載する)は、図4に示されるように平面視で回動許容部25の円弧の中心に位置している。回動縦軸27aの上下両端部は対応する軸受け10に縦軸回りに回動自在に支持されている。すなわち、第二アーム16bの一端部は、可動部材6に対して縦軸回りに回動自在に連結されている。
【0027】
図5のように第二アーム16bの固定部材5側の回動縦軸27の上下両端部には、縦軸回りに回転自在となるローラー28が設けられている。
【0028】
各ローラー28は、第二アーム16bの固定部材5側の端部を連結する連結部を構成し、図2のように前記固定部材5の対応するガイドレール15に左右方向に移動自在に収納されている。これによって第二アーム16bの固定部材5側の端部は固定部材5に対して縦軸回りに回動自在で且つ横方向にスライド自在に連結される。また、図示は省略するが、固定部材5には、各ローラー28の左右のスライド範囲を所定の範囲に制限するためのストッパーが設けられている。
【0029】
前記連結支持部材7により固定部材5に連結された可動部材6は、固定部材5に沿った図6に示す後退位置から図2〜図4に示す前方に出た前進位置までの範囲で移動自在となり、また、前進位置においては図7に示すように回動縦軸27aを中心に縦軸回りに回動自在となっている。
【0030】
図6に示すように後退位置にある可動部材6は、壁面2に最も近づいた状態となり、可動部材6及び表示パネル3の夫々の前面が壁面2と直交する前方を向く。このように可動部材6を後退位置に配置することで、表示パネル3を部屋に居る人にとって邪魔になり難い位置に配置することができる。
【0031】
可動部材6が後退位置にあるときには、連結支持部材7は両アーム16a、16bが壁面2に沿って近接した収縮状態となり、ガイドレール15に沿ってスライドする各ローラー28はそのスライド範囲における左側端部に配置され、また、ガイド部21に沿ってスライドする操作レバー20は回動規制部23の左側端部に配置される。
【0032】
後退位置に配置された可動部材6を前進位置に配置するには、操作レバー20を掴んで回動規制部23に沿って右方にスライドさせ、回動許容部25に至らせる。このようにすると、連結縦軸17で互いに連結された第一アーム16a及び第二アーム16bのうち、第一アーム16aが回動縦軸19aを中心として前方に回動すると共に、第二アーム16bが回動縦軸27aを中心として後方に回動する。同時に、第二アーム16bに設けられた各ローラー28がガイドレール15に沿って右方にスライドしてそのスライド範囲における右側端部に配置される。これによって連結支持部材7は伸長して連結支持部材7の前側に連結された可動部材6が後端位置での正面視のまま(前面を壁面2に直交する前方に向けたまま)非回動状態で前進し、図4のように可動部材6が壁面2から前方に出た前進位置に配置される。
【0033】
このように可動部材6が前方を向けた状態のまま最も壁面2から離れた前進位置に配置されると、操作レバー20は回動許容部25の長手方向の中間部に配置されて、回動許容部25において前後両側に移動可能となり、この結果、可動部材6は図7のように両アーム16a、16bを固定部材5に対して回動することなく回動縦軸27aを中心として回動することが可能となる。
【0034】
例えば前進位置にある可動部材6を回動縦軸27aを中心に平面視で左回りで回動させると、操作レバー20は回動許容部25の後側に向かってスライドする。図7のように可動部材6を最大限平面視左回りで回動させた状態では操作レバー20は回動許容部25の後端部に配置される。
【0035】
逆に可動部材6を回動縦軸27aを中心に平面視で右回りで回動させると、操作レバー20は回動許容部25の前側に向かってスライドする。可動部材6を平面視で右回りに最大限回動させた状態では操作レバー20は回動許容部25の前端部に配置される。なお、図7では、可動部材6を最大限右回りで回動させたときの表示パネル3を2点鎖線で示している。
【0036】
また、前進位置に配置された可動部材6を後退位置に配置するには、図4のように可動部材3の前面を壁面2と直交する前方に向けて、操作レバー20を回動許容部25の長手方向の中間部に位置させ、この後、操作レバー20を左方に移動して回動規制部23の左側端部に至らせる。
【0037】
このようにすると、第一アーム16aが回動縦軸19aを中心として後方に回動すると共に、第二アーム16bが回動縦軸27aを中心として前方に回動する。同時に各ローラー28がガイドレール15に沿って左方にスライドしてそのスライド範囲における左側端部に配置される。
【0038】
これによって連結支持部材7は収縮して、連結支持部材7の前側に連結された可動部材6が後端位置での正面視のまま非回動状態で後退し、図6のように可動部材6が壁面2に近接した後端位置である後退位置に配置される。
【0039】
ここで、本発明の表示パネル支持装置1にあっては、図1に示すように可動部材6の後面側及び固定部材5の前面側の両方に、弾性を有するクッション材29が設けられており、クッション材29としては、ゴムや発泡材からなるものや、ばねやダンパ等の機構部品を組み込んだものを用いるのが好適である。
【0040】
クッション材29は可動部材6の背面の回動縦軸27aを挟んだ左右両側と、固定部材5の背面の回動縦軸19aを挟んだ左右両側とに設けられている。可動部材6に設けられた各クッション材29は可動部材6から後方に向かって突出し、固定部材5に設けられた各クッション材29は固定部材5から前方に向かって突出し、また、各クッション材29は取り付けられた可動部材6又は固定部材5の左右方向の外側縁まで至るように設けられている。
【0041】
このように可動部材6の背面側及び固定部材5の前面側にクッション材29を設けることにより、可動部材6と固定部材5との間に人体の一部が入り、この際に前進位置に配置された可動部材6が後方に移動又は回動されることで、前記人体の一部が可動部材6に接触したり、可動部材6と固定部材5との間に挟まれたりしたとしても、この時には可動部材6や固定部材5よりも先に弾性を有するクッション材29が人体の一部に当たり、この際の衝撃がクッション材29により緩和される。このため可動部材6と固定部材5との間に人体の一部が可動部材6に衝突したり可動部材6と固定部材5との間に挟まれて怪我等することを防止でき、安全性を高めることができる。
【0042】
ここで、図2に示す可動部材6は外周縁を後方に折曲してなる縁片30を有しており、この縁片30のように可動部材6に背面側に突出する部分や固定部材5の前面側に突出する部分が直接人体の一部に当たると怪我をする危険がある。
【0043】
そこで、クッション材29は前記縁片30のような可動部材6の背面側に突出する部分や固定部材5の前面側に突出する部分を覆うように設けることが好ましい。このようにすると前記突出部分が可動部材6と固定部材5との間に入った人体の一部にクッション材29を介して当たることとなり、前記突出部分が人体の一部に直接当たって怪我をすることを防止できる。
【0044】
なお、図1に示される例では、可動部材6の背面側と固定部材5の前面側との両方にクッション材29を設けたが、可動部材6の背面側にのみクッション材29を設けてもよいし、固定部材5の前面側にのみクッション材29を設けてもよいものとする。
【0045】
また、本実施形態では連結支持部材7として二個のアーム16a、16bが縦軸回りに回動自在に連結されたものを採用したが、これに限定されるものではなく、連結支持部材7は可動部材6が固定部材5に近接した後退位置から前方に出た前進位置まで駆動するものであれば、その他の連結支持部材を用いても構わない。また、既述の表示パネル支持装置1は可動部材6を手動により動作させるものだが、電動により可動部材6を動作させるものに本発明を適用してもかまわない。
【符号の説明】
【0046】
1 表示パネル支持装置
3 表示パネル
5 固定部材
6 可動部材
7 連結支持部材
29 クッション材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直な被固定面にその背面が沿うように固定される固定部材と、前面側に表示パネルが取り付けられる可動部材と、固定部材と可動部材とを連結すると共に可動部材が固定部材に近接した後退位置から前方に出た前進位置まで移動自在となるよう駆動する連結支持部材と、可動部材の後面側又は固定部材の前面側のうちの少なくともいずれか一方に設けられるクッション材とを備えることを特徴とする表示パネル支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−48110(P2011−48110A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196071(P2009−196071)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】