説明

表示パネル検査用ソケット

【課題】 表示パネルの基板上の電極とコンタクトフィルム上の配線パターンとの位置合わせを確実に行うことができると共に、両者を均一な接触圧で接触させることができる表示パネル検査用ソケットを提供する。
【解決手段】 ソケット本体11に対し位置決めされる表示パネル1の基板2と、該基板に対し位置合わせ可能なコンタクトフィルム14とを重ね合わせ、コンタクトフィルムの背面をゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24で、また表示パネルの基板の背面をパネル押圧部材25でそれぞれ押圧することにより、コンタクトフィルム上の配線パターン15,16と表示パネルの基板上の電極4,5とを所要の接触圧で接触させる。フィルム押圧部材とコンタクトフィルムの背面との間に可撓性及び摺動性を有する摺動シート32を介在させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネル、エレクトロルミネセンスパネル、プラズマディスプレイパネル等の表示品位等の検査に好適に用いることができる表示パネル検査用ソケット。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示パネル等の製造工程においては、駆動用ICタブ等の周辺回路接続前の表示パネルに対して、表示欠陥箇所を検出する表示品位等の検査が行われる。したがって、この種の検査においては、表示パネルの基板上に配列形成された電極に接触させるコンタクト部材を備えた表示パネル検査装置が用いられている。例えば特開平6−08034号公報に示されているように、表示パネルの電極に接触させるコンタクト部材としては、従来より、針状若しくはワイヤ状のプローブで構成されるものと、可撓性及び絶縁性を有するベースフィルム上に接触用の配線パターンを形成してなるコンタクトフィルムとが知られているが、電極の高密度化及び微細ピッチ化に伴い、電極との接触の信頼性、取扱いの容易性、製造コスト等の観点からコンタクトフィルムが採用される傾向にある。
【0003】本出願人による特願平7−64731号にはコンタクトフィルムを用いた表示パネル検査用ソケットが開示されている。この表示パネル検査用ソケットにおいては、ソケット本体に対しコンタクトフィルムが位置調整可能に設けられているので、ソケット本体に対し表示パネルの基板を位置決めした後、コンタクトフィルムの位置合わせをすることにより、表示パネルの基板上の電極とコンタクトフィルム上の配線パターンとを位置合わせすることができる。そしてその後、コンタクトフィルムの背面を表示パネルの基板上の電極の配列方向に延びるゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材で、また表示パネルの基板の背面をパネル押圧部材でそれぞれ押圧することにより、コンタクトフィルム上の配線パターンと表示パネルの基板上の電極とを所要の接触圧で接触させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材は、コンタクトフィルムの背面を均一に押圧することを可能にするが、コンタクトフィルムとの接触圧によりコンタクトフィルムの背面に密着しやすく、このため、コンタクトフィルムの位置合わせ調整時にフィルム押圧部材のフィルム押圧面がコンタクトフィルムの背面に密着してコンタクトフィルムの調整移動を阻害する可能性がある。
【0005】したがって、本発明の目的は、表示パネルの基板上の電極とコンタクトフィルム上の配線パターンとの位置合わせを確実に行うことができると共に、両者を均一な接触圧で接触させることができる表示パネル検査用ソケットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ソケット本体に対し位置決めされる表示パネルの基板と、該基板に対し位置合わせ可能なコンタクトフィルムとを重ね合わせ、コンタクトフィルムの背面を表示パネルの基板上の電極の配列方向に延びる弾性体からなるフィルム押圧部材で、また表示パネルの基板の背面をパネル押圧部材でそれぞれ押圧することにより前記コンタクトフィルム上の配線パターンと前記表示パネルの基板上の電極とを所要の接触圧で接触させる表示パネル検査用ソケットにおいて、前記フィルム押圧部材と前記コンタクトフィルムの背面との間に可撓性及び前記コンタクトフィルムに対する摺動性を有する摺動シートを介在させたことを特徴とする。
【0007】上記構成を有する表示パネル検査用ソケットにおいては、コンタクトフィルムの背面を電極の配列方向に延びる弾性体からなるフィルム押圧部材で押圧するので、コンタクトフィルム上の配線パターンと表示パネルの基板上の電極との間に均一な接触圧を容易に確保することができる。しかも、弾性体からなるフィルム押圧部材とコンタクトフィルムの背面との間に可撓性及びコンタクトフィルムに対する摺動性を有する摺動シートが介在されているので、ソケット本体に装着された表示パネルの基板に対しコンタクトフィルムの位置合わせをするときに、弾性体からなるフィルム押圧部材とコンタクトフィルムとの密着によりコンタクトフィルムの動きが阻害されることを防止できる。したがって、表示パネルの基板上の電極とコンタクトフィルム上の配線パターンとの位置合わせを確実に行うことができる。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の表示パネル検査用ソケットにおいて、前記摺動シートが前記ソケット本体に止着されていることを特徴とする。
【0009】上記構成によれば、摺動シートをフィルム押圧部材に固着する必要がなくソケット本体に容易に止着することができると共に、弾性体からなるフィルム押圧部材と摺動シートとが密着しても摺動シートとコンタクトフィルムとの摺動を確保することができるので、摺動シートの材質選定の自由度が広がり、表示パネル検査用ソケットの製造コストを下げることができる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項2記載の表示パネル検査用ソケットにおいて、前記フィルム押圧部材が前記摺動シートで包まれて該摺動シートと共に前記ソケット本体に形成された嵌合部に嵌着されていることを特徴とする。
【0011】上記構成によれば、摺動シートをフィルム押圧部材と共に容易にソケット本体に止着することができる。また、フィルム押圧部材が摺動シートで包まれているので、フィルム押圧部材のフィルム押圧面と摺動シートとの間にゴミ等の異物が付着することを防止できる。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1記載の表示パネル検査用ソケットにおいて、前記摺動シートが前記フィルム押圧部材のフィルム押圧面に固着されていることを特徴とする。
【0013】上記構成によれば、薄い摺動シートをフィルム押圧部材のフィルム押圧面とコンタクトフィルムの背面との間に安定に介在させることができるので、弾性体からなるフィルム押圧部材によるコンタクトフィルムの均一な押圧作用を容易に確保することができる。また、フィルム押圧部材のフィルム押圧面と摺動シートとの間にゴミ等の異物が付着することを防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施例につき説明する。
【0015】図1から図7までは本発明を液晶表示パネル検査用ソケットに適用した場合の一実施例を示したものであり、図1は液晶表示パネルの基板上の電極への信号供給形態の一例を示す概略平面図、図2はソケットの組立途中状態を示す概略平面図、図3はソケットの要部の一部破断斜視図、図4は図2のソケット本体に組み込まれるフィルム取付板上にソース側のコンタクトフィルムを配設した状態を示す要部平面図であり、図5はソケットのパネル押圧部材及びシャッターが後退した状態を示す図3中A−A線に沿った縦断面図、図6はソケットのパネル押圧部材に先行してシャッターが表示パネルの基板上に前進した状態を示す図5と類似の縦断面図、図7R>7はソケットのパネル押圧部材が前進してシャッターを介して表示パネルの基板上を押圧した状態を示す図5と類似の縦断面図である。
【0016】はじめに図1を参照すると、液晶表示パネル1は例えばガラスからなる矩形の絶縁基板2上に矩形の液晶表示部3を形成したものとなっており、液晶表示部3の側辺に沿って絶縁基板2上に複数の透明電極4,5が互いに平行に配列形成されている。図示液晶表示パネルの例では、液晶表示部3の一方の長辺に沿って絶縁基板2上にソース側電極4が配列形成され、且つ、液晶表示部3の一方の短辺に沿って絶縁基板2上にゲート側電極5が配列形成されているが、両長辺に沿ってそれぞれ絶縁基板上にソース側電極を配列形成したり、両短辺に沿ってそれぞれ絶縁基板上にゲート側電極を配列形成してもよい。さらに、図示液晶表示パネル1のソース側電極4及びゲート側電極5は液晶駆動用集積回路(不図示)のリード端子に接続される本数毎にブロック分けされており、絶縁基板2上にはソース側電極4の各ブロックの両端部の外側に位置するコモン電極6が形成されている。
【0017】図2ないし図5を参照すると、本発明の一実施例に係る液晶表示パネル検査用ソケット10は、金属又はプラスチックからなる平面視略矩形のソケット本体11を有する。このソケット本体11は液晶表示パネル1の絶縁基板2のコーナー部と係合する基準係合片11aを備え、該基準係合片11aと対角線方向に対向してソケット本体11には液晶表示パネル1の絶縁基板2を基準係合片11aに向けて押圧する押圧手段12が設けられている。この押圧手段12は絶縁基板2のコーナー部に係合する可動係合片12aと、この可動係合片12aを基準係合片11aの方向に付勢するコイルばね(不図示)とを有している。
【0018】図2、図3、図5に示すように、透明電極4,5の形成されている液晶表示パネル1の絶縁基板2の側辺部に対応して、ソケット本体11の上面には絶縁基板2の側辺と平行に延びる凹溝11bが形成されている。各凹溝11bには好ましくは絶縁基板2とほぼ同一の線膨張係数を有する材料、例えば絶縁基板2と同一材料からなるフィルム取付板13がその長手方向に摺動変位可能に収容されており、各フィルム取付板13の上面には複数の可撓性を有するコンタクトフィルム14が例えば接着剤等で固着されている。コンタクトフィルム14は各種樹脂で形成することができるが、検査用ソケットを液晶表示パネル1のエージング等の検査で用いる場合、コンタクトフィルム14は80〜100℃の環境温度に耐え得る例えばポリイミド等の樹脂で形成することが好ましい。
【0019】図4はソース側電極4との接触に用いるコンタクトフィルム14を示しており、このコンタクトフィルム14の上面には液晶表示パネル1のソース側透明電極4に接触される配線パターン15及びコモン電極6に接触される配線パターン16が形成されている。これらの配線パターン15,16は、それぞれリードパターン17,18を介してフレキシブルプリント配線板19の配線パターン20,21と接続されている。配線パターン15は液晶表示パネル1の透明電極4に対し斜めに交差するように形成されているが、これは一例にすぎず、例えば透明電極4と直交するように形成されていてもよい。なお、ゲート側電極5との接触に用いるコンタクトフィルム14とソース側電極4との接触に用いるコンタクトフィルム14とは配線パターンの配線形態のみが異なり、後述するフィルム取付板13の位置調整によって透明電極5に対し位置合わせ可能な取付構造や、先端部下面(背面)を弾性体からなるフィルム押圧部材24で押圧される構成などは同様であるので、以下、ソース側のコンタクトフィルム14に関して詳細に説明し、ゲート側のコンタクトフィルム14に関する詳細な説明を省略することとする。
【0020】各凹溝11bの一端には、フィルム取付板13の一端部を液晶表示パネル1の絶縁基板2の一端部と同一の基準面上に位置合わせするための取付板位置調整手段22が設けられている。この取付板位置調整手段22はフィルム取付板13の一端部に当接する当接片22aと、この当接片の位置を調節するための調節ねじ22bとを有する。また凹溝11bの他端部にはフィルム取付板13の他端部に当接して該フィルム取付板13を取付板位置調整手段22の当接片22aに対し押圧するコイルばね23が設けられている。
【0021】図2、図3及び図5に示すように、ソケット本体11に形成された嵌合部11cにはコンタクトフィルム14の先端部の配線パターン15,16とは反対側の下面(背面)を押圧するためのフィルム押圧部材24が嵌着されている。このフィルム押圧部材24はコンタクトフィルム14を介して液晶表示パネル1の絶縁基板2上の各透明電極4の一部を押圧するように、透明電極4の配列方向に沿って延びている。このフィルム押圧部材24は各種ゴム又はゴム状弾性体で形成することができるが、検査用ソケットを液晶表示パネル1のエージング等の検査で用いる場合、フィルム押圧部材24は80〜100℃の環境温度に耐え得る例えばシリコンゴム等で形成することが好ましい。
【0022】さらに、ソケット10は、コンタクトフィルム14上に搭載された液晶表示パネル1の絶縁基板2の上面へと移動したとき液晶表示パネル1の絶縁基板2をコンタクトフィルム14に対し押圧するようにソケット本体11にスライド動作可能に設けられたパネル押圧部材25と、該パネル押圧部材25が液晶表示パネル1の絶縁基板2を押圧するときパネル押圧部材25と液晶表示パネル1の絶縁基板2との間に介在される可撓性シャッター26とを具備する。また、ソケット本体11にはシャッター26の後端を前方に付勢するばね27(図2R>2参照)が取り付けられており、シャッター26はばね27の付勢力によりその先端26aが液晶表示パネル搭載領域を開放する後退位置(図3及び図5参照)より該先端26aが液晶表示パネル1の絶縁基板2上を覆う被覆位置(図6及び図7参照)へと移動可能である。ソケット本体11にはコンタクトフィルム14の上を覆い且つ先端が液晶表示パネル1の絶縁基板2の側辺部に沿って延びる支持プレート28がねじ29で止着されており、シャッター26は支持プレート28上にスライド移動可能に支持されている。
【0023】図3及び図5に示すように、この実施例のパネル押圧部材25は、ソケット本体11及び液晶表示パネル1の絶縁基板2を上下に挟むようにソケット本体11に装着されたばね性を有する断面横U字形の金属製クランパー30と、該クランパー30の上片部30aのほぼ全長にわたり該上片部30aの下面に例えばねじ止めされてシャッター26の上面に摺接されるプラスチック製の摺動片31とからなる。摺動片31に用いるプラスチック材料としては、例えばポリテトラフルオルエチレン等の滑り性に富む材料が好ましい。摺動片31はパネル押圧部材25の先端押圧部をなす突出部31aを有する。また、摺動片31には、該突出部31aが液晶表示パネル1の絶縁基板2を押圧する押圧位置(図7参照)から液晶表示パネル搭載領域を開放する開放位置(図6参照)まで後退移動したときシャッター26の係合部26bに係接する係接部31bが設けられている。パネル押圧部材25が開放位置よりさらに後退移動するとき、シャッター26は係接部31bによりばね27の付勢力に抗して被覆位置から後退位置(図5参照)まで移動される。
【0024】図3及び図5に示すように、支持プレート28の上面には、パネル押圧部材25が開放位置と後退位置との間を移動するときパネル押圧部材25の先端部下面に当接してパネル押圧部材25をコンタクトフィルム14の上面より離間させるガイド部28aが突設されている。また、支持プレート28の上面にはねじ29を挿通する複数のボス部28bが突設されている。支持プレート28のガイド部28a及びボス部28bはシャッター26に形成された長孔26c,26dと摺動可能に係合している。シャッター26は、長孔26dの後端部が支持プレート28のボス部28bに当接することにより、被覆位置まで前進移動可能となっている。
【0025】さらに、支持プレート28の上面は、図3及び図5から判るように、コンタクトフィルム14上に搭載される液晶表示パネル1の絶縁基板2の側辺部に近接する先端28cにおいて液晶表示パネル1の絶縁基板2の側辺部上面とほぼ同一高さを有し、且つ、支持プレート28の上面はガイド部28aの近傍より該先端28cに向かうに従ってなだらかに下傾している。
【0026】さらに、この実施例においては、図3及び図5に示すように、クランパー30の下片部30bの先端には上向きの突出部30cが屈曲形成されており、ソケット本体11の下面には、パネル押圧部材25が押圧位置(図7)及び後退位置(図5)にあるときそれぞれクランパー30の突出部30cと弾接係合する窪み部11d,11eが形成されている。したがって、パネル押圧部材25を押圧位置と後退位置とにそれぞれ安定に係止させることができる。なお、クランパー30のスライド動作は治具(不図示)を用いて行うことが好ましい。
【0027】さらにこの実施例においては、図3及び図5R>5に示すように、ゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24とコンタクトフィルム14の下面(背面)とが直接接触することを避けるために、フィルム押圧部材24のフィルム押圧面とコンタクトフィルム14の下面との間に本発明の特徴をなす摺動シート32が介在されている。この摺動シート32は接着剤(図示省略)によりソケット本体11に止着されているが、止めねじ等でソケット本体11上に着脱可能に止着してもよい。摺動シート32は例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の可撓性及びコンタクトフィルム14に対する摺動性に富む材料で形成される。
【0028】上記構成の液晶表示パネル検査用ソケット10においては、コンタクトフィルム14の背面(下面)を透明電極4,5の配列方向に延びる弾性体からなるフィルム押圧部材24で押圧するので、各コンタクトフィルム14上の配線パターン15,16と液晶表示パネル1の絶縁基板2上の透明電極4,6,5等との間に均一な接触圧を容易に確保することができる。しかも、ゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24とコンタクトフィルム14の背面との間に可撓性及び摺動性を有する摺動シート32が介在されているので、ソケット本体11に装着された液晶表示パネル1の絶縁基板2に対しコンタクトフィルム14の位置合わせをするときに、ゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24とコンタクトフィルム14との密着によりコンタクトフィルム14の動きが阻害されることを防止できる。したがって、液晶表示パネル1の絶縁基板2上の電極4,6,5等とコンタクトフィルム14上の配線パターン15,16等との位置合わせを容易且つ確実に行うことができる。
【0029】また、上記実施例の構成によれば、摺動シート32をゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24に固着する必要がなくソケット本体11に容易に止着することができる。しかも、ゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24と摺動シート32とが密着しても摺動シート32とコンタクトフィルム14との摺動性を確保することができるので、摺動シート32の材質選定の自由度が広がり、表示パネル検査用ソケットの製造コストを下げることができる。
【0030】図8及び図9はそれぞれ本発明の他の実施例を示したものである。これらの図において上記実施例と同様の構成要素には同一の参照符号が付してある。
【0031】図8の実施例においては、コンタクトフィルム14の背面を押圧するためのゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24が摺動シート32で包まれて該摺動シート32と共にソケット本体11に形成された嵌合部に嵌着されている。他の構成は上記実施例と同様である。また、摺動シート32は上記実施例と同様に、ポリテトラフルオルエチレン、ポリイミド等の樹脂で形成することができる。したがって、図8の実施例の場合、上記実施例と同様に、摺動シート32とコンタクトフィルム14との摺動性を確保することができると共に、摺動シート32をフィルム押圧部材24と共に容易にソケット本体11に止着することができる。また、フィルム押圧部材24が摺動シート32で包まれているので、フィルム押圧部材24のフィルム押圧面と摺動シート32との間にゴミ等の異物が付着することを防止できる。
【0032】図9の実施例は、可撓性及び摺動性を有する摺動シート32が例えば接着剤によってゴム等の弾性体からなるフィルム押圧部材24のフィルム押圧面に固着されていることを特徴としている。他の構成は上記実施例と同様である。また、摺動シート32は上記実施例と同様に、ポリテトラフルオルエチレン、ポリイミド等の樹脂で形成することができる。図9の実施例の場合、上記実施例と同様に、摺動シート32とコンタクトフィルム14との摺動性を確保することができると共に、薄い摺動シート32をフィルム押圧部材24のフィルム押圧面とコンタクトフィルム14の背面との間に安定に介在させることができるので、ゴム製のフィルム押圧部材24によるコンタクトフィルム14の均一な押圧作用を容易に確保することができる。また、フィルム押圧部材24のフィルム押圧面と摺動シート32との間にゴミ等の異物が付着することを防止できる。
【0033】以上図示実施例につき説明したが、本発明は上記実施例の態様のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において、各構成要素の形態、個数等に種々の変更を加えることができる。例えば、シャッター26は特願平7−64731号に開示されているように、上方への反りぐせによって液晶表示パネル1の絶縁基板2の上面から離間し液晶表示パネル搭載領域の外に移動する構成のものであってもよい。また、パネル押圧部材はソケット本体11に対し開閉可能に枢着された構成のものであってもよい。さらに、上記各実施例においてはフィルム押圧部材24がソケット本体11に対し固定され、パネル押圧部材30がソケット本体11に対し可動に構成されているが、パネル押圧部材をソケット本体11に対し固定し、フィルム押圧部材をソケット本体11に対し可動に構成してもよい。
【0034】また、図示実施例においては、コンタクトフィルム14の上面に液晶表示パネル1を上から搭載するものとして説明したが、コンタクトフィルムの配線パターン15を下に向け、液晶表示パネル1の基板2をソケット本体11の下からコンタクトフィルム14に接触させるように配置してもよい。
【0035】さらに、図示実施例ではゴム等の弾性体からなる断面略台形状の中実構造のフィルム押圧部材24が用いられているが、これに限られず、断面略逆U字状に形成したものや、内部に中空部を形成したもの等であってもよい。また、フィルム押圧部材24の頂部には各透明電極に対し複数箇所でコンタクトフィルムを押圧するように複数の突出部を形成してもよい。
【0036】さらに、本発明は、液晶表示パネルの他、エレクトロルミネセンスパネル、プラズマディスプレイパネル等の検査用ソケットにも同様に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、表示パネルの基板上の電極とコンタクトフィルム上の配線パターンとの位置合わせを確実に行うことができると共に、両者を均一な接触圧で接触させることができる表示パネル検査用ソケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示パネルの基板上の電極への信号供給形態の一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明を図1の液晶表示パネルの検査に用いる表示パネル検査用ソケットに適用した場合の、ソケットの組立途中状態を示す概略平面図である。
【図3】図2に示すソケットの要部の一部破断斜視図である。
【図4】図2に示すソケットのフィルム取付板上にソース側のコンタクトフィルムを配設した状態を示す要部平面図である。
【図5】図2に示すソケットのパネル押圧部材及びシャッターが後退した状態を示す図3中A−A線に沿った縦断面図である。
【図6】図2に示すソケットのパネル押圧部材に先行してシャッターが表示パネルの基板上に前進した状態を示す図5と類似の縦断面図である。
【図7】図2に示すソケットのパネル押圧部材が前進してシャッターを介して表示パネルの基板上を押圧した状態を示す図5と類似の縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す図5と類似の縦断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例を示す図5と類似の縦断面図である。
【符号の説明】
1 液晶表示パネル(表示パネル)
2 絶縁基板(基板)
3,5,6 透明電極
10 表示パネル検査用ソケット
11 ソケット本体
11c 嵌合部
13 フィルム取付板
14 コンタクトフィルム
15,16 配線パターン
24 フィルム押圧部材
25 パネル押圧部材
26 シャッター
28 支持プレート
30 クランパー
31 摺動片
32 摺動シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソケット本体に対し位置決めされる表示パネルの基板と、該基板に対し位置合わせ可能なコンタクトフィルムとを重ね合わせ、コンタクトフィルムの背面を表示パネルの基板上の電極の配列方向に延びる弾性体からなるフィルム押圧部材で、また表示パネルの基板の背面をパネル押圧部材でそれぞれ押圧することにより前記コンタクトフィルム上の配線パターンと前記表示パネルの基板上の電極とを所要の接触圧で接触させる表示パネル検査用ソケットにおいて、前記フィルム押圧部材と前記コンタクトフィルムの背面との間に可撓性及び前記コンタクトフィルムに対する摺動性を有する摺動シートを介在させたことを特徴とする表示パネル検査用ソケット。
【請求項2】 前記摺動シートが前記ソケット本体に止着されていることを特徴とする請求項1記載の表示パネル検査用ソケット。
【請求項3】 前記フィルム押圧部材が前記摺動シートで包まれて該摺動シートと共に前記ソケット本体に形成された嵌合部に嵌着されていることを特徴とする請求項2記載の表示パネル検査用ソケット。
【請求項4】 前記摺動シートが前記フィルム押圧部材のフィルム押圧面に固着されていることを特徴とする請求項1記載の表示パネル検査用ソケット。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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