説明

表示ラベル、発泡体、電子機器、及び電子機器からの筐体材料の回収方法

【課題】筐体材料にダメージを与えずに容易に剥離できる表示ラベル、及び発泡体、並びに筐体材料にダメージを与えずに、接着体を剥離できる電子機器、及び前記電子機器からの筐体材料の回収方法の提供。
【解決手段】樹脂筐体と、前記樹脂筐体に接着される接着体とを有し、前記樹脂筐体と前記接着体との界面に、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を有する電子機器である。




ただし、R、及びRは、特定の2価の基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ラベル、発泡体、電子機器、及び電子機器からの筐体材料の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、パソコン、携帯電話等のICT(Information and Communication Technology)機器や、テレビ、冷蔵庫等の家電製品などのリサイクル及びリユースが極めて重要視されており、製品設計段階からリサイクル及びリユースを前提とした材料設計、構造設計などが強く求められている。
特にプラスチック製品の場合、廃棄品のリサイクル及び生産工程内で発生する不良品のリユースが可能になれば、地球環境汚染、焼却による排出COガス量を軽減できる。
【0003】
ところが、電子機器の樹脂筐体表面には、表示ラベル基材、断熱材などの接着体が接着している。例えば、ICT機器の樹脂筐体表面には、機器の情報を表示した表示ラベル基材が貼り付けられている。また、冷蔵庫などの家電製品においては、内壁(内箱)と外壁(外箱)の間に断熱材が充填され、該断熱材は、内壁及び外壁と強固に接着している。表示ラベル、表示ラベルに用いられている接着剤、断熱材等の紙、樹脂などは、筐体、特に樹脂筐体から剥離させることが極めて困難である。そのため、樹脂筐体を低コストかつ高純度で回収し、樹脂筐体としてリサイクルさせることは未だに実現できていない。したがって、樹脂筐体は、品質の低下を伴うリサイクル(カスケードリサイクル)のみに利用されているのが現状である。
【0004】
樹脂筐体のリサイクルに関連して、分解性樹脂材料として、例えば、デンプン類、タンパク質類などを含有することで、自然環境における分解性に優れた材料が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この提案の技術における材料は、使用中にも劣化が生じることがある。また、自然環境に放置したとき、例えば、土中埋め立てした時に分解するものである。そのため、使用中は安定で必要な時に容易に分解出来るという要求を満たさないという問題がある。
【0005】
機器類の筐体(主に内壁材ABSなど)のマテリアルリサイクル率の向上に関しての報告例は、極めて少ないが、断熱材料のリサイクルに関しては、様々な提案がされている。例えば、超臨界状態若しくは亜臨界状態の水又はアルコールを利用するポリウレタン樹脂のケミカルリサイクルが提案されている(特許文献2及び3参照)。
しかし、これらの提案の技術においては、高温下及び高圧下で処理されるため、樹脂筐体がダメージを受けるという問題がある。また、プロセスコストのアップに繋がるという問題がある。
【0006】
したがって、筐体材料にダメージを与えずに容易に剥離できる表示ラベル、及び発泡体、並びに筐体材料にダメージを与えずに、接着体を剥離できる電子機器、及び前記電子機器からの筐体材料の回収方法の提供が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−112378号公報
【特許文献2】特許第4505780号公報
【特許文献3】特開平10−310663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、筐体材料にダメージを与えずに容易に剥離できる表示ラベル、及び発泡体、並びに筐体材料にダメージを与えずに、接着体を剥離できる電子機器、及び前記電子機器からの筐体材料の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
開示の表示ラベルは、表示ラベル基材と、前記表示ラベル基材の一方の面に接する樹脂とを有し、前記樹脂が、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂である。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
開示の発泡体は、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られ、かつ発泡してなる。
開示の電子機器は、樹脂筐体と、前記樹脂筐体に接着される接着体とを有し、前記樹脂筐体と前記接着体との界面に、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を有する。
開示の電子機器からの筐体材料の回収方法は、開示の前記電子機器から取り外した、前記接着体が付着した前記樹脂筐体を、酸化剤溶液に接触させる工程を含む。
【発明の効果】
【0010】
開示の表示ラベルによれば、筐体材料にダメージを与えずに表示ラベルを容易に剥離できる。
開示の発泡体によれば、筐体材料にダメージを与えずに発泡体を容易に剥離できる。
開示の電子機器によれば、筐体材料にダメージを与えずに、接着体を容易に剥離できる。
開示の電子機器からの筐体材料の回収方法によれば、筐体材料にダメージを与えずに、接着体を容易に剥離でき、筐体材料を回収できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(表示ラベル)
本発明の表示ラベルは、表示ラベル基材と、樹脂とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0012】
<表示ラベル基材>
前記表示ラベル基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙類、樹脂フィルム類などが挙げられる。
前記紙類としては、例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙などが挙げられる。
前記樹脂フィルム類としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の各種高分子フィルムなどが挙げられる。
また、前記表示ラベル基材として、例えば、蒸着紙、合成紙、布、不織布、金属ホイルなどを用いることもできる。
これらは単層で用いてもよいし、積層して用いてもよい。
【0013】
前記表示ラベル基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10μm〜500μmなどが挙げられる。
【0014】
前記表示ラベル基材の大きさ、形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0015】
<樹脂>
前記樹脂は、前記表示ラベル基材の一方の面に接している。
前記樹脂は、少なくとも、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物と、更に必要に応じて、その他の成分を反応させて得られる樹脂である。
前記樹脂は、その樹脂中にジアシルヒドラジン結合を有している。
【0016】
−一般式(1)で表される化合物−
【化3】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【0017】
前記Rにおけるアルキレン基としては、2価の鎖状の炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
【0018】
前記Rにおけるシクロアルキレン基としては、2価の脂環式炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−シクロペンタメチレン基、1,3−シクロヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキサメチレン基、2,3−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基などが挙げられる。
【0019】
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基などが挙げられる。
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキル置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキルオキシ置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキルオキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0020】
前記Rにおける少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1−1)から下記一般式(1−4)で表される基が好ましい。
【化4】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CH−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
前記一般式(1−2)中、nは、1〜20の整数を表す。前記−CHCHO(一般式(1−2)中の左端)は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記CH−(一般式(1−2)中の右端)は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
前記一般式(1−3)中、nは、1〜20の整数を表す。前記−CH(CH)CHO(一般式(1−3)中の左端)は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記CH−(一般式(1−3)中の右端)は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
前記一般式(1−4)中、nは、1〜20の整数を表す。前記−CH(CH)CH(一般式(1−4)中の左端)は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記CH−(一般式(1−4)中の右端)は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
【0021】
前記Rにおけるアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
【0022】
前記Rにおけるアルコキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0023】
前記R10Oにおける−(CHO−のmとしては、5〜10が好ましい。
前記R10Oにおける−(CHCHO)−のnとしては、3〜6が好ましい。
【0024】
前記一般式(1)で表される化合物の前記Rが、アルキレン基の場合の具体例としては、例えば、以下の式で表される化合物などが挙げられる。
【化5】

【0025】
前記一般式(1)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(1−1)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の式で表される化合物などが挙げられる。
【化6】

【化7】

【化8】

ただし、上記式中、置換位置を示す「3,4,5,6」は、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を1とし、HO(CHO基又はHOCOCO基がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【化9】

ただし、上記式中、置換位置を示す「2,4」は、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を1とし、HO(CHO基又はHOCOCO基がベンゼン環に結合する位置を3とした場合の置換位置である。
【化10】

ただし、上記式中、置換位置を示す「3,4,5」は、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を1とし、HO(CHO基又はHOCOCO基がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【0026】
前記一般式(1)で表される化合物は、後述するように、ポリイソシアネート化合物などと反応させることにより、得られる樹脂中に、ジアシルヒドラジン結合を導入することができる。該ジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で結合が開裂することから、前記樹脂は、酸化剤で処理することにより分解する。
【0027】
−−一般式(1)で表される化合物の合成方法−−
前記一般式(1)で表される化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の反応式(i)に従った合成方法などが挙げられる。
【化11】

ただし、上記反応式(i)中、Rは、前記一般式(1)中のRと同じである。Rは、アルキル基を表す。「r.t.」は、室温を表す。
【0028】
前記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
【0029】
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、上記反応式(i)に従い、メタノールなどの溶媒存在下で、HOR基を有するカルボン酸エステル(HOR−COOR)を抱水ヒドラジンと反応させることにより、HOR基を有するカルボン酸ヒドラジド(HOR−CONHNH)を合成し、更に該HOR基を有するカルボン酸ヒドラジド(HOR−CONHNH)をオキソン(Oxone、2KHSO・KHSO・KSO、登録商標、Dupont社製)などの酸化剤を用いて反応させることにより合成することができる。
【0030】
前記HOR基を有するカルボン酸エステル(HOR−COOR)の合成方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0031】
−一般式(2)で表される化合物−
【化12】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
【0032】
前記Rにおけるアルキレン基としては、2価の鎖状の炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
【0033】
前記Rにおけるシクロアルキレン基としては、2価の脂環式炭化水素基であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−シクロペンタメチレン基、1,3−シクロヘキサメチレン基、1,4−シクロヘキサメチレン基、2,3−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基などが挙げられる。
【0034】
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基などが挙げられる。
前記Rにおけるアルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキル置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。
前記アルキレンアリーレン基及びアルキレンオキシアリーレン基のアリーレン基におけるアルキルオキシ置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜10のアルキルオキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜10のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。
【0035】
前記Rにおけるエーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(2−1)で表される基、下記一般式(2−2)で表される基、下記一般式(2−3)で表される基などが挙げられる。
【化13】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
【化14】

ただし、前記一般式(2−2)中、Rは、−O(CHO−、及び−O(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。aは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
【化15】

ただし、前記一般式(2−3)中、Rは、単結合、−Y(CHY−、及び−Y(CHCHY)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。Yは、それぞれ独立に、O、及びSのいずれかを表す。)。Rは、それぞれ独立に、アルキレン基を表す。Xは、それぞれ独立に、単結合、O、及びSのいずれかを表す。
【0036】
前記一般式(2)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(2−1)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の一般式で表される化合物などが挙げられる。
【化16】

【0037】
前記一般式で表される化合物におけるmとしては、1〜5が好ましい。
前記一般式で表される化合物におけるnとしては、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
【0038】
前記一般式(2)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(2−2)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の一般式で表される化合物などが挙げられる。
【化17】

【化18】

ただし、前記一般式中、置換位置を示す「2,4」は、O(CHO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を3とした場合の置換位置である。
【化19】

ただし、前記一般式中、置換位置を示す「3,4,5」は、O(CHO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【化20】

ただし、前記一般式中、置換位置を示す「3,4,5,6」は、O(CH)mO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を2とした場合の置換位置である。
【化21】

ただし、前記一般式中、置換位置を示す「2,4」は、O(CHO基がベンゼン環に結合する位置を1とし、カルボニル基(C=O)がベンゼン環に結合する位置を3とした場合の置換位置である。
【化22】

【0039】
前記一般式で表される化合物におけるmとしては、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
前記一般式で表される化合物におけるnとしては、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
【0040】
前記一般式(2)で表される化合物の前記Rが、前記一般式(2−3)で表される基である場合の具体例としては、例えば、以下の一般式で表される化合物などが挙げられる。
【化23】

【0041】
前記一般式で表される化合物におけるmとしては、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。
【0042】
前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、上記例示の化合物に加え、例えば、下記式で表される化合物などが挙げられる。
【化24】

【0043】
前記一般式(2)で表される化合物は、後述するように、ポリイソシアネート化合物などと反応させることにより、得られる樹脂中に、ジアシルヒドラジン結合を導入することができる。該ジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で結合が開裂することから、前記樹脂は、酸化剤で処理することにより分解する。
【0044】
−−一般式(2)で表される化合物の合成方法−−
前記一般式(2)で表される化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の反応式(ii)に従った合成方法などが挙げられる。
【化25】

ただし、上記反応式(ii)中、Rは、2価の有機基を表す。nは、整数を表す。「r.t.」は、室温を表す。
【0045】
前記Rとしては、例えば、アルキレン基、置換基を有していてもよい2価の芳香族基などが挙げられる。
【0046】
前記一般式(2)で表される化合物は、例えば、上記反応式(ii)のように、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)などの溶媒存在下で、HO(CHCHO)Hなどのジオール化合物をNaHと反応させ、ジオールの金属アルコキシドを合成し、更に該ジオールの金属アルコキシドをブロモ酢酸t−ブチルなどのハロゲン化カルボン酸エステル(例えば、BrRCOC(CH)と反応させ、グリコールジ(アルキルオキシカルボニル)アルキルエーテル(例えば、上記反応式のような、ポリエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)アルキルエーテル)を合成し、更に該グリコールジ(アルキルオキシカルボニル)アルキルエーテルを抱水ヒドラジンと反応させることにより合成することができる。
【0047】
−一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物−
前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物としては、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0048】
−−ポリイソシアネート化合物−−
前記ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、これらポリイソシアネートの誘導体などが挙げられる。
【0049】
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどが挙げられる。
前記脂肪族トリイソシアネートとしては、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどが挙げられる。
【0050】
前記脂環族ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂環族ジイソシアネート、脂環族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)又はその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環族トリイソシアネートとしては、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどが挙げられる。
【0051】
前記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)又はその混合物などが挙げられる。
【0052】
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、芳香族テトライソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−若しくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート又はその混合物、2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート又はその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族トリイソシアネートとしては、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼン、トリフェニルメタン−4,4’,4’’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。
前記芳香族テトライソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどが挙げられる。
【0053】
前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDIなどが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、ポリオール化合物(ただし、前記一般式(1)で表される化合物を除く。)、エポキシ樹脂、アミン樹脂などが挙げられる。
【0055】
−−ポリオール化合物−−
前記ポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール;、分子量が1,000以下であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールなどが挙げられる。
【0056】
−樹脂の製造方法−
前記樹脂、即ち、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記ポリイソシアネート化合物などの前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物を、DMFなどの有機溶媒の存在下で、DABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)などの触媒を用い、必要により加熱をすることで反応を行う方法などが挙げられる。
【0057】
前記樹脂は、その樹脂中にジアシルヒドラジン結合を有している。
前記樹脂におけるジアシルヒドラジン結合の態様の一例を説明する。例えば、前記一般式(1)で表される化合物と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させて前記樹脂を得る場合、反応式は、以下の反応式(iii)ように表される。
【化26】

ここで、ポリイソシアネート化合物におけるRは、n価の有機基を表す。nは、2以上の整数を表す。
【0058】
得られた樹脂には、上記反応式(iii)の右辺に記載された部分構造が含まれている。この部分構造中には、ジアシルヒドラジン結合が含まれている。なおこのジアシルヒドラジン結合は、前記一般式(1)中で表される化合物中のジアシルヒドラジン結合に由来するものである。
【0059】
前記樹脂におけるジアシルヒドラジン結合の態様の他の一例を説明する。例えば、前記一般式(2)で表される化合物と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させて前記樹脂を得る場合、反応式は、以下の反応式(iv)のように表される。
【化27】

ここで、ポリイソシアネート化合物におけるRは、n価の有機基を表す。nは2以上の整数を表す。
【0060】
得られた樹脂には、上記反応式(iv)の右辺に記載された部分構造が含まれている。この部分構造中には、ジアシルヒドラジン結合が含まれている。
【0061】
前記樹脂は、架橋していてもよい。架橋させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性線により反応させ前記樹脂を架橋させることなどが挙げられる。活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。前記基は、例えば、前記活性線により前記基を反応させる化合物であるラジカル開始剤〔例えば、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)〕などの作用により架橋する。
【0062】
前記活性線により反応し前記樹脂を架橋させる基を前記樹脂中に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂の製造において、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記ポリイソシアネート化合物とを反応させた際に、イソシアネート基が残存するようにしておき、更にアリルアルコールなどのアリル基と水酸基を有する化合物を反応させる方法、前記樹脂の製造において、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記ポリイソシアネート化合物とを反応させた際に、水酸基が残存するようにしておき、更にメタクリル酸2−イソシアナトエチル、アクリル酸2−イソシアナトエチルなどのアクリロイル基又はメタクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を反応させる方法などが挙げられる。
【0063】
前記活性線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線(UV)などが挙げられる。
【0064】
前記表示ラベル基材の面における前記樹脂の存在状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層(樹脂層)状に存在していてもよいし、単一又は複数の点状で存在していてもよいし、単一又は複数の線状で存在していてもよい。
【0065】
前記樹脂層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μm〜50μmなどが挙げられる。
【0066】
前記表示ラベル基材の面へ前記樹脂を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を含有する樹脂溶液を前記表示ラベル基材上に塗布する方法などが挙げられる。前記塗布の後には、必要に応じて加熱を行ってもよいし、樹脂を架橋するために紫外線などの活性線の照射を行ってもよい。
【0067】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型層などが挙げられる。
【0068】
−離型層−
前記離型層としては、前記樹脂から容易に剥離できる層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離紙などが挙げられる。前記剥離紙としては、例えば、剥離原紙と剥離層とを有する剥離紙などが挙げられる。前記剥離層としては、例えば、シリコーン系剥離剤を含有する剥離層などが挙げられる。
【0069】
前記表示ラベルには、その表面に文字情報、画像情報、バーコード情報などが表示されていてもよい。また、前記表示ラベルは、ICタグ、ホログラムなどを有していてもよい。
【0070】
前記表示ラベルは、ICT(Information and Communication Technology)機器、家電製品などの表示ラベルとして好適に用いることができる。前記表示ラベルは、前記樹脂を有している。前記樹脂中のジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で開裂する。そのため、前記表示ラベルを酸化剤存在下で処理すると、前記樹脂が分解し、前記表示ラベルは、ICT機器、家電製品などの樹脂筐体から容易に剥離できる。したがって、表示ラベルなどの不純物を含むことなく、ICT機器、家電製品などの筐体材料をリサイクル(マテリアルリサイクル)することができる。
【0071】
(発泡体)
本発明の発泡体は、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られ、かつ発泡してなる。
【0072】
前記発泡体の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、断熱材として機能するものが好ましい。
【0073】
前記発泡体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも含有し、好ましくは、重合触媒、発泡剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する発泡組成物を塗布し、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを反応させつつ、発泡体を得る方法(第1の方法)が挙げられる。
また、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを、触媒の存在下で反応させた前駆体を得た後に、該前駆体とを少なくとも含有し、好ましくは、重合触媒、発泡剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する発泡体組成物を塗布し、前記前駆体を反応させつつ、発泡体を得る方法(第2の方法)が挙げられる。
【0074】
前記重合触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキシルアミン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等の3級アミン、それらの有機カルボン酸塩、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルなどが挙げられる。
前記重合触媒は、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、花王社製のカオライザーなどが挙げられる。
前記発泡体を製造する際の前記重合触媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0075】
前記発泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,1,1−ジクロロフルオロエタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン等の低沸点炭化水素;窒素ガス、空気、二酸化炭素等のガス;水などが挙げられる。
前記発泡体を製造する際の前記発泡剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0076】
前記その他の成分としては、例えば、前記表示ラベルにおける樹脂の説明で例示したその他の成分の前記ポリオール化合物などが挙げられる。また、前記第2の方法においては、その他の成分として、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物(例えば、ポリイソシアネート化合物)を用いてもよい。
【0077】
前記発泡体を製造する際の反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0078】
前記発泡体は、ICT(Information and Communication Technology)機器、家電製品などの断熱材として好適に用いることができる。前記発泡体は、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を含有している。前記樹脂は、ジアシルヒドラジン結合を有し、該ジアシルヒドラジン結合は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤存在下で開裂する。そのため、前記発泡体を酸化剤存在下で処理すると、前記樹脂が分解し、前記発泡体は、ICT機器、家電製品などの樹脂筐体から容易に剥離できる。したがって、発泡体などの不純物を含むことなく、ICT機器、家電製品などの筐体材料をリサイクル(マテリアルリサイクル)することができる。
【0079】
(電子機器)
本発明の電子機器は、樹脂筐体と、接着体とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記電子機器は、前記樹脂筐体と前記接着体との界面に樹脂を有する。
【0080】
<樹脂筐体>
前記樹脂筐体としては、樹脂製の筐体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0081】
前記樹脂筐体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート−ABS(PC−ABS)、ポリスチレンなどが挙げられる。
前記樹脂筐体の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0082】
<接着体>
前記接着体としては、前記樹脂筐体に接着されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表示ラベル基材、断熱材、アンテナなどが挙げられる。
【0083】
−表示ラベル基材−
前記表示ラベル基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記表示ラベルにおいて説明した前記表示ラベル基材などが挙げられる。
【0084】
−断熱材−
前記断熱材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発泡断熱材などが挙げられる。前記発泡断熱材としては、例えば、発泡ウレタン樹脂などが挙げられる。
前記断熱材の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0085】
前記断熱材の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発泡断熱材を形成する原液(例えば、発泡ウレタン樹脂組成物)を前記樹脂が表面に形成された前記樹脂筐体に塗布し、発泡させることにより形成する方法などが挙げられる。また、発泡断熱材を形成する原液(例えば、発泡ウレタン樹脂組成物)を、樹脂製内箱(前記樹脂筐体)と金属製外箱を組み合わせた箱体の前記樹脂製内箱と前記金属製外箱との間に形成された空間部へ注入し、発泡させる方法などが挙げられる。この際、前記樹脂は、樹脂製内箱の外側に形成されており、形成される断熱材と接する。
【0086】
<樹脂>
前記電子機器は、前記樹脂筐体と前記接着体との界面に前記樹脂を有する。
前記樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂であり、前記表示ラベルの説明において記載した前記樹脂である。
【0087】
前記樹脂の前記樹脂筐体と前記接着体との界面における存在状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層(樹脂層)状に存在していてもよいし、単一又は複数の点状で存在していてもよいし、単一又は複数の線状で存在していてもよい。
【0088】
前記樹脂層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μm〜50μmなどが挙げられる。
【0089】
前記樹脂筐体と前記接着体との界面に前記樹脂を配置する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記接着体が、前記表示ラベル基材の場合には、本発明の前記表示ラベルを前記樹脂筐体に貼り付ける方法などが挙げられる。また、例えば、前記接着体が、前記断熱材の場合には、前記樹脂を含有する樹脂溶液を前記樹脂筐体上に塗布し前記樹脂を前記樹脂筐体表面に形成した後に、前記断熱材を形成する原液を前記樹脂筐体に塗布する方法などが挙げられる。前記樹脂を含有する樹脂溶液を前記樹脂筐体上に塗布した後には、必要に応じて加熱を行ってもよいし、樹脂を架橋させるために紫外線などの活性線の照射を行ってもよい。
【0090】
前記電子機器は、前記樹脂筐体と前記接着体との界面、言い換えれば間に、前記樹脂を有している。そのため、前記樹脂筐体をマテリアルリサイクルする際に、容易に前記接着体を前記樹脂筐体から剥離することができる。このことは、前記樹脂が酸化剤により容易に分解することに起因する。例えば、前記接着体が付着した前記樹脂筐体を酸化剤溶液に接触させることで、前記樹脂が分解し、表示ラベル基材、断熱材などの前記接着体は、前記樹脂筐体から容易に剥離する。
【0091】
前記電子機器は、ICT(Information and Communication Technology)機器、家電製品などに好適に用いることができる。
前記ICT機器としては、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話などが挙げられる。前記家電製品としては、例えば、テレビ、冷蔵庫、電子レンジなどが挙げられる。
【0092】
(電子機器からの筐体材料の回収方法)
本発明の電子機器からの筐体材料の回収方法は、電子機器から取り外した、接着体が付着した樹脂筐体を、酸化剤溶液に接触する工程(接触工程)を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0093】
<接触工程>
前記接触工程としては、電子機器から取り外した、接着体が付着した樹脂筐体を酸化剤溶液に接触する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電子機器は、本発明の前記電子機器である。
前記接着体は、本発明の前記電子機器における前記接着体である。
前記樹脂筐体は、本発明の前記電子機器における前記樹脂筐体である。
【0094】
前記電子機器から前記樹脂筐体を取り外す方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、工具などを用いて取り外す方法、前記電子機器を破砕した後に磁力選別などにより前記樹脂筐体を電子部品等と分離する方法などが挙げられる。
【0095】
前記酸化剤溶液としては、ジアシルヒドラジン結合を開裂可能な酸化剤を含有する溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、過酸化水素(H)などが挙げられる。
前記溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶液などが挙げられる。
【0096】
前記接触させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂筐体を前記酸化剤溶液に浸漬させる方法、前記樹脂筐体に前記酸化剤溶液を塗布する方法などが挙げられる。
【0097】
前記酸化剤溶液に接触させる際の前記樹脂筐体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電子機器に使用されている状態の樹脂筐体の形状そのものであってもよいし、前記酸化剤溶液に接触させる前に破砕されていてもよい。
【0098】
前記樹脂筐体を前記酸化剤溶液中の前記酸化剤に接触させることにより、前記樹脂筐体に前記接着体とともに付着している、前記樹脂(前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂)が分解する。
前記酸化剤により前記樹脂が分解される一例を以下の反応式(v)に示す。
【化28】

ただし、上記式(v)中、「Aq.」は、水溶液を表す。
【0099】
上記の反応式(v)は、前記樹脂としてのポリウレタン樹脂が次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)により分解される様子を示したものである。前記ポリウレタン樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物に由来するジアシルヒドラジン結合を有している。前記ポリウレタン樹脂を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬することにより、前記ポリウレタン樹脂中のジアシルヒドラジン結合が開裂してカルボン酸ナトリウム塩を形成することで、前記樹脂は分解する。
【0100】
前記電子機器から取り外した前記樹脂筐体には、前記樹脂が、前記接着体とともに付着している。そのため、前記樹脂筐体をマテリアルリサイクルする際に、前記樹脂筐体を酸化剤溶液に接触させることにより、前記樹脂が分解し、前記樹脂を介して前記樹脂筐体に付着している前記接着体は、前記樹脂筐体から容易に剥離する。
したがって、前記電子機器からの筐体材料の回収方法によれば、筐体材料にダメージを与えずに、接着体を容易に剥離でき、マテリアルリサイクル可能な筐体材料を回収することができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0102】
(合成例1)
<1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンの合成>
1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシン(前記一般式(1)で表される化合物)の合成を下記の手順で行った。
【0103】
<<4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチルの合成>>
NaOH 4.8g(0.12モル)、及び2−ブタノール300mLに、4−ヒドロキシ安息香酸エチル16.6g(0.1モル)を加えた後、更にNaI(少量)及び6−クロロヘキサノール16.0mL(0.12モル)を加えて60℃で10時間攪拌した。その後、溶媒を減圧(水流吸引器)下で留去し、残留固形物を400mLのジエチルエーテルに溶かし、水で3回洗浄した。更に固形物をジエチルエーテルに溶かし、エーテル相を、NaSOを用いて乾燥した後、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を、ヘキサン:酢酸エチル=10:2(体積比)を溶離剤として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチルを得た(収率は58質量%)。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化29】

【0104】
<<4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸ヒドラジドの合成>>
上記で合成した4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル26.6g(0.1モル)のメタノール100mL溶液に、抱水ヒドラジン(ヒドラジン1水和物12.5mL(0.250モル))を加え、室温で24時間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣のオイルを放置すると、ヒドラジドが結晶化した。結晶を減圧ろ過で取り出し、少量のエタノールで洗浄した後に真空乾燥した。20g(収率80質量%)の4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸ヒドラジドを得た。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化30】

ただし、「r.t.」は、室温を表す。
【0105】
<<1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンの合成>>
オキソン(oxone(登録商標)、Dupont社製)67.5g(0.11モル)を水に分散し、ここに、上記で合成した4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸ヒドラジド12.6g(0.05モル)を加えて終夜撹拌した。反応混合物を水に注ぎ反応物を沈澱させ、沈殿物をろ過して取り出し、水洗した後に真空乾燥した。7.08gの1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンを得た(収率は60.0%)。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化31】

ただし、「r.t.」は、室温を表す。
【0106】
得られた1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシンのNMR測定結果を示す。
H−NMR(DMSO、δppm)1.10〜1.80(18H、m、CH&OH)、3.64(4H、t、CHOH)、3.89(4H、t、OCH)、6.86(4H、d、Ph−H)、7.78(4H、d、Ph−H)、9.35(2H、S、CONH)
【0107】
(合成例2)
<ジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルの合成>
ジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルの合成(前記一般式(2)で表される化合物)の合成を下記の手順で行った。
【0108】
<<ジエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)メチルエーテルの合成>>
乾燥させたDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)400mL中に60質量%NaH 32g(0.8モル)を窒素雰囲気中で分散させた後、ジエチレングリコール10.6g(0.1モル)及びTHF(テトラヒドロフラン)100mLを滴下し、常温で30分間攪拌した。次に、ブロモ酢酸t−ブチル20mL(0.22モル)及びDMF100mLを加えて、80℃で12時間攪拌した。その後、反応液を常温に戻し、エチルアルコールを滴下し、残留NaHを中和させた。更に溶媒を減圧(水流吸引器)下で留去し、残留固形物を500mLの塩化メチレンに溶かし、水で3回洗浄した。続いて、塩化メチレン相を、NaSOを用いて乾燥した後、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を、ヘキサン:酢酸エチル=10:1(体積比)を溶離剤として使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)メチルエーテルを得た(収率は70質量%)。
【化32】

【0109】
<<ジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルの合成>>
上記で合成したジエチレングリコールジ(t−ブチロキシカルボニル)メチルエーテル29.2g(0.1モル)のメタノール100mL溶液に、抱水ヒドラジン(ヒドラジン1水和物12.5mL(0.250モル))を加え、室温で24時間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣のオイルを放置すると、ジヒドラジドが結晶化した。結晶を減圧ろ過で取り出し、少量の冷たいエタノールで洗浄した後に真空乾燥した。20g(収率は80%)のジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルを得た。
上記反応のスキームを以下に示す。
【化33】

ただし、「r.t.」は、室温を表す。
【0110】
得られたジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテルのNMR測定結果を示す。
H−NMR(DMSO、δppm)3.51(8H、m、OCHCHO)、3.92(4H、s、OCHCO)、4.14(4H、S、NH)、8.92(2H、S、CONH)
【0111】
(実施例1)
<樹脂組成物の作製>
イソホロンジイソシアネート6.6g(0.03モル)と合成例1で合成した1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシン7.08g(0.015モル)を窒素雰囲気中300mLの無水DMFに溶かし、触媒としてDABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)100mgを添加し90℃で6時間攪拌した。その後、ポリエーテルジオール(EXCENOL−720、旭硝子社製、水酸基価160mgKOH/g)10.5g(0.03モルOH基)を添加し90℃で6時間攪拌した後アセトニトリル10mLを加えて、樹脂組成物を作製した。
【0112】
<表示ラベル(粘着ラベル)の作製>
表示ラベル(粘着ラベル)の表示ラベル基材として上質紙(OKプリンス、王子製紙社製)を使用した。
剥離紙には、青グラシン紙を剥離原紙とし、該剥離原紙にシリコーン系剥離剤〔キシレン溶媒中に、PO−3(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を80質量部、重剥離コントロール剤としてBY24−843(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を20質量部配合し、触媒としてSRX−212(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を3質量部添加したシリコーン系剥離剤〕をメイヤーバーで塗布して得られる剥離紙を用いた。
前記表示ラベル基材の裏面に、前記樹脂組成物をコンマコーターにて乾燥後の塗工量が15g/m〜20g/mとなるように塗布し、前記表示ラベル基材の裏面に粘着性のある樹脂層を形成した。続いて、前記剥離紙の剥離剤塗工面を前記樹脂層と貼り合わせて、表示ラベルを得た。
【0113】
<樹脂筐体への表示ラベルの貼付け>
次に、得られた表示ラベルを剥離紙から剥がし、表示ラベルをPC−ABS板(樹脂筐体)上に載せた後、2kgのロールで一往復して圧着し、表示ラベルをPC−ABS板に貼り付けた。
室温で1時間放置した後の粘着力を剥離試験器で測定した。測定条件は、180度ピール、300mm/分間とした。粘着力は9.3N/cmであった。
【0114】
<表示ラベル剥離試験>
表示ラベルを貼り付けたPC−ABS板(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、破砕後のPC−ABS板(PC−ABSチップ)を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬し、PC−ABSチップ表面の表示ラベルを剥離した。
PC−ABSチップ表面を目視及び顕微鏡観察すると、表示ラベルが樹脂残渣なく完全に剥離されていることを確認した。
【0115】
(実施例2)
<樹脂組成物の作製>
4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、純度98質量%、東京化成工業社製)7.5g(0.03モル)、及び合成例2で合成したジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテル3.75g(0.015モル)を窒素雰囲気中で50mLの無水DMFに溶解し、常温で1時間攪拌した。その後、ポリエーテルジオール(EXCENOL−720、旭硝子社製、水酸基価160mgKOH/g)10.5g(0.03モルOH基)とDABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)50mgを添加し、90℃で6時間攪拌した後に、アセトニトリル10mLを加えて、樹脂組成物を作製した。
【0116】
<表示ラベル(粘着ラベル)の作製>
表示ラベル(粘着ラベル)の表示ラベル基材として上質紙(OKプリンス、王子製紙社製)を使用した。
剥離紙には、青グラシン紙を剥離原紙とし、該剥離原紙にシリコーン系剥離剤〔キシレン溶媒中に、PO−3(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を80質量部、重剥離コントロール剤としてBY24−843(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を20質量部配合し、触媒としてSRX−212(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を3質量部添加したシリコーン系剥離剤〕をメイヤーバーで塗布して得られる剥離紙を用いた。
前記表示ラベル基材の裏面に、前記樹脂組成物をコンマコーターにて乾燥後の塗工量が15g/m〜20g/mとなるように塗布し、前記表示ラベル基材の裏面に粘着性のある樹脂層を形成した。続いて、前記剥離紙の剥離剤塗工面を前記樹脂層と貼り合わせて、表示ラベルを得た。
【0117】
<樹脂筐体への表示ラベルの貼付け>
次に、得られた表示ラベルを剥離紙から剥がし、表示ラベルをPC−ABS板(樹脂筐体)上に載せた後、2kgのロールで一往復して圧着し、表示ラベルをPC−ABS板に貼り付けた。
室温で1時間放置した後の粘着力を剥離試験器で測定した。測定条件は、180度ピール、300mm/分間とした。粘着力は10.8N/cmであった。
【0118】
<表示ラベル剥離試験>
表示ラベルを貼り付けたPC−ABS板(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、破砕後のPC−ABS板(PC−ABSチップ)を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬し、PC−ABSチップ表面の表示ラベルを剥離した。
PC−ABSチップ表面を目視及び顕微鏡観察すると、表示ラベルが樹脂残渣なく完全に剥離されていることを確認した。
【0119】
(比較例1)
<樹脂組成物の作製>
4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、純度98質量%、東京化成工業社製)7.5g(0.03モル)と、ポリエーテルジオール(EXCENOL−420、旭硝子社製、水酸基価280mgKOH/g)6.0g(0.03モルOH基)と、ポリエーテルジオール(EXCENOL−720、旭硝子社製、水酸基価160mgKOH/g)10.5g(0.03モルOH基)と、DABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)50mgとを混合し窒素雰囲気中で50mLの無水DMFに溶解し、常温で1時間攪拌し、その後90℃で6時間攪拌した後に、アセトニトリル10mLを加えて、樹脂組成物を作製した。
【0120】
<表示ラベル(粘着ラベル)の作製>
表示ラベル(粘着ラベル)の表示ラベル基材として上質紙(OKプリンス、王子製紙社製)を使用した。
剥離紙には、青グラシン紙を剥離原紙とし、該剥離原紙にシリコーン系剥離剤〔キシレン溶媒中に、PO−3(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を80質量部、重剥離コントロール剤としてBY24−843(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を20質量部配合し、触媒としてSRX−212(東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)を3質量部添加したシリコーン系剥離剤〕をメイヤーバーで塗布して得られる剥離紙を用いた。
前記表示ラベル基材の裏面に、前記樹脂組成物をコンマコーターにて乾燥後の塗工量が15g/m〜20g/mとなるように塗布し、前記表示ラベル基材の裏面に粘着性のある樹脂層を形成した。続いて、前記剥離紙の剥離剤塗工面を前記樹脂層と貼り合わせて、表示ラベルを得た。
【0121】
<樹脂筐体への表示ラベルの貼付け>
次に、得られた表示ラベルを剥離紙から剥がし、表示ラベルをPC−ABS板(樹脂筐体)上に載せた後、2kgのロールで一往復して圧着し、表示ラベルをPC−ABS板に貼り付けた。
室温で1時間放置した後の粘着力を剥離試験器で測定した。測定条件は、180度ピール、300mm/分間とした。粘着力は8.3N/cmであった。
【0122】
<表示ラベル剥離試験>
表示ラベルを貼り付けたPC−ABS板(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、破砕後のPC−ABS板(PC−ABSチップ)を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬した。
PC−ABSチップ表面を目視及び顕微鏡観察すると、表示ラベルが剥離されていないことを確認した。
【0123】
(実施例3)
<樹脂の合成>
イソホロンジイソシアネート44.4g(0.20モル)と合成例1で合成した1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシン75.5g(0.16モル)を窒素雰囲気中300mLの無水DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶かし、触媒としてDABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)200mgを添加し90℃で6時間攪拌した。その後、アリルアルコール2.4g(0.04モル)加えて、90℃でさらに2時間反応させた。反応混合物を水に注ぎ、沈殿をろ過して取り出し、水洗した後真空乾燥し、樹脂を得た。
【0124】
<筐体への樹脂層の形成>
得られた樹脂50gとAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)10mgを(DMF:酢酸ブチル=1:1(質量比))200gに溶かし、樹脂溶液を作製した。
この樹脂溶液を、PC−ABS製(厚み2mm)筐体の内側表面にスプレーコート法で乾燥後の厚みが15μmとなるように塗装し、UV硬化(80W/cm、照射距離:15cm)を行い、更に70℃で30分間熱処理を行い、PC−ABS樹脂製(厚み2mm)の樹脂製内箱(樹脂筐体)表面に厚み15μmの樹脂層を形成した。
【0125】
<断熱箱体及び冷蔵庫の作製>
トリレンジアミンポリエーテルポリオール100質量部(OH当量=123)、シリコーン界面活性剤(SZ−1919、Dow Corning Toray社製)2質量部、重合触媒2質量部(カオライザー、花王社製)、シクロペンタン発泡剤10質量部、及びメチレンジフェニルイソシアネート(MDI、NCO当量135)135質量部を高圧発泡機にて混合攪拌し、発泡ウレタン樹脂組成物を得た。
続いて、前記樹脂製内箱と金属製外箱を組み合わせて箱体を構成した。この箱体の前記内箱と外箱との間に形成された空間部へ、前記発泡ウレタン樹脂組成物を注入し、発泡させた。こうして前記空間部へ発泡ウレタン樹脂組成物を充填して断熱箱体を作製した。なお、この断熱箱体において、前記樹脂製内箱表面に形成された樹脂層は、充填された発泡ウレタン樹脂と接している。
そして、前記断熱箱体を冷蔵庫へ組み込んだ。
【0126】
<PC−ABS樹脂の回収>
最初に、判別工程を経て、冷蔵庫を、有価物、冷媒、樹脂製内箱(樹脂筐体)、金属製外箱などに選別した。なお、選別後の樹脂製内箱(樹脂筐体)には、発泡ポリウレタン樹脂(断熱材)が付着していた。続いて、発泡ポリウレタン樹脂が付着した樹脂製内箱(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、風力分級機により粗い発泡ポリウレタン樹脂を取り除いた。なお、この操作後でも、粗破砕された樹脂製内箱には、発泡ウレタン樹脂が付着していた。続いて、発泡ウレタン樹脂が付着した粗破砕された樹脂製内箱を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬し、樹脂層を分解することにより、樹脂製内箱(樹脂筐体)表面の発泡ウレタン樹脂を剥離した。
処理後の樹脂製内箱を顕微鏡観察したところ、発泡ウレタン樹脂は完全に剥離できていることを確認した。
【0127】
(実施例4)
<樹脂の合成>
4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、純度98質量%、東京化成工業社製)40.0g(0.16モル)及び合成例2で合成したジエチレングリコールジ(カルボニルヒドロシード)メチルエーテル50.0g(0.20モル)を窒素雰囲気中300mLの無水DMFに溶かし、常温で1時間攪拌した。その後、メタクリル酸2−イソシアナトエチル6.2g(0.04モル)を加えてさらに1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、沈殿をろ過して取り出し、水洗した後真空乾燥し、樹脂を得た。
【0128】
<筐体への樹脂層の形成>
得られた樹脂50gとAIBN10mgをDMF:酢酸ブチル=1:1(質量比)200gに溶かし、樹脂溶液を作製した。
この樹脂溶液を、PC−ABS製(厚み2mm)筐体の内側表面にスプレーコート法で乾燥後の厚みが15μmとなるように塗装し、UV硬化(80W/cm、照射距離:15cm)を行い、更に70℃で30分間熱処理を行い、PC−ABS樹脂製(厚み2mm)の樹脂製内箱(樹脂筐体)表面に厚み15μmの樹脂層を形成した。
【0129】
<断熱箱体及び冷蔵庫の作製>
トリレンジアミンポリエーテルポリオール100質量部(OH当量=123)、シリコーン界面活性剤(SZ−1919、Dow Corning Toray社製)2質量部、重合触媒2質量部(カオライザー、花王社製)、シクロペンタン発泡剤10質量部、及びメチレンジフェニルイソシアネート(MDI、NCO当量135)135質量部を高圧発泡機にて混合攪拌し、発泡ウレタン樹脂組成物を得た。
その後、前記樹脂製内箱と金属製外箱を組み合わせて箱体を構成した。この箱体の前記内箱と外箱との間に形成された空間部へ、上記発泡ウレタン樹脂組成物を注入し、発泡させた。こうして前記空間部へ発泡ウレタン樹脂組成物を充填して断熱箱体を作製した。なお、この断熱箱体において、前記樹脂製内箱表面に形成された樹脂層は、充填された発泡ウレタン樹脂と接している。
そして、前記断熱箱体を冷蔵庫へ組み込んだ。
【0130】
<PC−ABS樹脂の回収>
最初に、判別工程を経て、冷蔵庫を、有価物、冷媒、樹脂製内箱(樹脂筐体)、金属製外箱などに選別した。なお、選別後の樹脂製内箱(樹脂筐体)には、発泡ポリウレタン樹脂(断熱材)が付着していた。続いて、発泡ポリウレタン樹脂が付着した樹脂製内箱(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、風力分級機により粗い発泡ポリウレタン樹脂を取り除いた。なお、この操作後でも、粗破砕された樹脂製内箱には、発泡ウレタン樹脂が付着していた。続いて、発泡ウレタン樹脂が付着した粗破砕された樹脂製内箱を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬し、樹脂層を分解することにより、樹脂製内箱(樹脂筐体)表面の発泡ウレタン樹脂を剥離した。
処理後の樹脂製内箱を顕微鏡観察したところ、発泡ウレタン樹脂は完全に剥離できていることを確認した。
【0131】
(比較例2)
<断熱箱体及び冷蔵庫の作製>
トリレンジアミンポリエーテルポリオール100質量部(OH当量=123)、シリコーン界面活性剤(SZ−1919、Dow Corning Toray社製)2質量部、重合触媒2質量部(カオライザー、花王社製)、シクロペンタン発泡剤10質量部、及びメチレンジフェニルイソシアネート(MDI、NCO当量135)135質量部を高圧発泡機にて混合攪拌し、発泡ウレタン樹脂組成物を得た。
続いて、前記樹脂製内箱と金属製外箱を組み合わせて箱体を構成した。この箱体の前記内箱と外箱との間に形成された空間部へ、前記発泡ウレタン樹脂組成物を注入し、発泡させた。こうして前記空間部へ発泡ウレタン樹脂組成物を充填して断熱箱体を作製した。
そして、前記断熱箱体を冷蔵庫へ組み込んだ。
【0132】
<PC−ABS樹脂の回収>
最初に、判別工程を経て、冷蔵庫を、有価物、冷媒、樹脂製内箱(樹脂筐体)、金属製外箱などに選別した。なお、選別後の樹脂製内箱(樹脂筐体)には、発泡ポリウレタン樹脂(断熱材)が付着していた。続いて、発泡ポリウレタン樹脂が付着した樹脂製内箱(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、風力分級機により粗い発泡ポリウレタン樹脂を取り除いた。なお、この操作後でも、粗破砕された樹脂製内箱には、発泡ウレタン樹脂が付着していた。続いて、発泡ウレタン樹脂が付着した粗破砕された樹脂製内箱を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬し、樹脂層を分解することにより、樹脂製内箱(樹脂筐体)表面の発泡ウレタン樹脂を剥離した。
処理後の樹脂製内箱を目視及び顕微鏡観察したところ、発泡ウレタン樹脂は剥離されていないことを確認した。
【0133】
(実施例5)
<断熱発泡体、断熱箱体及び冷蔵庫の作製>
イソホロンジイソシアネート44.4g(0.20モル)と合成例1で合成した1,2−ビス{4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル}ヒドロシン75.5g(0.16モル)を窒素雰囲気中300mLの無水DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶かし、触媒としてDABCO(1,4−ジアザビクロ[2,2,2]オクタン)200mgを添加し90℃で6時間攪拌した。その後、溶媒を減圧(水流吸引器)下で留去し、更に、トリレンジアミンポリエーテルポリオール10g(0.08モル、OH当量=123)、シリコーン界面活性剤(SZ−1919、Dow Corning Toray社製)1.0g、重合触媒1.0g質量部(カオライザー、花王社製)、シクロペンタン発泡剤20mL、酢酸エチル20mL、及びアセトニトリル10mLを高圧発泡機にて混合攪拌し、発泡ウレタン樹脂組成物を得た。
【0134】
その後、前記樹脂製内箱と金属製外箱を組み合わせて箱体を構成した。この箱体の前記内箱と外箱との間に形成された空間部へ、上記発泡ウレタン樹脂組成物を注入し、発泡させた。こうして前記空間部へ発泡ウレタン樹脂組成物を充填して断熱箱体を作製した。なお、この断熱箱体において、前記樹脂製内箱は、充填された発泡ウレタン樹脂と接している。
そして、前記断熱箱体を冷蔵庫へ組み込んだ。
【0135】
<PC−ABS樹脂の回収>
最初に、判別工程を経て、冷蔵庫を、有価物、冷媒、樹脂製内箱(樹脂筐体)、金属製外箱などに選別した。なお、選別後の樹脂製内箱(樹脂筐体)には、発泡ポリウレタン樹脂(断熱材)が付着していた。続いて、発泡ポリウレタン樹脂が付着した樹脂製内箱(樹脂筐体)を粗破砕(約2cmサイズチップ)した後に、風力分級機により粗い発泡ポリウレタン樹脂を取り除いた。なお、この操作後でも、粗破砕された樹脂製内箱には、発泡ウレタン樹脂が付着していた。続いて、発泡ウレタン樹脂が付着した粗破砕された樹脂製内箱を10質量%NaOCl水溶液中に攪拌させながら約5分間浸漬し、発泡ウレタン樹脂を分解することにより、樹脂製内箱(樹脂筐体)表面の発泡ウレタン樹脂を剥離した。
処理後の樹脂製内箱を顕微鏡観察したところ、発泡ウレタン樹脂は完全に剥離できていることを確認した。
【0136】
以上の実施例1〜5を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)表示ラベル基材と、前記表示ラベル基材の一方の面に接する樹脂とを有し、前記樹脂が、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂であることを特徴とする表示ラベル。
【化34】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化35】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
(付記2)前記一般式(1)におけるRが、下記一般式(1−1)で表される基である付記1に記載の表示ラベル。
【化36】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CH−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
(付記3)前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−1−1)で表される化合物である付記1に記載の表示ラベル。
【化37】

(付記4)前記一般式(2)におけるRが、下記一般式(2−1)で表される基である付記1に記載の表示ラベル。
【化38】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
(付記5)前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−1−1)で表される化合物である付記1に記載の表示ラベル。
【化39】

(付記6)下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られ、かつ発泡してなることを特徴とする発泡体。
【化40】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化41】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
(付記7)前記一般式(1)におけるRが、下記一般式(1−1)で表される基である付記6に記載の発泡体。
【化42】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CH−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
(付記8)前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−1−1)で表される化合物である付記6に記載の発泡体。
【化43】

(付記9)樹脂筐体と、前記樹脂筐体に接着される接着体とを有し、前記樹脂筐体と前記接着体との界面に、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を有することを特徴とする電子機器。
【化44】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化45】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
(付記10)前記一般式(1)におけるRが、下記一般式(1−1)で表される基である付記9に記載の電子機器。
【化46】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CH−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
(付記11)前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−1−1)で表される化合物である付記9に記載の電子機器。
【化47】

(付記12)前記一般式(2)におけるRが、下記一般式(2−1)で表される基である付記9に記載の電子機器。
【化48】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
(付記13)前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(2−1−1)で表される化合物である付記9に記載の電子機器。
【化49】

(付記14)付記9から13のいずれかに記載の電子機器から取り外した、接着体が付着した樹脂筐体を、酸化剤溶液に接触させる工程を含むことを特徴とする電子機器からの筐体材料の回収方法。
(付記15)酸化剤溶液が、次亜塩素酸ナトリウム水溶液である付記14に記載の電子機器からの筐体材料の回収方法。
(付記16)樹脂筐体が、破砕されている付記14から15のいずれかに記載の電子機器からの筐体材料の回収方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂筐体と、前記樹脂筐体に接着される接着体とを有し、
前記樹脂筐体と前記接着体との界面に、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂を有することを特徴とする電子機器。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化2】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
【請求項2】
前記一般式(1)におけるRが、下記一般式(1−1)で表される基である請求項1に記載の電子機器。
【化3】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CH−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
【請求項3】
前記一般式(2)におけるRが、下記一般式(2−1)で表される基である請求項1に記載の電子機器。
【化4】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電子機器から取り外した、前記接着体が付着した前記樹脂筐体を、酸化剤溶液に接触させる工程を含むことを特徴とする電子機器からの筐体材料の回収方法。
【請求項5】
表示ラベル基材と、前記表示ラベル基材の一方の面に接する樹脂とを有し、
前記樹脂が、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られる樹脂であることを特徴とする表示ラベル。
【化5】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化6】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。
【請求項6】
前記一般式(1)におけるRが、下記一般式(1−1)で表される基である請求項5に記載の表示ラベル。
【化7】

ただし、前記一般式(1−1)中、Rは、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを表す。R10Oは、−(CHO−、及び−(CHCHO)−のいずれかを表す(mは、1〜20の整数を表す。nは、2〜20の整数を表す。)。aは、0〜4の整数を表す。bは、0〜5の整数を表す。前記R10は、前記一般式(1)中のOH基と結合している。前記(CH−は、前記一般式(1)中のカルボニル基(C=O)と結合している。
【請求項7】
前記一般式(2)におけるRが、下記一般式(2−1)で表される基である請求項5に記載の表示ラベル。
【化8】

ただし、前記一般式(2−1)中、Rは、エーテル結合を有する2価の基、及びチオエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。mは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
【請求項8】
下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物の少なくともいずれかと反応可能な基を有する化合物とを少なくとも反応させて得られ、かつ発泡してなることを特徴とする発泡体。
【化9】

ただし、前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、及び少なくとも1つのエーテル結合を有する2価の基のいずれかを表す。
【化10】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、アルキレンオキシアリーレン基(アリーレン基は、アルキル置換基、及びアルキルオキシ置換基の少なくともいずれかを有していてもよい。)、エーテル結合を有する2価の基、チオエーテル結合を有する2価の基、及び複素環基を有する2価の基のいずれかを表す。

【公開番号】特開2013−37067(P2013−37067A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171014(P2011−171014)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)