説明

表示付空気清浄装置

【課題】喫煙することと表示することとが物理的に関係付けられた喫煙者等への注目性、訴求性、等の強い表示付空気清浄装置を提供する。
【解決手段】データに基づいて操作されたレーザー光線を空気中の塵埃等に対して投影し前記データを可視化して表示するレーザー投影部と、前記表示する領域周辺の空気の吸引口となる多孔質の表面を有する吸引パネルと、前記吸引パネルを通して吸引し前記塵埃等の浄化を行う集塵部とを備えるようにした表示付空気清浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄装置の技術分野に属する。特に、空気清浄装置付喫煙所における喫煙により発生した塵埃等に対してデータの可視化表示を行い、喫煙者等に特定の情報を伝達することを可能とする表示付空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこの煙が喫煙者だけでなく非喫煙者にとっても有害物質であることが指摘されてから長い年月が経過している。それにも係わらず、人間による喫煙の習慣を完全に排除することができない。非喫煙者を健康被害から保護するために、公共の場所において喫煙が許容される場所は喫煙所に限定することが行われる。そのことが一般に普及し徹底することで喫煙者は喫煙所に集中することになる。多数の喫煙者が集中する職場等の喫煙所は、喫煙する場に留まらず情報交換する場ともなっている。これは、洗濯する場に留まらないいわゆる「井戸端会議」の場を連想させるものがある。
そこで、喫煙所に集中した多数の喫煙者に対して分煙機能と広告情報の提供を行う空気清浄機の提案がある(特許文献1)。この空気清浄機は吸入口と排出口を有する本体内に周囲の空気を吸引して浄化する集塵部と、電光掲示やテレビジョン放送を行うために本体上部に設けられた宣伝パネル部とを備える。
【特許文献1】特開2000−334237
【0003】
しかしながら、この従来の方法においては、喫煙することと表示することとは物理的に無関係であり、喫煙者等への注目性、訴求性、等が弱いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、喫煙することと表示することとが物理的に関係付けられた喫煙者等への注目性、訴求性、等の強い表示付空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る表示付空気清浄装置は、データに基づいて操作されたレーザー光線を空気中の塵埃等に対して投影し前記データを可視化して表示するレーザー投影部と、前記表示する領域周辺の空気を吸引し前記塵埃等の浄化を行う集塵部とを備えるようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係る表示付空気清浄装置は、請求項1に記載の表示付空気清浄装置において、前記表示する領域周辺の空気を吸引するための吸引孔が形成された表面を有する吸引パネルを備え、前記集塵部は前記吸引パネルを通じて吸引するようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係る表示付空気清浄装置は、請求項2に記載の表示付空気清浄装置において、前記吸引パネルは透明材料で作られているようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係る表示付空気清浄装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の表示付空気清浄装置において、前記塵埃等には、喫煙により発生するたばこの煙が含まれており、前記表示は喫煙者を対象に行われる表示であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係る表示付空気清浄装置によれば、レーザー投影部によりデータに基づいて操作されたレーザー光線が空気中の塵埃等に対して投影され前記データが可視化されて表示され、集塵部により前記表示する領域周辺の空気が吸引され前記塵埃等の浄化が行われる。すなわち、空気中の塵埃等に表示が行われる。したがって、喫煙者等への注目性、訴求性、等の強い表示付空気清浄装置を提供することができる。
また、本発明の請求項2に係る表示付空気清浄装置によれば、請求項1に記載の表示付空気清浄装置において、前記表示する領域周辺の空気を吸引するための吸引孔が形成された表面を有する吸引パネルを備え、前記集塵部は前記吸引パネルを通じて吸引する。すなわち、吸引パネルの表面の近くに塵埃等を誘導することができ投影されたレーザー光線を強く散乱する。したがって、明瞭な表示を行うことができる。
また、本発明の請求項3に係る表示付空気清浄装置は、請求項2に記載の表示付空気清浄装置において、前記吸引パネルは透明材料で作られているようにしたものである。すなわち、塵埃等により散乱する光に対して、吸引パネルにより反射または散乱する光が相対的に弱くなる。したがって、塵埃等により散乱する光を強調する表示を行うことができる。
また、本発明の請求項4に係る表示付空気清浄装置によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の表示付空気清浄装置において、前記塵埃等には、喫煙により発生するたばこの煙が含まれており、前記表示は喫煙者を対象に行われる表示である。したがって、喫煙することと表示することとが物理的に関係付けられた喫煙者等への注目性、訴求性、等の強い表示付空気清浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の表示付空気清浄装置における全体構成の一例を図1に示す。また、本発明の表示付空気清浄装置におけるレーザー投影部における構成の一例を図2に示す。図1、図2において、1はレーザー投影部、2は集塵部、3は吸引パネル、4は灰皿、100はレーザー光線、101はインターフェイス、102は制御部、103はレーザー光源、104はスキャナー、105は電源部、106は電源コード、200は煙である。
レーザー投影部1はデータに基づいて操作されたレーザー光線を空気中の塵埃等に対して投影しデータを可視化して表示する部分である。また、集塵部2は表示する領域周辺の空気を吸引し塵埃等の浄化を行う部分である。集塵部2は吸引パネル3を通じて吸引を行う。吸引パネル3は吸引孔が形成された表面を有し、図1に示すように、表示する領域周辺の空気を吸引するように設置されている。
表示付空気清浄装置に備え付けられた灰皿4を使用するために、また喫煙によって発生するたばこの煙を集塵部2に集め他の領域に散逸させないために、喫煙を行うときには喫煙者は表示付空気清浄装置の近くに集まる。喫煙によって発生するたばこの煙200は吸引パネル3の表面に吸い寄せられ、たばこの煙200の濃度は吸引パネル3の表面の近傍で高くなる。そのたばこの煙200の濃度が高くなる吸引パネル3の表面の近傍の領域が、レーザー光線を投影しデータを可視化して表示する領域となる。
【0008】
レーザー投影部1は、本発明の表示付空気清浄装置において、データに基づいて操作されたレーザー光線100を空気中の塵埃等に対して投影しデータを可視化して表示する部分である。レーザー投影部1は、図2に一例を示すように、インターフェイス101、制御部102、レーザー光源103、スキャナー104、電源部105、電源コード106、等から構成される。図1においては、レーザー投影部1におけるスキャナー104またはその延長線上にあるレーザー光線100の出口の部分だけが示されている。レーザー投影部1の大部分は図1において集塵部2として示す筐体の内部に、集塵部2等とともに収容されている。
インターフェイス101は、レーザー投影部1とグラフィック信号の供給元(図示せず)とを結びつけるインターフェースである。すなわち、レーザー投影部1においてデータを入力する部分である。グラフィック信号の供給元としては、たとえば、グラフィック信号を生成するアプリケーションソフトウェアを備えたコンピュータシステム、またはコンピュータシステム等で生成した信号を記録した記録媒体の再生装置(コンピュータシステムを含む)である。勿論、グラフィック信号の供給元はレーザー投影部1のインターフェイス101に適合するインターフェースを備えている。
【0009】
インターフェイス101としては、本発明においてもレーザーディスプレイにおける一般的な規格のインターフェイスを使用することができる。たとえば、レーザーディスプレイの国際団体ILDA(International Laser Display Association)は業界としての標準を定めている。ILDAはコネクターの形状、ピン配置、電圧レベル、ダイナミックな電気的特性、等を定め、その規格に合致するディスプレイのことはILDAスタンダードディスプレイとも呼ばれている。
また、USITT(United States Institute for Theatre Technology)によって開発された照明機材を制御するための規格であるDMX−512、等の規格のインターフェイスを使用することができる。
【0010】
ILDA標準のコネクターは25ピンのDB−25コネクターである。たとえば、第1ピンはX(横方向のビームの位置)を制御する信号(−5〜+5V)の入力ピンでありビームの位置は−5Vで左端、+5Vで右端、0Vで中央となる。同様に、第2ピンはY(縦方向のビームの位置)を制御する信号の入力ピンである。また、第5ピンはR(赤色の強度)を制御する信号(0〜+5V)であり赤色の強度は0Vで0%、5Vで100%となる。同様に、第6ピンはG(緑色の強度)を制御する信号、第7ピンはB(青色の強度)を制御する信号である。また、第13ピンはShutter(光を遮断するシャッター)を制御する信号(0V,5V)であり0Vでシャッターを閉じ、5Vでシャッターを開く。また、第25ピンはGround(グランド)である。
【0011】
制御部102はインターフェイス101から入力されたグラフィック信号に基づいてレーザー光源103、スキャナー104、等を操作するための操作信号を発生する部分である。制御部102としては、マイクロコンピュータ、等のデータ処理装置のハードウェアとソフトウェアによって実現することができる。
レーザー光源103はレーザー光線100を発生する部分である。レーザー光源103は単色でもよいが、赤色、緑色、青色、等のレーザー光線を発生する複数のレーザー発信器(たとえば、レーザーダイオード)を備えたものとすることができる。また、各色のレーザー光線の輝度を変調する電気系(または光学系)、各色のレーザー光線を一本のレーザー光線100にまとめる光学系、等を備えたものが好適である。レーザー光源103は制御部102の制御下において動作する。レーザー光源103は制御部102が出力する操作信号を入力して赤色、緑色、青色、等の各色のレーザー光線を入力した操作信号に合致する輝度で発生させる。
スキャナー104はレーザー光源103をX(横方向)とY(縦方向)に走査する部分である。スキャナー104は、ミラー(鏡)とそのミラーの傾きを操作するアクチュエータによって構成される。スキャナー104は制御部102の制御下において動作する。制御部102が出力する操作信号に基づいてアクチュエータが動作しミラーを操作する。
電源部105は、インターフェイス101、制御部102、レーザー光源103、スキャナー104、等の各部分に適合する電圧と電流を発生し各部分に供給する部分である。その電源部105は電源コード106を通じて配線用差込接続器等に接続され家庭用または工業用の電力の供給を受ける。
【0012】
集塵部2は、前述したように、吸引パネル3を通じて表示する領域周辺の空気を吸引し、吸引した空気に含まれている塵埃等を除去し空気の浄化を行う部分である。本発明においては、集塵部2としては、周知の方式の集塵機構を適用することができ、方式によって限定されない。フィルターによって集塵する方式、活性炭による脱臭を併用する方式、静電気により塵埃等を吸着させる方式、気流で分離・捕集する方式、等を適用することができる。集塵部2は、図1において集塵部2として示す筐体の内部に、レーザー投影部1等とともに収容されている。
塵埃等を含む吸引した空気は、たとえば、集塵部2のフィルターによって塵埃等と清浄な空気とに分離される。塵埃等はフィルターに付着して留まり、清浄な空気は表示付空気清浄装置を設置した喫煙室に戻される。喫煙室に戻された清浄な空気は塵埃等を含む空気とともにその一部が再び吸引される。この循環過程により喫煙室における塵埃等は除去される。
【0013】
吸引パネル3は、前述したように、吸引孔が形成された表面を有する。図1に示すように、表示する領域周辺の空気を吸引するように、図1において集塵部2として示す筐体の上面に立てて設置されている。
吸引パネル3は、その外形寸法が、たとえば、天地方向が50〜100cm、左右方向が70〜140cm、奥行きが5〜10cm程度の薄型の立体形状(パネル)である。そして、その立体形状の外側の各面は板材で形成されており、それら複数の板材で仕切られた吸引パネル3の内側はチャンバー(仕切られた空間)となっている。それらの板材の中で天地左右方向の面を有しレーザー投影部1に対向する側の板材は、吸引孔が形成された表面を有する。また、チャンバーには集塵部2における吸引機構からの配管が行われている。したがって、集塵部2において吸引機構を作動させるとチャンバーを真空状態(大気圧よりも低い状態)とすることができる。チャンバーを真空状態とすることにより、その吸引孔が形成された表面を空気が通過して、外部の空気が吸引パネル3のチャンバーの内部へと吸引される。チャンバーの内部に吸引された空気は配管を通じて集塵部2に到達し、集塵部2におけるフィルター等を通過して塵埃等が除去され清浄な空気となる。
【0014】
吸引パネル3を形成する板材の材料としては、たとえば、アクリル樹脂等の透明なプラスチックを材料とすることができる。透明な材料によって吸引パネル3を形成することにより、塵埃等により散乱する光に対して、吸引パネル3により反射または散乱する光が相対的に弱くなる。したがって、塵埃等により散乱する光を強調する表示を行うことができる。
なお、吸引パネル3の表面全体にほぼ均等な吸引力が得られるようにするときには、吸引孔は吸引パネル3の形成表面においてほぼ均等な間隔となるように複数個を配置する。また、意図的に吸引パネル3の形成表面における上方の吸引力を下方の吸引力よりも強くするときには上方に集中するように複数個を配置する。このように、吸引孔の配置によって、目的に適合するようにたばこの煙200の集中の傾向を変えることができる。また、吸引孔の形成個数と開口寸法とは、チャンバーの内部における真空形成を阻害しない範囲で決定される。寸法の小さな吸引孔はフィルターの役割を果たすこと、吸引孔には汚れが付着し定期的に清掃する必要性があること、等を考慮すると、吸引孔は形成個数を少なく、開口寸法を大きくすると好適である。
【0015】
以上の構成において、次に本発明の表示付空気清浄装置における動作の一例について説明する。
喫煙者が表示付空気清浄装置が設置された喫煙室に入室する。喫煙室に設置された人センサー(図示せず)が人の入室を検出すると、その入室信号を入力した表示付空気清浄装置はまず集塵部2の動作だけを開始させる。
集塵部2においては汚れセンサー(図示せず)が吸引した空気の汚れを監視している。汚れセンサーが一定以上の空気の汚れを検出すると、その汚れ信号を入力した表示付空気清浄装置はレーザー投影部1の動作を開始させる。
レーザー投影部1はレーザー光線100を発生させ、喫煙者に対してデータを可視化して表示することにより情報の提供を行う。
提供する情報の内容については、本発明においては限定されない。喫煙者が提供される情報に対して興味を注がれたときには、明瞭に可視化された表示を得るために、喫煙者は吸引パネル3に向かってたばこの煙200を吐き出す傾向を示す。その結果、吸引パネル3はたばこの煙200を効率的に吸引することになる。すなわち、表示付空気清浄装置による空気の浄化は効率的に行われることになる。
汚れセンサーが一定以上の空気の汚れを検出しなくなるか、または人センサーが人の退室を検出すると、その汚れ信号または退出信号のいずれかを入力した表示付空気清浄装置はレーザー投影部1の動作を停止させる。
汚れセンサーが一定以上の空気の汚れを検出しなくなり、かつ人センサーが人の退室を検出すると、その汚れ信号と退出信号の両方を入力した表示付空気清浄装置は集塵部2の動作を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の表示付空気清浄装置における全体構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の表示付空気清浄装置におけるレーザー投影部における構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 レーザー投影部
2 集塵部
3 吸引パネル
4 灰皿
100 レーザー光線
101 インターフェイス
102 制御部
103 レーザー光源
104 スキャナー
105 電源部
106 電源コード
200 煙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データに基づいて操作されたレーザー光線を空気中の塵埃等に対して投影し前記データを可視化して表示するレーザー投影部と、前記表示する領域周辺の空気を吸引し前記塵埃等の浄化を行う集塵部とを備えることを特徴とする表示付空気清浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示付空気清浄装置において、前記表示する領域周辺の空気を吸引するための吸引孔が形成された表面を有する吸引パネルを備え、前記集塵部は前記吸引パネルを通じて吸引することを特徴とする表示付空気清浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示付空気清浄装置において、前記吸引パネルは透明材料で作られていることを特徴とする表示付空気清浄装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表示付空気清浄装置において、前記塵埃等には、喫煙により発生するたばこの煙が含まれており、前記表示は喫煙者を対象に行われる表示であることを特徴とする表示付空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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