説明

表示体、表示体付き物品、及び真偽判定方法

【課題】本発明は、より高い偽造防止効果を実現することを課題とする。
【解決手段】本発明において上記課題を解決する手段は、少なくとも格子間距離が200nm乃至500nmの範囲内の回折格子を有し、部分的に反射材料層(13)を設けた第1界面部(IF1)を含んだ第1光学効果層(14)と、光吸収層(10)を有しコレステリック液晶を設けた第2光学効果層(11)とを組み合わせたことを特徴とする表示体(9)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、偽造防止効果、装飾効果及び/又は美的効果を提供する表自体、その表自体付き物品、及びそれらの真偽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券、証明書、ブランド品及び個人認証媒体などの物品は、偽造が困難であることが望まれる。そのため、このような物品には、偽造防止効果に優れた表示体を支持させることがある。
【0003】
このような表示体の多くは、回折格子、ホログラム及びレンズアレイなどの微細構造を含んでいる。これら微細構造は、解析することが困難である。また、これら微細構造を含んだ表示体を製造するためには、電子線描画装置などの高価な製造設備が必要である。それゆえ、このような表示体は、高い偽造防止効果を発揮し得る。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の溝からなるレリーフ型回折格子が設けられた第1界面部と、前記複数の溝の最小格子間距離と比較してより小さい格子間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部が設けられた第2界面部とを備えたことを特徴とする表示体が記載されている。この表示体は、高精細な構造を含んでおり且つ特殊な光学特性を有している。それゆえ、この表示体は、高い偽造防止効果を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―107470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より高い偽造防止効果を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、少なくとも格子間距離が200nm乃至500nmの範囲内の回折格子を有し、部分的に反射材料層を設けた第1界面部を含んだ第1光学効果層と、光吸収層を有しコレステリック液晶を設けた第2光学効果層とを組み合わせたことを特徴とする表示体としたものである。
【0008】
また請求項2の発明では、前記第1光学効果層は、前記第1界面部の格子間距離と比較してより大きな格子間距離で配置された複数の回折格子が設けられた第3界面部を更に含んでいることを特徴とする請求項1に記載の表示体としたものである。
【0009】
また請求項3の発明では、基材と、前記基材に支持された請求項1乃至2のいずれか1項に記載の表示体とを具備したことを特徴とする表示体付き物品としたものである。
【0010】
また請求項4の発明では、前記基材は紙であり、前記表示体の一部は前記紙の内部に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載の表示体付き物品としたものである。
【0011】
また請求項5の発明では、前記基材は紙であり、前記表示体は前記紙の表面に転写されたものであることを特徴とする請求項3に記載の表示体付き物品としたものである。
【0012】
また請求項6の発明では、請求項1又は2記載の表示体或いは請求項3乃至5の何れか1項記載の表示体付き物品が真正であるか否かを判定する方法あって、該表示体を照明して正反射方向の反射光を観察した際の画像と、該反射光を円偏光板を通して観察した画像のコントラスト比が異なることに加えて、該反射光を直線偏光板を通して観察した画像のコントラスト比が異なる場合のみ真正であると判断することを特徴とする真偽判定方法としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、より高い偽造防止効果を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図。
【図2】図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す表示体の第3界面部に採用可能な構造の一例を示す斜視図。
【図4】図1及び図2に示す表示体の第1界面部に採用可能な構造の一例を示す斜視図。
【図5】図1及び図2に示す表示体のうち第3界面部に対応した部分が示す光学効果を概略的に示す図。
【図6】図1及び図2に示す表示体のうち第1界面部に対応した部分が示す光学効果を概略的に示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図。
【図8】本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2では、表示体9の主面に平行であり且つ互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、表示体9の主面に垂直な方向をZ方向としている。
【0017】
この表示体9は、図2に示すように、光吸収層10と、第2光学効果層11と、光透過層12と、反射性材料層13と、第1光学効果層14と、光透過層15とを含んでいる。第1光学効果層14と反射性材料層13との界面は、第1界面部IF1と、第2界面部IF2と、第3界面部IF3を含んでいる。後述するように、第1界面部IF1には複数の回折格子が設けられており、第2界面部IF2は、平坦面であり、反射性材料層13がディメタライズされており、第3界面部IF3には複数の溝が設けられている。
【0018】
以下では、第1界面部IF1のうち反射性材料層13によって被覆されている部分を第1領域と呼ぶ。また、第2界面部IF2のうち反射性材料層13がディメタライズされて
いる部分を第2領域と呼ぶ。そして、第3界面部IF3のうち反射性材料層13によって被覆されている部分を第3領域と呼ぶ。加えて、以下では、表示体9のうち第1領域に対応した部分を、表示部DP1と呼ぶ。また、表示体9のうち第2領域に対応した部分を、表示部DP2と呼ぶ。そして、表示体9のうち第3領域に対応した部分を、表示部DP3と呼ぶ。
【0019】
光吸収層10は、典型的には、カーボンブラックが分散した樹脂からなるシート又はフィルムである。この樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリルスチレン共重合体、及び塩化ビニルを使用する。
【0020】
第1光学効果層14は、典型的には、光透過性を有している。第1光学効果層14の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び紫外線又は電子線硬化性樹脂(以下、光硬化性樹脂ともいう)などの樹脂を使用する。第1光学効果層14の材料として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を用いると、原版を用いた転写により、一方の主面に、凹構造及び/又は凸構造を容易に形成することができる。
【0021】
光透過性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルスチレン共重合体、塩化ビニル及びポリメタクリル酸メチルが挙げられる。
【0022】
光透過性を有する熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、エポキシウレタン、シリコーン、エポキシ及びメラミン樹脂が挙げられる。
【0023】
光硬化性樹脂とは、紫外線及び電子線などの光の照射によって硬化する樹脂をいう。光の照射によってラジカル重合する代表的な樹脂としては、分子中にアクリロイル基を有するアクリル樹脂が挙げられ、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系若しくはポリオールアクリレート系のオリゴマー若しくはポリマー、単官能、2官能若しくは多官能重合性(メタ)アクリル系モノマー(例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート,ポリプロピレングリコールジアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,ペンタエリトリトールトリアクリレート又はペンタエリトリトールテトラアクリレート)又はそのオリゴマー若しくはポリマー、又はこれらの混合物が使用される。
【0024】
第1光学効果層14の材料として光硬化性樹脂を用いる場合、この層には、光重合開始剤を更に含有させてもよい。この光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モリフォリノプロパン−1、及びアシルホスフィンオキサイドが挙げられる。但し、光重合開始剤は、100%反応するわけではなく、未反応のものが性能に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、光重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂に対して、例えば0.1〜7質量%、典型的には0.5〜5質量%の範囲内とし、未硬化部が残らない程度に留めることが好ましい。
【0025】
第1光学効果層14の一方の主面には、第1界面部IF1乃至第3界面部IF3が設けられている。これら第1界面部IF1乃至第3界面部IF3の構造及び光学特性に関しては、後で詳しく説明する。
【0026】
反射性材料層13は、第1界面部IF1乃至第3界面部IF3の少なくとも一部を被覆している。図1及び図2には、一例として、反射性材料層13が第1界面部IF1乃至第3界面部IF3の全体を第2領域を除いて被覆している場合を描いている。
【0027】
反射性材料層13としては、例えば、アルミニウム、銀、錫、クロム、ニッケル、銅、金及びこれらの合金などの金属材料からなる金属又は合金層を使用することができる。この場合、反射性材料層13は、典型的には、真空製膜法を用いて形成する。真空製膜法としては、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法が挙げられる。反射性材料層13の厚みは、例えば、1nm乃至100nmの範囲内とする。
【0028】
反射性材料層13は、表示体9に、視認性がより優れた像を表示させる役割を担っている。また、反射性材料層13を設けることにより、第1光学効果層14の一方の主面に設けられた凹構造及び/又は凸構造の損傷を生じ難くすることも可能となる。
【0029】
光透過層12は、反射性材料層13と第2光学効果層11との間に介在している。光透過層12は、これら層間の密着性を向上させる役割を担っている。
【0030】
光透過層12及び15は、光透過性を有しており、典型的には、透明である。光透過層12の材料としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、ブチラール樹脂及び塩素化プロピレン樹脂が挙げられる。
【0031】
第2光学効果層11は、反射性材料層13位置で、第1光学効果層14と向き合った部分を備えている。図1及び図2には、一例として、第2光学効果層11が反射性材料層13がディメタライズされた部分を間に挟んで第1光学効果層14の全体と向き合っている場合を描いている。
【0032】
第2光学効果層11は、コレステリック液晶、パール顔料及び多層干渉膜の少なくとも1つを含んでいる。第2光学効果層11は、典型的には、コレステリック液晶を含んでいる。
【0033】
第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合、第2光学効果層11は、例えば、コレステリック構造を有する化合物を含んだ材料、又は、ネマチック液晶にカイラル剤を添加してコレステリック構造を持たせたものを含んだ材料を用いて製造することができる。コレステリック液晶は、例えば、ネマチック液晶に添加するカイラル剤の量及び種類などを変化させることにより、ヘリカルピッチ及び偏光面の捩じれ方向を変化させることが可能である。また、液晶分子の両末端に、アクリル基などの重合基を導入することもできる。こうすると、各液晶分子を配向させた後に、その配向を固定することが可能となる。
【0034】
第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合、第2光学効果層11は、コレステリック液晶からなる層であってもよく、コレステリック液晶顔料を含んだ層であってもよい。
【0035】
第2光学効果層11がコレステリック液晶からなる層である場合、第2光学効果層11における光の散乱を、最小限に抑えることが可能となる。
【0036】
第2光学効果層11がコレステリック液晶顔料を含んだ層である場合、第2光学効果層
11は、典型的には、コレステリック液晶の粉末と、透明なバインダとを含んでいる。この場合、例えば、ヘリカルピッチ及び偏光面の捩じれ方向などが互いに異なった複数のコレステリック液晶顔料を用いることにより、第2光学効果層11の光学特性を微調整することが可能となる。
【0037】
第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合、第2光学効果層11を照明すると、第2光学効果層11は、円偏光性の選択反射光を射出し得る。なお、以下では、コレステリック液晶の配向軸が表示体9の主面に略平行であると仮定する。
【0038】
コレステリック液晶のヘリカルピッチをPとし、表示体9の主面に平行な軸を基準としたときの入射角をθとし、反射光の波長をλとすると、下式が成立することが知られている。
【0039】
2P・sinθ=nλ(n=1,2,3,…)
【0040】
この式によると、例えば、第2光学効果層11に対して垂直に白色光が入射した場合、即ちθ=90゜の場合、ヘリカルピッチPの2倍の波長の正反射光が、第2光学効果層11に対して垂直に射出される。
【0041】
例えば、ヘリカルピッチPが280nmのコレステリック液晶を用いた場合、第2光学効果層11は、緑色の色相に対応した光(波長λ=560nm)を射出し得る。或いは、ヘリカルピッチPが360nmのコレステリック液晶を用いた場合、第2光学効果層11は、赤色の色相に対応した光(波長λ=720nm)を射出し得る。このように、コレステリック液晶のヘリカルピッチPを変化させることにより、コレステリック液晶を含んだ第2光学効果層11の光学特性を変化させることができる。
【0042】
照明光の入射角θを次第に小さくすると、第2光学効果層11から射出される光の波長が次第に短くなり、最終的には、可視光の最短波長よりも短くなる。即ち、こうすると、射出光の色相が赤色から緑色、緑色から青色へと変化し、最終的には、射出光が視認できなくなる。例えば、ヘリカルピッチPが360nmのコレステリック液晶を用いた場合、入射角θを30゜(表示体9の主面の法線方向を基準とすると60゜)とすると、選択反射される光の波長は、360nmとなる。したがって、この場合、観察者は、第2光学効果層11に起因した視覚効果を視認することができないか又は視認することが極めて困難である。
【0043】
コレステリック液晶を含んだ第2光学効果層11は、例えば、以下のようにして形成する。
【0044】
まず、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、セロハン及びポリビニルアルコールなどの延伸フィルムを準備する。この延伸フィルムには、ラビング処理を施してもよい。次に、コレステリック液晶の原料を有機溶剤に溶解させた塗工液を準備する。次いで、この塗工液を、上記の延伸フィルム上に塗布する。その後、得られた塗膜を乾燥させる。これにより、延伸フィルム上で、液晶分子を配向させる。そして、この状態で紫外線を照射して、液晶分子の配向を固定する。このようにして、コレステリック液晶形成フィルムを得る。
【0045】
次に、第1光学効果層14は、反射性材料層13を蒸着させたのち、パターンディメタライズさせた積層基材とし、光透過層12を接着剤として塗布し、第2光学効果層11の上に、貼り合わせる。このようにして、被転写体、例えば第1光学効果層14又は反射性材料層13の一方の主面下に、コレステリック液晶を含んだ第2光学効果層11を形成す
る。
【0046】
第2光学効果層11がパール顔料を含んでいる場合、第2光学効果層11は、例えば、雲母などの層状物質の粉末、又は、これら層状物質を還元二酸化チタン及び酸化鉄などの被覆材料で被覆してなる粉末を含んでいる。或いは、この場合、第2光学効果層11は、後述する多層干渉膜を粉砕してなる粉末を用いてもよい。第2光学効果層11がパール顔料を含んでいる場合、第2光学効果層11は、典型的には、透明なバインダを更に含んでいる。
【0047】
第2光学効果層11は、観察角度の変化により、その色彩が変化する。第2光学効果層11と第1光学効果層14と反射性材料層13と反射性材料層13をディメタライズした部分との組合せに起因した光学特性については、後で詳しく説明する。
【0048】
図3は、図1及び図2に示す表示体の第3界面部IF3に採用可能な構造の一例を拡大して示す斜視図である。図4は、図1及び図2に示す表示体の第1界面部IF1に採用可能な構造の一例を拡大して示す斜視図である。
【0049】
第1界面部IF1には、図4に示すように、複数の凹部又は凸部22が設けられている。これら凹部又は凸部22は、200nm乃至500nmの範囲内の最小格子間距離で波板状に配置されている。凹部又は凸部22は、規則的に配置されている。凹部又は凸部22の深さ又は高さは、0.3μm乃至0.5μmの範囲内にある。凹部又は凸部22の格子間距離に対する深さ又は高さの比(以下、アスペクト比ともいう)は、例えば、0.5乃至1.5の範囲内にある。
【0050】
凹部又は凸部22を波板状とする場合、凹部又は凸部22は先端が尖っていてもよく、切頭形状を有していてもよい。但し、凹部又は凸部22を先端が尖った円錐形状とした場合、凹部又は凸部22は第1界面部IF1に平行な面を有していないので、切頭形状とした場合と比較して、第1界面部IF1の正反射光の反射率をより小さくすることができる。
【0051】
ところで、第1界面部に採用可能な凹部又は凸部の配置パターンの他の例として、凹部又は凸部22の配列は、正方格子を形成していても良い。この構造は、電子線描画装置やステッパなどの微細加工装置を用いた製造が比較的容易であり、凹部又は凸部22の格子間距離などの高精度な制御も比較的容易である。
【0052】
また、凹部又は凸部22の配列が正格子である場合、格子間距離はX方向とY方向とで等しいが、凹部又は凸部22の格子間距離をX方向とY方向とで異ならしめてもよい。即ち、凹部又は凸部22の配列は、矩形格子を形成していてもよい。
【0053】
凹部又は凸部22の格子間距離をX方向及びY方向の双方で比較的長く設定すると、Y方向に垂直な方向から表示体9を照明した場合とX方向に垂直な方向から表示体9を照明した場合との双方において第1界面部IF1から回折光を射出させることができ、且つ、前者と後者とで回折光の波長を異ならしめることができる。凹部又は凸部22の格子間距離を、X方向及びY方向の一方で比較的長く設定し、他方で比較的短く設定すると、Y方向及びX方向の一方に垂直な方向から表示体9を照明した場合には第1界面部IF1から回折光を射出させ、Y方向及びX方向の他方に垂直な方向から表示体9を照明した場合には第1界面部IF1からの回折光の射出を防止できる。
【0054】
表示体9から、第1界面部IF1に設けられた微細構造を正確に解析することは困難である。また、例え完成した表示体9から先の微細構造を解析できたとしても、この微細構
造を含んだ表示体の偽造又は模造は難しい。回折格子の場合、レーザ光などを利用した光学的複製方法によって干渉縞として構造をコピーされることがあるが、第1界面部IF1の微細構造は、複製不可能である。
【0055】
以下、第1光学効果層14と反射性材料層13および光吸収層10と第2光学効果層11と反射性材料層13がディメタライズされた部分との組合せに起因した光学効果について説明する。
【0056】
まず、表示部DP3の光学効果について説明する。
【0057】
図5は、図1及び図2に示す表示体のうち第3界面部に対応した部分が示す光学効果を概略的に示す図である。図5において、31は照明光を示し、32は正反射光又は0次回折光を示し、33は1次回折光を示している。
【0058】
第3界面部の複数の溝は回折格子を構成し、この回折格子を照明すると、回折格子は、入射光である照明光31の進行方向に対して特定の方向に強い回折光33を射出する。m次回折光の射出角βは、回折格子の格子線に垂直な面内で光が進行する場合、下記(1)式から算出することができる(m=0,±1,±2,…)。
【0059】
d=mλ/(sinα−sinβ) …(1)
【0060】
この(1)式において、dは回折格子の格子定数を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは、0次回折光、即ち透過光又は正反射光の射出角を表している。換言すれば、αの絶対値は、照明光の入射角と等しく、入射角とはZ軸に対して対称な関係である(反射型回折格子の場合)。なお、α及びβは、Z軸から時計回りの方向を正方向とする。
【0061】
最も代表的な回折光は、1次回折光33である。(1)式から明らかなように、1次回折光33の射出角βは、波長λに応じて変化する。即ち、回折格子は、分光器としての機能を有している。したがって、照明光が白色光である場合、回折格子の格子線に垂直な面内で観察角度を変化させると、観察者が知覚する色が変化する。
【0062】
また、或る観察条件のもとで観察者が知覚する色は、格子定数dに応じて変化する。
【0063】
一例として、回折格子は、その法線方向に1次回折光33を射出するとする。即ち、1次回折光33の射出角βは、0°であるとする。そして、観察者は、この1次回折光33を知覚するとする。このときの0次回折光32aの射出角をαとすると、(1)式は、下記(2)式へと簡略化することができる。
【0064】
d=λ/sinα …(2)
【0065】
(2)式から明らかなように、観察者に特定の色を知覚させるには、その色に対応した波長λと照明光31の入射角|α|と格子定数dとを、それらが(2)式に示す関係を満足するように設定すればよい。例えば、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分を含んだ白色光を照明光31として使用し、照明光31の入射角|α|を45°とする。そして、空間周波数(格子定数の逆数)が1000本/mm乃至1800本/mmの範囲内で分布している回折格子を使用するとする。この場合、回折格子をその法線方向から観察すると、空間周波数が約1600本/mmの部分は青く見え、空間周波数が約1100本/mmの部分は赤く見える。
【0066】
なお、回折格子は、空間周波数が小さいほうが形成し易い。そのため、通常の表示体では、回折格子の大多数は、空間周波数が500本/mm乃至1600本/mmの回折格子である。
【0067】
このように、或る観察条件のもとで観察者が知覚する色は、回折格子の格子定数d(又は空間周波数)で制御することができる。そして、先の観察条件から観察角度を変化させると、観察者が知覚する色は変化する。
【0068】
図6は、図1及び図2に示す表示体のうち第1界面部に対応した部分が示す光学効果を概略的に示す図である。図6において、36は照明光を示し、37は正反射光を示し、反射光38は1次回折光を示している。
【0069】
第1界面部IF1と第3界面部IF3とを併存させる場合、第1界面部IF1に設けられた複数の凹部又は凸部22は、同一方向に配置されている。そのため、凹部又は凸部22が規則的に波板状に配列していることより、第1界面部IF1は、直線偏光性を有する一方向のみの偏光として反射光37を射出する。また、両方の偏光が混在する回折光38を射出する。
【0070】
また、各凹部又は凸部22は、どの角度から観察しても、第1界面部IF1の正反射光37の反射率は小さい。したがって、第1界面部IF1から射出される正反射光37が、表示部DP2および表示部DP3部分が射出する光に対して与える影響は小さい。
【0071】
加えて、第1界面部IF1からの1次反射光の射出角が−90°より大きければ、表示体9の法線方向と観察方向とが為す角度を適宜設定することにより、観察者は、第1界面部IF1からの1次反射光を知覚することができる。それゆえ、この場合、表示部DP2が、コレステリック液晶、パール顔料及び多層干渉膜の少なくとも1つを含んだ層とは異なることを、目視により確認することができる。
【0072】
上述した通り、凹部又は凸部22の最小格子間距離は、200nm乃至500nmの範囲内にある。この最小格子間距離を小さくすると、第1界面部IF1から反射光を射出させることが困難となる場合がある。この最小格子間距離を大きくすると、反射光の射出角度が小さくなり、第1界面部IF1から射出される回折光の強度を小さくすることが困難となる場合がある。
【0073】
また、この表示体9において、溝21と凹部又は凸部22とに対応した凹構造及び/又は凸構造を1枚の原版に形成し、この凹構造及び/又は凸構造を第2光学効果層11に転写することにより、溝21と凹部又は凸部22とを同時に形成することができる。また、微細な凹構造及び/又は凸構造の特徴は、高精細な像表示を可能とし、他の方法によって作られたものとの区別を容易にする。真正品が極めて高精度に安定して製造できるという事実は、偽造品や模造品との区別を一層容易にする。
【0074】
次いで、表示部DP2の光学効果について説明する。
【0075】
第2界面部IF2は、上述した通り、平坦面であり、第2界面部IF2のうち第2領域を反射性材料層13によって被覆されていない部分として照明光を入射させる。
【0076】
図1及び図2に示す表示9は、照明光の入射角及び観察者の観察角度に応じて、極めて特殊な視覚効果を呈する。
【0077】
以下では、表示体9の法線方向を基準として、特定の照明光に対する正反射光の射出方
向を含む角度範囲を「正の角度範囲」と呼び、上記特定の照明光の入射方向を含む角度範囲を「負の角度範囲」と呼ぶ。また、照明光は、白色光であるとする。
【0078】
まず、負の角度範囲のみから照明光を入射させ且つ正の角度範囲から表示体9を観察する場合を考える。この場合、表示部DP2は、第2光学効果層11に起因した光学効果を極めて明瞭に示す。即ち、表示部DP2は、観察角度に応じて異なった色彩を示す領域として視認される。また、この場合、表示部DP2は、通常、回折格子が設けられた領域と共に観察される。そして、この場合、表示部DP3は、通常、鏡面として観察される。即ち、表示部DP3では、正反射光が観察可能な角度から観察した場合に、照明光に対応した波長の光が視認される。このように、正の角度範囲から表示体9を観察した場合、表示体9は、観察角度に応じて異なった色彩を示す領域と、回折格子が設けられた領域と、鏡面が設けられた領域とを含んだものとして視認される。
【0079】
次に、負の角度範囲のみから照明光を入射させ且つ負の角度範囲から表示体9を観察する場合を考える。この場合、照明光の入射角度及び観察角度が深いとき、即ち入射角度及び観察角度の絶対値が大きいときには、観察者は、表示部DP1からの回折光を視認することができる。したがって、例えば、照明光の光源の位置と観察者の位置とを固定して、これらと表示体9とが為す角度を変化させていくと、表示部DP1において、視覚効果の不連続的な変化が生じる。具体的には、入射角度及び観察角度を深くしていくと、ある角度において、表示部DP1からの回折光が観察可能となる。
【0080】
続いて、蛍光灯が複数の箇所に設けられた室内などを想定して、照明光の光源が2つ以上存在する場合を考える。具体的には、その一例として、負の角度範囲から第1照明光を入射させる第1光源と、正の角度範囲から第2照明光を入射させる第2光源とが存在する場合を考える。この場合、例えば、第1及び第2光源の位置と観察者の位置とを固定して、これらと表示体9とが為す角度を変化させていくと、表示部DP1において、視覚効果の不連続的な変化が生じる。具体的には、観察角度が浅い場合には、表示部DP1は、第2光学効果層11に起因した連続的な色彩の変化を生じる。そして、入射角度及び観察角度を深くしていくと、ある角度を境として、表示部DP1からの回折光が観察可能となる。
【0081】
図1及び図2に示す表示体9では、第1界面部IF1と第2界面部IF2とは、互いに隣接している。反射性材料層13は、第1界面部IF1と第2界面部IF2との境界を横切るようにして、これらの双方を被覆している。また、第2光学効果層11は、第1光学効果層14の界面部IF1及びIF2を含んだ主面への正射影が、第1界面部IF1と第2界面部IF2との境界を横切るようにして設けられている。
【0082】
このような構成を採用すると、表示部DP1と表示部DP2との境界を、高い精度で定めることができる。したがって、こうすると、表示体9に、第1界面部IF1と第2界面部IF2との境界に対応した高精細なパターンを表示させることが可能となる。
【0083】
図1及び図2に示す表示体9では、第1界面部IF1と第3界面部IF3とは、互いに隣接している。反射性材料層13は、第1界面部IF1と第3界面部IF3との境界を横切るようにして、これらの双方を被覆している。また、第2光学効果層11は、第1光学効果層12の界面部IF1及びIF3を含んだ主面への正射影が、第1界面部IF1と第3界面部IF3との境界を横切るようにして設けられている。
【0084】
第1界面部IF1と第3界面部IF3との境界は、電子線描画及びナノインプリントなどの手法により、高い精度で定めることができる。したがって、このような構成を採用すると、表示部DP1と表示部DP3との境界を、高い精度で定めることができる。したが
って、こうすると、表示体9に、第1界面部IF1と第3界面部IF3との境界に対応した高精細なパターンを表示させることが可能となる。
【0085】
このように、表示体9は、極めて特殊な視覚効果を有している。そして、偽造を試みようとする者がこのような視覚効果を再現することは、不可能であるか又は極めて困難である。即ち、この表示体9は、高い偽造防止効果を有している。
【0086】
なお、第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合、第2光学効果層11は、円偏光性の選択反射光を射出し得る。また、本発明者らは、第1界面部IF1から射出される回折光が直線偏光性を有していることを見出している。したがって、第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合には、これら偏光性の相違に基づいて、射出光の変化を追跡することも可能となる。即ち、この場合、表示体9は、コバート用の偽造防止媒体としても有用である。
【0087】
真正品であるか否かが不明である物品を、真正品と非真正品との間で判別する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0088】
まず、第1の操作として、入射角の絶対値が60゜未満である照明光で、表示体9を照明する。このとき、絶対値が60゜未満である角度範囲において、表示部DP2に起因した光学効果が観察されることを確認する。例えば、第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合、この角度範囲に、表示部DP2からの選択反射光が射出されていることを確認する。
【0089】
次に、第2の操作として、入射角の絶対値が60゜以上且つ90゜未満である照明光で、表示体9を照明する。このとき、絶対値が60゜以上且つ90゜未満であり且つ上記の入射角と正負が等しい角度範囲において、第1界面部IF1に起因した光学効果が観察されることを確認する。即ち、この角度範囲において、第1界面部IF1からの回折光が観察されることを確認する。
【0090】
第1及び第2の操作の双方において、上記の各光学効果が観察された場合、当該物品は真正品であると判断する。他方、第1及び第2の操作の何れか一方において、上記の各光学効果が観察されなかった場合、当該物品は、非真正品であると判断する。
【0091】
なお、第2光学効果層11がコレステリック液晶を含んでいる場合には、以下のようにして、真正品と非真正品との間での判別を行ってもよい。即ち、第1の操作において、絶対値が60゜未満である角度範囲に円偏光が射出され、且つ、第2の操作において、絶対値が60゜以上且つ90゜未満であり且つ上記の入射角と正負が等しい角度範囲に直線偏光が射出された場合に、当該物品を真正品であると判断してもよい。なお、この判断は、例えば、円偏光板及び直線偏光板などの偏光板を介して表示体9を観察することにより行うことができる。
【0092】
以上において説明した表示体9は、例えば、シールラベルなどの粘着ラベル、ストライプ転写箔及びスポット転写箔などの転写箔、又はスレッドの一部として使用してもよい。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図である。図7に示す粘着ラベル100は、図1及び図2に示す表示体9と、表示体9に設けられた粘着層30とを備えている。
【0094】
粘着層30は、光吸収層10の主面うち、第1光学効果層14とは反対側の主面上に設けられている。粘着層30は、第2光学効果層11及び反射性材料層13を間に挟んで第
1光学効果層14と向き合っている。粘着層30の材料としては、例えば、感圧接着剤を使用する。粘着層30は、例えば、この感圧接着剤と溶媒との混合物を、グラビアコート、ロールコート、スクリーンコート及びブレードコートなどの方法により塗布することによって形成する。なお、粘着層30の厚みは、例えば1μm乃至10μmの範囲内とする。
【0095】
この粘着ラベル100は、例えば、真正さが確認されるべき物品に貼り付けるか、又は、そのような物品に取り付けられるべきタグの基材などの他の物品に貼り付ける。これにより、当該物品に偽造防止効果を付与することができる。
【0096】
なお、表示体9と粘着層30との間に脆性層を更に設けることにより、粘着ラベル100に貼替え防止機能を付与することもできる。これにより、更に高い偽造防止効果を達成できる。
【0097】
図8は、本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す断面図である。図8に示す転写箔200は、図1及び図2に示す表示体9と、表示体9を剥離可能に支持した支持体層43とを備えている。図8には、一例として、光透過層15と支持体層43との間に剥離層45が設けられており、光吸収層10の主面のうち第1光学効果層14とは反対側の主面上に接着剤層41が設けられている場合を描いている。
【0098】
支持体層43は、例えば、樹脂からなるフィルム又はシートである。支持体層43の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は塩化ビニル樹脂を使用する。
【0099】
剥離層45は、転写箔200を被転写体に転写する際の支持体層43の剥離を容易にする役割を担っている。剥離層45の材料としては、例えば、先に第1光学効果層14の材料として挙げた樹脂を使用する。剥離層45は、パラフィンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス及びシリコーンなどの添加剤を含んでいてもよい。なお、剥離層45の厚みは、例えば0.5μm乃至5μmの範囲内とする。
【0100】
接着剤層41の材料としては、例えば、反応硬化型接着剤、溶剤揮散型接着剤、ホットメルト型接着剤、電子線硬化型接着剤及び感熱接着剤などの接着剤を使用する。
【0101】
反応硬化性接着剤としては、例えば、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン及びアクリルウレタンなどのポリウレタン系樹脂、又は、エポキシ樹脂を使用する。
【0102】
溶剤揮散型接着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂及びウレタン樹脂などを含んだ水性エマルジョン型接着剤、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂などを含んだラテックス型接着剤を使用する。
【0103】
ホットメルト型接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂及びポリウレタン樹脂などをベース樹脂として含んだものを使用する。
【0104】
電子線硬化型接着剤としては、例えば、アクリロイル基、アリル基及びビニル基などのビニル系官能基を1個又は複数個有したオリゴマーを主成分として含んだものを使用する。例えば、電子線硬化型接着剤として、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ウレタンアクリレート、ウ
レタンメタクリレート、ポリエーテルアクリレート又はポリエーテルメタクリレートと、接着付与剤との混合物を使用することができる。この接着付与剤としては、例えば、リンを含んだアクリレート若しくはその誘導体、又は、カルボキシ基を含んだアクリレート若しくはその誘導体を使用する。
【0105】
感熱接着剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を使用する。
【0106】
接着剤層41は、例えば、上述した樹脂を、グラビアコータ、マイクログラビアコータ及びロールコータなどのコータを用いて光吸収層10上に塗布することにより得られる。
【0107】
この転写箔200は、例えば、ロール転写機又はホットスタンプによって、被転写体に転写される。この際、剥離層45において剥離を生じると共に、表示体9が、被転写体に、接着剤層41を介して貼付される。
【0108】
上述したように、表示体9は、優れた偽造防止効果を有している。したがって、表示体9を物品に支持させた場合、真正品であるこの表示体付き物品の偽造も困難である。また、この表示体9は上述した視覚効果を有しているため、真正品であるかが不明の物品を真正品と非真正品との間で判別することも容易である。
【符号の説明】
【0109】
9…表示体
10…光吸収層
11…第2光学効果層
12…光透過層
13…反射材料層
14…第1光学効果層
15…光透過層
21…溝
22…凹部又は凸部
30…粘着層
31…照明光
32…正反射光又は0次回折光
33…一次回折光
36…照明光
37…反射光
38…回折光
41…接着剤層
43…支持体層
45…剥離層
100…粘着ラベル
200…転写箔、
DP1…表示部
DP2…表示部
DP3…表示部
IF1…第1界面部
IF2…第2界面部
IF3…第3界面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも格子間距離が200nm乃至500nmの範囲内の回折格子を有し、部分的に反射材料層を設けた第1界面部を含んだ第1光学効果層と、光吸収層を有しコレステリック液晶を設けた第2光学効果層とを組み合わせたことを特徴とする表示体。
【請求項2】
前記第1光学効果層は、前記第1界面部の格子間距離と比較してより大きな格子間距離で配置された複数の回折格子が設けられた第3界面部を更に含んでいることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
基材と、前記基材に支持された請求項1乃至2のいずれか1項に記載の表示体とを具備したことを特徴とする表示体付き物品。
【請求項4】
前記基材は紙であり、前記表示体の一部は前記紙の内部に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載の表示体付き物品。
【請求項5】
前記基材は紙であり、前記表示体は前記紙の表面に転写されたものであることを特徴とする請求項3に記載の表示体付き物品。
【請求項6】
請求項1又は2記載の表示体或いは請求項3乃至5の何れか1項記載の表示体付き物品が真正であるか否かを判定する方法あって、該表示体を照明して正反射方向の反射光を観察した際の画像と、該反射光を円偏光板を通して観察した画像のコントラスト比が異なることに加えて、該反射光を直線偏光板を通して観察した画像のコントラスト比が異なる場合のみ真正であると判断することを特徴とする真偽判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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