説明

表示具

【課題】 可視情報の総数を3以上にしても、個々の可視情報の占有面積を減少させることなく、表示具1全体の占有面積の増大を抑える。
【解決手段】
ケース2の前面板3に情報表示窓5を開口し、ケース2の底板4のうちの情報表示窓5に対向する位置に固定可視情報6を担持させる。前面板3と底板4との間に、第一のスライド可視情報9を担持した第一のスライド板8を直線方向に移動可能に収容する。第一のスライド板8と前面板3との間に、第二のスライド可視情報12を担持した第二のスライド板11を第一のスライド板8と同方向に移動可能に収容する。第一および第二のスライド板8,11の移動位置を変えることにより、固定可視情報6、第一のスライド可視情報9または第二スライド可視情報12のいずれかが外部から情報表示窓5を通して見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め複数用意されている文字、記号、図形等からなる可視情報を選択的に切り換えて表示する表示具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示具としては、特許文献1に示されているように、1つの部材に複数の可視情報を互いの位置を固定された状態で担持させておき、スライド部材をスライドして、複数の可視情報のうちの表示したくないものを覆い、スライド部材に覆われていない可視情報のみが外部から見えるようにするものが知られている。
【特許文献1】実開平7−1382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の表示具において、複数の可視情報が互いの位置を固定された状態で担持されているため、可視情報の総数を3以上にしたい場合には、表示具全体の占有面積が大きくなってしまうという問題があった(なお、可視情報の総数をNとすると、スライド部材はN−1個設けられる)。また、個々の可視情報の占有面積を小さくすれば、表示具全体の占有面積の増大を抑えることはできるが、その場合は可視情報が見にくくなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、可視情報の総数を3以上にしても、個々の可視情報の占有面積を減少させることなく、表示具全体の占有面積の増大を抑えることができる表示具を提供することにある。
【0005】
本発明のさらに他の目的は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による表示具は、互いに間隔を置いて対向された前面板および底板を有するケースと、前記前面板の一部に開口された情報表示窓と、前記前面板の前記情報表示窓に隣接する部分に設けられた情報遮蔽部分と、前記底板のうちの前記情報表示窓に対向する位置に担持された固定可視情報と、前記ケースに、前記前面板と前記底板との間において直線方向に移動可能に収容された第一のスライド板と、この第一のスライド板に担持された第一のスライド可視情報と、前記ケースに、前記第一のスライド板と前記前面板との間において前記スライド板の移動方向と同方向に移動可能に収容された第二のスライド板と、この第二のスライド板に担持された第二のスライド可視情報とを有してなり、
前記第一および第二のスライド板を前記第一および第二のスライド可視情報が前記前面板のうちの前記情報遮蔽部分に隠れる位置に移動させた状態では、前記固定可視情報が外部から前記情報表示窓を通して見え、
前記第二のスライド板の方は前記第二のスライド可視情報が前記前面板のうちの前記情報遮蔽部分に隠れる位置にある状態において、前記第一のスライド板を前記第一の可視情報が前記情報表示窓に対向する位置に移動させると、前記固定可視情報が前記第一のスライド板の後に隠れ、前記第一のスライド可視情報が外部から前記情報表示窓を通して見え、
前記第二のスライド板を前記第二の可視情報が前記情報表示窓に対向する位置に移動させると、前記第一のスライド可視情報が前記第二のスライド板の後に隠れ、前記第二のスライド可視情報が外部から前記情報表示窓を通して見えるようになっているものである。
【0007】
本発明においては、第一および第二のスライド板を第一および第二のスライド可視情報が前面板のうちの情報遮蔽部分に隠れる位置に移動させると、固定可視情報が外部から情報表示窓を通して見える。
【0008】
また、第二のスライド板の方は第二のスライド可視情報が前面板のうちの情報遮蔽部分に隠れる位置に移動しておいて、第一のスライド板を第一の可視情報が情報表示窓に対向する位置に移動させると、第一のスライド可視情報が外部から情報表示窓を通して見える。
【0009】
さらに、第二のスライド板を第二の可視情報が情報表示窓に対向する位置に移動させると、第二のスライド可視情報が外部から情報表示窓を通して見える。
【0010】
したがって、第一および第二のスライド板をそれぞれ移動させることにより、固定可視情報、第一のスライド可視情報または第二のスライド可視情報のいずれかを選択的に切り換えて表示することができる。
【0011】
なお、選択対象となる可視情報を4以上としたい場合には、第一および第二のスライド板と同様の、スライド可視情報を担持したスライド板を追加すればよい。
【0012】
本発明においては、従来の表示具の場合のように複数の可視情報が互いの位置を固定された状態で担持されているのではなく、各スライド可視情報が、各スライド板を移動することにより、他のスライド可視情報または固定可視情報に重ね合わされるようになっているので、可視情報の総数を3以上にしても、個々の可視情報の占有面積を減少させることなく、表示具全体の占有面積の増大を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表示具は、上述のように、可視情報の総数を3以上にしても、個々の可視情報の占有面積を減少させることなく、表示具全体の占有面積の増大を抑えることができる等の優れた効果を得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
図1〜15は本発明の一実施例を示しており、この実施例は、会議等に使用される室の入口付近の壁に取り付けられて、その部屋の使用状況を表示する表示具に本発明を適用した例である。
【0016】
この実施例において、表示具1のケース2は、アクリル樹脂等のプラスチックからなり、全体に薄く細長い直方体状をなしており、互いに平行に間隔を置いて対向されたそれぞれ平板状かつ大略矩形状の前面板3と底板4とを有している。前記前面板3の一部、さらに詳しく言うと、大略右半分の部分には大略矩形の情報表示窓5が開口されている。前記前面板3の大略左半分の情報表示窓5に隣接する部分には、窓が開口していない情報遮蔽部分3aが設けられている。図7によく示されるように、前記底板4の前面うちの情報表示窓5に対向する位置には、印刷等により「空室」の文字からなる固定可視情報6が担持されている。前記ケース2の裏面には、図3〜6等に示されるように、両面粘着テープ7が貼付されている。
【0017】
図5,6,11,13および15によく示されるように、前記ケース2には、前面板3と底板4との間において、アクリル樹脂等のプラスチックからなる平板状かつ大略矩形状の第一のスライド板8が、直線方向、さらに詳しく言うと幅方向(左右方向)に移動可能に収容されている。図8によく示されるように、前記第一のスライド板8の前面には、「予約」の文字からなる第一のスライド可視情報9が印刷等により担持されている。また、前記第一のスライド板8の前面側の右端部付近には、横断面三角形状で上下方向に直線状に延びる第一の操作突部10が前方に突出するようにして設けられている。また、前記ケース2には、第一のスライド板8と前面板3との間において、アクリル樹脂等のプラスチックからなる平板状かつ大略矩形状の第二のスライド板11が、直線方向、さらに詳しく言うと幅方向(左右方向)に移動可能に収容されている。図9によく示されるように、前記第二のスライド板11の前面には、「会議中」の文字からなる第二のスライド可視情報12が印刷等により担持されている。前記第二のスライド板11の前面側の右端部付近には、横断面三角形状で上下方向に直線状に延びる第二の操作突部13が前方に突出するようにして設けられている。
【0018】
次に、本実施例の作動を説明する。この表示具1は、会議等に使用される室の入口付近の壁(図示せず)に、両面粘着テープ7を粘着させて取り付けることができる。
【0019】
この表示具1においては、第二の操作突部13に指先(爪を含む)を掛けて第二のスライド板11を左方、すなわち第二のスライド可視情報12のより多くの部分が前面板3のうちの情報表示窓5でない部分情報遮蔽部分3aに隠れる向きに移動させて行くと、図10および11に示されるように、第二の操作突部13が情報表示窓5の左端に当接し、それ以上第二のスライド板11を左方に移動できなくなる。なお、このように第二のスライド板11を左方に移動させる場合は、第二のスライド板11と第一の操作突部10とが干渉することはないので、スライド板8,11間に大きな摩擦力が作用することがないようにしておけば、第一のスライド板8は静止しており、第二のスライド板11のみが左方に移動する。
【0020】
また、第一の操作突部10に指先(爪を含む)を掛けて第一のスライド板8を左方、すなわち第一のスライド可視情報9のより多くの部分が前面板3のうちの情報遮蔽部分3aに隠れる向きに移動させて行くと、図2および5に示されるように、第二のスライド板11の右端に第一の操作突部10が当接する。すると、図2および5の場合、上述のように既に第二の操作突部13が情報表示窓5の左端に当接しており、第二のスライド板11がそれ以上左方に移動できない状態になっているので、第一のスライド板8もそれ以上左方に移動できなくなる。図14および15に示されるように、第二の操作突部13が情報表示窓5の左端に当接していないときに、第一のスライド板8を左方に移動させた場合には、第二のスライド板11の右端に第一の操作突部10が当接した時点で第二のスライド板11も第一のスライド板8と一緒に左方に移動し始め、第二の操作突部13が情報表示窓5の左端に当接した時点で第一および第二のスライド板8,11の双方がそれ以上左方に移動できなくなる。ただし、このように第一のスライド板8を左方に移動する場合、スライド板8,11間の摩擦力がある程度大きくなっていると、第一および第二の操作突部13が互いに当接していなくても第一および第二のスライド板8,11が一緒に移動してしまうが、そうなっても特に支障は生じない。
【0021】
他方、第一の操作突部10に指先を掛けて第一のスライド板8を右方(第一のスライド可視情報9のより多くの部分が情報表示窓5に対向することとなる向き)に移動させて行く場合は、第一の操作突部10と第二のスライド板11とが干渉することはないので、スライド板8,11間に大きな摩擦力が作用することがないようにしておけば、第一のスライド板8のみが右方に移動する。
【0022】
また、第二の操作突部13に指先を掛けて第二のスライド板11を右方(第二のスライド可視情報12のより多くの部分が情報表示窓5に対向することとなる向き)に移動させて行くと、該第二のスライド板11の右端が第一の操作突部10に当接し、第一のスライド板8が既に最大限右方に移動されていない限り、第一および第二のスライド板8,11が一緒に移動するようになる。そして、図13のように、第一のスライド板8の右端がケース2内部の右端に当接すると、第一のスライド板8がそれ以上右方に移動できなくなるので、第二のスライド板11もそれ以上右方に移動できなくなる。
【0023】
さて、次に、表示する可視情報を選択する操作について具体的に説明すると、図2および5に示されるように、第一および第二のスライド板8,11を第一のスライド可視情報9「予約」および第二のスライド可視情報12「会議中」が前面板3のうちの情報遮蔽部分3aに隠れる位置に移動させると、固定可視情報6「空室」のみが外部から情報表示窓5を通して見える。
【0024】
また、図10および11に示されるように、第二のスライド板11の方は第二のスライド可視情報12「会議中」が前面板3のうちの情報遮蔽部分3aに隠れる位置まで左方に移動しておいて、第一のスライド板8を第一のスライド可視情報9「予約」が情報表示窓5に対向する位置まで右方に移動させると、固定可視情報6「空室」は第一のスライド板8の後に隠れてしまうので、第一のスライド可視情報9「予約」のみが外部から情報表示窓5を通して見える。
【0025】
さらに、図12および13に示されるように、第二のスライド板11を第二のスライド可視情報12「会議中」が情報表示窓5に対向する位置まで右方に移動させると、第一のスライド可視情報9「予約」は第二のスライド板11の後に隠れてしまうので、第二のスライド可視情報12「会議中」のみが外部から情報表示窓5を通して見える。
【0026】
したがって、第一および第二のスライド板8,11をそれぞれ移動させることにより、固定可視情報6「空室」、第一のスライド可視情報9「予約」または第二のスライド可視情報12「会議中」のいずれかを選択的に切り換えて表示することができる。
【0027】
なお、選択対象となる可視情報を4以上としたい場合には、第一および第二のスライド板8,11と同様の、スライド可視情報を担持したスライド板を追加すればよい。
【0028】
この表示具1は、従来の表示具の場合のように複数の可視情報が互いの位置を固定された状態で担持されているのではなく、各スライド可視情報9,12が、各スライド板8,11を移動させることにより、他のスライド可視情報9,12または固定可視情報6に重ね合わされるようになっているので、可視情報の総数を3以上にしても、個々の可視情報6,9,12の占有面積を減少させることなく、表示具1全体の占有面積の増大を抑えることができる。
【0029】
なお、前記実施例は、会議等に使用される室の入口付近の壁に取り付けられて、その部屋の使用状況を表示する表示具1に本発明を適用した例であるが、本発明は他の種の可視情報を表示する表示具にも適用でき、各可視情報の内容も任意のものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように本発明による表示具は、予め複数用意されている文字、記号、図形等からなる可視情報を選択的に切り換えて表示する表示具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】固定可視情報を表示した状態における本発明による表示具の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1と同じく固定可視情報を表示した状態における前記実施例を示す正面図である。
【図3】前記実施例を示す側面図である。
【図4】前記実施例を示す平面図である。
【図5】図2のV−V線における断面図である。
【図6】図2のVI−VI線における断面図である。
【図7】前記実施例におけるケースを単独で示す斜視図である。
【図8】前記実施例における第一のスライド板を単独で示す斜視図である。
【図9】前記実施例における第二のスライド板を単独で示す斜視図である。
【図10】第一のスライド可視情報を表示した状態における前記実施例を示す正面図である。
【図11】図10と同じく第一のスライド可視情報を表示した状態における前記実施例を示す断面図である。
【図12】第二のスライド可視情報を表示した状態における前記実施例を示す正面図である。
【図13】図12と同じく第二のスライド可視情報を表示した状態における前記実施例を示す断面図である。
【図14】第一および第二のスライド板が中間位置にある状態における前記実施例を示す正面図である。
【図15】図14と同じく第一および第二のスライド板が中間位置にある状態における前記実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 表示具
2 ケース
3 前面板
3a 前面板のうちの情報遮蔽部分
4 底板
5 情報表示窓
6 固定可視情報
8 第一のスライド板
9 第一のスライド可視情報
10 第一の操作突部
11 第二のスライド板
12 第二のスライド可視情報
13 第二の操作突部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を置いて対向された前面板および底板を有するケースと、前記前面板の一部に開口された情報表示窓と、前記前面板の前記情報表示窓に隣接する部分に設けられた情報遮蔽部分と、前記底板のうちの前記情報表示窓に対向する位置に担持された固定可視情報と、前記ケースに、前記前面板と前記底板との間において直線方向に移動可能に収容された第一のスライド板と、この第一のスライド板に担持された第一のスライド可視情報と、前記ケースに、前記第一のスライド板と前記前面板との間において前記スライド板の移動方向と同方向に移動可能に収容された第二のスライド板と、この第二のスライド板に担持された第二のスライド可視情報とを有してなり、
前記第一および第二のスライド板を前記第一および第二のスライド可視情報が前記前面板のうちの前記情報遮蔽部分に隠れる位置に移動させた状態では、前記固定可視情報が外部から前記情報表示窓を通して見え、
前記第二のスライド板の方は前記第二のスライド可視情報が前記前面板のうちの前記情報遮蔽部分に隠れる位置にある状態において、前記第一のスライド板を前記第一の可視情報が前記情報表示窓に対向する位置に移動させると、前記固定可視情報が前記第一のスライド板の後に隠れ、前記第一のスライド可視情報が外部から前記情報表示窓を通して見え、
前記第二のスライド板を前記第二の可視情報が前記情報表示窓に対向する位置に移動させると、前記第一のスライド可視情報が前記第二のスライド板の後に隠れ、前記第二のスライド可視情報が外部から前記情報表示窓を通して見えるようになっている表示具。
【請求項2】
前記第一のスライド板の前面側の一端部付近に、前方に突出するように設けられており、前記第一のスライド板を移動させるように前記情報表示窓を通して指先で操作可能な第一の操作突部と、前記第二のスライド板の前面側の一端部付近に、前方に突出するように設けられており、前記第二のスライド板を移動させるように前記情報表示窓を通して指先で操作可能な第二の操作突部とをさらに有し、
前記第二の可視情報のより多くの部分が前記情報表示窓に対向することとなる向きに前記第二のスライド板を移動させて行くと、該第二のスライド板が前記第一の操作突起に当接し、既に前記第一のスライド板が最大限移動されていない限り、前記第一および第二のスライド板が一緒に移動するようになるが、前記第二のスライド板を逆向きに移動させるときは、前記第二のスライドカードと前記第一の操作突起とが干渉することはないようになっている請求項1記載の表示具。
【請求項3】
前記第二の可視情報のより多くの部分が前記前面板のうちの前記情報遮蔽部分に隠れる向きに前記第二のスライド板を移動させて行くと、前記第二の操作突起が前記情報表示窓の一端に当接し、それ以上前記第二のスライド板を同じ向きに移動できなくなるようになっているとともに、前記第一の可視情報のより多くの部分が前記前面板のうちの前記情報遮蔽部分に隠れる向きに前記第一のスライド板を移動させて行くと、前記第二のスライドカードに前記第一の操作突起が当接するようになっている請求項2記載の表示具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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