説明

表示板

【課題】外観性の向上を図りつつ製造コストの低減を図る上で有利な表示板を提供する。
【解決手段】表示板10は、板材12と、表示部14とを備えている。板材12は光が透過可能な透光性材料で構成されている。表示部14は、板材12の厚さ方向の一方の面12Aに設けられ、表示部14は、凸部18と、遮光部20とを含んで構成されている。一方の面12Aは遮光性材料からなる遮光部20で覆われており、凸部18は前記透光性材料からなり一方の面12Aから突出し遮光部20から露出している。凸部18は周面1802と端面1804とを有している。凸部18の周面1802は、遮光部20から突出している。凸部18の端面1804は、周面1802の先端を接続している。端面1804に透光性を有する金属箔22が取着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン装置などの電子機器の外装を構成する筐体には、多くの場合、ロゴマークなどを表示する表示板が取着されている。
このような表示板として、図7に示す工程によって製造されるものが提供されている。
図7(A)に示すように、溶融した合成樹脂製の透光性材料を金型の製品キャビディ内に充填することで、板材52の一方の面に、ロゴマークなどを示す形状の凸部54を形成する。
図7(B)に示すように、凸部54を含む前記一方の面の全域に遮光性塗料56を塗布する。
図7(C)に示すように、凸部54の先端の遮光性塗料56を削り、凸部54の先端面54Aを露出させる。
このようにして形成された表示板50は次のように使用する。
すなわち、表示板50の裏面に光源2を配置する。
光源2を点灯させると、光が透光性材料からなる板材52を通過し凸部54の先端面54Aから外部に出射されることでロゴマークなどを示す形状が発光したように視認される。
このような表示板の場合、光源2を消灯させると、ロゴマークなどの表示も消えてしまう。
したがって、図7(D)に示すように、先端面54Aに透光性を有する金属箔58を取着することで、光源2を消灯した状態においても金属箔58で外光を反射させることでロゴマークの表示を行うことが考えられる。
先端面54Aに対する金属箔58の取着は、ホットスタンプ(箔押し)により金属箔58を先端面54Aに取着する方法が好適である(特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開平6−183125
【特許文献2】特開平9−50239
【特許文献3】特開2003−248446
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、上述の構成では、図7(C)に示すように、凸部54の先端を削ることで先端面54Aを露出させることから、先端面54Aの周囲を囲むように遮光性塗料56の環状面56Aが形成され、先端面54Aと環状面56Aとは同一面上に位置する。
先端面54Aと環状面56Aとが同一面上に位置した状態でホットスタンプによって金属箔58を先端面54Aに取着する場合、金属箔58のエッジを、先端面54Aと環状面56Aとの境界線に一致させ難く、外観性を確保する上で不利がある。
また、上述した表示板50では、板部52の一方の面の全域に遮光性塗料56を塗布する工程、凸部54の先端に塗布した遮光性塗料56を削る工程が必要となるため、工程が複雑で製造コストの低減を図る上でも不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は外観性の向上を図りつつ製造コストの低減を図る上で有利な表示板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明の表示板は、透光性材料からなる板材と、前記板材の厚さ方向の一方の面に設けられた表示部とを備え、前記表示部は、遮光性材料からなり前記一方の面を覆う遮光部と、前記一方の面から突出し前記遮光部から露出する前記透光性材料からなる凸部とを備え、前記凸部は、前記遮光部から突出する周面と、前記周面の先端を接続する端面とを有し、前記端面に、透光性を有する金属箔が取着されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、表示板の外観性を高める上で有利となり、製造コストの低減を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は実施の形態の表示板10の斜視図、図2は図1のAA線断面図である。
【0007】
まず、図1、図2を参照して表示板10の構成について説明する。
表示板10は、板材12と、表示部14とを備えている。
板材12は光が透過可能な透光性材料で構成されている。
本実施の形態では、透光性材料として乳白色の合成樹脂を採用しているが、このような透光性材料として光が透過可能な従来公知のさまざまな合成樹脂が採用可能である。
【0008】
表示部14は、板材12の厚さ方向の一方の面12Aに設けられている。
表示部14は、凸部18と、遮光部20とを含んで構成されている。
凸部18は周面1802と端面1804とを有している。
そして、端面1804に金属箔22が取着されている。
本実施の形態では、端面1804および金属箔22により、英文字である「O」を2つ形成したものである。
【0009】
より詳細に説明すると、一方の面12Aは遮光性材料からなる遮光部20で覆われており、凸部18は前記透光性材料からなり一方の面12Aから突出し遮光部20から露出している。
すなわち、板材12の一方の面12Aは平坦面1202と、この平坦面1202から突出する凸部18とで構成されている。
本実施の形態では、凸部18は複数設けられている。
また、板材12の厚さ方向の他方の面は、平坦面からなる裏面16となっている。
そして、遮光部20は、平坦面1202を覆う平坦部2002と、各凸部18の周面1802に沿って起立する起立部2004とを有している。なお、起立部2004は、図3に示すように、省略可能であり平坦部2002のみを有していてもよい。あるいは図4に示すように、遮光部20は、平坦面1202を覆う平坦部2002と、各凸部18の周面1802に沿って起立する起立部2004と、凸部18で囲まれる凹部に充填される充填部2006とを有していてもよい。要するに遮光部20の形状は、凸部18の形状、高さなどに応じて適宜決定される。
【0010】
本実施の形態では、前記遮光性材料として黒色のABS樹脂を採用しているが、このような遮光性材料として、光を遮光可能な従来公知のさまざまな合成樹脂が採用可能である。
【0011】
凸部18および後述する端面1804、金属箔22は、表示板10上に表示すべき内容に応じて決定されるものである。すなわち、表示板10がネームプレートである場合には、凸部18、端面1804、金属箔22は社名や商品名を表す文字となる。また、表示板10が商標である場合には、凸部18、端面1804、金属箔22は、文字、図形などとなる。また、表示板10が操作パネルに付される表示や標識である場合には、凸部18、端面1804、金属箔22は、文字、記号、図形などとなる。
【0012】
凸部18の周面1802は、遮光部20から突出している。
凸部18の端面1804は、周面1802の先端を接続している面である。本実施の形態では、端面1804は、裏面16と平行する平坦面で形成されている。
周面1802と端面1804とは、本実施の形態では、角部を持って交差している。
【0013】
金属箔22は、ホットスタンプ(箔押し)により端面1804に取着され、金属箔22は透光性を有している。
本実施の形態では、金属箔22は、例えば、厚さが1μm〜10μmのアルミ箔を採用しているが、このような金属箔22としては、透光性を有する種々の金属箔が採用可能である。
【0014】
次に、表示板10を電子機器の筐体に取り付けて使用する場合について説明する。
図5に示すように、筐体30を構成する壁部32に、表示板10の凸部18および起立部2004が挿通可能な開口34が形成されている。
表示板10の凸部18を壁部32の内側から開口34に挿通させ、凸部18の周囲の平坦部2002を壁部32の内面に当て付けた状態で、例えば、接着剤を用いて表示板10を壁部32に取り付ける。
表示板10の裏面16に臨む箇所に光源2を取り付ける。
光源2を点灯させると、光源2から出射された光は裏面16から板材12内部に入射し、板材12内部を通過して端面1804から金属箔22に至り、この金属箔22を透過して前方に出射される。
したがって、表示板10を見ると、端面1804(金属箔22)および周面1802が発光した状態が視認され、文字、記号、図形などが発光した状態で視認される。
また、光源2を消灯させると、外光が金属箔22で反射され、文字、記号、図形などが光沢を有する面として視認される。
したがって、光源2の点灯、消灯により、文字、記号、図形などを発光させ、あるいは、文字、記号、図形などを光沢を有する面で表示させることができ、視認性および加飾性の向上を図る上で有利となっている。
光源2の配置数や光源2の発光色は無論任意である。
【0015】
次に、表示板10の製造工程について説明する。
図6に示すように、板材12と遮光部20が2色成形により成形される。
すなわち、金型のキャビティ内に溶融された透光性材料からなる合成樹脂が充填されることで凸部18を含む板材12が成形される。
さらに、板材12を別の金型に設置し、板材12を金型の一部として利用し、遮光性材料が充填されることで遮光部20が成形される。
次に、図2に示すように、ホットスタンプ(箔押し)により、端面1804に金属箔22が取着される。
以上の工程により表示板10が完成する。
【0016】
以上説明したように本実施の形態によれば、遮光部20から凸部18の周面1802および端面1804を露出させ、この端面1804に透光性を有する金属箔22を取着したので、金属箔22の縁と、端面1804の縁とを正確に一致させる上で有利となる。
言い換えると、金属箔22の見切りをきれいに取る上で有利となり、表示板10の外観性を高める上で有利となり、表示板10や該表示板10が取着された製品の商品価値を高める上で有利となる。
また、本実施の形態では、凸部18と遮光部20とを2色成形により形成することができるので、図7に示した従来の表示板50のように、凸部54の先端に塗布した遮光性塗料56を削る工程を削減でき、製造コストの低減を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態の表示板10の斜視図である。
【図2】図1のAA線断面図である。
【図3】遮光部20の変形例を示す説明図である。
【図4】遮光部20の他の変形例を示す説明図である。
【図5】表示板10の使用説明図である。
【図6】2色成形の説明図である。
【図7】(A)乃至(D)は従来の表示板の製造工程の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
10……表示板、12……板材、12A……一方の面、14……表示部、18……凸部、1802……周面、1804……端面、20……遮光部、22……金属箔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料からなる板材と、
前記板材の厚さ方向の一方の面に設けられた表示部とを備え、
前記表示部は、遮光性材料からなり前記一方の面を覆う遮光部と、前記一方の面から突出し前記遮光部から露出する前記透光性材料からなる凸部とを備え、
前記凸部は、前記遮光部から突出する周面と、前記周面の先端を接続する端面とを有し、
前記端面に、透光性を有する金属箔が取着されている、
表示板。
【請求項2】
前記端面は、平坦面で形成されている、
請求項1記載の表示板。
【請求項3】
前記板材の厚さ方向の他方の面をなす裏面は、平坦面で形成され、
前記端面は、前記裏面に平行する平坦面で形成されている、
請求項1記載の表示板。
【請求項4】
前記一方の面は、平坦面と、この平坦面から突出する前記凸部とで構成され、
前記遮光部は前記平坦面を覆う平坦部と、前記凸部の周面に沿って起立する起立部とを有している、
表示板。
【請求項5】
前記周面と前記端面とは、角部を持って交差している、
請求項1記載の表示板。
【請求項6】
前記遮光性材料は、黒色の合成樹脂であり、
前記透光性材料は、乳白色の合成樹脂であり、
前記金属箔は、アルミ箔である、
請求項1記載の表示板。
【請求項7】
前記表示部は、複数設けられている、
請求項1記載の表示板。
【請求項8】
前記凸部と前記遮光部とは、2色成形により形成されている、
請求項1記載の表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−223096(P2009−223096A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68923(P2008−68923)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】