表示機器及び液晶表示装置
【課題】表示機器及び液晶表示装置について開示している。
【解決手段】表示機器は、画像を表示する表示装置及び回折光学要素を有する。回折光学要素は複数の画素単位領域を有する。画素単位領域の各々は、互いに隣接する画素の長い辺及び画素の短い辺を有する。回折光学要素は、表示装置の光出射側に備えられ、第1格子領域及び第2格子領域を有する。第1格子領域は第1回折格子を有する。第2格子領域は第2回折格子を有する。第1回折格子の方位角は第2回折格子の方位角とは異なる。
【解決手段】表示機器は、画像を表示する表示装置及び回折光学要素を有する。回折光学要素は複数の画素単位領域を有する。画素単位領域の各々は、互いに隣接する画素の長い辺及び画素の短い辺を有する。回折光学要素は、表示装置の光出射側に備えられ、第1格子領域及び第2格子領域を有する。第1格子領域は第1回折格子を有する。第2格子領域は第2回折格子を有する。第1回折格子の方位角は第2回折格子の方位角とは異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、表示機器に関し、特に、回折光学要素を有する表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、画像表示装置には主に、液晶表示装置、プラズマ表示装置、OLED表示装置、電子ペーパー表示装置等がある。液晶表示装置は非自発光表示装置であり、故に、画像を表示するためには、拡散膜、増輝膜等の光学膜を介して均一な平面形状を有する液晶表示パネルに入射する光を生成するバックライト光源が通常、必要である。
【0003】
発明の名称が“空間光変調装置及びプロジェクタ”である特開2005―70632号公報においては、高コントラストの投影画像を有し、低コストで、簡単な構造であるプロジェクタについて開示されている。TFT基板及び対向基板の対と、TFT基板と対向基板と間に挿入された液晶と、を有し、TFT基板側から変調光を発するように画像信号に従って対向基板側からの入射光を変調する空間光変調装置は、TFT基板の光出射側に偏光させるウェッジプリズムを有する。
【0004】
発明の名称が“Image display apparatus”である欧州特許第0567995A1明細書においては、画像表示装置であって、二次元パターンで配置された複数のドット形状のピクチャ要素と、装置から出射する画像状光線が中を進む光路に備えられている回折格子と、を有する液晶表示パネルについて開示されている。
【0005】
発明の名称が“Projection screen apparatus including holographic optical element”である米国特許第6,483,612号明細書においては、ホログラフィック光学素子及びディフューザを有するスクリーン装置について開示されている。そのホログラフィック光学素子は、動作中、画像エンジン又はプロジェクタから画像光を受け入れ、散乱のためにディフューザの方にその画像光の向きを変える。ホログラフィック光学素子は、画像光を実質的にコリメートする、収束させる、又は発散させるように設計されることが可能である。
【0006】
ねじれネマティック(TN)又は超ねじれネマティック(STN)液晶表示装置は、通常使用される種類の表示装置である。これらの種類の液晶表示装置は価格の点で有利であるが、その視野角は、通常の広い視野角の液晶表示装置であって、例えば、マルチドメイン垂直配向型(MVA)液晶表示装置、横電界方式(IPS)液晶表示装置、フリッジフィールドスイッチング(FFS)液晶表示装置等の視野角より小さい。
【0007】
視野角とは、表示装置が規格範囲内にある画像品質の画像を表示することができる角度範囲のことをいう。例えば、一般的なデスクトップ液晶表示装置については、主視野角は正面視である。従って、設計者においては、主に光学的効果が液晶モジュールの構成により影響されるために、表示装置は、正面視に照らして設計される。故に、オブザーバには、液晶表示装置に対して異なる斜めからの角度で、異なる色及び輝度の画像が見える。同時に、その画像の違いは、視野角が大きくなればなる程、大きくなる。通常用いられている液晶表示装置の中で、TN液晶表示装置は最も悪い条件を有する。何ら視野角を補償する要素を用いることのないTN液晶表示装置については、通常、液晶表示装置の側方視野角から観察される画像は、重大なコントラストの低下(10以下)、階調復元度等の課題を有する。
【0008】
従って、コントラスト、階調復元等の画像品質の課題を改善する表示装置が要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005―70632号公報
【特許文献2】欧州特許第0567995A1明細書
【特許文献3】米国特許第6,483,612号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
表示機器が備えられる。表示機器は、液晶ディスプレイ、第1偏光子、第2偏光子及び回折光学要素を有する。液晶表示装置はバックライトモジュール及び液晶パネルを有する。液晶パネルは、第1基板、第2基板及び液晶層を有する。液晶層は、第1基板と第2基板との間に備えられる。第1偏光子は第1基板上に備えられる。第2偏光子は、第2基板とバックライトモジュールとの間に備えられる。第1偏光子の偏光方向及び第2偏光子の偏光方向は異なる方位角を有する。回折光学要素は第1偏光子の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する。第1回折格子の格子方向及び第2回折格子の格子方向は異なる方位角を有する。
【0011】
表示機器が備えられる。表示機器は、画像を表示する液晶ディスプレイ及び回折光学要素を有する。液晶表示装置はバックライトモジュール及び液晶パネルを有する。液晶パネルは、バックライトモジュール上に備えられ、第1基板、第1配向膜、第2基板、第2配向膜及び液晶層を有する。第1配向膜は第1基板上に備えられる。第2配向膜は第2基板上に備えられる。第1配向膜の配向方向及び第2配向膜の配向方向は異なる方位角を有する。液晶層は、第1配向膜と第2配向膜との間に備えられる。回折光学要素は、液晶表示装置の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する。第1回折格子の格子方向の方位角は、第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる。
【0012】
画像を表示する液晶表示装置が備えられる。液晶表示装置は、液晶パネル及び回折光学要素を有する。液晶パネルは、第1基板、第2基板及び液晶層を有する。液晶層は、第1基板と第2基板との間に備えられる。液晶層は複数の液晶分子を有する。第1基板に隣接する液晶分子の少なくとも1つは第1液晶傾斜方向を有する。第2基板に隣接する液晶分子の少なくとも1つは第2液晶傾斜方向を有する。第1液晶傾斜方向の方位角は第2液晶傾斜方向の方位角とは異なる。回折光学要素は、液晶パネルの光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する。第1回折格子の格子方向の方位角は、第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる。
【0013】
表示機器が備えられる。表示機器は、画像を表示する表示装置及び回折光学要素を有する。回折光学要素は複数の画素単位領域を有する。画素単位領域の各々は、互いに隣接する画素の長い辺及び画素の短い辺を有する。回折光学要素は、表示装置の光出射側に備えられ、第1回折領域及び第2回折領域を有する。第1回折領域は第1回折格子を有する。第2回折領域は第2回折格子を有する。第1回折格子の方位角は、第2回折格子の方位角とは異なる。
【0014】
本明細書における上記の及び他の特徴については、制限的でない実施形態についての以下の詳述により十分に理解できる。以下の詳述は、添付図を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に従ったディスプレイの三次元の図である。
【図2】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図3】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図4】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図5】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図6】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図7】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図8】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図9】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図10】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図11】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図12】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図13】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図14】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図15】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図16】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図17】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図18】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図19】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図20】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図21】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図22】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図23】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図24】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図25】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図26】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図27】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図28】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図29】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図30】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図31】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図32】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図33】一実施形態における表示機器の断面図である。
【図34】表示装置の配向膜及び液晶層の三次元の図である。
【図35】液晶層の液晶分子の液晶傾斜方位角を示す図である。
【図36】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図37】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図38】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図39】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図40】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図41】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図42】コントラストに対する2種類の方位角についての回折格子を有する回折光学要素の影響を示す図である。
【図43】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図44】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用する表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図45】コントラスト及び輝度白状態に対する三種類の方位角の回折格子を有する回折光学要素の影響を示す図である。
【図46】コントラスト及び輝度白状態に対する三種類の方位角の回折格子を有する回折光学要素の影響を示す図である。
【図47】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図48】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用する表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図49】回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示す図である。
【図50】回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示す図である。
【図51】回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示す図である。
【図52】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図53】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図54】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図55】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図56】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図57】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図58】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図59】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図60】表示機器の白状態におけるコントラスト及び輝度と、回折光学要素の回折領域間のギャップ長との間の関係曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に従った表示機器の三次元の図である。図2乃至11及び図20乃至32は、実施形態における回折光学要素を示している。図12乃至19は、実施形態における回折光学要素の回折領域を示している。図33は、一実施形態における表示機器の断面図である。図34は、表示装置における配向膜及び液晶層の三次元の図である。図35は、液晶層の液晶分子の液晶傾斜方位角を示す図である。図36乃至41は、回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。図42は、表示装置のコントラストと、2種類の方位角を有する回折格子を有する回折光学要素との間の関係を示す図である。図43は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。図44は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用した表示機器のガンマ曲線を示す図である。図45は、三種類の方位角の回折格子を有する回折光学要素、表示装置の白状態のコントラスト及び輝度の間の関係を示している。図46は、三種類の方位角についての回折格子を有する回折光学要素、表示装置の黒状態のコントラスト及び輝度の間の関係を示している。図47は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。図48は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用した表示機器のガンマ曲線を示す図である。図49乃至51は、回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示している。図52乃至59は、回折領域及び画素単位領域の配置を示している。図60は、表示機器の白状態におけるコントラスト及び輝度と、回折光学要素の回折領域間のギャップ長との間の関係を示している。
【0017】
図1を参照するに、回折光学要素2が、画像を表示する表示装置10の光出射側に備えられている。表示装置10は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、OLED表示装置、電子ペーパー表示装置、又は画像を表示する他の種類の表示装置であることが可能である。表示装置10は、他の要素、例えば、タッチパネルを構成するタッチ要素と協働することが可能である。回折光学要素2は、他の要素、例えば、反射防止膜又はタッチパネルと共に用いられ、画像を表示する表示装置10の光出射側に備えられることが可能である。液晶表示装置は、垂直配向型/マルチドメイン垂直配向型液晶表示装置、ねじれネマティック(TN)液晶表示装置、超ねじれネマティック(STN)液晶表示装置、光学補償ベンド型(OCB)液晶表示装置、又はカラーシーケンシャル液晶表示装置(即ち、カラーフィルタを有しない液晶表示装置)であることが可能である。回折光学要素2は、表示装置10から出射される光を回折する格子、例えば、位相格子を有する膜であることが可能である。液晶表示装置に対する観察角は、球座標における天頂角θ及び方位角ψで表される。方位角ψは、X軸からのX−Y平面における挟み角を表し、天頂角θは、X−Y平面に対して垂直なZ軸からの挟み角を表す。正の挟み角は反時計方向の挟み角を表し、負の挟み角は時計方向の挟み角を表す。
【0018】
図2を参照するに、実施形態においては、回折光学要素32は、互いに間隔を置いている格子領域43及び格子領域53を有する。回折光学要素32の格子領域43及び格子領域53以外の“通常領域(又は、非格子領域)”は、低い回折効果をもたらす領域である。特に、格子領域43及び格子領域53は、特定の方向を有する格子領域43及び格子領域53を透過する光に対して100:1より小さい全非0次回折光(入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射方向と同じ出射方向を有する光)の強度比の高い回折効果をもたらす。“通常領域(又は、非格子領域)”は、光の進入量を増加させるように、“通常領域(又は、非格子領域)”を透過する光に対して100:1より大きい全非0次回折光(入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射方向と同じ出射方向を有する光)の強度比の低い回折効果をもたらす。また、殆どの光は“通常領域(又は、非格子領域)”を透過しない。即ち、光非透過性領域は、“通常領域(又は、非格子領域)”と同様の効果を有し得る。格子領域43及び格子領域53は列状に配列されている。格子領域43及び格子領域53はそれぞれ、回折格子44及び回折格子54を有する。回折格子44及び回折格子54はそれぞれ、一定の周期を有し、方向(方位角)が揃っている。回折格子44の波の頂点(又は波の谷)の接続線は、それらの接続線間で実質的に一定のギャップ長を有する。
【0019】
実施形態においては、回折格子の方向は、回折格子構造の波の頂点(又は波の谷)の接続線の方向である。実施形態においては、格子領域の回折格子の方向を実線で表している。回折格子の方向とX軸との間の挟み角は回折格子の方位角τである。一実施形態においては、回折格子の周期は波の頂点間のギャップ長(又は、波の谷間のギャップ長)を表す。例えば、回折格子44の周期D1は1μmであり、格子領域43の回折格子構造の波の頂点間のギャップ長が1μmであることを示している。回折格子54の周期D2は1μmであることが可能である。回折格子44の方向は、回折格子54の方向とは異なる。回折格子44の方向は、回折格子54の方向に対して垂直であることが可能である。この場合、例えば、回折格子44の方位角τ1は90°である。回折格子54の方位角は0°である。格子領域43及び格子領域53は、例えば、28μm乃至29μmである直径K1及び直径K2のそれぞれを有する球形状を有することが可能である。回折格子の材料の屈折率は約1.49であることが可能である。回折格子構造の波の頂点と波の谷との間の高さは約0.4μmである。例えば、その材料の屈折率、波の頂点間のギャップ長、又は回折格子構造の波の頂点と波の谷との間の高さは、特定の方向を有する回折格子構造を透過する光に対して100:1より小さい全非0次回折光(15°以上の偏光角度だけ入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射光と同じ出射方向を有する光)の強度比の高い回折効果をもたらすように、適切に設計されている。非格子領域は、非格子領域を透過する光に対して100:1より大きい全非0次回折光(15°以上の偏光角度だけ入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射光と同じ出射方向を有する光)の強度比の低い回折効果をもたらすように、適切に設計されている。非0格子領域の設計方法については、ここでは、詳細に説明しない。
【0020】
他の実施形態においては、単独の格子領域は、同じ方位角及び種々の周期を有する回折格子を有することが可能である。例えば、単独の格子領域は、実質的に1μm及び0.5μmの、波の頂点(又は、波の谷)の接続線間の2種類のギャップ長を有する回折格子を有する。格子領域の面積は、回折光学要素の面積の17.5乃至94%を占めることが可能である。
【0021】
図2を参照するに、交互に配置されている格子領域43及び格子領域53により構成される線において、格子領域43と格子領域53との間の最近接のギャップ長は一定である、又は実際の要求に従って可変であることが可能である。例えば、格子領域43及び格子領域53の最近接のギャップ長S1、S2は、1μm乃至15μmの範囲内であって、例えば、両方共1μm、9μm又は15μmであることが可能である。他の実施形態においては、ギャップ長S1は9μmであり、ギャップ長S2は15μmである。他の実施形態においては、格子領域43と格子領域53との間の最近接のギャップ長は、0である、又は負である、即ち、格子領域43及び格子領域53はそれらの間で重なり合う領域を有する、ことが可能である。
【0022】
図2を参照するに、例えば、格子領域43により構成される線又は格子領域53により構成される線において、格子領域43間の最近接のギャップ長又は格子領域53間の最近接のギャップ長が、実際の要求に従って、一定又は可変であるように調節されることが可能である。一実施形態においては、格子領域43間の最近接のギャップ長S4又は格子領域53間の最近接のギャップ長S5はそれぞれ、1μm乃至15μmの範囲内にある、例えば、1μm及び13μmである。他の実施形態においては、格子領域43間の最近接のギャップ長S4又は格子領域53間の最近接のギャップ長S5は、0である、又は負である、即ち、格子領域43及び格子領域53がそれらの間で重なり合う領域を有する、ことが可能である。
【0023】
一実施形態においては、回折光学要素の1種類の回折格子の方位角は0±60°であり、即ち、その角度は、−60°より大きい及び60°に等しく、+60°より小さい及び+60°に等しく、及び0°に等しく、同様の概念については、以下では繰り返して説明しない。回折光学要素の第1種類の回折格子の方位角は好適には、0±20°である。更に、回折光学要素の第2種類の回折格子の方位角は、90±60°であり、好適には、90±20°である。他の実施形態においては、第1種類の回折格子の方位角は、+45°±20°、好適には+45±10°であり、第2種類の回折格子の方位角は、+135°±20°、好適には+135±10°である。他の実施形態においては、第1種類の回折格子の方位角は、−45°±20°、好適には−45±10°であり、第2種類の回折格子の方位角は、45°±20°、好適には45±10°である。第1種類の回折格子の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能であり、第2種類の回折格子の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。図3の回折光学要素62は、回折光学要素62が一定の方位角の回折格子74を有する格子領域73を有する点で、図2の回折光学要素とは異なっている。
【0024】
図4の回折光学要素82は、回折光学要素82が異なる方位角の回折格子94、104及び114をそれぞれ有する格子領域93、103及び113を有する点で、図2における回折光学要素32とは異なっている。例えば、回折格子94の方位角τ2は135°であり、回折格子104の方位角は0°であり、回折格子114の方位角τ3は45°である。
【0025】
一実施形態においては、回折光学要素の第1種類、第2種類及び第3種類の回折格子の方位角はそれぞれ、90±15°、135±15°及び45±15°である。他の実施形態においては、第1種類、第2種類及び第3種類の回折格子の方位角はそれぞれ、15±10°、6±10°及び−30±10°である。他の実施形態においては、第1種類の回折格子の方位角は0±40°、好適には0±20°であり、第2種類の回折格子の方位角は45±40°、好適には45±20°であり、第3種類の回折格子の方位角は135±40°、好適には135±20°である。第1種類の格子領域の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。第2種類の格子領域の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。更に、第3種類の格子領域の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。
【0026】
図5の回折光学要素122は、格子領域133及び格子領域143がそれぞれ、列状に配置され、格子領域133及び格子領域143が鉛直方向において互い違いに配置されている。
【0027】
図6の回折光学要素142は、格子領域145間の水平方向(X方向)の周期C1が格子領域146間の水平方向の周期C2とは異なる点で、図5の回折光学要素132とは異なっている。一実施形態においては、周期C1は30μmであり、周期C2は48μmである。更に、格子領域145と格子領域146との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C3は41μmである。その周期間隔はまた、異なる格子方向をそれぞれ有する格子領域間の出現周期を意味する。
【0028】
図7の回折光学要素152は、すべての格子領域163及び格子領域173が互い違いに配置されている点で、図2の回折光学要素32とは異なる。
【0029】
図8の回折光学要素182は、格子領域193の回折格子194及び格子領域203の回折格子204が0°及び90°以外の方位角を有する点で、図2の回折光学要素とは異なる。例えば、回折格子194の方位角τ4は45°である。回折格子204の方位角τ5は135°である。
【0030】
図5の回折光学要素183は、格子領域185間の水平方向(X方向)の周期C4が格子領域186間の水平方向の周期C5とは異なる点で、図8の回折光学要素とは異なる。一実施形態においては、周期C4は30μmであり、周期C5は48μmである。更に、格子領域185と格子領域186との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C6は41μmである。
【0031】
一実施形態においては、回折光学要素は、4種類以上の回折格子方向の格子領域を有することが可能である。
【0032】
図10を参照するに、例えば、回折光学要素202は、格子領域205、格子領域206及び格子領域207を有する。格子領域205の回折格子208の方位角は135°である。格子領域206の回折格子209の方位角は0°である。格子領域207の回折格子210の方位角は90°である。実施形態においては、回折光学要素202の配置空間を適切に使用するように、より大きい量(又は、密度)を有する格子領域205が一列に配置され、より小さい量(又は、密度)を有する格子領域206及び格子領域207は、他の列において互い違いに配置されている。回折光学要素202を用いるTNパネルの場合、格子領域205は、上がったり下がったりする階調回復方向を補償するように主に、用いられ、格子領域206及び格子領域207は、45°方向及び−45°方向を補償するように主に、用いられる。一実施形態においては、格子領域205間の水平方向(X方向)の周期C7は、格子領域206と格子領域207との間の水平方向(X方向)の周期C8とは異なる。例えば、周期C7は36μmであり、周期C8は32μmである。他の実施形態においては、格子領域205と格子領域207(又は格子領域206)との間の上下(Y)方向周期間隔C9は36μmである。
【0033】
図11を参照するに、例えば、回折光学要素192の回折格子174の方位角は0°である。回折格子184の方位角τ6は45°である。回折格子214の方位角τ7は90°である。更に、回折格子234の方位角τ8は135°である。他の実施形態では、4種類以上の方位角の回折格子を有する回折光学要素において、異なる方位角を有する格子領域が互い違いに配置されることが可能である。
【0034】
一実施形態においては、単独の格子領域の回折格子方向は1つの方向のみに限定されるものではない。単独の格子領域は、種々の方位角の回折格子を有することが可能である。更に、格子領域は、図2乃至11に示す球形状に限定されるものではない。例えば、実施形態においては、4種類の回折格子方向を有する単独の格子領域は、正方形形状(図12)、長方形形状(図13)又は他の幾何学的形状を有することが可能である。例えば、3種類の回折格子方向を有する単独の格子領域は、正三角形形状(図14)、二等辺三角形形状(図15)、非二等辺三角形形状(図16)を有することが可能である。例えば、複数種類の回折格子方向を有する単独の格子領域は、正五角形形状(図17)又は他の五角形形状、正八角形形状(図18)又は他の八角形形状、楕円形形状(図19)又は他の曲線による形状、若しくは他の適切な形状を有することが可能である。更に、多角形形状の格子による効果により、また、異なる方向の格子の組み合わせが得られ、故に、本開示は、多角形形状の格子に限定されるものではない。
【0035】
一部の実施形態においては、回折光学要素212は、図20に示す格子領域を有する。図20を参照するに、一実施形態においては、格子領域223の周期Tは124μmである。格子領域223の幅Wは116μm乃至118μmの範囲内にある。回折格子224の周期Nは1μmである。回折格子224間のギャップ長Mは6μm乃至8μmの範囲内にある。他の実施形態においては、格子領域223間のギャップ長は0又は負であり得る。負のギャップ長は、隣接する格子領域223がそれらの間で重なり合う領域を有することを意味する。
【0036】
図21を参照するに、回折光学要素232はまた、回折格子224、回折格子254を有することが可能である。回折光学要素232はまた、互いに重なり合う回折格子244を有する格子領域及び回折格子254を有する格子領域の結果とみなされ得る。一実施形態においては、回折光学要素262は、図22に示す格子領域273及び格子領域283を有する。
【0037】
図23を参照するに、回折光学要素263は格子領域264及び格子領域265を有する。格子領域264の回折格子267の方位角は45°である。格子領域265の回折格子268及び回折格子269の方位角はそれぞれ、90°及び0°である。一実施形態においては、135°の方位角に沿って測定された格子領域264の幅W1及び135°の方位角に沿って測定された格子領域265の幅W2はそれぞれ、20μmである。135°の方位角に沿った格子領域264及び格子領域265のギャップ長C10又はC11は60μmである。
【0038】
図24を参照するに、回折光学要素271は格子領域272及び格子領域274を有する。格子領域272の回折格子275の方位角は45°である。格子領域274の回折格子276の方位角は135°である。一実施形態においては、格子領域272の水平方向(X方向)の幅W3及び格子領域274の水平方向(X方向)の幅W4はそれぞれ、20μmである。格子領域272と格子領域274との間の水平方向(X方向)のギャップ長は36μmである。
【0039】
図25を参照するに、回折光学要素277は、格子領域278、格子領域279及び格子領域280を有する。格子領域278の回折格子281の方位角は90°である。格子領域279の回折格子282の方位角は45°である。格子領域280の回折格子284の方位角は135°である。一実施形態においては、格子領域278の水平方向(X方向)の幅W5、格子領域279の水平方向(X方向)の幅W6及び格子領域280の水平方向(X方向)の幅W7はすべて、28μmである。隣接する格子領域278と格子領域279との間の水平方向(X方向)の周期間隔C12は60μmである。隣接する格子領域278と格子領域280との間の水平方向(X方向)の周期間隔C13は60μmである。
【0040】
図26を参照するに、一実施形態においては、例えば、格子領域286の水平方向(X方向)の幅W8は22μmである。格子領域287の水平方向(X方向)の幅W9及び格子領域289の水平方向(X方向)の幅W11はそれぞれ、18μmである。格子領域288の水平方向(X方向)の幅W10は14μmである。格子領域286と格子領域287との間の最小距離S12は25μmである。格子領域286と格子領域289との間の最小距離S13は15μmである。一実施形態においては、要素は、図25に示す2つの回折光学要素277を重ね合わせることにより構成されることが可能である。
【0041】
図27を参照するに、回折光学要素290は、格子領域291、格子領域293及び格子領域294を有する。一実施形態においては、格子領域291の水平方向(X方向)の幅W12、格子領域293の水平方向(X方向)の幅W13及び格子領域294の水平方向(X方向)の幅W14はそれぞれ、28μmである。隣接する格子領域291間の最小距離S14は5μmである。
【0042】
回折光学要素292はまた、図28に示すように、格子領域303及び格子領域313を有することが可能である。
【0043】
回折光学要素の格子領域は、秩序的な配置に限定されるものではなく、実際の要求に従った無秩序的な配置に適合されることが可能である。図29を参照するに、例えば、回折光学要素322は、格子領域333、格子領域343、格子領域363及び格子領域373を無秩序的に有することも、可能である。
【0044】
実施形態においては、複数の回折光学要素は、実際の要求に従って用いられるように、重ね合わされることが可能である。異なるレベルの複数の回折光学要素が、互いに異なるレベルの同じパターン、即ち、同じ形状又は同じ回折格子を有する格子領域を重ね合わせることにより、若しくは、異なるパターン、即ち、異なる特徴の異なる形状又は異なる格子を有する格子領域を重ね合わせることにより、配置されることが可能である。図2を参照するに、例えば、1つの回折光学要素32を他の回折光学要素32と重ね合わせる場合、その1つの回折光学要素32の格子領域53は、他の回折光学要素32の格子領域43と重ね合わされ、その1つの回折光学要素32の格子領域43は、他の回折光学要素32の格子領域53と重ね合わされる。例えば、レーザ光源が図2に示す単独のレーザ回折光学要素32に対して出射された後、2つの方向、例えば、0°/180°又は90°/270°の回折光が生成される。逆に、レーザ光源が、マルチレイヤ回折光学要素により構成される積層構造に対して出射した後に、送信光は、シングルレイヤ回折光学要素により生成されるように、回折方向を有するばかりでなく、送信光は、斜め方向等の他の回折方向を有する。この原因は、斜め方向についての付加的な周期構造からのものである。更に、光源に隣接する格子領域から出射され、光源に隣接する格子領域に対して垂直であり、その格子領域内に出射される光から生成される回折光は、光源から離れた格子領域により更に回折されることが仮定されている。従って、2つの方向、例えば、0°/180°又は90°/270°の回折光がシングルレイヤ回折光学要素により生成されるだけでなく、他の斜め方向、例えば、45°、135°、225°、315°、又は2つの回折格子の方位角の二等分線角度の付加的な回折光が生成される。
【0045】
実施形態においては、種々の層の回折光学要素により構成される積層構造が、実際の要求に従って同じパターンの複数の格子領域を重ね合わせることにより構成されることが可能である。図2を参照するに、一実施形態においては、例えば、1つの回折光学要素32が他の回折光学要素と重ね合わされる。1つの回折光学要素32の格子領域43が、他の回折光学要素32の格子領域43と重ね合わされる。1つの回折光学要素32の格子領域53は、他の回折光学要素32の格子領域53と重ね合わされる。それにより、回折効果を高めることができる。
【0046】
図30を参照するに、回折光学要素334は、2つの回折光学要素を重ね合わせることにより構成されることが可能である。例えば、2つの回折光学要素の一は格子領域335A及び格子領域335Bを有し、2つの回折光学要素の他は格子領域336を有する。格子領域335Aの回折格子337A及び格子領域335Bの回折格子337Bの方位角は両方共、135°である。格子領域336の回折格子338の方位角は45°である。第1列及び第3列の格子領域335A間の水平方向(X方向)の周期C14は36μmである。第2列及び第4列の格子領域336間の水平方向(X方向)の周期C15は41μmである。更に、格子領域335B間の水平方向(X方向)の周期は41μmである。格子領域335A間の鉛直方向(Y方向)の周期C26は72μmである。格子領域335Aと格子領域336との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C16は36μmである。
【0047】
図31を参照するに、回折光学要素339は、2つの回折光学要素を重ね合わせることにより構成されることが可能である。例えば、2つの回折光学要素の一は格子領域340A及び格子領域340Bを有し、2つの回折光学要素の他は格子領域341を有する。格子領域340Aの回折格子342A及び格子領域340Bの回折格子342Bの方位角は両方共、0°である。格子領域341の回折格子334の方位角は90°である。第1列及び第3列の格子領域340A間の水平方向(X方向)の周期C17は36μmである。第2列及び第4列の格子領域341間の水平方向(X方向)の周期C18は41μmである。更に、格子領域340B間の水平方向(X方向)の周期C27は41μmである。格子領域340A間の鉛直方向(Y方向)の周期C28は72μmである。格子領域340Aと格子領域341との間の鉛直方向(Y方向)の周期C19は36μmである。
【0048】
図32を参照するに、回折光学要素345は、格子領域346、格子領域347及び格子領域348を有する。一実施形態においては、格子領域346間の水平方向(X方向)の周期C20は26μmである。格子領域347間の水平方向(X方向)の周期C21は48μmである。格子領域348間の水平方向(X方向)の周期C22は26μmである。格子領域346と格子領域347との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C23は41μmである。格子領域347と格子領域348との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C24は41μmである。
【0049】
実施形態においては、回折光学要素は、表示装置の条件及び効果に従って調節される。 図33を参照するに、実施形態においては、表示装置410は液晶表示装置である。表示装置410は、バックライトモジュール411,液晶パネル427、偏光子415及び偏光子425を有する。液晶パネル427はバックライトモジュール411に備えられている。例えば、液晶パネル427は、薄膜トランジスタ基板416、液晶層418、カラーフィルタ基板421、配向膜417及び配向膜419を有する。配向膜419はカラーフィルタ基板421に備えられることが可能である。配向膜417は薄膜トランジスタ基板416に備えられることが可能である。液晶層418は、配向膜417と配向膜419との間に備えられることが可能である。偏光子415は、薄膜トランジスタ基板416とバックライトモジュール411との間(液晶パネル427の光入射側)に備えられることが可能である。偏光子425はカラーフィルタ基板421(液晶パネル427の光出射側)に備えられることが可能である。回折光学要素401は、偏光子425の光出射側に備えられることが可能である。回折光学要素402は、偏光子425に対向して又は偏光子425とは反対側に波頂構造を位置付けることにより備えられる。回折光学要素425は、回折機能を有する他の要素、例えば、反射防止膜、スクラッチ耐性膜等と積層することにより用いられることが可能である。
【0050】
一部の実施形態においては、表示装置410はねじれネマティック(TN)液晶表示装置である。この場合、図34を参照するに、配向膜417の配向方向426の方位角は、配向膜419の配向方向436の方位角に対して平行でないように配置される。液晶層418内の液晶モジュール428は、配向膜417及び配向膜419により配向され、故に、配向膜419(図33のカラーフィルタ基板421に隣接する上部層配向膜)に隣接する液晶分子428a(上部層液晶分子)と、図33の薄膜トランジスタ416に隣接する配向膜417(即ち、下部層配向膜)に隣接する液晶分子428b(即ち、下部層液晶分子)とが、ねじれ構造に且つプレチルト角を有するように、配向される。配向膜から離れた、プレチルト角を有する液晶分子の一端部は始端部と呼ばれ、液晶分子の他端部は終端部と呼ばれる。例えば、配向膜419は、プレチルト角を有するように上部層液晶分子428aを配向させるために用いられる。例えば、配向膜417は、プレチルト角を有するように下部層液晶分子428bを配向させるために用いられる。配向膜417及び配向膜419は、ねじれ構造に連続的にねじれるように液晶分子428を配向させるために、互いに対して平行でない配向方向に対して配置される。そのねじれ構造において、液晶分子428のねじれ角は、下部液晶分子428bの始端部から、中間層液晶分子を介して、上部層液晶分子428aの終端部への連続的な角度のねじれとして定義され得る。
【0051】
更に、従来のねじれネマティック(TN)液晶表示装置については、連続的にねじられる下部層液晶分子428bの始端部から、中間層液晶分子を介して、液晶分子の終端部までの範囲に亘る視野角の光学特性は、良好でなく、故に、通常、ビューアに対する見下ろし角と定義されている。悪い視野角の当該領域はまた、ビューアに対する一部の視野角方向と定義されることもある。
【0052】
基板に対して傾けられた液晶分子の方位角は傾斜方位角と定義されている。例えば、液晶分子は、基板との特定の挟み角を有するように配向される又は駆動されるため、傾斜された液晶は、基板の水平方向の平面に対する方位角を有する。換言すれば、基板の水平方向の平面における液晶分子の終端部の投影方向と基板のX軸との間の挟み角は、液晶傾斜方位角と定義されている。液晶表示装置はマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置であるため、種々の液晶傾斜方位角が同時にもたらされることが理解できる。
【0053】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、表示装置410(図34)の液晶分子428の条件に従って設計される。図35を参照するに、例えば、液晶分子428aは、例えば、45°の液晶傾斜方位角Q1を有する。液晶分子428bは、例えば、315°の液晶傾斜方位角Q1を有する。この場合、0°及び90°の方位角を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度(即ち、回折光学要素を占める格子の面積率)は、90°の方位角を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図2に示す回折光学要素32を用いることが可能である。一実施形態においては、0°、45°及び135°の方位角を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、0°の方位角を有する回折格子の密度はそれぞれ、45°及び135°の方位角を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図4に示す回折光学要素82が用いられることが可能である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向と、上部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は、90±10°又は0±10°である。回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向と、上部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は、180±10°又は90±10°である。
【0054】
一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−90±20°であり、好適には−90±10°である。他の実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90°±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0°±10°である。他の実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±60°であり、好適には45°±20°であり、より好適には45±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±60°であり、好適には−45°±20°であり、より好適には−45°±10°である。
【0055】
一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±20°であり、好適には45±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90±10°である。他の実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±15°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は95±15°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±15°である。一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は30±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−15±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は75±10°である。一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°である。
【0056】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、表示装置410の配向膜417、配向膜419に従って設計されることが可能である(図33)。例えば、一実施形態においては、配向膜419の配向方向の方位角は45°であり、配向膜417の配向方向の方位角は−45°である。この場合、0°及び90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、一部の実施形態においては、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度は、90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図2の回折光学要素32が用いられることが可能である。他の実施形態においては、0°、45°及び135°の方位角を有する格子方向を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度は、45°及び135°のそれぞれの方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図4の回折光学要素82が用いられることが可能である。 一実施形態においては、上側配向膜の配向方向と下側配向膜の配向方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±60°であり、好適には45±20°であり、より好適には45±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±60°であり、好適には−45±20°であり、より好適には−45±10°である。他の実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−90±20°であり、好適には−90±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は+90±20°であり、好適には+90±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°である。
【0057】
一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90度であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±15°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±15°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±15°である。一実施形態においては、上部層液晶分子の配向方向と下部層液晶分子の配向方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は30±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−15±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は75±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±20°である。
【0058】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、偏光子の配置に従って設計される。
【0059】
図36を参照するに、例えば、光出射側の、図33の偏光子425のような偏光子の偏光方向445の方位角Ψ1は135°であり、即ち、偏光子425の透過軸の方位角は135°である、又は、偏光子425の吸収軸の方位角は45°である。図33の偏光子415のような偏光子の偏光方向455の方位角Ψ2は45°であり、即ち、その偏光子の透過軸の方位角は45°である、又は、その偏光子の吸収軸の方位角は135°である。回折光学要素462は、図2の回折光学要素32と同様であり、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子474及び90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子484をそれぞれ有する、格子領域473及び格子領域483を有する。回折格子473の密度は、回折格子483の密度より高い又はその密度に等しい。この場合、格子領域473により構成される行の長い軸方向の方位角及び格子領域483により構成される行の長い軸方向の方位角は0°である。互い違いに配置されている格子領域473及び格子領域483により構成される列の長い軸方向の方位角は90°である。
【0060】
図37に示す実施形態は、図36の格子領域473と類似する格子領域493と、図36の格子領域483と類似する格子領域503とが互い違いに配置されている点で、図36に示す実施形態とは異なる。この場合、格子領域493により構成される行の長い軸方向496の方位角及び格子領域503により構成される行の長い軸方向497の方位角は0°である。互い違いに配置されている格子領域493及び格子領域503により構成される列の長い軸方向の方位角は60°である。図38に示す実施形態は、図36における格子領域473に類似する格子領域513及び図36における格子領域483に類似する格子領域523が互い違いに配置されている点で、図36に示す実施形態とは異なる。この場合、互い違いに配置されている格子領域513及び格子領域523により構成される行の長い軸方向の方位角は0°である。互い違いに配置されている格子領域513及び格子領域523により構成される列の長い軸方向の方位角は90°である。
【0061】
図39を参照するに、光出射側の、図33における偏光子425のような偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3は135°であり、即ち、偏光子425の透過軸の方位角は135°である、又は偏光子425の吸収軸の方位角は45°である。バックライトモジュールに隣接する、図33における偏光子415のような偏光子の偏光方向515の方位角Ψ4は45°であり、即ち、偏光子455の透過軸の方位角は45°である、又は偏光子455の吸収軸の方位角は135°である。図4の回折光学要素82に類似する回折光学要素522は、例えば、135°の方位角を有する格子方向を有する回折格子534、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子544、及び45°の方位角を有する格子方向を有する回折格子554をそれぞれ有する、格子領域533、格子領域543及び格子領域553を有する。一実施形態においては、特にTN液晶表示装置について、回折格子544の密度は、回折格子534の密度及び回折格子554の密度のそれぞれより高い又はそれらの密度に等しい。
【0062】
図40を参照するに、光出射側の、図33における偏光子425のような偏光子の偏光方向545の方位角Ψ5は135°であり、即ち、偏光子425の透過軸の方位角は135°である、又は偏光子425の吸収軸の方位角は45°である。バックライトモジュールに隣接する、図33における偏光子415のような偏光子の偏光方向555の方位角Ψ6は45°であり、即ち、偏光子455の透過軸の方位角は45°である、又は偏光子455の吸収軸の方位角は135°である。図8の回折光学要素182に類似する回折光学要素562は、135°の方位角を有する格子方向を有する回折格子574、及び45°の方位角を有する格子方向を有する回折格子584をそれぞれ有する、格子領域573及び格子領域583を有する。
【0063】
図41を参照するに、光出射側の、図33における偏光子425のような偏光子の偏光方向605の方位角Ψ7は135°である。バックライトモジュールに隣接する、図33における偏光子415のような偏光子の偏光方向615の方位角Ψ8は45°である。用いるための回折光学要素622は、図28の回折光学要素292に類似していて、種々の格子方向を有する回折格子604、及び90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子614をそれぞれ有する、格子領域603及び格子領域613を有する。
【0064】
一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向の方位角と、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角との間の挟み角は135±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向の方位角と、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角との間の挟み角は45±20°である。他の実施形態においては、光出射側の偏光子の偏光方向と、光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であり、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°である。他の実施形態においては、光出射側の偏光子の偏光方向と光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は180±20°であり、好適には180±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は45±15°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は0±15°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±15°である。他の実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は20±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は75±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は165±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は135±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は180±20°である。
【0065】
一実施形態において、一実験では、図20に示す回折光学要素212(T=124μm、W=117μm、N=1μm、M=7μm)を有するN101L6−L07型液晶表示装置を測定するためにKonica Minolta CS−2000を用いる。液晶表示装置の白状態及び黒状態が、回折光学要素212の反時計方向回転の5°間隔で測定される。更に、コントラスト値(白状態(255階調)輝度/黒状態(0階調)輝度)と、各々の階調の正規化輝度(各々の階調についての輝度/白状態(255階調)輝度)とが演算される。それらのデータは表1に示されている。回折光学要素を用いない表示装置は1つの比較例である。特定の階調のために表示装置の正規化輝度についての回折格子の角度を調節する効果について、表2に示されている。表2に示す特性についての測定方法は、回折格子の角度を調節し、特定の階調(224階調、232階調)において、0°の天頂角における表示装置の正規化輝度と、45°又は60°の天頂角における表示装置の輝度との間の差分を測定する。次の階調の1つの単位(unit)と前の階調の1つの単位(unit)との間の差分として生じる階調の回復(reversion)は負である。正規化差分は、回折格子が0°の方位角を有する状態と、回折格子が他の回転角の方位角を有する状態との間の差分である。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
側方視野角は、94%の高密度によりかなり改善されることが可能である。しかしながら、単一の格子方向が用いられるために、その結果は回転角度によりかなり影響される。 表示機器のコントラストは、偏光子の回折格子方向と偏光方向との間の挟み角を調節することにより影響が与えられる。
【0068】
他の実施形態においては、一実験では、図36に示す回折光学要素462(S1=9μm、S2=15μm、S4=S5=13μm、D1=D2=1μm、K1=K2=28μm)を有するN101L6−L07型液晶表示装置(800x600、126PPI、並びに画素203.2μmである画素の長い辺及び67.73μmである画素の短い辺)を測定するように、Konica Minolta CS−2000を用いる。図2を参照するに、他の実施形態においては、表示機器(S1=9μm、S2=15μm、S3=9μm、D1=D2=1μm、S4=S5=41μm、K1=K2=28μm)が用いられることが可能である。液晶表示装置の白状態及び黒状態が、回折光学要素462の反時計方向回転の5°間隔で測定される。更に、コントラスト値(白状態(255階調)輝度/黒状態(0階調)輝度)及び各々の階調についての正規化輝度(各々の階調の輝度/白状態(255階調)輝度)が演算される。コントラストに対する回折格子の影響については、表3及び図42に示されている。回折光学要素を用いない表示装置は1つの比較例である。特定の階調についての表示装置の正規化輝度に対して回折格子の角度を調節する効果については、表4、図43及び図44に示されている。
【0069】
【表3】
図42及び表3においては、図36の配置状態に示すように、0°は、格子領域473の回折格子474の方位角が0°であり、回折領域483の回折格子484の方位角が90°であることを意味する。図42及び表3においては、+5°は、格子領域473の回折格子474の方位角が+5°であり、回折領域483の回折格子484の方位角が+95°であることを意味する。光出射側の偏光子の偏光方向445の方位角Ψ1は135°に固定され、故に、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子484の格子方向までの挟み角は−130°(又は+50°)であり、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子474の格子方向までの挟み角は−40°(又は+140°)である。反時計方向の角度は正の値であり、時計方向の角度は負の値である、等である。
【0070】
表3から、コントラストに対する影響を低減するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が約+45°であり、回折格子484の方位角が135°であることが分かる。90%以下のコントラストに対してその影響を維持するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が45±20°であり、回折格子484の方位角が135±20°であることである。95%以下のコントラストに対してその影響をもたらすためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が45±10°であり、回折格子484の方位角が135±10°であることである。上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角が90°であるため、好ましい条件は、回折光学要素の回折格子474の格子方向から、上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角が0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の回折格子4874の格子方向から、上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角が−90±20°であり、好適には−90±10°であることである。更に、回折格子474の格子方向から、図34の配向膜419のような第1(上部層)配向膜の配向方向までの挟み角は0±10°であり、回折格子484の格子方向から、図34の配向膜419のような第1(上部層)配向膜の配向方向までの挟み角は−90±10°である。光出射側の偏光子の偏光方向と、光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であるため、回折格子474の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±10°であり、回折格子484の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は0±10°である。
【0071】
表3から、コントラストに対するその影響を低減するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が約−45°であり、回折格子484の方位角が45°であることである。その影響を90%以下のコントラストに対して維持するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が−45±20°であり、回折格子484の方位角が45±20°であることである。95%以下のコントラストに対してその影響をもたらすためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が−45±10°であり、回折格子484の方位角が45±10°であることである。この実施形態においては、回折格子474の格子方向から、図34の上部層液晶分子のような上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±10°であり、回折格子484の格子方向から、上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±10°である。回折格子474の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±10°であり、回折格子484の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±10°である。光出射側の偏光子の偏光方向と、光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であるため、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子474の格子方向までの挟み角は180±10°であり、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子484の格子方向までの挟み角は90±10°である。
【0072】
【表4】
表4に示す特性についての測定方法は、回折格子の角度を調節し、特定の階調(224階調、232階調)において、0°の天頂角における表示装置の正規化輝度と、45°又は60°の天頂角における表示装置の輝度との間の差分を測定する。階調の回復のための各々の単位は8階調である。次の階調の1つの単位(unit)と前の階調の1つの単位(unit)との間の差分として生じる階調の回復(reversion)は負である。正規化差分は、回折格子が0°の方位角を有する状態と、回折格子が他の回転角の方位角を有する状態との間の差分である。
【0073】
比較例においては、(Θ,Ψ)=(45,270)の観察角度で、方位角Θ=45°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、224階調で最大値(56.41%)を有する。従って、方位角Θ=45°における観察は224階調に基づくものである。0°からの回折光学要素462の回折格子474の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=45°及びΘ=0°の224階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約30乃至40°に達するときに、最大値(53.2%)を得、その値は比較例(58.9%)より小さい。その差分値は、約40°の偏差の後に、最大値より小さくなる。
【0074】
比較例においては、(Θ,Ψ)=(60,270)の観察角度で、方位角Θ=60°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、232階調で最大値(58.92%)を有する。0°からの回折光学要素462の回折格子474の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=60°及びΘ=0°の232階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約45°に達するときに、最大値(50.0%)を得、その値は比較例(58.9%)より小さい。図2を図3と比較することにより、回折光学要素462の回転による影響は、回折光学要素212の回転による影響より小さいことが分かる。
【0075】
全体としては、約40乃至45°の偏差の回折光学要素462の影響が悪くても、比較例に比べて、尚も良好である。従って、回折光学要素462は、0乃至60°の偏差範囲で用いられることが可能である。
【0076】
この実施形態においては、階調の回復を改善するために、回折格子474の方位角は0±60°に設定され、回折格子484の方位角は90±60°に設定される。見下ろし角度特性を更に改善するために、回折格子474の方位角は0±20°に設定され、回折格子484の方位角は90±20°に設定される。回折格子474の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は135±20°であり、回折格子484の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は45±20°である。回折格子474の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±10°であり、回折格子484の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±10°である。回折格子474の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±10°であり、回折格子484の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±10°である。
【0077】
一実施形態において、一実験では、図39に示す回折光学要素522(S6=1μm、S7=1μm、S8=1μm、D3=D4=D5=1μm、S9=S10=S11=1μm、K3=K4=K5=28μm)を有するN101L6−L07型液晶表示装置を測定するためにKonica Minolta CS−2000を用いる。液晶表示装置の白状態及び黒状態が、回折光学要素522の反時計方向回転の5°間隔で測定される。更に、コントラスト値(白状態(255階調)輝度/黒状態(0階調)輝度)と、各々の階調の正規化輝度(各々の階調についての輝度/白状態(255階調)輝度)とが演算される。実験結果が図45及び図46に示されている。図45及び46においては、0°は、格子領域543の回折格子474の方位角が0であり、回折領域553の回折格子554の方位角が45°であることを意味する。回折光学要素522の面積の24.4%が、格子領域533の面積により占められる。回折光学要素522の面積の24.4%が、格子領域543の面積により占められる。更に、回折光学要素522の面積の24.4%が、格子領域553の面積により占められる。+5°は、格子領域533の回折格子534の方位角が140°であり、回折領域543の回折格子544の方位角が5°であり、回折領域553の回折格子554の方位角が50°であることを意味する。光出射側の偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3は135°に固定され、故に、回折格子534の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は−5°(又は+175°)であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は−50°(又は+130°)であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は−90°(又は+85°)である。反時計方向の角度は正の値であり、時計方向の角度は負の値である、等である。表示装置についてのコントラストに対する回折格子角度の影響については、表5、図45及び図46に示されている。回折光学要素を用いない表示装置は1つの比較例である。特定の階調について表示装置の正規化輝度に回折格子の角度を調節する効果については、表6、図47及び図48に示されている。
【0078】
【表5】
表5を参照するに、実験結果から、コントラストについての影響は、回折格子534の方位角が45±15°であり、回折格子544の方位角が90±15°であり、回折格子554の方位角が135±15°であるために、小さい。この実施形態においては、光出射側の偏光子の偏光方向505と光入射側の偏光子の偏光方向515との間の挟み角が90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3が135°であるために、光出射側の偏光子の偏光方向505から回折格子534の格子方向までの挟み角は90±15°であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は45±15°であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は0±15°である。回折格子544の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±15°であり、回折格子554の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−90±15°であり、回折格子534の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±15°である。回折格子544の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±15°であり、回折格子554の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−90±15°であり、回折格子534の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±15°である。
【0079】
一実施形態においては、コントラストについての影響は、回折格子534の方位角が−30±10°であり、回折格子544の方位角が15±10°であり、回折格子554の方位角が60±10°であるために、小さい。光出射側の偏光子の偏光方向505と光入射側の偏光子の偏光方向515との間の挟み角が90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3が135°であるために、回折格子534の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は165±10°であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は120±10°であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は75±10°である。回折格子544の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は30±10°であり、回折格子554の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−15±10°であり、回折格子534の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は75±10°である。回折格子544の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は30±10°であり、回折格子554の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−15±10°であり、回折格子534の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は75±10°である。
【0080】
【表6】
表6を参照するに、比較例において、(Θ,Ψ)=(45,270)の観察角度で、方位角Θ=45°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、224階調で最大値(56.41%)を有する。従って、方位角Θ=45°における観察は224階調に基づくものである。0°からの回折光学要素522の回折格子544の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=45°及びΘ=0°の224階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約60°に達するときに、最大値(43.58%)を得、その値は比較例(56.4%)より小さい。表6を表1と比較することにより、回折光学要素522を回転することによる影響は、回折光学要素212を回転させることによる影響より小さいことが分かる。
【0081】
比較例においては、(Θ,Ψ)=(60,270)の観察角度で、方位角Θ=60°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、232階調で最大値(58.92%)を有する。0°からの回折光学要素522の回折格子544の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=60°及びΘ=0°の232階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約50°に達するときに、最大値(39.71%)を得、その値は比較例(58.9%)より小さい。その差分値は、約50°の偏差の後に、最大値より小さくなる。
【0082】
全体としては、約60°の偏差の回折光学要素462の影響が悪くても、比較例に比べて、尚も良好である。従って、回折光学要素522は、0乃至60°の偏差範囲で用いられることが可能である。この実施形態においては、階調の回復を改善するために、回折格子534の方位角は135±40°に設定され、回折格子544の方位角は0±40°に設定され、回折格子554の方位角は45±40°に設定される。見下ろし角度特性を更に改善するために、回折格子534の方位角は135±20°に設定され、回折格子544の方位角は0±20°に設定され、回折格子554の方位角は45±20°に設定される。回折格子534の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は180±20°であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は135±20°であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°である。この実施形態においては、回折格子544の格子方向から上部層液晶分子(図34の液晶分子428a等)の傾斜方向までの挟み角は45±20°であり、回折格子554の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、回折格子534の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°である。回折格子544の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±20°であり、回折格子554の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、回折格子534の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±20°である。
【0083】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、表示装置の条件に従って設計される。
【0084】
図49を参照するに、表示装置は画素630を有する。画素630は、画素単位領域637、画素単位領域638及び画素単位領域639を有する。例えば、画素単位領域637、画素単位領域638及び画素単位領域639の各々は、互いに隣接する画素の長い辺647及び画素の短い辺648を有する。画素単位領域637、画素単位領域638及び画素単位領域639は、赤色画素単位領域、緑色画素単位領域及び青色画素単位領域のそれぞれであることが可能である。他の実施形態においては、画素単位領域は3つの領域に限定されるものではなく、種々の色により構成されることが可能である。一般に、画素の短い辺648の長さJは、画素の長い辺647の長さLの3分の1である。一部の実施形態においては、画素630は、モノクロ表示装置を構成するための単独の色についてのものであることが可能であり、画素単位領域の各々は、同じ長さを有する画素の辺を有することが可能である。
【0085】
図49を参照するに、この実施形態においては、格子領域653により構成される行の長い軸方向、及び格子領域663により構成される行の長い軸方向は両方共、画素の短い辺648の方向と実質的に平行である。互い違いに配置されている格子領域653及び格子領域663により構成される列の長い軸方向は、画素の長い辺647の方向と実質的に平行である。更に、格子領域653により構成される行においては、格子領域653間の周期は、画素の短い辺648の長さJより小さい又はその長さに等しい。格子領域663により構成される行においては、格子領域663の周期Gxはまた、画素の短い辺648の長さJより小さい又はその長さに等しい。従って、画素の各々についての光は、少なくとも1つの格子領域653及び少なくとも1つの格子領域663からの効果を得ることが可能である。一部の実施形態においては、特定の単独の画素単位における格子密度及び格子構造単位を固定する条件で、格子領域653の周期Px及び格子領域663の周期Gxは、画素の短い辺648の長さJより小さい又はその長さに等しい必要はなく、故に、長さJより大きいことも可能である。例えば、画素の短い辺に沿って周期的に配置される赤色画素単位、緑色画素単位及び青色画素単位を有する表示装置において、赤色画素単位領域については、1つの列における赤色画素は格子を有し、列状のすぐ次の左側(右側)の赤色画素は格子を有さない、又は他の種類の配列の格子を有する。
【0086】
図49を参照するに、一部の実施形態においては、格子領域653及び格子領域663により構成される列では、格子領域653の周期Pyは、画素の長い辺647の長さLより小さい又はそれに等しい。格子領域663により構成される列においては、格子領域663の周期Gyは、画素の長い辺647の長さLより小さい又はそれに等しい。従って、画素の各々についての光は、少なくとも1つの格子領域653及び少なくとも1つの格子領域663からの効果を得ることが可能である。一部の実施形態においては、特定の単独の画素単位における格子密度及び格子構造単位を固定する条件で、格子領域653の周期Py又は格子領域663の周期Gyは画素の短い辺647の長さLより小さい又はそれに等しい必要はなく、故に、長さLより大きいことが可能である。例えば、画素の長い辺に沿って、1つの行は格子であり、次のすぐ左側(右側)の行は格子を有さない、又は他の種類の配列の格子を有する。
【0087】
図50に示す実施形態は、格子領域673及び格子領域683により構成されるラインの長い軸が、画素の短い辺668及び画素の長い辺667と平行でない点で、図49に示す実施形態とは異なる。実施形態においては、格子領域673及び互い違いに配置された格子領域683により構成されるラインの長い軸と画素の短い辺668との間の挟み角gは、0°より大きく且つ90°より小さい。更に、格子領域673の格子軸及び格子領域683の格子軸は挟み角gに従う。互い違いに配置された格子領域673及び格子領域683により構成されるラインの周期において、格子領域673と格子領域683との間の周期FはJ/cos(g)より小さい又はそれに等しい。Jは、画素の短い辺668の長さである。格子領域673により構成されるラインの長い軸及び画素の短い辺668はそれらの間に挟み角90−gを有する。格子領域683により構成されるラインの長い軸及び画素の短い辺668はそれらの間に挟み角90−gを有する。格子領域673により構成されるライン及び格子領域683により構成されるラインにおいては、格子領域673間の周期V及び格子領域683間の周期Yはそれぞれ、J/cos(90−g)より小さい又はそれに等しい。この構造配置は、モアレの問題を解決するために、又は、存在する全体的な配置を変更することなく、表示装置の方向に対して回折要素の主回折方向を調節するために、用いられることが可能である。
【0088】
図50を参照するに、格子領域673の格子軸及び格子領域683の格子軸が全体的な配置により角度gだけ移動されるため、補償方向は角度gだけ移動する。この場合、角度gだけ回転しないように主回折方向を保つために、格子領域673及び格子領域683は、図51に示すようにそれらの格子軸方向を変えることなく、形成されることが可能である。
【0089】
格子領域の配置は、実際の要求に従って調節されることが可能である。図52及び図53を参照するに、格子領域は、対応する画素単位領域に従って配置される。例えば、同じ色又は同じ構造の画素単位領域における複数の格子領域であって、例えば、赤色、緑色及び青色画素を1つずつ有する単独の単位、又は赤色画素、緑色画素及び青色画素を複数個ずつ有する単独の単位は、同じ配置方法を有する。任意に、異なる複数の色又は異なる複数の構造の画素単位領域における格子領域であって、例えば、赤色、緑色及び青色画素を1つずつ有する単独の単位、又は赤色画素、緑色画素及び青色画素を複数個ずつ有する単独の単位は、異なる配置方法を有する。例えば、正面視で、ホワイト階調の有彩色は青色である。表示装置の正面視(観察角度Θ=0)からのホワイト階調の色収差を補償するために、青色画素単位領域における格子密度は、赤色画素単位領域及び緑色画素単位領域における格子密度より高いことが可能である。図54に示す一実施形態においては、同じ色の画素単位領域は、同じ格子領域により構成されるラインを有するように設計されている。更に、複数の画素において配置されるラインの位置は変更されることが可能である。従って、周期構造の格子において容易に生じる光学的なモアレの課題を回避することが可能である。図55においては、格子領域により構成されるラインと画素の辺との間の挟み角であって、例えば、この実施形態における同じ挟み角g1は、適切に調節されることが可能である。図56を参照するに、この実施形態においては、上側画素に対応する格子領域により構成されるラインと、画素の辺とは、それらの間に同じ挟み角g2を有する。下部上方画素に対応する格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に種々の挟み角g3、g4、g5、g6を有する。すべての画素は、その方法により実質的に同じ面積の複数の格子領域を有する。図57を参照するに、格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に異なる挟み角を有することが可能である。図58を参照するに、この実施形態においては、上方画素に対応する格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に同じ挟み角g8を有する。下方画素に対応する格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に同じ挟み角g9を有する。挟み角g8及び挟み角g9はそれぞれ、90°より小さい又は大きい。図59に示す実施形態は、図54に示す実施形態の変形である。図59に示す実施形態は、図59においては、一部の格子領域がラインの長い軸から外されている点で、図54に示す実施形態と異なる。その外されている度合いは、ライン間の周期における範囲に限定され、故に、同じ特性の画素、例えば、同じ色、同じLCモード等のそれぞれは、同じ面積の格子領域を等しく有する。各々の群のRGB画素は、それらの間に周期Λ1,...,Λnを有する格子領域の格子配列を有する。一部の実施形態においては、互いに隣接する異なる群のRGB画素は、異なる格子配列を有するように設計されることが可能である。その設計は、RGB画素間の周期及び格子の周期構造が再構成されることが可能である限り、調整されることが可能である。
【0090】
格子領域及び画素の辺により構成されるラインは、モアレの問題を低減するために、それらの間で異なる挟み角を有するように、設計されることが可能である。
【0091】
実施形態においては、一実験は、図36に示す回折光学要素462(S1=9μm、S2=15μm、S3=9μm、D1=D2=1μm、K1=K2=28μm、図2を参照)を有するN101L6−L07型液晶表示装置を測定するようにKonica Minolta CS−2000を用いる。8”TNパネルの白状態及び黒状態が測定される。更に、8”TNパネルのコントラスト値が演算される。この実施形態においては、S5=13μmを固定し、格子領域間の周期、例えば、円の中心間で、ギャップ長=20μm(S4=8)、23μm(S4=5)、26μm(S4=2)、29μm(S4=1)、32μm(S4=4)、35μm(S4=7)、38μm(S4=10)、41μm(S4=13)、44μm(S4=16)、を調節する条件が用いられる。この実験結果については、表7に示す。
【0092】
【表7】
回折光学要素の面積に対する格子領域の面積の比が、演算により得られる。例えば、一実施形態においては、格子領域間のギャップ長が26μm乃至41μmであるとき、表示機器(TN型液晶表示装置を有する)の白状態における輝度又はコントラスト((白状態の輝度/黒状態の輝度)に等しい)は、図60に示すように、略線形関係を有する格子領域間のギャップ長の変化により、変化することが分かる。S5+K2=S4+K1=41μmの条件では、回折効率は実質的に対称的な結果を示し、故に、基準として用いることが可能であるため、構造変化が、回折効率の増加又は低下に略対応して想定される。図60に示す結果から、格子領域(図2に示す構造を有する)間のギャップ長が1μmだけ変化するとき、表示機器の回折効率は約2.33%だけ変化し、故に、正規化輝度は2.3%だけ変化する。従って、全体的な傾斜回折効果の増加/減少については、格子領域間のギャップ長は、41μmから線形的に増加又は減少されることが可能である。同様に、コントラストは、同様の方法で変化されることが可能である。例えば、10%だけ全体的な傾斜回折効果を増加させる(正規化輝度を低下させる)ためには、格子領域間のギャップ長は41μmから2.1μmだけ縮められる必要がある。例えば、傾斜回折を10%だけ増加させるためには、格子領域間のギャップ長は38.9μmである必要がある。傾斜回折を20%だけ増加させるためには、格子領域間のギャップ長は36.7μmである必要がある、等である。それに対して、10%だけ正規化輝度を増加(又は、傾斜回折効果を低下)させるためには、格子領域間のギャップ長は、41μmから2.1μmだけ増加される必要がある。例えば、10%だけ正規化輝度を増加させるためには、格子領域間のギャップ長は43.1μmである必要がある。20%だけ正規化輝度を増加させるためには、格子領域間のギャップ長は45.3μmである必要がある、等である。
【0093】
本明細書においては、例として、例示としての実施形態について詳述しているが、それらに限定されるものでないことが理解される必要がある。また、本明細書は、種々の変形、類似する構成及び方法を包含するように意図されていて、同時提出の特許請求の範囲において、そのような変形、類似する構成及び方法を網羅するように、広範に解釈される必要がある。
【符号の説明】
【0094】
2 回折光学要素
10 表示装置
32 回折光学要素
43 格子領域
44 回折格子
53 格子領域
54 回折格子
212 回折光学要素
223 格子領域
224 回折格子
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、表示機器に関し、特に、回折光学要素を有する表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、画像表示装置には主に、液晶表示装置、プラズマ表示装置、OLED表示装置、電子ペーパー表示装置等がある。液晶表示装置は非自発光表示装置であり、故に、画像を表示するためには、拡散膜、増輝膜等の光学膜を介して均一な平面形状を有する液晶表示パネルに入射する光を生成するバックライト光源が通常、必要である。
【0003】
発明の名称が“空間光変調装置及びプロジェクタ”である特開2005―70632号公報においては、高コントラストの投影画像を有し、低コストで、簡単な構造であるプロジェクタについて開示されている。TFT基板及び対向基板の対と、TFT基板と対向基板と間に挿入された液晶と、を有し、TFT基板側から変調光を発するように画像信号に従って対向基板側からの入射光を変調する空間光変調装置は、TFT基板の光出射側に偏光させるウェッジプリズムを有する。
【0004】
発明の名称が“Image display apparatus”である欧州特許第0567995A1明細書においては、画像表示装置であって、二次元パターンで配置された複数のドット形状のピクチャ要素と、装置から出射する画像状光線が中を進む光路に備えられている回折格子と、を有する液晶表示パネルについて開示されている。
【0005】
発明の名称が“Projection screen apparatus including holographic optical element”である米国特許第6,483,612号明細書においては、ホログラフィック光学素子及びディフューザを有するスクリーン装置について開示されている。そのホログラフィック光学素子は、動作中、画像エンジン又はプロジェクタから画像光を受け入れ、散乱のためにディフューザの方にその画像光の向きを変える。ホログラフィック光学素子は、画像光を実質的にコリメートする、収束させる、又は発散させるように設計されることが可能である。
【0006】
ねじれネマティック(TN)又は超ねじれネマティック(STN)液晶表示装置は、通常使用される種類の表示装置である。これらの種類の液晶表示装置は価格の点で有利であるが、その視野角は、通常の広い視野角の液晶表示装置であって、例えば、マルチドメイン垂直配向型(MVA)液晶表示装置、横電界方式(IPS)液晶表示装置、フリッジフィールドスイッチング(FFS)液晶表示装置等の視野角より小さい。
【0007】
視野角とは、表示装置が規格範囲内にある画像品質の画像を表示することができる角度範囲のことをいう。例えば、一般的なデスクトップ液晶表示装置については、主視野角は正面視である。従って、設計者においては、主に光学的効果が液晶モジュールの構成により影響されるために、表示装置は、正面視に照らして設計される。故に、オブザーバには、液晶表示装置に対して異なる斜めからの角度で、異なる色及び輝度の画像が見える。同時に、その画像の違いは、視野角が大きくなればなる程、大きくなる。通常用いられている液晶表示装置の中で、TN液晶表示装置は最も悪い条件を有する。何ら視野角を補償する要素を用いることのないTN液晶表示装置については、通常、液晶表示装置の側方視野角から観察される画像は、重大なコントラストの低下(10以下)、階調復元度等の課題を有する。
【0008】
従って、コントラスト、階調復元等の画像品質の課題を改善する表示装置が要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005―70632号公報
【特許文献2】欧州特許第0567995A1明細書
【特許文献3】米国特許第6,483,612号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
表示機器が備えられる。表示機器は、液晶ディスプレイ、第1偏光子、第2偏光子及び回折光学要素を有する。液晶表示装置はバックライトモジュール及び液晶パネルを有する。液晶パネルは、第1基板、第2基板及び液晶層を有する。液晶層は、第1基板と第2基板との間に備えられる。第1偏光子は第1基板上に備えられる。第2偏光子は、第2基板とバックライトモジュールとの間に備えられる。第1偏光子の偏光方向及び第2偏光子の偏光方向は異なる方位角を有する。回折光学要素は第1偏光子の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する。第1回折格子の格子方向及び第2回折格子の格子方向は異なる方位角を有する。
【0011】
表示機器が備えられる。表示機器は、画像を表示する液晶ディスプレイ及び回折光学要素を有する。液晶表示装置はバックライトモジュール及び液晶パネルを有する。液晶パネルは、バックライトモジュール上に備えられ、第1基板、第1配向膜、第2基板、第2配向膜及び液晶層を有する。第1配向膜は第1基板上に備えられる。第2配向膜は第2基板上に備えられる。第1配向膜の配向方向及び第2配向膜の配向方向は異なる方位角を有する。液晶層は、第1配向膜と第2配向膜との間に備えられる。回折光学要素は、液晶表示装置の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する。第1回折格子の格子方向の方位角は、第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる。
【0012】
画像を表示する液晶表示装置が備えられる。液晶表示装置は、液晶パネル及び回折光学要素を有する。液晶パネルは、第1基板、第2基板及び液晶層を有する。液晶層は、第1基板と第2基板との間に備えられる。液晶層は複数の液晶分子を有する。第1基板に隣接する液晶分子の少なくとも1つは第1液晶傾斜方向を有する。第2基板に隣接する液晶分子の少なくとも1つは第2液晶傾斜方向を有する。第1液晶傾斜方向の方位角は第2液晶傾斜方向の方位角とは異なる。回折光学要素は、液晶パネルの光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する。第1回折格子の格子方向の方位角は、第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる。
【0013】
表示機器が備えられる。表示機器は、画像を表示する表示装置及び回折光学要素を有する。回折光学要素は複数の画素単位領域を有する。画素単位領域の各々は、互いに隣接する画素の長い辺及び画素の短い辺を有する。回折光学要素は、表示装置の光出射側に備えられ、第1回折領域及び第2回折領域を有する。第1回折領域は第1回折格子を有する。第2回折領域は第2回折格子を有する。第1回折格子の方位角は、第2回折格子の方位角とは異なる。
【0014】
本明細書における上記の及び他の特徴については、制限的でない実施形態についての以下の詳述により十分に理解できる。以下の詳述は、添付図を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に従ったディスプレイの三次元の図である。
【図2】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図3】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図4】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図5】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図6】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図7】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図8】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図9】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図10】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図11】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図12】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図13】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図14】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図15】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図16】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図17】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図18】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図19】実施形態における回折光学要素の回折領域を示す図である。
【図20】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図21】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図22】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図23】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図24】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図25】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図26】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図27】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図28】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図29】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図30】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図31】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図32】実施形態における回折光学要素を示す図である。
【図33】一実施形態における表示機器の断面図である。
【図34】表示装置の配向膜及び液晶層の三次元の図である。
【図35】液晶層の液晶分子の液晶傾斜方位角を示す図である。
【図36】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図37】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図38】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図39】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図40】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図41】回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。
【図42】コントラストに対する2種類の方位角についての回折格子を有する回折光学要素の影響を示す図である。
【図43】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図44】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用する表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図45】コントラスト及び輝度白状態に対する三種類の方位角の回折格子を有する回折光学要素の影響を示す図である。
【図46】コントラスト及び輝度白状態に対する三種類の方位角の回折格子を有する回折光学要素の影響を示す図である。
【図47】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図48】正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用する表示機器のガンマ曲線を示す図である。
【図49】回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示す図である。
【図50】回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示す図である。
【図51】回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示す図である。
【図52】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図53】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図54】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図55】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図56】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図57】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図58】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図59】回折領域及び画素単位領域の配置を示す図である。
【図60】表示機器の白状態におけるコントラスト及び輝度と、回折光学要素の回折領域間のギャップ長との間の関係曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に従った表示機器の三次元の図である。図2乃至11及び図20乃至32は、実施形態における回折光学要素を示している。図12乃至19は、実施形態における回折光学要素の回折領域を示している。図33は、一実施形態における表示機器の断面図である。図34は、表示装置における配向膜及び液晶層の三次元の図である。図35は、液晶層の液晶分子の液晶傾斜方位角を示す図である。図36乃至41は、回折光学要素と偏光子の偏光方向との間の関係を示す図である。図42は、表示装置のコントラストと、2種類の方位角を有する回折格子を有する回折光学要素との間の関係を示す図である。図43は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。図44は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用した表示機器のガンマ曲線を示す図である。図45は、三種類の方位角の回折格子を有する回折光学要素、表示装置の白状態のコントラスト及び輝度の間の関係を示している。図46は、三種類の方位角についての回折格子を有する回折光学要素、表示装置の黒状態のコントラスト及び輝度の間の関係を示している。図47は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用しない表示機器のガンマ曲線を示す図である。図48は、正面視(0°の天頂角)及び側方視(45°及び60°の天頂角)における、回折光学要素(比較例)を使用した表示機器のガンマ曲線を示す図である。図49乃至51は、回折光学要素と表示装置の画素との間の関係を示している。図52乃至59は、回折領域及び画素単位領域の配置を示している。図60は、表示機器の白状態におけるコントラスト及び輝度と、回折光学要素の回折領域間のギャップ長との間の関係を示している。
【0017】
図1を参照するに、回折光学要素2が、画像を表示する表示装置10の光出射側に備えられている。表示装置10は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、OLED表示装置、電子ペーパー表示装置、又は画像を表示する他の種類の表示装置であることが可能である。表示装置10は、他の要素、例えば、タッチパネルを構成するタッチ要素と協働することが可能である。回折光学要素2は、他の要素、例えば、反射防止膜又はタッチパネルと共に用いられ、画像を表示する表示装置10の光出射側に備えられることが可能である。液晶表示装置は、垂直配向型/マルチドメイン垂直配向型液晶表示装置、ねじれネマティック(TN)液晶表示装置、超ねじれネマティック(STN)液晶表示装置、光学補償ベンド型(OCB)液晶表示装置、又はカラーシーケンシャル液晶表示装置(即ち、カラーフィルタを有しない液晶表示装置)であることが可能である。回折光学要素2は、表示装置10から出射される光を回折する格子、例えば、位相格子を有する膜であることが可能である。液晶表示装置に対する観察角は、球座標における天頂角θ及び方位角ψで表される。方位角ψは、X軸からのX−Y平面における挟み角を表し、天頂角θは、X−Y平面に対して垂直なZ軸からの挟み角を表す。正の挟み角は反時計方向の挟み角を表し、負の挟み角は時計方向の挟み角を表す。
【0018】
図2を参照するに、実施形態においては、回折光学要素32は、互いに間隔を置いている格子領域43及び格子領域53を有する。回折光学要素32の格子領域43及び格子領域53以外の“通常領域(又は、非格子領域)”は、低い回折効果をもたらす領域である。特に、格子領域43及び格子領域53は、特定の方向を有する格子領域43及び格子領域53を透過する光に対して100:1より小さい全非0次回折光(入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射方向と同じ出射方向を有する光)の強度比の高い回折効果をもたらす。“通常領域(又は、非格子領域)”は、光の進入量を増加させるように、“通常領域(又は、非格子領域)”を透過する光に対して100:1より大きい全非0次回折光(入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射方向と同じ出射方向を有する光)の強度比の低い回折効果をもたらす。また、殆どの光は“通常領域(又は、非格子領域)”を透過しない。即ち、光非透過性領域は、“通常領域(又は、非格子領域)”と同様の効果を有し得る。格子領域43及び格子領域53は列状に配列されている。格子領域43及び格子領域53はそれぞれ、回折格子44及び回折格子54を有する。回折格子44及び回折格子54はそれぞれ、一定の周期を有し、方向(方位角)が揃っている。回折格子44の波の頂点(又は波の谷)の接続線は、それらの接続線間で実質的に一定のギャップ長を有する。
【0019】
実施形態においては、回折格子の方向は、回折格子構造の波の頂点(又は波の谷)の接続線の方向である。実施形態においては、格子領域の回折格子の方向を実線で表している。回折格子の方向とX軸との間の挟み角は回折格子の方位角τである。一実施形態においては、回折格子の周期は波の頂点間のギャップ長(又は、波の谷間のギャップ長)を表す。例えば、回折格子44の周期D1は1μmであり、格子領域43の回折格子構造の波の頂点間のギャップ長が1μmであることを示している。回折格子54の周期D2は1μmであることが可能である。回折格子44の方向は、回折格子54の方向とは異なる。回折格子44の方向は、回折格子54の方向に対して垂直であることが可能である。この場合、例えば、回折格子44の方位角τ1は90°である。回折格子54の方位角は0°である。格子領域43及び格子領域53は、例えば、28μm乃至29μmである直径K1及び直径K2のそれぞれを有する球形状を有することが可能である。回折格子の材料の屈折率は約1.49であることが可能である。回折格子構造の波の頂点と波の谷との間の高さは約0.4μmである。例えば、その材料の屈折率、波の頂点間のギャップ長、又は回折格子構造の波の頂点と波の谷との間の高さは、特定の方向を有する回折格子構造を透過する光に対して100:1より小さい全非0次回折光(15°以上の偏光角度だけ入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射光と同じ出射方向を有する光)の強度比の高い回折効果をもたらすように、適切に設計されている。非格子領域は、非格子領域を透過する光に対して100:1より大きい全非0次回折光(15°以上の偏光角度だけ入射方向と異なる出射方向を有する光)に対する全0次回折光(入射光と同じ出射方向を有する光)の強度比の低い回折効果をもたらすように、適切に設計されている。非0格子領域の設計方法については、ここでは、詳細に説明しない。
【0020】
他の実施形態においては、単独の格子領域は、同じ方位角及び種々の周期を有する回折格子を有することが可能である。例えば、単独の格子領域は、実質的に1μm及び0.5μmの、波の頂点(又は、波の谷)の接続線間の2種類のギャップ長を有する回折格子を有する。格子領域の面積は、回折光学要素の面積の17.5乃至94%を占めることが可能である。
【0021】
図2を参照するに、交互に配置されている格子領域43及び格子領域53により構成される線において、格子領域43と格子領域53との間の最近接のギャップ長は一定である、又は実際の要求に従って可変であることが可能である。例えば、格子領域43及び格子領域53の最近接のギャップ長S1、S2は、1μm乃至15μmの範囲内であって、例えば、両方共1μm、9μm又は15μmであることが可能である。他の実施形態においては、ギャップ長S1は9μmであり、ギャップ長S2は15μmである。他の実施形態においては、格子領域43と格子領域53との間の最近接のギャップ長は、0である、又は負である、即ち、格子領域43及び格子領域53はそれらの間で重なり合う領域を有する、ことが可能である。
【0022】
図2を参照するに、例えば、格子領域43により構成される線又は格子領域53により構成される線において、格子領域43間の最近接のギャップ長又は格子領域53間の最近接のギャップ長が、実際の要求に従って、一定又は可変であるように調節されることが可能である。一実施形態においては、格子領域43間の最近接のギャップ長S4又は格子領域53間の最近接のギャップ長S5はそれぞれ、1μm乃至15μmの範囲内にある、例えば、1μm及び13μmである。他の実施形態においては、格子領域43間の最近接のギャップ長S4又は格子領域53間の最近接のギャップ長S5は、0である、又は負である、即ち、格子領域43及び格子領域53がそれらの間で重なり合う領域を有する、ことが可能である。
【0023】
一実施形態においては、回折光学要素の1種類の回折格子の方位角は0±60°であり、即ち、その角度は、−60°より大きい及び60°に等しく、+60°より小さい及び+60°に等しく、及び0°に等しく、同様の概念については、以下では繰り返して説明しない。回折光学要素の第1種類の回折格子の方位角は好適には、0±20°である。更に、回折光学要素の第2種類の回折格子の方位角は、90±60°であり、好適には、90±20°である。他の実施形態においては、第1種類の回折格子の方位角は、+45°±20°、好適には+45±10°であり、第2種類の回折格子の方位角は、+135°±20°、好適には+135±10°である。他の実施形態においては、第1種類の回折格子の方位角は、−45°±20°、好適には−45±10°であり、第2種類の回折格子の方位角は、45°±20°、好適には45±10°である。第1種類の回折格子の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能であり、第2種類の回折格子の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。図3の回折光学要素62は、回折光学要素62が一定の方位角の回折格子74を有する格子領域73を有する点で、図2の回折光学要素とは異なっている。
【0024】
図4の回折光学要素82は、回折光学要素82が異なる方位角の回折格子94、104及び114をそれぞれ有する格子領域93、103及び113を有する点で、図2における回折光学要素32とは異なっている。例えば、回折格子94の方位角τ2は135°であり、回折格子104の方位角は0°であり、回折格子114の方位角τ3は45°である。
【0025】
一実施形態においては、回折光学要素の第1種類、第2種類及び第3種類の回折格子の方位角はそれぞれ、90±15°、135±15°及び45±15°である。他の実施形態においては、第1種類、第2種類及び第3種類の回折格子の方位角はそれぞれ、15±10°、6±10°及び−30±10°である。他の実施形態においては、第1種類の回折格子の方位角は0±40°、好適には0±20°であり、第2種類の回折格子の方位角は45±40°、好適には45±20°であり、第3種類の回折格子の方位角は135±40°、好適には135±20°である。第1種類の格子領域の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。第2種類の格子領域の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。更に、第3種類の格子領域の面積は回折光学要素の面積の17.5%乃至38.5%を占めることが可能である。
【0026】
図5の回折光学要素122は、格子領域133及び格子領域143がそれぞれ、列状に配置され、格子領域133及び格子領域143が鉛直方向において互い違いに配置されている。
【0027】
図6の回折光学要素142は、格子領域145間の水平方向(X方向)の周期C1が格子領域146間の水平方向の周期C2とは異なる点で、図5の回折光学要素132とは異なっている。一実施形態においては、周期C1は30μmであり、周期C2は48μmである。更に、格子領域145と格子領域146との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C3は41μmである。その周期間隔はまた、異なる格子方向をそれぞれ有する格子領域間の出現周期を意味する。
【0028】
図7の回折光学要素152は、すべての格子領域163及び格子領域173が互い違いに配置されている点で、図2の回折光学要素32とは異なる。
【0029】
図8の回折光学要素182は、格子領域193の回折格子194及び格子領域203の回折格子204が0°及び90°以外の方位角を有する点で、図2の回折光学要素とは異なる。例えば、回折格子194の方位角τ4は45°である。回折格子204の方位角τ5は135°である。
【0030】
図5の回折光学要素183は、格子領域185間の水平方向(X方向)の周期C4が格子領域186間の水平方向の周期C5とは異なる点で、図8の回折光学要素とは異なる。一実施形態においては、周期C4は30μmであり、周期C5は48μmである。更に、格子領域185と格子領域186との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C6は41μmである。
【0031】
一実施形態においては、回折光学要素は、4種類以上の回折格子方向の格子領域を有することが可能である。
【0032】
図10を参照するに、例えば、回折光学要素202は、格子領域205、格子領域206及び格子領域207を有する。格子領域205の回折格子208の方位角は135°である。格子領域206の回折格子209の方位角は0°である。格子領域207の回折格子210の方位角は90°である。実施形態においては、回折光学要素202の配置空間を適切に使用するように、より大きい量(又は、密度)を有する格子領域205が一列に配置され、より小さい量(又は、密度)を有する格子領域206及び格子領域207は、他の列において互い違いに配置されている。回折光学要素202を用いるTNパネルの場合、格子領域205は、上がったり下がったりする階調回復方向を補償するように主に、用いられ、格子領域206及び格子領域207は、45°方向及び−45°方向を補償するように主に、用いられる。一実施形態においては、格子領域205間の水平方向(X方向)の周期C7は、格子領域206と格子領域207との間の水平方向(X方向)の周期C8とは異なる。例えば、周期C7は36μmであり、周期C8は32μmである。他の実施形態においては、格子領域205と格子領域207(又は格子領域206)との間の上下(Y)方向周期間隔C9は36μmである。
【0033】
図11を参照するに、例えば、回折光学要素192の回折格子174の方位角は0°である。回折格子184の方位角τ6は45°である。回折格子214の方位角τ7は90°である。更に、回折格子234の方位角τ8は135°である。他の実施形態では、4種類以上の方位角の回折格子を有する回折光学要素において、異なる方位角を有する格子領域が互い違いに配置されることが可能である。
【0034】
一実施形態においては、単独の格子領域の回折格子方向は1つの方向のみに限定されるものではない。単独の格子領域は、種々の方位角の回折格子を有することが可能である。更に、格子領域は、図2乃至11に示す球形状に限定されるものではない。例えば、実施形態においては、4種類の回折格子方向を有する単独の格子領域は、正方形形状(図12)、長方形形状(図13)又は他の幾何学的形状を有することが可能である。例えば、3種類の回折格子方向を有する単独の格子領域は、正三角形形状(図14)、二等辺三角形形状(図15)、非二等辺三角形形状(図16)を有することが可能である。例えば、複数種類の回折格子方向を有する単独の格子領域は、正五角形形状(図17)又は他の五角形形状、正八角形形状(図18)又は他の八角形形状、楕円形形状(図19)又は他の曲線による形状、若しくは他の適切な形状を有することが可能である。更に、多角形形状の格子による効果により、また、異なる方向の格子の組み合わせが得られ、故に、本開示は、多角形形状の格子に限定されるものではない。
【0035】
一部の実施形態においては、回折光学要素212は、図20に示す格子領域を有する。図20を参照するに、一実施形態においては、格子領域223の周期Tは124μmである。格子領域223の幅Wは116μm乃至118μmの範囲内にある。回折格子224の周期Nは1μmである。回折格子224間のギャップ長Mは6μm乃至8μmの範囲内にある。他の実施形態においては、格子領域223間のギャップ長は0又は負であり得る。負のギャップ長は、隣接する格子領域223がそれらの間で重なり合う領域を有することを意味する。
【0036】
図21を参照するに、回折光学要素232はまた、回折格子224、回折格子254を有することが可能である。回折光学要素232はまた、互いに重なり合う回折格子244を有する格子領域及び回折格子254を有する格子領域の結果とみなされ得る。一実施形態においては、回折光学要素262は、図22に示す格子領域273及び格子領域283を有する。
【0037】
図23を参照するに、回折光学要素263は格子領域264及び格子領域265を有する。格子領域264の回折格子267の方位角は45°である。格子領域265の回折格子268及び回折格子269の方位角はそれぞれ、90°及び0°である。一実施形態においては、135°の方位角に沿って測定された格子領域264の幅W1及び135°の方位角に沿って測定された格子領域265の幅W2はそれぞれ、20μmである。135°の方位角に沿った格子領域264及び格子領域265のギャップ長C10又はC11は60μmである。
【0038】
図24を参照するに、回折光学要素271は格子領域272及び格子領域274を有する。格子領域272の回折格子275の方位角は45°である。格子領域274の回折格子276の方位角は135°である。一実施形態においては、格子領域272の水平方向(X方向)の幅W3及び格子領域274の水平方向(X方向)の幅W4はそれぞれ、20μmである。格子領域272と格子領域274との間の水平方向(X方向)のギャップ長は36μmである。
【0039】
図25を参照するに、回折光学要素277は、格子領域278、格子領域279及び格子領域280を有する。格子領域278の回折格子281の方位角は90°である。格子領域279の回折格子282の方位角は45°である。格子領域280の回折格子284の方位角は135°である。一実施形態においては、格子領域278の水平方向(X方向)の幅W5、格子領域279の水平方向(X方向)の幅W6及び格子領域280の水平方向(X方向)の幅W7はすべて、28μmである。隣接する格子領域278と格子領域279との間の水平方向(X方向)の周期間隔C12は60μmである。隣接する格子領域278と格子領域280との間の水平方向(X方向)の周期間隔C13は60μmである。
【0040】
図26を参照するに、一実施形態においては、例えば、格子領域286の水平方向(X方向)の幅W8は22μmである。格子領域287の水平方向(X方向)の幅W9及び格子領域289の水平方向(X方向)の幅W11はそれぞれ、18μmである。格子領域288の水平方向(X方向)の幅W10は14μmである。格子領域286と格子領域287との間の最小距離S12は25μmである。格子領域286と格子領域289との間の最小距離S13は15μmである。一実施形態においては、要素は、図25に示す2つの回折光学要素277を重ね合わせることにより構成されることが可能である。
【0041】
図27を参照するに、回折光学要素290は、格子領域291、格子領域293及び格子領域294を有する。一実施形態においては、格子領域291の水平方向(X方向)の幅W12、格子領域293の水平方向(X方向)の幅W13及び格子領域294の水平方向(X方向)の幅W14はそれぞれ、28μmである。隣接する格子領域291間の最小距離S14は5μmである。
【0042】
回折光学要素292はまた、図28に示すように、格子領域303及び格子領域313を有することが可能である。
【0043】
回折光学要素の格子領域は、秩序的な配置に限定されるものではなく、実際の要求に従った無秩序的な配置に適合されることが可能である。図29を参照するに、例えば、回折光学要素322は、格子領域333、格子領域343、格子領域363及び格子領域373を無秩序的に有することも、可能である。
【0044】
実施形態においては、複数の回折光学要素は、実際の要求に従って用いられるように、重ね合わされることが可能である。異なるレベルの複数の回折光学要素が、互いに異なるレベルの同じパターン、即ち、同じ形状又は同じ回折格子を有する格子領域を重ね合わせることにより、若しくは、異なるパターン、即ち、異なる特徴の異なる形状又は異なる格子を有する格子領域を重ね合わせることにより、配置されることが可能である。図2を参照するに、例えば、1つの回折光学要素32を他の回折光学要素32と重ね合わせる場合、その1つの回折光学要素32の格子領域53は、他の回折光学要素32の格子領域43と重ね合わされ、その1つの回折光学要素32の格子領域43は、他の回折光学要素32の格子領域53と重ね合わされる。例えば、レーザ光源が図2に示す単独のレーザ回折光学要素32に対して出射された後、2つの方向、例えば、0°/180°又は90°/270°の回折光が生成される。逆に、レーザ光源が、マルチレイヤ回折光学要素により構成される積層構造に対して出射した後に、送信光は、シングルレイヤ回折光学要素により生成されるように、回折方向を有するばかりでなく、送信光は、斜め方向等の他の回折方向を有する。この原因は、斜め方向についての付加的な周期構造からのものである。更に、光源に隣接する格子領域から出射され、光源に隣接する格子領域に対して垂直であり、その格子領域内に出射される光から生成される回折光は、光源から離れた格子領域により更に回折されることが仮定されている。従って、2つの方向、例えば、0°/180°又は90°/270°の回折光がシングルレイヤ回折光学要素により生成されるだけでなく、他の斜め方向、例えば、45°、135°、225°、315°、又は2つの回折格子の方位角の二等分線角度の付加的な回折光が生成される。
【0045】
実施形態においては、種々の層の回折光学要素により構成される積層構造が、実際の要求に従って同じパターンの複数の格子領域を重ね合わせることにより構成されることが可能である。図2を参照するに、一実施形態においては、例えば、1つの回折光学要素32が他の回折光学要素と重ね合わされる。1つの回折光学要素32の格子領域43が、他の回折光学要素32の格子領域43と重ね合わされる。1つの回折光学要素32の格子領域53は、他の回折光学要素32の格子領域53と重ね合わされる。それにより、回折効果を高めることができる。
【0046】
図30を参照するに、回折光学要素334は、2つの回折光学要素を重ね合わせることにより構成されることが可能である。例えば、2つの回折光学要素の一は格子領域335A及び格子領域335Bを有し、2つの回折光学要素の他は格子領域336を有する。格子領域335Aの回折格子337A及び格子領域335Bの回折格子337Bの方位角は両方共、135°である。格子領域336の回折格子338の方位角は45°である。第1列及び第3列の格子領域335A間の水平方向(X方向)の周期C14は36μmである。第2列及び第4列の格子領域336間の水平方向(X方向)の周期C15は41μmである。更に、格子領域335B間の水平方向(X方向)の周期は41μmである。格子領域335A間の鉛直方向(Y方向)の周期C26は72μmである。格子領域335Aと格子領域336との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C16は36μmである。
【0047】
図31を参照するに、回折光学要素339は、2つの回折光学要素を重ね合わせることにより構成されることが可能である。例えば、2つの回折光学要素の一は格子領域340A及び格子領域340Bを有し、2つの回折光学要素の他は格子領域341を有する。格子領域340Aの回折格子342A及び格子領域340Bの回折格子342Bの方位角は両方共、0°である。格子領域341の回折格子334の方位角は90°である。第1列及び第3列の格子領域340A間の水平方向(X方向)の周期C17は36μmである。第2列及び第4列の格子領域341間の水平方向(X方向)の周期C18は41μmである。更に、格子領域340B間の水平方向(X方向)の周期C27は41μmである。格子領域340A間の鉛直方向(Y方向)の周期C28は72μmである。格子領域340Aと格子領域341との間の鉛直方向(Y方向)の周期C19は36μmである。
【0048】
図32を参照するに、回折光学要素345は、格子領域346、格子領域347及び格子領域348を有する。一実施形態においては、格子領域346間の水平方向(X方向)の周期C20は26μmである。格子領域347間の水平方向(X方向)の周期C21は48μmである。格子領域348間の水平方向(X方向)の周期C22は26μmである。格子領域346と格子領域347との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C23は41μmである。格子領域347と格子領域348との間の鉛直方向(Y方向)の周期間隔C24は41μmである。
【0049】
実施形態においては、回折光学要素は、表示装置の条件及び効果に従って調節される。 図33を参照するに、実施形態においては、表示装置410は液晶表示装置である。表示装置410は、バックライトモジュール411,液晶パネル427、偏光子415及び偏光子425を有する。液晶パネル427はバックライトモジュール411に備えられている。例えば、液晶パネル427は、薄膜トランジスタ基板416、液晶層418、カラーフィルタ基板421、配向膜417及び配向膜419を有する。配向膜419はカラーフィルタ基板421に備えられることが可能である。配向膜417は薄膜トランジスタ基板416に備えられることが可能である。液晶層418は、配向膜417と配向膜419との間に備えられることが可能である。偏光子415は、薄膜トランジスタ基板416とバックライトモジュール411との間(液晶パネル427の光入射側)に備えられることが可能である。偏光子425はカラーフィルタ基板421(液晶パネル427の光出射側)に備えられることが可能である。回折光学要素401は、偏光子425の光出射側に備えられることが可能である。回折光学要素402は、偏光子425に対向して又は偏光子425とは反対側に波頂構造を位置付けることにより備えられる。回折光学要素425は、回折機能を有する他の要素、例えば、反射防止膜、スクラッチ耐性膜等と積層することにより用いられることが可能である。
【0050】
一部の実施形態においては、表示装置410はねじれネマティック(TN)液晶表示装置である。この場合、図34を参照するに、配向膜417の配向方向426の方位角は、配向膜419の配向方向436の方位角に対して平行でないように配置される。液晶層418内の液晶モジュール428は、配向膜417及び配向膜419により配向され、故に、配向膜419(図33のカラーフィルタ基板421に隣接する上部層配向膜)に隣接する液晶分子428a(上部層液晶分子)と、図33の薄膜トランジスタ416に隣接する配向膜417(即ち、下部層配向膜)に隣接する液晶分子428b(即ち、下部層液晶分子)とが、ねじれ構造に且つプレチルト角を有するように、配向される。配向膜から離れた、プレチルト角を有する液晶分子の一端部は始端部と呼ばれ、液晶分子の他端部は終端部と呼ばれる。例えば、配向膜419は、プレチルト角を有するように上部層液晶分子428aを配向させるために用いられる。例えば、配向膜417は、プレチルト角を有するように下部層液晶分子428bを配向させるために用いられる。配向膜417及び配向膜419は、ねじれ構造に連続的にねじれるように液晶分子428を配向させるために、互いに対して平行でない配向方向に対して配置される。そのねじれ構造において、液晶分子428のねじれ角は、下部液晶分子428bの始端部から、中間層液晶分子を介して、上部層液晶分子428aの終端部への連続的な角度のねじれとして定義され得る。
【0051】
更に、従来のねじれネマティック(TN)液晶表示装置については、連続的にねじられる下部層液晶分子428bの始端部から、中間層液晶分子を介して、液晶分子の終端部までの範囲に亘る視野角の光学特性は、良好でなく、故に、通常、ビューアに対する見下ろし角と定義されている。悪い視野角の当該領域はまた、ビューアに対する一部の視野角方向と定義されることもある。
【0052】
基板に対して傾けられた液晶分子の方位角は傾斜方位角と定義されている。例えば、液晶分子は、基板との特定の挟み角を有するように配向される又は駆動されるため、傾斜された液晶は、基板の水平方向の平面に対する方位角を有する。換言すれば、基板の水平方向の平面における液晶分子の終端部の投影方向と基板のX軸との間の挟み角は、液晶傾斜方位角と定義されている。液晶表示装置はマルチドメイン垂直配向型液晶表示装置であるため、種々の液晶傾斜方位角が同時にもたらされることが理解できる。
【0053】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、表示装置410(図34)の液晶分子428の条件に従って設計される。図35を参照するに、例えば、液晶分子428aは、例えば、45°の液晶傾斜方位角Q1を有する。液晶分子428bは、例えば、315°の液晶傾斜方位角Q1を有する。この場合、0°及び90°の方位角を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度(即ち、回折光学要素を占める格子の面積率)は、90°の方位角を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図2に示す回折光学要素32を用いることが可能である。一実施形態においては、0°、45°及び135°の方位角を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、0°の方位角を有する回折格子の密度はそれぞれ、45°及び135°の方位角を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図4に示す回折光学要素82が用いられることが可能である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向と、上部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は、90±10°又は0±10°である。回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向と、上部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は、180±10°又は90±10°である。
【0054】
一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−90±20°であり、好適には−90±10°である。他の実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90°±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0°±10°である。他の実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±60°であり、好適には45°±20°であり、より好適には45±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±60°であり、好適には−45°±20°であり、より好適には−45°±10°である。
【0055】
一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±20°であり、好適には45±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90±10°である。他の実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±15°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は95±15°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±15°である。一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は30±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−15±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は75±10°である。一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°である。
【0056】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、表示装置410の配向膜417、配向膜419に従って設計されることが可能である(図33)。例えば、一実施形態においては、配向膜419の配向方向の方位角は45°であり、配向膜417の配向方向の方位角は−45°である。この場合、0°及び90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、一部の実施形態においては、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度は、90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図2の回折光学要素32が用いられることが可能である。他の実施形態においては、0°、45°及び135°の方位角を有する格子方向を有する回折格子を有する回折光学要素が用いられることが可能である。更に、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度は、45°及び135°のそれぞれの方位角を有する格子方向を有する回折格子の密度より高い又はその密度に等しい。例えば、図4の回折光学要素82が用いられることが可能である。 一実施形態においては、上側配向膜の配向方向と下側配向膜の配向方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±60°であり、好適には45±20°であり、より好適には45±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±60°であり、好適には−45±20°であり、より好適には−45±10°である。他の実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−90±20°であり、好適には−90±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は+90±20°であり、好適には+90±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°である。
【0057】
一実施形態においては、上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角は90度であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±15°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±15°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±15°である。一実施形態においては、上部層液晶分子の配向方向と下部層液晶分子の配向方向との間の挟み角は90°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は30±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−15±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は75±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±20°である。
【0058】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、偏光子の配置に従って設計される。
【0059】
図36を参照するに、例えば、光出射側の、図33の偏光子425のような偏光子の偏光方向445の方位角Ψ1は135°であり、即ち、偏光子425の透過軸の方位角は135°である、又は、偏光子425の吸収軸の方位角は45°である。図33の偏光子415のような偏光子の偏光方向455の方位角Ψ2は45°であり、即ち、その偏光子の透過軸の方位角は45°である、又は、その偏光子の吸収軸の方位角は135°である。回折光学要素462は、図2の回折光学要素32と同様であり、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子474及び90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子484をそれぞれ有する、格子領域473及び格子領域483を有する。回折格子473の密度は、回折格子483の密度より高い又はその密度に等しい。この場合、格子領域473により構成される行の長い軸方向の方位角及び格子領域483により構成される行の長い軸方向の方位角は0°である。互い違いに配置されている格子領域473及び格子領域483により構成される列の長い軸方向の方位角は90°である。
【0060】
図37に示す実施形態は、図36の格子領域473と類似する格子領域493と、図36の格子領域483と類似する格子領域503とが互い違いに配置されている点で、図36に示す実施形態とは異なる。この場合、格子領域493により構成される行の長い軸方向496の方位角及び格子領域503により構成される行の長い軸方向497の方位角は0°である。互い違いに配置されている格子領域493及び格子領域503により構成される列の長い軸方向の方位角は60°である。図38に示す実施形態は、図36における格子領域473に類似する格子領域513及び図36における格子領域483に類似する格子領域523が互い違いに配置されている点で、図36に示す実施形態とは異なる。この場合、互い違いに配置されている格子領域513及び格子領域523により構成される行の長い軸方向の方位角は0°である。互い違いに配置されている格子領域513及び格子領域523により構成される列の長い軸方向の方位角は90°である。
【0061】
図39を参照するに、光出射側の、図33における偏光子425のような偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3は135°であり、即ち、偏光子425の透過軸の方位角は135°である、又は偏光子425の吸収軸の方位角は45°である。バックライトモジュールに隣接する、図33における偏光子415のような偏光子の偏光方向515の方位角Ψ4は45°であり、即ち、偏光子455の透過軸の方位角は45°である、又は偏光子455の吸収軸の方位角は135°である。図4の回折光学要素82に類似する回折光学要素522は、例えば、135°の方位角を有する格子方向を有する回折格子534、0°の方位角を有する格子方向を有する回折格子544、及び45°の方位角を有する格子方向を有する回折格子554をそれぞれ有する、格子領域533、格子領域543及び格子領域553を有する。一実施形態においては、特にTN液晶表示装置について、回折格子544の密度は、回折格子534の密度及び回折格子554の密度のそれぞれより高い又はそれらの密度に等しい。
【0062】
図40を参照するに、光出射側の、図33における偏光子425のような偏光子の偏光方向545の方位角Ψ5は135°であり、即ち、偏光子425の透過軸の方位角は135°である、又は偏光子425の吸収軸の方位角は45°である。バックライトモジュールに隣接する、図33における偏光子415のような偏光子の偏光方向555の方位角Ψ6は45°であり、即ち、偏光子455の透過軸の方位角は45°である、又は偏光子455の吸収軸の方位角は135°である。図8の回折光学要素182に類似する回折光学要素562は、135°の方位角を有する格子方向を有する回折格子574、及び45°の方位角を有する格子方向を有する回折格子584をそれぞれ有する、格子領域573及び格子領域583を有する。
【0063】
図41を参照するに、光出射側の、図33における偏光子425のような偏光子の偏光方向605の方位角Ψ7は135°である。バックライトモジュールに隣接する、図33における偏光子415のような偏光子の偏光方向615の方位角Ψ8は45°である。用いるための回折光学要素622は、図28の回折光学要素292に類似していて、種々の格子方向を有する回折格子604、及び90°の方位角を有する格子方向を有する回折格子614をそれぞれ有する、格子領域603及び格子領域613を有する。
【0064】
一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向の方位角と、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角との間の挟み角は135±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向の方位角と、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角との間の挟み角は45±20°である。他の実施形態においては、光出射側の偏光子の偏光方向と、光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であり、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は0±20°であり、好適には0±10°である。他の実施形態においては、光出射側の偏光子の偏光方向と光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であるため、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は180±20°であり、好適には180±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°であり、好適には90±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は45±15°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は0±15°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±15°である。他の実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は20±10°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は75±10°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は165±10°である。一実施形態においては、回折光学要素の第1種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は135±20°であり、回折光学要素の第2種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°であり、回折光学要素の第3種類の回折格子の格子方向から、光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は180±20°である。
【0065】
一実施形態において、一実験では、図20に示す回折光学要素212(T=124μm、W=117μm、N=1μm、M=7μm)を有するN101L6−L07型液晶表示装置を測定するためにKonica Minolta CS−2000を用いる。液晶表示装置の白状態及び黒状態が、回折光学要素212の反時計方向回転の5°間隔で測定される。更に、コントラスト値(白状態(255階調)輝度/黒状態(0階調)輝度)と、各々の階調の正規化輝度(各々の階調についての輝度/白状態(255階調)輝度)とが演算される。それらのデータは表1に示されている。回折光学要素を用いない表示装置は1つの比較例である。特定の階調のために表示装置の正規化輝度についての回折格子の角度を調節する効果について、表2に示されている。表2に示す特性についての測定方法は、回折格子の角度を調節し、特定の階調(224階調、232階調)において、0°の天頂角における表示装置の正規化輝度と、45°又は60°の天頂角における表示装置の輝度との間の差分を測定する。次の階調の1つの単位(unit)と前の階調の1つの単位(unit)との間の差分として生じる階調の回復(reversion)は負である。正規化差分は、回折格子が0°の方位角を有する状態と、回折格子が他の回転角の方位角を有する状態との間の差分である。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
側方視野角は、94%の高密度によりかなり改善されることが可能である。しかしながら、単一の格子方向が用いられるために、その結果は回転角度によりかなり影響される。 表示機器のコントラストは、偏光子の回折格子方向と偏光方向との間の挟み角を調節することにより影響が与えられる。
【0068】
他の実施形態においては、一実験では、図36に示す回折光学要素462(S1=9μm、S2=15μm、S4=S5=13μm、D1=D2=1μm、K1=K2=28μm)を有するN101L6−L07型液晶表示装置(800x600、126PPI、並びに画素203.2μmである画素の長い辺及び67.73μmである画素の短い辺)を測定するように、Konica Minolta CS−2000を用いる。図2を参照するに、他の実施形態においては、表示機器(S1=9μm、S2=15μm、S3=9μm、D1=D2=1μm、S4=S5=41μm、K1=K2=28μm)が用いられることが可能である。液晶表示装置の白状態及び黒状態が、回折光学要素462の反時計方向回転の5°間隔で測定される。更に、コントラスト値(白状態(255階調)輝度/黒状態(0階調)輝度)及び各々の階調についての正規化輝度(各々の階調の輝度/白状態(255階調)輝度)が演算される。コントラストに対する回折格子の影響については、表3及び図42に示されている。回折光学要素を用いない表示装置は1つの比較例である。特定の階調についての表示装置の正規化輝度に対して回折格子の角度を調節する効果については、表4、図43及び図44に示されている。
【0069】
【表3】
図42及び表3においては、図36の配置状態に示すように、0°は、格子領域473の回折格子474の方位角が0°であり、回折領域483の回折格子484の方位角が90°であることを意味する。図42及び表3においては、+5°は、格子領域473の回折格子474の方位角が+5°であり、回折領域483の回折格子484の方位角が+95°であることを意味する。光出射側の偏光子の偏光方向445の方位角Ψ1は135°に固定され、故に、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子484の格子方向までの挟み角は−130°(又は+50°)であり、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子474の格子方向までの挟み角は−40°(又は+140°)である。反時計方向の角度は正の値であり、時計方向の角度は負の値である、等である。
【0070】
表3から、コントラストに対する影響を低減するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が約+45°であり、回折格子484の方位角が135°であることが分かる。90%以下のコントラストに対してその影響を維持するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が45±20°であり、回折格子484の方位角が135±20°であることである。95%以下のコントラストに対してその影響をもたらすためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が45±10°であり、回折格子484の方位角が135±10°であることである。上部層液晶分子の傾斜方向と下部層液晶分子の傾斜方向との間の挟み角が90°であるため、好ましい条件は、回折光学要素の回折格子474の格子方向から、上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角が0±20°であり、好適には0±10°であり、回折光学要素の回折格子4874の格子方向から、上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角が−90±20°であり、好適には−90±10°であることである。更に、回折格子474の格子方向から、図34の配向膜419のような第1(上部層)配向膜の配向方向までの挟み角は0±10°であり、回折格子484の格子方向から、図34の配向膜419のような第1(上部層)配向膜の配向方向までの挟み角は−90±10°である。光出射側の偏光子の偏光方向と、光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であるため、回折格子474の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±10°であり、回折格子484の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は0±10°である。
【0071】
表3から、コントラストに対するその影響を低減するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が約−45°であり、回折格子484の方位角が45°であることである。その影響を90%以下のコントラストに対して維持するためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が−45±20°であり、回折格子484の方位角が45±20°であることである。95%以下のコントラストに対してその影響をもたらすためには、好ましい条件は、回折格子474の方位角が−45±10°であり、回折格子484の方位角が45±10°であることである。この実施形態においては、回折格子474の格子方向から、図34の上部層液晶分子のような上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±10°であり、回折格子484の格子方向から、上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±10°である。回折格子474の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±10°であり、回折格子484の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±10°である。光出射側の偏光子の偏光方向と、光入射側の偏光子の偏光方向との間の挟み角は90°であり、光出射側の偏光子の偏光方向の方位角は135°であるため、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子474の格子方向までの挟み角は180±10°であり、光出射側の偏光子の偏光方向から回折格子484の格子方向までの挟み角は90±10°である。
【0072】
【表4】
表4に示す特性についての測定方法は、回折格子の角度を調節し、特定の階調(224階調、232階調)において、0°の天頂角における表示装置の正規化輝度と、45°又は60°の天頂角における表示装置の輝度との間の差分を測定する。階調の回復のための各々の単位は8階調である。次の階調の1つの単位(unit)と前の階調の1つの単位(unit)との間の差分として生じる階調の回復(reversion)は負である。正規化差分は、回折格子が0°の方位角を有する状態と、回折格子が他の回転角の方位角を有する状態との間の差分である。
【0073】
比較例においては、(Θ,Ψ)=(45,270)の観察角度で、方位角Θ=45°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、224階調で最大値(56.41%)を有する。従って、方位角Θ=45°における観察は224階調に基づくものである。0°からの回折光学要素462の回折格子474の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=45°及びΘ=0°の224階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約30乃至40°に達するときに、最大値(53.2%)を得、その値は比較例(58.9%)より小さい。その差分値は、約40°の偏差の後に、最大値より小さくなる。
【0074】
比較例においては、(Θ,Ψ)=(60,270)の観察角度で、方位角Θ=60°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、232階調で最大値(58.92%)を有する。0°からの回折光学要素462の回折格子474の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=60°及びΘ=0°の232階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約45°に達するときに、最大値(50.0%)を得、その値は比較例(58.9%)より小さい。図2を図3と比較することにより、回折光学要素462の回転による影響は、回折光学要素212の回転による影響より小さいことが分かる。
【0075】
全体としては、約40乃至45°の偏差の回折光学要素462の影響が悪くても、比較例に比べて、尚も良好である。従って、回折光学要素462は、0乃至60°の偏差範囲で用いられることが可能である。
【0076】
この実施形態においては、階調の回復を改善するために、回折格子474の方位角は0±60°に設定され、回折格子484の方位角は90±60°に設定される。見下ろし角度特性を更に改善するために、回折格子474の方位角は0±20°に設定され、回折格子484の方位角は90±20°に設定される。回折格子474の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は135±20°であり、回折格子484の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は45±20°である。回折格子474の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は45±10°であり、回折格子484の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±10°である。回折格子474の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±10°であり、回折格子484の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±10°である。
【0077】
一実施形態において、一実験では、図39に示す回折光学要素522(S6=1μm、S7=1μm、S8=1μm、D3=D4=D5=1μm、S9=S10=S11=1μm、K3=K4=K5=28μm)を有するN101L6−L07型液晶表示装置を測定するためにKonica Minolta CS−2000を用いる。液晶表示装置の白状態及び黒状態が、回折光学要素522の反時計方向回転の5°間隔で測定される。更に、コントラスト値(白状態(255階調)輝度/黒状態(0階調)輝度)と、各々の階調の正規化輝度(各々の階調についての輝度/白状態(255階調)輝度)とが演算される。実験結果が図45及び図46に示されている。図45及び46においては、0°は、格子領域543の回折格子474の方位角が0であり、回折領域553の回折格子554の方位角が45°であることを意味する。回折光学要素522の面積の24.4%が、格子領域533の面積により占められる。回折光学要素522の面積の24.4%が、格子領域543の面積により占められる。更に、回折光学要素522の面積の24.4%が、格子領域553の面積により占められる。+5°は、格子領域533の回折格子534の方位角が140°であり、回折領域543の回折格子544の方位角が5°であり、回折領域553の回折格子554の方位角が50°であることを意味する。光出射側の偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3は135°に固定され、故に、回折格子534の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は−5°(又は+175°)であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は−50°(又は+130°)であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は−90°(又は+85°)である。反時計方向の角度は正の値であり、時計方向の角度は負の値である、等である。表示装置についてのコントラストに対する回折格子角度の影響については、表5、図45及び図46に示されている。回折光学要素を用いない表示装置は1つの比較例である。特定の階調について表示装置の正規化輝度に回折格子の角度を調節する効果については、表6、図47及び図48に示されている。
【0078】
【表5】
表5を参照するに、実験結果から、コントラストについての影響は、回折格子534の方位角が45±15°であり、回折格子544の方位角が90±15°であり、回折格子554の方位角が135±15°であるために、小さい。この実施形態においては、光出射側の偏光子の偏光方向505と光入射側の偏光子の偏光方向515との間の挟み角が90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3が135°であるために、光出射側の偏光子の偏光方向505から回折格子534の格子方向までの挟み角は90±15°であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は45±15°であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は0±15°である。回折格子544の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−45±15°であり、回折格子554の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−90±15°であり、回折格子534の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±15°である。回折格子544の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−45±15°であり、回折格子554の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−90±15°であり、回折格子534の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±15°である。
【0079】
一実施形態においては、コントラストについての影響は、回折格子534の方位角が−30±10°であり、回折格子544の方位角が15±10°であり、回折格子554の方位角が60±10°であるために、小さい。光出射側の偏光子の偏光方向505と光入射側の偏光子の偏光方向515との間の挟み角が90°であり、光入射側の偏光子の偏光方向505の方位角Ψ3が135°であるために、回折格子534の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は165±10°であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は120±10°であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向505までの挟み角は75±10°である。回折格子544の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は30±10°であり、回折格子554の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は−15±10°であり、回折格子534の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は75±10°である。回折格子544の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は30±10°であり、回折格子554の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は−15±10°であり、回折格子534の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は75±10°である。
【0080】
【表6】
表6を参照するに、比較例において、(Θ,Ψ)=(45,270)の観察角度で、方位角Θ=45°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、224階調で最大値(56.41%)を有する。従って、方位角Θ=45°における観察は224階調に基づくものである。0°からの回折光学要素522の回折格子544の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=45°及びΘ=0°の224階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約60°に達するときに、最大値(43.58%)を得、その値は比較例(56.4%)より小さい。表6を表1と比較することにより、回折光学要素522を回転することによる影響は、回折光学要素212を回転させることによる影響より小さいことが分かる。
【0081】
比較例においては、(Θ,Ψ)=(60,270)の観察角度で、方位角Θ=60°での正規化輝度と、方位角Θ=0°での正規化輝度との間の差分値は、232階調で最大値(58.92%)を有する。0°からの回折光学要素522の回折格子544の方位角の偏差が大きくなるにつれて、Θ=60°及びΘ=0°の232階調における正規化輝度値間の差分値は増加する。その差分値は、偏差が約50°に達するときに、最大値(39.71%)を得、その値は比較例(58.9%)より小さい。その差分値は、約50°の偏差の後に、最大値より小さくなる。
【0082】
全体としては、約60°の偏差の回折光学要素462の影響が悪くても、比較例に比べて、尚も良好である。従って、回折光学要素522は、0乃至60°の偏差範囲で用いられることが可能である。この実施形態においては、階調の回復を改善するために、回折格子534の方位角は135±40°に設定され、回折格子544の方位角は0±40°に設定され、回折格子554の方位角は45±40°に設定される。見下ろし角度特性を更に改善するために、回折格子534の方位角は135±20°に設定され、回折格子544の方位角は0±20°に設定され、回折格子554の方位角は45±20°に設定される。回折格子534の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は180±20°であり、回折格子544の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は135±20°であり、回折格子554の格子方向から光出射側の偏光子の偏光方向までの挟み角は90±20°である。この実施形態においては、回折格子544の格子方向から上部層液晶分子(図34の液晶分子428a等)の傾斜方向までの挟み角は45±20°であり、回折格子554の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は0±20°であり、回折格子534の格子方向から上部層液晶分子の傾斜方向までの挟み角は90±20°である。回折格子544の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は45±20°であり、回折格子554の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は0±20°であり、回折格子534の格子方向から上部層配向膜の配向方向までの挟み角は90±20°である。
【0083】
一部の実施形態においては、回折光学要素は、表示装置の条件に従って設計される。
【0084】
図49を参照するに、表示装置は画素630を有する。画素630は、画素単位領域637、画素単位領域638及び画素単位領域639を有する。例えば、画素単位領域637、画素単位領域638及び画素単位領域639の各々は、互いに隣接する画素の長い辺647及び画素の短い辺648を有する。画素単位領域637、画素単位領域638及び画素単位領域639は、赤色画素単位領域、緑色画素単位領域及び青色画素単位領域のそれぞれであることが可能である。他の実施形態においては、画素単位領域は3つの領域に限定されるものではなく、種々の色により構成されることが可能である。一般に、画素の短い辺648の長さJは、画素の長い辺647の長さLの3分の1である。一部の実施形態においては、画素630は、モノクロ表示装置を構成するための単独の色についてのものであることが可能であり、画素単位領域の各々は、同じ長さを有する画素の辺を有することが可能である。
【0085】
図49を参照するに、この実施形態においては、格子領域653により構成される行の長い軸方向、及び格子領域663により構成される行の長い軸方向は両方共、画素の短い辺648の方向と実質的に平行である。互い違いに配置されている格子領域653及び格子領域663により構成される列の長い軸方向は、画素の長い辺647の方向と実質的に平行である。更に、格子領域653により構成される行においては、格子領域653間の周期は、画素の短い辺648の長さJより小さい又はその長さに等しい。格子領域663により構成される行においては、格子領域663の周期Gxはまた、画素の短い辺648の長さJより小さい又はその長さに等しい。従って、画素の各々についての光は、少なくとも1つの格子領域653及び少なくとも1つの格子領域663からの効果を得ることが可能である。一部の実施形態においては、特定の単独の画素単位における格子密度及び格子構造単位を固定する条件で、格子領域653の周期Px及び格子領域663の周期Gxは、画素の短い辺648の長さJより小さい又はその長さに等しい必要はなく、故に、長さJより大きいことも可能である。例えば、画素の短い辺に沿って周期的に配置される赤色画素単位、緑色画素単位及び青色画素単位を有する表示装置において、赤色画素単位領域については、1つの列における赤色画素は格子を有し、列状のすぐ次の左側(右側)の赤色画素は格子を有さない、又は他の種類の配列の格子を有する。
【0086】
図49を参照するに、一部の実施形態においては、格子領域653及び格子領域663により構成される列では、格子領域653の周期Pyは、画素の長い辺647の長さLより小さい又はそれに等しい。格子領域663により構成される列においては、格子領域663の周期Gyは、画素の長い辺647の長さLより小さい又はそれに等しい。従って、画素の各々についての光は、少なくとも1つの格子領域653及び少なくとも1つの格子領域663からの効果を得ることが可能である。一部の実施形態においては、特定の単独の画素単位における格子密度及び格子構造単位を固定する条件で、格子領域653の周期Py又は格子領域663の周期Gyは画素の短い辺647の長さLより小さい又はそれに等しい必要はなく、故に、長さLより大きいことが可能である。例えば、画素の長い辺に沿って、1つの行は格子であり、次のすぐ左側(右側)の行は格子を有さない、又は他の種類の配列の格子を有する。
【0087】
図50に示す実施形態は、格子領域673及び格子領域683により構成されるラインの長い軸が、画素の短い辺668及び画素の長い辺667と平行でない点で、図49に示す実施形態とは異なる。実施形態においては、格子領域673及び互い違いに配置された格子領域683により構成されるラインの長い軸と画素の短い辺668との間の挟み角gは、0°より大きく且つ90°より小さい。更に、格子領域673の格子軸及び格子領域683の格子軸は挟み角gに従う。互い違いに配置された格子領域673及び格子領域683により構成されるラインの周期において、格子領域673と格子領域683との間の周期FはJ/cos(g)より小さい又はそれに等しい。Jは、画素の短い辺668の長さである。格子領域673により構成されるラインの長い軸及び画素の短い辺668はそれらの間に挟み角90−gを有する。格子領域683により構成されるラインの長い軸及び画素の短い辺668はそれらの間に挟み角90−gを有する。格子領域673により構成されるライン及び格子領域683により構成されるラインにおいては、格子領域673間の周期V及び格子領域683間の周期Yはそれぞれ、J/cos(90−g)より小さい又はそれに等しい。この構造配置は、モアレの問題を解決するために、又は、存在する全体的な配置を変更することなく、表示装置の方向に対して回折要素の主回折方向を調節するために、用いられることが可能である。
【0088】
図50を参照するに、格子領域673の格子軸及び格子領域683の格子軸が全体的な配置により角度gだけ移動されるため、補償方向は角度gだけ移動する。この場合、角度gだけ回転しないように主回折方向を保つために、格子領域673及び格子領域683は、図51に示すようにそれらの格子軸方向を変えることなく、形成されることが可能である。
【0089】
格子領域の配置は、実際の要求に従って調節されることが可能である。図52及び図53を参照するに、格子領域は、対応する画素単位領域に従って配置される。例えば、同じ色又は同じ構造の画素単位領域における複数の格子領域であって、例えば、赤色、緑色及び青色画素を1つずつ有する単独の単位、又は赤色画素、緑色画素及び青色画素を複数個ずつ有する単独の単位は、同じ配置方法を有する。任意に、異なる複数の色又は異なる複数の構造の画素単位領域における格子領域であって、例えば、赤色、緑色及び青色画素を1つずつ有する単独の単位、又は赤色画素、緑色画素及び青色画素を複数個ずつ有する単独の単位は、異なる配置方法を有する。例えば、正面視で、ホワイト階調の有彩色は青色である。表示装置の正面視(観察角度Θ=0)からのホワイト階調の色収差を補償するために、青色画素単位領域における格子密度は、赤色画素単位領域及び緑色画素単位領域における格子密度より高いことが可能である。図54に示す一実施形態においては、同じ色の画素単位領域は、同じ格子領域により構成されるラインを有するように設計されている。更に、複数の画素において配置されるラインの位置は変更されることが可能である。従って、周期構造の格子において容易に生じる光学的なモアレの課題を回避することが可能である。図55においては、格子領域により構成されるラインと画素の辺との間の挟み角であって、例えば、この実施形態における同じ挟み角g1は、適切に調節されることが可能である。図56を参照するに、この実施形態においては、上側画素に対応する格子領域により構成されるラインと、画素の辺とは、それらの間に同じ挟み角g2を有する。下部上方画素に対応する格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に種々の挟み角g3、g4、g5、g6を有する。すべての画素は、その方法により実質的に同じ面積の複数の格子領域を有する。図57を参照するに、格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に異なる挟み角を有することが可能である。図58を参照するに、この実施形態においては、上方画素に対応する格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に同じ挟み角g8を有する。下方画素に対応する格子領域により構成されるライン及び画素の辺は、それらの間に同じ挟み角g9を有する。挟み角g8及び挟み角g9はそれぞれ、90°より小さい又は大きい。図59に示す実施形態は、図54に示す実施形態の変形である。図59に示す実施形態は、図59においては、一部の格子領域がラインの長い軸から外されている点で、図54に示す実施形態と異なる。その外されている度合いは、ライン間の周期における範囲に限定され、故に、同じ特性の画素、例えば、同じ色、同じLCモード等のそれぞれは、同じ面積の格子領域を等しく有する。各々の群のRGB画素は、それらの間に周期Λ1,...,Λnを有する格子領域の格子配列を有する。一部の実施形態においては、互いに隣接する異なる群のRGB画素は、異なる格子配列を有するように設計されることが可能である。その設計は、RGB画素間の周期及び格子の周期構造が再構成されることが可能である限り、調整されることが可能である。
【0090】
格子領域及び画素の辺により構成されるラインは、モアレの問題を低減するために、それらの間で異なる挟み角を有するように、設計されることが可能である。
【0091】
実施形態においては、一実験は、図36に示す回折光学要素462(S1=9μm、S2=15μm、S3=9μm、D1=D2=1μm、K1=K2=28μm、図2を参照)を有するN101L6−L07型液晶表示装置を測定するようにKonica Minolta CS−2000を用いる。8”TNパネルの白状態及び黒状態が測定される。更に、8”TNパネルのコントラスト値が演算される。この実施形態においては、S5=13μmを固定し、格子領域間の周期、例えば、円の中心間で、ギャップ長=20μm(S4=8)、23μm(S4=5)、26μm(S4=2)、29μm(S4=1)、32μm(S4=4)、35μm(S4=7)、38μm(S4=10)、41μm(S4=13)、44μm(S4=16)、を調節する条件が用いられる。この実験結果については、表7に示す。
【0092】
【表7】
回折光学要素の面積に対する格子領域の面積の比が、演算により得られる。例えば、一実施形態においては、格子領域間のギャップ長が26μm乃至41μmであるとき、表示機器(TN型液晶表示装置を有する)の白状態における輝度又はコントラスト((白状態の輝度/黒状態の輝度)に等しい)は、図60に示すように、略線形関係を有する格子領域間のギャップ長の変化により、変化することが分かる。S5+K2=S4+K1=41μmの条件では、回折効率は実質的に対称的な結果を示し、故に、基準として用いることが可能であるため、構造変化が、回折効率の増加又は低下に略対応して想定される。図60に示す結果から、格子領域(図2に示す構造を有する)間のギャップ長が1μmだけ変化するとき、表示機器の回折効率は約2.33%だけ変化し、故に、正規化輝度は2.3%だけ変化する。従って、全体的な傾斜回折効果の増加/減少については、格子領域間のギャップ長は、41μmから線形的に増加又は減少されることが可能である。同様に、コントラストは、同様の方法で変化されることが可能である。例えば、10%だけ全体的な傾斜回折効果を増加させる(正規化輝度を低下させる)ためには、格子領域間のギャップ長は41μmから2.1μmだけ縮められる必要がある。例えば、傾斜回折を10%だけ増加させるためには、格子領域間のギャップ長は38.9μmである必要がある。傾斜回折を20%だけ増加させるためには、格子領域間のギャップ長は36.7μmである必要がある、等である。それに対して、10%だけ正規化輝度を増加(又は、傾斜回折効果を低下)させるためには、格子領域間のギャップ長は、41μmから2.1μmだけ増加される必要がある。例えば、10%だけ正規化輝度を増加させるためには、格子領域間のギャップ長は43.1μmである必要がある。20%だけ正規化輝度を増加させるためには、格子領域間のギャップ長は45.3μmである必要がある、等である。
【0093】
本明細書においては、例として、例示としての実施形態について詳述しているが、それらに限定されるものでないことが理解される必要がある。また、本明細書は、種々の変形、類似する構成及び方法を包含するように意図されていて、同時提出の特許請求の範囲において、そのような変形、類似する構成及び方法を網羅するように、広範に解釈される必要がある。
【符号の説明】
【0094】
2 回折光学要素
10 表示装置
32 回折光学要素
43 格子領域
44 回折格子
53 格子領域
54 回折格子
212 回折光学要素
223 格子領域
224 回折格子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトモジュールと、第1基板、第2基板及び液晶層を有する液晶パネルと、を有する液晶表示装置であって、前記液晶層は前記第1基板と前記第2基板との間に備えられた、液晶表示装置;
前記第1基板上に備えられた第1偏光子;
前記第2基板と前記バックライトモジュールとの間に備えられた第2偏光子であって、前記第1偏光子の偏光方向及び前記第2偏光子の偏光方向は異なる方位角を有する、第2偏光子;並びに
前記第1偏光子の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する回折光学要素であって、前記第1回折格子の格子方向及び前記第2回折格子の格子方向は異なる方位角を有する、回折光学要素;
を有する表示機器。
【請求項2】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は135±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は45±20°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項3】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は180±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±20°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項4】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は0±20°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項5】
前記回折光学要素は第3回折格子を更に有し、前記第3回折格子の方位角は前記第1回折格子の方位角及び前記第2回折格子の方位角と異なる、請求項1に記載の表示機器。
【請求項6】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は45±15°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は0±15°であり、前記第3回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±15°である、請求項5に記載の表示機器。
【請求項7】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は120±10°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は75±10°であり、前記第3回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は165±10°である、請求項5に記載の表示機器。
【請求項8】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は135±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±20°であり、前記第3回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は180±20°である、請求項5に記載の表示機器。
【請求項9】
前記第1偏光子の前記偏光方向と前記第2偏光子の前記偏光方向との間の挟み角は90°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項10】
前記第1偏光子の前記偏光方向の方位角は135°である、請求項2に記載の表示機器。
【請求項11】
画像を表示する液晶表示装置であって、
バックライトモジュールと、
前記バックライトモジュールに備えられた液晶パネルであって、
第1基板、
前記第1基板に備えられた第1配向膜、
第2基板、
前記第2基板に備えられた第2配向膜であって、前記第1配向膜の配向方向及び前記第2配向膜の配向方向は異なる方位角を有する、第2配向膜、
前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に備えられた液晶層、並びに
前記液晶表示装置の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する回折光学要素であって、前記第1回折格子の格子方向の方位角は前記第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる、回折光学要素、
を有する、液晶パネルと、
を有する、液晶表示装置;
を有する表示機器。
【請求項12】
液晶パネルであって、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に備えられた液晶層であって、該液晶層は複数の液晶分子を有し、前記第1基板に隣接する前記液晶分子の少なくとも1つは第1液晶傾斜方向を有し、前記第2基板に隣接する前記液晶分子の少なくとも1つは第2液晶傾斜方向を有し、前記第1液晶傾斜方向の方位角は前記第2液晶傾斜方向の方位角とは異なる、液晶層と、
を有する、液晶パネル;並びに
前記液晶パネルの光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する、回折光学要素であって、前記第1回折格子の格子方向の方位角は前記第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる、回折光学要素;
を有する、画像を表示する液晶表示装置。
【請求項13】
画層を表示する表示装置であって、該表示装置は複数の画素単位領域を有し、前記複数の画素単位領域の各々は、互いに隣接する、画素の長い辺及び画素の短い辺を有する、表示装置;並びに
前記表示装置の光出射側に備えられ、複数の第1格子領域及び複数の第2格子領域を有する回折光学要素であって、前記第1格子領域は第1回折格子を有し、前記第2回折格子は第2回折格子を有し、前記第1回折格子の方位角は前記第2回折格子の方位角とは異なる、回折光学要素;
を有する表示機器。
【請求項14】
前記第1格子領域により構成されるラインの長い軸方向及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸方向は、前記画素の短い辺の方向と実質的に平行であり、
互い違いに配置された前記第1格子領域及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸方向は、前記画素の長い辺の方向に対して実質的に平行である、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項15】
前記第1格子領域により構成されるラインにおいて、前記第1格子領域の周期は、前記画素の短い辺の長さより小さく又は該長さに等しく、
前記第2格子領域により構成されるラインにおいて、前記第2格子領域の周期は、前記画素の短い辺の長さより小さい又は該長さに等しい、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項16】
前記第1格子領域により構成されるラインにおいて、前記第1格子領域の周期は、前記画素の長い辺の長さより小さく又は該長さに等しく、
前記第2格子領域により構成されるラインにおいて、前記第2格子領域の周期は、前記画素の長い辺の長さより小さい又は該長さに等しい、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項17】
互い違いに配置された前記第1格子領域及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸並びに前記画素の短い辺は、それらの間に挟み角Θを有し、前記挟み角Θは、互い違いに配置された前記第1格子領域及び前記第2格子領域により構成されるラインにおいて、0°より大きく且つ90°より小さく、前記第1格子領域及び前記第2格子領域間の周期はJ/cos(Θ)に等しく又は該J/cos(Θ)より小さく、ここで、Jは前記画素の短い辺の長さであり、
前記第1格子領域により構成されるラインの長い軸及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸は、前記画素の短い辺と挟み角90−Θ°を有し、前記第1格子領域により構成される前記ライン及び前記第2格子領域により構成される前記ラインにおいて、前記第1格子領域と前記第2格子領域との間の周期はJ/cos(90−Θ)に等しい又は該J/cos(90−Θ)より小さい、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項1】
バックライトモジュールと、第1基板、第2基板及び液晶層を有する液晶パネルと、を有する液晶表示装置であって、前記液晶層は前記第1基板と前記第2基板との間に備えられた、液晶表示装置;
前記第1基板上に備えられた第1偏光子;
前記第2基板と前記バックライトモジュールとの間に備えられた第2偏光子であって、前記第1偏光子の偏光方向及び前記第2偏光子の偏光方向は異なる方位角を有する、第2偏光子;並びに
前記第1偏光子の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する回折光学要素であって、前記第1回折格子の格子方向及び前記第2回折格子の格子方向は異なる方位角を有する、回折光学要素;
を有する表示機器。
【請求項2】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は135±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は45±20°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項3】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は180±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±20°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項4】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は0±20°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項5】
前記回折光学要素は第3回折格子を更に有し、前記第3回折格子の方位角は前記第1回折格子の方位角及び前記第2回折格子の方位角と異なる、請求項1に記載の表示機器。
【請求項6】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は45±15°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は0±15°であり、前記第3回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±15°である、請求項5に記載の表示機器。
【請求項7】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は120±10°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は75±10°であり、前記第3回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は165±10°である、請求項5に記載の表示機器。
【請求項8】
前記第1回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は135±20°であり、前記第2回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は90±20°であり、前記第3回折格子の前記格子方向から前記第1偏光子の前記偏光方向までの挟み角は180±20°である、請求項5に記載の表示機器。
【請求項9】
前記第1偏光子の前記偏光方向と前記第2偏光子の前記偏光方向との間の挟み角は90°である、請求項1に記載の表示機器。
【請求項10】
前記第1偏光子の前記偏光方向の方位角は135°である、請求項2に記載の表示機器。
【請求項11】
画像を表示する液晶表示装置であって、
バックライトモジュールと、
前記バックライトモジュールに備えられた液晶パネルであって、
第1基板、
前記第1基板に備えられた第1配向膜、
第2基板、
前記第2基板に備えられた第2配向膜であって、前記第1配向膜の配向方向及び前記第2配向膜の配向方向は異なる方位角を有する、第2配向膜、
前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に備えられた液晶層、並びに
前記液晶表示装置の光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する回折光学要素であって、前記第1回折格子の格子方向の方位角は前記第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる、回折光学要素、
を有する、液晶パネルと、
を有する、液晶表示装置;
を有する表示機器。
【請求項12】
液晶パネルであって、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に備えられた液晶層であって、該液晶層は複数の液晶分子を有し、前記第1基板に隣接する前記液晶分子の少なくとも1つは第1液晶傾斜方向を有し、前記第2基板に隣接する前記液晶分子の少なくとも1つは第2液晶傾斜方向を有し、前記第1液晶傾斜方向の方位角は前記第2液晶傾斜方向の方位角とは異なる、液晶層と、
を有する、液晶パネル;並びに
前記液晶パネルの光出射側に備えられ、第1回折格子及び第2回折格子を有する、回折光学要素であって、前記第1回折格子の格子方向の方位角は前記第2回折格子の格子方向の方位角とは異なる、回折光学要素;
を有する、画像を表示する液晶表示装置。
【請求項13】
画層を表示する表示装置であって、該表示装置は複数の画素単位領域を有し、前記複数の画素単位領域の各々は、互いに隣接する、画素の長い辺及び画素の短い辺を有する、表示装置;並びに
前記表示装置の光出射側に備えられ、複数の第1格子領域及び複数の第2格子領域を有する回折光学要素であって、前記第1格子領域は第1回折格子を有し、前記第2回折格子は第2回折格子を有し、前記第1回折格子の方位角は前記第2回折格子の方位角とは異なる、回折光学要素;
を有する表示機器。
【請求項14】
前記第1格子領域により構成されるラインの長い軸方向及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸方向は、前記画素の短い辺の方向と実質的に平行であり、
互い違いに配置された前記第1格子領域及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸方向は、前記画素の長い辺の方向に対して実質的に平行である、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項15】
前記第1格子領域により構成されるラインにおいて、前記第1格子領域の周期は、前記画素の短い辺の長さより小さく又は該長さに等しく、
前記第2格子領域により構成されるラインにおいて、前記第2格子領域の周期は、前記画素の短い辺の長さより小さい又は該長さに等しい、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項16】
前記第1格子領域により構成されるラインにおいて、前記第1格子領域の周期は、前記画素の長い辺の長さより小さく又は該長さに等しく、
前記第2格子領域により構成されるラインにおいて、前記第2格子領域の周期は、前記画素の長い辺の長さより小さい又は該長さに等しい、
請求項13に記載の表示機器。
【請求項17】
互い違いに配置された前記第1格子領域及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸並びに前記画素の短い辺は、それらの間に挟み角Θを有し、前記挟み角Θは、互い違いに配置された前記第1格子領域及び前記第2格子領域により構成されるラインにおいて、0°より大きく且つ90°より小さく、前記第1格子領域及び前記第2格子領域間の周期はJ/cos(Θ)に等しく又は該J/cos(Θ)より小さく、ここで、Jは前記画素の短い辺の長さであり、
前記第1格子領域により構成されるラインの長い軸及び前記第2格子領域により構成されるラインの長い軸は、前記画素の短い辺と挟み角90−Θ°を有し、前記第1格子領域により構成される前記ライン及び前記第2格子領域により構成される前記ラインにおいて、前記第1格子領域と前記第2格子領域との間の周期はJ/cos(90−Θ)に等しい又は該J/cos(90−Θ)より小さい、
請求項13に記載の表示機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【公開番号】特開2012−215879(P2012−215879A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−78485(P2012−78485)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(506409837)チ メイ コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−78485(P2012−78485)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(506409837)チ メイ コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】
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