説明

表示機能付きICカード、表示方法

【課題】低消費電力で正確な情報を表示する表示機能付きICカード等を提供する。
【解決手段】ICチップ28はリーダライタと通信し、電子マネー残額等のデータを受信してメモリに記録、更新する。ICチップ28がリーダライタと通信することによりアンテナ29に交流電圧が発生する。通信検出部31aは、整流回路33で交流電圧を直流電圧に変換し、コンデンサ35に蓄電を行なう。ユーザが、スイッチ4を押下すると、制御部21のCPUが起動し、コンデンサ35の電位を読み取る。コンデンサ35の電位がしきい値以上の場合、制御部21のCPUはICチップ28がメモリに記録するデータを読み出し、制御部21のメモリに記録して当該データをディスプレイ3に表示する。コンデンサ35の電位がしきい値以上でない場合、制御部21のCPUは、メモリに記録しているデータをディスプレイ3に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機能を備えた表示機能付きICカード、および表示機能付きICカードにおける表示方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IC(Integrated Circuit)カード本体に表示機能を備えたものが開発されている。このような表示機能付きICカードのひとつに、接触式、あるいは非接触式通信により取得した電子マネー残額等のデータをICチップに記憶し、これを表示用CPU等の表示制御部の制御によりディスプレイに表示するものがある。特許文献1には、このような表示機能付きICカードの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−133563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示機能付きICカードについては、電力の供給が限られる等の観点から、できるだけ省電力としつつ動作することが求められる。
【0005】
例えば、電子マネー残額などICチップに記録されているデータをICカードのディスプレイに表示するためには、表示制御部がICチップのデータを読み出す必要があるが、この場合、表示のたびにICチップを動作させることになり、消費電力が大きくなる。
【0006】
一方、表示制御部のメモリにICチップのデータを記録し、メモリ内のデータを表示するという方法も考えられるが、ICチップの最新のデータと表示制御部のメモリ内のデータの整合性を保つことが必要になる。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示制御部とディスプレイの最小限の動作で表示を行うとともに、表示する情報とICチップに記録されている情報の整合性を保つことで、低消費電力で正確な情報を表示する表示機能付きICカード等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための第1の発明は、外部と通信を行ない受信したデータをメモリに記録するICチップと、ディスプレイと、前記ディスプレイに表示を行なうためのスイッチと、前記ディスプレイの表示を制御する表示制御部と、前記ICチップで通信が行われたか否かを示す通信情報を保持する通信検出部と、を具備し、前記表示制御部は、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする表示機能付きICカードである。
【0009】
例えば、前記表示制御部は、前記スイッチがオン状態となった際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録するとともに前記データを前記ディスプレイに表示し、前記通信が行われたことを検出しなかった場合には、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示する。
【0010】
あるいは、前記表示制御部は、前記ICチップの通信の際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出し、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示する。
前記表示制御部は、前記通信情報に応じて前記通信検出部から前記ICチップの通信が行われたことを示す信号を受信することにより、前記通信が行われたことを検出することができる。
【0011】
例えば、前記通信検出部は、前記ICチップの通信時発生する電圧により蓄電を行なうコンデンサを有し、前記通信情報は、前記コンデンサの蓄電量である。
また、前記通信検出部は、前記ICチップのアンテナを用いた非接触式の通信時、前記アンテナから発生する交流電圧を直流電圧に変換し前記コンデンサへの蓄電を行う整流回路を更に有する。
【0012】
前述した目的を達成するための第2の発明は、外部と通信を行ない受信したデータをメモリに記録するICチップと、ディスプレイと、前記ディスプレイに表示を行なうためのスイッチと、前記ディスプレイの表示を制御する表示制御部と、前記ICチップで通信が行われたか否かを示す通信情報を保持する通信検出部と、を具備する表示機能付きICカードにおいて表示を行なう表示方法であって、前記表示制御部が、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする表示方法である。
【0013】
例えば、前記表示制御部が、前記スイッチがオン状態となった際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録するとともに前記データを前記ディスプレイに表示し、前記通信が行われたことを検出しなかった場合には、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示する。
【0014】
あるいは、前記表示制御部が、前記ICチップの通信の際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出し、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示する。
【0015】
上記の構成により、通信情報に応じてICチップの通信が行われたことを検出した場合に、ICチップからデータを取得して表示制御部のメモリに記録するデータ取得処理を行い、スイッチのオンによりデータの表示が要求されたとき表示制御部のメモリに記録したデータを表示する表示処理を行う。従って、従来の表示機能付きICカードではデータ表示を行なうごとにICチップを動作する処理を行っていたが、本発明ではICチップの通信が行われデータの更新がされていなかった場合には、ICチップのデータの取得は行なわないので、消費電力が削減される。また、ディスプレイに表示するデータを表示制御部のメモリに記録するが、上記構成によりICチップが通信を行いメモリに更新、記録したデータとの整合性を保つことができ、表示するデータが正確になる。
【0016】
また、スイッチがオン状態となった際に、通信情報に応じてICチップの通信が行われたことを検出し、ICチップに記録されたデータを取得して表示制御部のメモリに記録するとともにこれをディスプレイに表示し、一方で、通信が行われたことを検出しなかった場合には、表示制御部のメモリに記録されたデータをディスプレイに表示することで、スイッチのオン時かつICチップの通信が行われていた場合にのみ、ICチップのデータを取得するので、消費電力が削減される。
【0017】
また、ICチップの通信が行われた際に、通信情報に応じて通信が行われたことを、通信検出部から信号を受信するなどして検出し、ICチップに記録されたデータを取得して表示制御部のメモリに記録し、スイッチがオン状態となった際、表示制御部のメモリに記録されたデータをディスプレイに表示することで、スイッチがオンとなっても表示制御部はICチップのデータの取得は行なわず、常に自身のメモリのデータを表示するので、消費電力が削減される。ICチップの通信が行われた際にはICチップを駆動してデータを取得することになるが、通信方法によるものの、通信の際にリーダライタから電力の供給を受けてICチップの電力をまかなうことも可能であり、消費電力の削減が同様に期待できる。
【0018】
また、通信検出部を、通信時に発生する電圧により蓄電を行なうコンデンサとし、電位等の蓄電量を通信の有無を示す通信情報とすることで、通信時以外の瞬間的な電圧発生等による誤作動を防ぐことが容易になり、ICカードにかかる上記制御の安定化が期待できる。また、ICチップのアンテナを用いた非接触式の通信時、アンテナより発生する交流電圧を直流電圧に変換しコンデンサへの蓄電を行う整流回路を設けることで、アンテナを用いた非接触式の通信を行なう表示機能付きICカードにおいて、コンデンサの蓄電量を通信情報として用いる処理を適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、表示制御部とディスプレイの最小限の動作で表示を行うとともに、表示する情報とICチップに記録されている情報の整合性を保つことで、低消費電力で正確な情報を表示する表示機能付きICカード等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】表示機能付きICカード1の外観図
【図2】表示機能付きICカード1aの内部構成を示すブロック図
【図3】表示機能付きICカード1aにおける処理の流れを示すフローチャート
【図4】表示機能付きICカード1bの内部構成を示すブロック図
【図5】表示機能付きICカード1bにおける処理の流れを示すフローチャート
【図6】表示機能付きICカード1cの内部構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の表示機能付きICカードの実施形態について詳細に説明する。
【0022】
まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る表示機能付きICカード1の外観について説明する。図1は、表示機能付きICカード1の外観図である。図1の表示機能付きICカード1で示す外観は、以降説明する本発明の各実施形態で共通する。
【0023】
本発明の実施形態に係る表示機能付きICカード1は、非接触式および接触式の通信を行うことによりICチップに電子マネー残額等のデータを記録するデータ取得機能と、表示制御部の制御により当該データを表示する表示機能とを兼ね備えたICカードであり、図1に示すように、カード本体2の表面にディスプレイ3、スイッチ4、接触式の通信を行なうための接触端子5を有する。なお、これらの配置は図1に示すものに限られることはない。
【0024】
ディスプレイ3は、例えば液晶ディスプレイ、電子ペーパ等であり、文字等のデータを表示する。
スイッチ4は、そのオン/オフにより、ディスプレイ3にデータの表示を行なう、あるいは、表示内容を更新するための操作ボタンである。
接触端子5は、接触式の通信を行う際に外部のリーダライタの端子と接触するもので、接触式の通信を行なう際は、接触端子5を介してデータやICチップ28の駆動用の電力が供給される。
【0025】
次に、図2、3を参照しながら、表示機能付きICカード1の第1の実施形態について説明する。
【0026】
図2は、第1の実施形態の表示機能付きICカード1aの機能構成を示すブロック図である。表示機能付きICカード1aは、制御部(表示制御部)21、ディスプレイドライバ23、ディスプレイ3、電源25、スイッチ4、ICチップ28、アンテナ(コイル)29、整流回路33、コンデンサ35等を有する。
【0027】
制御部21は、ディスプレイ3へのデータの表示を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)等のメモリや、外部入出力端子等がワンチップ化されたものである。制御部21は、ICチップ28、ディスプレイドライバ23、電源25、スイッチ4、コンデンサ35と接続する。
【0028】
制御部21は、スイッチ4が操作されオン状態とされると、電源25から供給される電力により駆動され、ディスプレイドライバ32を介してディスプレイ3にデータを表示する表示処理を行う。
【0029】
ディスプレイドライバ23は、ディスプレイ3と接続し、制御部21による制御に従い、ディスプレイ3を駆動する。ディスプレイ3は、制御部21による制御に従い、データの表示を行なう。制御部21、ディスプレイ3、ディスプレイドライバ23は、表示駆動回路を形成する。
【0030】
電源25は、制御部21に電力を供給するものであり、一次電池、二次電池等、電池の種類は問わない。
【0031】
ICチップ28は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を備える。ICチップ28は、非接触式および接触式の通信を行うためのインタフェースを有するデュアルインタフェースICチップである。
【0032】
ICチップ28は、外部のカードリーダライタとの間で通信を行い、ROMに格納されたプログラムに従ってデータ処理を実行する。例えば、電子マネー残額等のデータをカードリーダライタから受信し、EEPROMに保存する。
【0033】
アンテナ29は、ICチップ28がカードリーダライタと非接触式の通信を行なうためのアンテナである。ICチップ28の通信時、アンテナ29はリーダライタから生じている磁界により交流電圧を発生し、これによりICチップ28が駆動する。アンテナ29は、カード本体2の内部を周回して設けられ、その両端がICチップ28に接続される。ICチップ28およびアンテナ29は非接触通信部である非接触インレットを形成する。
【0034】
整流回路33は、アンテナ29、コンデンサ35と接続し、非接触式の通信時にアンテナ29から発生する交流電圧を直流電圧に変換してコンデンサ35に出力する。
コンデンサ35は、整流回路33から出力された直流電圧により蓄電を行う。
【0035】
整流回路33とコンデンサ35は、ICチップ28の通信が行なわれたか否かを示す通信情報をコンデンサ35の蓄電量として保持する通信検出部31aを構成する。即ち、通信検出部31aは、ICチップ28の非接触式の通信によりアンテナ29から発生した電圧によりコンデンサ35に蓄電を行う。コンデンサ35の電位等の蓄電量は、以降示すデータ表示処理において、ICチップ28で通信が行われた(ICチップ28のメモリのデータが更新された)ことを示すフラグである通信情報として扱われる。
【0036】
図3は、表示機能付きICカード1aにおけるデータ取得および表示処理の流れを示すフローチャートである。図3(a)はICチップ28が外部のリーダライタとの間で非接触式の通信を行う際の流れを示す。図3(b)は、スイッチ4がオン状態となった場合に、制御部21がICチップ28のメモリに記録されたデータを取得し、これをディスプレイ3に表示する処理の流れを示す。
【0037】
図3(a)に示すように、ユーザが、PC(Personal Computer)等に接続された外部のリーダライタに表示機能付きICカード1aをかざす等すると、ICチップ28のCPUはリーダライタと通信し、電子マネー残額等のデータをリーダライタから受信し、ICチップ28のメモリにこれを記録し更新する(ステップS101)。
【0038】
非接触式の通信が行われる際、アンテナ29から交流電圧が発生する。通信検出部31aは、整流回路33によりアンテナ29からの交流電圧を整流して直流電圧に変換し、コンデンサ35に蓄電する(ステップS102)。
【0039】
このようにして、表示機能付きICカード1aでは、ICチップ28で通信が行われた際に、ICチップ28のメモリのデータが記録され更新されると共に、コンデンサ35で蓄電が行なわれる。コンデンサ35の電位等で表される蓄電量は、ICチップ28の通信が行なわれICチップ28のメモリのデータが更新されたことを示す通信情報である。
【0040】
一方、図3(b)に示すように、ユーザが、ディスプレイ3でデータ表示を行なうべくスイッチ4を押下するなどしてこれをオン状態とすると、制御部21はスリープ状態から起動し(ステップS201)、制御部21のCPUがコンデンサ35の電位(蓄電量)を読み取る(ステップS202)。
【0041】
コンデンサ35の電位がしきい値以上の場合(ステップS203のYes)、制御部21のCPUはICチップ28のメモリに記録されたデータを読み出し、制御部21のメモリに記録する(ステップS204)。そして、制御部21のCPUは、メモリに記録したデータをディスプレイ3に表示する(ステップS205)。この際、制御部21とコンデンサ35の間にリセット回路等を設け、制御部21がICチップ28からデータを読み出した後、コンデンサ35の電位をリセットするようにしておくとよい。また、上記のしきい値は、一度の通信が行なわれた際にコンデンサ35に生じる電位等の蓄電量を考慮して定めることができる。
【0042】
コンデンサ35の電位がしきい値以上でない場合(ステップS203のNo)、新たにICチップ28の通信が行われていない(ICチップ28のメモリのデータが更新されていない)ことになるので、制御部21のCPUは、ICチップ28がメモリに記録するデータを読み出さず、制御部21のメモリに記録しているデータをディスプレイ3に表示する(ステップS205)。
【0043】
以上説明したように、第1の実施形態の表示機能付きICカード1aでは、ICチップ28が外部のリーダライタと通信すると、アンテナ29からの電圧により通信検出部31aのコンデンサ35に蓄電する。ユーザによりスイッチ4がオン状態とされた際に、制御部21は、コンデンサ35の電位がしきい値以上である場合、ICチップ28がリーダライタと通信してICチップ28のメモリのデータが更新されていたと判定し、ICチップ28のメモリから更新されたデータを読み出す。
【0044】
従って、スイッチ4がオン状態となりデータの表示が要求されたとき、必ずしもICチップ28を動作させることはなく、コンデンサ35の電位がしきい値以上でない場合、即ち、ICチップ28のメモリのデータの更新が行われていない場合は制御部21のメモリに記録したデータを表示する。当該データは、ICチップ28のメモリに記録されているデータと等しく、ICチップ28のメモリのデータと制御部21のメモリのデータの整合性が保たれ正確なデータの表示が行なわれる。そして、スイッチ4がオン状態であり、かつ、コンデンサ35の電位がしきい値以上の場合、即ち、ICチップ28のメモリのデータの更新が行われていたときのみICチップ28を動作させるため、消費電力が低減される。
【0045】
さらに、通信検出部31aを整流回路33とコンデンサ35で構成することで、上記のような非接触通信時の通信情報としてコンデンサ35の蓄電量を用いることができ、上記のしきい値を定めて通信時以外の瞬間的な電圧発生等による誤動作を防ぐことができる。
【0046】
次に、図4、5を参照しながら、表示機能付きICカード1の第2の実施形態について説明する。
【0047】
図4は、第2の実施形態の表示機能付きICカード1bの内部構成を示すブロック図である。表示機能付きICカード1bは、制御部(表示制御部)21、ディスプレイドライバ23、ディスプレイ3、電源25、スイッチ4、ICチップ28、アンテナ29、整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37等を有する。
【0048】
制御部21は、第1の実施形態と同様の構成を有し、ICチップ28、ディスプレイドライバ23、電源25、スイッチ4、電圧監視回路37と接続する。その他ディスプレイドライバ23、ディスプレイ3、電源25、スイッチ4、ICチップ28、アンテナ29の構成も、第1の実施形態と同様である。
【0049】
整流回路33は、アンテナ29、コンデンサ35と接続し、非接触式の通信時にアンテナ29から発生する交流電圧を直流電圧に変換してコンデンサ35に出力する。
コンデンサ35は、整流回路33から出力された直流電圧により蓄電を行う。また、電圧監視回路37と接続される。
電圧監視回路37は、コンデンサ35の電位がしきい値以上になると、制御部21に信号を送る。
【0050】
整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37は、ICチップ28の通信が行なわれたか否かを示す通信情報をコンデンサ35の蓄電量として保持し、これに応じて制御部21にICチップ28の通信が行なわれたことを通知する通信検出部31bを構成する。即ち、通信検出部31bは、ICチップ28の非接触式の通信によりアンテナ29から発生した電圧によりコンデンサ35に蓄電を行い、コンデンサ35の電位がしきい値以上となると、電圧監視回路37が制御部21に対して信号を送り、ICチップ28で通信が行われた(ICチップ28のメモリのデータが更新された)ことを通知する。
【0051】
図5は、表示機能付きICカード1bにおけるデータ取得および表示処理の流れを示すフローチャートである。図5(a)は、ICチップ28が外部のリーダライタとの間で非接触式の通信を行いメモリに記録したデータを、制御部21が取得するデータ取得処理の流れを示す。図5(b)は、スイッチ4がオン状態となった場合に、制御部21がデータをディスプレイ3に表示する表示処理の流れを示す。
【0052】
図5(a)に示すように、ユーザが、PC等に接続された外部のリーダライタに表示機能付きICカード1bをかざす等すると、ICチップ28のCPUはリーダライタと通信し、電子マネー残額等のデータをリーダライタから受信し、ICチップ28のメモリにこれを記録し更新する(ステップS301)。
【0053】
非接触式の通信が行われる際、アンテナ29から交流電圧が発生する。通信検出部31bは、整流回路33によりアンテナ29からの交流電圧を整流して直流電圧に変換し、コンデンサ35に蓄電する。電圧監視回路37は、コンデンサ35の電位を常に監視しており、上記の蓄電によりコンデンサ35の電位がしきい値以上になったことを検出する(ステップS302)と、制御部21のCPUにこれを示す信号を送信する(ステップS303)。上記のしきい値は、一度の通信が行なわれた際にコンデンサ35に生じる電位等の蓄電量を考慮して定めることができる。
【0054】
制御部21は、上記信号の受信に応じてスリープ状態から復帰し(ステップS304)、制御部21のCPUが、ICチップ28のメモリに記録されたデータを読み出し、制御部21のメモリに記録する(ステップS305)。この際、制御部21とコンデンサ35の間にリセット回路等を設け、制御部21がICチップ28からデータを読み出した後、コンデンサ35の電位をリセットするようにしておくとよい。
【0055】
このようにして、表示機能付きICカード1bでは、ICチップ28で通信が行われた際に、ICチップ28のメモリのデータが記録され更新されると共に、コンデンサ35で蓄電が行なわれる。コンデンサ35の電位等で表される蓄電量は、ICチップ28の通信が行われICチップ28のメモリのデータが更新されたことを示す通信情報であり、これがしきい値以上になると、制御部21のCPUがICチップ28のメモリのデータを読み出し、これを制御部21のメモリに記録する。
【0056】
一方、図5(b)に示すように、ユーザが、ディスプレイ3でデータ表示を行なうべくスイッチ4を押下するなどしてこれをオン状態とすると、制御部21はスリープ状態から起動し(ステップS401)、制御部21のCPUが、メモリに記録しているデータをディスプレイ3に表示する(ステップS402)。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態の表示機能付きICカード1bでは、表示機能付きICカード1bがリーダライタと通信すると、アンテナ29からの電圧によりコンデンサ35に蓄電する。通信検出部31bの電圧監視回路37は、コンデンサ35の電位がしきい値以上になると、制御部21に信号を送信し、ICチップ28がリーダライタと通信してICチップ28のメモリのデータが更新されたことを通知する。これにより、制御部21はICチップ28からデータを読み出し、メモリに記憶する。スイッチ4がオン状態とされると、制御部21は、ICチップ28のデータを読み取るのではなく、制御部21のメモリに記録されたデータをディスプレイ3に表示する。
【0058】
従って、ICチップ28の通信が行なわれデータが更新されたときのみ、制御部21がICチップ28を動作させるため、データ表示のたびにICチップ28を起動する必要がなく、消費電力を低減することができる。また、ICチップ28のデータが更新されるたびに制御部21のメモリに当該データが記録されるため、ICチップ28のメモリのデータと制御部21のメモリのデータの整合性が保たれ正確なデータの表示が行なわれる。更に、通信の仕様にもよるが、制御部21の動作にICチップ28の通信時にアンテナ29より生じる電力を用いることも可能であり、これを更に省電力とすることも期待しうる。
【0059】
なお、以上の実施形態は、非接触式の通信が行なわれた際に、これをコンデンサ35の蓄電量により通信情報として保持する例を示したものだが、接触式の通信が行なわれた際も、同様の構成によりこれをコンデンサの蓄電量により通信情報として通信検出部で保持し、第1、第2の実施形態と同様の処理を進めることができる。
【0060】
即ち、接触式の通信の場合、外部のカードリーダライタにより、表示機能付きICカード1(1a、1b)の接触端子5を介してICチップ28にデータ書き込み用の電圧が供給されるが、この接触端子5とICチップ28の間の電圧供給用の回路に、第1の実施形態の表示機能付きICカード1aの場合であれば、制御部21と接続する上記と同様のコンデンサを接続するとよい。ここで供給される電圧は直流電圧であるので、整流回路の構成は省略できる。
また、第2の実施形態の表示機能付きICカード1bの場合も、上記回路にコンデンサを接続するとともに、当該コンデンサと制御部21との間に上記と同様の電圧監視回路を接続するとよい。
そして、第1、第2の実施形態において説明したしきい値を、1回の接触式の通信によりコンデンサに蓄電される蓄電量を考慮して定めることで、図3や図5で説明した、第1、第2の実施形態と同様の処理を進めることができる。
【0061】
これらのコンデンサは上記の各実施形態のコンデンサ35とは別に設けてもよいし、同一としてもよい。非接触式あるいは接触式のいずれかの通信を行なう表示機能付きICカードであれば、いずれかの構成を適用すればよい。
【0062】
また、図6に示すように、ICチップ28の通信を行なうためのアンテナ29とは別に、ICチップ28のアンテナ29による通信時、アンテナ29と同様に電圧を発生するアンテナ39(コイル)を通信検出部31cの構成として設け、整流回路33をアンテナ39に接続するようにしてもよい。
【0063】
この表示機能付きICカード1cでは、アンテナ39は、アンテナ29によりICチップ28が通信を行った際に、アンテナ29と同様、交流電圧が発生するよう構成されている。
また、整流回路33は、アンテナ39、コンデンサ35と接続し、アンテナ39からの交流電圧を直流電圧に変換してコンデンサ35に出力する。
コンデンサ35は、整流回路33から出力された直流電圧により蓄電を行う。また、電圧監視回路37と接続される。
電圧監視回路37は、コンデンサ35の電位がしきい値以上になると、制御部21に信号を送る。
【0064】
整流回路33、コンデンサ35、電圧監視回路37、アンテナ39により構成される更新検出部31cは、非接触式の通信に伴いアンテナ39から発生した電圧によりコンデンサ35に蓄電を行い、コンデンサ35の電位がしきい値以上となると、電圧監視回路37が制御部21に対して信号を送り、ICチップ28で通信が行われた(ICチップ28のメモリのデータが更新された)ことを通知する。
【0065】
この場合、表示機能付きICカード1cにおける処理の流れは、第2の実施形態の表示機能付きICカード1bと同様とすることができる。従って、第2の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、制御部21、ディスプレイドライバ23、ディスプレイ3、電源25、スイッチ4、アンテナ29、ICチップ28による従来の表示機能付きICカードにおけるICチップ28の構成に手を加え、調整を行う必要がないという利点を有する。
【0066】
または、図6の通信検出部31cの構成から電圧監視回路37を省略して、コンデンサ35と制御部21を接続し、第1の実施形態で示した処理、即ち、スイッチ4がオン状態となった場合に制御部21がコンデンサ35の電位を読み取る場合にも適用することができる。第1の実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、上記と同様、ICチップ28の構成に手を加え、調整を行う必要がないという利点も得られる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る表示機能付きICカード等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば、通信が行なわれたか否かを示す通信情報としては、コンデンサ35の電位に限ることはない。
例えば、ICチップ28の通信を検出する通信検出部として、アンテナ29に所定のしきい値以上の電圧が発生した場合に、通信が行なわれたことを示す信号を制御部21に送信するスイッチング回路等を設けてもよい。
【0069】
第1の実施形態の処理手順を適用する際には、制御部21は上記の信号を受信して、制御部21のメモリあるいは別に設けたメモリにこれを通信情報として記憶し、図3(b)のステップS202、203にかえて、この通信情報によりICチップ28の通信が行われた(ICチップ28のメモリのデータが更新された)かどうかを判定するようにしておき、以降の処理を同様に行う。
一方、第2の実施形態の処理手順を適用する際には、図5(a)のステップS302、303にかえて、制御部21は上記の信号を受信すると、ICチップ28のデータを読み取ってメモリに記録するようにしておき、図5(b)のステップS401以降の処理を同様に進める。
これによっても、各実施形態で説明したものと同様の効果が達成される。
【符号の説明】
【0070】
1、1a、1b、1c………表示機能付きICカード
2………カード本体
3………ディスプレイ
4………スイッチ
5………接触端子
21………制御部
23………ディスプレイドライバ
25………電源
28………ICチップ
29、39………アンテナ
31a、31b、31c………通信検出部
33………整流回路
35………コンデンサ
37………電圧監視回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信を行ない受信したデータをメモリに記録するICチップと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイに表示を行なうためのスイッチと、
前記ディスプレイの表示を制御する表示制御部と、
前記ICチップで通信が行われたか否かを示す通信情報を保持する通信検出部と、
を具備し、
前記表示制御部は、
前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、
前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする表示機能付きICカード。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記スイッチがオン状態となった際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録するとともに前記データを前記ディスプレイに表示し、前記通信が行われたことを検出しなかった場合には、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1に記載の表示機能付きICカード。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記ICチップの通信の際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出し、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、
前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1に記載の表示機能付きICカード。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記通信情報に応じて前記通信検出部から前記ICチップの通信が行われたことを示す信号を受信することにより、前記通信が行われたことを検出することを特徴とする請求項3記載の表示機能付きICカード。
【請求項5】
前記通信検出部は、前記ICチップの通信時発生する電圧により蓄電を行なうコンデンサを有し、
前記通信情報は、前記コンデンサの蓄電量であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の表示機能付きICカード。
【請求項6】
前記通信検出部は、前記ICチップのアンテナを用いた非接触式の通信時、前記アンテナから発生する交流電圧を直流電圧に変換し前記コンデンサへの蓄電を行う整流回路を更に有することを特徴とする請求項5に記載の表示機能付きICカード。
【請求項7】
外部と通信を行ない受信したデータをメモリに記録するICチップと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイに表示を行なうためのスイッチと、
前記ディスプレイの表示を制御する表示制御部と、
前記ICチップで通信が行われたか否かを示す通信情報を保持する通信検出部と、を具備する表示機能付きICカードにおいて表示を行なう表示方法であって、
前記表示制御部が、
前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、
前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする表示方法。
【請求項8】
前記表示制御部が、
前記スイッチがオン状態となった際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出した場合に、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録するとともに前記データを前記ディスプレイに表示し、前記通信が行われたことを検出しなかった場合には、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項7に記載の表示方法。
【請求項9】
前記表示制御部が、
前記ICチップの通信の際、前記通信情報に応じて前記通信が行われたことを検出し、前記ICチップに記録されたデータを取得して前記データを前記表示制御部のメモリに記録し、
前記スイッチがオン状態となった際、前記表示制御部のメモリに記録されたデータを前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項7に記載の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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