説明

表示用パネル

【課題】光軸と導光板の中心軸とのズレを防止し、照度が低下することを抑制する、美観に優れた情報表示が可能な広告パネルを提供する。
【解決手段】表示用パネル10を、湾曲面を有し保護板60および収納空間61を有する収納本体50と、LED光源31、導光板35、拡散板36、反射板35a、および、表示媒体40としてメディア42が貼着された基板41を備える発光表示部30と、を有して構成する。導光板35は、LED光源31に対向させる端面に、湾曲面に連続して、LED光源31の光軸と平行で、当該光軸と厚み方向の中心軸とが一致する直線部35b1、35b2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に屋内の平坦面に設置する表示用パネルとして、フレームの多数の箇所を取り外し、開口部から収納本体内に写真や広告などの表示媒体(以下、「メディア」、「表示情報」などとよぶことがある)を挿入し、取り外したフレームで再度フレームで開口部を閉止して被設置部に設置する表示用パネルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、LEDなどの光源を利用し、表示情報を表示する照明装置を備えた表示用パネルも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−136192号公報
【特許文献2】特開2009−32664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら近年では、屋内の平坦面のみならず、屋内または屋外の曲面的な被設置場所など、被設置場所の形状を問わず、さまざまな場所に照度の低下を生じることなく設置が可能な表示用パネルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示用パネルは、表示方向に凸状または凹状に湾曲し、光源からの光によって各種表示情報を表示する表示面および湾曲した収納空間を有する収納本体と、光源、および、表示方向に凸状または凹状に湾曲する湾曲面を有し光源から射出された光を端面から入射させ、この端面から入射した光を表示面が配置された方向に射出する導光板を備える発光表示部と、を有し、導光板は、湾曲面の少なくとも一側に、光源の光の入射する方向に、当該光の光軸と直交して対向する端面と、光軸方向に平行な直線面とを有する直線部を備えてなる。
【0006】
従って、本発明の表示用パネルでは、屋内の平坦面のみならず、屋内または屋外の曲面的な被設置場所など、被設置場所の形状を問わず、さまざまな場所に照度の低下を生じることのない設置が可能となる。したがって、例えば、導光板の曲率半径が小さくて、端部の中心軸と光源の光軸とを正確に一致させにくい場合でも、直線部を設けたことにより、導光板の中心軸と光源の光軸とを確実に一致させることができる。その結果、湾曲面を有する導光板でも、微細な位置合わせなどの手間がなく、光源からの光を有効に利用して、高い照度での美観や光による表示効果に優れた表示媒体の照明が可能となるとともに、エネルギー効率にも優れる表示用パネルを得ることができる。
【0007】
また、上述のような表示用パネルにおいて、導光板は、湾曲面と直線部とが、連続して形成されていてもよい。
【0008】
また、上述のような表示用パネルにおいて、導光板は、湾曲面と直線部とが、互いに滑らかに一体化しているものであってもよい。
【0009】
上述のような表示用パネルにおいて導光板は、直線部の端面の幅方向の中心軸が、光源の光の光軸と一致するものであってもよい。
【0010】
また、上述のような表示用パネルにおいて光源は、LED光源であってもよい。
【0011】
また、上述のような表示用パネルにおいて、発光表示部は、光源を複数収納し、導光板の端面に対向する側が開口した光源収納部を有し、光源収納部は、複数の光源を互いに隔絶する隔絶壁を、所定間隔で複数有し、各光源を収納する小室を複数形成したものであってもよい。
【0012】
また、上述のような表示用パネルにおいて、光源を内部に収納した小室は、光透過性の封止部材が充填されているものであってもよい。
【0013】
また、上述のような表示用パネルにおいて、光源は、光源収納部とともに付勢手段により導光板の直線部の端面に向けて付勢され、当該付勢により、複数の隔絶壁のそれぞれの端面を直線部の端面に当接させるのであってもよい。
【0014】
また、上述のような表示用パネルにおいて、光源収納部および導光板の直線部の少なくとも一部を収納する直線部収納体を、さらに有し、直線部収納体は、当該直線部収納体の内壁面と導光板との間に、スペーサを導光板の一面または両面に配置し、さらに、スペーサの光源収納部側の一端を、光源収納部の壁面または隔絶壁に当接させたものであってもよい。
【0015】
また、上述のような表示用パネルにおいて、収納本体は、直線部収納体と、光源収納部を付勢する付勢手段とを収納する導光部収納筐体を、さらに有し、導光部収納筐体は、付勢手段の付勢力により、直線部収納体を直線部の直線方向に摺動可能であってもよい。
【0016】
また、上述のような表示用パネルにおいて、収納本体は、導光部収納筐体と所定間隔を介して、導光板から射出した光を、拡散して表示面に照射する拡散板と、導光部収納筐体と所定間隔を介して配置された拡散板固定壁と、をさらに有し、拡散板固定壁と導光部収納筐体とに、固定部材により、拡散板を、光軸と平行となるよう固定したものであってもよい。
【0017】
また、上述のような表示用パネルにおいて、発光表示部は、導光板の背面に、反射板を、さらに有するものであってもよい。
【0018】
また、上述のような表示用パネルにおいて、収納本体は、外周縁の一部に発光表示部の全部または一部を挿入もしくは取り出す開口部を有するとともに、当該開口部以外の外周縁の少なくとも一部を水密に封止したものであってもよい。
【0019】
また、上述のような表示用パネルにおいて、収納本体は、円筒面を有し、当該円筒面の中心角が180度よりも大きく、収納本体に収納された導光板の湾曲面が円筒状であって、中心角が180度よりも大きく、円筒状の湾曲面に連続して直線部を備えたものであってもよい。
【0020】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の表示用パネルでは、屋内の平坦面のみならず、屋内または屋外の曲面的な被設置場所など、被設置場所の形状を問わず、さまざまな場所に照度の低下を生じることのない設置が可能な表示用パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態の表示用パネルを開口部側から見た模式的な平面図である。
【図2】第一実施形態にかかる表示用パネルの主要部分の一部拡大平面図である。
【図3】第一実施形態にかかる表示用パネルの光源と付勢手段との関係を模式的に示した斜視図である。
【図4】第一実施形態にかかる表示用パネルの一使用例であって、表示情報を表示した基板を開口部から挿入している状態を示す模式図である。
【図5】第一実施形態にかかる表示用パネルの一使用例であって、基板を挿入し、蓋体を装着した状態を示す模式図である。
【図6】本発明の第二実施形態の表示用パネルを開口部側から見た模式的な平面図である。
【図7】本発明の第三実施形態の表示用パネルであって、保護板の開口部側に切欠き部を設けた状態を示す模式図である。
【図8】本発明の第四実施形態の表示用パネルであって、円筒状の被設置部の円周面を180度以上、被覆して設置した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1ないし図5を参照して以下に説明する。なお、本実施の形態および以降の実施形態では、図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0024】
ここで、本実施形態および以下で説明する他の実施形態のような湾曲面を有する表示用パネルの場合、光源からの光を導く導光板も必然的に湾曲面を有するように形成される。この場合、曲率の小さいものは、導光板の両側がほぼ直線的であるため、光源の光軸と導光板の中心軸との位置合わせを比較的、容易に行うことができる。しかし、太い柱や楕円状の被設置部等に設置可能な曲率の大きな表示用パネルの場合は、必然的に導光板の曲率も大きくなり、光源に対向させる面も湾曲して、光軸と導光板の中心軸とを微細に位置合わせする必要がある。しかし、このように微細に位置合わせした場合であっても、湾曲させた導光板の復元力や長期の使用等によって導光板の端面の位置が移動し、光軸と導光板の中心軸との位置がずれる場合がある。この場合、照度の低下を招き、光源の光を有効に用いた表示ができないという問題が生じる。具体的に、光軸と導光板の中心軸とのずれが大きいと、最大で70%に近い照度の低下が発生する。さらには、照度のムラによって美観を損なうことも考えられる。以上の点を考慮して、発明者は平坦面のみならず、曲面的な被設置部に設置しても、照度の低下を生じることがなく、美観に優れた良好な情報表示が可能な表示用パネルを発明するに至った。
【0025】
<表示用パネルの構成>
以下、本実施の形態の表示用パネル10の主要な構成を説明する。本実施形態の表示用パネル10は、図1に示すように、表示方向に凸状に湾曲し各種表示情報を表示する表示面としての保護板60および湾曲した収納空間61を有する収納本体50と、表示情報を照明する発光表示部30と、を有して構成されている。なお、発光表示部30は、湾曲面を有する導光板35を備えている。この導光板35は、光源(本実施形態では、LED光源31)に対向させる端面に、湾曲面に連続して、両端に光源の光軸と平行で、当該光軸と厚み方向の中心軸とが一致する直線部35b1、35b2を有している。この直線部35b1、35b2の形成長さは、少なくとも導光板35の厚みより長く、後述の直線部収納体38c(ブラケット)よりは長く形成することが好ましい。なお、本明細書において、LED光源31や、その他の光源の光軸と導光板の中心軸の一致とは、完全一致だけでなく、多少のズレを生じても、光源31の光を導光板35内に良好に導いて、照度の低下が殆ど生じない程度まで含むものとする。なお、この照度の低下は、0%であることが最も好ましいが、15%以下であれば、美観や表示用パネル10を視認する看者(観察者)の視認性にあまり影響を及ぼすことがない。なお、連続して形成されているとは、光学的に連続していることをいうものとする。例えば、一材で一体形成されている場合の他、湾曲面Bと直線部35b1、35b2とが別個に形成された場合でも液体または固体のフィラー等により光学的に連結されている状態を含むものとする。
【0026】
本実施形態の表示用パネル10の各構成部品について、以下に詳細に述べる。図1、図4または図5に示すように、本実施形態の表示用パネル10は、長尺で表示面が半円よりも曲率が小さい半楕円形状であり、長手方向を上下にして配置して使用することを目的としている。そして、収納本体50の短手側が湾曲して曲面を有する表示面(保護板60)を構成している。この保護板60に対して、収納空間61を介して配置される背面62も、保護板60と同一方向に凸状(背面側から見れば凹状となる)に突出している。したがって、本実施形態の表示用パネル10は、収納本体50の左側と右側(長手側)に直線状の外周縁51(左側を51a、右側を51bとする)を有し、上下側(短手側)に半楕円状の外周縁51(上側を51c、下側を51dとする)を有している。そして、表示用パネル10には、被設置部20に設置した際に、収納本体50において下側となる外周縁51dを開口して、開口部52が形成されている。一方、収納本体50の他の三方の外周縁51a、51b、51cは、図4に示すように、後述する封止部材70で水密に封止されている。なお、開口部52も、蓋体71により、水密に閉止されているが、収納本体50の内部の水分等を排出可能な水抜き部72を有している。この水抜き部72の詳細についても後述する。なお、本実施形態では、このように外周縁51の左側と右側とが長尺な直線状で、上側と下側とが湾曲した曲面を有する短尺な表示面としているが、本発明がこれに限定されるものではなく、設置時に左側と右側となる外周縁が短尺な直線状で、上側と下側となる外周縁が長尺な湾曲状となる構成としてもよい。
【0027】
発光表示部30は、図2に示すように、反射板35aと、LED光源31と、導光板35と、拡散板36と、表示媒体40としてメディア42が貼着された基板41とから構成される。また、導光板35は、図2に示すように、LED光源31から射出された光を端面A1(A1は図1参照)、A2から入射させ直線面を有する直線部35b1、35b2と、この端面から入射した光を保護板60が配置された方向に射出する湾曲面Bとを有している。この湾曲面Bと直線部35b1、35b2とは、連続して滑らかに一体成形されている。この滑らな一体化とは、湾曲面Bと直線部35b1、35b2との境界における交差角度は臨界角以下が好ましく、0度が特に好ましい。そのため、直線部35b1(35b1は図1参照)、35b2と湾曲面Bの双方に図示しない反射ドット等が配置されている。また、直線部35b1、35b2の端面A1、A2は、図2に一点鎖線で示すように、導光板35の左右の両側の端面A1、A2と、LED光源31の光軸Cとが直交し、かつ、導光板35の両側の端面A1、A2の厚み方向の中心軸と、LED光源31の光軸Cとが一致するよう配置されている。なお、図2では、光軸Cのみ記載しているが、このCは導光板35の端面A1、A2の中心軸と一致している。なお、光源がLED光源31ではなく、拡散光を照射する光源の場合は、その背面に反射鏡等を配置し、端面A1、A2に直交して光軸が入射するよう調整する。なお、一側、左側、右側、両側とは、原則的に、LED光源31を設置する側をいうものとする。
【0028】
さらに、表示用パネル10は、光軸が端面A1、A2に直交かつ中心軸と一致状態が確実に保持できるよう、以下に述べるような部材で調整している。まず、図3に示すように、発光表示部30では、LED光源31が一定間隙を介してアルミ製で開口部を端面A1、A2に向けた断面コ字型の長尺な光源収納部33の内部に配置されている。この光源収納部33は、一定間隔に配置された隔絶壁32で仕切られた複数の小室34が設けられている。この隔絶壁32は、隣接する小室34を完全に仕切るものであってもよいし、一部を隔絶するものであってもよい。そして、光源収納部33の各小室34の内部に、LED光源31が収納されている。この光源収納部33は、収納本体50の左右両側の外周縁51a(図示せず)、51b側にそれぞれ平行に配置されている。また、図3に示すように、LED光源31がそれぞれ収納された小室34の内部は、光透過性の透明なシリコーン樹脂34aが充填され、LED光源31を封止固定していてもよい。
【0029】
なお、図3では、小室34に2つずつLED光源31を収納している図としているが、本発明がこれに限定されるものではなく、3以上のLED光源31を収納してもよい。たとえば、隔絶壁32の間隙を200mmとした場合、1つの小室34中に、20個またはそれ以上のLED光源31を収納することができる。
【0030】
さらに、発光表示部30の光源収納部33は、導光板35の直線部35b1、35b2の端面A1、A2に対向するよう配置されている。またこの光源収納部33と直線部35b1、35b2とは、直線部収納体38cに収納されている。さらに、直線部収納体38cの内壁面と導光板35の直線部35b1、35b2との間に配置された、アルミニウム製の角柱からなるスペーサ38a、38bによって保持固定されることで、前述の端面A1、A2と光軸とが直交し、かつ端面A1、A2の中心軸とLED光源31の光軸Cとが一致状態を保持している。
【0031】
また、本実施形態の表示用パネル10では、図1ないし図3に示すように、光源31を収納する光源収納部33は、導光板35とは反対側の底部に軸方向に配置された山型の長尺な板バネからなる付勢手段80により導光板35に押しつける方向に付勢されている。この付勢によって、LED光源31を導光板35に常時押しつけることにより、導光板35が不測に傾斜等して、端面の角度が変化したとしても、この変化に追随して、LED光源31を光源収納部33ごと付勢して角度調整を行うことができる。そのため、導光板35の端面とLED光源31との水平性を良好に保持することを可能としている。なお、付勢手段80は、上下方向および前方向には弾性的に移動するが、後方向には移動しないように、後方の一端をネジ81で固定されている。そのため、付勢手段80としての役割を良好かつ安定して発揮することが可能であり、導光板35の中心軸とLED光源31の光軸Cとのズレ防止効果を向上させることができる。
【0032】
また、収納本体50は、直線部収納体38cと、光源収納部33を付勢する付勢手段80とを収納する導光部収納筐体38dを、さらに有している。なお、直線部収納体38cは、付勢手段80の付勢力により、導光部収納筐体38d内を上下、すなわち、直線部35b1、35b2の直線方向に摺動可能となっている。
【0033】
また、表示用パネル10は、導光板35から射出した光を、拡散して基板41上のメディア42の裏面に照射する拡散板36と、を有している。なお、導光板35、拡散板36と同様に、楕円状の曲面を有している。また、図2に示すように、導光部収納筐体38dと所定間隔を介して断面L型の拡散板固定壁57を有している。そして、拡散板固定壁57と導光部収納筐体38dとに、固定部材としてネジ58により、拡散板36を、光軸と平行となるよう固定している。この拡散板36は、導光板35から射出した光を、拡散して保護板60方向すなわち表示媒体40を照射する。この照明により、表示媒体40に表示された情報が、外部から視認できるようになる。なお、本実施形態では、ネジ58によって拡散板36を拡散板固定壁(アングル)57に固定しているが、本発明がこれに限定されるものではなく、拡散板固定壁(アングル)57のL型の壁面に、拡散板36の外面を、その弾性復元力によって密着させて押さえるものであってもよい。
【0034】
また、図2に示すように、導光板35の裏面には、反射板35aを配置することにより、後方への光の漏れを防いでいる。さらに、反射板35aにより、LED光源31から背後への光の漏れを防止するとともに、この光を当該反射板35aで導光板35方向に反射し、この導光板35を介して拡散板36に到達させている。そのため、拡散板36による、より均一な光の拡散を可能とし、LED光源31からの光を効率的に使用可能としている。
【0035】
また、発光表示部30は、LED光源31からの光によって、デザイン画、図形、文字など外部に発光して、人間が光の模様として視認できるようにする装置である。また、発光表示部30において、表示情報を表示する表示媒体40は、前述のデザイン画、図形、文字などのさまざまな情報を形成する媒体を意味する。この表示媒体40の具体例としては、例えば、有機EL等、それ自体が画素ごとに発光体を持ち、この発光体でデザイン等を形成できるもの、LED光源31などの光源と光透過性材料とを組み合わせたもの、等が挙げられる。なお、光源と光透過性材料とを組み合わせたものは、光の点滅や異なる色の発光によって情報を形成してもよいし、後述するように、光透過性材料製の基板41に直接情報をプリントしたもの、情報が描かれたポスター等の別個のメディア42を基板41に貼着したもの等を光源で照らして視認できるようにしたものであってもよい。
【0036】
本実施形態では、図2に示すように、ポリカーボネート(PC)等の透明樹脂製で人手により容易に湾曲できる基板41の表面に、表示したい情報が描かれた樹脂製または紙製のポスター等のメディア42を、貼着手段である図示しない両面テープで貼着したものを用いている。そして、発光表示部30の拡散板36と保護板60との間を、収納空間61としている。この収納空間61の内部に、表示媒体40として、メディア42が貼着された基板41を、開口部52を介して挿入および抜き取りが可能となっている。
【0037】
なお、図1に図示はしないが、表示媒体40は、基板41の表面にメディア42が貼着されている(図2参照)。また、保護板60等との曲率の相違や基板41の復元力により、基板41の性質上、図1で一点鎖線部分11に示したように、基板41の円周方向の中央付近が保護板60の配置された方向に膨らんで、保護板60の内面とメディア42とが当接する場合がある。その場合は、このメディア42と基板41とを両面テープで、少なくとも、中央軸の全体または間隙を介して数箇所、貼着するのが好ましい。これにより、収納本体50の内部への基板41の挿入および抜き取り時に保護板60内面とメディア42とが擦れても、その摩擦力でメディア42が基板41から剥がれる、破損する等を防止することができる。勿論、メディア42の四方を両面テープで貼着してもよく、離脱防止効果等は向上するが、背面からLED光源31を照射した際に、粘着テープの陰が映し出される可能性があるため、両面テープの配置箇所は、極力少ない方が好ましい。
【0038】
また、基板41へのメディア42の貼着手段としては、両面テープに限定されるわけではなく、表示媒体40の基板41、メディア42、その他のヨレやゆがみ、離脱等が生じるのを防止可能であれば、いずれの手段を用いてもよい。例えば、均一な塗布が可能なスプレー糊、その他の接着剤などで行ってもよい。また、樹脂材料の有する静電気を利用して双方を貼り付けてもよく、少なくとも基板41の挿入時に基板41上のメディア42のズレ、よれ、脱落などが生じなければ、他のいずれの方法を用いてもよい。また、基板41にメディア42を貼着するのではなく、前述したように、基板41等にインクジェットプリンタ、スプレー塗料または通常の塗料などで直接、表示情報を描いてもよい。
【0039】
また、図1に示すように、収納本体50は、両端の内側に、側面L字型であって、収納本体50の長手方向に平行で長尺な固定部53を接続している。この固定部53は、図4等に示すように、ネジ孔53aが複数、長手方向に所定間隙を介して開口され、被設置部20に設けた取付部21に、ネジ54により固定部53を固定している。これにより、被設置部20への表示用パネル10の設置を安定かつ強固に行うことができる。なお、固定部53は、側面L字型に限らず、図6に示すようなコ字型、または、U字型、I字型、その他、被設置部20の取付部21に応じた形状のものを使用することができる。
【0040】
また、発光表示部30の下端は、収納空間61以外の部分が、図1に示すように、発光部カバー37で被覆され、ネジ等の固定部材39aによって収納本体50に固定されている。なお、図1では下側の外周縁51dのみ発光部カバー37で被覆された状態が記載されているが、上側の外周縁51cも、同様の発光部カバー37で被覆されていてもよい。さらに、発光部カバー37には、図1に示すように、後述する蓋体71を固定するためのネジ孔39bが開口されている。なお、本実施形態では、下側に蓋体71を装着して被覆し、かつ、蓋体71に水抜き部72を設けているが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、蓋体71を使用せず、発光部カバー37を蓋体に代用し被覆されていない開口部分やネジ孔39bを水抜き部としてもよい。
【0041】
また、収納本体50の左右両側と上側の外周縁51a、51b、51cは、封止部材70で水密に封止されている。ここで水密性の程度は、特に限定されない。例えば、屋外に設置しても雨水等が入らない機構を備えていればよいものとする。本実施形態では、図4、図5に示すように、下方が開口した門型の枠体70aを収納本体50の保護板60の表面に装着することにより、三方の外周縁51a、51b、51cを水密に封止している。なお、水密性をより向上させるために、枠体70aと収納本体50との隙間に樹脂等のパッキン材料(たとえば、図1の本実施形態のパッキン56)を充填して密閉してもよい。
【0042】
また、収納本体50の底部に装着する発光部カバー37には、図1に示すように、ピン13a、13bを支点に円周方向に回転自在にツメ状の支持部材12(12a、12b)を設けている。この支持部材12a、12bは、回転自在であるため、基板41の収納空間61への挿入時は、図1の支持部材12aのように収納空間61を閉塞しない位置に回転させ、当該挿入を妨げないようにすることができる。また、基板41の挿入完了後は、図1の支持部材12bのように、ピン13bを支点として回転し、基板41の下端に対して交差方向に配置する。これにより、重力に対抗して、基板41の落下を抑えることが可能となる。なお、本実施形態では、ツメ状の支持部材12a、12bとピン13a、13bを使用しているが、基板41の挿入や抜き取りを妨げず、かつ、落下を防止することができれば、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば、押圧により出入りする支持部材とするなど、従来公知のいずれの手段を用いてもよい。
【0043】
なお、導光板35の材料としては、具体的には、例えば、反射ドットを有する住友ベークライト社製のサンロイドルミキング(登録商標)や、通常の導光板(反射ドットの印刷や貼着による反射、V字カット等の溝加工による反射など)を用いることできる。しかし、通常の導光板素材では、例えば、照明看板や店舗の内部の照明陳列棚などの大型面の表示用パネルに適用される場合、光源から離れた中央部や端部では、輝度ムラを生じて見栄えの悪いものとなり易かった。これに対して、サンロイドルミキングは、このような問題を解決し、光源から離れた中央部や端部でも暗くなりにくく、輝度ムラの少ない導光板35を得ることができるので、最も好ましい。
【0044】
また、本実施形態のような半楕円形の表示用パネル10、第二、第三実施形態のような半円状の表示用パネル101、102、または、第四実施形態のような中心角度が180度以上の半円以上の扇形の表示用パネル103は、両側の外周縁(たとえば、左側の外周縁51a)の一側と他側(たとえば、右側の外周縁51b)との直線距離が半円の最大対角線と同一かまたは、最大対角線よりも短い。即ち、本実施形態の図1を用いて説明すれば、右側と左側の外周縁51a、51b間の直線距離Xとする。この直線距離Xが、たとえば、左側の外周縁51aから保護板60の内面までの対角線Y1・・・Ynのうち、最大対角線Ymax(すなわち、図1の最大対角線Y1)と同一である。後述の第四実施形態で詳細に説明するが、収納本体50の右側と左側の外周縁51a、51bと円弧の中心とを結ぶ線とのなす角度が180度以上の扇形の表示用パネルの直線距離Xは、Y1・・・Yn中の最大対角線Ymaxよりも短くなる。
【0045】
そのため、例えば、開き戸にした場合は、側面が引っ掛かって開くことができない。また、開くための広い空間が手前に必要となる、などの問題が生じ得る。さらには、水密性が保たれない可能性も生じ得る。しかしながら、本実施形態の表示用パネル10は、下側から表示媒体40としての基板41を挿入したり、抜き取ることが可能であるから、半円以上の製品を製作することも可能となる。また、手前に開く必要がないので、広い空間も必要なく、狭い場所や高所でも容易に作業ができ、作業効率を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の表示用パネル10は、図1に示すように、収納本体50の左右両側の外周縁51a、51bに、基板41の挿入方向と平行であって、当該基板41の側端部を挿入方向に案内するガイド部55を備えている。本実施形態では、図1等に示すように、前方向へ開口する断面コ字型のガイド部55を、下側の外周縁51dから上側の外周縁51cまで長尺な凹状に形成している。このようなガイド部55では、発光表示部30の一部である基板41の挿入や抜き取る際に、凹状のガイド部55に沿って作業できるので、当該基板41が傾斜したり引っ掛かったりすることなく、円滑に挿入や抜き取りをすることが可能となる。さらには、ガイド部55が前方に開口する断面コ字状であるため、スペーサの役割も果たし、ガイド部55の一方の壁面55aの外面を発光表示部30の表面に当接し、他方の壁面55bの外面を保護板60の裏面に当接することで、拡散板36と保護板60との間に、基板41等の表示媒体40を挿入するための収納空間61を容易に形成することができる。また、基板41の挿入完了後は、コ字状のガイド部55で、発光表示部30と保護板60との間に、表示媒体40を収納する収納空間61を形成したものである。
【0047】
なお、本実施形態では、長尺なレール状のガイド部55としているが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、下側の外周縁51dの一部のみに設けてもよいし、上側の外周縁51c及び下側の外周縁51dの4隅に設けてもよいし、中間部にも設けて6カ所に断続的に設けてもよい。また、凹部を有するものであれば、U型、V型、H型などであってもよいし、レール状ではなく点在する凹凸であってもよい。また、壁面55aと壁面55bとの形成高さ等が異なっていてもよい。また、基板41を案内することができれば、凹部を含むレール状に限らず、凸部(例えばI型やL型)を有するものであってもよい。また、机の引き出しのようなローラーやストッパが付いたレールを用いてもよい。いずれの場合でも、使用目的やコストに応じて長さも自在に決定することができる。また、基板41の挿入や抜き取りが容易であればガイド部55のない、より廉価な製品としもよい。
【0048】
また、収納本体50の下側の外周縁51dに装着する蓋体71は、図5に示すように、当該外周縁51dに水密に装着されている。なお、図4および図5では、導光板35や拡散板36の位置関係、基板41の挿入や抜き取りをする収納空間61の位置関係等を分かりやすくするため、発光表示部30の発光部カバー37を外した状態を表示している。しかし、本来は発光部カバー37が固定されていて、発光表示部30を保護している。
【0049】
また本実施形態では、開口部52から基板41を挿入または抜き取りをするため、開口部52に装着する蓋体71は、脱着可能に形成されている。そして、水密性は保ちつつも、収納本体50の内部の表示媒体40を容易に挿入し抜き取ることができるようにすることが好ましい。また、屋外で使用する場合、特に、より高い水密性を必要とするため、例えば、図2に示すように、開口部52の両端の長手方向であってガイド部55の外側にパッキン56を配置してもよい。このパッキン56は、本実施形態では、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を使用しているが、本発明がこれに限定されるものではない。水密性が保持できれば、パッキンに一般的に使用されている、天然ゴム、その他の材料を用いることができる。
【0050】
また、封止部材70としては、門型の枠体70aに限定されるものではなく、前述のEPDMのようなパッキン材料のみを用いてもよいし、収納本体50の材料となる樹脂同士を溶接したり、接着剤などで接着し水密に封止してもよい。
【0051】
また、本実施形態の表示用パネル10では、図5に示すように、蓋体71に、収納本体50の内部の水分を排出する水抜き部72を設けている。このような構造では、収納本体50の内部に不測に雨水などが浸入したり、外気との気温差が大きくて結露を生じても、蓋体71で水密性を保持しながらも、水抜き部72から収納本体50の内部に溜まった水分を排出することができる。また、外気が水抜き部72から自由に出入りするため、結露の発生を少なくすることも可能となる。
【0052】
なお、水抜き部72は、小径の円形であってもよいし、大径の円形であってもよい。または、楕円形、矩形であってもよい。ただし、水抜き部72の開口が大きすぎると、LED光源31の光に誘導されて、収納本体50の内部に虫等が侵入することがある。これを防止するため、水抜き部72に、当該水抜き部72の開口径よりも目開きが小さい網状体(例えば、網戸用の網等)を設けてもよい。この網状体により、虫等の侵入は防ぐとともに、内部の水分を排出することができるという相乗効果が得られる。
【0053】
ここで、水抜き部72の開口径とは、円形であれば直径を示し、楕円形であれば、長軸の径を示し、四角形、その他の矩形であれば、対角線を示す。また、辺の長さが不均一な形状であれば、最も長い対角線を示す。また、目開きとは、網目の内径を示し、使用する線材料の太さや線材料の配置方向や所定間隔あたりの本数によって異なる。そのため、水抜き部72の開口径を考慮して、虫の侵入は防ぐが、水滴の落下は妨げないような目開きの網状体を使用することが好ましい。
【0054】
なお、開口部52を下方向に向けて雨水の少ない屋外で使用する、屋内で使用するなど、水分が入りにくい場合は、開口部52に蓋体71を装着せずに、開口状態を保持してもよい。このような場合、開口部52が水抜き部72としての機能をも果たすものとなる。また、たとえば、柱本体ではなく梁などの、上下方向に湾曲した被設置部20に表示用パネル10を設置する場合、外周縁51の直線部分、たとえば、外周縁51aまたは51bが下向きとなる。この場合、下側となる外周縁51aまたは51bに開口部52を形成する。このような構成では、表示媒体40の両側を湾曲させる必要がなく、平面状態のままで開口部52から挿入することができる。この動作により、湾曲した収納本体50の形状に追随して、表示媒体40が湾曲するので、挿入が容易である。また、抜き取り時も、開口部52から表示媒体40を引き抜くだけで、容易に抜き取ることができるし、抜取り後は表示媒体40が平面に復元する。なお、この場合もガイド部55を、湾曲した外周縁51c、51d側に設けることで、表示媒体40の挿入および抜き取りが、より容易となる。さらに、開口部52に蓋体71を装着することで、雨風の防止効果を向上できる。また、室内や雨水の少ない被設置部20への設置の場合は、開口部52に蓋体71を設けなくても、空気の出入り口となるため、外気温との差が大きく生じることを防止して、結露の発生を抑えることも可能となる。また、このような開口部52にも、目開きが小さい網状体を設けることにより、収納本体50の内部の水分の排出は妨げることなく、虫等の侵入は良好に防ぐことができる。
【0055】
<表示用パネルの使用例>
以上のような表示用パネル10の使用例について説明する。まず、図1に示すように、表示用パネル10を屋外の電信柱等の被設置部20の外周に沿わせて配置する。この場合、外周縁51cを上方に、外周縁51dを下側に配置する(図4参照)。次に、被設置部20に固定された取付部21等に、表示用パネル10のL字型の固定部53を、ネジ54により固定する。このように、被設置部20の形状に沿わせて表示用パネル10を設置することができるため、表示用パネル10が路上に突出して交通の妨げになるようなことがなく、使用性に優れたものとなる。また、水密的に封止された三つの外周縁(51a、51b、51c)により、屋外に配置しても、雨水が収納本体50の内部に侵入しにくいものとなる。
【0056】
次に、図4に示すように、下側の外周縁51dに装着された蓋体71を外し、メディア42が貼着された基板41(表示媒体40)を湾曲させながら、ガイド部55に挿入し、ガイド部55に沿わせて基板41を上側の外周縁51c方向に挿入する。このように、下側の外周縁51dから表示媒体40を挿入することができるので、高い場所に表示用パネル10を設置しても、高いハシゴや脚立等を使用することなく、容易に挿入作業を行うことができる。また、扉の開放等がないため、狭い場所でも、容易に作業することができる。
【0057】
挿入作業が終了したら、図5に示すように、表示用パネル10の下側の外周縁51dに蓋体71を装着し、ネジ73等の固定部材で表示用パネル10(本実施形態の場合は、発光部カバー37のネジ孔39b(図1参照)に上記ネジ73を螺着して、蓋体71を固定する。このように蓋体71を固定することで、作業が終了する。したがって、表示媒体40の挿入作業を迅速かつ容易に行うことができる。
【0058】
また、使用の最中は、LED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とのズレが防止され、一致状態が保持されているため、照度の低下のない良好な情報表示が可能となる。さらに、封止部材70や蓋体71により、収納本体50への雨水等の侵入を防ぐとともに、水分の排出性にも優れているので、水分による輝度ムラや装置の腐食等を良好に防止して、美観と耐久性に優れた表示用パネル10を得ることができる。したがって、発光表示部30の点灯により、照度の低下や輝度ムラのない、美観に優れた表示を長期に行うことができる。なお、上記では、最初にネジ73により被設置部20の取付部21に取り付けると記載している。しかし、図5では、ネジ73を表示媒体40の挿入後に行うように表示している。最初に取り付ける工程は、使用例の一つを示したものであり、本発明の使用工程がこれに限定されるものではない。したがって、最初の取り付け時は、作業場等で表示媒体40を収納本体50の内部に収納した後、被設置部20の取付部21に取り付けてもよい。その後の表示媒体40の取り替え時に、被設置部20に既に表示用パネル10が設置された状態で、その後の作業を行ってもよい。
【0059】
例えば、表示媒体40の取り替え等により、既に収納されている表示媒体40を抜き取る場合は、上述した挿入時とは逆の工程で、蓋体71を外した後、表示媒体40をガイド部55に沿って抜き取る。この場合も、表示用パネル10の下側の外周縁51dから作業を行うことができるので、高い場所に設置された表示用パネル10であっても、容易に作業することができる。また、ガイド部55等により、抜き取り作業も容易で、かつ、水濡れなどによる引っかかりや、メディア42の破損などを極力防止して、円滑に抜き取り作業を行うことが可能である。そして、新たな表示媒体40を挿入し、蓋体71を装着するだけで、容易に作業を終了することができる。
【0060】
また、基板41を再利用する場合であっても、メディア42に付着した両面テープの量が少ないので、基板41からメディア42を容易に剥がすことができる。たとえ、接着部分が多い場合でも、水濡れによる破損等がないので、剥離作業も円滑に行うことができる。
【0061】
以上のように、本実施形態にかかる表示用パネル10では、収納本体50の下側の外周縁51dに開口部52を有し、この開口部52以外の外周縁51a、51b、51cが水密に封止されている。したがって、表示用パネル10を、屋外に設置した場合であっても、封止部分により収納本体50の内部への雨水等の侵入を防ぐことができる。また、収納本体50の内部に水分が不測に侵入したり、内外の気温差等による結露が生じても、水抜き部72から水分を排出することができ、輝度ムラ、機器の耐久性に影響が少ない。また、屋内で使用した場合であっても、不測の水分の侵入や結露による水分を、開口部52や水抜き部72から外部に排出することができる。また、屋外での長期の使用、人体等の突き当たり等による不測の衝撃、地震等による振動等によっても、LED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とのズレ防止効果が保たれているため、照度の低下を良好に防ぐことが可能となる。そのため、表示情報を表示する際の照度の低下や輝度ムラの低下を生じることなく、優れた美観で長期に情報を表示することができ、表示用パネル10の耐久性も向上させることができる。また、正面だけでなく円周方向からの視認が可能でアピール性に優れた情報表示が可能となる。また、表示媒体40の全部または一部を開口部52から挿入や抜き取りをすることができ、作業性にも優れた表示用パネル10を提供することができる。
【0062】
なお、本発明は上述の実施形態および以降で説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。例えば、本実施形態、および、以降の実施形態では、発光表示部30として、LED光源31、導光板35、および、拡散板36により表示媒体40を照明するものとしているが、LED光源31自体で、表示情報を表示してもよい。また、LED光源31に限らず、光源には冷陰極管などの他の公知の光源を用いてもよい。また、発光表示部30は、光源、導光板35、拡散板36を有するものであれば、反射板35aや別個の表示媒体40を用いなくてもよいし、輝度や照度を向上させるため、さらに別個の部材を用いてもよい。
【0063】
また、本実施形態および以降の実施形態では、表示方向に凸状に湾曲する表示用パネル10について説明しているが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、表示方向に凹状に湾曲する表示用パネルであってもよい。この場合でも、直線部を備えることにより、導光板の中心軸と光源の光軸とを一致させることができ、光源からの光を有効に利用して、高い照度で美観や光による表示効果に優れた表示媒体の照明が可能となる。
【0064】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態について、図6を参照して説明する。本実施の形態の表示用パネル101は、上記第一実施形態と同様に、曲面を有する発光表示部30と、発光表示部30を収納し、曲面を有する収納本体50と、曲面を有し収納本体50の表面に、発光表示部30の収納空間61を介して配置された保護板60と、収納本体50の外周縁51のうち、下側の外周縁51dに開口した開口部52と、を有している。また、発光表示部30の導光板35は、湾曲面Bの両端にLED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とが一致するよう構成されている。また、下側の外周縁51d以外の、他の三方の外周縁51a、51b、51cは、封止部材70である門型の枠体70aで水密に封止されている。なお、開口部52も、蓋体71により、水密に閉止されているが、収納本体50の内部の水分等を排出可能な水抜き部72を有している。なお、本実施形態では、支持部材12を省略しているが、使用目的等に応じて設けてもよいし、設けなくてもよい。また、第一実施形態とは異なる支持部材12を設けてもよい。
【0065】
ここで、第一実施形態と異なる点について説明する。第一実施形態では、曲面が半楕円状であったが、本実施形態の表示用パネル101は、半円状の表示用パネル101である。また、第一実施形態では、電柱等の円筒状の被設置部20の円弧に沿って、一対の断面L字型の固定部53によって表示用パネル10を設置していた。そのため、表示用パネル10が被設置部20よりも厚み分しか突出していなかった。しかし、第二実施形態の表示用パネル101では、図6に示すように、固定部53として、断面コ字状の広幅のものを1つのみ用いている。さらに、この広幅の固定部53を、被設置部20に平面的に設置された取付部21に取り付けることで、被設置部20よりも、例えば、前面に突出するように表示用パネル101を設置している。また、本実施形態の場合、保護板60と基板41との曲率がほぼ同じで、基板41の表面が保護板60に当接していない状態を示している。
【0066】
このように、被設置部20よりも全面に突出配置することで、より目立つ表示用パネル101とすることができる。そのため、例えば、工事区域やため池等、人が近づくのを禁止したい場所等にこのように設置することで、人々の注意を、より喚起することも可能となる。また、このように突出して設置しても、衝撃等によるLED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とのズレが防止され、水分の侵入等を防ぐことにより、左右両側の外周縁51a、51bまで、照度の低下や輝度ムラのない、美観や注意喚起能力に優れた表示用パネル101を提供することができる。そして、平面的な表示用パネルと比較して、正面側だけでなく、円周方向からも表示情報を視認することができる。さらに、本実施形態では、円筒状の被設置部20に設置しているが、従来のように、平面的な壁面にも設置できる。この場合も手前への開放等が不要であるため、交通の支障等になりにくいものとなる。このように、固定部53の種類を変えるだけで、さまざまな場所や目的に応じた設置が可能な表示用パネル101を提供することができる。
【0067】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態について、図7を参照して説明する。本実施の形態の表示用パネル102は、上記第二実施形態と同様に、半円状の曲面を有する発光表示部30と、発光表示部30を収納し、曲面を有する収納本体50と、曲面を有し収納本体50の表面に、発光表示部30の収納空間61を介して配置された保護板60と、収納本体50の外周縁51のうち下側の外周縁51dに開口した開口部52と、を有している。また、本実施形態でも、発光表示部30の導光板35は、湾曲面Bの両端にLED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とが一致するよう構成されている。また、下側の外周縁51d以外の、他の三方の外周縁51a、51b、51cは、封止部材70である門型の枠体70aで水密に封止されている。なお、開口部52も、蓋体71により、水密に閉止されているが、収納本体50の内部の水分等を排出可能な水抜き部72を有している。なお、本実施形態では、支持部材12を省略しているが、使用目的等に応じて設けてもよいし、設けなくてもよい。また、第一実施形態とは異なる支持部材12を設けてもよい。
【0068】
ここで、第一実施形態と異なる点について説明する。第一実施形態では、保護板60に何ら切込みや切欠きを設けていないが、図7に示すように、第三実施形態では、保護板60の下側の外周縁51dを長円状に2カ所切欠いて、切欠き部63を設けている。
【0069】
このように、切欠き部63を設けた表示用パネル102では、この切欠き部63から表示媒体40を手指やペンチその他の工具等で直に挟持してバランスよく引き抜くことができる。したがって、表示媒体40の挿入や抜き取り作業を、より円滑かつ迅速に行うことができる。また、断面L字の蓋体71を装着すれば、切欠き部63が被覆されるため、雨水の浸入を防ぎ、輝度ムラのない美観に優れた表示が可能となる。また、衝撃等によるLED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とのズレ防止効果にも影響がない。なお、本実施形態では、2カ所に切欠き部63を設けているが、本発明がこれに限定されるものではない。使用目的や表示媒体40の挿入や抜き取りの行い易さに応じて、一箇所でもよいし、3カ所以上設けてもよい。また、長円状の切欠き部63ではなく、挿入や抜き取りが容易であれば、矩形状、半円状など、いずれの形状の切欠き部63を設けてもよい。
【0070】
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態について、図8を参照して説明する。本実施の形態の表示用パネル103は、上記第一実施形態と同様に、曲面を有する発光表示部30と、発光表示部30を収納し、曲面を有する収納本体50と、曲面を有し収納本体50の表面に、発光表示部30の収納空間61を介して配置された保護板60と、収納本体50の外周縁51のうち下側の外周縁51dに開口した開口部52と、を有している。また、本実施形態でも、発光表示部30の導光板35は、湾曲面Bの両端にLED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とが一致するよう構成されている。また、下側の外周縁51d以外の、他の三方の外周縁51a、51b、51cは、封止部材70である門型の枠体70aで水密に封止されている。なお、開口部52も、蓋体71により、水密に閉止されているが、収納本体50の内部の水分等を排出可能な水抜き部72を有している。なお、本実施形態では、支持部材12を省略しているが、使用目的等に応じて設けてもよいし、設けなくてもよい。また、第一実施形態とは異なる支持部材12を設けてもよい。
【0071】
ここで、第一〜第三施形態と異なる点について説明する。第一〜第三実施形態では、収納本体50の突出部分が略180度の楕円状または半円状に形成されている。そのため、電柱等の被設置部20の略半分を被覆するか平坦面等から半円筒状に突出させて設置するため、設置等が簡単であり、被設置部20の正面と横方向からの視認が可能である。これに対して、図8に示すように、第四実施形態の表示用パネル103では、収納本体50が円筒状で、中心角度が180度より大きく、電柱等の円筒状の被設置部20の円周面を180度超で被覆可能としている。このような表示用パネル103の場合は、湾曲面の曲率が大きいため、通常は導光板35の中心軸とLED光源31の光軸Cとの位置合わせが困難であることが考えられる。しかしながら、本実施形態では、導光板35の湾曲面に連続して直線部35b1、35b2を設けていることにより、LED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸との位置合わせを簡易に行うことができ、使用時のズレも抑制して、照度の低下を良好に防止することができる。
【0072】
また、本実施形態のような、半円以上の扇形の表示用パネル103では、左右両側の外周縁の一側(たとえば、左側の外周縁51a)と他側(例えば、右側の外周縁51b)との直線距離が、一側(51a)からのいずれの対角線Y1・・・Yn、すなわち、最大対角線Ymax(すなわち、図8の最大対角線Y2)よりも確実に短くなる。このような表示用パネル103を被設置部20に設置することにより、斜め後方等からも表示情報を視認でき、看者に対するアピール性を向上させることができる。したがって、広面積の広告等を制作したい業者の要望に好適に応えることができる等、さまざまな要求に対応可能な表示用パネル103を提供することができる。
【0073】
なお、保護板60の下側の外周縁51dを2カ所切欠いて、切欠き部63を設けてもよく、広面積の表示媒体40を手指やペンチその他の工具等で直に挟持して、バランスよく容易に引き抜くことができる。したがって、表示媒体40の挿入作業や抜き取り作業を、より円滑かつ迅速に行うことができる。また、断面L字の蓋体71を装着すれば、切欠き部63が被覆されるため、雨水の浸入を防いで、輝度ムラの発生をも抑えることができ、美観に優れた情報の表示が可能となる。
【0074】
また、直線部35b1、35b2を設けたことに加え、被設置部20の外周を180度超被覆しているので、設置の安定性にも優れる。そのため、衝撃等による導光板35の中心軸とLED光源31の光軸Cとのズレ防止効果に優れた表示用パネル103を提供することができる。なお、被設置部20への設置や取り外しの際は、両端の外周縁51a、51b間の直線距離Xが短いため、作業しにくいことが考えられる。しかし、保護板60や発光表示部30の導光板35や、拡散板36等も弾性力に優れる樹脂材料等で円筒形に形状記憶させて形成し、設置の際に弾性変形させることで、直線距離Xを容易に拡開することができる。そして、取り付けまたは取り外し後は、弾性的に復元して、円筒状の被設置部20に沿わせて設置することができる。または、これらの部材を平板状に形成しても、弾性力を利用して円筒形に変形させて設置し、枠体70aや蓋体71、発光部カバー37を剛性に優れる材料で形成し、これらで円筒形にした保護板60や発光表示部30の各部品等を固定してもよい。いずれの場合でも、直線部35b1、35b2の存在により、LED光源31の光軸Cと直線部35b1、35b2の端面A1、A2との直交状態および光軸Cと導光板35の中心軸とのズレを良好に防止して、照度の低下を抑制して、良好な情報の表示が可能となる。
【0075】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。例えば、上記各実施形態では、両側に直線部を形成していたが、一側のみに形成してもよい。また、収納本体を楕円状、半円状、円筒の一部で形成していたが、前面突出していれば、例えば、矩形状の表示用パネルであってもよい。このような場合でも、直線部を設けることにより、光軸と端面とを直交させ、かつ、光軸と導光板の中心軸とのズレを防止して、照度の低下を良好に防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
10、101、102、103 表示用パネル
12、12a、12b 支持部材
20 被設置部
30 発光表示部
31 LED光源(光源)
32 隔絶壁
33 光源収納部
34 小室
34a シリコーン樹脂(封止部材)
35 導光板
35a 反射板
35b1、35b2 直線部
38a、38b スペーサ
36 拡散板
38c 直線部収納体
38d 導光部収納筐体
40 表示媒体
41 基板
42 メディア(表示媒体)
50 収納本体
51、51a、51b、51c、51d 外周縁
52 開口部
55 ガイド部
55a、55b 壁面
57 拡散板固定壁
58 ネジ(固定部材)
60 保護板(表示面)
61 収納空間
62 背面
63 切欠き部
70 封止部材
71 蓋体
72 水抜き部
80 付勢手段
A1、A2 端面(直線部)
B 湾曲面(導光板)
C 光軸
X 直線距離
Ymax 最大対角線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示方向に凸状または凹状に湾曲し、光源からの光によって各種表示情報を表示する表示面および湾曲した収納空間を有する収納本体と、
前記光源、および、前記表示方向に凸状または凹状に湾曲する湾曲面を有し前記光源から射出された光を端面から入射させ、この端面から入射した光を前記表示面が配置された方向に射出する導光板を備える発光表示部と、を有し、
前記導光板は、前記湾曲面の少なくとも一側に、前記光源の光の入射する方向に、当該光の光軸と直交して対向する端面と、光軸方向に平行な直線面とを有する直線部を備えたことを特徴とする表示用パネル。
【請求項2】
前記導光板は、前記湾曲面と前記直線部とが、連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示用パネル。
【請求項3】
前記導光板は、前記湾曲面と前記直線部とが、互いに滑らかに一体化していることを特徴とする請求項1または2に記載の表示用パネル。
【請求項4】
前記導光板は、前記直線部の前記端面の幅方向の中心軸が、前記光源の前記光の前記光軸と一致することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表示用パネル。
【請求項5】
前記光源は、LED光源であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示用パネル。
【請求項6】
前記発光表示部は、前記光源を複数収納し、前記導光板の前記端面に対向する側が開口した光源収納部を有し、
前記光源収納部は、複数の前記光源を互いに隔絶する隔絶壁を、所定間隔で複数有し、
各光源を収納する小室を複数形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示用パネル。
【請求項7】
前記光源を内部に収納した前記小室は、光透過性の封止部材が充填されていることを特徴とする請求項6に記載の表示用パネル。
【請求項8】
前記光源は、前記光源収納部とともに付勢手段により前記導光板の前記直線部の端面に向けて付勢され、当該付勢により、複数の前記隔絶壁のそれぞれの端面を前記直線部の前記端面に当接させることを特徴とする請求項6または7に記載の表示用パネル。
【請求項9】
前記光源収納部および前記導光板の前記直線部の少なくとも一部を収納する直線部収納体を、さらに有し、
前記直線部収納体は、当該直線部収納体の内壁面と前記導光板との間に、スペーサを前記導光板の一面または両面に配置し、
さらに、前記スペーサの前記光源収納部側の一端を、前記光源収納部の壁面または前記隔絶壁に当接させたことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の表示用パネル。
【請求項10】
前記収納本体は、前記直線部収納体と、前記光源収納部を付勢する前記付勢手段とを収納する導光部収納筐体を、さらに有し、
前記導光部収納筐体は、前記付勢手段の付勢力により、前記直線部収納体を前記直線部の直線方向に摺動可能であることを特徴とする請求項9に記載の表示用パネル。
【請求項11】
前記収納本体は、前記導光部収納筐体と所定間隔を介して、前記導光板から射出した光を、拡散して前記表示面に照射する拡散板と、
前記導光部収納筐体と所定間隔を介して配置された拡散板固定壁と、をさらに有し、
前記拡散板固定壁と前記導光部収納筐体とに、固定部材により、前記拡散板を、前記光軸と平行となるよう固定したことを特徴とする請求項10に記載の表示用パネル。
【請求項12】
前記発光表示部は、前記導光板の背面に、反射板を、さらに有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の表示用パネル。
【請求項13】
前記収納本体は、外周縁の一部に前記発光表示部の全部または一部を挿入もしくは取り出す開口部を有するとともに、当該開口部以外の前記外周縁の少なくとも一部を水密に封止したことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の表示用パネル。
【請求項14】
前記収納本体は、円筒面を有し、当該円筒面の中心角が180度よりも大きく、前記収納本体に収納された前記導光板の湾曲面が円筒状であって、中心角が180度よりも大きく、前記円筒状の前記湾曲面に連続して前記直線部を備えたことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の表示用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141342(P2012−141342A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292016(P2010−292016)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】