説明

表示装置、画像更新方法およびプログラム

【課題】アプリケーションプログラムの調整を必要としない簡易な方法で最適な表示更新を行うことが可能な表示装置、画像更新方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】画像を表示部に表示するための表示情報を保持する表示情報記憶部と、表示情報記憶部から表示部への表示情報の転送を制御する転送制御部と、時刻を出力する計時部と、表示情報記憶部に保持された表示情報を更新する第1の更新の実行を指示するとともに、計時部により第1の更新の終了時刻および現在の時刻を取得して前記終了時刻から現在の時刻までの第1の経過時間を算出し、第1の経過時間が前記表示装置の処理区分に応じて予め定められた更新間隔よりも長くなると、転送制御部に表示部への表示情報の転送を指示することにより表示部における画像を更新する制御部と、を含む表示装置により、上記課題の解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、画像更新方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパといわれる表示装置は、画像を表示画面上に表示した後表示画面への電力供給を遮断した場合に、追加の電力供給を必要とせずに長時間表示し続けることが可能な装置である。このような電子ペーパは、画像の書き換え時以外に電力を消費しないという長所があるが、表示された画像の鮮明性を維持するため、電圧を再供給して、再度同じ情報を描画する再描画処理を行わなければならないことがある。この再描画処理を行うタイミングは、例えば、画像を表示手段に表示するためのコンテンツ情報において画面コンテンツ毎に指定される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電子ペーパにおいて、予め設定した表示スケジュールに対して描画時刻の遅延が発生した場合に、無駄な電力消費や、次画像の書き換えタイミングが遅延することを防止するようにした例もある。この例では、まず、次に表示させる画像の情報を格納した描画情報テーブルから、次に表示させる画像の描画開始時刻を取得する。続いて、取得した描画開始時刻と、次のスロットの開始時刻とを比較する。ここで、スロットとは、複数の画像を表示させる単位である。次のスロット開始時刻が、次画像の描画開始時刻に定められた時間を足した時刻より前の場合には、描画情報テーブルを、次のスロットに含まれる情報に書き換える処理を行う(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−8101号公報
【特許文献2】特開2008−107783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような電子ペーパは、書換えが遅いデバイスであるため、アプリケーションプログラムにより読み込んだ画面イメージを直接表示部へは表示せず、記憶部内で画面イメージのコピーを行った後に表示部の画面イメージの更新を行っている。この方法により、表示部への表示中にアプリケーションプログラムから記憶部上の画面イメージを更新しても、表示部への表示に影響なく表示を行うようにしている。
【0006】
このような電子ペーパの画面イメージを更新する方法には、自動更新と手動更新とがある。自動更新では、予め設定された一定時間毎に画面イメージを更新するが、手動更新では、更新の指示を行うようにアプリケーションプログラムを設定し、その指示に基づき更新する。
【0007】
自動更新においては、画面イメージは一定時間毎に更新されるため、一般に提供されているアプリケーションプログラムをそのまま実行することにより、自動的に画面イメージの更新を行うことができる。しかし、画面イメージのデータ量等に応じて最適な更新タイミングは変化するため、必ずしも最適なタイミングで画面イメージの更新が行われるとは限らず、表示までのタイムラグが発生する場合や表示更新が頻発する場合がある。手動更新では、画面イメージに応じた最適な更新タイミングで更新を行なうことができるが、アプリケーションプログラムにおける設定や設計を調整する必要がある。
【0008】
そこで本発明は、アプリケーションプログラムの調整が不要な簡易な方法で、最適な表示更新を行うことが可能な表示装置、画像更新方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る表示装置は、画像の表示を行う表示部と、前記画像を前記表示部に表示するための表示情報を保持する表示情報記憶部と、前記表示情報記憶部から前記表示部への前記表示情報の転送を制御する転送制御部と、時刻を出力する計時部と、前記表示情報記憶部に保持された前記表示情報を更新する第1の更新の実行を指示するとともに、前記計時部により前記第1の更新の終了時刻および現在の時刻を取得して前記終了時刻から前記現在の時刻までの第1の経過時間を算出し、前記第1の経過時間が前記表示装置において行われる処理内容である処理区分に応じて予め定められた更新間隔よりも長くなると、前記転送制御部に前記表示部への前記表示情報の転送を指示することにより前記表示部における前記画像を更新する制御部と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る画像更新方法は、画像が表示された後電力の供給が遮断された際に、前記画像が継続して表示される表示部を有する表示装置における画像更新方法であって、前記画像を前記表示部に表示するための表示情報を保持する表示情報記憶部において、前記表示情報を更新し、前記更新が終了した更新終了時刻を取得し、前記更新終了時刻からの経過時間を算出し、前記経過時間が前記表示装置において行われる処理内容である処理区分に応じて予め定められた更新間隔よりも長くなると、前記表示部への前記表示情報の転送を指示することにより前記画像の更新を行うことを特徴としている。
【0011】
なお、上述した本発明に係る方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであっても、このプログラムを当該コンピュータによって実行させることにより、上述した本発明に係る方法と同様の作用・効果を奏するので、前述した課題が解決される。
【発明の効果】
【0012】
本発明による表示装置、画像更新方法、プログラムによれば、アプリケーションプログラムの調整を必要としない簡易な方法で最適な表示更新を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による表示装置における画像更新の機能を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態による監視プログラムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態による監視プログラムのシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態による履歴テーブル更新および設定の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態による履歴テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態による表示装置について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による表示装置1の構成を示すブロック図、図2は、表示装置1における画像更新の機能を示す図である。図1に示すように、表示装置1は、電子ペーパデバイス(以下、電子ペーパという)である表示部19に画像を表示する装置である。電子ペーパは、画像の更新時にしか電力を消費しない画像表示装置である。表示部19は、表示を行った後に電力の供給を遮断しても、表示を維持する。
【0015】
表示装置1は、CPU(Central Processing Unit)3、第1の記憶部5、第2の記憶部11、電子ペーパ制御部17、表示部19、入力部21、通信部23、外部メモリ読取部25、電源部27を有し、互いにバス29で接続されている。
【0016】
CPU3は、ROM7に格納されたプログラム、外部メモリ読取部23により読み取られたプログラム等を読み込んで実行する演算処理装置である。第1の記憶部5は、ROM(Read Only Memory)7、RAM(Random Access Memory)9を有している。ROM7は、表示装置1の動作を制御するための所定の基本制御プログラム、表示部19に画像を表示させるためのアプリケーションプログラム、表示部19に表示される画像の更新タイミングを制御する監視プログラム等が予め記録されている、読出し専用半導体メモリである。RAM9は、CPU3が各種制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業領域として使用する、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。
【0017】
第2の記憶部11は、VRAM(Video Random Access Memory)13、SRAM(Static Random Access Memory)15を有している。VRAM13は、表示部19に所定の画像を表示させるため各種プログラムにより読み込んだ表示情報を格納する、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。SRAM15は、VRAM13から表示部19へ転送される表示情報を一時的に格納するバッファとなる、随時書き込み読み出し可能な半導体メモリである。
【0018】
第2の記憶部11においては、アプリケーションプログラムにより読み込んだ表示情報を直接表示部19へは表示せず、VRAM13からSRAM15へ表示情報をコピーした後に、表示部19へ表示している。これにより、表示部19への表示中に記憶部のVRAM上の表示情報を更新しても、表示部19への表示に影響なく表示することが可能となっている。
【0019】
電子ペーパ制御部17は、VRAM13からSRAM15を介して表示部19に表示情報を転送する制御を行うためのプログラムが予め格納された、半導体メモリである。図2に示すように、電子ペーパ制御部17は、出力制御部31、転送処理部33、表示出力処理部35としての機能を有している。出力制御部31は、VRAM13からSRAM15を経て表示部19への表示情報の転送を制御する。転送処理部33は、VRAM13からSRAM15への表示情報の転送処理を行う。表示出力処理部35は、SRAM15からの表示情報を出力部19へ出力し、表示を行わせる処理を行う。
【0020】
表示部19は、例えば液晶や、帯電した顔料を内包したマイクロカプセル等に、表示させる画像に応じた表示情報による所定の信号を入力することにより画像を表示する、いわゆる電子ペーパである。表示部19は、画像を表示させた後、電力の供給を遮断しても長時間画像を保持する。
【0021】
入力部21は、表示装置1への指示を入力するための入力キーやポインティングデバイス等である。通信部23は、外部との通信により情報の授受を行う送受信器等である。外部メモリ読取部25は、例えば不図示の可搬記録媒体を装着し、アクセスを行うことにより可搬記録媒体内部の情報を読み出したり情報を書き込んだりする駆動部である。電源部27は、表示装置1に電力を供給する電源であり、不図示の切換部を有し、電力供給をオンオフするように構成されることが好ましい。
【0022】
図2を参照しながら、本実施の形態による表示装置1における表示部19の画像の更新処理の概要について説明する。図2において、プログラム40は、表示装置1の基本制御プログラム、表示部19に所定の画像を表示させるアプリケーションプログラム、および表示部19における画像更新の動作を監視する監視プログラムを含めたプログラムの概念を示している。表示装置1における実際の処理動作は、プログラムを読み込んで実行するCPU3により行われるが、ここでは、便宜的に動作の主体をプログラム40として説明するものとする。なお、以下「データ」とは、表示部19に画像を表示させるための表示情報をいう。
【0023】
図2に示すように、まず、プログラム40により、VRAM13に、データが書込まれる(a)。すなわちVRAM13には、所定の表示情報が書き込まれる。続いて、プログラム40は、電子ペーパ制御部17の出力制御部31に、データ転送指示を出力する(b)。出力制御部31は、転送処理部33に全データの転送指示を出力する(c)。転送処理部33は、VRAM13からデータを読込み(d)、SRAM15に読み込んだデータを書き込む(e)。また、転送処理部33は、全データの転送が完了したことを出力制御部31に通知する(f)。
【0024】
出力制御部31は、全データを出力する指示を表示出力処理部35に出力する(g)。表示出力処理部35は、SRAM15からデータを読込み(h)、表示部19にデータを出力する(h)。以上説明した手順により、表示部19に表示される画像の更新が行われる(j)。
【0025】
本実施の形態においては、上記の画像の更新のタイミングを、「監視プログラム」により制御する。以下、図3から図6を参照しながら、本実施の形態による画像更新方法の詳細について説明する。図3は、監視プログラムの動作を示すフローチャート、図4は、監視プログラムのシーケンスを示す図、図5は、履歴テーブル更新および設定の処理を示すフローチャート、図6は、履歴テーブルの一例を示す図である。なおこのとき、表示装置1は、不図示の切換部により電源がオンされて電力が供給されており、CPU3は、ROM7から基本制御プログラム、アプリケーションプログラムおよび監視プログラムを読み込んで実行可能な状態であるとする。
【0026】
図3に示すように、監視プログラムが開始されると、CPU3は、更新間隔値UTを設定する(S101)。更新間隔値UTとは、VRAM13への表示情報(データ)の更新が終了してからSRAM15への表示情報の転送を指示するまでの設定時間である。ここで設定される更新間隔値UTの初期値は、一定値としてもよいし、後述する履歴テーブルにおける所定条件に対応する値を参照して設定するようにしてもよい。CPU3は、VRAM13において、表示情報の更新が行われるまで判別を繰り返す(S102:NO)。
【0027】
ここで、図4を参照する。図4は、「アプリケーション処理」、「VRAM更新有無」、「監視プログラム動作」、「データ転送および表示」の時間的な変化を互いに関連付けて示している。「アプリケーション処理」において、(A)は、表示装置1における操作アクションを示す。操作アクションとは例えば、不図示の切換部により電源がオンされたことを示す「起動」、電源がオフされたことを示す「終了」、不図示の操作キーによる操作(例えば↑キー、実行キー)等である。また、(B)は、VRAM13におけるデータの更新終了、(C)はデータの更新開始を示す。
【0028】
「VRAM更新有無」において、「有」は、CPU3からの指示によりデータの更新が行われていることを示し、「無」は、データの更新が行われていないことを示す。「監視プログラム動作」は、VRAM13においてデータ更新が行われていない時間を「経過時間ET」として監視していることを示している。「データ転送および表示」は、電子ペーパ制御部17の転送処理部33および表示出力処理部35が、VRAM13からSRAM15を介して表示部19へデータ転送を行うためのデータ転送指示が、CPU3から電子ペーパ制御部17に出力されることを示している。
【0029】
図3のS102では、まず、VRAM13の更新が開始されるまで監視を行う。更新が行なわれると(S102:YES、)、例えばCPU3に内蔵された不図示のタイマにより、CPU3は、現在の時刻を更新開始日時として取得する(S103)。図4において、更新開始日時は例えば、時刻t0であるとする。続いて、履歴テーブル更新/設定処理を行う(S104)。履歴テーブル更新/設定処理では、更新間隔値UTの設定および更新、経過時間ETの算出等を行う。
【0030】
ここで図5、図6を参照しながら履歴テーブル更新/設定処理について説明する。図5に示すように、CPU3は、操作アクションがあったか否かを判別する(S151)。S151で、例えば、図4の時刻t0のように操作アクションがある場合には(S151:YES)、更新間隔値UTを、一時記憶されている経過時間ETTに設定する(S155)。ここで、経過時間ETTは、図5の後述のS154において最後に算出された経過時間EETであり、RAM9に一時記憶されていることになる。
【0031】
続いて、CPU3は、前区分の履歴テーブルの更新間隔値UTを更新する(S156)。前区分とは、S151の操作アクションが行われる直前の処理区分をいう。ここで、処理区分とは、表示装置1において行われる処理の内容であり、図6の処理区分欄172に記載される。処理区分とは、例えば、アプリ記載欄174に記載されるアプリケーションプログラムの種類、操作アクション欄176に記載される上述した操作アクション、書換え欄178に記載される、更新するデータがVRAM13において占める割合等である。これらの処理区分は、例えばRAM9の所定領域にそれぞれ格納されることが好ましい。
【0032】
例えば、図6に示すように、直前の処理区分が、実行されていたアプリケーションプログラムが「アプリA」、行われた操作アクションが「起動」、書換えが「全体書換」である場合には、更新間隔値欄180に更新間隔値UT=600msと設定されている。この更新間隔値UTを、一時記憶されている経過時間ETTに更新する。すなわちCPU3は、S151の操作アクションが行われる直前の処理区分における更新間隔値UTとして、所定の記憶領域に格納されている経過時間ETTを履歴テーブル170の更新間隔値欄180に書き込む(S156)。
【0033】
CPU3は、次に現在の処理区分を取得する(S157)。すなわち、RAM9の所定箇所に記録されている処理区分欄172におけるアプリ欄174、操作アクション欄176、書換え欄178等に記載される情報を現在の情報に更新する。さらにCPU3は、取得した処理区分に応じて、図6の更新間隔値欄180に記載された情報である現在の処理区分に相当する更新間隔値UTを読み込み(S158)、図3の処理に戻る。
【0034】
CPU3は、さらに、VRAM13におけるデータ更新が終了するまでデータ更新が行われているか否かの判別を繰り返す(S105:YES)。CPU3は、データ更新が終了したと判別すると(S105:NO)、現在の時刻を更新終了時刻(図4における、例えば、時刻t1)として取得する(S106)。
【0035】
CPU3は、さらに、VRAM13においてデータの更新が行われているか否か判別する(S107)。データ更新が開始されていなければ(S107:NO)、経過時間ET=現在日時―更新終了時刻として経過時間ETを算出する(S108)。算出した経過時間ETが更新間隔値UT以下の場合には、(S109)、S107に戻る。
【0036】
CPU3は、VRAM13においてデータの更新が行われていることが判別されると(S107:YES)、S103に戻る。CPU3に内蔵された不図示のタイマにより、CPU3は、現在の時刻を更新開始日時として取得する(S103)。図4において、更新開始日時は例えば、時刻t2であるとする。続いて、履歴テーブル更新/設定処理を行う(S104)。
【0037】
ここで再び図5、図6を参照しながら履歴テーブル更新/設定処理について説明する。図5に示すように、CPU3は、操作アクションがあったか否かを判別する(S151)。S151で、例えば、図4の時刻t2のように操作アクションがない場合には(S151:NO)、経過時間ET=更新開始日時―更新終了日時を算出する(S152)。算出した経過時間ETが、一時記憶された経過時間ETTより長い場合には(S153:YES)、一時記憶する経過時間ETTを算出した経過時間ETに設定し(S154)、図3の処理に戻る。算出した経過時間ETが、一時記憶された経過時間ETT以下の場合には(S153:NO)、そのまま図3の処理に戻る。
【0038】
S105に戻り、CPU3は、さらに、VRAM13におけるデータ更新が終了するまで、データ更新が行われているか否かの判別を繰り返す(S105:YES)。以下同様に、上記S103からS109のNOの動作を繰り返す(例えば図4の時刻t2〜時刻t3)。
【0039】
経過時間ETが更新間隔値UTを超えると(S109:YES)、CPU3は、電子ペーパ制御部17にデータの転送指示を出力し(S110、例えば図4の時刻t4)、S102に戻る。
【0040】
例えば、図4の時刻t4でデータ転送指示が出力されてS102に戻ると、VRAM13がデータ更新を開始するまでCPU3はデータ更新の有無を監視する(S102:NO)。CPU3は、VRAM13におけるデータ更新の開始を検出すると(S102:YES)、更新開始日時(例えば時刻t5)を取得し、続いて、履歴テーブル更新/設定処理を行う(S104)。
【0041】
再び図5、図6を参照しながら履歴テーブル更新/設定処理について説明する。図5に示すように、CPU3は、操作アクションがあったか否かを判別する(S151)。S151で、例えば、図4の時刻t5のように操作アクションがある場合には(S151:YES)、更新間隔値UTを、一時記憶されている経過時間ETTに設定する(S155)。ここで、経過時間ETTは、図5のS154において最後に算出された経過時間EETがRAM9に記憶されていることになる。すなわち、時刻t0から時刻t3までの間で算出された経過時間ETの最大値が経過時間EETとして記憶されている。
【0042】
続いて、CPU3は、前区分の履歴テーブルの更新間隔値UTを更新する(S156)。前区分とは、S151の操作アクションが行われる直前の処理区分、ここでは、時刻t5のアクションが行われる前の処理区分である。
【0043】
例えば、図6に示すように、直前の処理区分が、実行されているアプリケーションプログラムが「アプリA」、行われた操作アクションが「↑キー」、書換え178が「部分書換」である場合には、更新間隔値UT=400msと設定されている。この更新間隔値UTを、一時記憶された経過時間ETTに更新する。すなわち、時刻t5直前の処理区分における更新間隔値UTとして、S151の操作アクションが行われる直前の経過時間ETTを履歴テーブル170に書き込む(S156)。
【0044】
CPU3は、次に現在の処理区分を取得する(S157)。すなわち、RAM9の所定箇所に記録されている処理区分欄172におけるアプリ欄174、操作アクション欄176、書換え欄178等に記載される情報を現在の情報に更新する。さらにCPU3は、取得した処理区分に応じて、図6の更新間隔値欄180に記載された情報である現在の処理区分に相当する更新間隔値UTを読み込み(S158)、図3の処理に戻る。以下同様に処理を行う。
【0045】
以上説明したように、本発明の一実施の形態による表示装置1によれば、電子ペーパにおいてアプリケーションプログラムによって画像の表示を行う際に、監視プログラムがVRAM13上のデータ更新状態を監視する。すなわち、表示部19に表示される画像の更新状態を監視する「監視プログラム」の表示部19へのデータ転送指示を出力するタイミングである更新間隔値UTを、表示装置1における実際の処理時の履歴に応じた値に変更する。
【0046】
このとき、表示装置1におけるアプリケーションによる処理区分毎に、VRAM13のデータ更新終了から次のデータ更新開始(ただし、操作アクションを伴わない更新開始)までの経過時間ETをそれぞれ計測し、次の操作アクションがあるまで(例えば、図4における時刻t0から時刻t3)に計測された経過時間ETのうちの最大値の履歴をとる。
【0047】
処理区分とは、アプリケーションプログラム、操作アクション、VRAM13の更新範囲などである。取得した履歴に応じて処理区分に応じた更新間隔値UTが設定され、処理区分と関連付けて履歴テーブル170に格納される。監視プログラムでは、VRAM13において表示情報の更新を終了してから更新間隔値UTで設定した時間を経過した場合に、「データ転送指示」を行う。
【0048】
なお、CPU3は、実際の表示処理において、VRAM13におけるデータの更新が終了してから次の更新が開始されるまでの時間を経過時間ETとして計測し、履歴テーブル170に記録されている更新間隔値UTを超える場合には、履歴テーブル170の対応する値を更新する。このとき経過時間ETは、データ更新終了から、次の操作アクションを伴わないデータ更新の開始までの時間である。
【0049】
以上のように、表示装置1においては、更新間隔値UTは、VRAM13におけるデータの更新が終了してから次の更新が開始されるまでの時間の、同じ処理区分において計測された経過時間ETの履歴に基づいて設定される。よって、VRAM13から表示部19へのデータ転送は、少なくとも同じ処理区分の経過時間ETの最大値を超えた場合にのみ行われる。よって、表示部19へのデータ転送指示のタイミングが早く、表示部19の画像更新のためのVRAM13へのデータ更新が終了しない場合に何度もデータ転送が行なわれることを防止できる。逆に、VRAM13においてデータ更新が終了してから次の更新開始までに時間がかかる場合も、更新間隔値UTが当該処理区分の実際の経過時間ETに基づいて設定されるため、不要な表示部19の画像の書換えを防止することができる。
【0050】
このように、VRAM13へのデータ更新タイミングが異なる場合にも、アプリケーションプログラムの設定変更などのカスタマイズをすることなく、監視プログラムを実行させるだけで、表示部19の表示の更新タイミングを調整することができる。すなわち、表示部19の画像を更新するためのVRAM13へのデータ更新が終了していない場合に表示部19へのデータ転送指示が連続して行われたり、データ更新の終了後、データ転送指示の出力までにタイムラグが発生したりすることが防止できる。よって、自動更新および手動更新の長所を併せ持つ、違和感のない表示が実現可能である。さらに、表示装置1における実際の処理の履歴に応じてデータ転送タイミングを調整するので、表示装置1の使用に伴い、さらに表示更新のタイミングの最適化を図ることが可能になる。
【0051】
上記実施の形態において、VRAM13、SRAM15は、表示情報記憶部の一例であり、電子ペーパ制御部17は、転送制御部の一例であり、CPU3は、計時部および制御部の一例であり、RAM9は、更新時間記憶部の一例である。
【0052】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を採ることができる。例えば、上記実施形態においては、電子ペーパを例にして説明したが、電力が供給されている間のみ表示が行われる例えば液晶表示装置など、他の表示装置にも適用が可能である。
【0053】
履歴テーブル170において、更新間隔値UTは、操作アクションがあってから次の操作アクションを伴わないデータ更新開始までの経過時間ETの最大値に設定されるようにしたが、これに限定されない。更新間隔値UTは、平均値や、あらかじめ定められた数式にしたがって算出した値として更新してもよい。また、履歴テーブル170に記載された処理区分は一例であり、記載例には限定されず、他の処理区分や、他の組み合わせなどを含む。
【符号の説明】
【0054】
1 表示装置
3 CPU
5 第1の記憶部
7 ROM
9 RAM
11 第1の記憶部
13 VRAM
15 SRAM
17 電子ペーパ制御部
19 表示部
21 入力部
23 通信部
25 外部メモリ
27 電源部
31 出力制御部
33 転送処理部
35 表示出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
画像の表示を行う表示部と、
前記画像を前記表示部に表示するための表示情報を保持する表示情報記憶部と、
前記表示情報記憶部から前記表示部への前記表示情報の転送を制御する転送制御部と、
時刻を出力する計時部と、
前記表示情報記憶部に保持された前記表示情報を更新する第1の更新の実行を指示するとともに、前記計時部により前記第1の更新の終了時刻および現在の時刻を取得して前記終了時刻から前記現在の時刻までの第1の経過時間を算出し、前記第1の経過時間が前記表示装置において行われる処理内容である処理区分に応じて予め定められた更新間隔よりも長くなると、前記転送制御部に前記表示部への前記表示情報の転送を指示することにより前記表示部における前記画像を更新する制御部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記更新間隔を、前記表示装置の処理区分と関連付けて記憶する更新時間記憶部、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記計時部により前記第1の更新の次の第2の更新の開始時刻を取得して前記第1の更新の終了時刻から前記第2の更新の開始時刻までの第2の経過時間を算出し、
前記表示装置における処理区分を取得し、
前記第2の経過時間を、前記表示装置の処理区分における前記更新間隔として前記更新時間記憶部に格納することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置への電力の供給をオンオフする切換部と、
前記表示装置外部から指示が入力される入力部と、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記表示部に前記画像を表示させるために実行しているプログラムの種類、前記切換部による前記表示装置への電力の印加有無、前記入力部による前記表示装置への指示操作、前記第1の更新において更新された情報による前記表示部における書き換え量のうちの少なくとも一つを前記処理区分として取得することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記画像を表示した後に電力の供給が遮断されても前記画像の表示が継続されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
画像が表示された後電力の供給が遮断された際に、前記画像が継続して表示される表示部を有する表示装置における画像更新方法であって、
前記画像を前記表示部に表示するための表示情報を保持する表示情報記憶部において、前記表示情報を更新し、
前記更新が終了した更新終了時刻を取得し、
前記更新終了時刻からの経過時間を算出し、
前記経過時間が前記表示装置において行われる処理内容である処理区分に応じて予め定められた更新間隔よりも長くなると、前記表示部への前記表示情報の転送を指示することにより前記画像の更新を行うことを特徴とする画像更新方法。
【請求項6】
画像が表示された後電力の供給が遮断された際に、前記画像が継続して表示される表示部を有する表示装置において、前記画像を前記表示部に表示させるための表示情報を保持する表示情報記憶部の前記表示情報を更新する処理と、
前記更新が終了した更新終了時刻を取得する処理と、
前記更新終了時刻からの経過時間を算出する処理と、
前記経過時間が前記表示装置において行われる処理内容である処理区分に応じて予め定められた更新間隔よりも長くなると、前記表示部への前記表示情報の転送を指示する処理と、
前記指示に応じて前記表示部における前記画像の更新を行う処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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