表示装置、表示方法及びプログラム
【課題】
画面を見る視認者の視線方向に応じた画像を表示できるようにする。
【解決手段】中央制御部1は、表示部6に対面する視認者を撮影するインカメラ8により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定する。この表示部6に対面してその画面を見る視認者の視線方向から見られているような状態の画像を生成して表示部6に表示させる。これによって表示されている画像に対する視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像に変更することができる。
画面を見る視認者の視線方向に応じた画像を表示できるようにする。
【解決手段】中央制御部1は、表示部6に対面する視認者を撮影するインカメラ8により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定する。この表示部6に対面してその画面を見る視認者の視線方向から見られているような状態の画像を生成して表示部6に表示させる。これによって表示されている画像に対する視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像に変更することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面状の表示部に画像(静止画、動画)などの画像を3D(3次元)表示することによりユーザ(視認者)に立体視させるようにした技術としては、各種の技術があり、例えば、2次元(2D)画像の中のオブジェクトを立体的に見せるような視覚効果を施すようにした技術がある。なお、ポリゴンを利用した技術は、この技術の一例である。また、視認者の右目と左目の視差を利用した技術もある。すなわち、互いに少しずらした右目用の画像と左目用の画像を用意し、それら2つの画像を同時に表示させた際に、右目用の画像は右目で見えて左目では見えないように、左目用の画像は左目で見えて右目では見えないようにするために、光の経路を遮断する電子式の視差バリア(スイッチング液晶パネル)を適切な位置に配置することによって画像を立体に見せるようにした技術であるが、3D用の高価な液晶表示装置を必要とするほかに、視野角が制限されて非常に狭いという問題があった。
【0003】
また、上述のような3D専用の表示装置を使用せずに画像を立体視することができるようにした技術として、例えば、X軸、Y軸、Z軸の各軸回りにおける筐体の回転角度を検出し、各回転角度に応じた画像を3次元表示させるようにした技術(ゲーム装置)が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−298160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した関連する技術(特許文献1の技術)にあっては、操作者が筐体を傾かせるという操作が行われることにより表示部内の画像を変化させるようにしたもので、筐体を動かすことを前提とした技術であり、しかも、筐体をどの方向にどの程度、傾かせたらどのように画像が変化するかは、何回も操作してみなければ、把握することができず、使い慣れるまでに相当の時間を要することになる。更に、実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為のように、表示されている画像を上下左右などの任意の方向から覗き込むように視線方向を変えて見たとしても、筐体を動かさなければ、その画像を変化させることはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、画面を見る視認者の視線方向に応じた画像を表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定する視線方向決定手段と、
前記視線方向決定手段により決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【0008】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
画像を表示する表示手段に対面にその画面を見る視認者の視線方向を決定する機能と、
前記決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する機能と、
前記生成された画像を前記表示手段に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画面を見る視認者の視線方向に応じた画像を表示することができ、3D用の特別な表示装置を使用しなくても、リアリティに富んだ画像表示を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】表示装置として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】携帯電話機の外観斜視図。
【図3】(1)は、三次元モデルの画像データ(三次元モデル画像)を示した図、(2)は、表示部6に表示されている三次元モデル画像を水平方向から見ている場合を示した図。
【図4】(1)は、表示部6に表示されている三次元モデル画像を斜め上方向(図中、斜め上30°方向)から見ている場合を示し(2)は、斜め下方向(図中、斜め下30°方向)から見ている場合を示した図。
【図5】視認者の視線方向に応じて表示画像を変化させる視線表示制御処理を示したフローチャート。
【図6】図5に続く動作を示したフローチャート。
【図7】視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して上下方向(垂直方向)に“ズレ”ている場合を示した図。
【図8】インカメラ8の光軸と表示部6の画面中心位置とが“ズレ”ている場合を示した図。
【図9】(1)は、視認者とインカメラ8との位置関係に応じて変化する座標値と角度を示した図、(2)は、視認者を撮影した撮影画像内での座標値を示した図。
【図10】第2実施形態を説明するための図。
【図11】本発明の機能を説明するための機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図9を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、表示装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話機には、音声データを送受信して通話する音声通話機能のほか、音声以外にリアルタイム画像(相手画像、自分画像)を送受信して通話するTV(テレビ)電話機能を備え、相手側との間でTV電話による通話が可能となっている。更に、携帯電話機には、カメラ機能、電子メール機能、インターネット接続機能などが備えられている。
【0012】
中央制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリなどを有している。この記憶部3には、プログラム記憶部M1、画像記憶部M2などが設けられている。なお、記憶部3は、内蔵型の記憶部に限らず、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しない所定の外部サーバ上の記憶領域を含むようにしてもよい。プログラム記憶部M1は、図5及び図6に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それに必要とする情報などが記憶されている。画像記憶部M2には、カメラ機能により撮影された画像やインターネットからダウンロードした画像などが記憶されている。
【0013】
無線通信部4は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部5から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。表示部6は、例えば、高精細液晶又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで、文字情報、待受画像、画像などを表示する。
【0014】
操作部7は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部1は、この操作部7からの入力操作信号に応じた処理を実行する。インカメラ8は、携帯電話機を構成する筺体の表面側に配設されていて、ユーザ(視認者)己の顔などを撮影するTV電話用のカメラ撮像部であり、また、アウトカメラ9は、筺体の裏面側に配設されていて、外界を撮影するカメラ撮像部である。インカメラ8、アウトカメラ9は、撮影レンズ、ミラーなどのレンズ・ミラーブロック、撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス機能の駆動を制御したりする。
【0015】
図2は、携帯電話機の外観斜視図である。
携帯電話機は、2つの筐体(操作部筐体11、表示部筐体12)が開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられたもので、この2つの筐体11、12を開いた状態(オープンスタイル)において、操作部筐体11の表面側には操作部7が配設され、表示部筐体12の表面側には表示部6が配設されていると共にその近傍にはインカメラ8が配設されている。この場合、インカメラ8は、図示のように、表示部6が縦長となる縦画面の向きとした状態において、その長手方向一端側(図中、上側)の近傍に配設されており、表示部6に対面してその画面を見る視認者(ユーザ)の顔を撮影するようにしている。
【0016】
図3(1)は、三次元モデルの画像データ(三次元モデル画像)を例示した図で、図示の例では、直方体の図形を示しているが、キャラクタなどであってもよい。図3(2)は、表示部6の画面に表示されている三次元モデル画像を水平方向から見ている場合を示し、三次元モデル画像は、その正面部のみが見える状態で表示される。
【0017】
これに対して図4(1)は、表示部6の画面に表示されている三次元モデル画像を斜め上方向(図中、斜め上30°方向)から見ている場合を示し、三次元モデル画像は、その正面部及び上面部が見える状態で表示される。図4(2)は、斜め下方向(図中、斜め下30°方向)から見ている場合を示し、三次元モデル画像は、その正面部及び下面部が見える状態で表示される。このように本実施形態では、表示部6に対面してその画面を見る視認者の視線方向に応じて三次元モデル画像の見え方を変化させるようにしている。
【0018】
中央制御部1は、2つの筐体11、12を開いた状態(オープンスタイル)において、所定のユーザ操作が行われた場合、つまり、視認者の視線方向に応じて表示画像を変化させる処理(視線表示制御処理)がユーザ操作により指示された場合に、表示部6を見る視認者をインカメラ8により撮影させた後、この撮影画像を解析して視認者の目の位置を特定するようにしている。そして、この目の位置に応じて視線方向を決定し、この視線方向から見られているような状態の画像を生成して、表示部6に表示させるようにしている。すなわち、実空間上において実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為と同様に、表示されている画像を上下左右などの任意の方向から覗き込むように視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像を生成して、表示させるようにしている。
【0019】
次に、第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。図5及び図6は、携帯電話機の全体動作のうち第1実施形態の特徴的な動作を示したフローチャートで、この図5及び図6のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0020】
図5及び図6は、視認者の視線方向に応じて表示画像を変化させる視線表示制御処理を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部1は、表示対象の画像(三次元モデル画像)を画像記憶部M2などから読み出すと共に(ステップS1)、インカメラ8を駆動して前方撮影を行わせる(ステップS2)。この場合、表示部6に対面してその画面を見ている視認者がインカメラ8により撮影されることになる。そして、中央制御部1は、この撮影画像を解析することにより視認者の目の位置を特定する画像認識を行う(ステップS3)。なお、撮影画像を解析しながら顔の輪郭や顔を形成するバーツ(目、口、鼻、額など)の形や位置関係などを総合的に判断して、顔及び目の位置を認識するようにしているが、この画像認識の機能は、カメラにおいて一般的に用いられている技術であり、本実施形態ではその周知技術を利用するようにしているため、その具体的な説明については省略するものとする。
【0021】
次に、視認者の視線方向を決定してその目の位置を三次元モデル画像と同じ空間の座標値に変換する処理をY軸及びX軸に対してそれぞれ実行する。先ず、図5及び図6のフローではY軸に対する処理(ステップS4〜S9)を行った後、X軸に対する処理(図6のステップS10〜S14)を行うようにしているが、このY軸に対する処理(ステップS4〜S9)とX軸に対する処理(図6のステップS10〜S14)とは、基本的に同様の処理である。
【0022】
図7は、Y軸に対する処理を説明するための図で、視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して上下方向(垂直方向)に“ズレ”ている場合を図示したもので、表示部6の画面に対して垂直な方向(インカメラ8の光軸方向)を3次元座標系のZ軸(第3軸)とした場合に、Y軸(第2軸)上の目の位置のZ軸に対する角度θが視認者の視線方向となることを示している。なお、3次元座標系のX軸を第1軸、Y軸を第2軸、Z軸を第3軸としているが、これらの関係に限るものではない(以下、同様)。図7(1)は、視認者とインカメラ8との位置関係に応じて変化する座標値y、z及び角度θ、θmaxを示した図であり、図7(2)は、視認者を撮影した撮影画像内での座標値y、ymaxを示した図である。なお、図7では図示省略したが、インカメラ8の撮影面(撮像素子)が表示部6の表示面と一致して同一の垂直面内にあるようにしている。
【0023】
先ず、中央制御部11は、Y軸に対する処理を開始すると、y/ymaxの算出を行う(ステップS4)。ここで、yは、目の位置を相当するY軸上の座標値であり、ymaxは、インカメラ8の画角(θmax)に相当するY軸上の座標値である。この場合、y、ymaxの具体的な数値は不明であるが、y、ymaxの比(y/ymax)は既知の値として取り扱うことができるため、この既知の値とインカメラ8の固定値θmaxとを使用して、視認者の視線方向(目の位置の角度)θ、tanθを次式にしたがって算出する(ステップS5)。
tanθ=(y/ymax)tan(θmax)
なお、θ自体はアークタンジェントなどで求める。
【0024】
次に、インカメラ8から視認者の顔までのZ軸上の距離zを取得する(ステップS6)。この場合、本実施形態ではインカメラ8のオートフォーカス機能を使用して距離zを取得するようにしているが、この機能はカメラにおいて一般的に用いられている周知技術であるため、その説明は省略する。なお、撮影画像内での左目と右目の間の距離から概算的にインカメラ8から視認者の顔までの距離zを算出するようにしてもよい。また、撮影画像内での顔の大きさから概算的にインカメラ8から視認者の顔までの距離zを算出するようにしてもよい。更には、距離zをユーザ操作により任意に設定された値、例えば、一律に30cmなどとして決めておいてもよい。このようにしてインカメラ8から視認者の顔までの実空間内での距離zが決まると、この距離zを使用して、実空間内での視認者の目の位置yを次式にしたがって算出する(ステップS7)。
y=z*tanθ
【0025】
図8は、インカメラ8の光軸と表示部6の画面中心位置とが“ズレ”ている場合を示した図である。このように表示部6の画面中心位置に対してインカメラ8の光軸が“ズレ”ている場合に、そのズレ量の値を“yズレ”とすると、視認者の目の位置yをこの“yズレ”分補正(加算)する(ステップS8)。このようにして実空間内における目の位置座標y、zを求めた後は、この位置座標y、zを三次元モデル画像と同じ空間上の座標値に変換する(ステップS9)。例えば、三次元モデル画像の作成時(デザイン時)に、その開発者が決めた比率を座標値y、zに乗じるようにするようにしてもよい。なお、表示部6の画面中心位置を三次元座標系の原点とした場合において、例えば、三次元モデル画像が画面から1cm奥に見えるように配置されているときのz座標値をマイナス1と決めておくと、その画像の奥行き(1cm)を考慮して、y、z(単位、cm)の値を求めるようにしてもよい。
【0026】
このようにしてY軸に対する処理(ステップS4〜S9)によって三次元モデル画像と同じ空間上の座標値y、zを求めた後は、X軸に対する処理(ステップS10〜S18)を実行する。図9は、視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して左右方向(水平方向)に“ズレ”ている場合を図示したもので、表示部6の画面に対して垂直な方向(インカメラ8の光軸方向)を3次元座標系のZ軸とした場合に、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度θが視認者の視線方向となることを示している。図9(1)は、視認者とインカメラ8との位置関係に応じて変化する座標値x、zと角度θ、θmaxを示した図であり、図9(2)は、視認者を撮影した撮影画像内での座標値x、xmaxを示した図である。なお、この場合においてもインカメラ8の撮影面(撮像素子)が表示部6の表示面とが一致して同一の垂直面内となっている。
【0027】
先ず、中央制御部11は、x/xmaxを算出する(ステップS10)。ここで、xは、目の位置を相当するX軸上の座標値であり、xmaxは、インカメラ8の画角(θmax)に相当するX軸上の座標値である。そして、視認者の視線方向(目の位置の角度)θ、tanθを次式にしたがって算出する(ステップS11)。
tanθ=(x/xmax)tan(θmax)
なお、θ自体はアークタンジェントなどで求める。
【0028】
次に、上述のステップS6で取得したインカメラ8から視認者の顔までのZ軸上の距離zに基づいて、実空間内での視認者の目の位置xを次式にしたがって算出する(ステップS12)。
x=z*tanθ
そして、表示部6の画面中心位置に対してインカメラ8の光軸が“ズレ”ている場合、そのズレ量を“xズレ”とすると、視認者の目の位置xを“xズレ”分補正(加算)する(ステップS13)。このようにして実空間内における目の位置座標x、zを求めた後は、この位置座標x、zを三次元モデル画像と同じ空間上の座標値に変換する(ステップS14)。
【0029】
このようにして三次元モデル画像と同じ空間上の座標値(目の位置)x、y、zを求めた後は、この目の位置から三次元モデル画像を見られているような状態となるように三次元モデル画像を三次元座標系上で回転させてその回転後の画像を表示部6に表示させる(ステップS15)。その後、画像の切り替えが指示されたかを調べたり(ステップS16)、視線表示制御の終了が指示されたかを調べたりする(ステップS18)。いま、例えば、ユーザ(視認者)操作による切替操作が行われたとき又はスライドショ表示時では一定時間の経過が検出されたときには(ステップS16でYES)、表示対象の画像(三次元モデル画像)を選択した後(ステップS17)、図5のステップS1に戻り、以下、上述の動作を繰り返す。また、ユーザ(視認者)操作による終了操作が行われたとき又はスライドショ表示時ではスライドショ終了時間の経過が検出されたときには(ステップS18でYES)、図5及び図6のフローから抜ける。
【0030】
以上のように、第1実施形態においては、表示部6に対面してその画面を見る視認者の視線方向から見られているような状態の画像を生成して表示するようにしたので、視線方向に応じた画像を表示することができ、3D用の特別な表示装置を使用しなくても、視認者にあっては3D表示のような画像を見ることができ、リアリティに富んだ画像表示を実現することが可能となる。
【0031】
また、実空間上で実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為と同様に、表示されている画像を上下左右などの任意の方向から覗き込むように画面に対する視線方向が変えられた場合に、その覗き込まれた視線方向から見られているような状態の画像に変更するようにしたので、例えば、あるキャラクタが表示部6の全体に表示されている状態において、そのキャラクタを下から覗き込みたいと、視認者が画面に近付き、下からキャラクタを見るような行動を起こすと、その下から覗き込んだような状態の画像に変更することができる。
【0032】
表示部6に対面する視認者を撮影するインカメラ8により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定するようにしたので、画像認識により視認者の視線方向を確実かつ容易に決定することができる。
【0033】
インカメラ8により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、表示部6の画面に対して垂直な方向を3次元座標系のZ軸とした場合に、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度と、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度を視認者の視線方向として決定し、この視線方向に基づいて3次元モデルの画像データを回転することにより、その視線方向から見られているような状態の画像を生成するようにしたので、3次元モデルの画像データを回転させるだけで、視線方向から見られているような状態の画像を得ることができる。
【0034】
また、視認者の視線方向と表示部6から視認者までの距離に基づいて視認者の目の位置を特定しその目の位置から物体を見られているような状態の画像を生成するようにしたので、視認者にあっては画像を見る距離を一定に保つ必要がなく、遠く又は近くから見ても、その位置から物体を見られているような状態の画像が表示されるので、表示部6からの距離を意識する必要がなくなる。
【0035】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図10を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、表示部6の画面から視認者の目の位置までの角度θ、tanθを求めようにしたが、この第2実施形態にあっては、表示部6の画面から表示画像の位置までの奥行きを画像毎に考慮して、奥行きを持った各画像から視認者の目の位置までの角度φ、tanφを求めようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0036】
図10は、表示部6の画面から視認者の目の位置までの角度θと、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度φを説明するための図である。ここで、視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して上下方向(垂直方向)に“ズレ”ている場合において、表示部6の画面に対して垂直な方向(インカメラ8の光軸方向)を3次元座標系のZ軸とすると共に、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度を視認者の視線方向としている。そして、表示部6の画面から視認者の目の位置までの角度θを求めた後、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度φを求めるようにしている。ここで、図中、Aは、表示部6の画面からの画像までの奥行き(既知の値)を示している。
【0037】
すなわち、
tanθ=y/z…(1)
tanφ=y/(z+A)…(2)
この両式(1)、(2)にyが共通しているため、ztanθ=(z+A)*tanφ
したがって、tanφ=(z/(z+A))*tanθ
【0038】
ここで、z、θは、上述した第1実施形態と同様にして求められるため、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度φが得られる。その際、表示部6の画面から奥行きを持った画像を複数表示させる場合には、各画像までの奥行きを画像毎に考慮して、奥行きを持った各画像から視認者の目の位置までの角度φを求めるようにしている。なお、図10は、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度を求める場合を示したが、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度も基本的には同様に求めることができる。
【0039】
以上のように、第2実施形態においては、表示部6の画面から画像までの奥行きを考慮して、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度を視線方向としたので、奥行きを持った画像であっても、角度(視線方向)を求めることができ、実空間上で実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為と同様に、視認者の視線方向から見たような状態となるような画像に変更することが可能となる。
【0040】
また、表示部6の画面から奥行きを持った画像を複数表示させる場合には、各画像までの奥行きを画像毎に考慮して、奥行きを持った各画像から視認者の目の位置までの角度を求めるようにしたので、画像毎に見え方が変わり、更に、リアリティに富んだ画像表示が可能となる。
【0041】
なお、上述した各実施形態においては、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度を求めると共に、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度を求めるようにしたが、そのいずれか一方を求めるようにしてもよい。つまり、上下方向のみ覗き込めるようにしたり、左右方向のみ覗き込めるようにしたりするようにしてもよい。
【0042】
また、目の位置の角度θ、φが所定角以上(例えば、70°以上)に達した場合には、直方体の裏側の画像を生成して表示させたり、直方体図形の中身、例えば、直方体が家の外観モデルであれば、家の中の画像を生成して表示させたりするようにしてもよい。
【0043】
また、上述した各実施形態においては、インカメラ8を基準にして視認者の視線方向を特定して、この目の位置から三次元モデル画像を見られているような状態となるように三次元モデル画像を回転させて表示するようにしたが、例えば、仮想カメラを視認者の目の位置y、zに設定すると共に、仮想カメラの視野を表示部6の画面に向けた状態において、3D技術のレンダリング表示(例えば、OpenGL/Direct3Dなど)を使用して、物体の見え方を計算しながらその画像を作成するようにしてもよい。
【0044】
上述した各実施形態においては、折り畳み型の携帯電話機に適用した場合を示したが、2軸タイプの携帯電話機などに適用してもよく、そのタイプは問わない。また、インカメラ8に限らず、携帯電話機とは別のカメラ(例えば、外部機器)を使用して視認者を撮影するようにしてもよい。
【0045】
また、上述した各実施形態においては、インカメラ8で視認者を撮影してその視線方向を特定するようにした場合を例示したが、例えば、角速度センサ、加速度センサなどを使用して筐体の回転角度を求めて、その方向から見られているような状態の画像を生成するようにしてもよい。
【0046】
上述した各実施形態においては、表示装置として携帯電話機に適用した場合を示したが、デジタルカメラ(コンパクトカメラ)、PDA、音楽プレイヤ、ゲーム機などの携帯端末装置であってもよく、更に、携帯端末装置に限らず、テレビ受像機、パーソナルコンピュータ(例えば、ノートPC、タブレットPC、ディスクトップPC)などにも同様に適用することができる。
【0047】
その他、上述した第1及び第2実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0048】
上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、これに限定されるものではない。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
図11は、付記1の構成図(本発明の機能ブロック図)である。
この図に示すように付記1に記載の発明は、
画像を表示する手段100(図1では表示部6)と、
前記表示手段100に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定する視線方向決定手段101(図1では中央制御部1、インカメラ8、プログラム記憶部M2)と、
前記視線方向決定手段101により決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する画像生成手段102(図1では中央制御部1、プログラム記憶部M2、画像記憶部M2)と、
前記画像生成手段102により生成された画像を前記表示手段100に表示させる表示制御手段103(図1では中央制御部1、プログラム記憶部M2、表示部6)と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
付記1によれば、表示手段100に対面してその画面を見る視認者の視線方向から見られているような状態の画像を生成して表示するようにしたので、視線方向に応じた画像を表示することができ、3D用の高価な液晶表示装置を使用しなくても、視認者にあっては3D表示のような画像を見ることができ、リアリティに富んだ画像表示を実現することが可能となる。
【0049】
(付記2)
前記画像生成手段は、表示されている画像に対する視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0050】
(付記3)
前記表示手段に対面する視認者を撮影する撮像手段を更に備え、
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定する、
ようにしたことを特徴とする付記1あるいは付記2に記載の表示装置。
【0051】
(付記4)
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第2軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする付記3に記載の表示装置。
【0052】
(付記5)
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第1軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする付記3あるいは付記3に記載の表示装置。
(付記6)
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により決定された視線方向に基づいて3次元モデルの画像データを回転することにより、その視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜付記5のいずれかに記載の表示装置。
【0053】
(付記7)
前記視線方向決定手段により決定された視認者の視線方向と前記表示手段から視認者までの距離に基づいて視認者の目の位置を特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像生成手段は、前記特定手段により特定された視認者の目の位置から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜付記6のいずれかに記載の表示装置。
【0054】
(付記8)
前記視線方向決定手段、前記表示手段の画面から画像の奥行きを考慮して視認者の視線方向を決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜付記7のいずれかに記載の表示装置。
【0055】
(付記9)
前記視線方向決定手段は、前記表示手段に複数の画像が表示されている場合に画像毎に画面からの奥行きを考慮して画像毎に視認者の視線方向をそれぞれ決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により画像毎に決定された視線方向から見られているような状態の画像を画像毎にそれぞれ生成する、
ようにしたことを特徴とする付記8に記載の表示装置。
【0056】
(付記10)
画像を表示する表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定し、
前記決定した視線方向から見られているような状態の画像を生成し、
前記生成した画像を前記表示手段に表示する、
ようにしたことを特徴とする表示方法。
【0057】
(付記11)
コンピュータに対して、
画像を表示する表示手段に対面にその画面を見る視認者の視線方向を決定する機能と、
前記決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する機能と、
前記生成された画像を前記表示手段に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
付記10によれば、付記1と同様の効果を有し、更に、付記1の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 中央制御部
3 記憶部
6 表示部
7 操作部
8 インカメラ
11 操作部筐体
12 表示部筐体
M1 プログラム記憶部
M2 画像記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面状の表示部に画像(静止画、動画)などの画像を3D(3次元)表示することによりユーザ(視認者)に立体視させるようにした技術としては、各種の技術があり、例えば、2次元(2D)画像の中のオブジェクトを立体的に見せるような視覚効果を施すようにした技術がある。なお、ポリゴンを利用した技術は、この技術の一例である。また、視認者の右目と左目の視差を利用した技術もある。すなわち、互いに少しずらした右目用の画像と左目用の画像を用意し、それら2つの画像を同時に表示させた際に、右目用の画像は右目で見えて左目では見えないように、左目用の画像は左目で見えて右目では見えないようにするために、光の経路を遮断する電子式の視差バリア(スイッチング液晶パネル)を適切な位置に配置することによって画像を立体に見せるようにした技術であるが、3D用の高価な液晶表示装置を必要とするほかに、視野角が制限されて非常に狭いという問題があった。
【0003】
また、上述のような3D専用の表示装置を使用せずに画像を立体視することができるようにした技術として、例えば、X軸、Y軸、Z軸の各軸回りにおける筐体の回転角度を検出し、各回転角度に応じた画像を3次元表示させるようにした技術(ゲーム装置)が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−298160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した関連する技術(特許文献1の技術)にあっては、操作者が筐体を傾かせるという操作が行われることにより表示部内の画像を変化させるようにしたもので、筐体を動かすことを前提とした技術であり、しかも、筐体をどの方向にどの程度、傾かせたらどのように画像が変化するかは、何回も操作してみなければ、把握することができず、使い慣れるまでに相当の時間を要することになる。更に、実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為のように、表示されている画像を上下左右などの任意の方向から覗き込むように視線方向を変えて見たとしても、筐体を動かさなければ、その画像を変化させることはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、画面を見る視認者の視線方向に応じた画像を表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定する視線方向決定手段と、
前記視線方向決定手段により決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【0008】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
画像を表示する表示手段に対面にその画面を見る視認者の視線方向を決定する機能と、
前記決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する機能と、
前記生成された画像を前記表示手段に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画面を見る視認者の視線方向に応じた画像を表示することができ、3D用の特別な表示装置を使用しなくても、リアリティに富んだ画像表示を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】表示装置として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】携帯電話機の外観斜視図。
【図3】(1)は、三次元モデルの画像データ(三次元モデル画像)を示した図、(2)は、表示部6に表示されている三次元モデル画像を水平方向から見ている場合を示した図。
【図4】(1)は、表示部6に表示されている三次元モデル画像を斜め上方向(図中、斜め上30°方向)から見ている場合を示し(2)は、斜め下方向(図中、斜め下30°方向)から見ている場合を示した図。
【図5】視認者の視線方向に応じて表示画像を変化させる視線表示制御処理を示したフローチャート。
【図6】図5に続く動作を示したフローチャート。
【図7】視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して上下方向(垂直方向)に“ズレ”ている場合を示した図。
【図8】インカメラ8の光軸と表示部6の画面中心位置とが“ズレ”ている場合を示した図。
【図9】(1)は、視認者とインカメラ8との位置関係に応じて変化する座標値と角度を示した図、(2)は、視認者を撮影した撮影画像内での座標値を示した図。
【図10】第2実施形態を説明するための図。
【図11】本発明の機能を説明するための機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図9を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、表示装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話機には、音声データを送受信して通話する音声通話機能のほか、音声以外にリアルタイム画像(相手画像、自分画像)を送受信して通話するTV(テレビ)電話機能を備え、相手側との間でTV電話による通話が可能となっている。更に、携帯電話機には、カメラ機能、電子メール機能、インターネット接続機能などが備えられている。
【0012】
中央制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリなどを有している。この記憶部3には、プログラム記憶部M1、画像記憶部M2などが設けられている。なお、記憶部3は、内蔵型の記憶部に限らず、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しない所定の外部サーバ上の記憶領域を含むようにしてもよい。プログラム記憶部M1は、図5及び図6に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それに必要とする情報などが記憶されている。画像記憶部M2には、カメラ機能により撮影された画像やインターネットからダウンロードした画像などが記憶されている。
【0013】
無線通信部4は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部5から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。表示部6は、例えば、高精細液晶又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで、文字情報、待受画像、画像などを表示する。
【0014】
操作部7は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部1は、この操作部7からの入力操作信号に応じた処理を実行する。インカメラ8は、携帯電話機を構成する筺体の表面側に配設されていて、ユーザ(視認者)己の顔などを撮影するTV電話用のカメラ撮像部であり、また、アウトカメラ9は、筺体の裏面側に配設されていて、外界を撮影するカメラ撮像部である。インカメラ8、アウトカメラ9は、撮影レンズ、ミラーなどのレンズ・ミラーブロック、撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス機能の駆動を制御したりする。
【0015】
図2は、携帯電話機の外観斜視図である。
携帯電話機は、2つの筐体(操作部筐体11、表示部筐体12)が開閉可能(折り畳み可能)に取り付けられたもので、この2つの筐体11、12を開いた状態(オープンスタイル)において、操作部筐体11の表面側には操作部7が配設され、表示部筐体12の表面側には表示部6が配設されていると共にその近傍にはインカメラ8が配設されている。この場合、インカメラ8は、図示のように、表示部6が縦長となる縦画面の向きとした状態において、その長手方向一端側(図中、上側)の近傍に配設されており、表示部6に対面してその画面を見る視認者(ユーザ)の顔を撮影するようにしている。
【0016】
図3(1)は、三次元モデルの画像データ(三次元モデル画像)を例示した図で、図示の例では、直方体の図形を示しているが、キャラクタなどであってもよい。図3(2)は、表示部6の画面に表示されている三次元モデル画像を水平方向から見ている場合を示し、三次元モデル画像は、その正面部のみが見える状態で表示される。
【0017】
これに対して図4(1)は、表示部6の画面に表示されている三次元モデル画像を斜め上方向(図中、斜め上30°方向)から見ている場合を示し、三次元モデル画像は、その正面部及び上面部が見える状態で表示される。図4(2)は、斜め下方向(図中、斜め下30°方向)から見ている場合を示し、三次元モデル画像は、その正面部及び下面部が見える状態で表示される。このように本実施形態では、表示部6に対面してその画面を見る視認者の視線方向に応じて三次元モデル画像の見え方を変化させるようにしている。
【0018】
中央制御部1は、2つの筐体11、12を開いた状態(オープンスタイル)において、所定のユーザ操作が行われた場合、つまり、視認者の視線方向に応じて表示画像を変化させる処理(視線表示制御処理)がユーザ操作により指示された場合に、表示部6を見る視認者をインカメラ8により撮影させた後、この撮影画像を解析して視認者の目の位置を特定するようにしている。そして、この目の位置に応じて視線方向を決定し、この視線方向から見られているような状態の画像を生成して、表示部6に表示させるようにしている。すなわち、実空間上において実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為と同様に、表示されている画像を上下左右などの任意の方向から覗き込むように視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像を生成して、表示させるようにしている。
【0019】
次に、第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。図5及び図6は、携帯電話機の全体動作のうち第1実施形態の特徴的な動作を示したフローチャートで、この図5及び図6のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0020】
図5及び図6は、視認者の視線方向に応じて表示画像を変化させる視線表示制御処理を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部1は、表示対象の画像(三次元モデル画像)を画像記憶部M2などから読み出すと共に(ステップS1)、インカメラ8を駆動して前方撮影を行わせる(ステップS2)。この場合、表示部6に対面してその画面を見ている視認者がインカメラ8により撮影されることになる。そして、中央制御部1は、この撮影画像を解析することにより視認者の目の位置を特定する画像認識を行う(ステップS3)。なお、撮影画像を解析しながら顔の輪郭や顔を形成するバーツ(目、口、鼻、額など)の形や位置関係などを総合的に判断して、顔及び目の位置を認識するようにしているが、この画像認識の機能は、カメラにおいて一般的に用いられている技術であり、本実施形態ではその周知技術を利用するようにしているため、その具体的な説明については省略するものとする。
【0021】
次に、視認者の視線方向を決定してその目の位置を三次元モデル画像と同じ空間の座標値に変換する処理をY軸及びX軸に対してそれぞれ実行する。先ず、図5及び図6のフローではY軸に対する処理(ステップS4〜S9)を行った後、X軸に対する処理(図6のステップS10〜S14)を行うようにしているが、このY軸に対する処理(ステップS4〜S9)とX軸に対する処理(図6のステップS10〜S14)とは、基本的に同様の処理である。
【0022】
図7は、Y軸に対する処理を説明するための図で、視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して上下方向(垂直方向)に“ズレ”ている場合を図示したもので、表示部6の画面に対して垂直な方向(インカメラ8の光軸方向)を3次元座標系のZ軸(第3軸)とした場合に、Y軸(第2軸)上の目の位置のZ軸に対する角度θが視認者の視線方向となることを示している。なお、3次元座標系のX軸を第1軸、Y軸を第2軸、Z軸を第3軸としているが、これらの関係に限るものではない(以下、同様)。図7(1)は、視認者とインカメラ8との位置関係に応じて変化する座標値y、z及び角度θ、θmaxを示した図であり、図7(2)は、視認者を撮影した撮影画像内での座標値y、ymaxを示した図である。なお、図7では図示省略したが、インカメラ8の撮影面(撮像素子)が表示部6の表示面と一致して同一の垂直面内にあるようにしている。
【0023】
先ず、中央制御部11は、Y軸に対する処理を開始すると、y/ymaxの算出を行う(ステップS4)。ここで、yは、目の位置を相当するY軸上の座標値であり、ymaxは、インカメラ8の画角(θmax)に相当するY軸上の座標値である。この場合、y、ymaxの具体的な数値は不明であるが、y、ymaxの比(y/ymax)は既知の値として取り扱うことができるため、この既知の値とインカメラ8の固定値θmaxとを使用して、視認者の視線方向(目の位置の角度)θ、tanθを次式にしたがって算出する(ステップS5)。
tanθ=(y/ymax)tan(θmax)
なお、θ自体はアークタンジェントなどで求める。
【0024】
次に、インカメラ8から視認者の顔までのZ軸上の距離zを取得する(ステップS6)。この場合、本実施形態ではインカメラ8のオートフォーカス機能を使用して距離zを取得するようにしているが、この機能はカメラにおいて一般的に用いられている周知技術であるため、その説明は省略する。なお、撮影画像内での左目と右目の間の距離から概算的にインカメラ8から視認者の顔までの距離zを算出するようにしてもよい。また、撮影画像内での顔の大きさから概算的にインカメラ8から視認者の顔までの距離zを算出するようにしてもよい。更には、距離zをユーザ操作により任意に設定された値、例えば、一律に30cmなどとして決めておいてもよい。このようにしてインカメラ8から視認者の顔までの実空間内での距離zが決まると、この距離zを使用して、実空間内での視認者の目の位置yを次式にしたがって算出する(ステップS7)。
y=z*tanθ
【0025】
図8は、インカメラ8の光軸と表示部6の画面中心位置とが“ズレ”ている場合を示した図である。このように表示部6の画面中心位置に対してインカメラ8の光軸が“ズレ”ている場合に、そのズレ量の値を“yズレ”とすると、視認者の目の位置yをこの“yズレ”分補正(加算)する(ステップS8)。このようにして実空間内における目の位置座標y、zを求めた後は、この位置座標y、zを三次元モデル画像と同じ空間上の座標値に変換する(ステップS9)。例えば、三次元モデル画像の作成時(デザイン時)に、その開発者が決めた比率を座標値y、zに乗じるようにするようにしてもよい。なお、表示部6の画面中心位置を三次元座標系の原点とした場合において、例えば、三次元モデル画像が画面から1cm奥に見えるように配置されているときのz座標値をマイナス1と決めておくと、その画像の奥行き(1cm)を考慮して、y、z(単位、cm)の値を求めるようにしてもよい。
【0026】
このようにしてY軸に対する処理(ステップS4〜S9)によって三次元モデル画像と同じ空間上の座標値y、zを求めた後は、X軸に対する処理(ステップS10〜S18)を実行する。図9は、視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して左右方向(水平方向)に“ズレ”ている場合を図示したもので、表示部6の画面に対して垂直な方向(インカメラ8の光軸方向)を3次元座標系のZ軸とした場合に、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度θが視認者の視線方向となることを示している。図9(1)は、視認者とインカメラ8との位置関係に応じて変化する座標値x、zと角度θ、θmaxを示した図であり、図9(2)は、視認者を撮影した撮影画像内での座標値x、xmaxを示した図である。なお、この場合においてもインカメラ8の撮影面(撮像素子)が表示部6の表示面とが一致して同一の垂直面内となっている。
【0027】
先ず、中央制御部11は、x/xmaxを算出する(ステップS10)。ここで、xは、目の位置を相当するX軸上の座標値であり、xmaxは、インカメラ8の画角(θmax)に相当するX軸上の座標値である。そして、視認者の視線方向(目の位置の角度)θ、tanθを次式にしたがって算出する(ステップS11)。
tanθ=(x/xmax)tan(θmax)
なお、θ自体はアークタンジェントなどで求める。
【0028】
次に、上述のステップS6で取得したインカメラ8から視認者の顔までのZ軸上の距離zに基づいて、実空間内での視認者の目の位置xを次式にしたがって算出する(ステップS12)。
x=z*tanθ
そして、表示部6の画面中心位置に対してインカメラ8の光軸が“ズレ”ている場合、そのズレ量を“xズレ”とすると、視認者の目の位置xを“xズレ”分補正(加算)する(ステップS13)。このようにして実空間内における目の位置座標x、zを求めた後は、この位置座標x、zを三次元モデル画像と同じ空間上の座標値に変換する(ステップS14)。
【0029】
このようにして三次元モデル画像と同じ空間上の座標値(目の位置)x、y、zを求めた後は、この目の位置から三次元モデル画像を見られているような状態となるように三次元モデル画像を三次元座標系上で回転させてその回転後の画像を表示部6に表示させる(ステップS15)。その後、画像の切り替えが指示されたかを調べたり(ステップS16)、視線表示制御の終了が指示されたかを調べたりする(ステップS18)。いま、例えば、ユーザ(視認者)操作による切替操作が行われたとき又はスライドショ表示時では一定時間の経過が検出されたときには(ステップS16でYES)、表示対象の画像(三次元モデル画像)を選択した後(ステップS17)、図5のステップS1に戻り、以下、上述の動作を繰り返す。また、ユーザ(視認者)操作による終了操作が行われたとき又はスライドショ表示時ではスライドショ終了時間の経過が検出されたときには(ステップS18でYES)、図5及び図6のフローから抜ける。
【0030】
以上のように、第1実施形態においては、表示部6に対面してその画面を見る視認者の視線方向から見られているような状態の画像を生成して表示するようにしたので、視線方向に応じた画像を表示することができ、3D用の特別な表示装置を使用しなくても、視認者にあっては3D表示のような画像を見ることができ、リアリティに富んだ画像表示を実現することが可能となる。
【0031】
また、実空間上で実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為と同様に、表示されている画像を上下左右などの任意の方向から覗き込むように画面に対する視線方向が変えられた場合に、その覗き込まれた視線方向から見られているような状態の画像に変更するようにしたので、例えば、あるキャラクタが表示部6の全体に表示されている状態において、そのキャラクタを下から覗き込みたいと、視認者が画面に近付き、下からキャラクタを見るような行動を起こすと、その下から覗き込んだような状態の画像に変更することができる。
【0032】
表示部6に対面する視認者を撮影するインカメラ8により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定するようにしたので、画像認識により視認者の視線方向を確実かつ容易に決定することができる。
【0033】
インカメラ8により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、表示部6の画面に対して垂直な方向を3次元座標系のZ軸とした場合に、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度と、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度を視認者の視線方向として決定し、この視線方向に基づいて3次元モデルの画像データを回転することにより、その視線方向から見られているような状態の画像を生成するようにしたので、3次元モデルの画像データを回転させるだけで、視線方向から見られているような状態の画像を得ることができる。
【0034】
また、視認者の視線方向と表示部6から視認者までの距離に基づいて視認者の目の位置を特定しその目の位置から物体を見られているような状態の画像を生成するようにしたので、視認者にあっては画像を見る距離を一定に保つ必要がなく、遠く又は近くから見ても、その位置から物体を見られているような状態の画像が表示されるので、表示部6からの距離を意識する必要がなくなる。
【0035】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図10を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、表示部6の画面から視認者の目の位置までの角度θ、tanθを求めようにしたが、この第2実施形態にあっては、表示部6の画面から表示画像の位置までの奥行きを画像毎に考慮して、奥行きを持った各画像から視認者の目の位置までの角度φ、tanφを求めようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0036】
図10は、表示部6の画面から視認者の目の位置までの角度θと、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度φを説明するための図である。ここで、視認者の目の位置がインカメラ8の光軸(水平)方向に対して上下方向(垂直方向)に“ズレ”ている場合において、表示部6の画面に対して垂直な方向(インカメラ8の光軸方向)を3次元座標系のZ軸とすると共に、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度を視認者の視線方向としている。そして、表示部6の画面から視認者の目の位置までの角度θを求めた後、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度φを求めるようにしている。ここで、図中、Aは、表示部6の画面からの画像までの奥行き(既知の値)を示している。
【0037】
すなわち、
tanθ=y/z…(1)
tanφ=y/(z+A)…(2)
この両式(1)、(2)にyが共通しているため、ztanθ=(z+A)*tanφ
したがって、tanφ=(z/(z+A))*tanθ
【0038】
ここで、z、θは、上述した第1実施形態と同様にして求められるため、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度φが得られる。その際、表示部6の画面から奥行きを持った画像を複数表示させる場合には、各画像までの奥行きを画像毎に考慮して、奥行きを持った各画像から視認者の目の位置までの角度φを求めるようにしている。なお、図10は、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度を求める場合を示したが、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度も基本的には同様に求めることができる。
【0039】
以上のように、第2実施形態においては、表示部6の画面から画像までの奥行きを考慮して、奥行きを持った画像から視認者の目の位置までの角度を視線方向としたので、奥行きを持った画像であっても、角度(視線方向)を求めることができ、実空間上で実際の物体を視線方向を変えて覗き込むという行為と同様に、視認者の視線方向から見たような状態となるような画像に変更することが可能となる。
【0040】
また、表示部6の画面から奥行きを持った画像を複数表示させる場合には、各画像までの奥行きを画像毎に考慮して、奥行きを持った各画像から視認者の目の位置までの角度を求めるようにしたので、画像毎に見え方が変わり、更に、リアリティに富んだ画像表示が可能となる。
【0041】
なお、上述した各実施形態においては、Y軸上の目の位置のZ軸に対する角度を求めると共に、X軸上の目の位置のZ軸に対する角度を求めるようにしたが、そのいずれか一方を求めるようにしてもよい。つまり、上下方向のみ覗き込めるようにしたり、左右方向のみ覗き込めるようにしたりするようにしてもよい。
【0042】
また、目の位置の角度θ、φが所定角以上(例えば、70°以上)に達した場合には、直方体の裏側の画像を生成して表示させたり、直方体図形の中身、例えば、直方体が家の外観モデルであれば、家の中の画像を生成して表示させたりするようにしてもよい。
【0043】
また、上述した各実施形態においては、インカメラ8を基準にして視認者の視線方向を特定して、この目の位置から三次元モデル画像を見られているような状態となるように三次元モデル画像を回転させて表示するようにしたが、例えば、仮想カメラを視認者の目の位置y、zに設定すると共に、仮想カメラの視野を表示部6の画面に向けた状態において、3D技術のレンダリング表示(例えば、OpenGL/Direct3Dなど)を使用して、物体の見え方を計算しながらその画像を作成するようにしてもよい。
【0044】
上述した各実施形態においては、折り畳み型の携帯電話機に適用した場合を示したが、2軸タイプの携帯電話機などに適用してもよく、そのタイプは問わない。また、インカメラ8に限らず、携帯電話機とは別のカメラ(例えば、外部機器)を使用して視認者を撮影するようにしてもよい。
【0045】
また、上述した各実施形態においては、インカメラ8で視認者を撮影してその視線方向を特定するようにした場合を例示したが、例えば、角速度センサ、加速度センサなどを使用して筐体の回転角度を求めて、その方向から見られているような状態の画像を生成するようにしてもよい。
【0046】
上述した各実施形態においては、表示装置として携帯電話機に適用した場合を示したが、デジタルカメラ(コンパクトカメラ)、PDA、音楽プレイヤ、ゲーム機などの携帯端末装置であってもよく、更に、携帯端末装置に限らず、テレビ受像機、パーソナルコンピュータ(例えば、ノートPC、タブレットPC、ディスクトップPC)などにも同様に適用することができる。
【0047】
その他、上述した第1及び第2実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0048】
上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、これに限定されるものではない。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
図11は、付記1の構成図(本発明の機能ブロック図)である。
この図に示すように付記1に記載の発明は、
画像を表示する手段100(図1では表示部6)と、
前記表示手段100に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定する視線方向決定手段101(図1では中央制御部1、インカメラ8、プログラム記憶部M2)と、
前記視線方向決定手段101により決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する画像生成手段102(図1では中央制御部1、プログラム記憶部M2、画像記憶部M2)と、
前記画像生成手段102により生成された画像を前記表示手段100に表示させる表示制御手段103(図1では中央制御部1、プログラム記憶部M2、表示部6)と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
付記1によれば、表示手段100に対面してその画面を見る視認者の視線方向から見られているような状態の画像を生成して表示するようにしたので、視線方向に応じた画像を表示することができ、3D用の高価な液晶表示装置を使用しなくても、視認者にあっては3D表示のような画像を見ることができ、リアリティに富んだ画像表示を実現することが可能となる。
【0049】
(付記2)
前記画像生成手段は、表示されている画像に対する視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0050】
(付記3)
前記表示手段に対面する視認者を撮影する撮像手段を更に備え、
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定する、
ようにしたことを特徴とする付記1あるいは付記2に記載の表示装置。
【0051】
(付記4)
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第2軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする付記3に記載の表示装置。
【0052】
(付記5)
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第1軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする付記3あるいは付記3に記載の表示装置。
(付記6)
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により決定された視線方向に基づいて3次元モデルの画像データを回転することにより、その視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜付記5のいずれかに記載の表示装置。
【0053】
(付記7)
前記視線方向決定手段により決定された視認者の視線方向と前記表示手段から視認者までの距離に基づいて視認者の目の位置を特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像生成手段は、前記特定手段により特定された視認者の目の位置から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜付記6のいずれかに記載の表示装置。
【0054】
(付記8)
前記視線方向決定手段、前記表示手段の画面から画像の奥行きを考慮して視認者の視線方向を決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする付記1〜付記7のいずれかに記載の表示装置。
【0055】
(付記9)
前記視線方向決定手段は、前記表示手段に複数の画像が表示されている場合に画像毎に画面からの奥行きを考慮して画像毎に視認者の視線方向をそれぞれ決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により画像毎に決定された視線方向から見られているような状態の画像を画像毎にそれぞれ生成する、
ようにしたことを特徴とする付記8に記載の表示装置。
【0056】
(付記10)
画像を表示する表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定し、
前記決定した視線方向から見られているような状態の画像を生成し、
前記生成した画像を前記表示手段に表示する、
ようにしたことを特徴とする表示方法。
【0057】
(付記11)
コンピュータに対して、
画像を表示する表示手段に対面にその画面を見る視認者の視線方向を決定する機能と、
前記決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する機能と、
前記生成された画像を前記表示手段に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
付記10によれば、付記1と同様の効果を有し、更に、付記1の機能をソフトウェア(プログラム)の形で提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 中央制御部
3 記憶部
6 表示部
7 操作部
8 インカメラ
11 操作部筐体
12 表示部筐体
M1 プログラム記憶部
M2 画像記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定する視線方向決定手段と、
前記視線方向決定手段により決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された画像を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、表示されている画像に対する視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示手段に対面する視認者を撮影する撮像手段を更に備え、
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第2軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第1軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項3あるいは請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により決定された視線方向に基づいて3次元モデルの画像データを回転することにより、その視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記視線方向決定手段により決定された視認者の視線方向と前記表示手段から視認者までの距離に基づいて視認者の目の位置を特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像生成手段は、前記特定手段により特定された視認者の目の位置から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記視線方向決定手段、前記表示手段の画面から画像の奥行きを考慮して視認者の視線方向を決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記視線方向決定手段は、前記表示手段に複数の画像が表示されている場合に画像毎に画面からの奥行きを考慮して画像毎に視認者の視線方向をそれぞれ決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により画像毎に決定された視線方向から見られているような状態の画像を画像毎にそれぞれ生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
画像を表示する表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定し、
前記決定した視線方向から見られているような状態の画像を生成し、
前記生成した画像を前記表示手段に表示する、
ようにしたことを特徴とする表示方法。
【請求項11】
コンピュータに対して、
画像を表示する表示手段に対面にその画面を見る視認者の視線方向を決定する機能と、
前記決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する機能と、
前記生成された画像を前記表示手段に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定する視線方向決定手段と、
前記視線方向決定手段により決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された画像を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、表示されている画像に対する視線方向が変えられた場合に、その変えられた視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示手段に対面する視認者を撮影する撮像手段を更に備え、
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像に基づいて視認者の視線方向を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第2軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記視線方向決定手段は、前記撮像手段により撮影された画像を解析することにより視認者の目の位置を特定すると共に、前記表示手段の画面に対して垂直な方向を3次元座標系の第3軸とした場合に、第1軸上の目の位置の第3軸に対する角度を視認者の視線方向として決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項3あるいは請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により決定された視線方向に基づいて3次元モデルの画像データを回転することにより、その視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記視線方向決定手段により決定された視認者の視線方向と前記表示手段から視認者までの距離に基づいて視認者の目の位置を特定する特定手段と、
を更に備え、
前記画像生成手段は、前記特定手段により特定された視認者の目の位置から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記視線方向決定手段、前記表示手段の画面から画像の奥行きを考慮して視認者の視線方向を決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により視線方向から見られているような状態の画像を生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記視線方向決定手段は、前記表示手段に複数の画像が表示されている場合に画像毎に画面からの奥行きを考慮して画像毎に視認者の視線方向をそれぞれ決定し、
前記画像生成手段は、前記視線方向決定手段により画像毎に決定された視線方向から見られているような状態の画像を画像毎にそれぞれ生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
画像を表示する表示手段に対面してその画面を見る視認者の視線方向を決定し、
前記決定した視線方向から見られているような状態の画像を生成し、
前記生成した画像を前記表示手段に表示する、
ようにしたことを特徴とする表示方法。
【請求項11】
コンピュータに対して、
画像を表示する表示手段に対面にその画面を見る視認者の視線方向を決定する機能と、
前記決定された視線方向から見られているような状態の画像を生成する機能と、
前記生成された画像を前記表示手段に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−190230(P2012−190230A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52840(P2011−52840)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]