説明

表示装置、表示装置の製造方法および電子機器

【課題】中間調を容易かつ確実に得ることができ、電圧の印加を停止した状態でも中間調を含む各色を確実に維持することができる表示装置、かかる表示装置を容易かつ確実に製造し得る表示装置の製造方法および電子機器を提供すること。
【解決手段】表示装置20は、空間を画成する壁部と、該壁部の内面に吸着し、帯電している吸着粒子50と、前記空間に配置され、実質的に透明な透明体とを有する吸着粒子含有層と、電圧を印加すると、前記吸着粒子50に作用させる電界を発生する1対の電極とを備え、前記1対の電極間に電圧を印加することにより、前記吸着粒子50が前記壁部の内面に吸着しつつ、該内面に沿って移動するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示装置の製造方法および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体中に微粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、微粒子は、クーロン力(静電力)により液体中で移動(泳動)することが知られている。この現象を電気泳動といい、近年、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させるようにした電気泳動表示装置が新たな表示装置として注目を集めている。
この表示装置は、電圧の印加を停止した状態でも表示内容を維持する表示メモリー性を備えているため、消費電力が低い。また、特に、一般の印刷物のように反射光を利用して表示するため、広視野角性を有し、高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
【0003】
従来の電気泳動表示装置として、特許文献1には、液相分散媒中に互いに反対の極性に帯電している2種類の電気泳動粒子を分散してなる電気泳動分散液を用いた電気泳動表示装置が開示されている。また、特許文献2には、液相分散媒中に1種類の電気泳動粒子を分散してなる電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置が開示されている。そして、これら特許文献1と特許文献2とを組み合わせたもの、すなわち、液相分散媒中に互いに反対の極性に帯電している白色を表示する電気泳動粒子(白色粒子)および黒色を表示する電気泳動粒子(黒色粒子)を分散してなる電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置も提案されている。
これら従来電気泳動方式と云われる方式では、隔壁、またはカプセルの内壁の持つ正味の帯電量の絶対値が、微粒子の表面の正味の帯電量の絶対値より小さく、互いの帯電極性は反対である。結果として、電界を作用させると、電界を印加した方向と平行に、微粒子表面帯電極性とは逆の極側に微粒子が移動する。
【0004】
従来の方式の電気泳動表示装置では、白色と黒色の中間調(中間色)である所定階調のグレー色を得るには、粒子間の電気泳動移動度の差等を利用し、完全に白の状態または完全に黒の状態から、完全に黒の状態または完全に白の状態にならないように、1対の電極間に、所定の大きさの電圧を所定時間を印加する。これにより、液相分散媒中の所定の領域に白色粒子と黒色粒子とが分散または凝集した状態となり、一応、グレー色が得られる。
しかしながら、前記従来の方式の電気泳動表示装置では、所定階調のグレー色等の所定の中間調を得るのは困難である。
【0005】
すなわち、完全に白の状態または完全に黒の状態から、1対の電極間に電圧を印加すると、白色粒子および黒色粒子は、それぞれ、一方の電極から他方の電極に向かって、互いに衝突しつつ液相分散媒中を移動するし、また、グレー色が表示されているときは、白色粒子と黒色粒子とが混在した状態にあるので、再現性が悪く、所定階調のグレー色を得るのは、非常に困難である。
また、1対の電極間への電圧の印加が停止されてグレー色が得られても、その状態は、不安定であり、経時的に変化してしまう。
【0006】
すなわち、白色粒子および黒色粒子は、それぞれ、液相分散媒中を浮遊しているので、液相分散媒中を経時的に移動してしまうし、また、白色粒子と黒色粒子とは互いに反対の極性に帯電しているので、白色粒子と黒色粒子とが互いに吸着し、複数の白色粒子および黒色粒子が凝集してしまう。このため、たとえ所定階調のグレー色が得られたとしても、そのグレー色は、維持されず、表示された像は、非常に不安定である。
【0007】
また、次の表示を行う際、互いに吸着している白色粒子と黒色粒子とを分離する必要があり、そのためには、1対の電極間に、大きな電圧を、極性を交互に換えて繰り返し印加したり、また、別途、電極を設けたりする必要がある。このため、制御や構造が複雑化し、また、消費電力が増大してしまう。
また、白色の表示と黒色の表示とを切り換える際、白色粒子と黒色粒子とが衝突し、これにより、応答性が低下するという欠点もある。
【0008】
【特許文献1】特許第800963号公報
【特許文献2】特許第2551783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、中間調を容易かつ確実に得ることができ、電圧の印加を停止した状態でも中間調を含む各色を確実に維持することができる表示装置、かかる表示装置を容易かつ確実に製造し得る表示装置の製造方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
我々は、鋭意検討した結果、従来の電気泳動方式とは異なる微粒子が隔壁、またはカプセルの内壁を這う様に動く(電気這動)方式を見出した。
該現象は、隔壁、またはカプセルの内壁の持つ正味の帯電量の絶対値が、微粒子の表面の正味の帯電量の絶対値より大きく、互いの帯電極性は反対である場合に起こる。電気這動方式に関する、より詳細な説明は後述する。
【0011】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の表示装置は、空間を画成する壁部と、該壁部の内面に吸着し、帯電している吸着粒子と、前記空間に配置され、実質的に透明な透明体とを有する吸着粒子含有層と、
電圧を印加すると、前記吸着粒子に作用させる電界を発生する1対の電極とを備え、
前記1対の電極間に電圧を印加することにより、前記吸着粒子が前記壁部の内面に吸着しつつ、該内面に沿って移動するよう構成されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、吸着粒子(表示用の粒子)が、常に、壁部(例えば、マイクロカプセルの殻体)の内面のいずれかの部位に吸着しているので、中間調を容易かつ確実に得ることができ、また、電圧の印加を停止した状態でも中間調を含む各色を確実に維持することができる。すなわち、表示が非常に安定し、所定の表示内容(イメージ)を表示した後に、電圧の印加を停止しても、その表示内容が安定的に保持される(表示状態が劣化するのを防止することができる)。
また、吸着粒子は、壁部の内面に吸着しているので、他の部材に付着し難く、これにより、コントラストが向上し、また、色純度が向上する。
また、比較的弱い電界で確実に吸着粒子を移動させることができ、これにより、消費電力を低減することができる。
【0013】
本発明の表示装置では、前記吸着粒子は、静電力により前記壁部の内面に吸着していることが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、吸着粒子を壁部の内面に吸着させることができる。
本発明の表示装置では、前記吸着粒子と前記壁部とが互いに反対の極性に帯電しており、これにより、前記吸着粒子が前記壁部の内面に吸着していることが好ましい。
これにより、容易かつ確実に、吸着粒子を壁部の内面に吸着させることができる。
【0014】
本発明の表示装置では、前記1対の電極間の電界により前記吸着粒子に作用する静電力よりも、前記吸着粒子と前記壁部との間の静電力を含む相互作用による引力の方が大きくなるよう構成されていることが好ましい。
これにより、吸着粒子は、より確実に、壁部の内面に吸着しつつ、壁部の内面に沿って移動することができる。
【0015】
本発明の表示装置では、前記透明体は、前記空間に充填された液体または気体であることが好ましい。
これにより、障害物が存在しないので、吸着粒子は、容易かつ確実に移動することができ、表示の際の応答性も良い。
本発明の表示装置では、前記吸着粒子は、着色された粒子であることが好ましい。
これにより、より優れた表示特性が得られる。
【0016】
本発明の表示装置では、前記1対の電極は、前記吸着粒子含有層を介して対向配置されており、
前記壁部の内面は、前記1対の電極間に亘って設けられた湾曲凹面を有することが好ましい。
これにより、より円滑かつ確実に、吸着粒子を壁部の内面に沿って移動させることができ、これによって、より容易かつ確実に中間調を得ることができる。
【0017】
本発明の表示装置では、前記壁部により、球状または楕円体状の前記空間が画成されていることが好ましい。
これにより、より円滑かつ確実に、吸着粒子を壁部の内面に沿って移動させることができ、これによって、より容易かつ確実に中間調を得ることができる。
本発明の表示装置では、前記壁部は、殻体で構成されており、
前記殻体に前記吸着粒子と前記透明体とが内包されてマイクロカプセルが構成されていることが好ましい。
これにより、いわゆるマイクロカップ型の表示装置に比べ、表示装置を容易かつ確実に製造することができる。
【0018】
本発明の表示装置では、前記殻体は、それぞれ殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有することが好ましい。
これにより、表示装置を容易に製造することができる。
本発明の表示装置では、前記吸着粒子含有層の表示面と反対側に、光を乱反射させる反射体を有することが好ましい。
これにより、例えば、白黒表示やカラー表示を実現することができる。
【0019】
本発明の表示装置では、前記反射体は、間隙内に、光を散乱する粒子が充填されたものであることが好ましい。
これにより、入射光の利用効率を向上させることができる。
本発明の表示装置では、前記1対の電極間への電圧印加パターンを選択することにより、前記吸着粒子を移動させ、表示面側から見たときの前記壁部で囲まれた空間の直下に位置する前記反射体の部分が、前記吸着粒子により覆われた状態と、覆われていない状態とに切り換えるよう構成されていることが好ましい。
これにより、より容易かつ確実に、各色を表示することができる。
【0020】
本発明の表示装置では、前記1対の電極間への電圧印加パターンを選択することにより、前記吸着粒子を移動させ、表示面側から見たときの前記壁部で囲まれた空間の直下に位置する前記反射体の部分のうち、前記吸着粒子により覆われている部分の面積を調整し得るよう構成されていることが好ましい。
これにより、より容易かつ確実に、各中間調を得ることができる。
本発明の表示装置では、前記吸着粒子含有層と前記反射体との間に、カラーフィルタを有することが好ましい。
これにより、例えば、フルカラー表示を実現することができる。
【0021】
本発明の表示装置の製造方法は、帯電している吸着粒子と、実質的に透明な透明体とを殻体に内包するマイクロカプセルを製造し、該マイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層を形成するマイクロカプセル含有層形成工程と、
電圧を印加すると、前記吸着粒子に作用させる電界を発生する1対の電極を形成する電極形成工程とを有し、
前記マイクロカプセル含有層形成工程は、前記殻体の内面側の部分または全部を形成した後、前記殻体を前記吸着粒子と反対の極性に帯電させる帯電工程を有し、該帯電工程により、前記吸着粒子が前記殻体の内面に吸着することを特徴とする。
これにより、本発明の表示装置を容易かつ確実に製造することができる。
【0022】
本発明の表示装置の製造方法では、前記殻体は、それぞれ殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有しており、
前記第2の層を形成する際に、前記帯電工程を行なうことが好ましい。
これにより、本発明の表示装置をより容易かつ確実に製造することができる。
本発明の表示装置の製造方法では、前記殻体を形成した後、前記マイクロカプセルの外表面に密着して該マイクロカプセルを固定する固定材料を介し、前記帯電工程を行なうことが好ましい。
これにより、本発明の表示装置をより容易かつ確実に製造することができる。
本発明の電子機器は、本発明の表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、優れた表示特性を有する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の表示装置、表示装置の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
1.表示装置
まず、本発明の表示装置について説明する。
【0024】
図1は、本発明の表示装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図、図2〜図4は、図1に示す表示装置の作用を説明するための模式図、図5は、図1に示す表示装置における、吸着粒子の表面とカプセル本体の内面との間の距離と、吸着粒子のポテンシャルとの関係を示すグラフ(ポテンシャル曲線)、図6は、図1に示す表示装置の作用を説明するための模式図、図7および図8は、図1に示す表示装置の製造方法を説明するための模式図である。
なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4、図6、図7および図8中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
また、図2〜図4および図6では、カプセル本体401の記載を簡略化して1層に記載している。
【0025】
図1に示すように、表示装置20は、表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22と、表示シート21と回路基板22とを接合する接着剤層8と、表示シート21と回路基板22との間の間隙を気密的に封止する封止部7とを有している。
表示シート21は、平板状の基部2と基部2の下面に設けられた第2の電極4とを備える基板12と、この基板12の下面(一方の面)側に設けられ、マイクロカプセル40とバインダ41とで構成されたマイクロカプセル含有層(吸着粒子含有層)400とを有している。
一方、回路基板22は、平板状の基部1、基部1の上面に設けられた平板状の反射体9および反射体9の上面に設けられた複数の第1の電極3を備える対向基板11と、この対向基板11(基部1)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
【0026】
以下、各部の構成について順次説明する。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な表示装置20を得ることができる。
【0027】
また、各基部(基材層)1、2を可撓性を有するものとする場合、その構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
このような基部1、2の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、可撓性を有するものとする場合、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましい。これにより、表示装置20の柔軟性と強度との調和を図りつつ、表示装置20の小型化(特に、薄型化)を図ることができる。
【0029】
これらの基部1、2のマイクロカプセル40側の面、すなわち、基部1の上面および基部2の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極3および第2の電極4(1対の電極)が設けられている。すなわち、第1の電極3と第2の電極4とは、マイクロカプセル含有層400を介して対向配置されている。
第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が、マイクロカプセル含有層400中の後述する吸着粒子(表示粒子)50に作用する。
【0030】
本実施形態では、第2の電極4が共通電極とされ、第1の電極3がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(スイッチング素子に接続された画素電極)とされており、第2の電極4と1つの第1の電極3とが重なる部分が1画素を構成する。
なお、第2の電極4も、第1の電極3と同様に複数に分割するようにしてもよい。
また、第1の電極3がストライプ状に分割され、第2の電極も同様にストライプ状に分割され、これらが交差するように配置された形態であってもよい。
【0031】
各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリフルオレンまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等のマトリックス樹脂中に、NaCl、Cu(CFSO等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム酸化物(IO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
このような電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
また、各基部1、2および各電極3、4のうち、表示面側に配置される基部および電極(本実施形態では、基部2および第2の電極4)と、表示面と反対側に配置される電極(本実施形態では、第1の電極3)とは、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。これにより、後述する吸着粒子50の状態、すなわち表示装置20に表示された情報(画像)を目視により容易に認識することができる。
【0033】
反射体9は、マイクロカプセル含有層400の基板12と反対側(表示面と反対側)、すなわち、第1の電極3と基部1との間に設けられている。これにより、第1の電極3が反射体9と基部1との間に設けられている場合に比べて、第1の電極3と第2の電極4との間の距離を小さくすることができ、これによって、より強い電界を発生させ、吸着粒子50に作用させることができる。
【0034】
この反射体9は、光(入射光)を乱反射させる機能を有している。本実施形態では、反射体9は、シート状(平板状)をなしており、光透過性を有する固相の媒体92と、その媒体92内に埋設され、光を散乱する複数の粒子91とで構成されている(間隙内に複数の粒子91が充填されたものである)。粒子91は、媒体92中に均一に分散されている。
【0035】
また、粒子91としては、媒体92よりも屈折率の高いものを用いるのが好ましい。これにより、反射体9に入射した光は、粒子91で散乱し、これによって、反射体9から乱反射する。
なお、かかる粒子91には、光を散乱するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされず、例えば、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子等を用いることができる。例えば、顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料等が挙げられ、これらのうちでは、酸化チタンが好ましい。
【0036】
また、粒子91の形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
また、粒子91は、比較的小さいものが好適に用いられ、具体的には、その平均粒径が、10〜500nm程度であるのが好ましく、20〜300nm程度であるのがより好ましい。
また、反射体9は、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する反射体9を用いることにより、可撓性を有する表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な表示装置20を得ることができる。
【0037】
また、反射体9の下面、すなわち、反射体9と基部1との間に、例えば、上面が鏡面をなす図示しない反射板(第2の反射体)を設けてもよい。これより、入射光の一部が反射体9を透過してしまう場合でも、その光を前記反射板で反射さることができ、これによって、入射光の利用効率を向上させることができる。
なお、前記反射体9の媒体92としては、固相の媒体に限らず、例えば、液相の媒体を用いることもできる。この場合は、例えば、その媒体92を収納するハウジングを設ける。また、前記粒子91の比重と媒体92の比重とが、ほぼ等しくなるように設定されるのが好ましい。これにより、特に、粒子91が媒体92中に均一に分散した状態を確実に得ることができる。
【0038】
また、反射体9としては、光を乱反射させる機能を有していれば、前記の構成のものには限定されず、例えば、表面に微小な凹凸(粗面)を有する金属板(反射板)等も用いることができる。
また、反射体9と、第1の電極3との位置関係は、図示の構成と上下が逆であってもよい。すなわち、基部1の上面に第1の電極3が設けられ、第1の電極3の上面に反射体9が設けられていてもよい。この場合は、第1の電極3は、不透明なものであってもよい。
【0039】
また、反射体9が、基部1と同様の機能、すなわち、各部材を支持および保護する機能を有するように構成してもよい。この場合は、基部1を省略してもよい。
また、反射体9は、図示の構成では、連続的に設けられているが(単一のものであるが)、これに限らず、複数の単位反射体で構成されていてもよい。この場合、1つの単位反射体に対して、1つのマイクロカプセル40が配置されていてもよく、また、複数のマイクロカプセル40が配置されていてもよい。
【0040】
表示シート21では、第2の電極4の下面に接触して、マイクロカプセル含有層400が設けられている。
このマイクロカプセル含有層400は、少なくとも吸着粒子50をカプセル本体(殻体)401内に封入した複数のマイクロカプセル40を、バインダ(固定材料)41で固定(保持)してなるものである。
【0041】
以下、マイクロカプセル含有層400について説明するが、マイクロカプセル40については後に詳述する。
バインダ41は、マイクロカプセル40の外表面に密着し、マイクロカプセル40を被覆しており、マイクロカプセル40同士の間に形成された隙間(空隙)は、そのバインダ41で満たされている。
【0042】
すなわち、バインダ41は、例えば、対向基板11と基板12とを接合する目的、対向基板11および基板12との間にマイクロカプセル40を固定する目的、第1の電極3および第2の電極4間の絶縁性を確保する目的、マイクロカプセル40とマイクロカプセル40との間の空隙を埋めて強い電界を生じさせる目的等により供給される。これにより、表示装置20の耐久性、信頼性および表示性能をより向上させることができる。
【0043】
このバインダ41には、各電極3、4、カプセル本体401(マイクロカプセル40)との親和性(密着性)に優れ、絶縁性に優れ、かつ、比較的高い誘電率を有する樹脂材料(絶縁性または微小電流のみが流れる樹脂材料)が好適に使用される。
このようなバインダ41としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
本実施形態では、表示シート21と回路基板22とが、接着剤層8を介して接合されている。これにより、表示シート21と回路基板22とをより確実に固定することができる。
このような接着剤層8は、例えば、ポリウレタンを主材料として構成されているのが好ましい。
【0045】
ポリウレタンとしては、例えば、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)またはこれらの誘導体のうちの少なくとも1種をイソシアネート成分とし、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)またはこれらの誘導体のうちの少なくとも1種をポリオール成分とするものが挙げられる。
【0046】
なお、接着剤層8の構成材料としては、ポリウレタンには限定されず、その他、例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ABS樹脂、ビニル−アクリル酸エステル共重合体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、基部1と基部2との間であって、それらの縁部に沿って、封止部7が設けられている。この封止部7により、各電極3、4、マイクロカプセル含有層400、接着剤層8および反射体9が気密的に封止されている。これにより、表示装置20内への水分の浸入を防止して、表示装置20の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
【0047】
封止部7の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部7は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
【0048】
マイクロカプセル40のカプセル本体401の内面には、吸着粒子(帯電粒子)50が吸着している。すなわち、吸着粒子50は、所定の極性に帯電しており、また、後述するように、カプセル本体401は、吸着粒子50と反対の極性に帯電しているので、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着している。
吸着粒子50としては、1種または2種以上用いてもよいが、着色された粒子(着色粒子)を用いるのが好ましい。本実施形態では、吸着粒子50として、黒色を表示する黒色粒子(着色粒子)を用いている。
【0049】
また、カプセル本体401内には、実質的に透明な透明体として、液体、すなわち、本実施形態では、粒子が含まれていない液体10が封入(充填)されている。
ここで、実質的に透明とは、カプセル本体401内に充填された状態の液体10における可視光の透過率が、90%以上であることを言う。
なお、液体10に代えて、例えば、粒子が含まれている液体や、空気等の気体を用いてもよい。また、気体を用いる場合、カプセル本体401内の気圧は、特に限定されず、例えば、カプセル本体401内が、真空に近い状態(実質的に真空)であってもよい。
【0050】
製造時の吸着粒子50の液体(液相分散媒)10への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
液体10としては、カプセル本体401に対する溶解性が低く、かつ比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。
【0051】
かかる液体10としては、例えば、各種水(例えば、蒸留水、純水等)、メタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族復素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他、シリコーンオイル等の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
【0052】
中でも、液体10としては、沸点が80度以上の炭化水素、シリコーンオイルが好ましい。
また、液体10中には、必要に応じて、例えば、電解質、アルケニルコハク酸エステルのような界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0053】
吸着粒子50は、荷電を有し、電界が作用することにより、液体10中をカプセル本体401の内面に沿って移動し得る粒子である。すなわち、吸着粒子50は、後述するように、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って移動する。
かかる吸着粒子50には、荷電を有するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0054】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛等の黄色顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
【0056】
顔料粒子の表面を他の顔料で被覆した粒子としては、例えば、酸化チタン粒子の表面を、酸化珪素や酸化アルミニウムで被覆したものを例示することができる。
また、カーボンブラック粒子、チタンブラック粒子、またはその表面を被覆した粒子は、黒色表示用の吸着粒子50として好適に用いられる。
また、吸着粒子50の形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
【0057】
また、吸着粒子50は、比較的小さいものが好適に用いられ、具体的には、その平均粒径が、10nm〜3μm程度であるのが好ましく、20nm〜2μm程度であるのがより好ましく、20nm〜800nm程度が最も好ましい。
マイクロカプセル40は、図1に示すように、対向基板11と基板12との間に、縦横に並列するように単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)、かつ、マイクロカプセル含有層400の厚さ方向全体に配設されている。
【0058】
また、マイクロカプセル40は、図示の構成では、1つの第1の電極3に、2つ配置されているが、これに限らず、例えば、1つの第1の電極3に、1つ配置されていてもよく、また、1つの第1の電極3に、3以上配置されていてもよい。
また、マイクロカプセル40は、図示の構成では、対向基板11と基板12との間で、第2の電極4と接着剤層8とで挟持されても、上下方向に圧縮(圧迫)されることなく、ほぼ球状(球形状)をなしている。また、液体10が充填(透明体が配置)された空間を画成する壁部(壁構造)であるカプセル本体(殻体)401は、球殻状をなしている。すなわち、カプセル本体401の内面は、第1の電極3と第2の電極4との間に亘って設けられた(連続的に設けられた)湾曲凹面で構成されている。これにより、カプセル本体401の内面には、第1の電極3および第2の電極4と平行な平面が実質的に存在しない。これによって、吸着粒子50は、円滑かつ確実に、カプセル本体401の内面に沿って移動することができる。
【0059】
なお、マイクロカプセル40は、前記球状に限らず、例えば、ほぼ楕円体状等をなしていてもよい。すなわち、カプセル本体401は、球殻状に限らず、例えば、楕円体殻状等をなしていてもよい。
また、カプセル本体401は、吸着粒子50と反対の極性に帯電している。したがって、吸着粒子50は、吸着粒子50とカプセル本体401との間の相互作用による引力、すなわち、吸着粒子50とカプセル本体401との間の静電力とファンデルワールス力との和(合力)である引力により、カプセル本体401の内面に吸着している。
【0060】
図2に示すように、まず、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧が印加されていないときは、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着して所定位置に停止している。
次に、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧が印加されると、第1の電極3と第2の電極4との間に電界が生じ、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その電界にしたがって、カプセル本体401の内面に沿っていずれかの電極に向かって移動する。そして、前記電圧の印加を停止すると、吸着粒子50は、その移動を停止し、カプセル本体401の内面に吸着して所定位置に停止する。
【0061】
具体的には、例えば、吸着粒子50が負に帯電し、カプセル本体401が正に帯電しており、第1の電極3が第2の電極4に対して正電位になるように、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って第1の電極3側(表示面と反対側)に移動する。
また、第1の電極3が第2の電極4に対して負電位になるように、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って第2の電極4側(表示面側)に移動する。
【0062】
この場合、第1の電極3と第2の電極4との間にパルス状の電圧(パルス電圧)を印加すること、すなわち、第1の電極3と第2の電極4との間に印加する電圧の大きさ(電圧値)および時間(印加時間)のうちのいずれか一方、または、両方を調整することにより、吸着粒子50の位置を調整することができる。すなわち、第1の電極3と第2の電極4との間への電圧印加パターンを選択することにより、表示面側(図2中上側)から見たときのカプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分が、吸着粒子50により覆われた状態(図2中右側の状態)と、覆われていない状態(図2中左側の状態)とに切り換えることができ、これにより、本実施形態では、白黒表示を行うことができる。このように、吸着粒子50は、マイクロカプセル40を光透過状態と光遮蔽状態とに切り換えるシャッターとしての機能を有する。
【0063】
例えば、図2中の右側に示すように、吸着粒子50が第1の電極3側に位置しているとき、すなわち、吸着粒子50がカプセル本体401の下半球(第1の電極3側の半球)に位置し、表示面側から見たとき、その吸着粒子50により、カプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分がすべて覆われているときは、表示色は、黒色となる。すなわち、マイクロカプセル40への入射光は、略すべて(大部分が)、吸着粒子50により吸収され、これにより、表示装置20を表示面側から見ると、黒色(吸着粒子50の色)が見える。
【0064】
また、吸着粒子50が第1の電極3と第2の電極4との間に位置しているとき、すなわち、吸着粒子50がカプセル本体401の上半球と下半球とに跨ってベルト状に分布し、表示面側から見たとき、その吸着粒子50により、カプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分が覆われていないときは、表示色は、白色となる。すなわち、マイクロカプセル40への入射光は、略すべて(大部分が)、マイクロカプセル40を透過して反射体9に入射し、粒子91で散乱し、これにより、結果的に、反射体9から乱反射し、これによって、表示装置20を表示面側から見ると、白色が見える。
【0065】
また、前記第1の電極3と第2の電極4との間への電圧印加パターンを選択することにより、表示面側(図2中上側)から見たときのカプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分のうち、吸着粒子50により覆われている部分の面積、すなわち、吸着粒子50により覆われている部分の面積(S2)と、カプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分の全体の面積(S1)との比率(S2/S1)を調整することができる。
【0066】
これによって、本実施形態では、白黒表示において、白色および黒色の他に、白色と黒色との間の任意の中間調(中間色)、すなわち、任意の階調(明度)のグレー色を表示することができる。すなわち、表示色を、白色と黒色との間で連続的に変化させることができる。
なお、本実施形態では、前記のように、吸着粒子50を第1の電極3側に位置させて、黒色表示を行い、吸着粒子50を第1の電極3と第2の電極4との間に位置させて、白色表示を行なうように構成されているが、これに限らず、吸着粒子50を第2の電極4側に位置させて、黒色表示を行い、吸着粒子50を第1の電極3と第2の電極4との間に位置させて、白色表示を行なうように構成されていてもよい。図示しないが、吸着粒子50が第2の電極4側に位置しているとき、すなわち、吸着粒子50がカプセル本体401の上半球(第2の電極4側の半球)に位置し、表示面側から見たとき、その吸着粒子50により、カプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分がすべて覆われているときは、表示色は、黒色となる。
【0067】
また、表示装置20の制御方式としては、特に限定されないが、例えば、吸着粒子50が第1の電極3側または第2の電極4側に位置している状態、すなわち黒色が表示されている状態を初期状態(基準状態)として設定し、白色や所定の中間調を表示する際、一旦、前記初期状態にし、この後、第1の電極3と第2の電極4との間に前記パルス電圧を印加するよう構成するのが好ましい。その理由は、第1の電極3と第2の電極4との間に、例えば十分な時間、電圧を印加することで、確実に、前記初期状態にすることができるので(初期状態にするための印加電圧の大きさや時間等の微妙な調整が不要)、その初期状態から前記パルス電圧を印加することで、確実に、白色や目標の中間調を表示することができる。
【0068】
また、別の制御方式として、中間調が表示されている現時点の表示状態から白色や目標の中間調が表示される表示状態に変化させるのに必要なパルス電圧を印加するよう構成するのも好ましい。その理由は、この表示装置20では、黒色、白色および中間調を確実に表示すことができるので、前記初期状態に戻すことなく、連続的に白色や目標の中間調が表示される表示状態に変化させても、確実に、その白色や目標の中間調を表示することができる。
【0069】
ここで、図3(A)に示すように、吸着粒子50がカプセル本体401の下半球に集積した状態から上半球に集積した状態に遷移させるのに必要な印加電圧であるパルス電圧のパルス幅(印加時間)の最小値をts(V)(tsは、印加電圧の電圧値Vの関数)とすると、図3(B)に示すように、吸着粒子50がカプセル本体401の下半球に集積した状態から下半球と上半球との間に集積した状態、すなわち、白色が表示された状態に遷移させるには、印加電圧のパルス幅t1をts(V)よりも小さい所定値に設定する。その理由は、簡単に言えば、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って、下側から上側に向かって移動するので、上半球に集積した状態になる前に、電圧の印加を停止すれば、吸着粒子50が下半球と上半球との間に集積した状態にすることができるからである。
【0070】
具体的には、印加電圧のパルス幅t1は、0.01×ts(V)〜0.6×ts(V)であるのが好ましく、0.2×ts(V)〜0.4×ts(V)であるのがより好ましい。これにより、マイクロカプセル40における光の透過率を高くすることができ、これによって、鮮明な白色を表示することができ、コントラストを向上させることができる。
前記パルス幅t1は、予め、実験的に求められ、図示しない記憶手段に記憶されている。そして、白色を表示する際は、図示しない制御手段は、第1の電極3と第2の電極4との間に、そのパルス幅t1のパルス電圧を印加する。中間調についても同様である。
【0071】
なお、第1の電極3と第2の電極4との間に印加する電圧としては、単一のパルス電圧に限らず、例えば、複数のパルス電圧等でもよい。
その具体例としては、図3(C)に示すように、極性を交互に入れ換えた複数のパルス電圧(交流電圧)が好適である。この場合、各パルス電圧は、図示のように連続的に印加してもよく、また、間欠的に印加してもよいが、前者の方が好ましい。また、各パルス電圧のパルス幅は、同一でもよく、また、異なっていてもよいが、前記t1以下であることが好ましい。また、最初のパルス電圧のパルス幅が最大となり、それ以降のパルス電圧のパルス幅は、前記最初のパルス電圧のパルス幅よりも小さく設定されているのが好ましい。このような極性を交互に入れ換えた複数のパルス電圧を用いることにより、吸着粒子50の移動方向が上側と下側とに交互に切り換わるので、吸着粒子50をより狭い領域に集めることができ、これにより、マイクロカプセル40における光の透過率をより高くすることができる。
【0072】
また、図4に示すように、この表示装置20では、第1の電極3と第2の電極4との間に生じる電界により吸着粒子50に作用する静電力(図4中のf)よりも、吸着粒子50とカプセル本体401との間の相互作用による引力(図4中のf)の方が大きくなるよう構成されている。この吸着粒子50とカプセル本体401との間の相互作用による引力(f)は、これらの間の静電力とファンデルワールス力との和(合力)である。前記電界により吸着粒子50に作用する静電力(f)よりも吸着粒子50とカプセル本体401との間の相互作用による引力(f)の方が大きくなるようにすることは、例えば、各部の帯電量(電荷量)、電荷密度等や、第1の電極3と第2の電極4との間に印加する電圧の大きさ等を適宜設定することで、実現することができる。
【0073】
これにより、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧が印加されて、これらの間に生じた電界が吸着粒子50に作用したとき、前記静電力(f)と相互作用による引力(f)との和(図4中のf)の方向は、図4に示すようになり、その吸着粒子50がカプセル本体401から離間していってしまうのを防止することができ、これによって、吸着粒子50は、確実に、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、カプセル本体401の内面に沿って移動することができる。
【0074】
前記吸着粒子50がカプセル本体401の内面に吸着しつつその内面に沿って移動する現象を微視的に見ると、もう少し複雑である。以下、それを説明する。
すなわち、吸着粒子50とカプセル本体401との間の関係(引力等)は、もう少し複雑であり、吸着粒子50とカプセル本体401との間の相互作用は、図5に示すポテンシャル曲線で記述される。この場合、吸着粒子50とカプセル本体401との間の引力(ファンデルワールス力と静電力との和)と、斥力(ポリマー鎖による立体障害や浸透圧)との和によって、図5に示すポテンシャルの凹みができる。
【0075】
まず、図5中の吸着粒子50の表面とカプセル本体401の内面との間の距離がZのときは、吸着粒子50は、その表面とカプセル本体401の内面とが距離Zだけ離間した位置に吸着されているが、この距離Zは、ナノメートルオーダーの距離であり、実際は、互いのポリマー鎖が接触した状態にある。
ここに、第1の電極3と第2の電極4との間に電界が生じると、前記距離Zだけ離間した位置は、ポテンシャル曲線の傾きがゼロであるので、吸着粒子50は、容易にカプセル本体401の内面から離間する方向へ移動する。
【0076】
しかし、吸着粒子50が距離Zだけ離間した位置に接近すると、ポテンシャル曲線の傾きが大きくなり、吸着粒子50に対して大きな引力が作用し、これにより、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面からそれ以上離間することができなくなり、逆に、カプセル本体401の内面に接近する方向へ移動する。
その結果、第1の電極3と第2の電極4との間に電界が生じると、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面上を、その内面に沿って移動する。この際、吸着粒子50は、図6に示すように、吸着粒子50の表面とカプセル本体401の内面との間の距離を僅かに変化させながら(吸着粒子50が僅かに飛び跳ねながら)、カプセル本体401の内面に沿って移動する。
【0077】
また、本実施形態では、液体10および吸着粒子50を内包するカプセル本体(殻体)401は、図1に示すように、第1のカプセル層(第1の層)402と、この第1のカプセル層402よりも外側に配置されている第2のカプセル層(第2の層)403とで構成されている。第1のカプセル層402および第2のカプセル層403は、それぞれ球殻状(殻状)をなし、第2のカプセル層403により、第1のカプセル層402の外面が覆われている。これにより、カプセル本体401に、第1のカプセル層402および第2のカプセル層403がそれぞれ有する特性を相乗的に付与することができる。
【0078】
なお、カプセル本体401は、これら第1のカプセル層402と第2のカプセル層403とのうち、いずれか一方のみが帯電していてもよく、また、両方が帯電していてもよい。
第1のカプセル層402および第2のカプセル層403の構成材料としては、それぞれ、例えば、アラビアゴムなどのゴムを含む材料、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
また、第1のカプセル層402および第2のカプセル層403を構成する樹脂には、それぞれ、架橋剤により架橋(立体架橋)構造を形成するようにしてもよい。これにより、第1のカプセル層402や第2のカプセル層403の強度をさらに向上させることができる。その結果、マイクロカプセル40が崩壊するのをより確実に防止することができる。
ここで、第1のカプセル層402および第2のカプセル層403のぞれぞれの帯電の有無、帯電量や電荷密度、極性等は、液体10との関係も関与する。したがって、第1のカプセル層402および第2のカプセル層403は、それぞれ、使用する液体10に応じて、構成材料(構成材料の組み合わせ)、その配合比、形成時の諸条件等を適宜設定し、所定の極性に帯電させるとともに、その帯電量や電荷密度等を調整する。この場合、例えば、帯電付与剤等の添加材を添加してもよい。
【0080】
また、第1のカプセル層402と第2のカプセル層403とは、これらの界面において化学的に結合しているのが好ましい。これにより、回路基板22と表示シート21との間に圧力を付与したとしても、第1のカプセル層402と第2のカプセル層403との間で剥離が生じるのを確実に防止することができる。その結果、マイクロカプセル含有層400と回路基板22とを接合する際の圧力や、表示装置として使用・保存している間に加わる衝撃や押圧により、マイクロカプセル40が崩壊してしまうのをより確実に防止することができる。
【0081】
カプセル本体401の厚さ(本実施形態では、第1のカプセル層402の厚さと第2のカプセル層403の厚さの合計)は、特に限定されないが、湿潤状態で、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.1〜4μmであるのがより好ましく、0.1〜3μmであるのがさらに好ましい。カプセル本体401の厚さが小さいと、第1のカプセル層402と第2のカプセル層403との構成材料の組み合わせによっては、十分なカプセル強度が得られない恐れがある。逆に、カプセル本体401の厚さが大きいと、第1のカプセル層402と第2のカプセル層403との構成材料の組み合わせによっては、透明性が低下して、表示装置のコントラストの低下を招く恐れがある。
なお、本実施形態では、カプセル本体401は、第1のカプセル層402と第2のカプセル層403からなる2層構成とされているが、このような2層構成に限らず、単層または3層以上の多層構成であっても構わない。
【0082】
カプセル本体401の粒径としては、体積平均粒子径が10〜100μmであることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましい。カプセル本体401の粒径がこのような範囲であることにより、寸法精度よくマイクロカプセル含有層400を形成することができる。
カプセル本体401の粒径が前記下限値よりも小さ過ぎると、マイクロカプセル含有層400の両方の面側がマイクロカプセル40で満たされ、表示のコントラストが低下するおそれがある。
【0083】
一方、カプセル本体401の粒径が前記上限値よりも大き過ぎると、マイクロカプセル40同士の隙間も大きくなることにより、表示のコントラストが低下するおそれがある。
このようなマイクロカプセル40は、その大きさ(粒径)がほぼ均一(同一)に形成されているのが好ましい。具体的には、粒子径の変動係数(CV値)が5〜25%であることが好ましく、変動係数(CV値)が5〜20%であることがより好ましい。これにより、マイクロカプセル40が均一に配置されるので、表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
【0084】
また、後述するように、表示装置20は、通常、回路基板22と表示シート21との間に接着剤層8を介在させた状態で、これら同士を接合することにより得られるが、この接合は、回路基板22と表示シート21とを接近させた状態で行われる。このように回路基板22と表示シート21とを接近させるために、これら同士の間に圧力が付与される。また、本発明の表示装置20を可撓性が求められる電子ペーパーに組み込んだ際には、電子ペーパーを撓ませる度に、表示装置20にも同様に撓みが生じることになるが、このたびに、回路基板22と表示シート21との間に圧力が付与される。
【0085】
これらの圧力が回路基板22と表示シート21との間に付与されたとしても、マイクロカプセル40を、第2の電極4と接着剤層8との間で、球状を維持するような強度を有するものとする。かかる構成とすることにより、マイクロカプセル40の耐圧性および耐ブリード性の双方を高めることができることから、表示装置20は、長期間安定的に動作し得るものとなる。前記マイクロカプセル40の耐圧性とは、「マイクロカプセル40に圧力がかかったとき、マイクロカプセル40が潰れずに耐えること」を言い、前記マイクロカプセル40の耐ブリード性とは、「マイクロカプセル40内に封入された液体10等がマイクロカプセル40の外側に散逸されないこと」を言う。
【0086】
2.表示装置の動作方法
このような表示装置20は、次のようにして作動する。
以下、図2に基づき、表示装置20の作動(動作)方法について説明する。なお、代表的に、吸着粒子50が負に帯電し、カプセル本体401が正に帯電しており、さらに、吸着粒子50が第1の電極3側に位置している状態(黒色が表示されている状態)が初期状態として設定されている場合を説明する。
【0087】
まず、黒色を表示する際は、第1の電極3が第2の電極4に対して正電位になるように、第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加する。この電圧は、確実を期すため、吸着粒子50が第2の電極4側から第1の電極3側まで移動するのに十分な時間印加するのが好ましい。
これにより、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って第1の電極3側に向かって移動し、その第1の電極3側に停止する。これにより、表示面側から見たとき、その吸着粒子50により、カプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分がすべて覆われた状態となり、黒色が表示される。
【0088】
また、白色を表示する際(特に、電源投入後、黒色を表示することなく初めて白色を表示する際)は、一旦、前記のようにして初期状態(黒色が表示されている状態)にし、この後、第1の電極3が第2の電極4に対して負電位になるように、第1の電極3と第2の電極4との間に、前述したパルス幅t1のパルス電圧を印加する。
これにより、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って第2の電極4側に向かって移動し、第1の電極3と第2の電極4との間、すなわち、カプセル本体401の上半球と下半球とに跨って停止する。これにより、表示面側から見たとき、その吸着粒子50により、カプセル本体401で囲まれた空間の直下に位置する反射体9の部分が覆われていない状態となり、白色が表示される。
【0089】
この場合、前述したように、マイクロカプセル40への入射光は、略すべて(大部分が)、マイクロカプセル40を透過して反射体9に入射し、粒子91で散乱し、これにより、結果的に、反射体9から乱反射し、これによって、表示装置20を表示面側から見ると、白色が見える。換言すれば、反射体9は、面光源のような機能を有している。
また、所定のマイクロカプセル40に注目したとき、そのマイクロカプセル40を透過して反射体9に入射した光の一部は、反射体9で導光され、前記マイクロカプセル40に隣接するマイクロカプセル40から出射することもある。すなわち、反射体9は、光を隣接するマイクロカプセル40に導光する機能(導光機能)を有している。
【0090】
また、反射体9で乱反射した光のうち、反射角の大きい光(隣接する画素の方向に向かう光)は、吸着粒子50により吸収され、これにより、隣接する画素への影響を阻止することができる。
また、中間調であるグレー色を表示する際も、前記白色を表示する際と同様に、一旦、初期状態にし、この後、第1の電極3が第2の電極4に対して負電位になるように、第1の電極3と第2の電極4との間に、所定のパルス幅のパルス電圧を印加する。これにより、目標の階調のグレー色が表示される。
【0091】
この場合、各階調のグレー色(各中間調)と、電圧の印加時間(パルス電圧のパルス幅)との対応を示す検量線(例えば、演算式、テーブル等)が、予め、実験的に求められており、図示しない記憶手段に記憶されている。図示しない制御手段は、この検量線に基づいて、目標の階調のグレー色(目標の中間調)を得るための電圧の印加時間を求め、その時間だけ、電圧を印加する。
【0092】
このように、この表示装置20で、白黒表示を行うことができ、所望の情報(画像)を表示することができる。
なお、吸着粒子50として、他の着色粒子(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)等)を用いてもよいことは、言うまでもなく、この場合も、前記と同様にして、その色と白色との間の任意の中間調を表示することができる。この場合は、カラー表示を行うことができる。また、フルカラー表示も可能である。
【0093】
3.表示装置の製造方法
このような表示装置20は、次のようにして製造することができる。
以下、図7および図8に基づき、表示装置20の製造方法について説明する。
図7および図8に示す表示装置20の製造方法は、マイクロカプセル40を作製するマイクロカプセル作製工程[A1]と、マイクロカプセル40を含むマイクロカプセル分散液を調製するマイクロカプセル分散液調製工程[A2]と、基板12の一方の面側にマイクロカプセル40を含むマイクロカプセル含有層400を形成するマイクロカプセル含有層形成工程[A3]と、マイクロカプセル含有層400の基板12と反対の面側に接着剤層8を形成する接着剤層形成工程[A4]と、接着剤層8のマイクロカプセル含有層400と反対の面側に対向基板11を接触して、接着剤層8と対向基板11とを接合する接合工程[A5]と、封止部7を形成する封止工程[A6]とを有している。
【0094】
なお、前記マイクロカプセル作製工程[A1]と、マイクロカプセル分散液調製工程[A2]と、マイクロカプセル含有層形成工程[A3]とで、本発明の表示装置の製造方法におけるマイクロカプセル含有層形成工程が構成される。
また、前記マイクロカプセル含有層形成工程[A3]で用意する基板12を製造する工程は、基部2の下面に、第2の電極4を形成する第2の電極形成工程を有し、前記接合工程[A5]で用意する回路基板22を製造する工程は、基部1の上面に、第1の電極3を形成する第1の電極形成工程を有している。この第2の電極形成工程と、第1の電極形成工程とで、本発明の表示装置の製造方法における電極形成工程が構成される。
【0095】
以下、各工程について説明する。
[A1]マイクロカプセル40の作製工程
[A1−1]第1のカプセル層402の形成
まず、液体10および吸着粒子50を第1のカプセル層402に内包するマイクロカプセルを得る。なお、以下、説明の便宜上、このマイクロカプセルを「マイクロカプセル前駆体」と言うこととする。
【0096】
第1のカプセル層402は、例えば、液体10および吸着粒子50からなる調整液を芯物質として、各種マイクロカプセル化手法を用いて形成することができる。
マイクロカプセル化手法(第1のカプセル層402への調整液の封入方法)としては、特に限定されないが、例えば、界面重合法、In−situ重合法、相分離法(または、コアセルベーション法)、界面沈降法、スプレードライ法等の各種マイクロカプセル化手法を用いることができる。このマイクロカプセル化手法は、第1のカプセル層402の構成材料等に応じて、適宜選択するようにすればよい。
【0097】
ここで、前記第1のカプセル層402の形成の際は、その第1のカプセル層402を帯電させず、この後に、カプセル本体401を帯電させる帯電工程を行う。第1のカプセル層402の形成の際に、その第1のカプセル層402を帯電させてしまうと、吸着粒子50が静電力により第1のカプセル層402に吸着されて埋め込まれてしまう(固定されてしまう)が、第1のカプセル層402を帯電させないので、それを確実に防止することができる。
なお、均一な大きさのマイクロカプセル前駆体は、例えば、ふるいにかけて選別する方法、濾過法、比重差分級法等を用いることにより得ることができる。
【0098】
[A1−2]第2のカプセル層403の形成
次に、工程[A1−1]で得たマイクロカプセル前駆体(第1のカプセル層402)の外周面に、第2のカプセル層403を形成し、液体10および吸着粒子50を内包するマイクロカプセル40を得る。
第2のカプセル層403は、例えば、マイクロカプセル前駆体を水系媒体中に分散させたカプセル分散液に、樹脂のプレポリマーを徐々に添加し、マイクロカプセル前駆体の表面に吸着したプレポリマーを、重合反応させることによって形成することができる。これにより、マイクロカプセル前駆体の表面に第2のカプセル層403が形成され、液体10および吸着粒子50を内包するマイクロカプセル40が得られる。
【0099】
ここで、前記第2のカプセル層403の形成の際は、カプセル本体401(第1のカプセル層402と第2のカプセル層403とのうちのいずれか一方または両方)を吸着粒子50と反対の極性に帯電させる(帯電工程)。この場合、前述したように、例えば、使用する液体10に応じて、第1のカプセル層402および第2のカプセル層403のそれぞれについて、構成材料(構成材料の組み合わせ)、その配合比、形成時の諸条件等を適宜設定し、吸着粒子50と反対の極性に帯電させるとともに、その帯電量や電荷密度等を調整する。この帯電工程により、吸着粒子50は、静電力によってカプセル本体401の内面に吸着する。
【0100】
なお、均一な大きさのマイクロカプセル40は、例えば、ふるいにかけて選別する方法、濾過法、比重差分級法等を用いることにより得ることができる。
このように、本実施形態の製造方法では、このマイクロカプセル作製工程[A1]において、カプセル本体401の内面側の部分(一部分)を構成する第1のカプセル層402を形成した後、カプセル本体401を吸着粒子50と反対の極性に帯電させる帯電工程が行われる。
【0101】
[A2]マイクロカプセル分散液の調製工程
次に、バインダ41を用意し、このバインダ41と、前記工程[A1]で作製されたマイクロカプセル40とを混合してマイクロカプセル分散液を調製する。
バインダ41と前記工程[A1]で作成されたマイクロカプセル40との混合比は、バインダ41、100重量部に対しマイクロカプセル40が100〜500重量部が好ましく、200〜450重量部がより好ましい。
【0102】
マイクロカプセル分散液中におけるマイクロカプセル40の含有量は、30〜60wt%程度であるのが好ましく、40〜60wt%程度であるのがより好ましい。
マイクロカプセル40の含有量を前記範囲に設定すると、マイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように(単層で)、マイクロカプセル含有層400において移動(再配置)させて配設する上で、非常に有利である。
【0103】
[A3]マイクロカプセル含有層400の形成工程
次に、図7(a)に示すように、基板12を用意する。そして、図7(b)に示すように前記工程[A2]で調製したマイクロカプセル分散液を基板12上に塗布する。
マイクロカプセル分散液を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、アプリケーター、バーコーター、ダイコーター、エアナイフコーター、キスコーター、グラビアコーター、等の各種塗布法を用いることができる。
【0104】
必要に応じて、基板12の各部において、マイクロカプセル分散液の厚さ(量)が均一になるように、好ましくはマイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように1個ずつ(単層に)配置されるように塗布する。
これは、例えば、図7(c)に示すように、スキージ(平板状の治具)100を基板12上を通過させ、マイクロカプセル40を掃くことにより行うことができる。
これにより、マイクロカプセル含有層400が形成され、図7(d)に示すような表示シート21が得られる。
【0105】
[A4]接着剤層8の形成工程
次に、図8(e)に示すように、マイクロカプセル含有層400上に、接着剤層8を形成する。
これは、例えば、シート状の接着剤層8を、オーバーコート法、転写法等により、マイクロカプセル含有層400上に配置することにより行うことができる。
【0106】
[A5]回路基板22の接合工程
次に、図8(f)に示すように、接着剤層8上に、別途用意した回路基板22を、第1の電極3が接着剤層8に接触するように重ね合わせる。
これにより、接着剤層8を介して、表示シート21と回路基板22とが接合される。
このとき、接着剤層8および回路基板22の自重や、回路基板22と表示シート21とを接近するように加圧する(マイクロカプセル含有層400の厚さを減少させる)ことにより、マイクロカプセル含有層400において、マイクロカプセル40の配設密度を均一にすることができる。
【0107】
ここで、回路基板22と表示シート21とを接近させる際に、これら同士の間に付与する圧力の大きさは、通常、0.05〜0.6MPa程度に設定される。しかしながら、この表示シート21(表示装置20)では、このような大きさの圧力が回路基板22と表示シート21との間に付与した状態で、マイクロカプセル含有層400が第2の電極4と接着剤層8とで狭持されたとしても、マイクロカプセル含有層400中に含まれるマイクロカプセル40は、上下方向に圧縮(圧迫)されることなく、ほぼ球状(球形状)をなすように設定されている。その結果、回路基板22と表示シート21との間に圧力を付与することに起因する、マイクロカプセル40の崩壊や液体10および吸着粒子50等の散逸が確実に防止される。また、吸着粒子50は、円滑かつ確実に、カプセル本体401の内面に沿って移動することができる。
【0108】
[A6]封止工程
次に、図8(g)に示すように、表示シート21および回路基板22の縁部に沿って、封止部7を形成する。
これは、表示シート21(基部2)と回路基板22(基部1)との間であって、これらの縁部に沿って封止部7を形成するための材料を、例えば、ディスペンサ等により供給し、固化または硬化させることにより形成することができる。
【0109】
以上の工程を経て、表示装置20が得られる。
なお、接着剤層8は、回路基板22側に設けておき、回路基板22と表示シート21とを接合するようにしてもよく、回路基板22および表示シート21の双方に設けておき、回路基板22と表示シート21とを接合するようにしてもよい。
また、例えば、シート状の接着剤層8は、これを撓ませた状態で、その一端部をマイクロカプセル含有層400に接触させ、他端側に向かって順にマイクロカプセル含有層400に接触させて、マイクロカプセル含有層400上に配置するのが好ましい。これにより、マイクロカプセル含有層400と接着剤層8との間に気泡が生じるのを防止することができるとともに、マイクロカプセル40の再配置をより確実に行うことができる。
【0110】
また、接着剤層8を省略し、他の方法で、表示シート21と回路基板22とを接合してもよい。他の方法としては、例えば、バインダ41により、表示シート21と回路基板22とを接合することができる。
以上説明したように、この表示装置20によれば、吸着粒子50は、常に、カプセル本体401の内面のいずれかの部位に吸着しており、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って移動し、さらには、カプセル本体401内には、吸着粒子50の他に粒子(障害物)が存在しないので、中間調を容易かつ確実に得ることができる。
【0111】
また、第1の電極3と第2の電極4との間への電圧の印加を停止した状態でも吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しているので、中間調を含む各色を確実に維持することができる。これにより、電圧の印加を停止しても、表示内容(イメージ)は、その表示状態が劣化することなく、安定的に保持される。
また、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しており、さらには、カプセル本体401内には、吸着粒子50の他に粒子(障害物)が存在しないので、吸着粒子50と他の粒子とが吸着してしまうこともなく、これにより、高いコントラストが得られ、また、色純度も向上する。
【0112】
また、カプセル本体401内には、吸着粒子50の他に粒子(障害物)が存在しないので、吸着粒子50は、容易かつ確実に移動することができ、表示の際の応答性も良い。
また、吸着粒子50は、カプセル本体401の内面に吸着しつつ、その内面に沿って移動するので、比較的弱い電界で確実に吸着粒子50を移動させることができ、これにより、消費電力を低減することができる。
また、この表示装置20は、いわゆるマイクロカプセル型であるので、いわゆるマイクロカップ型の表示装置に比べて、容易かつ確実に製造することができる。
【0113】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第2実施形態の表示装置20では、その製造方法において、カプセル本体401を形成する際は、そのカプセル本体401を帯電させない。そして、カプセル本体401の全部を形成した後、すなわち、マイクロカプセル作製工程[A1]を行った後、マイクロカプセル分散液調製工程[A2]において、バインダ41を介してカプセル本体401を吸着粒子50と反対の極性に帯電させる帯電工程が行われる。
【0114】
この場合、例えば、バインダ41に、吸着粒子50の極性に応じて、正または負の帯電付与剤等を所定量添加することで、カプセル本体401を吸着粒子50と反対の極性に帯電させるとともに、その帯電量や電荷密度等を調整することができる。なお、バインダ41は、帯電していてよく、また、帯電していなくてもよい。
この表示装置20によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0115】
<第3実施形態>
図9は、本発明の表示装置の第3実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図9中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
以下、第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0116】
図9に示すように、第3実施形態の表示装置20では、第1の電極3(マイクロカプセル含有層400)と、反射体9との間に、カラーフィルタ13が設けられている。これにより、カラー表示を行うことができ、特に、カラーフィルタ13の構成(例えば、色の種類や数等)を適宜設定することで、種々のカラー表示を行うことができる。
カラーフィルタ13としては、特に限定されないが、例えば、異なる複数色の着色部、具体的には、互いに異なる色の第1の着色部、第2の着色部および第3の着色部(いずれも図示せず)を有するものを用い、第1の着色部を赤色フィルター領域(R)、第2の着色部を緑色フィルター領域(G)、第3の着色部を青色フィルター領域(B)とすることで、フルカラー表示を行うことができる。この場合、例えば、1組の第1の着色部、第2の着色部および第3の着色部を、それぞれ、隣接する3つの第1の電極3に対応するように配置し、その1組の第1の着色部、第2の着色部および第3の着色部で1画素を構成する。
【0117】
この表示装置20によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、従来の表示装置では、赤色粒子が内包された赤色表示用のマイクロカプセルと、緑色粒子が内包された緑色表示用のマイクロカプセルと、青色粒子が内包された青色表示用のマイクロカプセルとを用いてフルカラー表示を行なっており、その従来の表示装置では、各色表示用のマイクロカプセルを、それぞれ、対応する電極上に配置させる必要があり、その位置決めは、困難であるが、この表示装置20では、このような位置決めは、不要である。その理由は、この表示装置20では、各マイクロカプセル40の構成は同じであり、また、カラーフィルタ13の第1の着色部、第2の着色部および第3の着色部と、各第1の電極3とが、それぞれ対応しているので、第1の着色部、第2の着色部および第3の着色部上に位置するマイクロカプセル40が、それぞれ、赤色表示用、緑色表示用および青色表示用として機能するためである。このため、フルカラー表示の表示装置20を容易かつ確実に製造することができる。
なお、前記カラーフィルタ13の第1の着色部をシアンフィルター領域(C)、第2の着色部をマゼンタフィルター領域(M)、第3の着色部をイエローフィルター領域(Y)としてもよい。
【0118】
<電子機器>
以上のような表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
【0119】
図10は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図10に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような表示装置20で構成されている。
【0120】
<<ディスプレイ>>
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図11は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図11中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図11に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図11に示す構成と同様のものである。
【0121】
本体部801は、その側部(図11(a)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
【0122】
また、本体部801の表示面側(図11(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
【0123】
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図11中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
【0124】
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような表示装置20で構成されている。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、本発明の表示装置20を適用することが可能である。
【0125】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0126】
また、前記実施形態では、1対の電極が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、1対の電極を同一基板上に設ける構成のものに適用することもできる。
また、前記実施形態では、1対の基板が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、単一の基板を有するものに適用することもできる。
【0127】
また、前記実施形態では、マイクロカプセルは、隣り合う画素電極(電極)にまたがらないように配置されているが、本発明では、これに限らず、例えば、マイクロカプセルは、隣り合う2つの画素電極にまたがるように配置されていてもよく、また、隣り合う3つ以上の画素電極にまたがるように配置されていてもよく、また、これらが混在していてもよい。
【0128】
また、前記実施形態は、いわゆるマイクロカプセル型の表示装置であるが、本発明では、これに限らず、例えば、吸着粒子と透明体とを含有する吸着粒子含有層が隔壁で仕切られている形態のもの、すなわち、隔壁により区画された複数のセル空間(空間)が形成されており、各セル空間に透明体が配置され、隔壁の内面(セル空間側の面)に吸着粒子が吸着した、いわゆるマイクロカップ型の表示装置であってもよい。
このマイクロカップ型の表示装置では、透明体が配置される空間を画成する壁部の内面は、1対の電極間に亘って設けられた(連続的に設けられた)湾曲凹面を有するのが好ましい。そして、特に、その壁部により、球状または楕円体状の空間が画成され、その空間に透明が配置されているのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の表示装置の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の作用を説明するための模式図である。
【図3】図1に示す表示装置の作用を説明するための模式図である。
【図4】図1に示す表示装置の作用を説明するための模式図である。
【図5】図1に示す表示装置における、吸着粒子の表面とカプセル本体の内面との間の距離と、吸着粒子のポテンシャルとの関係を示すグラフ(ポテンシャル曲線)である。
【図6】図1に示す表示装置の作用を説明するための模式図である。
【図7】図1に示す表示装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図8】図1に示す表示装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図9】本発明の表示装置の第3実施形態を模式的に示す縦断面図である。
【図10】本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0130】
1‥‥基部 2‥‥基部 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 50‥‥吸着粒子 7‥‥封止部 8‥‥接着剤層 9‥‥反射体 91‥‥粒子 92‥‥媒体 10‥‥液体 11‥‥対向基板 12‥‥基板 13‥‥カラーフィルタ 20‥‥表示装置 21‥‥表示シート 22‥‥回路基板 40‥‥マイクロカプセル 41‥‥バインダ 100‥‥スキージ 400‥‥マイクロカプセル含有層 401‥‥カプセル本体 402‥‥第1のカプセル層 403‥‥第2のカプセル層 600‥‥電子ペーパー 601‥‥本体 602‥‥表示ユニット 800‥‥ディスプレイ 801‥‥本体部 802a、802b‥‥搬送ローラ対 803‥‥孔部 804‥‥透明ガラス板 805‥‥挿入口 806‥‥端子部 807‥‥ソケット 808‥‥コントローラー 809‥‥操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を画成する壁部と、該壁部の内面に吸着し、帯電している吸着粒子と、前記空間に配置され、実質的に透明な透明体とを有する吸着粒子含有層と、
電圧を印加すると、前記吸着粒子に作用させる電界を発生する1対の電極とを備え、
前記1対の電極間に電圧を印加することにより、前記吸着粒子が前記壁部の内面に吸着しつつ、該内面に沿って移動するよう構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記吸着粒子は、静電力により前記壁部の内面に吸着している請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記吸着粒子と前記壁部とが互いに反対の極性に帯電しており、これにより、前記吸着粒子が前記壁部の内面に吸着している請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記1対の電極間の電界により前記吸着粒子に作用する静電力よりも、前記吸着粒子と前記壁部との間の静電力を含む相互作用による引力の方が大きくなるよう構成されている請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記透明体は、前記空間に充填された液体または気体である請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記吸着粒子は、着色された粒子である請求項1ないし5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記1対の電極は、前記吸着粒子含有層を介して対向配置されており、
前記壁部の内面は、前記1対の電極間に亘って設けられた湾曲凹面を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記壁部により、球状または楕円体状の前記空間が画成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記壁部は、殻体で構成されており、
前記殻体に前記吸着粒子と前記透明体とが内包されてマイクロカプセルが構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記殻体は、それぞれ殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有する請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記吸着粒子含有層の表示面と反対側に、光を乱反射させる反射体を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記反射体は、間隙内に、光を散乱する粒子が充填されたものである請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記1対の電極間への電圧印加パターンを選択することにより、前記吸着粒子を移動させ、表示面側から見たときの前記壁部で囲まれた空間の直下に位置する前記反射体の部分が、前記吸着粒子により覆われた状態と、覆われていない状態とに切り換えるよう構成されている請求項11または12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記1対の電極間への電圧印加パターンを選択することにより、前記吸着粒子を移動させ、表示面側から見たときの前記壁部で囲まれた空間の直下に位置する前記反射体の部分のうち、前記吸着粒子により覆われている部分の面積を調整し得るよう構成されている請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記吸着粒子含有層と前記反射体との間に、カラーフィルタを有する請求項11ないし14のいずれかに記載の表示装置。
【請求項16】
帯電している吸着粒子と、実質的に透明な透明体とを殻体に内包するマイクロカプセルを製造し、該マイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層を形成するマイクロカプセル含有層形成工程と、
電圧を印加すると、前記吸着粒子に作用させる電界を発生する1対の電極を形成する電極形成工程とを有し、
前記マイクロカプセル含有層形成工程は、前記殻体の内面側の部分または全部を形成した後、前記殻体を前記吸着粒子と反対の極性に帯電させる帯電工程を有し、該帯電工程により、前記吸着粒子が前記殻体の内面に吸着することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記殻体は、それぞれ殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有しており、
前記第2の層を形成する際に、前記帯電工程を行なう請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記殻体を形成した後、前記マイクロカプセルの外表面に密着して該マイクロカプセルを固定する固定材料を介し、前記帯電工程を行なう請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
請求項1ないし15のいずれかに記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−128385(P2009−128385A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299709(P2007−299709)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】