説明

表示装置、電気器具及び表示方法

【課題】カバーが着色されるかまたは色彩を持ちかつ光に対し不均一な透過プロファイルを持つ表示装置において、表示色が白に見える表示装置を提供する。
【解決手段】赤褐色ホブ板12を持つ電気ホブ11のための表示装置であって、このホブ板はガラスセラミックから構成され、700nmより大きい波長の領域に高い透過率を持ちかつ700nmより小さい領域に低い透過率を持つ不均一な透過プロファイルを持つ。この表示装置は、表示のために規定された出力スペクトルを持つ一つの光源を持つ。この光源の色軌跡は、白から出発して左にシフトされ、かつ青味を帯びた色を持つ。従って、表示は、赤褐色カバーを通して照明された表示を実質的に白色として見ることができるかまたは対応してそのように輝く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーを持つ電気器具のための表示装置であって、カバーが着色されるかまたは色彩を持ちかつ光に対し不均一な透過プロファイルを持つ表示装置に関する。本発明はまた、この種の表示装置を持つ電気器具、及びこの種の表示装置を駆動するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばLEDのような光源を持つ表示装置を覆うカバーを持つ電気器具において、目に見える表示の色は、カバーの色または透過率に有意に依存する。このため、表示の色は着色されることができるか、またはカバーの透過プロファイル及び光源の色に依存して、限られた範囲に対してのみ希望の色が達成されることができる。
【0003】
例えば、カバーとしてガラスセラミックから構成されているホブ板を持つ電気器具としてのホブは、不均一でありかつ700nmより大きい波長の領域で高い透過率を持つ光に対する透過プロファイルを持つ。700nmより小さい波長の領域での透過率は非常に低く、時には1%以下であるか、または0%ですらある。この理由は、一方では安定性のための要求を持つ電気ホブでの好適な使用のために、他方ではできるだけ高い輻射加熱体の波長領域内での透過率のために最適化され、かつさらに低波長で上述の低透過率を作るためのガラスセラミックの材料特性に見出されることができる。従って、低波長を持つ色、すなわち黄、緑及び青領域の色は表示されることができないか、または記載されたカバーの場合の慣例的な設計の表示装置により周辺にのみ表示されることができる。
【0004】
WO2012/076412A1は、比較的大きな色帯域幅が表示のために、特に白色表示のために作られることができる、適切な混合による三つの原色LEDランプを持つ表示装置を開示する。しかし、第一に、これは比較的費用が高いと考えられる。第二に、三つの相互作用する光放射ダイオードの組み合わせは、実際に使用されることができる全ての表示のために設けられることができない。例えば、これは、通常2cm未満の全体高さを持ついわゆるセブンセグメント表示器では実用的でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、冒頭部分に述べられた種類の表示装置、前記表示装置を備えた電気器具、及びこの種の表示装置を操作するための方法を提供する問題に基づいており、この表示装置、電気器具、及び方法により、従来技術の問題は避けられることができ、特に異なるレベルの半透明性、好ましくは赤褐色を持つカバーの場合に白く見える表示が達成されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、請求項1または6の特徴を持つ表示装置により、この種の表示装置を持ちかつ請求項16の特徴を持つ電気器具により、及び請求項18の特徴を持つこの種の表示装置を駆動するための方法により解決される。本発明の有利なかつ好ましい改善は、さらなる請求項に特定されており、以下の文章において詳細に説明されるだろう。以下の特徴の幾つかは、この表示装置、電気器具または方法のためにのみ述べられている。しかし、これにかかわりなく、それらは、この表示装置、電気器具、及び方法に適用可能であることを意図されている。請求項の用語は、明白な参照により明細書の内容に含まれる。
【0007】
カバーは、700nmより大きい波長の領域に高透過率を持つ光のための不均一な透過プロファイルを持つようになされている。700nmより小さい波長の領域では、透過率はより低く、700nm未満では最大数%まで落下しうる。表示装置は、単一表示のために、すなわち単一表示場所または単一光源により通常表示される照明点もしくは照明された記号のために、電気器具のカバーを通して光を放射するための規定された出力スペクトルを持つ少なくとも一つの光源を持つ。ホブ板を持つ前記電気ホブの形の電気器具の場合には、表示装置または光源は、カバーとしてのこのホブ板を通して光を均一に放射する。
【0008】
本発明の第一の基本的な改善では、一つの光源が白色光を放射する。この場合、前記光源は、CIE色軌跡として、(0.3;0.3)の座標(x;y)または同様な色軌跡、例えば(x;y)=(0.33;0.33)を持つことができる。さらなる光源が、追加的に、前記一つの光源の物理的に近いところに、特に前記一つの光源に構造的にできるかぎり接近して設けられる。この第二光源は、二つの光源が共同して電気器具のカバーを通して調和した強度で光を放射するとき、白く照明された表示が見えるかまたは人間の目による知覚に関して見る人により表示として知覚されるような色または色軌跡を持つ。この場合、この第二光源の色軌跡は、第一白色光源の色軌跡の左に位置し、すなわち(x)に対して低い値を持つ。従って、第二光源の形の少し高いレベルの出費により、光は表示装置内で発生されることができ、それは白く見えるか、または上述の透過プロファイルを持つカバーを通過した後で白であると知覚される。
【0009】
この場合、第一光源及び第二光源はまた、有利には互いにできるだけ接近して、例えばそれらのハウジングにより許容されるまでできるだけ接近して配置されるべきであり、それは、有利にはSMD技術及びそれらの電気配線を使用して設計されることができる。
【0010】
本発明のさらなる改善では、第二光源の色軌跡は、有利には白色第一光源の色軌跡と同様のy−座標を持つことができる。第二光源は、幾らか小さいy−座標を持つことができる。第二光源の色軌跡のx−座標は有利には0.0と0.13の間に位置する。それは、例えば約0.05であることができる。
【0011】
本発明の例示的な発展では、第二光源は、それがスペクトル的に純粋な態様でまたは非常に狭い帯域で光を放射するように設計される。それは、有利には約470から510nm、特に有利には約490nmの波長を持つことができ、すなわち人間の目には略青緑色に見える。この光源からの例えば青緑色の光と第一光源からの白色光の組み合わせは、実質的に再度青緑色から青色に見える光を生成する。前記赤褐色のカバー、特に赤褐色を持つガラスセラミックから構成された慣例的なホブ板を通過した後、人間の目は、白色光を放射する表示を知覚する。
【0012】
請求項1の前提文による本発明の第二の基本的な改善では、唯一の単独光源が各表示のために使用され、すなわち第二光源(この第二光源からの光は第一光源と混合される)は前記第一光源のすぐ隣りに設けられていない。前記単一光源の色軌跡は、白から左にシフトされるか、またはCIE色軌跡のx−座標はより小さい。従って、この第二光源は、有利には青色を帯びているかまたは青緑色を帯びていることができる。この単一光源からの光は、再度上述のカバー、特に赤褐色のガラスセラミックから構成されているものを通して人間の目には白に見える。
【0013】
本発明の有利な改善では、この上述の単一光源のy−座標に関する色軌跡は白色光のものと実質的に同じであり、すなわち0.20と0.28の間に、例えば0.24を幾らか越えて位置する。この単一光源の色軌跡のx−座標は、白色光に対するよりさらにかなり左にあり、有利には0.1と0.2の間、特に有利には約0.18にある。この光は、人間の目には青色を帯びて見える。
【0014】
前記単一光源は、広い帯域の光を放射するように設計されることができ、特にそれは、有意な強度で緑及び青領域の光を放射する。
【0015】
本発明の有利な展開では、前記単一光源は、1に標準化されかつ450nmから470nmの波長で1.0の最大標準化強度を持つ発光スペクトルを持つことができる。特に、この最大値は約460nmである。最大値の前に、例えば約420nmから出発して0で始まる急な増加があることができる。同様に、最大値の後に比較的一時的に低いところへの急な落下があることができ、その標準化強度は0.3と0.4の間にある。これは、480nmと500nmの間、例えば約490nmの波長に位置することができる。比較的一時的に低いところの後に、0.35と0.45の間の標準化強度を持つ比較的一時的に高いところが続き、それは500nmと520nmの間、特に約510nmの波長に存在することができる。
【0016】
比較的一時的に高いところの後、標準化強度は再度、特にまず急に、次いで再度平坦に終了するように落下する。この落下の場合、標準化強度は、約570nmの波長から出発して0.1以下に、700nmから出発する波長では0.01以下にある。これは、この光源が青領域に高い割合を有し、緑または青緑領域に一時的に高い割合を持つことを意味する。赤い光はスペクトル中にほとんど存在しない。
【0017】
LEDは、半導体結晶を持つ光源として本発明のために有利に一般的に使用される。半導体結晶は通常、色に影響するためにリンで処理またはドープされる。例えば、本発明の二つの基本的な改善のために引用された光源はまた、この方法で形成されることができる。従って、半導体結晶は、希望の色または色スペクトルを生成するためにリンでドープされ、かつさらなる物質で処理またはドープされることができる。
【0018】
本発明による表示装置では、複数の表示器が設けられることができる。上述の個々の表示のためには、各場合で単一の色軌跡修正白色光源のみが、請求項4〜9の一つに規定されているように、記号または光点として設けられることができる。この方法では、この種の個々の表示器は、可能な最低量の出費で実現されることができる。いわゆるセブンセグメント表示のためには、好ましくは同じ色軌跡修正白色光源が使用されることができ、特に各照明セグメントのために単一光源が使用されることができる。この場合、全表示装置は一タイプのみの光源を持つかまたは同一の光源以外は何も持たず、従って設計または経時変化等の偏差による色の差をなくすことができる。代替例として、例えば構造のためまたは費用的理由のため、純白色光源を設けることができ、前記純白色光源は第二光源により請求項5の記載の色軌跡へシフトされる。この第二設計は、セブンセグメント表示のためにまたは有利には個々の表示のために使用されることができる。
【0019】
本発明のさらなる改善では、複数の光源が単一表示のために設けられているときに狭帯域及び広帯域光源の強度が調整されることができる。結果として、他の色は白色表示とは別に表示されることができ、これは用途の種類及び有用性を有意に高める。
【0020】
カバーを通して光を放射した後に白く見える上述の光源は、さらなる光源と組み合わせることもできる。これらの光源は、スペクトル的に純粋な態様でまたは狭帯域で光を放射する、特に540nmと550nmの間の波長を持つ緑色、及び600nmと610nmの間の波長を持つ赤色の光を放射する光源であることが好ましい。表示装置または表示器は、白色光を放射する光源及び一つの緑色光源及び一つの赤色光源により、すなわち合計三つの光源により、白、緑、黄及び赤の色、及びこれらの色の混合色を備えることができる。狭帯域発光スペクトルの場合、これらの光源の帯域幅は20nmを越えるべきでなく、できる限り10nm未満であるべきである。この方法では、得られるRGW色空間で異なる混合色がまた、達成されることができる。これは、対応する図に関して以下により詳細に説明されるだろう。
【0021】
前記表示装置を駆動するための方法において、光源は、表示のための慣例的な制御手段により、特にホブ制御手段により駆動されることができる。制御手段の回路機構は、光源の変更されたフラックス電圧に調和されることが必要であるにすぎない。
【0022】
単一光源または二つの光源の波長分布の正確な波長またはスペクトルは、第一に使用されるカバーに調和されなければならない。しかし、これらの波長は、比較的簡単な実験によりまたは計算により正確に決定されることができる。
【0023】
これらの及びさらなる特徴は、請求項から並びに明細書及び図面から集められることができ、そこでは個々の特徴はそれぞれ、それら自身の権利でまたは本発明の一実施態様の場合において及び他の分野において副組み合わせの形の群で、実施されることができ、かつ保護がここで請求されている利点及び本質的に特許可能な実施態様を表わすことができる。この出願の個々の区分への小分割及び小見出しは、ここでなされた文章の一般的な妥当性を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の例示的実施態様は、図面に概略的に示されており、以下の文章において詳細に説明されるだろう。
【図1】図1は、カバー、及び前記カバーを通して光を照射する前記カバーの真下の四つの表示器を持つ電気器具としての電気ホブの平面図を示す。
【図2】図2は、図1による電気ホブの断面図を示す。
【図3】図3は、図1及び2によるカバーとしての種々のガラスセラミックについての波長に対する透過率のプロファイルを示す。
【図4】図4は、本発明による光源のスペクトル、ガラスセラミックの透過スペクトル、及びガラスセラミックを通して見ることができる光の標準化されたスペクトルを示す。
【図5】図5は、プロットされたプロファイルを持つCIE標準色度図、及び種々の光源またはフィルターのためのプロットされた色軌跡の図を示す。
【図6】図6は、三原色に対する人間の知覚の三つの三刺激曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による電気器具としての電気ホブ11の平面図を示し、それは、ガラスセラミックから構成されているホブ板12を持つ。それ自身知られている加熱装置(例えば輻射加熱装置、誘導加熱装置、または他の接触加熱装置)がホブ板12の真下に設けられる。しかし、これらは当業者には知られており、従って図1または図2のいずれにも図示されていない。図1はホブの表示領域14を示し、この表示領域は、例として電気ホブ11の前縁に接近したホブ板12の前方領域内に、すなわち操作者の方向に位置されている。表示領域14は、互いに異なる四つの表示器15aから15dを持ち、以下の文章においてより詳細に説明されるだろう。それらの光源は、有利にはLEDであり、及び/または支持体としての印刷回路板13上にSMD構成要素として取り付けられる。
【0026】
図2は、図1からの表示器15bを断面で示す。前記表示器は、印刷回路板13の左にLED17b′を持ち、その右隣りにLED17b″を持ち、前記LEDは、互いに接近して配置されている。前記LEDはまた、SMD構成要素として形成されることができ、この場合、組立部品及び電気接続選択物に関して可能な限り隣接して設けられることができる。LED17b′と17b″は、遮蔽手段19b内に、または前記遮蔽手段により形成されている室内に一緒に配置される。代替例として、または遮蔽手段19bに加えて、対応する切り抜き部を持つマスキング手段がホブ板12の下面に設けられることができ、前記マスキング手段はまた、明らかに境界を定められかつ明白に識別可能な光の出現を確実にする。
【0027】
遮蔽手段19b上にしっかりと配置されるか、または接着剤で結合されるか、または成形されることができる、例えば板の形の拡散器22bが、遮蔽手段19bの上に設けられる。本発明の第一の基本的な改善によれば、二つのLED17b′及び17b″が、冒頭部分に記載された態様で形成される。これは、例えばLED17b′が白のための色軌跡を持つ白色光を放射することを意味する。他のLED17b″は、白のための前記色軌跡の左に色軌跡を持ち、例えば、約490nmの波長を持つ純粋な青緑光を放射する光源として形成される。従って、LED17b′は、広帯域の白色光を放射し、一方、LED17b″は狭帯域の青緑光を放射する。前記LEDの発光強度は、光がガラスセラミックから構成されている赤褐色ホブ板12を通して放射された後であっても表示器15bが白色光に見えるように構成及び駆動によって調整される。
【0028】
LED17b′及び17b″の上に配置されている拡散器22bのため、放射光のスペクトルはシフトされず、しかも前記放射光は着色されず、しかしむしろ光の出現はより均一にされる。さらに、これは、二つの光源からの光の改善された混合をもたらす。既に述べたように、光は、そのとき、ガラスセラミックから構成されているホブ板12を通して放射され、この光は、純白色表示器15bとして、例えばプラス符号の記号形態で前記ホブ板の上で見ることができる。従って、LED17b′及び17b″の形の二つの光源は、LEDまたはSMDLEDまたはこれらの二つの寸法に比べて比較的大きな表面積を持つ表示器で主として使用されることができる。なぜなら最小の必要な設置空間は、この付加された変数に明らかに依存するからである。
【0029】
さらなる改善として、表示器15cが図2の右に示され、前記表示器は、図1に示されたように、いわゆるセブンセグメント表示器である。この場合、前記表示器の一部分のみが図2に断面で示されており、この部分は、例えば図1で水平に走る三つの棒の一つを作るかまたは表わすことが可能である。
【0030】
光源17cは表示器15cのために設けられ、前記光源は、再度、遮蔽手段19c内に配置され、それはセブンセグメント表示器のハウジングであることができる。この種のセブンセグメント表示器は、例えば、DE20314391UまたはUS2010/0309668Aから知られており、これにより明白な参照がこれらの文献に対してなされる。
【0031】
従って、LED17cは、遮蔽手段19c内の空間内に配置され、拡散器22cを通して上向きに光を放射し、拡散器22cはまた、ここに設けられ、再度、上述の態様で機能する。
【0032】
この場合、LED17cは、本発明の上述の基本的な第二の改善により、純白色から出発して左に幾らかシフトされている色軌跡を持つような方法で形成され、そこではそれは、冒頭部分で既述されかつ以下の文章中により詳細に説明されるように、青みを帯びさせるかまたは青緑色を帯びさせることができる。従って、この単一LED17cは、ガラスセラミックから構成されているホブ板12を通してその光を放射し、純白色表示が、表示器15cとして、特に純白色セブンセグメント表示器として前記ホブ板の上に見ることができるという結果を持つ。従って、上述の従来技術によれば、単一LEDまたは光源の設置は、単一ハウジングを持つセブンセグメント表示器を生成することができ、このセブンセグメント表示器は、赤褐色ガラスセラミックの場合に純白色表示を可能にする。
【0033】
図3は、点線を使用して、今日まで知られているガラスセラミックの透過スペクトルを示す。ここでは透過率Tが700nmより大きい波長に対し鋭く上昇するかまたは高いことを見ることができる。これは、冒頭部分で既に説明したように、輻射加熱装置の形の加熱装置の使用のために特に有利である。この種の既知のガラスセラミックの場合に、700nmよりかなり低い波長の領域内では絶対的に少しも透過がなく、従って、この光は吸収される。
【0034】
しかし、実線を使用して示されたプロファイルによれば、700nmよりかなり低い領域で低いが、なお存在する透過率を持つガラスセラミックもまた、生成されることができる。数%または約1%またはさらに幾らか低い、例えば0.5%の透過率であっても、光源の対応する照明力を与えるガラスセラミックを通して照明された表示器を実現するために十分である。この種のガラスセラミックは、WO2012/076412A1に記載され、かつCERAN HIGHTRANS ecoの商標名の下でSchott AGから入手可能である。
【0035】
図4は、種々のスペクトルのプロファイルを示す。Schott AGからの上述のガラスセラミックの透過スペクトルは、一点鎖線を使用して示されている。透過率は700nmより低い波長の領域で低く、または550nm以下で非常に低いけれども、それはなお存在する(図3との比較)。
【0036】
本発明の第二の基本的な改善に従った本発明による光源のスペクトル(このスペクトルは1に標準化されている)は、点線を用いて示されている。このプロファイルは、約420nmから出発する鋭い上昇を示し、450nm付近に最も急な領域を持ち、460nmに最大値を持つ。この後、約490nmで約0.35の強度に同様の鋭い落下がある。そこから、強度は再度0.4の値までわずかに上昇し、次いで570nmの波長で約0.1の値まで再度かなり落下する。この点から出発して、曲線は次いで比較的大きな波長の領域の方向にゼロに向けて急に漸進的に落ちる。この種の光源の標準化されたスペクトルはまた、光がガラスセラミックを通過した後に冒頭部分で引用された光源の場合に与えられ、すなわち人間の目に白色光として見える、約(x;y)=(0.32;0.32)または(0.33;0.33)の色軌跡を持つときに与えられる。異なる透過スペクトルを持つ、特にさらにより大きな透過率を持つガラスセラミックに対しては、スペクトルは再度幾らか異なる見え方を持つことができる。さらに、色軌跡は幾らか異なることができ、これは、例えば約(x;y)=(0.25;0.25)で図5に関してより詳細に説明される。
【0037】
図5は、x−座標及びy−座標を用いて、いわゆるCIE標準色度図を再度示す。理論的な色の領域は、二つの座標のそれぞれに対し0と1.0の間の三角形領域内に位置する。線SFLはスペクトル色線であり、それに沿って純狭帯域色の波長がプロットされている。330nmの出発点及び右の790nmの終点はいわゆる紫線PLにより連結されている。さらに、黒体曲線としてBBL線がまた、プロットされ、前記黒体曲線は種々の標準化された輻射体のための色温度を示し、スペクトル色線SFLの遠い右の1000Kで始まり、例えば7500Kのプロットされた値を通してかつ無限に高い温度を持つ点まで続き、そこでそれは左の方で終わる。このBBL線上の全ての点は人間の目には白く見え、従って、非常に一般的に、光源からの光は、カバーまたはガラスセラミックを通して放射された後にこのBBL線上にまたはそれに接近して位置すべきである。さらに、RGB色空間は大きな三角形として三角形の形でプロットされ、上述のRGW色空間は上方の比較的小さな三角形としてプロットされている。
【0038】
図2に示されている純白色光源は、17b′としてプロットされたような色軌跡を持つ。この色軌跡はBBL線上のほぼ(x;y)=(0.3;0.3)に位置する。図2によるLED17cは、ほぼ位置(x;y)=(0.13;0.31)の色軌跡上に位置する。この波長を持つかまたはこのスペクトルまたは色軌跡を持つ前記LEDからの光はそれ自身人間の目には青緑/青/緑色の光として見えるが、光が図4による透過スペクトルを持つ赤褐色ガラスセラミックを通して放射された後、使用者は色軌跡17b′による白色光を見る。
【0039】
図2からの光源17b′は、色軌跡17b′を持つ純白色光源の形である。第二光源17b″はスペクトル色線SFL上の約490nmの波長の色軌跡17b″上に位置し、同様にプロットされている。既に上述されたように、光は、非常に狭い帯域の光を放射するか、または約490nmの波長を持ちかつこの上またはこの下に実質的に輻射を持たないスペクトル的に純粋な光を放射する光源である。
【0040】
さらに、色軌跡18はまた、色軌跡17b′による純白色光源のみが赤褐色ガラスセラミックを通して光を放射するときに人間の目が知覚する色外観を示す。この場合に作られた色合いは淡赤色またはピンクである。
【0041】
人間の目により見られる表示器の他の色または色軌跡はまた、ここに与えられた考慮事項に従って、ガラスセラミックの透過挙動に依存して、達成されることができることは言うまでもない。さらに、本発明はまた、ガラスセラミックから構成されたホブ板を持つ電気ホブとは別に他の電気器具でも使用されることができることは言うまでもない。具体例は他の電気器具を含み、前記電気器具のカバーは、このカバーの下に照明された表示器が配置されており、さらに照明された表示器がカバーの上で見ることができることを意図されており、前記電気器具のカバーは本発明に従って作られるかまたは構成されている。台所器具としての焼成オーブンまたは他の調理装置に加えて、具体例はエンターテイメント電子器具を含み、また、ガラスセラミックカバーの安定な機械的性質のために、自動発券器等のような公共的にアクセル可能な領域の電気器具を含む。
【0042】
探求される個々の光源のための色軌跡は次のように計算されることができる:色またはRGB色に対する目の知覚が異なることを考慮することが必要である。これらは実験的に決定され、図5の図に示される。この目的のために、いわゆるCIE標準観察者が設けられる。強度は、図4による実線を用いて、例えば各波長λに対して示されている強度の標準化されたスペクトルから記録されることができ、図6による人間の目により、正確にこの波長λで知覚されるときの個々のRGBスペクトルの各個々のものの強度により乗算されることができる。図6の三つの三刺激値曲線は、実線を用いて青に対する人間の知覚を示し、一点鎖線を用いて緑に対する知覚を示し、点線を用いて赤に対する知覚を示す。
【0043】
乗算からのこれらの値は次いで全ての波長λに対し合計され、これはそのときRGBスペクトルの三つの個々の色に対する値を与える。もし、この場合、各場合の1nm工程に対しなされるこの簡略化された手順が続くなら、和が得られる。理論的には、それは全ての波長に渡る三つの色の積分であるが、これは計算するのが極めて困難である。
【0044】
加算の結果は、次に必要な色を決定するために既知の三次元RGB色空間で使用されることができ、必要な色は、光がガラスセラミックを通して放射された後に図6による知覚により人間の目に白く見える光源またはLEDにより処理されなければならない。
【0045】
図5によるCIE標準色度図のための標準化は、x−座標及びy−座標に対する値が前の計算による三つの色に対する値を合計することにより得られ、x−座標に対して、すなわち赤色に対して合計工程の結果の逆数が赤に対する値により乗算され、y−座標に対して、すなわち緑色に対して合計工程の結果の逆数が緑に対する値により乗算されるような方法で行なうことができる。青色に対する値は、次いで赤色に対する値及び緑色に対する値を1から引くことにより得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーを持つ電気器具のための表示装置であって、カバーが着色され、特に赤褐色に着色され、かつ700nmより大きい波長の領域では高い透過率を持ちかつ700nmより小さい波長の領域では低い透過プロファイルを持つ光に対する不均一な透過プロファイルを持ち、さらに表示装置が、表示のために、電気器具のカバーを通して光を放射するための規定された出力スペクトルを持つ少なくとも一つの光源を持ち、さらに少なくとも一つの光源が白色光を放射し、追加的に、さらなる第二光源が設けられ、第二光源が、二つの光源が電気器具のカバーを通して光を放射するときに表示器が白色光を放射する表示として見ることができるような色または色軌跡を持ち、さらに第二光源の色軌跡が第一白色光源の色軌跡の左に位置することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
少なくとも一つの光源が、(0.3;0.3)の色軌跡(x;y)を持つ白色光を放射することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第二光源の色軌跡が第一白色光源のy−座標と実質的に同じy−座標を持ち、第二光源の色軌跡のx−座標が0.0と0.1の間に位置されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
第二光源が、それがスペクトル的に非常に狭い帯域の光を放射するかまたは光を純粋に放射するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
第二光源が470nmから510nmの波長を持つことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
単一光源のみが各表示器のために使用され、単一光源のすぐ隣りに第二光源を持たず、さらに色軌跡が白から左にシフトされていることを特徴とする請求項1の前提文に記載の表示装置。
【請求項7】
単一光源が、赤褐色カバーを通して表示器が白色光を実質的に放射する表示として見ることができるかまたは輝くように青味を帯びていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
単一光源の色軌跡が0.28と0.35の間の白色光と実質的に同じy−座標を持ち、さらに色軌跡のx−座標が0.1と0.2の間に位置されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
単一光源が、1に標準化されたスペクトルを持ちかつ450nmから470nmの波長に1.0の最大標準化強度を持ち、この前にゼロで始まる急な増加を持ち、かつこの後に480nmと500nmの間の波長に0.3と0.4の間の標準化強度を持つ比較的一時的に低い強度への急な落下を持つことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
この後に、500nmと520nmの間の波長に0.35と0.45の間の標準化強度を持つ比較的一時的に高い強度が続くことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
急な落下から標準化強度が再び約570nmの波長から出発して0.1以下に落下することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
複数の表示器が表示装置に設けられ、さらに全ての表示器に対し、各場合において単一の色軌跡修正白色光源が、記号、光点または表示器としてのセブンセグメント表示器のセグメントとして設けられることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項13】
RGW色空間からの色軌跡を持つ光源が設けられ、さらにこれらの光源の強度が、さらなる色を表示するために最小値と最大値の間で調整可能であることを特徴とする請求項1または6に記載の表示装置。
【請求項14】
カバーを通して光が放射された後に白く見える請求項6に記載の光源が、スペクトル的に純粋な態様でまたは狭い帯域で光を放射するさらなる光源と組み合わされることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
さらなる光源が、白、緑、黄及び赤の色、及びそれらの混合色を持つ表示のために、スペクトル的に純粋な態様でまたは狭帯域の540nmと550nmの間の波長を持つ緑色光及び600nmと610nmの間の波長を持つ赤色光を放射することを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
電気器具のカバーが、赤褐色を持ちかつ半透明であることを特徴とする請求項1または6に記載の表示装置を持つ電気器具。
【請求項17】
電気器具が電気ホブであり、カバーがガラスセラミックから構成されたホブ板であることを特徴とする請求項16に記載の電気器具。
【請求項18】
請求項1または6に記載の表示装置を駆動するための方法において、広帯域光源が、強い青味を帯びた色を持つ白色光を、電気器具のカバーを通して放射し、さらに通常使用される光源のフラックス電圧が、強い青味を帯びた色を持つ白色光源に整合されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−73241(P2013−73241A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−215326(P2012−215326)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(597022218)エーゲーオー エレクトロ・ゲレーテバウ ゲーエムベーハー (64)
【Fターム(参考)】