説明

表示装置および電子機器

【課題】パネルの視認性を向上させることの可能な表示装置およびそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】映像表示面側の透明基板上に、粘着層、1/4λ板、粘着層、1/2λ板、粘着層および偏光板が液晶層側からこの順に設けられている。上記の粘着層のうち少なくとも1つの粘着層が、映像光の色味を環境光の照度に応じて変化させる変調層となっている。変調層は、紫外光の単位時間当たりの吸収量に応じて色が変化するフォトクロミック材料を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、透過型、反射型、または反射部と透過部とを兼ね備えた半透過型の表示装置に関する。また、本技術は、上記の表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や電子ペーパーなどのモバイル機器向けの表示装置の需要が高くなっている。モバイル機器向けの表示装置では、軽量化や小型化の観点から、バックライトが不要の反射型の表示装置が注目されている(例えば特許文献1参照。)。しかし、反射型の表示装置では、夜間や屋内などの暗所では使用できないことから、半透過型の表示装置や、透過型の表示装置がモバイル機器に実装されている例が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2771392号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、映像表示に際して、黄色い白は一般に好まれない。そのため、通常は、白色が青味を持つように、映像光の色味を調整することが行われている。しかし、反射型や半透過型の表示装置においては、色味と明るさがトレードオフの関係となっており、環境光が暗い場合には、パネルの視認性が低下するという問題があった。
【0005】
図8は、色温度と反射率との関係の一例を表したものである。図9は、色温度と、反射率YおよびY比との関係を表したものである。図8、図9には、色温度6066Kがモノクロパネルの色味で、それに対してカラーフィルタやフィルム等の調整により、色温度を向上させたときの、反射率の変化が示されている。この結果から、例えば、色温度6066Kと、色温度6531Kとを比較すると、色温度6531Kの反射率は、色温度6066Kの反射率のおよそ2割減の値となっている。
【0006】
また、透過型の表示装置においては、環境光が晴天下のように非常に明るい場合に、バックライト光の照度が十分でないときには、パネルの視認性が低下するという問題があった。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、パネルの視認性を向上させることの可能な表示装置およびそれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術による第1の表示装置は、映像信号に応じて駆動される液晶層と、液晶層を介して入射する環境光を液晶層側に反射する反射層と、液晶層との関係で環境光の入射する側に配置された位相差層および偏光板とを備えている。第1の表示装置は、さらに、反射層で反射され、液晶層、位相差層および偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を環境光の照度に応じて変化させる変調層を備えている。本技術による第1の電子機器は、上記の第1の表示装置を備えている。
【0009】
本技術による第2の表示装置は、映像信号に応じて駆動される液晶層と、液晶層を介して互いに対向配置された第1偏光板および第2偏光板と、第1偏光板側から光を照射する照明装置とを備えている。第1の表示装置は、さらに、第1偏光板、液晶層、第2偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を、第2偏光板側から入射する環境光の照度に応じて変化させる変調層を備えている。本技術による第2の電子機器は、上記の第2の表示装置を備えている。
【0010】
本技術による第1および第2の表示装置ならびに第1および第2の電子機器では、映像光の色味が環境光の照度に応じて変化する。例えば、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光が青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光が黄色味を持った色となる。
【0011】
このような映像光の色味の変化は、例えば、以下のようにして行うことが可能である。例えば、表示装置内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層自身が、環境光の照度が相対的に大きくなると青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると淡色化または無色化(無色透明化)するように構成されていればよい。
【0012】
変調層自身の色味の変化は、例えば、変調層にクロミック材料を含ませることにより実現可能である。例えば、変調層がフォトクロミック材料を含み、偏光板が紫外線を透過する偏光板となっている場合には、フォトクロミック材料が環境光に含まれる紫外線に反応して、変調層の色味を変化させることが可能である。また、例えば、変調層がエレクトロクロミック材料を含み、変調層に対して電流を印加することの可能な電極と、環境光の照度に応じた電流を電極に印加する駆動回路とが設けられている場合には、エレクトロクロミック材料に電流が印加されることにより、変調層の色味を変化させることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本技術による第1および第2の表示装置ならびに第1および第2の電子機器によれば、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光が青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光が黄色味を持った色となるように、映像光の色味を変化させることができるようにしたので、環境光の照度が相対的に低下したときに、常に映像光に青味を持たせるようにした場合と比べて映像光を明るくすることができる。これにより、パネルの視認性を向上させることが可能である。なお、環境光の照度が相対的に低下したときには、ユーザは色味よりも、むしろ、映像を視認できるか否かの方に関心があり、本技術のように映像光に黄色味を持たせたとしても違和感を感じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本技術による第1の実施の形態に係る表示装置の構成の一例を表す断面図である。
【図2】図1の表示装置における環境光の照度と、変調層の色味との関係の一例を表す図である。
【図3】本技術による第2の実施の形態に係る表示装置の構成の一例を表す断面図である。
【図4】本技術による第3の実施の形態に係る表示装置の構成の一例を表す断面図である。
【図5】図4の表示装置における環境光の照度と、変調層の色味との関係の一例を表す図である。
【図6】本技術による第4の実施の形態に係る表示装置の構成の一例を表す断面図である。
【図7】一適用例に係る電子機器の構成の一例を表す斜視図である。
【図8】色温度と反射率との関係の一例を表す図である。
【図9】色温度とYおよびY比との関係の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(表示装置)
反射型の表示装置にフォトクロミック材料を含む変調層が設けられている例
2.第2の実施の形態(表示装置)
反射型の表示装置にエレクトロクロミック材料を含む変調層が
設けられている例
3.第3の実施の形態(表示装置)
透過型の表示装置にフォトクロミック材料を含む変調層が設けられている例
4.第4の実施の形態(表示装置)
透過型の表示装置にエレクトロクロミック材料を含む変調層が
設けられている例
5.適用例(電子機器)
上記実施の形態に係る表示装置が電子機器に適用されている例
【0016】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本技術による第1の実施の形態に係る表示装置1の断面構成の一例を表すものである。図1は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置1が本技術の「表示装置」の一具体例に相当する。表示装置1は、反射型または半透過型の表示装置であり、例えば、図1に示したように、下側基板10と、上側基板20と、下側基板10および上側基板20の間に挟まれた液晶層30と、下側基板10を駆動する駆動回路(図示せず)とを備えている。なお、液晶層30が本技術の「液晶層」の一具体例に相当する。
【0017】
この表示装置1において、上側基板20(例えば後述の偏光板32)の上面が映像表示面となっており、下側基板10の背後には、バックライトなどの光源は配置されていない。つまり、表示装置1は、映像表示面側から入射した光を反射することにより映像を表示する反射型の表示装置である。
【0018】
(液晶層30)
液晶層30は、例えば、ネマティック(Nematic)液晶を含んで構成されている。液晶層30は、映像信号に応じて駆動されるものであり、映像信号に応じた電圧が印加されることにより、液晶層に入射する光を画素ごとに透過または遮断する変調機能を有している。なお、液晶の光透過レベルを変えることにより画素ごとの階調が調整される。
【0019】
(下側基板10)
下側基板10は、例えば、図1に示したように、TFT(Thin Film Transistor)などが形成された駆動基板11と、TFTなどを覆う絶縁層12と、TFTなどと電気的に接続された反射電極層13と、反射電極層13の上面に形成された配向膜14とを有している。なお、反射電極層13が本技術の「反射層」の一具体例に相当する。
【0020】
駆動基板11は、例えば、ガラス基板などからなる透明基板上に、TFTや容量素子などを含んで構成された画素回路を有している。透明基板は、ガラス基板以外の材料で構成されていてもよく、例えば、透光性の樹脂基板や、石英、シリコン基板などで構成されていてもよい。
【0021】
反射電極層13は、上側基板20側の透明電極層22(後述)と共に液晶層30を駆動するものであり、例えば、面内に2次元配置された複数の画素電極からなる。画素電極および透明電極層22は、駆動回路によって電圧が印加されると、画素電極および透明電極層22間の電位差に応じた電界を、画素電極と透明電極層22の間に発生させ、その電界の大きさ応じて液晶層30を駆動するようになっている。表示装置1のうち、画素電極と透明電極層22とが互いに対向する部分に対応する部分が、画素電極および透明電極層22間に印加される電圧によって液晶層30を部分的に駆動することの可能な最小単位となっている。この最小単位が画素に相当する。また、反射電極層13は、液晶層30を介して入射する環境光を液晶層30側に反射する反射層としての役割を有している。反射電極層13は、可視光を反射する導電性材料からなり、例えば、Agなどの金属材料からなる。反射電極層13の表面は、例えば、鏡面となっている。
【0022】
配向膜14は、液晶層30内の液晶分子を所定の方向に配向させるものであり、液層層30と直接に接している。配向膜14は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料からなり、例えば、塗布したポリイミド等に対してラビング処理を施すことにより形成されたものである。
【0023】
(上側基板20)
上側基板20は、例えば、図1に示したように、配向膜21と、透明電極層22と、オーバーコート(OC)層23と、カラーフィルタ(CF)層24と、透明基板25とを液晶層30側からこの順に有している。
【0024】
配向膜21は、液晶層30内の液晶分子を所定の方向に配向させるものであり、液層層30と直接に接している。配向膜21は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料からなり、例えば、塗布したポリイミド等に対してラビング処理を施すことにより形成されたものである。
【0025】
透明電極層22は、各画素電極と対向して配置されており、例えば、面内全体に形成されたシート状の電極である。透明電極層22は、各画素電極と対向して配置されていることから、各画素における共通電極としての役割を有している。透明電極層22は、環境光に対して透明な導電性材料で構成されており、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ))で構成されている。
【0026】
OC層23は、製造過程において透明電極層22を形成する際の下地層として用いられる層である。CF層24は、画素電極と対向する領域にカラーフィルタ24Aを有し、画素電極と非対向の領域に遮光膜24Bを有している。カラーフィルタ24Aは、液晶層30を過してきた光を、例えば、赤、緑および青の三原色にそれぞれ色分離するためのカラーフィルタを、画素に対応させて配列したものである。遮光膜24Bは、例えば、可視光を吸収する機能を有している。遮光膜は、画素と画素の間に形成されている。透明基板25は、環境光に対して透明な基板、例えば、ガラス基板などからなる。
【0027】
上側基板20は、透明基板25の上面に、例えば、図1に示したように、粘着層26と、1/4λ板27と、粘着層28と、1/2λ板29と、粘着層31と、偏光板32とを液晶層30側からこの順に有している。なお、1/4λ板27および1/2λ板29が本技術の「位相差層」の一具体例に相当する。また、偏光板32が本技術の「偏光板」の一具体例に相当する。
【0028】
粘着層26は、例えば、透明基板25と1/4λ板27とを互いに貼り合わせるためのものであり、粘着材料を含んで構成されている。粘着層28は、例えば、1/4λ板27と1/2λ板29とを互いに貼り合わせるためのものであり、粘着材料を含んで構成されている。粘着層31は、例えば、1/2λ板29と偏光板32とを互いに貼り合わせるためのものであり、粘着材料を含んで構成されている。なお、上述の粘着層26,28,31の代わりに、接着材料を含んで構成された接着層が設けられていてもよい。粘着層26、粘着層28および粘着層31のうち少なくとも1つの層が、本技術の「変調層」の一具体例に相当する。また、上述の粘着層26,28,31の代わりに、接着材料を含んで構成された接着層が設けられている場合には、粘着層26の代わりに設けられた接着層、粘着層28の代わりに設けられた接着層、および粘着層31の代わりに設けられた接着層のうち少なくとも1つの層が、本技術の「変調層」の一具体例に相当する。つまり、変調層は、面内全体が単一の層からなる粘着層、または面内全体が単一の層からなる接着層である。なお、本技術の「変調層」の一具体例に相当する層(以下、単に「変調層」と称する。)についての説明は、後に詳述する。
【0029】
1/4λ板27は、例えば、一軸延伸樹脂フィルムである。そのリタデーションは、例えば、0.14μmであり、可視光のうち最も視感度が高い緑色光波長の約1/4に相当する。従って、1/4λ板27は、偏光板32側から入射してきた直線偏光光を円偏光に変換する機能を有している。1/2λ板29は、例えば、ポリカーボネート樹脂の一軸延伸フィルムである。そのリタデーションは、例えば、0.27μmであり、可視光のうち最も視感度が高い緑色光波長の約1/2に相当する。ここで、1/4λ板27および1/2λ板29は、これら1/4λ板27および1/2λ板29全体として、偏光板32側から入射してきた直線偏光光を円偏光に変換する機能を有しており、広範囲の波長に対して(広帯域の)円偏光板として機能する。
【0030】
偏光板32は、所定の直線偏光成分を吸収し、それ以外の偏光成分を透過する機能を有している。従って、偏光板32は、外部から入射してきた外光を直線偏光に変換する機能を有している。偏光板32は、紫外線を透過する偏光板であり、例えば、UVカット機能を持たせていない偏光板であることが好ましい。
【0031】
なお、必要に応じて、上側基板20において透明基板25の上方に1または複数の前方散乱板が設けられていてもよい。また、上側基板20において透明基板25の上方に前方散乱板が設けられていない場合には、例えば、反射電極層13の表面が、光を散乱させる凹凸形状となっていてもよい。
【0032】
(変調層)
次に、本実施の形態の要部である変調層について説明する。変調層は、反射電極層13で反射され、液晶層30、1/4λ板27、1/2λ板29および偏光板32を介して外部に出射される映像光の色味を環境光の照度に応じて変化させるものである。変調層は、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光が青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光が黄色味を持った色となるように、映像光の色味を変化させるものである。
【0033】
このような映像光の色味の変化は、例えば、以下のようにして行うことが可能である。例えば、表示装置1内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層自身が、環境光の照度が相対的に大きくなると青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると淡色化または無色化(無色透明化)するように構成されている(図2参照)。
【0034】
変調層は、例えば、クロミック材料の1種であるフォトクロミック材料を含んでいる。フォトクロミック材料は、例えば、紫外光の単位時間当たりの吸収量に応じて色が変化する材料であり、紫外光の単位時間当たりの吸収量が変化すればその変化に追随して色が変化する材料である。例えば、表示装置1内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、フォトクロミック材料は、紫外光の単位時間当たりの吸収量が相対的に大きくなると青味を持った色となり、紫外光の単位時間当たりの吸収量が相対的に小さくなると淡色化または無色化(無色透明化)する材料である。
【0035】
[作用、効果]
次に、本実施の形態の表示装置1の作用、効果について説明する。
【0036】
本実施の形態では、例えば、特定の方向から入射してきた環境光は、偏光板32によって直線偏光に変換され、さらに1/2λ板29および1/4λ板27によって円偏光に変換されたのち、液晶層30に入射する。液晶層30に入射した光は、液晶層30で映像信号に応じて変調されるとともに、反射電極層13で反射される。反射電極層13で反射された光は、1/4λ板27および1/2λ板29によって直線偏光に変換され、偏光板32を透過して映像光として外部に射出される。
【0037】
ところで、映像表示に際して、黄色い白は一般に好まれない。そのため、通常は、白色が青味がかるように、映像光の色味を調整することが行われている。しかし、反射型や半透過型の表示装置においては、色味と明るさがトレードオフの関係となっており、環境光が暗い場合には、パネルの視認性が低下するという問題があった。例えば、図8、図9に示したように、例えば、色温度6066Kと、色温度6531Kとを比較すると、色温度6531Kの反射率が、色温度6066Kの反射率のおよそ2割減の値となっている。
【0038】
一方、本実施の形態では、映像光の色味が環境光の照度に応じて変化する。具体的には、環境光が変調層に入射し、環境光に含まれる紫外光が変調層内のフォトクロミック材料に吸収されると、変調層が、環境光の照度に応じた色味に変化する。これにより、変調層を透過した光(映像光)は、環境光の照度が相対的に大きくなると青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると黄色味を持った色となる。そのため、環境光の照度が相対的に低下したときに、常に映像光に青味を持たせるようにした場合と比べて映像光を明るくすることができる。その結果、パネルの視認性を向上させることができる。なお、環境光の照度が相対的に低下したときには、ユーザは色味よりも、むしろ、映像を視認できるか否かの方に関心があり、本実施の形態ように映像光に黄色味を持たせたとしても違和感を感じることはない。従って、本実施の形態では、ユーザに違和感を感じさせることなく、パネルの視認性を向上させることができる。
【0039】
[変形例]
なお、上記とは異なる層が変調層となっていてもよい。例えば、OC層23、または偏光板32が変調層となっていてもよい。また、面内全体が複数の層からなっている層が変調層となっていてもおい。例えば、CF層24(特にカラーフィルタ24A)が変調層となっていてもよい。
【0040】
<2.第2の実施の形態>
[構成]
図3は、本技術による第2の実施の形態に係る表示装置2の断面構成の一例を表すものである。図3は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置2が本技術の「表示装置」の一具体例に相当する。表示装置2は、反射型または半透過型の表示装置であり、例えば、図3に示したように、下側基板10と、上側基板20と、下側基板10および上側基板20の間に挟まれた液晶層30とを備えている。表示装置2は、さらに、環境光を検出するとともに環境光の照度を示す信号を出力する光検出器40と、反射電極層13を駆動するとともに、後述の透明電極層35を駆動する駆動回路(図示せず)とを備えている。
【0041】
この表示装置2は、OC層23の代わりに、電子輸送層33、変調層34および透明電極層35が設けられており、さらに光検出器40が設けられている点で、上記の表示装置1の構成と相違する。また、この表示装置2は、駆動回路が下側基板10だけでなく透明電極層35も駆動するようになっている点でも、上記の表示装置1の構成と相違する。そこで、以下では、上記の表示装置1の構成との相違点について主に説明し、上記の表示装置1の構成との共通点についての説明を適宜、省略するものとする。なお、上記の表示装置1の構成と共通する構成に対しては、同一の符号が付されている。
【0042】
電子輸送層33は、変調層34への電子輸送効率を高める機能を有している。透明電極層35は、変調層34に対して電圧を印加することの可能な電極である。透明電極層35は、透明電極層22と共に変調層34を駆動するものであり、例えば、面内全体に形成されたシート状の電極からなる。透明電極層35および透明電極層22は、駆動回路によって電圧が印加されると、透明電極層35および透明電極層22間の変調層34に電流を流し、その電流の大きさおよび向きに応じて変調層34の色味を変調するようになっている。
【0043】
光検出器40は、環境光を検出するものであり、例えば、フォトダイオードを含んで構成されている。光検出器40は、例えば、表示装置2の映像表示面の近傍(例えばフレーム領域)に配置されており、環境光を検出すると、環境光の照度に対応した信号を出力するようになっている。駆動回路は、光検出器40から出力された信号に基づいて、環境光の照度に応じた電圧を透明電極層35(または透明電極層22,35)に印加するようになっている。駆動回路は、例えば、光検出器40から出力された信号の変化に基づいて、環境光の照度の変化と相関(例えば比例)関係にある電圧を透明電極層35(または透明電極層22,35)に印加するようになっている。
【0044】
駆動回路は、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の上昇を示している場合に、透明電極層22がゼロボルトなどの定電圧となっているときには、例えば、正方向に変化する電圧を透明電極層35に印加するようになっている。なお、「電圧が正方向に変化する」とは、例えば、電圧が当初0.3Vのときは電圧が0.3Vに0.1Vを加えた0.4Vに変化したり、電圧が当初−1Vのときは電圧が−1Vに2Vを加えた+1Vに変化したりすることを指している。また、駆動回路は、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の低下を示している場合に、透明電極層22がゼロボルトなどの定電圧となっているときには、例えば、負方向に変化する電圧を透明電極層35に印加するようになっている。なお、「電圧が負方向に変化する」とは、例えば、電圧が当初0.3Vのときは電圧が0.3Vから0.1Vを減じた0.2Vに変化したり、電圧が当初+1Vのときは電圧が+1Vから2Vを減じた−1Vに変化したりすることを指している。
【0045】
なお、駆動回路が、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の上昇を示している場合に、透明電極層22がゼロボルトなどの定電圧となっているときには、例えば、負方向に変化する電圧を透明電極層35に印加するようになっていてもよい。さらに、駆動回路が、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の低下を示している場合に、透明電極層22がゼロボルトなどの定電圧となっているときには、例えば、正方向に変化する電圧を透明電極層35に印加するようになっていてもよい。
【0046】
また、駆動回路が、光検出器40から出力された信号の変化に基づいて、環境光の照度の変化と相関(例えば比例)関係にある電圧を透明電極層22にも印加するようになっていてもよい。この場合には、駆動回路は、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の上昇を示している場合には、例えば、透明電極層35と透明電極層22との電位差(V35−V22)が正方向に変化するように透明電極層22,35に電圧を印加するようになっている。なお、V35は透明電極層35の電圧であり、V22は透明電極層22の電圧である。また、「透明電極層35と透明電極層22との電位差が正方向に変化する」とは、例えば、電位差が当初+0.3Vのときは電位差を+0.3Vに0.1Vを加えた+0.4Vにしたり、電位差が当初−1Vのときは電位差を−1Vに2Vを加えた+1Vにしたりすることを指している。さらに、駆動回路は、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の低下を示している場合には、例えば、透明電極層35と透明電極層22との電位差(V35−V22)が負方向に変化するように透明電極層22,35に電圧を印加するようになっている。なお、「透明電極層35と透明電極層22との電位差が負方向に変化する」とは、例えば、電位差が当初0.3Vのときは電位差を0.3Vから0.1Vを減じた0.2Vにしたり、電位差が当初+1Vのときは電位差を+1Vから2Vを減じた−1Vにしたりすることを指している。
【0047】
なお、駆動回路が、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の上昇を示している場合には、例えば、透明電極層35と透明電極層22との電位差が負方向に変化するように透明電極層22,35に電圧を印加するようになっていてもよい。また、駆動回路は、光検出器40から出力された信号の変化が環境光の照度の低下を示している場合には、例えば、透明電極層35と透明電極層22との電位差が正方向に変化するように透明電極層22,35に電圧を印加するようになっていてもよい。以上のようにして、駆動回路は、変調層34に流れる電流の大きさおよび向きを変化させることにより変調層34の色味を変調するようになっている。
【0048】
変調層34は、面内全体が単一の層で構成されたものである。変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層22側から透明電極層35に向かって流れており、かつその電流値が徐々に大きくなる場合には、例えば、映像光がより青味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。また、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層35側から透明電極層22に向かって流れており、かつその電流値が徐々に小さくなる場合にも、例えば、映像光がより青味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。さらに、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層22側から透明電極層35に向かって流れており、かつその電流値が徐々に小さくなる場合には、例えば、映像光がより黄色味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。また、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層35側から透明電極層22に向かって流れており、かつその電流値が徐々に大きくなる場合にも、例えば、映像光がより黄色味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。
【0049】
ここで、変調層34に印加される電流の大きさおよび向きは、環境光の照度と相関(例えば、比例または反比例)関係にある。従って、変調層34は、映像光の色味を環境光の照度に応じて変化させるものである。より具体的には、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光がより青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光がより黄色味を持った色となるように、映像光の色味を変化させるようになっている。
【0050】
このような映像光の色味の変化は、例えば、以下のようにして行うことが可能である。例えば、表示装置2内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層自身が、環境光の照度が相対的に大きくなるとより青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると淡色化または無色化(無色透明化)するように構成されている(図2参照)。
【0051】
変調層34は、例えば、クロミック材料の1種であるエレクトロクロミック材料を含んでいる。エレクトロクロミック材料は、例えば、印加される電流の大きさおよび向きに応じて色が変化する材料であり、印加される電流の大きさまたは向きが経時的に変化すればその変化に追随して色が変化する材料である。
【0052】
例えば、表示装置2内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、エレクトロクロミック材料は、透明電極層22側から透明電極層35側へ流れる電流の大きさが相対的に大きくなったり、透明電極層35側から透明電極層22側へ流れる電流の大きさが相対的に小さくなったりするとより青味を持った色となる材料である。さらに、この場合に、エレクトロクロミック材料は、透明電極層22側から透明電極層35側へ流れる電流の大きさが相対的に小さくなったり、透明電極層35側から透明電極層22側へ流れる電流の大きさが相対的に大きくなったりすると淡色化または無色化(無色透明化)する材料である。
【0053】
[作用、効果]
次に、本実施の形態の表示装置2の作用、効果について説明する。
【0054】
本実施の形態では、例えば、特定の方向から入射してきた環境光は、偏光板32によって直線偏光に変換され、さらに1/2λ板29および1/4λ板27によって円偏光に変換されたのち、液晶層30に入射する。液晶層30に入射した光は、液晶層30で映像信号に応じて変調されるとともに、反射電極層13で反射される。反射電極層13で反射された光は、1/4λ板27および1/2λ板29によって直線偏光に変換され、偏光板32を透過して映像光として外部に射出される。
【0055】
ところで、本実施の形態では、映像光の色味が環境光の照度に応じて変化する。具体的には、光検出器40で環境光が検出され、それによって光検出器40から、環境光の照度に対応した信号が駆動回路に出力されると、環境光の照度と相関(例えば比例または反比例)関係にある電圧が駆動回路から透明電極層35(または透明電極層22,35)に印加される。これにより、変調層34が、環境光の照度に応じた色味に変化する。
【0056】
例えば、表示装置2内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなるとより青味を持った色となり、環境光の照度が相対的に低下すると淡色化または無色化(無色透明化)する。
【0057】
これにより、常に映像光に青味を持たせるように、青味を持ったフィルムを用いた場合と比べて、環境光の照度が相対的に低下したときに、映像光を明るくすることができる。その結果、パネルの視認性を向上させることができる。なお、環境光の照度が相対的に低下したときには、ユーザは色味よりも、むしろ、映像を視認できるか否かの方に関心があり、本実施の形態ように映像光に黄色味を持たせたとしても違和感を感じることはない。従って、本実施の形態では、ユーザに違和感を感じさせることなく、パネルの視認性を向上させることができる。
【0058】
[変形例]
なお、上記とは異なる位置に変調層34が配置されていてもよい。ただし、その場合には、変調層34に電圧を印加することの可能な構成となっていることが必要である。
【0059】
<3.第3の実施の形態>
[構成]
図4は、本技術による第3の実施の形態に係る表示装置3の断面構成の一例を表すものである。図4は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置3が本技術の「表示装置」の一具体例に相当する。表示装置3は、透過型の表示装置であり、例えば、図4に示したように、下側基板10の背後に、照明装置50を備えている。照明装置50は、例えば、導光板と、導光板の側面に配置した光源と、導光板の背後に配置した反射板とを有している。なお、照明装置50は、上述したようなサイドエッジ型に限られるものではなく、直下型であってもよい。
【0060】
表示装置3は、上記第1の実施の形態と同様、下側基板10と、上側基板20と、下側基板10および上側基板20の間に挟まれた液晶層30と、後述の透明電極層16を駆動する駆動回路(図示せず)とを備えている。本実施の形態において、下側基板10は、第1の実施の形態の下側基板10の構成において、駆動基板11の代わりに透明基板15を設け、反射電極層13の代わりに透明電極層16を設け、さらに、透明基板15の裏面に偏光板17を設けたものである。また、本実施の形態において、上側基板20は、第1の実施の形態の上側基板20の構成において、1/4λ板27、粘着層28、1/2λ板29、粘着層31および偏光板31の代わりに、偏光板36を設けたものである。
【0061】
透明基板15は、ガラス基板などからなる。透明電極層16は、透明電極層22と共に液晶層30を駆動するものであり、例えば、面内に2次元配置された複数の画素電極からなる。画素電極および透明電極層22は、駆動回路によって電圧が印加されると、画素電極および透明電極層22間の電位差に応じた電界を、画素電極と透明電極層22の間に発生させ、その電界の大きさ応じて液晶層30を駆動するようになっている。表示装置3のうち、画素電極と透明電極層22とが互いに対向する部分に対応する部分が、画素電極および透明電極層22間に印加される電圧によって液晶層30を部分的に駆動することの可能な最小単位となっている。この最小単位が画素に相当する。透明基板15は、透明電極層22と同様、環境光に対して透明な導電性材料で構成されており、例えば、ITOで構成されている。
【0062】
偏光板17,36は、偏光板32と同様、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるものである。偏光板17および偏光板32はそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように配置されており、これにより照明装置50からの射出光が液晶層30を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。偏光板17および偏光板32は、紫外線を透過する偏光板であり、例えば、UVカット機能を持たせていない偏光板であることが好ましい。
【0063】
(変調層)
次に、本実施の形態の要部である変調層について説明する。本実施の形態において、変調層は、粘着層26、または粘着層26の代わりに設けられた接着層である。つまり、変調層は、上記第1の実施の形態と同様、面内全体が単一の層からなる粘着層、または面内全体が単一の層からなる接着層である。変調層は、照明装置50から出射され、偏光板17、液晶層30および偏光板36を介して外部に出射される映像光の色味を環境光の照度に応じて変化させるものである。変調層は、例えば、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光が黄色味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光が青味を持った色となるように、映像光の色味を変化させるものである。
【0064】
このような映像光の色味の変化は、例えば、以下のようにして行うことが可能である。例えば、表示装置3内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層自身が、環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、環境光の照度が相対的に小さくなると青味を持つように構成されている(図5参照)。
【0065】
なお、表示装置3内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干青味を持った色となっている場合にも、変調層自身が、環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、環境光の照度が相対的に小さくなると青味を持った色となるように構成されていることが好ましい。ただし、その場合には、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光の青味が少なくなり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光の青味が多くなる。つまり、この場合には、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなると青味の少ない色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると青味の多い色となるように、映像光の色味を変化させるようになっている。
【0066】
変調層は、例えば、クロミック材料の1種であるフォトクロミック材料を含んでいる。例えば、表示装置3内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、フォトクロミック材料は、紫外光の単位時間当たりの吸収量が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、紫外光の単位時間当たりの吸収量が相対的に小さくなると青味を持った色となる材料である。また、例えば、表示装置3内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干青味を持った色となっている場合にも、フォトクロミック材料は、紫外光の単位時間当たりの吸収量が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、紫外光の単位時間当たりの吸収量が相対的に小さくなると青味を持った色となる材料である。
【0067】
[作用、効果]
次に、本実施の形態の表示装置3の作用、効果について説明する。
【0068】
本実施の形態では、照明装置50から出射され、偏光板17に入射してきた照明光は、偏光板32によって直線偏光に変換されたのち、液晶層30に入射する。液晶層30に入射した光は、液晶層30で映像信号に応じて変調され、偏光板36を透過して映像光として外部に射出される。
【0069】
ところで、本実施の形態では、映像光の色味が環境光の照度に応じて変化する。具体的には、環境光が変調層に入射し、環境光に含まれる紫外光が変調層内のフォトクロミック材料に吸収されると、変調層が、環境光の照度に応じた色味に変化する。具体的には、変調層が、環境光の照度が相対的に大きいときに光透過率が相対的に大きくなるような色味に変化する。これにより、環境光の照度が極めて明るい場合に、環境光の照度が小さな場合よりも映像光の輝度を大きくすることができる。つまり、照明装置50から出射される光の強度を変化させなくても、環境光の照度が極めて明るい場合に、環境光の照度が小さな場合よりも映像光の輝度を大きくすることができる。その結果、パネルの視認性を向上させることができる。なお、環境光の照度が極めて明るいときには、ユーザは色味よりも、むしろ、映像を視認できるか否かの方に関心があり、本実施の形態ように映像光に黄色味を持たせたとしても違和感を感じることはない。従って、本実施の形態では、ユーザに違和感を感じさせることなく、パネルの視認性を向上させることができる。
【0070】
[変形例]
なお、上記とは異なる層が変調層となっていてもよい。例えば、OC層23、または偏光板36が変調層となっていてもよい。また、面内全体が複数の層からなっている層が変調層となっていてもおい。例えば、CF層24(特にカラーフィルタ24A)が変調層となっていてもよい。
【0071】
<4.第4の実施の形態>
[構成]
図6は、本技術による第4の実施の形態に係る表示装置4の断面構成の一例を表すものである。図6は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置4が本技術の「表示装置」の一具体例に相当する。表示装置4は、透過型の表示装置であり、例えば、図6に示したように、下側基板10の背後に、照明装置50を備えている。
【0072】
表示装置4は、下側基板10と、上側基板20と、液晶層30と、光検出器40と、透明電極層16,35を駆動する駆動回路(図示せず)とを備えている。本実施の形態において、下側基板10は、上記第3の実施の形態の下側基板10と同一の構成を有している。また、本実施の形態において、上側基板20は、上記第3の実施の形態の上側基板20の構成において、透明電極層22とOC層23との間に、電子輸送層33、変調層34および透明電極層35を液晶層30側からこの順に設けたものである。また、本実施の形態において、駆動回路は、上記第2の実施の形態の駆動回路と同様の方法で透明電極層35(または透明電極層22,35)駆動するようになっている。具体的には、駆動回路は、光検出器40から出力された信号に基づいて、環境光の照度に応じた電圧を透明電極層35(または透明電極層22,35)に印加するようになっている。駆動回路は、例えば、光検出器40から出力された信号の変化に基づいて、環境光の照度の変化と相関(例えば比例)関係にある電圧を透明電極層35(または透明電極層22,35)に印加するようになっている。
【0073】
(変調層)
次に、本実施の形態の要部である変調層について説明する。本実施の形態において、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層22側から透明電極層35に向かって流れており、かつその電流値が徐々に大きくなる場合には、例えば、映像光がより青味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。また、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層35側から透明電極層22に向かって流れており、かつその電流値が徐々に小さくなる場合にも、例えば、映像光がより青味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。さらに、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層22側から透明電極層35に向かって流れており、かつその電流値が徐々に小さくなる場合には、例えば、映像光がより黄色味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。また、変調層34は、当該変調層34に対して電流が透明電極層35側から透明電極層22に向かって流れており、かつその電流値が徐々に大きくなる場合にも、例えば、映像光がより黄色味を持った色となるように映像光の色味を変化させるものである。
【0074】
ここで、変調層34に印加される電流の大きさおよび向きは、環境光の照度と相関(例えば、比例または反比例)関係にある。従って、変調層34は、映像光の色味を環境光の照度に応じて変化させるものである。より具体的には、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光がより黄色味を持った色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光がより青味を持った色となるように、映像光の色味を変化させるようになっている。
【0075】
このような映像光の色味の変化は、例えば、以下のようにして行うことが可能である。例えば、表示装置4内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層34自身が、環境光の照度が相対的に大きくなるとより淡色化または無色化(無色透明化)し、環境光の照度が相対的に小さくなると青味を持つように構成されている(図5参照)。
【0076】
なお、表示装置4内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干青味を持った色となっている場合にも、変調層34自身が、環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、環境光の照度が相対的に小さくなると青味を持った色となるように構成されていることが好ましい。ただし、その場合には、環境光の照度が相対的に大きくなると映像光の青味が少なくなり、環境光の照度が相対的に小さくなると映像光の青味が多くなる。つまり、この場合には、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなると青味の少ない色となり、環境光の照度が相対的に小さくなると青味の多い色となるように、映像光の色味を変化させるようになっている。
【0077】
[作用、効果]
次に、本実施の形態の表示装置4の作用、効果について説明する。
【0078】
本実施の形態では、照明装置50から出射され、偏光板17に入射してきた照明光は、偏光板32によって直線偏光に変換されたのち、液晶層30に入射する。液晶層30に入射した光は、液晶層30で映像信号に応じて変調され、偏光板36を透過して映像光として外部に射出される。
【0079】
ところで、本実施の形態では、映像光の色味が環境光の照度に応じて変化する。具体的には、光検出器40で環境光が検出され、それによって光検出器40から、環境光の照度に対応した信号が駆動回路に出力されると、環境光の照度と相関(例えば比例または反比例)関係にある電圧が駆動回路から透明電極層35(または透明電極層22,35)に印加される。これにより、変調層34が、環境光の照度に応じた色味に変化する。
【0080】
例えば、表示装置4内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干黄色味を持った色となっている場合には、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、環境光の照度が相対的に小さくなるとより青味を持った色となる。また、例えば、表示装置4内のフィルムなどの樹脂材料が完全な無色透明ではなく、若干青味を持った色となっている場合にも、変調層34は、環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、環境光の照度が相対的に小さくなるとより青味を持った色となる。
【0081】
これにより、環境光の照度が極めて明るい場合に、環境光の照度が小さな場合よりも映像光の輝度を大きくすることができる。つまり、照明装置50から出射される光の強度を変化させなくても、環境光の照度が極めて明るい場合に、環境光の照度が小さな場合よりも映像光の輝度を大きくすることができる。その結果、パネルの視認性を向上させることができる。なお、環境光の照度が極めて明るいときには、ユーザは色味よりも、むしろ、映像を視認できるか否かの方に関心があり、本実施の形態ように映像光に黄色味を持たせたとしても違和感を感じることはない。従って、本実施の形態では、ユーザに違和感を感じさせることなく、パネルの視認性を向上させることができる。
【0082】
[変形例]
なお、上記とは異なる位置に変調層34が配置されていてもよい。ただし、その場合には、変調層34に電圧を印加することの可能な構成となっていることが必要である。
【0083】
<5.適用例>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1の一適用例について説明する。図7は、本適用例に係る電子機器100の概略構成の一例を表す斜視図である。電子機器100は、携帯電話機であり、例えば、図7に示したように、本体部111と、本体部111に対して開閉可能に設けられた表示体部112とを備えている。本体部111は、操作ボタン115と、送話部116を有している。表示体部112は、表示装置113と、受話部117とを有している。表示装置113は、電話通信に関する各種表示を、表示装置113の表示画面114に表示するようになっている。電子機器100は、表示装置113の動作を制御するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部は、電子機器100全体の制御を司る制御部の一部として、またはその制御部とは別に、本体部111または表示体部112の内部に設けられている。
【0084】
表示装置113は、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1〜4のうちの1つの表示装置と同一の構成を備えている。これにより、表示装置113において、視認性の高い映像を表示することができる。
【0085】
なお、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1を適用可能な電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【0086】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して入射する環境光を前記液晶層側に反射する反射層と、
前記液晶層との関係で前記環境光の入射する側に配置された位相差層および偏光板と、
前記反射層で反射され、前記液晶層、前記位相差層および前記偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を前記環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を備えた
表示装置。
(2)
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると前記映像光がより青味を持った色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると前記映像光がより黄色味を持った色となるように、前記映像光の色味を変化させるようになっている
(1)に記載の表示装置。
(3)
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなるとより青味を持った色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると淡色化または無色化(無色透明化)するようになっている
(2)に記載の表示装置。
(4)
前記変調層は、クロミック材料を含む
(2)または(3)に記載の表示装置。
(5)
前記変調層は、フォトクロミック材料を含み、
前記偏光板は、紫外線を透過する偏光板である
(4)に記載の表示装置。
(6)
前記変調層は、面内全体が単一の層からなる粘着層、または面内全体が単一の層からなる接着層である
(5)に記載の表示装置。
(7)
前記変調層に対して電圧を印加することの可能な電極と、
前記環境光の照度に応じた電圧を前記電極に印加する駆動回路と
をさらに備え、
前記変調層は、エレクトロクロミック材料を含む
(4)に記載の表示装置。
(8)
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して互いに対向配置された第1偏光板および第2偏光板と、
前記第1偏光板側から光を照射する照明装置と、
前記第1偏光板、前記液晶層、前記第2偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を、前記第2偏光板側から入射する環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を備えた
表示装置。
(9)
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると前記映像光がより黄色味を持った色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると前記映像光がより青味を持った色となるように、前記映像光の色味を変化させるようになっている
(8)に記載の表示装置。
(10)
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、前記環境光の照度が相対的に小さくなるとより青色味を持った色となるようになっている
(9)に記載の表示装置。
(11)
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると青味の少ない色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると青味の多い色となるように、前記映像光の色味を変化させるようになっている
(9)に記載の表示装置。
(12)
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化(無色透明化)し、前記環境光の照度が相対的に小さくなるとより青色味を持った色となるようになっている
(11)に記載の表示装置。
(13)
前記変調層は、クロミック材料を含む
(9)ないし(12)のいずれか1つに記載の表示装置。
(14)
前記変調層は、フォトクロミック材料を含み、
前記偏光板は、紫外線を透過する偏光板である
(13)に記載の表示装置。
(15)
前記変調層は、面内全体が単一の層からなる粘着層、または面内全体が単一の層からなる接着層である
(14)に記載の表示装置。
(16)
前記変調層に対して電圧を印加することの可能な電極と、
前記環境光の照度に応じた電圧を前記電極に印加する駆動回路と
をさらに備え、
前記変調層は、エレクトロクロミック材料を含む
(13)に記載の表示装置。
(17)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して入射する環境光を前記液晶層側に反射する反射層と、
前記液晶層との関係で前記環境光の入射する側に配置された位相差層および偏光板と、
前記反射層で反射され、前記液晶層、前記位相差層および前記偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を前記環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を有する
電子機器。
(18)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して互いに対向配置された第1偏光板および第2偏光板と、
前記第1偏光板側から光を照射する照明装置と、
前記第1偏光板、前記液晶層、前記第2偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を、前記第2偏光板側から入射する環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を有する
電子機器。
【符号の説明】
【0087】
1,2,3,4…表示装置、10…下側基板、11…駆動基板、12…絶縁層、13…反射電極層、14,21…配向膜、16,22,35…透明電極層、17,32,36…偏光板、20…上側基板、23…OC層、24…CF層、24A…カラーフィルタ、24B…遮光膜、25…透明基板、26,28,31…粘着層、27…1/4λ板、29…1/2λ板、30…液晶層、33…電子輸送層、34…変調層、40…検出器、50…照明装置、100…電子機器、111…本体部、112…表示体部、113…表示装置、114…表示画面、115…操作ボタン、116…送話部、117…受話部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して入射する環境光を前記液晶層側に反射する反射層と、
前記液晶層との関係で前記環境光の入射する側に配置された位相差層および偏光板と、
前記反射層で反射され、前記液晶層、前記位相差層および前記偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を前記環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を備えた
表示装置。
【請求項2】
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると前記映像光がより青味を持った色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると前記映像光がより黄色味を持った色となるように、前記映像光の色味を変化させるようになっている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなるとより青味を持った色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると淡色化または無色化するようになっている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記変調層は、クロミック材料を含む
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記変調層は、フォトクロミック材料を含み、
前記偏光板は、紫外線を透過する偏光板である
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記変調層は、面内全体が単一の層からなる粘着層、または面内全体が単一の層からなる接着層である
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記変調層に対して電圧を印加することの可能な電極と、
前記環境光の照度に応じた電圧を前記電極に印加する駆動回路と
をさらに備え、
前記変調層は、エレクトロクロミック材料を含む
請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して互いに対向配置された第1偏光板および第2偏光板と、
前記第1偏光板側から光を照射する照明装置と、
前記第1偏光板、前記液晶層、前記第2偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を、前記第2偏光板側から入射する環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を備えた
表示装置。
【請求項9】
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると前記映像光がより黄色味を持った色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると前記映像光がより青味を持った色となるように、前記映像光の色味を変化させるようになっている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化し、前記環境光の照度が相対的に小さくなるとより青色味を持った色となるようになっている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると青味の少ない色となり、前記環境光の照度が相対的に小さくなると青味の多い色となるように、前記映像光の色味を変化させるようになっている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記変調層は、前記環境光の照度が相対的に大きくなると淡色化または無色化し、前記環境光の照度が相対的に小さくなるとより青色味を持った色となるようになっている
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記変調層は、クロミック材料を含む
請求項9に記載の表示装置。
【請求項14】
前記変調層は、フォトクロミック材料を含み、
前記偏光板は、紫外線を透過する偏光板である
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記変調層は、面内全体が単一の層からなる粘着層、または面内全体が単一の層からなる接着層である
請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記変調層に対して電圧を印加することの可能な電極と、
前記環境光の照度に応じた電圧を前記電極に印加する駆動回路と
をさらに備え、
前記変調層は、エレクトロクロミック材料を含む
請求項13に記載の表示装置。
【請求項17】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して入射する環境光を前記液晶層側に反射する反射層と、
前記液晶層との関係で前記環境光の入射する側に配置された位相差層および偏光板と、
前記反射層で反射され、前記液晶層、前記位相差層および前記偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を前記環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を有する
電子機器。
【請求項18】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
映像信号に応じて駆動される液晶層と、
前記液晶層を介して互いに対向配置された第1偏光板および第2偏光板と、
前記第1偏光板側から光を照射する照明装置と、
前記第1偏光板、前記液晶層、前記第2偏光板を介して外部に出射される映像光の色味を、前記第2偏光板側から入射する環境光の照度に応じて変化させる変調層と
を有する
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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