説明

表示装置を取り付けるためのユニット型壁システム

【課題】短時間で容易に作業が行えるとともに、固定位置に柔軟性を持たせて、確実に壁に固定する。
【解決手段】表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムは、格子状の複数のフレーム30を組み合わせたフレーム部材と、フレーム部材に取り付けられるとともに、壁に固定される複数の取付具60と、を備え、フレーム30の各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための取付孔301が複数形成され、コ字状に屈曲した形状の取付具60の一対の対向面それぞれには、対向位置にフレーム30に取り付けられるための取付孔614が形成され、両対向面を連設する連設面には、連設方向に伸長した長孔形状の取付孔611〜613が形成され、取付具60は、取付孔301及び614を介して所定のフレーム30にネジ止めされるとともに、取付孔611〜613を介して壁にネジ止めされて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、薄型TVなどの表示装置を取り付けるユニット型の壁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、大型の薄型TVを室内に設置するに際して、大型の薄型TVを収納したシステム家具を壁一面に取り付けて固定したりする場合がある。このようなシステム家具を壁に取り付ける工事は、設置現場での作業となるため、作業の確実性や迅速性が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のシステム家具は、箱型の形状を有するのが一般的であるため、システム家具を壁に固定する際には、例えば、システム家具の背面に孔を開けて、ボルト等の固定部品でシステム家具を壁に固定したりしている。しかしながら、この場合には、作業者は固定部品の壁への打ち付け位置を直接視認することができないので、システム家具と壁が確実に密着して固定されているかどうかわからないという問題がある。
【0004】
特に、壁には、壁の構造上、固定部品を打ち付けることができない場所(例えば、躯体でない強度が弱い場所)があるので、壁を直接視認できない状況下では、このような場所の判断も困難である。
【0005】
また、例えば、L字金具などの取付具を介して、システム家具を壁に固定する場合には、システム家具の上面または側面を利用して壁に固定するため、取付具の設置位置が所定の範囲内に限定されてしまうという問題がある。また、上述した壁の構造を鑑みると、取付具の設置範囲はさらに限定されてしまう。すなわち、この場合には、取付具の設置位置に柔軟性がなく、作業者は、システム家具を任意の位置で壁に固定することができないという問題がある。
【0006】
また、壁は木製であれ、鉄筋であれ、厳密には平らに形成されていないため、取付具の設置範囲が限定されている状況下では、取付具を平らでない位置に固定せざるを得ない場合もある。
【0007】
さらには、システム家具を壁に固定する作業工程は、システム家具を組み立てる作業工程とは別であるため、そのための部品や作業時間がさらに必要となるという問題もある。
【0008】
このように、従来の箱型の形状を有するシステム家具を壁に固定する場合には、作業の確実性や迅速性が担保されないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、短時間で容易に作業が行えるとともに、固定位置に柔軟性を持たせて、確実に壁に固定することができる、表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、請求項1に係る発明は、表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムであって、格子状の複数のフレームを組み合わせることによって形成されるフレーム部材と、前記フレーム部材に取り付けられるとともに、壁に固定される1又は複数の取付具と、を備え、前記複数のフレームの各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための第1取付孔が複数形成され、前記取付具は、コ字状に屈曲した形状を有する部材であり、前記取付具の一対の対向面それぞれには、対向位置に前記フレームに取り付けられるための第2取付孔が形成され、前記取付具の両対向面を連設する連設面には、当該連設面の連設方向に伸長した長孔形状の第3取付孔が形成され、前記取付具は、第1取付孔及び第2取付孔を介して所定の前記フレームにネジ止めされるとともに、前記第3取付孔を介して前記壁にネジ止めされて固定されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項8に係る発明は、表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムであって、格子状の複数のフレームを組み合わせることによって形成されるフレーム部材と、前記フレーム部材に取り付けられるとともに、壁に固定される1又は複数の取付具と、を備え、前記複数のフレームの各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための第1取付孔が複数形成され、前記取付具は、
L字状に屈曲した形状を有する部材であり、前記取付具の一端を有する面には、前記フレームに取り付けられるための第2取付孔が形成され、前記取付具の他端を有する面には、長手方向に伸長した長孔形状の第3取付孔が形成され、前記取付具は、前記第1取付孔及び第2取付孔を介して所定の前記フレームにネジ止めされるとともに、前記第3取付孔を介して前記壁にネジ止めされることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る、表示装置2を取り付けるためのユニット型壁システム(以下、ユニット型壁システムと略す)1の正面図、図2は、ユニット型壁システム1からパネル部材5を取り外した状態におけるユニット型壁システム1の正面図、図3は、図2の状態から外枠4を外した状態におけるユニット型壁システム1の右側面図である。なお、図1〜図3に示すユニット型壁システム1は、表示装置2を取り付けた状態の構成を示している。
【0014】
ユニット型壁システム1は、例えば、大型の薄型TVなどの表示装置2やスピーカを取り付け可能なユニット型の壁システムであり、壁に固定されて自立するタイプ(図3参照)のシステム家具である。すなわち、ユニット型壁システム1は、表示装置2やスピーカを取り付けることによって、薄型オーダーメイド・ホームシアター・システムを構成するようになっている。
【0015】
ユニット型壁システム1は、概略、ユニット型壁システム1の骨組みを形成するフレーム部材3と、フレーム部材3の外側に配設される外枠4と、フレーム部材3の前面に着脱可能な意匠を施したパネル部材5と、表示装置2をフレーム部材3に固定したり、フレーム部材3を壁に固定したりするための取付部材6と、備えている。
【0016】
表示装置2は、例えば、プラズマディスプレイであるが、プラズマディスプレイに限定されず、液晶テレビ、リアプロジェクションなど、大型の薄型テレビであればいずれであってもよい。
【0017】
フレーム部材3は、格子状のフレーム30を複数、組み合わせることにより形成されている。図4は、ユニット型壁システム1の中核を構成するフレーム部材3及び取付部材6の分解斜視図である。本実施の形態においては、図4に示すように、同一のフレーム30を6つ組み合わせることによりフレーム部材3を構成するようになっている。詳しくは、上段右位置のフレーム31、上段中位置のフレーム32、上段左位置のフレーム33、下段右位置のフレーム34、下段中位置のフレーム35、及び下段左位置のフレーム36をネジ止めして組み立てることにより、1つのフレームを構成している。なお、以下においては、特定のフレームについて説明するときは、フレーム31〜36と表記し、全フレームに共通する構成や機能について説明するときは、フレーム30と表記する。
【0018】
フレーム30は、スチール製の角パイプを用いて、日の字状に形成されている。フレーム30により形成される2つの格子は、それぞれ正方形の形状をなし、フレーム30の各辺には、所定の間隔をあけて複数の取付孔301が形成されている。この取付孔301は隣接するフレーム30(または外枠4)をネジ止めするための孔であるとともに、取付部材6をフレーム30に取り付けるための孔である。
【0019】
すなわち、本実施の形態においては、フレーム30を組み合わせるために形成された取付孔301をそのまま流用して、取付部材6をフレーム30に取り付けるようになっているので、ネジなどの部品点数を減らすことができるとともに、フレームを組み立てる作業工程とフレームを壁に固定する作業工程を同時に進めることができ、作業の迅速化を図ることができる。
【0020】
なお、本実施の形態においては、6つのフレーム30を用いてフレーム部材3を構成しているが、用いられるフレーム30の数はこれに限定されず、構成するフレーム部材3の大きさに合わせて、組み合わせるフレーム30の数は自由に設定可能である。また、本実施の形態のフレーム30は、取付孔301をフレーム30の各辺に2箇所設ける構成としていたが、取付孔301の数はこれに限定されず、3つ以上を設ける構成としてもよい。3つ以上の取付孔301をフレーム30の各辺に設けた場合には、取付部材6の高さ方向の設置位置をさらにきめ細かく設定することができる。また、本実施の形態のフレーム30においては、格子の形状を正方形としたが、格子の形状はこれに限定されない。
【0021】
外枠4は、フレーム部材3の外側に配設される木枠部材である。外枠4上には、フレーム部材3の外周に形成された取付孔301の位置に合わせて、複数の取付孔(図示せず)が形成されており、この取付孔を介して、フレーム部材3と外枠4はネジ止めされて固定される。
【0022】
パネル部材5は、複数のパネル50からなり、各パネル50は、フレーム30のそれぞれの格子の大きさに合わせて形成されたファブリックパネルである。すなわち、パネル50は正方形のパネルであり、本実施の形態では、図1に示すように、12枚のパネル50によりパネル部材5を構成している。なお、各パネル50は、例えば、樹脂、木、金属などの素材を用いて、その表面を意匠面として施したパネルであり、裏面にはスピーカなどを内蔵するようにしてもよい。
【0023】
また、各パネル50は、フレーム30のそれぞれの格子枠に係合可能に構成されており、これにより、パネル部材5は、フレーム部材3に容易に着脱可能になっている。そのため、本実施の形態においては、ユニット型壁システム1を構築後であっても、機器類の配線の変更や確認が容易となっている。なお、本実施の形態においては、フレーム30の各格子前面の一辺(上辺)に設けたレールにパネル50の裏面の一辺(上辺)に形成された係合突起が係合することにより、パネル50はフレーム30に取り付けられている。勿論、他の係合方法により、パネル部材5をフレーム部材3に着脱可能に構成してもよい。例えば、マジックテープ(登録商標)により、パネル部材5をフレーム部材3に着脱可能に構成してもよい。
【0024】
取付部材6は、本実施の形態においては、6つの取付具60で構成されている。すなわち、取付部材6は、図4に示すように、フレーム部材3を壁に固定するための取付具61、62、63及び64と、表示装置2をフレーム部材3に取り付けるための取付具71及び72を備えている。
【0025】
図5は、ユニット型壁システム1の中核を構成するフレーム部材3及び取付部材6の上面図であり、取付部材6をフレーム部材3に取り付けた状態を示している。本実施の形態では、取付具61〜64は、図2及び図4に示すように、壁の四隅近傍、すなわち、取付具61はフレーム31の上方、取付具62はフレーム33の上方、取付具63はフレーム34の下方、取付具64はフレーム36の下方に取り付けられ、また、取付具71及び72は、図4に示すように、壁の略中央、すなわち、取付具71及び72はフレーム32の下方に取り付けられるようになっている。また、取付具61〜64は、図3〜図5に示すように、背面側(壁側)に金具が突出した状態でフレーム部材3に取り付けられ、また、取付具71及び72は、図3〜図5に示すように、前面側に金具が突出した状態でフレーム部材3に取り付けられている。なお、以下においては、特定の取付具について説明するときは、取付具61〜64、または71〜72と表記し、全取付具に共通する構成や機能について説明するときは、取付具60と表記する。
【0026】
図6は、取付具60の構成を示す図である。図6(a)は取付具60の上面図、図6(b)は正面図、図6(c)は側面図である。
【0027】
取付具60は、図4〜図6(a)に示すように、コ字状に屈曲したスチール製の金具であり、それぞれ互いに対向して、フレーム30に当接する対向面(フレーム当接面ともいう)601及び602と、両対向面601及び602に略垂直に形成され、対向面601と602を連設して、壁または表示装置2の背面に当接する連設面(壁当接面ともいう)603と、を備えている。
【0028】
フレーム当接面601及び602には、図6(c)に示すように、開口側の一端(取付具60の一端及び他端)にフレーム当接面601及び602の長手方向(横方向ともいう)に沿って伸長された長孔形状の取付孔614が形成されており、この取付孔614及びフレーム30の取付孔301を介して、取付具60はフレーム30にネジ止め固定される。本実施の形態においては、取付孔614がフレーム当接面601及び602の長手方向に伸長された長孔形状を有することにより、取付具60をフレーム30に取り付ける際の奥行き方向の微調整が可能となっている。
【0029】
壁当接面603には、図6(b)に示すように、壁当接面603の長手方向(横方向または連設方向ともいう)に沿って伸長された長孔形状の取付孔611、612及び613が形成されており、この取付孔611、612及び613を介して、取付具60は壁にネジ止め固定される。すなわち、本実施の形態においては、取付孔611、612及び613が壁当接面603の長手方向に沿って伸長された長孔形状を有しているので、ネジ止めする際のネジ止め位置を左右方向に柔軟に設定することができるようになっている。この結果、本実施の形態では、例えば、壁の構造上、ネジ止めできないような位置を避けて、取付具60を壁にネジ止めすることが可能となるので、取付具60を壁に確実に固定することができる。なお、壁当接面603の長手方向(横方向)の長さは、フレーム30の各格子一辺の長さに略等しく形成されているので、フレーム当接面601及び602はそれぞれ、フレーム30の対向位置でフレーム30に当接可能となっている。
【0030】
なお、本実施の形態においては、4つの取付具60を用いて壁に固定するようにしたが、壁に固定するための取付具60は4つに限定されないし、また、設置位置も上述した4箇所の位置に限定されない。例えば、ユニット型壁システム1の大きさに合わせて取付具60を1つや2つとしてもよいし、また、5以上としてもよい。
【0031】
また、本実施の形態の取付孔611〜613は、ネジ止め位置の自由度と取付具60の強度を考慮して、隣接する取付孔とは、壁当接面603の短手方向(高さ方向、縦方向、連設方向に垂直な方向ともいう)の位置をずらして配置されている。すなわち、取付孔611と613は、壁当接面603の上方かつ同じ高さの位置に配置され、また、取付孔612は壁当接面603の下方に配置されている。勿論、これとは別の構成として、壁当接面603に1つの取付孔を形成してもよく、1つの取付孔を壁当接面603の長手方向に沿って伸長させるようにして形成してもよい。
【0032】
次に、図7を用いて、取付具60のフレーム30への取り付け方、取付具60の壁への取り付け方、表示装置2のフレーム30への取り付け方について説明する。ここで、図7は、フレーム部材3の一部であるフレーム31及び32と、当該フレーム31及び32に取り付けられる取付具61、71及び72の外観斜視図である。
【0033】
作業者は、まず、図7に示すように、フレーム31及び32を左右方向に隣接させて組み合わせた後、フレーム31の取付孔301の位置に、取付具61を背面方向に突出させた状態で、取付孔614を重ね合わせて、1対のネジ81a及び81b(雄ネジ、雌ネジ)で、ネジ止めする。
【0034】
また、作業者は、フレーム31及び32を左右方向に隣接させて組み合わせた後、フレーム32の取付孔301の位置に、取付具71及び72を前面方向に突出させた状態で、取付孔614を重ね合わせて、1対のネジ81a及び81b(雄ネジ、雌ネジ)で、ネジ止めする。
【0035】
これにより、フレーム31及び32が組み立てられるとともに、取付具61、71及び72がフレーム部材3に取り付けられる。なお、実際には、取付具61は、図7において図示されない外枠4とともに取り付けられ、また、取付具71及び72は、図7において図示されないフレーム33とともに取り付けられる。
【0036】
次に、作業者は、フレーム31に取り付けられた取付具61の取付孔611、612及び613を介して、最適な左右位置でネジ82を挿入し、取付具61を壁にネジ止めする。この結果、フレーム31は壁に固定されることとなる。なお、他の取付具62、63及び64のフレーム部材3への取り付け、及び壁への固定も上記と同様の方法で行われる。
【0037】
次に、作業者は、取付具71及び72の取付孔611、612及び613を介して、ネジ82を挿入し、取付具71及び72を表示装置2の背面に形成された取付部(図示せず)に螺合する。この結果、表示装置2はフレーム部材3に固定されることとなる。
【0038】
このように本実施の形態のユニット型壁システム1によれば、複数のフレーム30を組み合わせて構成するユニット型の壁システムであり、取付具6をフレーム部材3の任意の場所に取り付けることができるとともに、取付具6を壁に固定する際にも固定位置を柔軟に設定することができるので、設置現場の壁の状況によらず、フレーム部材3を確実かつ簡単に壁に固定することができる。すなわち、本実施の形態のユニット型壁システム1においては、壁を直視できる状況下で、取付具6の最適な固定位置を決定することができ、かつ固定作業ができるので、取付具6を壁に確実に密着させて固定させることが容易に行える。
【0039】
また、フレーム30の取付孔301は、隣接するフレーム同士を組み合わせるほか、取付具60をフレーム30に取り付けるための共用孔なので、フレーム部材3を組み立てる作業工程とフレーム部材3を壁に固定する作業工程を同時に進行させることができ、作業工数及び作業時間の短縮を図ることができる。すなわち、設置現場で新たにフレーム30に孔を開ける必要もないので、作業工数及び作業時間を減らすことができる。また、固定するためのネジなどの部品の数を少なくすることができる。
【0040】
なお、本実施の形態のフレーム30の各格子は上述したように正方形の形状を有するので、図2〜図5及び図7に示したように、取付具60の壁当接面602を横方向に向けて配設するほか、図8に示すように、取付具60の壁当接面602を縦方向に向けて配設することも可能である。すなわち、本実施の形態においては、設置する壁の状況に応じて、取付具60の配設方向を決定でき、最適の左右位置及び高さ位置で取付具60を壁に固定することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、取付具60をコ字状の金具としたが、取付具60の形状はコ字状に限定されるものではない。例えば、図9に示すようなL字状の取付具60A及び60Bを用いて、フレーム30を壁に固定するようにしてもよい。取付具60Aはフレーム当接面601と、フレーム当接面601に略垂直な壁当接面603Aを備えており、フレーム当接面601には取付孔614、壁当接面603Aには取付孔611が形成されている。同様にして、取付具60Bはフレーム当接面602と、フレーム当接面602に略垂直な壁当接面603Bを備えており、フレーム当接面602には取付孔614、壁当接面603Bには取付孔613が形成されている。このような取付具60A及び60Bを用いても、上述したユニット型壁システム1と同一の効果を得ることができる。また、図示しないが、取付具の形状をロ字状として、コ字状の取付具60よりもさらに強度が増した構造としてもよい。
【0042】
また、本実施の形態の取付具60のフレーム当接面601及び602に形成された取付孔614は長孔形状であったが、取付孔614の形状はこれに限定されず、例えば、図10に示すように十字状の長孔としてもよい。このような場合の取付具60Cは、図11に示すように、A方向(高さ方向)、B方向(奥行き方向)、及びC方向(角度)の調整が可能となり、より柔軟に取付具60Cの壁への設置位置を決定することができる。
【0043】
また、本実施の形態のユニット型壁システム1の自立性をさらに強化するような構成としてもよい。例えば、図12に示すように、フレーム30(下段位置に配置されるフレーム、例えば、図2に示すフレーム34や36が好適)にL字状の自立補強部材9を組み合わせて、ユニット型壁システム1の自立性をさらに強化するようにしてもよい。この場合には、フレーム30と自立補強部材9はネジ止めされて固定される。また、図13に示すように、L字状の自立補強部材9を2枚組み合わせてT字状としてもよい。なお、図13に示す場合には、自立性がさらに高いので、取付具60を用いず、ユニット型壁システム1の壁への固定をなくしてもよい。
【0044】
以上、述べたように本実施の形態のユニット型壁システム1によれば、表示装置2を取り付けるためのユニット型壁システムであって、格子状の複数のフレーム30を組み合わせることによって形成されるフレーム部材3と、フレーム部材3に取り付けられるとともに、壁に固定される複数の取付具60と、を備え、複数のフレーム30の各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための取付孔301が複数形成され、取付具60は、コ字状に屈曲した形状を有する部材であり、取付具60の一対の対向面であるフレーム当接面601及び602それぞれには、対向位置にフレーム30に取り付けられるための取付孔614が形成され、取付具60のフレーム当接面601及び602を連設する連設面である壁当接面603には、当該壁当接面603の連設方向に伸長した長孔形状の取付孔611〜613が形成され、取付具60は、取付孔301及び取付孔614を介して所定のフレーム30にネジ止めされるとともに、取付孔611〜613を介して壁にネジ止めされて固定される。これにより、短時間で容易に作業が行えるとともに、固定位置に柔軟性を持たせて、確実に壁に固定することができる、表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムを提供することができる。
【0045】
また、取付孔611〜613は、複数の長孔で構成され、かつ、各長孔は、隣接する長孔とは、連設方向に垂直な方向に離間して配置されている。これにより、壁への固定位置を自由に設定できるとともに、取付具60に強度を持たせることができる。
【0046】
また、取付孔614は、所定の方向に伸長した長孔である。ここで、所定の方向とは、例えば、横方向や縦方向などである。これにより、取付具60の長孔の伸長した方向への微調整が可能となる。
【0047】
また、取付具60の壁当接面603の連設方向の長さは、フレーム30の各格子の一方向の長さと略同一であり、取付具60は、所定のフレーム30の一方向に沿って対向する所定の1対の取付孔301それぞれに取付具60の取付孔614それぞれを重ね合わせて、所定のフレーム30にネジ止めされる。これにより、取付具60のフレーム部材3への取り付けが容易であるとともに、取付具60はフレーム幅で壁を固定することができる。
【0048】
また、各格子は正方形を形成し、取付具60は、連接方向を格子の縦方向としても、横方向としてもフレーム30に取り付け可能である。これにより、取付具60の壁への設置位置をさらに柔軟に設定することができる
また、取付具60は、フレーム部材3を壁に固定するための取付具61,62,63,64と、表示装置2をフレーム部3に取り付けるための取付具71,72と、を備え、取付具71,72の一対の対向面であるフレーム当接面601及び602それぞれは、取付孔301及び614を介してフレーム30にネジ止めされるとともに、取付具71,72の連設面である壁当接面602は、取付孔611〜613を介して表示装置2の裏面にネジ止めされる。これにより、取付具71,72を用いて、表示装置2をフレーム部材3に確実に取り付けることができる。また、同一構成の取付具60を用いて、表示装置2をフレーム部材3に取り付けることができるとともに、フレーム部材3を壁に固定することができるので、ユニット型壁システム1の構成部品の種類を減らすことができる。
【0049】
また、フレームに着脱可能な格子状の複数のパネル50を備える。これにより、ユニット型の壁を形成することができる。
【0050】
また、本実施の形態のユニット型壁システム1の別の態様によれば、表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムであって、格子状の複数のフレーム30を組み合わせることによって形成されるフレーム部材3と、フレーム部材3に取り付けられるとともに、壁に固定される複数の取付具60A,Bと、を備え、複数のフレーム30の各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための取付孔301が複数形成され、取付具60A,Bは、L字状に屈曲した形状を有する部材であり、取付具60A,Bの一端を有する面には、フレーム30に取り付けられるための取付孔614が形成され、取付具60A,Bの他端を有する面には、長手方向に伸長した長孔形状の取付孔611,613が形成され、取付具60A,Bは、取付孔301及び取付孔614を介して所定のフレーム30にネジ止めされるとともに、取付孔611,613を介して前記壁にネジ止めされる。この場合にも、短時間で容易に作業が行えるとともに、固定位置に柔軟性を持たせて、確実に壁に固定することができる、表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムを提供することができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムの正面図である。
【図2】図1の状態からパネル部材を取り外した状態におけるユニット型壁システムの正面図である。
【図3】図2の状態から外枠を外した状態におけるユニット型壁システムの右側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムのフレーム部材及び取付部材の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムのフレーム部材及び取付部材の上面図であり、取付部材をフレーム部材3に取り付けた状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムの取付具の上面図、正面図及び側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムのフレーム部材の一部である2つのフレームと、当該フレームに取り付けられる取付具の外観斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムの取付具の別の取り付け方を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムの取付具の変形例の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムの取付具の変形例の構成を示す図である。
【図11】図10に示す取付具の設置可動域を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムに自立補強部材を加えた場合の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るユニット型壁システムに自立補強部材を加えた場合の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ユニット型壁システム
2 表示装置
3 フレーム部材
4 外枠
5 パネル部材
6 取付部材
9 自立補強部材
30,31,32,33,34,35,36 フレーム
50 パネル
60,61,62,63,64,71,72,60A,60B,60C 取付具
301,611,612,613,614,614A 取付孔
601,602 フレーム当接面
603 壁当接面
81a,81b,82 ネジ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムであって、
格子状の複数のフレームを組み合わせることによって形成されるフレーム部材と、
前記フレーム部材に取り付けられるとともに、壁に固定される1又は複数の取付具と、を備え、
前記複数のフレームの各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための第1取付孔が複数形成され、
前記取付具は、コ字状に屈曲した形状を有する部材であり、
前記取付具の一対の対向面それぞれには、対向位置に前記フレームに取り付けられるための第2取付孔が形成され、
前記取付具の両対向面を連設する連設面には、当該連設面の連設方向に伸長した長孔形状の第3取付孔が形成され、
前記取付具は、第1取付孔及び第2取付孔を介して所定の前記フレームにネジ止めされるとともに、前記第3取付孔を介して前記壁にネジ止めされて固定されることを特徴とするユニット型壁システム。
【請求項2】
前記第3取付孔は、
複数の長孔で構成され、かつ、各長孔は、隣接する長孔とは、前記連設方向に垂直な方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項1記載のユニット型壁システム。
【請求項3】
前記第2取付孔は、所定の方向に伸長した長孔であることを特徴とする請求項1又は2記載のユニット型壁システム。
【請求項4】
前記取付具の連設面の連設方向の長さは、前記フレームの各格子の一方向の長さと略同一であり、
前記取付具は、前記所定の前記フレームの前記一方向に沿って対向する所定の1対の第1取付孔それぞれに前記取付具の前記第2取付孔それぞれを重ね合わせて、前記所定の前記フレームにネジ止めされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユニット型壁システム。
【請求項5】
前記各格子は正方形を形成し、
前記取付具は、前記連接方向を前記格子の縦方向としても、横方向としても前記フレームに取り付け可能であることを特徴とする請求項4記載のユニット型壁システム。
【請求項6】
前記取付具は、
前記フレーム部材を前記壁に固定するための第1取付具と、
前記表示装置を前記フレーム部材に取り付けるための第2取付具と、
を備え、
前記第2取付具の一対の対向面それぞれは、
前記第1取付孔及び第2取付孔を介して前記フレームにネジ止めされるとともに、
前記第2取付具の連設面は、
前記第3取付孔を介して前記表示装置の裏面にネジ止めされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のユニット型壁システム。
【請求項7】
前記フレームに着脱可能な格子状の複数のパネルを備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のユニット型壁システム。
【請求項8】
表示装置を取り付けるためのユニット型壁システムであって、
格子状の複数のフレームを組み合わせることによって形成されるフレーム部材と、
前記フレーム部材に取り付けられるとともに、壁に固定される1又は複数の取付具と、を備え、
前記複数のフレームの各辺それぞれには、所定の間隔ごとに、隣接するフレーム同士を組み合わせるための第1取付孔が複数形成され、
前記取付具は、
L字状に屈曲した形状を有する部材であり、
前記取付具の一端を有する面には、前記フレームに取り付けられるための第2取付孔が形成され、
前記取付具の他端を有する面には、長手方向に伸長した長孔形状の第3取付孔が形成され、
前記取付具は、前記第1取付孔及び第2取付孔を介して所定の前記フレームにネジ止めされるとともに、前記第3取付孔を介して前記壁にネジ止めされることを特徴とするユニット型壁システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−63650(P2010−63650A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232890(P2008−232890)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】