説明

表示装置及び表示装置用バックライト

【課題】光利用効率が高い表示装置及び表示装置用バックライトを提供する。
【解決手段】表示装置は、導光体71と、光源73と、波長選択透過層20と、光制御層50と、を備える。導光体71は、第1主面71aと、第1主面とは反対側の第2主面71bと、前記第1主面と前記第2主面とを接続する側面71cと、を有する。前記光源は、前記側面から前記導光体の内部へ光を入射させる。前記波長選択透過層は、前記第2主面の上に設けられ、可視光のうち第1波長帯の光を透過させ前記第1波長帯を除く波長帯の光を反射させる第1領域20aと、可視光のうち前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を透過させ前記第2波長帯を除く波長帯の光を反射させる第2領域20bと、を有する。前記光制御層は、前記波長選択透過層の上に設けられ、通過する光の強度を変化させる。前記第1主面は、前記第1主面に対して傾斜した傾斜面を有する複数の凹部74dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置用バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばノート型パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの携帯機器では、電源として電池が使用される場合がある。そのため、低消費電力化を図ることが望まれる。
また、このような携帯機器の表示装置として、例えば2枚の基板の間に液晶層を設けた液晶表示装置が使用される場合がある。液晶表示装置では、複数の画素のそれぞれに青、緑及び赤のカラーフィルタを設けることでカラー表示が行われる。カラーフィルタとして、特定の波長の光を吸収するカラーフィルタを用い、高い色再現性を得ようとすると、カラーフィルタによる光の吸収により、光の利用効率が低下し、表示が暗くなる。
このような表示装置において、色が綺麗で、表示が明るく、コントラストが良好なカラー表示を低消費電力で実現するために、光の利用効率を高めることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−72478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、光利用効率が高い表示装置及び表示装置用バックライトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様によれば、導光体と、光源と、波長選択透過層と、光制御層と、を備えた表示装置が提供される。前記導光体は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する側面と、を有する。前記光源は、前記側面から前記導光体の内部へ光を入射させる。前記波長選択透過層は、前記第2主面の上に設けられ、可視光のうち第1波長帯の光を透過させ前記第1波長帯を除く波長帯の光を反射させる第1領域と、可視光のうち前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を透過させ前記第2波長帯を除く波長帯の光を反射させる第2領域と、を有する。前記光制御層は、前記波長選択透過層の上に設けられ、通過する光の強度を変化させる。前記第1主面は、前記第1主面に対して傾斜した傾斜面を有する複数の凹部を有する。前記第1主面の面積に対する、前記複数の凹部のそれぞれを前記第1主面に投影した合計の面積の比率は、8%〜25%である。前記複数の凹部は、前記第1主面に均一に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置の導光体を例示する模式的平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式的断面図である。
【図4】参考例に係る表示装置の動作を例示する模式的断面図である。
【図5】導光体から出射する光の指向角分布を例示するグラフ図である。
【図6】第1の実施形態に係る表示装置の特性の実験結果を例示するグラフ図である。
【図7】本実験において使用した表示装置を例示する模式的断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る表示装置の他の特性のシミュレーション結果を例示するグラフ図である。
【図9】第1の実施形態に係る表示装置のモデルを例示する模式的断面図である。
【図10】参考例に係る表示装置のモデルを例示する模式的断面図である。
【図11】第1の実施形態に係る表示装置のさらに他の特性のシミュレーション結果を例示するグラフ図である。
【図12】第1の実施形態に係る表示装置のモデルを例示する模式的断面図である。
【図13】図13(a)および図13(b)は、第1の実施形態に係る表示装置のさらに他の特性のシミュレーション結果および実験結果を例示するグラフ図である。
【図14】導光体のモデルおよび実験に用いた導光体を例示する模式的断面図である。
【図15】図15(a)および図15(b)は、第1の実施形態に係る他の表示装置の導光体を例示する模式図である。
【図16】図16(a)および図16(b)は、第1の実施形態に係るさらに他の表示装置の導光体を例示する模式図である。
【図17】第2の実施形態に係る表示装置用バックライトの構成を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る表示装置の例として、液晶を用いる液晶表示装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の導光体を例示する模式的平面図である。
なお、図2は、導光体71の第1主面71aを垂直にみたときの模式的平面図である。
【0009】
図1に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、照明ユニット(表示装置用バックライト)70と、第1基板11と、波長選択透過層20と、光制御層50と、波長選択吸収層40と、第2基板12と、を備える。
【0010】
照明ユニット70は、導光体71と、反射膜72と、光源73と、を有する。導光体71は、第1主面71aと、第1主面71aとは反対側の第2主面71bと、第1側面71cと、第1側面71cとは反対側の第2側面71dと、を有する。第1主面71aは、第2主面71bと平行している。第1主面71aは、波長選択透過層20や光制御層50などが設けられた側とは反対側に形成された面である。第2主面71bは、波長選択透過層20や光制御層50などが設けられた側に形成された面である。
【0011】
図1および図2に表したように、導光体71の第1主面71aには、構造体74が形成されている。構造体74は、例えば、光の進行方向を変える機能を有する。構造体74は、例えば、光を反射させて、光の進行方向を変える。図2に表したように、構造体74は、光源73が配置された第1側面71cと略平行に延在している。構造体74としては、例えば、溝などの凹凸形状を有する構造体が用いられる。図1に表した表示装置110では、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを有する凹部74dが構造体74として用いられている。
反射膜72は、導光体71の第1主面71aおよび第2側面71dに設けられている。図1に表した表示装置110では、反射膜72と、導光体71の第1主面71aおよび第2側面71dと、の間には間隙が設けられているが、反射膜72と、導光体71の第1主面71aおよび第2側面71dと、は接していてもよい。
【0012】
つまり、図1に表したように、導光体71の第1主面71aは、第1主面71aに対して傾斜した第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを有する複数の凹部74dと、複数の凹部74dが設けられていない平坦部71eと、を有する。凹部74dは、第1主面71aの第1側面71cと接する辺と略平行に延在している。また、図1に表した表示装置110のように、第1主面71aと第1側面71cとに対して傾斜したテーパ部75が形成された場合には、凹部74dは、第1主面71aのテーパ部75と接する辺あるいは第1側面71cのテーパ部75と接する辺と略平行に延在している。
【0013】
第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bは、光源73が配置された第1側面71cと非垂直である。すなわち、第1側面71cは、YZ面に平行であり、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bは、YZ面に対して傾斜している。言い換えれば、導光体71の第1主面71aを垂直にみたときに(Z軸方向にみたときに)、第1傾斜面74aの法線および第2傾斜面74bの法線は、第1側面71cの法線と平行している。つまり、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bは、第1側面71cと略平行な辺を有する。
【0014】
図1に表した導光体71においては、第1主面71aと第1側面71cとに対して傾斜したテーパ部75が形成されている。また、第2主面71bと第1側面71cとに対して傾斜したテーパ部75が形成されている。本願明細書では、テーパ部75と、第1主面71aまたは第2主面71bと、の成す角を傾斜角度θとする。テーパ部75の傾斜角度θは、例えば約10°程度である。また、本願明細書では、図1に表した模式的断面おいて、第1主面71aまたは第2主面71bに平行な方向のテーパ部75の長さをLとする。テーパ部75の長さLは、例えば約4ミリメートル(mm)〜5mm程度である。テーパ部75については、後に詳述する。
【0015】
光源73は、光を生成する。光源73には、例えば半導体発光素子(例えばLED)が用いられる。光源73は、導光体71の第1側面71cに配置されている。
反射膜72は、導光体71の第1主面71aおよび導光体71の第2側面71dに付設されている。つまり、導光体71は、第1主面71aに付設された反射膜72と、第1基板11と、の間に配置されている。
【0016】
光源73で生成された光は、第1側面71cから導光体71の内部に入射する。導光体71の内部に入射した光は、導光体71と空気との界面において例えば全反射しながら導光体71の内部を伝搬する。あるいは、導光体71の内部に入射した光は、反射膜72において反射しながら導光体71の内部を伝搬する。なお、第2側面71dに付設された反射膜72において反射した光が所望の範囲内の指向角分布を有するように、第2側面71dは、第1主面71aに対して垂直ではなく傾斜していてもよい(図17参照)。
【0017】
構造体74は、導光体71の内部を伝搬する光の進行方向を変え、光を効率良く波長選択透過層20に入射させる。このとき、前述したように、図1に表した表示装置110では、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを有する凹部74dが構造体74として用いられている。すなわち、図1に表したように、凹部74dは、いわゆるV字型の溝の形状を有する。凹部74dは、第1主面71aにおいて開口している。言い換えれば、凹部74dは、複数の平坦部71eが設けられていない部分に設けられている。構造体74の面積率は、例えば約8〜25%程度であることが好ましい。構造体74の面積率は、例えば約15%程度であることがより好ましい。構造体74は、第1主面71aの全体に亘って均一に設けられている。そのため、構造体74の面積率は、第1主面71aの光源73に近い部分においても光源73から遠い部分においても均一である。 つまり、構造体74の面積率は、第1主面71aの全体に亘って均一である。
【0018】
ここで、本願明細書において、「構造体の面積率」とは、第1主面71aの面積に対する、複数の凹部74dのそれぞれを第1主面71aに投影した合計の面積の比率あるいは割合をいうものとする。なお、凹部74dを第1主面71aに投影した面積とは、導光体71をZ軸方向にみたときに表される凹部74dの矩形の面積をいい、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bの面積の和をいうわけではない(図2参照)。つまり、図1および図2に表した導光体71では、凹部74dを第1主面71aに投影した面積とは、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを第1主面71aに投影した面積ということもできる。
【0019】
これによれば、導光体71から波長選択透過層20に向かって出射する光の量(取り出し光量)をより高めることができる。つまり、光の利用効率を高めることができる。
なお、構造体74の形状や作用などについては、後に詳述する。
【0020】
このようにして、照明ユニット70は、波長選択透過層20から波長選択吸収層40に向かう方向に沿って、波長選択透過層20に照明光70Lを入射させる。あるいは、照明ユニット70の光源73から出射した光が第1基板11の内部を伝搬し、伝搬した光が導光体71へ進行して反射膜72により反射された後、波長選択透過層20に入射してもよい。
【0021】
第1基板11および第2基板12は、光透過性を有する。第1基板11および第2基板12としては、例えば、ガラスまたは樹脂などが用いられる。第1基板11は、第1主面11aと、第1主面11aとは反対側の第2主面11bと、を有する。
【0022】
波長選択透過層20は、第1基板11の第1主面11aの上に設けられている。
ここで、第1主面11aに対して垂直な方向をZ軸方向(第1方向)とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向(第2方向)とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な軸をY軸方向とする。
本願明細書において、上に設けられている状態は、接して上に配置される状態に加え、間に別の要素が挿入されて上に配置される状態を含む。
【0023】
波長選択透過層20は、複数の領域を有する。図1に表した表示装置110では、波長選択透過層20は、第1領域20aと、第2領域20bと、第3領域20cと、を有する。X−Y平面内においては、複数の第1領域20aと、複数の第2領域20bと、複数の第3領域20cと、が設けられている。
【0024】
第1領域20aは、第1の色(例えば赤色)の干渉フィルタとなる。第2領域20bは、第2の色(例えば緑色)の干渉フィルタとなる。第3領域20cは、第3の色(例えば青色)の干渉フィルタとなる。すなわち、図1に表した表示装置110では、3色光の選択透過領域が設けられている。
【0025】
但し、実施形態は、これだけに限定されるわけではない。例えば、第3領域20cが設けられず、2色の領域が設けられてもよい。また、さらに第4領域を設け、4色の領域が設けられてもよい。このように、実施形態において、色の種類は任意である。波長選択透過層20の構成の例については、後に詳述する。
【0026】
第1領域20aの上には、第1スイッチング素子32aが設けられている。第2領域20bの上には、第2スイッチング素子32bが設けられている。第3領域20cの上には、第3スイッチング素子32cが設けられている。第1スイッチング素子32a、第2スイッチング素子32b、および第3スイッチング素子32cとしては、例えば、トランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0027】
光制御層50は、波長選択透過層20と波長選択吸収層40との間に設けられている。光制御層50の光学特性は可変である。光制御層50として、例えば、液晶層が用いられる。
【0028】
図1に表した表示装置110では、第1基板11の第1主面11aに対向して第2基板12が設けられている。第2基板12は、第1主面12aと、第1主面12aと対向する第2主面12bと、を有する。第2基板12の第1主面12aは、第1基板11の第1主面11aと対向している。波長選択吸収層40は、第2基板12の第1主面12aに設けられている。
【0029】
波長選択吸収層40は、第1吸収層40aと、第2吸収層40bと、第3吸収層40cと、を有する。第1吸収層40aは、Z軸方向にみたときに第1領域20aと重なる部分を有する。第2吸収層40bは、Z軸方向にみたときに第2領域20bと重なる部分を有する。第2吸収層40bの吸収スペクトルは、第1吸収層40aの吸収スペクトルとは異なる。第3吸収層40cは、Z軸方向にみたときに第3領域20cと重なる部分を有する。第3吸収層40cの吸収スペクトルは、第1吸収層40aの吸収スペクトルおよび第2吸収層40bの吸収スペクトルとはそれぞれ異なる。
【0030】
第1吸収層40aは、第1の色(例えば赤色)の吸収フィルタであり、第2吸収層40bは、第2の色(例えば緑色)の吸収フィルタであり、第3吸収層40cは、第3の色(例えば青色)の吸収フィルタである。
【0031】
例えば、スイッチング素子を介して、光制御層50に電圧(例えば電界)が印加される。印加された電圧(例えば電界)に応じて、光制御層50の光学特性が変化し、それぞれの画素の透過率が変化し表示が行われる。
【0032】
光制御層50として、液晶層が用いられる場合は、印加された電圧(例えば電界)に応じて、液晶層の液晶の配列が変化する。配列の変化に応じて液晶層の光学特性(複屈折率、旋光性、散乱性、回折性及び吸収性などの少なくともいずれかを含む)が変化する。
【0033】
例えば、第1基板11の第2主面11bには、図示しない第1偏光層が設けられている。また、第2基板12の第2主面12bには、図示しない第2偏光層が設けられている。つまり、第1偏光層と第2偏光層との間に、第1基板11と、波長選択透過層20と、光制御層50と、波長選択吸収層40と、第2基板12と、が配置されている。これにより、光制御層50(液晶層)における光学特性の変化が、光透過率の変化に変換され、表示が行われる。
【0034】
図3は、第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式的断面図である。
図4は、参考例に係る表示装置の動作を例示する模式的断面図である。
図5は、導光体から出射する光の指向角分布を例示するグラフ図である。
なお、図5の縦軸は、最大値で規格化した光度Luであり、図5の横軸は、導光体から出射した光の指向角Daである。また、図5に表したグラフ図は、波長選択透過層20に入射する前の光の光度Luおよび指向角Daを表している。言い換えれば、図5に表したグラフ図は、照明ユニット70から出射した直後の光の光度Luおよび指向角Daを表している。
【0035】
まず、波長選択透過層20の例について説明する。
波長選択透過層20は、特定の波長の光を透過し、その波長以外の波長の光を反射する。波長選択透過層20は、例えば、ファブリペロー型の干渉フィルタである。
【0036】
すなわち、波長選択透過層20は、一対の反射層と一対の反射層との間に設けられたスペーサ層を有し、例えば絶縁層により形成されている。波長選択透過層20は、異なる屈折率を有する複数の誘電体膜が積層された構造を有する。波長選択透過層20において積層された誘電体膜は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含む。
【0037】
第1領域20aの内部では、積層された各膜の界面において入射光の一部が反射する。そして、各膜の界面において反射した光(波)と透過した光(波)の重ね合わせにより強めあう位相条件を満たす波長の光が第1領域20aを透過し、それ以外の波長の光が反射する。言い換えれば、第1領域20aの厚さに応じた波長の光が第1領域20aを透過し、それ以外の波長の光が反射する。この作用は、第2領域20bおよび第3領域20cについても同様である。
【0038】
光が波長選択透過層20を通過する際の光路長(光学的距離)は、波長選択透過層20に入射する光の角度(入射角)が零の場合よりも零よりも大きい場合の方が長い。言い換えれば、光が波長選択透過層20を通過する際の光学的距離は、光が波長選択透過層20に対して垂直に入射する場合よりも斜めに入射する場合の方が長い。このとき、強めあう位相条件を満たす波長は、光が波長選択透過層20に対して垂直に入射する場合よりも斜めに入射する場合の方が短い。波長選択透過層20を透過する光の波長は、波長選択透過層20に入射する光の入射角に依存する。
【0039】
このように、表示装置において干渉型のカラーフィルタを用いると、その透過波長帯は、光の入射角に応じて変化する。例えば、斜め入射光に対する透過波長帯は、正面から入射する光に対する透過波長帯よりも短波長側(青色側)にシフトする。
【0040】
例えば、赤色の光が波長選択透過層20に対して斜めに入射すると、波長選択透過層20を透過した光の少なくとも一部は、赤色よりも短い波長を有するオレンジ色などの光となる。あるいは、例えば、緑色の光が波長選択透過層20に対して斜めに入射すると、波長選択透過層20を透過した光の少なくとも一部は、緑色よりも短い波長を有する青緑色などの光となる。そして、波長選択透過層20を透過した光のうちで波長選択透過層20に入射した光の波長よりも短い波長を有する光は、波長選択透過層20の上に設けられた波長選択吸収層40により吸収される。つまり、光の損失が発生する。そのため、高い光利用効率を実現するためには、照明ユニット70あるいは導光体71から出射する光の角度をより小さくすることが望ましい。
あるいは、波長選択吸収層40が設けられていない表示装置においては、波長選択透過層20を透過する光の色が設計値からずれてしまう。そのため、波長選択透過層20を透過する光について所望の色を得るためには、照明ユニット70あるいは導光体71から出射する光の角度より小さくすることが望ましい。
なお、照明ユニット70あるいは導光体71から出射する光の角度は、波長選択透過層20に入射する光の角度、すなわち波長選択透過層20への入射角と等しい。
【0041】
ここで、図4に表したように、参考例に係る表示装置120の導光体71に形成された構造体74の数は、実施形態に係る表示装置110の導光体71に形成された構造体74の数よりも多い。これにより、導光体71から出射する光の取り出し光量を高めることができる。しかしながら、導光体71に形成された構造体74が多いと、導光体71から出射する光の角度が大きくなる。これについて、図4を参照しつつ説明する。
【0042】
図1および図2に関して前述したように、導光体71の内部に入射した光は、導光体71と空気との界面において例えば全反射しながら、あるいは反射膜72において反射しながら導光体71の内部を伝搬する。そして、構造体74に当たった光の進行方向が変わり、その光は、照明光70Lとして波長選択透過層20に入射する。
【0043】
照明光70Lのうちで第1波長帯λaを含む第1光Laは、波長選択透過層20のうちの例えば第3領域20cを通過する。第1光Laは、光制御層50を通過し、さらに第3吸収層40cを通過し、外部に出射する。なお、光制御層50の状態によって、外部に出射する光の強度は変化する。
【0044】
一方、照明光70Lのうちの第1波長帯λa以外の光(例えば第2波長帯λbを含む第2光Lb)は、波長選択透過層20のうちの例えば第3領域20cで反射し、照明ユニット70に戻る。ここで、波長選択透過層20が有する複数の層のうちの少なくともいずれかの層の主面は、導光体71の第1主面71aと平行している。波長選択透過層20が有する複数の層のうちの少なくともいずれかの層とは、例えば図示しない反射層などである。これにより、照明光70Lのうちの第1波長帯λa以外の光は、例えば第3領域20cで反射し、より確実に照明ユニット70に戻ることができる。照明ユニット70に戻った光は、導光体71内を通過し、再び波長選択透過層20に入射する。
【0045】
前述したように、参考例に係る表示装置120の導光体71に形成された構造体74の数は、実施形態に係る表示装置110の導光体71に形成された構造体74の数よりも多い。そのため、参考例に係る表示装置120の導光体71の内部に戻った第2光Lbが構造体74に当たる頻度は、実施形態に係る表示装置110の導光体71に戻った第2光Lbが構造体74に当たる頻度よりも高い。
【0046】
図4に表したように、波長選択透過層20で反射され導光体71の内部に戻った第2光Lbが構造体74に当たると、構造体74に進行方向を変えられるので、導光体71から出射する光の角度は、第2光Lbが構造体74に当たらなかった場合よりも大きくなる場合がある。そうすると、このような光は、再び波長選択透過層20へ入射し波長選択透過層20を透過したとしても波長選択吸収層40により吸収される。従って、高い光利用効率を実現できない場合がある。このように、構造体74は、導光体71から出射する光の取り出し光量を高めることができる一方で、波長選択透過層20で反射され導光体71の内部に戻った第2光Lbが導光体71から出射する光の角度を大きくする。
【0047】
また、参考例として、照明ユニット70がプリズムシートなどの光学シートを有する場合がある。プリズムシートは、導光体71から出射する光の角度を小さくすることができる。しかしながら、構造体74の場合と同様に、波長選択透過層20で反射され導光体71の内部に戻った第2光Lbがプリズムシートに当たると、導光体71から出射する光の角度は、第2光Lbがプリズムシートに当たらなかった場合よりも大きくなる。
【0048】
そのため、光が波長選択透過層20に対して斜めに入射してより短い波長を有する光となり、波長選択吸収層40に吸収されることを抑制するためには、プリズムシートなどの光学シートを使用することなく波長選択透過層20に対して垂直に光を入射させる構造体74を導光体71が有することが望ましい。さらに、波長選択透過層20で反射され導光体71の内部に戻った光が構造体74に当たり、導光体71から出射する光全体の角度分布を大きく乱さない程度に、導光体71に形成される構造体74の数が抑えられることが望ましい。
【0049】
これに対して、図3に表したように、実施形態に係る表示装置110の導光体71に形成された構造体74の数は、参考例に係る表示装置120の導光体71に形成された構造体74の数よりも少ない。具体的には、構造体74の面積率は、例えば約8〜25%程度である。構造体74の面積率は、例えば約15%程度であることがより好ましい。また、実施形態に係る表示装置110の照明ユニット70は、プリズムシートなどの光学シートを有していない。例えば、照明ユニット70と第1基板11との間には空気層が形成されている。あるいは、例えば、照明ユニット70と第1基板11とが接している。
【0050】
参考例に係る表示装置120に関して前述したように、照明光70Lのうちで第1波長帯λaを含む第1光Laは、波長選択透過層20のうちの例えば第3領域20cを通過する。第1光Laは、光制御層50を通過し、さらに第3吸収層40cを通過し、外部に出射する。なお、光制御層50の状態によって、外部に出射する光の強度は変化する。
【0051】
一方、照明光70Lのうちの第1波長帯λa以外の光(例えば第2波長帯λbを含む第2光Lb)は、波長選択透過層20のうちの第3領域20cで反射し、照明ユニット70に戻る。前述したように、実施形態に係る表示装置110の導光体71に形成された構造体74の数は、参考例に係る表示装置120の導光体71に形成された構造体74の数よりも少ない。そのため、実施形態に係る表示装置110の導光体71に戻った第2光Lbが構造体74に当たる頻度は、参考例に係る表示装置120の導光体71の内部に戻った第2光Lbが構造体74に当たる頻度よりも低い。すなわち、構造体74に当たることよって第2光Lbの進行方向が変化し、波長選択透過層20への入射角が大きくなる可能性が低い。
【0052】
図3に表したように、波長選択透過層20で反射され導光体71の内部に戻った第2光Lbが反射膜72で反射すると、波長選択透過層20に入射する。そして、第2光Lbは、波長選択透過層20のうちの例えば第2領域20bを通過する。第2光Lbは、光制御層50を通過し、さらに第2吸収層40bを通過し、外部に出射する。なお、光制御層50の状態によって、外部に出射する光の強度は変化する。
【0053】
このように、実施形態にかかる表示装置110においては、波長選択透過層20が透過する特定の波長領域を透過しなかった光は、照明ユニット70に戻り、構造体74に当たる頻度が低減された状態で反射膜72で反射され再利用される。このため、高い光利用効率が得られる。これにより、色が綺麗で、表示が明るく、コントラストが良好な表示が得られる。また、消費電力を低減できる。
【0054】
ここで、構造体74の例について説明する。
図1および図2に関して前述したように、実施形態にかかる表示装置110の凹部74dは、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを含み、V字型の溝の形状を有する。例えば、構造体74を長手方向(延在方向)にみたときの断面は、頂角θcが約96°の二等辺三角形の形状を有する。つまり、平坦部71eと第1傾斜面74aとの角度(以下、「第1傾斜面74aの傾斜角度」とも称する)θaおよび平坦部71eと第2傾斜面74bとの角度(以下、「第2傾斜面74bの傾斜角度」とも称する)θbは、約42°である。本発明者の検討の結果、第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbが約40°〜50°程度である場合には、導光体71から出射する光の角度がより小さくなることが分かった。これについては、後に詳述する。
【0055】
なお、溝(凹部74d)の形状は、左右対称なV字型であることに限定されるわけではない。つまり、第1傾斜面74aの傾斜角度θaは、第2傾斜面74bの傾斜角度θbと同一であることに限定されるわけではない。例えば、導光体71の第1側面71cから進行してくる光の指向角分布、および第2側面71dから反射してくる光の指向角分布に基づいて、導光体71から出射する光の角度が最小となるように第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbを個別に適宜設定してもよい。導光体71から出射する光の角度は、第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbと、溝に入射してくる光の指向角分布と、によって決定される。
【0056】
次に、テーパ部75の例について説明する。
図1および図2に関して前述したように、導光体71にはテーパ部75が形成されている。テーパ部75は、導光体71の内部を進行する光の指向角分布を導光体71の厚さ方向(Z軸方向)においてより小さくすることができる。
【0057】
例えば、導光体71と空気との界面における光の屈折を考慮すると、導光体71の内部を進行する光の指向角は、最大で約42°程度となる。そのため、テーパ部75の傾斜角度θ(図1参照)は、例えば約10°程度であることが好ましい。また、テーパ部75の長さL(図1参照)は、例えば約4mm〜5mm程度であることが好ましい。
【0058】
テーパ部75の傾斜角度θが10°である場合には、導光体71の内部を進行する光の、テーパ部75での全反射により、光がテーパ部75を出射する角度が、テーパ部75がない場合の入射角と比較して10°小さくなる。そのため、光源73から導光体71に入射した全ての光が少なくとも1回はテーパ部75において全反射するようにテーパ部75の長さLを設定すると、導光体71の厚さ方向の指向角分布を約22°以下に抑えることができる。
【0059】
このように、導光体71の厚さ方向の指向角分布を約22°以下に抑えられた光が構造体74に照射されると、V字型の溝の形状を有する凹部74dの第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbが約40°〜50°程度である場合には、図5に表したように、導光体71から出射する光うちの70%以上の光について、指向角分布を40°以下に抑えることができる。
【0060】
次に、第1の実施形態に係る表示装置の特性の例について説明する。すなわち、第1の実施形態に係る表示装置の特性のシミュレーション結果や実験結果の例について説明する。
【0061】
図6は、第1の実施形態に係る表示装置の特性の実験結果を例示するグラフ図である。 図7は、本実験において使用した表示装置を例示する模式的断面図である。
なお、図6の縦軸は、最大値で規格化した光度Luである。図6の横軸は、導光体から出射した光の指向角Daである。
【0062】
図7に表したように、本実験において使用した表示装置130は、照明ユニット70と、波長選択透過層20と、を備える。本実験において使用した表示装置130は、波長選択吸収層40を備えていない。そして、本実験では、構造体74の面積率Rasが5%、10%、15%、20%、25%、30%の場合のそれぞれにおいて、照明ユニット70から出射し波長選択透過層20を通過した光の光度Luおよび指向角Daを実測した。波長選択吸収層40は設けられていないため、光度Luおよび指向角Daを実測した光は、波長選択吸収層40を通過していない。
【0063】
本実験の結果は、図6に表した如くである。これによれば、照明ユニット70(導光体71)から出射した光の指向角分布は、構造体74の面積率Rasが高いほど広いことが分かる。そして、構造体74の面積率Rasが15%以下の場合において、導光体71から出射した光の指向角分布を比較的狭い範囲に抑えることができることが分かる。一方で、構造体74の面積率Rasが25%以下の場合には、導光体71から出射した光の指向角分布は、比較的広がっていることが分かる。
【0064】
図8は、第1の実施形態に係る表示装置の他の特性のシミュレーション結果を例示するグラフ図である。
図9は、第1の実施形態に係る表示装置のモデルを例示する模式的断面図である。
図10は、参考例に係る表示装置のモデルを例示する模式的断面図である。
なお、図8の縦軸は、取り出し光量Lqである。図8の横軸は、構造体の面積率Rasである。
【0065】
図9に表したように、第1の実施形態に係る表示装置140のモデルは、照明ユニット70と、波長選択透過層20と、を備える。第1の実施形態に係る表示装置140のモデルは、波長選択吸収層40を備えていない。
【0066】
第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bには、実験のために低反射率コート76が塗布されている。低反射率コート76の反射率は、85%である。つまり、低反射率コート76は、入射した光のうちの85%の光を反射し、残りの15%の光を吸収する。低反射率コート76としては、例えばメタルコートなどが用いられる。
【0067】
反射膜72の反射率は、99%である。
構造体74のピッチPsは、導光体71の全体において略一定である。ここで、構造体74のピッチPsとは、隣り合うV字型の溝の頂点同士の間の距離をいうものとする。
【0068】
図10に表したように、参考例に係る表示装置150のモデルは、照明ユニット70を備える。参考例に係る表示装置150のモデルは、波長選択透過層20および波長選択吸収層40を備えていない。そのため、参考例に係る表示装置150のモデルでは、光が波長選択透過層20の特定の領域で反射されることはない。また、光が照明ユニット70に戻り再利用されることはない。さらに、図9に表した第1の実施形態に係る表示装置140のモデルのようには、低反射率コート76は、塗布されていない。
第1の実施形態に係る表示装置140のモデルと同様に、反射膜72の反射率は、99%である。また、構造体74のピッチPsは、導光体71の全体において略一定である。構造体74のピッチPsは、例えば約70マイクロメートル(μm)〜100μm程度であることが好ましい。
【0069】
本シミュレーションでは、図9および図10に表したモデルのそれぞれにおいて、構造体の面積率Rasに対する取り出し光量Lqを計算した。本シミュレーションの結果は、図8に表した如くである。これによれば、参考例に係る表示装置150のモデルでは、光が照明ユニット70に戻り再利用されることはないため、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqは、構造体74の面積率Rasが高くなるにつれて増加している。そして、このような表示装置に波長選択吸収層40が設けられた場合には、特定の波長帯以外の光は、波長選択吸収層40により吸収される。つまり、光の損失が発生する。
【0070】
一方、第1の実施形態に係る表示装置140のモデルにおいて、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqは、構造体74の面積率Rasが約13%程度までは増加している。これは、構造体74により光取り出し効率が高められるためである。また、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqは、構造体74の面積率Rasが約15%程度よりも高くなるにつれて減少している。
【0071】
前述したように、低反射率コート76の反射率は、85%である。光が低反射率コート76と当たる回数が多いほど、光が低反射率コート76に吸収される。また、面積率Rasが高いほど、波長選択透過層20で反射し照明ユニット70に戻った光が構造体74に当たる回数が多くなる。すなわち、取り出し光量Lqが減少することは、光が構造体74に当たる回数が多いことを意味する。そして、光が構造体74に当たる回数が多いほど、波長選択透過層20への入射角が大きくなる確率が高くなることを意味する。このような理由により、本シミュレーションのように、反射率が比較的低い低反射率コート76を第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bに塗布し、構造体74の面積率Rasを高くしていくと、構造体74の面積率Rasがある値よりも高くなったときに取り出し光量Lqが減少していくと考えられる。そのときの構造体74の面積率Rasが、約15%程度であると考えられる。以上のように、面積率Rasが約13%程度よりも高くなるほど、波長選択透過層20で反射され導光体71の内部に戻った光が構造体74に当たる頻度が増加し、導光体71から出射する光の角度を大きくする構造体74の作用力が、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqを高める構造体74の作用力よりも大きくなると言える。
【0072】
図11は、第1の実施形態に係る表示装置のさらに他の特性のシミュレーション結果を例示するグラフ図である。
図12は、第1の実施形態に係る表示装置のモデルを例示する模式的断面図である。
なお、図11の縦軸は、取り出し光量Lqである。図11の横軸は、構造体の面積率Rasである。
【0073】
図12に表したように、第1の実施形態に係る表示装置160のモデルは、照明ユニット70と、波長選択透過層20と、を備える。第1の実施形態に係る表示装置140のモデルは、波長選択吸収層40を備えていない。
【0074】
構造体74を長手方向にみたときの断面は、第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbが45°の二等辺三角形の形状を有する。第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bには、低反射率コート76が塗布されている。低反射率コート76の反射率は、85%である。つまり、低反射率コート76は、入射した光のうちの85%の光を反射し、残りの15%の光を吸収する。低反射率コート76としては、例えばメタルコートなどが用いられる。
【0075】
反射膜72の反射率は、99%である。
構造体74のピッチPsは、導光体71の全体において略一定である。構造体74のピッチPsは、例えば約70μm〜100μm程度であることが好ましい。
ここで、構造体74の深さDsとは、導光体71の第1主面71aと、V字型の溝の頂点と、の間の距離をいうものとする。
【0076】
本シミュレーションでは、構造体74の深さDsを10μmおよび50μmに設定した場合のそれぞれにおいて、構造体の面積率Rasに対する取り出し光量Lqを計算した。本シミュレーションの結果は、図11に表した如くである。これによれば、構造体74の深さDsが10μmおよび50μmである場合において、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqは、構造体74の面積率Rasが約15%程度までは増加している。一方、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqは、構造体74の面積率Rasが約15%程度よりも高くなるにつれて減少している。これは、図8〜図10に関して前述した理由と同様であると考えられる。
【0077】
また、構造体74の面積率Rasが例えば約8〜25%程度である場合には、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqをより多い量に維持することができることが分かる。言い換えれば、構造体74の面積率Rasが約8%よりも低い場合、あるいは構造体74の面積率Rasが約25%よりも高い場合には、導光体71から出射する光の取り出し光量Lqをより多い量に維持することは困難である。これにより、構造体74の面積率Rasは、例えば約8〜25%程度であることが好ましい。また、構造体74の深さDsは、例えば約5μm〜7μm程度であることが好ましい。
【0078】
図13(a)および図13(b)は、第1の実施形態に係る表示装置のさらに他の特性のシミュレーション結果および実験結果を例示するグラフ図である。
図14は、導光体のモデルおよび実験に用いた導光体を例示する模式的断面図である。
なお、図13の縦軸は、指向性値Vdである。図13の横軸は、傾斜角度θa(θb)である。また、図13(a)は、シミュレーション結果を例示するグラフ図である。図13(b)は、実験結果を例示するグラフ図である。
【0079】
図14に表したように、本シミュレーションのモデルの導光体71および本実験の試料の導光体71に形成された凹部74dは、V字型の溝の形状を有する。第1傾斜面74aの傾斜角度θaは、第2傾斜面74bの傾斜角度θbと同一である。つまり、構造体74を長手方向にみたときの断面は、二等辺三角形の形状を有する。
【0080】
本シミュレーションでは、第1傾斜面74aの傾斜角度θa(第2傾斜面74bの傾斜角度θb)に対する導光体71から出射した光の指向性値を計算および実測した。
ここで、本願明細書において「指向性値」とは、導光体71から出射した全ての光の光量うちで導光体71から出射する光の角度が30°以下の光の光量が占める割合をいうものとする。したがって、指向性値がより高い場合には、導光体71から出射した光の指向角分布がより狭い範囲に抑えられていることを意味する。
【0081】
本シミュレーションの結果は、図13(a)に表した如くである。また、本実験の結果は、図13(b)に表した如くである。これらによれば、導光体71から出射した光の指向性値Vdは、傾斜角度θa(θb)が約40°〜50°程度であるときに比較的高く維持されていることが分かる。つまり、傾斜角度θa(θb)が約40°〜50°程度であるときに、導光体71から出射した光の指向角分布がより狭い範囲に抑えられている。これにより、第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbは、例えば約40°〜50°程度であることが好ましい。
【0082】
図15(a)および図15(b)は、第1の実施形態に係る他の表示装置の導光体を例示する模式図である。
なお、図15(a)は、図15(b)に表したA−A切断面における模式的断面図である。図15(b)は、導光体71の第1主面71aを垂直にみたときの模式的平面図である。
【0083】
図15(a)および図15(b)に表した凹部77dは、四角錐の溝の形状を有する。図15(a)に表したように、導光体71の第1主面71aは、第1主面71aに対して傾斜した第1傾斜面77aおよび第2傾斜面77bを有する複数の凹部77dと、複数の凹部77dが設けられていない平坦部71eと、を有する。第1傾斜面77aおよび第2傾斜面77bは、光源73が配置された第1側面71cと非垂直である。
【0084】
例えば、構造体77を長手方向にみたときの断面は、頂角θcが約96°の二等辺三角形の形状を有する。つまり、第1傾斜面77aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面77bの傾斜角度θbは、約42°である。構造体77の面積率は、例えば約8〜25%程度である。構造体77の面積率は、例えば約15%程度であることがより好ましい。構造体77は、導光体71の第1主面71aの全体に亘って均一に設けられている。そのため、構造体77の面積率は、第1主面71aの全体に亘って均一である。
【0085】
構造体77は、導光体71の内部を伝搬する光の進行方向を変え、光を小さな入射角で波長選択透過層20に入射させる。そのため、図3〜図5に関して前述したように、波長選択透過層20の特定の領域を透過しなかった光は、照明ユニット70に戻り、構造体77に当たる頻度が低減された状態で反射膜72で反射され再利用される。このため、高い光利用効率が得られる。これにより、色が綺麗で、表示が明るく、コントラストが良好な表示が得られる。また、消費電力を低減できる。
【0086】
図16(a)および図16(b)は、第1の実施形態に係るさらに他の表示装置の導光体を例示する模式図である。
なお、図16(a)は、図16(b)に表したB−B切断面における模式的断面図である。図16(b)は、導光体71の第1主面71aを垂直にみたときの模式的平面図である。
【0087】
図16(a)および図16(b)に表した凹部78dは、いわゆるV字型の溝の形状を有する。構造体78は、光源73が配置された第1側面71cと略平行に延在している。図16(b)に表したように、構造体78は、図1および図2に関して前述した構造体74のようには導光体71の一方の側面からその側面に対向する他方の側面までは延在せず、導光体71の一方の側面から導光体71の略中央部まで延在している。つまり、複数の構造体78が構造体78の長手方向(延在方向)に沿って略直線状に設けられている。図16(b)に表した導光体71では、構造体78の長手方向に沿って略直線状に設けられた構造体78の数は、2であるが、これだけに限定されず3以上であってもよい。
【0088】
図16(a)に表したように、導光体71の第1主面71aは、第1主面71aに対して傾斜した第1傾斜面78aおよび第2傾斜面78bを有する複数の凹部78dと、複数の凹部78dが設けられていない平坦部71eと、を有する。第1傾斜面78aおよび第2傾斜面78bは、光源73が配置された第1側面71cと非垂直である。構造体78の面積率は、例えば約8〜25%程度である。構造体78の面積率は、例えば約15%程度であることがより好ましい。構造体78は、導光体71の第1主面71aの全体に亘って均一に設けられている。そのため、構造体78の面積率は、第1主面71aの全体に亘って均一である。
【0089】
構造体78は、導光体71の内部を伝搬する光の進行方向を変え、光を小さな入射角で波長選択透過層20に入射させる。このとき、構造体78の面積率は、例えば約8〜25%程度である。そのため、図15に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0090】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る表示装置用バックライトについて、図面を参照しつつ説明する。
図17は、第2の実施形態に係る表示装置用バックライトの構成を例示する模式的断面図である。
【0091】
図17に表したように、本実施形態に係る照明ユニット(表示装置用バックライト)70は、導光体71と、反射膜72と、光源73と、を有する。反射膜72および光源73については、図1および図2に関して前述した反射膜72および光源73とそれぞれ同様である。
【0092】
導光体71は、第1主面71aと、第1主面71aとは反対側の第2主面71bと、第1側面71cと、第1側面71cとは反対側の第2側面71dと、を有する。第1主面71aは、第2主面71bと平行している。導光体71の第1主面71aには、構造体74が形成されている。構造体74は、例えば、光の進行方向を変える機能を有する。構造体74は、例えば、光を反射させて、光の進行方向を変える。構造体74は、光源73が配置された第1側面71cと略平行に延在している(図2参照)。構造体74としては、例えば、溝などの凹凸形状を有する構造体が用いられる。図17に表した照明ユニット70では、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを有する凹部74dが構造体74として用いられている。
【0093】
つまり、図17に表したように、導光体71の第1主面71aは、第1主面71aに対して傾斜した第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bを有する複数の凹部74dと、複数の凹部74dが設けられていない平坦部71eと、を有する。
【0094】
具体的には、凹部74dは、いわゆるV字型の溝の形状を有する。構造体74の面積率は、例えば約8〜25%程度であることが好ましい。構造体74の面積率は、例えば約15%程度であることがより好ましい。構造体74は、導光体71の第1主面71aの全体に亘って均一に設けられている。そのため、構造体74の面積率は、第1主面71aの全体に亘って均一である。
【0095】
第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bは、光源73が配置された第1側面71cと非垂直である。言い換えれば、導光体71の第1主面71aを垂直にみたときに、第1傾斜面74aの法線および第2傾斜面74bの法線は、第1側面71cの法線と平行している。つまり、第1傾斜面74aおよび第2傾斜面74bは、第1側面71cと略平行な辺を有する。
【0096】
光源73で生成された光は、第1側面71cから導光体71の内部に入射する。導光体71の内部に入射した光は、導光体71と空気との界面において例えば全反射しながら導光体71の内部を伝搬する。あるいは、導光体71の内部に入射した光は、反射膜72において反射しながら導光体71の内部を伝搬する。
【0097】
構造体74は、導光体71の内部を伝搬する光の進行方向を変え、光を導光体71の外部へ出射させる。このとき、構造体74の面積率が例えば約8〜25%程度である場合において、実施形態に係る照明ユニット70が干渉型のカラーフィルタを有する表示装置のバックライトとして使用されたときには、導光体71から出射する光の取り出し光量をより高めることができる。つまり、光の利用効率を高めることができる。
【0098】
例えば、構造体74を長手方向にみたときの断面は、頂角θcが約96°の二等辺三角形の形状を有していてもよい。つまり、第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbは、約42°であってもよい。この場合には、導光体71から出射する光の角度をより小さくすることができる。
【0099】
また、図17に表した導光体71においては、第1主面71aと第1側面71cとに対して傾斜したテーパ部75が形成されている。また、第2主面71bと第1側面71cとに対して傾斜したテーパ部75が形成されている。テーパ部75の傾斜角度θは、例えば約10°程度である。テーパ部75の長さLは、例えば約3mm〜4mm程度である。
【0100】
テーパ部75の傾斜角度θが10°である場合には、導光体71の内部を進行する光がテーパ部75において1回の全反射をすると、導光体71の厚さ方向の指向角は、全反射をする前の進行方向から20°だけ逆方向になる。そのため、光源73から導光体71に入射した全ての光が少なくとも1回はテーパ部75において全反射するようにテーパ部75の長さLを設定すると、導光体71の厚さ方向の指向角分布を約20°以下に抑えることができる。
【0101】
このように、導光体71の厚さ方向の指向角分布を約20°以下に抑えられた光が構造体74に照射されると、V字型の溝の形状を有する凹部74dの第1傾斜面74aの傾斜角度θaおよび第2傾斜面74bの傾斜角度θbが約40°〜50°程度である場合には、導光体71から出射する光うちの70%以上の光について、指向角分布を40°以下に抑えることができる。
【0102】
また、図17に表したように、導光体71の第2側面71dは、第1主面71aに対して垂直ではなく傾斜している。第1主面71aの延長線に対する第2側面71dの傾斜角度θは、例えば約80°程度である。この場合には、導光体71の内部を水平方向(第1主面71aに平行方向)に進行する光が第2側面71dに配置された反射膜72において1回の反射をすると、導光体71の厚さ方向の指向角は、全反射をする前の進行方向から20°だけ逆方向になる(θ=20°)。そして、導光体71と空気との界面において例えば全反射し構造体74により進行方向を変えられた光は、照明光70Lとして導光体71から外部へ出射する。
なお、導光体71の第2側面71dは、第1主面71aに対して垂直であってもよい(図1参照)。
【0103】
上記では、光制御層50として液晶を用いる例について説明したが、実施形態において、光制御層50の構成は任意である。光制御層50として、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたメカニカルなシャッタなどを用いることもできる。
【0104】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置に含まれる第1基板、第2基板、波長選択透過層、スイッチング素子、光制御層、波長選択吸収層、及び照明ユニットなどの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0105】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0106】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置及び表示装置用バックライトを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及び表示装置用バックライトも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0107】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
11 第1基板、 11a 第1主面、 11b 第2主面、 12 第2基板、 12a 第1主面、 12b 第2主面、 20 波長選択透過層、 20a 第1領域、 20b 第2領域、 20c 第3領域、 32a 第1スイッチング素子、 32b 第2スイッチング素子、 32c 第3スイッチング素子、 40 波長選択吸収層、 40a 第1吸収層、 40b 第2吸収層、 40c 第3吸収層、 50 光制御層、 70 照明ユニット、 70L 照明光、 71 導光体、 71a 第1主面、 71b 第2主面、 71c 第1側面、 71d 第2側面、 71e 平坦部、 72 反射膜、 73 光源、 74 構造体、 74a 第1傾斜面、 74b 第2傾斜面、 74d 凹部、 75 テーパ部、 76 低反射率コート、 77 構造体、 77a 第1傾斜面、 77b 第2傾斜面、 77d 凹部、 78 構造体、 78a 第1傾斜面、 78b 第2傾斜面、78d 凹部、 110、120、130、140、150、160 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する側面と、を有する導光体と、
前記側面から前記導光体の内部へ光を入射させる光源と、
前記第2主面の上に設けられ、可視光のうち第1波長帯の光を透過させ前記第1波長帯を除く波長帯の光を反射させる第1領域と、可視光のうち前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を透過させ前記第2波長帯を除く波長帯の光を反射させる第2領域と、を有する波長選択透過層と、
前記波長選択透過層の上に設けられ、通過する光の強度を変化させる光制御層と、
を備え、
前記第1主面は、前記第1主面に対して傾斜した傾斜面を有する複数の凹部を有し、
前記第1主面の面積に対する、前記複数の凹部のそれぞれを前記第1主面に投影した合計の面積の比率は、8%〜25%であり、
前記複数の凹部は、前記第1主面に均一に設けられている表示装置。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記側面と非垂直に設けられ、前記側面と平行な辺を有する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記波長選択透過層は、異なる屈折率を有する複数の誘電体膜が積層された構造を有し、
前記複数の誘電体膜の少なくともいずれかの主面は、前記導光体の前記第1主面と平行している請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1主面に対する前記傾斜面の角度は、40°〜50°である請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記凹部は、V字型の溝の形状を有する請求項1〜4のいずれか1つの記載の表示装置。
【請求項6】
前記凹部は、四角錐の溝の形状を有する請求項1〜4のいずれか1つの記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1主面に対して垂直な方向に沿ってみたときに、前記第1領域と重なる部分を有する第1吸収層と、
前記第1主面に対して垂直な方向に沿ってみたときに、前記第2領域と重なる部分を有し前記第1吸収層の吸収スペクトルとは異なる吸収スペクトルを有する第2吸収層と、
を含み前記光制御層の上に設けられた波長選択吸収層をさらに備えた請求項1〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とに接続された側面と、を有する導光体と、
前記側面から前記導光体の内部へ光を入射させる光源と、
を備え、
前記第1主面は、前記第1主面に対して傾斜した傾斜面を有する複数の凹部を有し、
前記第1主面の面積に対する、前記複数の凹部のそれぞれを前記第1主面に投影した合計の面積の比率は、8%〜25%であり、
前記複数の凹部は、前記第1主面に均一に設けられている表示装置用バックライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−64936(P2013−64936A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204528(P2011−204528)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】