表示装置及び誘導灯
【課題】非常用電源の使用時において、有機ELパネルの発光色や視認性を保ちながら、非常用電源の電力消耗を抑えた表示装置及び誘導灯を提供する。
【解決手段】電極に挟持され、発光色の異なる有機ELブロック36,37と、有機ELブロック36,37へ供給する電流を所望の電流値に制御する電流制御部34,35と、交流電源30が所望の機能を果たさない非常時において電流制御部34,35に電流を供給する非常用電源33とを備える表示装置1において、面状発光素子は少なくとも2以上のグループである有機ELブロック36,37に分けられており、電流制御部34,35は、非常用電源33によって動作するとき、有機ELブロック36,37の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させる。
【解決手段】電極に挟持され、発光色の異なる有機ELブロック36,37と、有機ELブロック36,37へ供給する電流を所望の電流値に制御する電流制御部34,35と、交流電源30が所望の機能を果たさない非常時において電流制御部34,35に電流を供給する非常用電源33とを備える表示装置1において、面状発光素子は少なくとも2以上のグループである有機ELブロック36,37に分けられており、電流制御部34,35は、非常用電源33によって動作するとき、有機ELブロック36,37の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELパネルを用いた表示装置及び誘導灯に関し、特に停電等の非常用電源の使用時における有機ELパネルを用いた表示装置及び誘導灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、停電等の非常時に誘導灯が消灯されることがないように、例えば、商用電源の供給を受けて二次電池を充電する充電回路とを備えて、停電時は二次電池から電力供給を受けて発光ダイオードに点灯電力を供給する誘導灯がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、図13に示すように、近年、薄型で、更に長寿命が期待される有機EL(Electro Luminescence)等の面状発光素子133を誘導灯パネル132のバックライトとして用いた有機EL素子誘導灯131が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
そして、これらの発光ダイオードや有機ELパネルを用いた非常用誘導灯においては、停電等の非常時において、非常用電源の消耗が早く長時間点灯できないという問題を防止するために、発光素子である発光ダイオードや有機ELパネルに流す電流を低減させて停電時の輝度低減によって非常用電源の消耗を抑える方法がある。
【0005】
この場合、有機ELパネルや発光ダイオードを一定の光出力で点灯させる場合に比べて消費電力を低減することが可能になり、また、非常時の点灯時間を同程度とした場合は二次電池の電池容量を小さくできコストダウンを図ることができる。
【0006】
しかしながら、特に有機EL素子を用いた誘導灯においては、従来のように非常時において単純に発光層への直流電流値を低減させると、有機ELの発光素子の特性によって定格電流を流した際の発光色と異なる色での発光してしまうという問題がある。
【0007】
そして、非常用誘導灯の場合には「緑色と白色の二色を用いて人が避難するマーク」での発光と定められているために、特に非常用誘導灯では緑色と白色とが本来発色すべき色の範囲から外れたり、緑色と白色とのコントラストが悪くなるという問題を避ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−187845号公報
【特許文献2】特開2008−165337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、非常用電源の使用時において、有機ELパネルの発光色や視認性を保ちながら、より非常用電源の電力消耗を抑えた表示装置及び誘導灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、電極に挟持される発光層を有する面状発光素子と、前記面状発光素子へ供給する電流を所望の電流値に制御する電流制御手段と、商用電源が所望の機能を果たさない非常時において前記電流制御手段に電流を供給する非常用電源とを備える表示装置において、前記面状発光素子は、発光層の種類の異なる複数の面状発光素子から構成され、前記複数の面状発光素子は少なくとも2以上のグループに分けられており、前記電流制御手段は、前記非常用電源によって動作するとき、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記電流制御手段は、前記複数の面状発光素子のグループ毎に接続された複数の電流制御部から構成され、前記複数の電流制御部は、前記非常用電源によって動作するときに、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2記載の表示装置において、前記非常用電源が動作するときには、前記複数の電流制御部が前記面状発光素子に対して供給する電流のタイミングをPWM信号を用いて制御するタイミング制御手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記非常用電源が動作するときには、前記電流制御手段から供給される電流の出力を、前記各グループに属する面状発光素子ごとに切り替えて電流を供給する負荷選択手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置において、前記表示装置において前記電流制御手段は、前記非常用電源の使用時において前記各グループに属する面状発光素子に対して供給する電流のピーク値と、通常時において前記面状発光素子に供給する電流のピーク値とが略等しくなるように電流を供給することを特徴とするものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする誘導灯である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、非常用電源の使用時には、面状発光素子の属するグループ毎に発光タイミングをずらして点滅制御できるために、面状発光素子の発光色の変化を防止し、また全面を発光させる場合に比較して、確実に非常用電源の電力消耗を抑え、より長期間発光できる表示装置とすることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、複数の電流制御部を用いて、非常用電源の使用時には、所定の電流制御部に接続した面状発光素子の属するグループ毎に発光タイミングをずらして点滅制御できる。
【0018】
請求項3の発明によれば、電流制御手段は、PWM信号を用いて接続した複数の面状発光素子に電流のパルス信号を送り、各グループに属する面状発光素子を点滅制御できる。
【0019】
請求項4の発明によれば、負荷選択手段を用いることで、1つの電流制御手段の構成においても各グループに属する面状発光素子を選択的に点滅発光できるため、電流制御手段に要する電力を抑制して、より省電力化を図った表示装置とすることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、通常時と非常時とで面状発光素子に対して供給する電流のピーク値を略同じとすることにより、電力の消耗を抑えることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、非常時において、発光色を維持しつつ、所定グループに属する面状発光素子を交互に点滅させて、より省電力化を図った有機ELパネルを用いた誘導灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示パネルを用いた表示装置の分解斜視図。
【図2】(a)は本発明の実施の形態1に係る表示装置に用いられる有機ELパネルの発光素子と点灯回路の説明図、(b)は有機ELパネルの断面図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る表示装置の機能ブロック図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る表示装置において、非常時における電流制御部及び非常用電源の電源出力の説明図。
【図5】非常時に電流ピーク値を変更させた場合の電流制御部及び非常用電源の電源出力の説明図。
【図6】非常用電源で動作しているときの表示装置の表示例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1に係る表示装置の動作手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施の形態1の変形例1に係る表示装置の機能ブロック図。
【図9】変形例1に係る電流制御部からのタイミング制御信号の例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態2に係る表示装置の機能ブロック図。
【図11】本発明の実施の形態2に係る表示装置の負荷選択部の動作説明図。
【図12】本発明の実施の形態2に係る表示装置の動作手順を示すフローチャート。
【図13】従来の有機EL発光素子を用いた誘導灯の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る表示装置及び誘導灯について図面を参照して説明する。図1(a)に示すように、表示装置1は、有機ELパネル10と器具本体部11とから構成される。
【0024】
有機ELパネル10は、発光素子として有機ELを用いて「緑色と白色の二色を用いて人が避難するマーク」を発光させて非常時用の誘導灯として用いられる。なお、表示装置1には液晶パネルに用いるLED方式のように導光板が不要なので薄型な構成とできる。また、器具本体部11のボックス11a内には、非常用電源や非常時において有機ELパネル10の緑色と白色の発光を制御するための電流制御部等が納装されている。なお、図1(b)は表示装置を誘導灯として使用する場合の外観である。
【0025】
次に、有機ELパネルの構造に関して図2を参照して説明する。図2(a)に示すように、有機ELパネル10は、有機化合物を含む面状の発光層21が表示面側の面状陽極電極22と面状陰極電極23の間に挟持され構成されている。有機ELパネル10は、定電流源24からの直流の電圧を陽極取出し部22a及び陰極取出し部23aに印加することによって、発光層21に含まれる有機化合物の励起子を発生させ、この励起子が基底状態に戻るときに放射される光を外部に取り出すものである。
【0026】
図2(b)は有機ELパネル10の断面図に示し、例えば表示面側である透明ガラス25、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等で形成された透明電極である面状陽極電極22、緑色の発光層21aと白色の発光層21bとが同一層に形成された発光層21、及び面状陰極電極23から構成される。
【0027】
このように、有機ELパネル10の発光層21は発光色の異なる緑色の発光層21a及び白色の発光層21bが同一平面状に形成され、発光色に応じて別々の電流制御部に接続されている。この構成により、表示装置1は、有機ELパネル10の緑色の発光面の形状を例えば人の形にして、人の形のみを緑色に光らせたり、緑色と背景部分の白色とを交互に点滅発光させることが可能となり、緑色と白色の点滅発光による視認性の高い誘導灯を実現できる。
【0028】
なお、本実施の形態1においては、緑色と白色とで説明するが面状発光素子の色はこれに限られるものではない。また、図2(b)の有機ELパネル10の断面構造は一例であり、電子輸送層、正孔輸送層その他の層が形成されている構成とすることもできる。
【0029】
次に、本実施の形態1に係る表示装置1の機能構成に関して図3を用いて説明する。表示装置1は、交流電源30、AC/DC変換部31、充放電部32、非常用電源33、電流制御部34,35、及び有機ELブロック36,37を備える。なお、図3において交流電源30からの入力を描いているが、本発明において非常用電源33への充放電部32やAC/DC変換部31の構成は必須ではない。
【0030】
交流電源30は、例えば100Vの商用電源である。AC/DC変換部31は、交流電源30からの交流の商用電源を定電圧の直流電圧に変換する回路である。充放電部32は、非常用電源33の充電を行うと共に、直流電源を電流制御部34及び35に振り分ける。また、AC/DC変換部31からの電流の入力がない場合には、非常用電源33から電流を取り出し、電流制御部34,35に振り分ける。
【0031】
非常用電源33は、バッテリー等の二次電池であり、停電等の交流電源30の使用不能時に使用される。この非常用電源33は、通常時において充放電部32を介して常時通電され充電された状態になっており、非常時に交流電源の供給が絶たれた場合に電流制御部34,35へ給電する機能を有するものである。
【0032】
電流制御部34,35は、図示していないがDC−DCコンバータ(例えばシリーズレギュレータやスイッチングレギュレータ)、抵抗、定電流ダイオード等の回路で構成される。また、電流制御部34,35は、通常時においては交流電源30を介して有機ELブロック36,37に対して所定の電流を流す一方、停電等の非常時において、有機ELブロック36,37に対して非常用電源33からの制御した電流を流す。この電流制御部34,35は、有機ELブロック36,37に流れる電流の平均値を調整することで有機ELブロック36,37の発光量を調光する。
【0033】
そして、有機ELブロック36,37の輝度は電流の平均値に比例するので、発光色の変化を抑制するために、電流制御部34,35は、例えば電流値を時分割、すなわち周期Tごとに幅ΔTのパルスを出力するようPWM(Pulse With Moduration)信号による調光を行う。なお、電流の振幅を調整する振幅変調でも調光は可能である。
【0034】
有機ELブロック36,37は、面状発光素子である有機ELを用いた発光層を有し、有機ELブロック36は白色の面状発光素子(即ち、RGB全ての発光層が形成)、有機ELブロック37は緑色の面状発光素子(即ち、Gの発光層が形成)から構成される。
【0035】
また、有機ELブロック36,37は、通常時にはプラス電極とマイナス電極とを電流制御部34,35に接続して電流の供給を受ける一方、非常時には電流制御部34,35における電流制御に応じて交互に点滅される。
【0036】
次に、非常時における電流制御部34,35、及び非常用電源33の電源出力を図4を用いて説明を行う。図4では、非常時における電流制御部34の電源出力41、電流制御部35の電源出力42、及び非常用電源33の電源出力43を示している。
【0037】
通常時において、有機ELブロック36,37に対応する白色と緑色の各面状発光素子は、交流電源30からの電源供給によって、所定の電流I1及びI2にて定格点灯されている。一方、停電等の非常時においては、非常用電源33を電源として、図4の41及び42に示すように、緑色の発光面と白色の発光面とでタイミングをずらして交互に電流を供給することで有機ELブロック36,37の発光色を変化させることなく交互に点滅点灯させる。
【0038】
また、有機ELブロック36,37の輝度に関して説明すると、図4に示すように電流制御部34,35は、有機ELブロック36,37の輝度を0.5倍、発光素子に供給する電流の平均値を概ね0.5倍となるように、PWM信号による負荷制御によって出力を調整する。
【0039】
また、本実施の形態1に係る表示装置では、図4に示すように、電流のピーク値を通常時と非常時とで同じとしている。そして、この電流ピーク値の制御は、電流制御部34,35が行うのではなく、例えば回路に設けた固定抵抗による電流制御でもよい。このことで、電流供給中の電流ピーク値を一定に保つ制御を通常時と停電時で共通とでき、また通常時と非常時における電流供給時の振幅値等が一定になるため、過不足ない定格の部品等を使用することができる。また、通常時と非常時の電流ピークを同等の値とするのみでなく、より一層の消費電力削減のために非常時の電流ピーク値を通常時より下げても構わない。
【0040】
図5は、非常時に電流ピーク値を変更させた場合の電流制御部34,35、及び非常用電源33の電源出力の説明図である。そして、図4と図5に示す電流ピーク値を非常時と通常時とで変更させない場合とでの発光効率を比較する。なお、ここでは非常用電源33の出力インピーダンスや出力調整部までの配線の抵抗成分をまとめて抵抗Rとして計算する。
【0041】
ここで、I1の出力電流を得るときに抵抗R(Ω)を流れる電流をI1i(A)、I2の出力電流を得るときにRを流れる電流をI2i(A)と定義して、消費電力P(W)を算出すると、図4の場合は(式1)となり、図5の場合は(式2)となる。
P(6)=0.5×R×I1i2+1/2×R×I2i2・・・(1)
P(7)=0.5×R×(I1i+I2i)2・・・(2)
【0042】
従って、図4と図5の消費電力を比較するため(式3)を算出する。
P(7)−P(6)=0.5×R×(I1i×I2i)・・・(3)
【0043】
このように、緑色と白色の発光素子の輝度は同じであるにもかかわらず、図5の場合より図4の電流制御の方が消費電力のロスが小さく、2次電池の消耗を抑えることができることが分かる。従って、面状発光素子に負荷される平均電流値は同じであるが、面状発光素子の色の異なる各グループを同じタイミングで間歇点灯させる場合に比して、電流ピークを同じとする方が消費電力が小さく、ロスが少なくなることが分かる。
【0044】
次に、図6を参照して非常用電源で動作しているときの表示装置1における表示例を説明する。図6(a)は、緑色の発光素子61のみの発光時、図6(b)は、白色の発光素子62のみの発光時を示す。表示装置1では、非常時において、有機ELパネルの緑色の面状発光素子61及び白色の面状発光素子62が交互に点滅する。このため、誘導灯の省電力化を図ると共に、人の視認性を低下させない。
【0045】
次に、本実施の形態1に係る表示装置1の動作手順を示す図7を用いて説明する。最初に、電流制御部34,35は、非常用電源の使用中か否かを所定信号入力により判定する(S71)。次に、信号が確認された場合には(S71でYes)、電流制御部34,35は、緑色と白色とでグループ分けされた面状発光素子へ、PWM制御された間欠的なパルス信号を用いて制御された電流を送信する(S72)。このことで、非常用誘導灯では緑色と白色との点滅が開始される。一方、信号が確認されていない通常の場合には(S71でNo)、電流制御部34,35は、特に制御を開始しない。
【0046】
そして、非常用電源の使用中止か否かを確認して(S73)、使用中止の場合には(S73でYes)、再度S71以下の処理に戻り、使用が中止されていない場合にはS72の処理を行う。
【0047】
(第1の変形例)
本実施の形態1の第1の変形例について、図8の本変形例に係る表示装置8の機能ブロック図を参照して説明する。本変形例では、図3に示す表示装置1の機能構成に加えて、タイミング制御部81を設けることを特徴とする。
【0048】
タイミング制御部81は、有機ELブロック36,37の調光負荷のため、非常用電源33の使用時には例えばPWM信号を電流制御部34,35に対して送信することで交互に電流供給を行うようにトリガを与える。
【0049】
(第2の変形例)
本実施の形態1の第2の変形例について、図9を参照して説明する。本変形例では面状発光素子への電流の負荷期間を消費電力の異なる発光色に応じて変更するものである。
【0050】
図9は、電流制御部からのタイミング制御信号の例を示し、図9の91に示すように白色の面状発光素子に対して電流供給する期間を、92に示す緑色の面状発光素子に対して電流供給する期間より長くしている。なお、緑色の発光効率は約70lm/W、白色の発光効率は約20lm/Wである。
【0051】
なお、有機ELパネルの調光の度合いとして、非常用電源の電流の負荷が50%以下であれば、両方の発光素子に電流を供給することのないようにタイミングをずらすことが可能であり、電流の50%以上の負荷による輝度が必要な場合は、同時に供給する期間を可能な限り短くすることで電力消費を極力抑えることができる。
【0052】
以上の説明のように、本実施の形態1に係る表示装置1において電流制御部34,35は、非常用電源の使用時に、緑色と白色のグループに分けられた有機ELブロック36,37を点滅発光させるようPWM制御等を行う。このため、表示装置1は、非常時においても通常時と同程度のピーク電流で発光色を維持しつつ、緑色と白色と発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることが可能となる。従って、表示装置1は、非常時において、誘導灯の視認性を低下させることなく、より低消費電力化を図ることができる。
【0053】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る表示装置について図10乃至12を参照しながら説明を行う。
【0054】
表示装置100は、電流制御部101を共通とし、また電流を供給する発光素子をスイッチ素子等によってタイミングをずらして切り替える負荷選択部102を設けている。なお、上記実施の形態1に係る表示装置と同じ処理部には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
次に、負荷選択部102の動作を図11を参照して説明する。この負荷選択部102は、停電時にはスイッチ素子S1、及びS2を用いて、電流制御部101からの電流供給先の発光素子を図11の111に示す白色の有機ELブロック37と112に示す緑色の有機ELブロック38と交互に間欠的に切り替える。なお、負荷選択部102は、面状発光素子の切り替えのタイミングと同時に、電流の負荷値を制御することも可能である。
【0056】
そして、本実施の形態2に係る表示装置100の動作手順を図12を参照して説明すると、最初に、負荷選択部102は、非常用電源の使用中か否かを所定信号入力により判定する(S121)。
【0057】
次に、信号が確認された場合には(S121でYes)、負荷選択部102は、緑色と白色とでグループ分けされた面状発光素子への負荷選択の切り替え処理を行う(S122)。このことで、非常時では緑色と白色との点滅が開始される。一方、信号が確認されていない通常の場合には(S121でNo)、負荷選択部102は、特に制御を開始しない。
【0058】
そして、非常用電源の使用中止か否かを確認して(S123)、使用中止の場合には(S123でYes)、再度S121以下の処理に戻り、使用が中止されていない場合にはS122の処理を行う。
【0059】
以上の説明のように、本実施の形態2に係る表示装置100は、負荷選択部102を設けたので、発光色に基づいてグループ分けされた有機ELブロック36,37の発光タイミングを相互にずらすように点滅発光させることができる。また、表示装置100は、1つの電流制御部101、すなわち複数の電流制御部を要しないため電流消費を抑制できる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、各実施の形態の説明においては、発光素子として有機EL発光素子を用いているが、無機EL発光素子、発光ダイオード、他の直流電流の供給によって点灯するものに対しても適用可能である。
【0061】
また、本発明に係る表示装置及び誘導灯に用いる発光色に応じて有機ELパネルの点灯制御は特に非常用電源の使用時に限定されるものではなく、停電等が発生していない通常時においても適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,8,100 表示装置
10 有機ELパネル
11 器具本体部
21 発光層
22 面状陽極電極
23 面状陰極電極
24 定電流源
25 ガラス
30 交流電源
31 AC/DC変換部
32 充放電部
33 非常用電源
34,35,101 電流制御部
36,37 有機ELブロック
81 タイミング制御部
102 負荷選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELパネルを用いた表示装置及び誘導灯に関し、特に停電等の非常用電源の使用時における有機ELパネルを用いた表示装置及び誘導灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、停電等の非常時に誘導灯が消灯されることがないように、例えば、商用電源の供給を受けて二次電池を充電する充電回路とを備えて、停電時は二次電池から電力供給を受けて発光ダイオードに点灯電力を供給する誘導灯がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、図13に示すように、近年、薄型で、更に長寿命が期待される有機EL(Electro Luminescence)等の面状発光素子133を誘導灯パネル132のバックライトとして用いた有機EL素子誘導灯131が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
そして、これらの発光ダイオードや有機ELパネルを用いた非常用誘導灯においては、停電等の非常時において、非常用電源の消耗が早く長時間点灯できないという問題を防止するために、発光素子である発光ダイオードや有機ELパネルに流す電流を低減させて停電時の輝度低減によって非常用電源の消耗を抑える方法がある。
【0005】
この場合、有機ELパネルや発光ダイオードを一定の光出力で点灯させる場合に比べて消費電力を低減することが可能になり、また、非常時の点灯時間を同程度とした場合は二次電池の電池容量を小さくできコストダウンを図ることができる。
【0006】
しかしながら、特に有機EL素子を用いた誘導灯においては、従来のように非常時において単純に発光層への直流電流値を低減させると、有機ELの発光素子の特性によって定格電流を流した際の発光色と異なる色での発光してしまうという問題がある。
【0007】
そして、非常用誘導灯の場合には「緑色と白色の二色を用いて人が避難するマーク」での発光と定められているために、特に非常用誘導灯では緑色と白色とが本来発色すべき色の範囲から外れたり、緑色と白色とのコントラストが悪くなるという問題を避ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−187845号公報
【特許文献2】特開2008−165337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、非常用電源の使用時において、有機ELパネルの発光色や視認性を保ちながら、より非常用電源の電力消耗を抑えた表示装置及び誘導灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、電極に挟持される発光層を有する面状発光素子と、前記面状発光素子へ供給する電流を所望の電流値に制御する電流制御手段と、商用電源が所望の機能を果たさない非常時において前記電流制御手段に電流を供給する非常用電源とを備える表示装置において、前記面状発光素子は、発光層の種類の異なる複数の面状発光素子から構成され、前記複数の面状発光素子は少なくとも2以上のグループに分けられており、前記電流制御手段は、前記非常用電源によって動作するとき、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記電流制御手段は、前記複数の面状発光素子のグループ毎に接続された複数の電流制御部から構成され、前記複数の電流制御部は、前記非常用電源によって動作するときに、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2記載の表示装置において、前記非常用電源が動作するときには、前記複数の電流制御部が前記面状発光素子に対して供給する電流のタイミングをPWM信号を用いて制御するタイミング制御手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1記載の表示装置において、前記非常用電源が動作するときには、前記電流制御手段から供給される電流の出力を、前記各グループに属する面状発光素子ごとに切り替えて電流を供給する負荷選択手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置において、前記表示装置において前記電流制御手段は、前記非常用電源の使用時において前記各グループに属する面状発光素子に対して供給する電流のピーク値と、通常時において前記面状発光素子に供給する電流のピーク値とが略等しくなるように電流を供給することを特徴とするものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする誘導灯である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、非常用電源の使用時には、面状発光素子の属するグループ毎に発光タイミングをずらして点滅制御できるために、面状発光素子の発光色の変化を防止し、また全面を発光させる場合に比較して、確実に非常用電源の電力消耗を抑え、より長期間発光できる表示装置とすることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、複数の電流制御部を用いて、非常用電源の使用時には、所定の電流制御部に接続した面状発光素子の属するグループ毎に発光タイミングをずらして点滅制御できる。
【0018】
請求項3の発明によれば、電流制御手段は、PWM信号を用いて接続した複数の面状発光素子に電流のパルス信号を送り、各グループに属する面状発光素子を点滅制御できる。
【0019】
請求項4の発明によれば、負荷選択手段を用いることで、1つの電流制御手段の構成においても各グループに属する面状発光素子を選択的に点滅発光できるため、電流制御手段に要する電力を抑制して、より省電力化を図った表示装置とすることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、通常時と非常時とで面状発光素子に対して供給する電流のピーク値を略同じとすることにより、電力の消耗を抑えることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、非常時において、発光色を維持しつつ、所定グループに属する面状発光素子を交互に点滅させて、より省電力化を図った有機ELパネルを用いた誘導灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る有機EL表示パネルを用いた表示装置の分解斜視図。
【図2】(a)は本発明の実施の形態1に係る表示装置に用いられる有機ELパネルの発光素子と点灯回路の説明図、(b)は有機ELパネルの断面図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る表示装置の機能ブロック図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る表示装置において、非常時における電流制御部及び非常用電源の電源出力の説明図。
【図5】非常時に電流ピーク値を変更させた場合の電流制御部及び非常用電源の電源出力の説明図。
【図6】非常用電源で動作しているときの表示装置の表示例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1に係る表示装置の動作手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施の形態1の変形例1に係る表示装置の機能ブロック図。
【図9】変形例1に係る電流制御部からのタイミング制御信号の例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態2に係る表示装置の機能ブロック図。
【図11】本発明の実施の形態2に係る表示装置の負荷選択部の動作説明図。
【図12】本発明の実施の形態2に係る表示装置の動作手順を示すフローチャート。
【図13】従来の有機EL発光素子を用いた誘導灯の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る表示装置及び誘導灯について図面を参照して説明する。図1(a)に示すように、表示装置1は、有機ELパネル10と器具本体部11とから構成される。
【0024】
有機ELパネル10は、発光素子として有機ELを用いて「緑色と白色の二色を用いて人が避難するマーク」を発光させて非常時用の誘導灯として用いられる。なお、表示装置1には液晶パネルに用いるLED方式のように導光板が不要なので薄型な構成とできる。また、器具本体部11のボックス11a内には、非常用電源や非常時において有機ELパネル10の緑色と白色の発光を制御するための電流制御部等が納装されている。なお、図1(b)は表示装置を誘導灯として使用する場合の外観である。
【0025】
次に、有機ELパネルの構造に関して図2を参照して説明する。図2(a)に示すように、有機ELパネル10は、有機化合物を含む面状の発光層21が表示面側の面状陽極電極22と面状陰極電極23の間に挟持され構成されている。有機ELパネル10は、定電流源24からの直流の電圧を陽極取出し部22a及び陰極取出し部23aに印加することによって、発光層21に含まれる有機化合物の励起子を発生させ、この励起子が基底状態に戻るときに放射される光を外部に取り出すものである。
【0026】
図2(b)は有機ELパネル10の断面図に示し、例えば表示面側である透明ガラス25、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等で形成された透明電極である面状陽極電極22、緑色の発光層21aと白色の発光層21bとが同一層に形成された発光層21、及び面状陰極電極23から構成される。
【0027】
このように、有機ELパネル10の発光層21は発光色の異なる緑色の発光層21a及び白色の発光層21bが同一平面状に形成され、発光色に応じて別々の電流制御部に接続されている。この構成により、表示装置1は、有機ELパネル10の緑色の発光面の形状を例えば人の形にして、人の形のみを緑色に光らせたり、緑色と背景部分の白色とを交互に点滅発光させることが可能となり、緑色と白色の点滅発光による視認性の高い誘導灯を実現できる。
【0028】
なお、本実施の形態1においては、緑色と白色とで説明するが面状発光素子の色はこれに限られるものではない。また、図2(b)の有機ELパネル10の断面構造は一例であり、電子輸送層、正孔輸送層その他の層が形成されている構成とすることもできる。
【0029】
次に、本実施の形態1に係る表示装置1の機能構成に関して図3を用いて説明する。表示装置1は、交流電源30、AC/DC変換部31、充放電部32、非常用電源33、電流制御部34,35、及び有機ELブロック36,37を備える。なお、図3において交流電源30からの入力を描いているが、本発明において非常用電源33への充放電部32やAC/DC変換部31の構成は必須ではない。
【0030】
交流電源30は、例えば100Vの商用電源である。AC/DC変換部31は、交流電源30からの交流の商用電源を定電圧の直流電圧に変換する回路である。充放電部32は、非常用電源33の充電を行うと共に、直流電源を電流制御部34及び35に振り分ける。また、AC/DC変換部31からの電流の入力がない場合には、非常用電源33から電流を取り出し、電流制御部34,35に振り分ける。
【0031】
非常用電源33は、バッテリー等の二次電池であり、停電等の交流電源30の使用不能時に使用される。この非常用電源33は、通常時において充放電部32を介して常時通電され充電された状態になっており、非常時に交流電源の供給が絶たれた場合に電流制御部34,35へ給電する機能を有するものである。
【0032】
電流制御部34,35は、図示していないがDC−DCコンバータ(例えばシリーズレギュレータやスイッチングレギュレータ)、抵抗、定電流ダイオード等の回路で構成される。また、電流制御部34,35は、通常時においては交流電源30を介して有機ELブロック36,37に対して所定の電流を流す一方、停電等の非常時において、有機ELブロック36,37に対して非常用電源33からの制御した電流を流す。この電流制御部34,35は、有機ELブロック36,37に流れる電流の平均値を調整することで有機ELブロック36,37の発光量を調光する。
【0033】
そして、有機ELブロック36,37の輝度は電流の平均値に比例するので、発光色の変化を抑制するために、電流制御部34,35は、例えば電流値を時分割、すなわち周期Tごとに幅ΔTのパルスを出力するようPWM(Pulse With Moduration)信号による調光を行う。なお、電流の振幅を調整する振幅変調でも調光は可能である。
【0034】
有機ELブロック36,37は、面状発光素子である有機ELを用いた発光層を有し、有機ELブロック36は白色の面状発光素子(即ち、RGB全ての発光層が形成)、有機ELブロック37は緑色の面状発光素子(即ち、Gの発光層が形成)から構成される。
【0035】
また、有機ELブロック36,37は、通常時にはプラス電極とマイナス電極とを電流制御部34,35に接続して電流の供給を受ける一方、非常時には電流制御部34,35における電流制御に応じて交互に点滅される。
【0036】
次に、非常時における電流制御部34,35、及び非常用電源33の電源出力を図4を用いて説明を行う。図4では、非常時における電流制御部34の電源出力41、電流制御部35の電源出力42、及び非常用電源33の電源出力43を示している。
【0037】
通常時において、有機ELブロック36,37に対応する白色と緑色の各面状発光素子は、交流電源30からの電源供給によって、所定の電流I1及びI2にて定格点灯されている。一方、停電等の非常時においては、非常用電源33を電源として、図4の41及び42に示すように、緑色の発光面と白色の発光面とでタイミングをずらして交互に電流を供給することで有機ELブロック36,37の発光色を変化させることなく交互に点滅点灯させる。
【0038】
また、有機ELブロック36,37の輝度に関して説明すると、図4に示すように電流制御部34,35は、有機ELブロック36,37の輝度を0.5倍、発光素子に供給する電流の平均値を概ね0.5倍となるように、PWM信号による負荷制御によって出力を調整する。
【0039】
また、本実施の形態1に係る表示装置では、図4に示すように、電流のピーク値を通常時と非常時とで同じとしている。そして、この電流ピーク値の制御は、電流制御部34,35が行うのではなく、例えば回路に設けた固定抵抗による電流制御でもよい。このことで、電流供給中の電流ピーク値を一定に保つ制御を通常時と停電時で共通とでき、また通常時と非常時における電流供給時の振幅値等が一定になるため、過不足ない定格の部品等を使用することができる。また、通常時と非常時の電流ピークを同等の値とするのみでなく、より一層の消費電力削減のために非常時の電流ピーク値を通常時より下げても構わない。
【0040】
図5は、非常時に電流ピーク値を変更させた場合の電流制御部34,35、及び非常用電源33の電源出力の説明図である。そして、図4と図5に示す電流ピーク値を非常時と通常時とで変更させない場合とでの発光効率を比較する。なお、ここでは非常用電源33の出力インピーダンスや出力調整部までの配線の抵抗成分をまとめて抵抗Rとして計算する。
【0041】
ここで、I1の出力電流を得るときに抵抗R(Ω)を流れる電流をI1i(A)、I2の出力電流を得るときにRを流れる電流をI2i(A)と定義して、消費電力P(W)を算出すると、図4の場合は(式1)となり、図5の場合は(式2)となる。
P(6)=0.5×R×I1i2+1/2×R×I2i2・・・(1)
P(7)=0.5×R×(I1i+I2i)2・・・(2)
【0042】
従って、図4と図5の消費電力を比較するため(式3)を算出する。
P(7)−P(6)=0.5×R×(I1i×I2i)・・・(3)
【0043】
このように、緑色と白色の発光素子の輝度は同じであるにもかかわらず、図5の場合より図4の電流制御の方が消費電力のロスが小さく、2次電池の消耗を抑えることができることが分かる。従って、面状発光素子に負荷される平均電流値は同じであるが、面状発光素子の色の異なる各グループを同じタイミングで間歇点灯させる場合に比して、電流ピークを同じとする方が消費電力が小さく、ロスが少なくなることが分かる。
【0044】
次に、図6を参照して非常用電源で動作しているときの表示装置1における表示例を説明する。図6(a)は、緑色の発光素子61のみの発光時、図6(b)は、白色の発光素子62のみの発光時を示す。表示装置1では、非常時において、有機ELパネルの緑色の面状発光素子61及び白色の面状発光素子62が交互に点滅する。このため、誘導灯の省電力化を図ると共に、人の視認性を低下させない。
【0045】
次に、本実施の形態1に係る表示装置1の動作手順を示す図7を用いて説明する。最初に、電流制御部34,35は、非常用電源の使用中か否かを所定信号入力により判定する(S71)。次に、信号が確認された場合には(S71でYes)、電流制御部34,35は、緑色と白色とでグループ分けされた面状発光素子へ、PWM制御された間欠的なパルス信号を用いて制御された電流を送信する(S72)。このことで、非常用誘導灯では緑色と白色との点滅が開始される。一方、信号が確認されていない通常の場合には(S71でNo)、電流制御部34,35は、特に制御を開始しない。
【0046】
そして、非常用電源の使用中止か否かを確認して(S73)、使用中止の場合には(S73でYes)、再度S71以下の処理に戻り、使用が中止されていない場合にはS72の処理を行う。
【0047】
(第1の変形例)
本実施の形態1の第1の変形例について、図8の本変形例に係る表示装置8の機能ブロック図を参照して説明する。本変形例では、図3に示す表示装置1の機能構成に加えて、タイミング制御部81を設けることを特徴とする。
【0048】
タイミング制御部81は、有機ELブロック36,37の調光負荷のため、非常用電源33の使用時には例えばPWM信号を電流制御部34,35に対して送信することで交互に電流供給を行うようにトリガを与える。
【0049】
(第2の変形例)
本実施の形態1の第2の変形例について、図9を参照して説明する。本変形例では面状発光素子への電流の負荷期間を消費電力の異なる発光色に応じて変更するものである。
【0050】
図9は、電流制御部からのタイミング制御信号の例を示し、図9の91に示すように白色の面状発光素子に対して電流供給する期間を、92に示す緑色の面状発光素子に対して電流供給する期間より長くしている。なお、緑色の発光効率は約70lm/W、白色の発光効率は約20lm/Wである。
【0051】
なお、有機ELパネルの調光の度合いとして、非常用電源の電流の負荷が50%以下であれば、両方の発光素子に電流を供給することのないようにタイミングをずらすことが可能であり、電流の50%以上の負荷による輝度が必要な場合は、同時に供給する期間を可能な限り短くすることで電力消費を極力抑えることができる。
【0052】
以上の説明のように、本実施の形態1に係る表示装置1において電流制御部34,35は、非常用電源の使用時に、緑色と白色のグループに分けられた有機ELブロック36,37を点滅発光させるようPWM制御等を行う。このため、表示装置1は、非常時においても通常時と同程度のピーク電流で発光色を維持しつつ、緑色と白色と発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることが可能となる。従って、表示装置1は、非常時において、誘導灯の視認性を低下させることなく、より低消費電力化を図ることができる。
【0053】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る表示装置について図10乃至12を参照しながら説明を行う。
【0054】
表示装置100は、電流制御部101を共通とし、また電流を供給する発光素子をスイッチ素子等によってタイミングをずらして切り替える負荷選択部102を設けている。なお、上記実施の形態1に係る表示装置と同じ処理部には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
次に、負荷選択部102の動作を図11を参照して説明する。この負荷選択部102は、停電時にはスイッチ素子S1、及びS2を用いて、電流制御部101からの電流供給先の発光素子を図11の111に示す白色の有機ELブロック37と112に示す緑色の有機ELブロック38と交互に間欠的に切り替える。なお、負荷選択部102は、面状発光素子の切り替えのタイミングと同時に、電流の負荷値を制御することも可能である。
【0056】
そして、本実施の形態2に係る表示装置100の動作手順を図12を参照して説明すると、最初に、負荷選択部102は、非常用電源の使用中か否かを所定信号入力により判定する(S121)。
【0057】
次に、信号が確認された場合には(S121でYes)、負荷選択部102は、緑色と白色とでグループ分けされた面状発光素子への負荷選択の切り替え処理を行う(S122)。このことで、非常時では緑色と白色との点滅が開始される。一方、信号が確認されていない通常の場合には(S121でNo)、負荷選択部102は、特に制御を開始しない。
【0058】
そして、非常用電源の使用中止か否かを確認して(S123)、使用中止の場合には(S123でYes)、再度S121以下の処理に戻り、使用が中止されていない場合にはS122の処理を行う。
【0059】
以上の説明のように、本実施の形態2に係る表示装置100は、負荷選択部102を設けたので、発光色に基づいてグループ分けされた有機ELブロック36,37の発光タイミングを相互にずらすように点滅発光させることができる。また、表示装置100は、1つの電流制御部101、すなわち複数の電流制御部を要しないため電流消費を抑制できる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、各実施の形態の説明においては、発光素子として有機EL発光素子を用いているが、無機EL発光素子、発光ダイオード、他の直流電流の供給によって点灯するものに対しても適用可能である。
【0061】
また、本発明に係る表示装置及び誘導灯に用いる発光色に応じて有機ELパネルの点灯制御は特に非常用電源の使用時に限定されるものではなく、停電等が発生していない通常時においても適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,8,100 表示装置
10 有機ELパネル
11 器具本体部
21 発光層
22 面状陽極電極
23 面状陰極電極
24 定電流源
25 ガラス
30 交流電源
31 AC/DC変換部
32 充放電部
33 非常用電源
34,35,101 電流制御部
36,37 有機ELブロック
81 タイミング制御部
102 負荷選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極に挟持される発光層を有する面状発光素子と、前記面状発光素子へ供給する電流を所望の電流値に制御する電流制御手段と、商用電源が所望の機能を果たさない非常時において前記電流制御手段に電流を供給する非常用電源とを備える表示装置において、
前記面状発光素子は、発光層の種類の異なる複数の面状発光素子から構成され、
前記複数の面状発光素子は少なくとも2以上のグループに分けられており、前記電流制御手段は、前記非常用電源によって動作するとき、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記電流制御手段は、前記複数の面状発光素子のグループ毎に接続された複数の電流制御部から構成され、前記複数の電流制御部は、前記非常用電源によって動作するときに、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記非常用電源が動作するときには、前記複数の電流制御部が前記面状発光素子に対して供給する電流のタイミングをPWM信号を用いて制御するタイミング制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記非常用電源が動作するときには、前記電流制御手段から供給される電流の出力を、前記各グループに属する面状発光素子ごとに切り替えて電流を供給する負荷選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記電流制御手段は、前記非常用電源の使用時において前記各グループに属する面状発光素子に対して供給する電流のピーク値と、通常時において前記面状発光素子に供給する電流のピーク値とが略等しくなるように電流を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする誘導灯。
【請求項1】
電極に挟持される発光層を有する面状発光素子と、前記面状発光素子へ供給する電流を所望の電流値に制御する電流制御手段と、商用電源が所望の機能を果たさない非常時において前記電流制御手段に電流を供給する非常用電源とを備える表示装置において、
前記面状発光素子は、発光層の種類の異なる複数の面状発光素子から構成され、
前記複数の面状発光素子は少なくとも2以上のグループに分けられており、前記電流制御手段は、前記非常用電源によって動作するとき、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記電流制御手段は、前記複数の面状発光素子のグループ毎に接続された複数の電流制御部から構成され、前記複数の電流制御部は、前記非常用電源によって動作するときに、前記各グループに属する面状発光素子の発光タイミングを相互にずらして点滅発光させることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記非常用電源が動作するときには、前記複数の電流制御部が前記面状発光素子に対して供給する電流のタイミングをPWM信号を用いて制御するタイミング制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記非常用電源が動作するときには、前記電流制御手段から供給される電流の出力を、前記各グループに属する面状発光素子ごとに切り替えて電流を供給する負荷選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記電流制御手段は、前記非常用電源の使用時において前記各グループに属する面状発光素子に対して供給する電流のピーク値と、通常時において前記面状発光素子に供給する電流のピーク値とが略等しくなるように電流を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする誘導灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−176056(P2011−176056A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37935(P2010−37935)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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