説明

表示装置用ウィンドウパネルおよびこれを含む表示装置

【課題】耐衝撃性を維持しながらも表面スクラッチを減少させることができるウィンドウパネル、および前記ウィンドウパネルを含む表示装置を提供する。
【解決手段】本発明による表示装置用ウィンドウパネルは、プラスチック基材、および前記プラスチック基材の少なくとも一面に形成されており、少なくとも2層が連続的に積層されているハードコーティング層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用ウィンドウパネルおよびこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在知られている表示装置としては、液晶表示装置(liquid crystal displayay:LCD)、プラズマ表示装置(plasma display panel:PDP)、有機発光表示装置(organic light emitting display:OLED)、電界効果表示装置(field effect display:FED)、電気泳動表示装置(eletrophoretic display device)等がある。
【0003】
このような表示装置は、画像を表示する表示モジュールと前記表示モジュールを保護するウィンドウパネルとを含む。
【0004】
このようなウィンドウパネルとしてガラスが使用され得る。しかし、ガラスは外部衝撃により簡単に壊れてしまい、モバイルフォンのような携帯用機器に適用した場合に破損が発生し易い。そのため、最近は、ガラスの代わりにプラスチック素材で作られたウィンドウパネルに関する研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2006−0009194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、タッチスクリーン機能を有する表示装置が使用されるに伴って、ウィンドウパネルの一面に手またはペンのような先端が尖っているツールが頻繁に接触するようになる。この場合、プラスチックで作られたウィンドウパネルの表面にスクラッチが簡単に発生し得る。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、耐衝撃性を維持しながらも表面スクラッチを減少させることができるウィンドウパネルおよび当該ウィンドウパネルを含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、プラスチック基材、および 前記プラスチック基材の少なくとも一面に形成されており、少なくとも2層が連続的に積層されているハードコーティング層を含む、表示装置用ウィンドウパネルが提供される。
【0009】
前記ハードコーティング層は、同一な材料を含む少なくとも2層を有してもよい。
【0010】
前記ハードコーティング層は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、有機−無機複合化合物またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0011】
前記ハードコーティング層を構成する各層は、10〜20μmの厚さを有してもよい。
【0012】
前記ハードコーティング層は、互いに異なる材料を含む少なくとも2層を有してもよい。
【0013】
前記ハードコーティング層は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物またはこれらの組み合わせを含む第1層、および有機−無機複合化合物を含む第2層を含んでもよい。
【0014】
前記第1層は、5〜30μmの厚さを有し、前記第2層は、5〜30μmの厚さを有してもよい。
【0015】
前記ハードコーティング層は、前記プラスチック基材の上に位置し、少なくとも1層を含む第1ハードコーティング層、および最上層に位置し、前記第1ハードコーティング層よりも表面硬度が高い第2ハードコーティング層を含んでもよい。
【0016】
前記ハードコーティング層は、2層〜5層を含んでもよい。
【0017】
前記ハードコーティング層は、6H〜8Hの表面硬度を有してもよい。
【0018】
前記ハードコーティング層は、130gの錘を落下させるボールドロップ測定器を使用することを基準に少なくとも20cmの耐衝撃性を有してもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上述した表示装置用ウィンドウパネルを含む表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、耐衝撃性を維持しながらも表面スクラッチを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による表示装置用ウィンドウパネルを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
図面において、多くの層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体を通して類似する部分については同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。
次に、本発明の一実施形態による表示装置用ウィンドウパネルについて図1を参照して
説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による表示装置用ウィンドウパネルを示した断面図である。
【0025】
本発明の一実施形態による表示装置用ウィンドウパネルは、プラスチック基材111、プラスチック基材111の一面に形成されているハードコーティング層112aおよびプラスチック基材111の他の一面に形成されているハードコーティング層112bを含む。
【0026】
プラスチック基材111は、高分子化合物で形成されてもよく、例えば、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリエチレンエーテルフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、三酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体またはこれらの組み合わせから形成されてもよい。
【0027】
ハードコーティング層112a、112bは、それぞれ少なくとも2層112a1、112a2、…、112an、112b1、112b2、…、112bnが連続的に積層されている。
【0028】
ハードコーティング層112a、112bのいずれか一つは、省略されてもよい。
【0029】
ハードコーティング層112a、112bをなす各層112a1、112a2、…、112an、112b1、112b2、…、112bnは、同一な材料で形成されてもよい。例えば、ハードコーティング層112a、112bをなす各層は、有機化合物または有機−無機複合化合物を含むことができ、ここで有機化合物は、例えば、アクリル系化合物、エポキシ系化合物またはこれらの組み合わせを含むことができ、有機−無機複合化合物は、例えばポリシルセスキオキサンのようなケイ素化合物を含むことができる。
【0030】
この時、ハードコーティング層112a、112bをなす各層112a1、112a2、…、112an、112b1、112b2、…、112bnは、約10〜20μmの厚さを有することができる。前記範囲の厚さを有することによって、ハードコーティング層112a、112bが高い表面硬度を有しながらも曲げが発生しないようにすることができる。
【0031】
ハードコーティング層112a、112bをなす各層112a1、112a2、…、112an、112b1、112b2、…、112bnは、互いに異なる材料で形成されてもよい。例えば、ハードコーティング層112a、112bのうちの一部は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物またはこれらの組み合わせのような有機化合物で形成されてもよく、ハードコーティング層112a、112bのうちの他の一部は、ポリシルセスキオキサンのような有機−無機複合化合物で形成されてもよい。この時、互いに異なる材料で形成された層が交互に積層されてもよい。
【0032】
この時、アクリル系化合物、エポキシ系化合物またはこれらの組み合わせのような有機化合物で形成されたハードコーティング層112a、112bをなす各層112a1、112a2、…、112an、112b1、112b2、…、112bnは、約5〜30μmの厚さを有することができ、ポリシルセスキオキサンのような有機−無機複合化合物で形成されたハードコーティング層112a、112bをなす各層112a1、112a2、…、112an、112b1、112b2、…、112bnは、約5〜30μmの厚さを有することができる。前記範囲の厚さを有することによって、ハードコーティング層112a、112bが高い表面硬度を有しながらも曲げが発生しないようにすることができる。
【0033】
ハードコーティング層112a、112bは、それぞれプラスチック基材111の上に位置する少なくとも1層の積層構造と最上層の表面硬度とが異なってもよく、最上層の表面硬度はその下部に位置する少なくとも1層の積層構造の表面硬度よりも高く形成されてもよい。
【0034】
また、少なくとも2層を含むハードコーティング層112a、112bの表面硬度は、ハードコーティング層112a、112bをなす各層の表面硬度よりも高く形成されてもよい。
【0035】
例えば、ハードコーティング層112a、112bの表面硬度は、少なくとも6Hの表面硬度を有することができ、その中でも6H〜8Hであってもよい。反面、ハードコーティング層112a、112bをなす各層の表面硬度は、4H〜6Hであってもよい。ここで表面硬度は、鉛筆硬度試験器(製造会社:BMS Tech)を使用して1kg荷重をかけて測定した結果である。
【0036】
ハードコーティング層112a、112bは、それぞれ2層〜5層が連続的に積層されていてもよい。
【0037】
ハードコーティング層112a、112bは、130gの錘を落下させるボールドロップ(Ball drop)測定器を使用することを基準に少なくとも20cm以上の耐衝撃性を有することができる。
【0038】
一般に表面強度と耐衝撃性は、トレードオフ(trade−off)関係にあり得る。つまり、表面強度が高い場合に耐衝撃性が弱く、耐衝撃性が強い場合に表面強度が低い関係にあり得る。
【0039】
本実施形態による表示装置用ウィンドウパネル100は、プラスチック基材の少なくとも一面に少なくとも2層が連続的に積層されているハードコーティング層112a、112bを含むことによって、表面硬度および耐衝撃性を同時に満たすことができる。
【0040】
上述したウィンドウパネルは多様な表示装置に適用され得る。
【0041】
ウィンドウパネルは、表示モジュールの上に配置されてもよく、ここで表示モジュールは、液晶表示モジュール、有機発光表示モジュール、プラズマ表示モジュール、電界効果表示モジュール、電気泳動表示モジュールなどであってもよい。
【0042】
(実施例)
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0043】
[ウィンドウパネルの形成]
(実施例1)
ポリメチルメタクリレート(polymethylmetacrylate、PMMA)基板をアクリル樹脂、エポキシ樹脂およびメチルエチルケトン(methyl ethyl ketone、MEK)を混合した高分子溶液に浸漬してコーティングした後、乾燥した。このようなコーティングおよび乾燥をさらに4回繰り返して総5層のハードコーティング層を形成した。
【0044】
(実施例2)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)基板をアクリル樹脂、エポキシ樹脂およびメチルエチルケトンを混合した高分子溶液に浸漬し乾燥して1層のハードコーティング層を形成した。次に、前記基板をポリシルセスキオキサン溶液に浸漬し乾燥して2層のハードコーティング層を形成した。
【0045】
(実施例3)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)基板をアクリル樹脂、エポキシ樹脂およびメチルエチルケトンを混合した高分子溶液に浸漬し乾燥して1層のハードコーティング層を形成した。次に、1層のハードコーティング層が形成された基板をポリシルセスキオキサン溶液に浸漬し乾燥して2層のハードコーティング層を形成した。次に、2層のハードコーティング層が形成された基板を前記高分子溶液に浸漬し乾燥して3層のハードコーティング層を形成した。
【0046】
(比較例1)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)基板をアクリル樹脂、エポキシ樹脂およびメチルエチルケトンを混合した高分子溶液に浸漬し乾燥して約5μm厚さの単一層のハードコーティング層を形成した。
【0047】
(比較例2)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)基板をアクリル樹脂アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびメチルエチルケトン(methyl ethyl ketone、MEK)を混合した高分子溶液に浸漬し乾燥して約10μm厚さの単一層のハードコーティング層を形成した。
【0048】
(比較例3)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)基板をポリシルセスキオキサン溶液に浸漬し乾燥して約10μm厚さの単一層のハードコーティング層を形成した。
【0049】
[表面硬度測定−1]
鉛筆硬度試験器(製造会社:BMS Tech)を使用し、1kg荷重をかけて実施例1と比較例1、2によるウィンドウパネルの表面硬度を測定した。
ハードコーティング層の厚さおよび表面硬度は表1の通りである。
【0050】
【表1】

【0051】
表1を参照すると、実施例1によるウィンドウパネルで2層以上積層した場合の表面硬度は6H〜7Hである反面、比較例1、2によるウィンドウパネルの表面硬度はそれぞれ4Hおよび5Hであることが分かる。これによって、2層以上が積層されたハードコーティング層が適用された場合、単一層のハードコーティング層が適用された場合よりも表面硬度が改善されたことが分かる。
【0052】
[表面硬度測定−2]
実施例2、3と比較例2、3によるウィンドウパネルの表面硬度を測定した。
その結果は表2の通りである。
【0053】
【表2】

【0054】
表2を参照すると、実施例2、3によるウィンドウパネルの表面硬度は7Hである反面、比較例2および3によるウィンドウパネルの表面硬度は5Hであることが分かる。これによって、2層以上が積層されたハードコーティング層が適用された場合、単一層のハードコーティング層を適用した場合よりも表面硬度が改善されたことが分かる。
【0055】
[耐衝撃性測定]
実施例1〜3によるウィンドウパネルの中央部分に130gの錘を落下させるボールドロップ測定器を使用して耐衝撃性を測定した。
【0056】
その結果、実施例1〜3および比較例1〜3によるウィンドウパネルの全てが20cm以上の高さでも破壊されないことを確認した。
【0057】
これによって、実施例1〜3によるウィンドウパネルは、比較例1〜3によるウィンドウパネルと同等な水準の耐衝撃性を有することが分かる。
【0058】
このように実施例1〜3によるウィンドウパネルは、比較例1〜3によるウィンドウパネルと同等な水準の耐衝撃性を維持しながらも表面硬度が改善されたことが分かる。これによって、実施例1〜3によるウィンドウパネルは、トレードオフ関係にある耐衝撃性および表面硬度を全て満たすことができるため、外部衝撃に対する破損を減少させると同時に表面スクラッチを改善することができる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0060】
110…ウィンドウパネル
111…プラスチック基材
112a、112b…ハードコーティング層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基材、および
前記プラスチック基材の少なくとも一面に形成されており、少なくとも2層が連続的に積層されているハードコーティング層
を含む、表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項2】
前記ハードコーティング層は、同一な材料を含む少なくとも2層を有する、請求項1に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項3】
前記ハードコーティング層は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、有機−無機複合化合物またはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項4】
前記ハードコーティング層を構成する各層は、10〜20μmの厚さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項5】
前記ハードコーティング層は、互いに異なる材料を含む少なくとも2層を有する、請求項1に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項6】
前記ハードコーティング層は、
アクリル系化合物、エポキシ系化合物またはこれらの組み合わせを含む第1層、および
有機−無機複合化合物を含む第2層
を含む、請求項5に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項7】
前記第1層は、5〜30μmの厚さを有し、
前記第2層は、5〜30μmの厚さを有する、請求項6に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項8】
前記ハードコーティング層は、
前記プラスチック基材の上に位置し、少なくとも1層を含む第1ハードコーティング層、および
最上層に位置し、前記第1ハードコーティング層よりも表面硬度が高い第2ハードコーティング層
を含む、請求項5に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項9】
前記ハードコーティング層は、2層〜5層を含む、請求項1に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項10】
前記ハードコーティング層は、6H〜8Hの表面硬度を有する、請求項1に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項11】
前記ハードコーティング層は、130gの錘を落下させるボールドロップ測定器を使用することを基準に少なくとも20cmの耐衝撃性を有する、請求項1に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の表示装置用ウィンドウパネルを含む表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−109316(P2013−109316A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144251(P2012−144251)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】