説明

表示装置用加飾体とこれを備える表示装置

【課題】隣接する面上に形成された凸部の一方の上面を他方の形状を損なわないで加工できる表示装置用加飾体を提供する。
【解決手段】表示装置用加飾体3は、第1面32と第2面33と第1凸部32bと第2凸部33bとを備える加飾母材31と、第1凸部32b上に形成された加飾層34とを備える。面32、33は、隣接し且つこれらの第1境界線32dが突出する方向へ傾斜する。第1凸部32bは、第1面32上に形成され、第2凸部33bは、第2面33上に形成され、第1凸部32bと第2凸部33bが、第1境界線32d上で互いに分離されて形成される。第1凸部32b上の加飾層34を除去することにより第1露出面32cを形成し、第2凸部33bを、第1露出面32cの延長面より下方に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸部が形成された表示装置用加飾体とこれを備える表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、指針計器として、見映えのある斬新な表示をするため、様々な方法が提案され、その一つとして、文字盤の表示意匠の外枠を形成する加飾体を有する指針計器が知られている。
【0003】
例えば、数字や目盛等が形成された円板状の板部材と、外縁目盛等が形成され円環状の枠部材である加飾体とを備えた指針計器である。
【0004】
具体的に、加飾体は、第1面と、これと隣接する第2面と、第1面上に表示意匠として形成された第1凸部と、第2面上に表示意匠として形成された第2凸部とを備える加飾母材と、加飾母材上に形成された加飾層とを備える。第2面は、第1面に対して、第1面と第2面との境界線が突出する方向へ傾斜して形成され、第2凸部は、第1凸部と連続して形成されている。
【0005】
第1凸部の上面に形成された加飾層を除去することにより第1露出面を形成し、第2凸部の上面に形成された加飾層を除去することにより第2露出面を形成する。これにより、加飾体は、第1露出面と第2露出面から視認される加飾母材と加飾層とのコントラスト、および、第1面と第2面と第1凸部と第2凸部とによる立体感が相俟って、見映えのある表示を提供できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の加飾体では、第1凸部と第2凸部とが連続して形成されているため、第1凸部の上面に形成された加飾層を除去する際、第2凸部の一部を除去して(削って)しまうことになる。このため、第2凸部の形状が損なわれ、加飾体の見映えが低下するという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、互いに隣接する面上にそれぞれ形成された凸部の一方の上面を他方の形状を損なわないで加工できる表示装置用加飾体とこれを備える表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の表示装置用加飾体は、情報を表示する表示手段を加飾する表示装置用加飾体であって、第1面と、第1面と隣接し且つ第1面に対して第1面との第1境界線が突出する方向へ傾斜する第2面と、第1面上に第1表示意匠として形成された第1凸部と、第2面上に第2表示意匠として形成された第2凸部とを備える加飾母材と、少なくとも第1凸部上に形成された加飾層とを備え、第1凸部と第2凸部が、第1境界線上で互いに分離されて形成され、第1凸部の上面に形成された加飾層を除去することにより第1露出面を形成し、第2凸部を、第1露出面の延長面より下方に配設する構成とする。
【0010】
この構成では、第1凸部と第2凸部とを、第1境界線上で互いに分離して形成し、第2凸部を、第1露出面の延長面より下方に配設する。これにより、第2凸部の形状を損なうことなく、第1凸部の上面を加工することができ、このため、第1凸部の上面に形成された加飾層を除去することができる。
【0011】
この結果、二つの平面にそれぞれ凸部を形成した加飾体において、各平面と各凸部の形状による斬新な装飾効果を発揮させつつ、即ち、斬新な立体感を視認者に与えつつ、露出面を形成した凸部を加飾層で表示させることができる。即ち、見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0012】
請求項2に記載の表示装置用加飾体は、第1凸部と第2凸部が、第1境界線に対して略垂直な方向へ向かって互いに分離されて形成される構成とする。
【0013】
この構成でも、上述の効果を得ることができる。
【0014】
請求項3に記載の表示装置用加飾体は、第1凸部と第2凸部が、第1境界線に対して略並行する方向へ向かって互いに分離されて形成される構成とする。
【0015】
この構成でも、上述の効果を得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の表示装置用加飾体は、第1表示意匠と第2表示意匠が、それぞれ、目盛と文字の少なくとも一方を有する構成とする。
【0017】
この構成では、第1表示意匠と第2表示意匠が、それぞれ、目盛と文字の少なくとも一方を有するため、上述の効果を得ることができると共に、より見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0018】
請求項5に記載の表示装置用加飾体は、第1表示意匠と第2表示意匠の一方が、主目盛であり、第1表示意匠と第2表示意匠の他方が、主目盛を補完する補完目盛であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置用加飾体。
構成とする。
【0019】
この構成でも、上述の効果を得ることができると共に、より見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0020】
請求項6に記載の表示装置用加飾体は、加飾層が、第2凸部上に形成され、第2凸部の上面に形成された加飾層を除去することにより第2露出面を形成し、第1露出面を、第2露出面の延長面より下方に配設する構成とする。
【0021】
この構成では、第1露出面を、第2露出面の延長面より下方に配設するため、第1凸部の形状を損なうことなく、第2凸部上に形成された加飾層を除去することができる。
【0022】
これにより、二つの平面にそれぞれ凸部を形成した加飾体において、各平面と各凸部の形状による斬新な装飾効果を発揮させつつ、即ち、斬新な立体感を視認者に与えつつ、その二つの平面の各凸部の上面を加飾母材で表示させることができる。この結果、上述の効果を得ることができると共に、さらに見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0023】
請求項7に記載の表示装置用加飾体は、加飾母材が、第1面と隣接し且つ第1面に対して第1面との第2境界線が突出する方向へ傾斜する第3面と、第3面上に第3表示意匠として形成された第3凸部とを備え、加飾層が、第3凸部上に形成され、第3凸部の上面に形成された加飾層を除去することにより第3露出面を形成し、第1露出面を、第3露出面の延長面より下方に配設し、第3露出面を、第1露出面の延長面より下方に配設する構成とする。
【0024】
この構成では、第1面と隣接する第3面上に第3凸部を設け、この第3凸部上に形成された加飾層を除去することにより第3露出面を形成する。第1露出面を、第3露出面の延長面より下方に配設し、第3露出面を、第1露出面の延長面より下方に配設する。これにより、第1凸部の形状を損なうことなく、第3凸部上に形成された加飾層を除去することができ、且つ、第3凸部の形状も、第1凸部上に形成された加飾層の除去により損なわれない。
【0025】
この結果、三つの平面にそれぞれ凸部を形成した加飾体において、各平面と各凸部の形状によるより斬新な装飾効果を発揮させつつ、即ち、より斬新な立体感を視認者に与えつつ、その三つの平面の各凸部の各上面を加飾母材で表示させることができる。即ち、上述の効果を得ることができると共に、さらに見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0026】
請求項8に記載の表示装置用加飾体は、加飾母材が、加飾層と異なる色調を有する構成とする。
【0027】
この構成では、加飾母材が、加飾層と異なる色調(明度、色相、彩度)を有するため、露出面を形成した凸部を加飾層と異なる加飾母材の色調で表示させることができる。これにより、上述の効果を得ることができると共に、さらに見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0028】
請求項9に記載の表示装置用加飾体は、加飾母材が、透光性を有し、第2露出面が、加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示される構成とする。
【0029】
この構成では、第2露出面が、加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示されるため、上述の効果を得ることができると共に、より見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0030】
請求項10に記載の表示装置用加飾体は、加飾母材が、透光性を有し、第2露出面は、前記加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示され、第3露出面が、加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示される構成とする。
【0031】
この構成では、第2露出面と第3露出面が、加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示されるため、上述の効果を得ることができると共に、より見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0032】
請求項11に記載の表示装置用加飾体は、加飾母材が、透光性を有し、第1露出面が、加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示される構成とする。
【0033】
この構成では、第1露出面が、加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示されるため、上述の効果を得ることができると共に、より見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0034】
請求項12に記載の表示装置は、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体と、表示装置用加飾体により加飾され且つ情報を表示する表示手段とを備える構成とする。
【0035】
この構成では、表示装置が、上述の表示装置用加飾体と表示手段とを備え、この構成においても、上述の効果を得ることができる。
【0036】
請求項13に記載の表示装置は、請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体と、表示装置用加飾体により加飾され且つ情報を表示する表示手段と、第1露出面と第2露出面の少なくとも一方を透過照明する光源とを備える構成とする。
【0037】
この構成では、表示装置が、上述の表示装置用加飾体と表示手段と第1露出面と第2露出面の少なくとも一方を透過照明する光源とを備え、この構成においても、上述の効果を得ることができる。
【0038】
請求項14に記載の表示装置は、表示手段が、文字盤と文字盤の前面に沿って回動する指針とを備え、表示装置用加飾体が、文字盤の前面において指針の先端の回動軌跡の外周近傍に環状に形成される構成とする。
【0039】
この構成では、表示装置用加飾体が、文字盤の前面において指針の先端の回動軌跡の外周近傍に環状に形成され、この構成においても、上述の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明による表示装置用加飾体である加飾リング3を備え、且つ、自動車に搭載される表示装置であるコンビネーションメータ1を例に図面に基づいて説明する。
【0041】
(第1実施形態)
図1は,本発明の第1実施形態による表示装置用加飾体である加飾リング3を備えた表示装置であるコンビネーションメータ1の正面図である。図中の矢印が示す上下方向方が自動車の上下方向と同じである。
【0042】
図2は、図1中のII−II線断面図である。
【0043】
図3は,図2に示す加飾リング3の第1露出面と32cと第2露出面と33cの互いの配置関係を説明するためのリング本体30の拡大断面図である。
【0044】
図4は、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路を説明する回路構成図である。
【0045】
表示装置であるコンビネーションメータ1は、自動車の運転席前方に配置されて当該自動車に関する各種車両情報を表示している。本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1は、図1に示すように、情報である自動車の走行速度を指示(表示)する表示手段である速度計を備える。速度計は、走行速度を表示して運転者に視認させるための文字盤2とその前面(図2の矢印が示す左側の面)に沿って回動する指針4とを備える。
【0046】
文字盤2は、透光性を有する材料、例えば無色透明のポリカーボネート樹脂等の文字盤母材20の前面に、文字21と後述する導光部22が、透光状態になるように、背景層23の開口部として設けられる。背景層23は、例えば青色の不透光性の部材(または、つや消しの透光性が低い部材)を、文字盤母材20の前面(裏面でもよい)に印刷あるいはホットスタンプ等を施すことにより形成される。
【0047】
文字盤2の略中央部には、図2に示すように、後述するムーブメント5のシャフト51を挿通させるための貫通孔24が設けられ、文字盤2の裏側(図2の右側)には、ムーブメント5、光源である発光ダイオード6、リフレクタ7、拡散板8、およびプリント基板9が配設される。プリント基板9は、コンビネーションメータ1の電気回路部を形成するものであり、ムーブメント5と発光ダイオード6は、プリント基板9上に実装される。
【0048】
リフレクタ7は、発光ダイオード6からの例えば白色光を、拡散板8を介して、文字盤2の文字21と導光部22へ導くものであり、白色樹脂等の高反射率を有する樹脂等から形成される。拡散板8は、文字盤2の裏面側に固定され、発光ダイオード6の白色光を拡散して、文字盤2の透過照明に明暗が生じないようにするものである。
【0049】
ムーブメント5は、例えば、交差コイル式ムーブメント、あるいはステッピングモータ等から構成され、外部からの電気信号(本実施形態においては車速信号)に対応した角度だけシャフト51を回動させる。ムーブメント5のシャフト51は、文字盤2の貫通孔24を通して文字盤2の前面側(図2の左側)へ延出し、その先端には指針4が固定される。
【0050】
本発明の特徴であり、文字盤2と指針4を備える速度計を加飾する表示装置用加飾体である加飾リング3は、図1に示すように、指針4の先端の回動軌跡の外周近傍に環状に形成される。加飾リング3は、リング本体30と外周リング37を備え、リング本体30は、加飾母材であるリング母材31と加飾層34を備える。
【0051】
リング母材31は、透光性を有する材料、例えば無色透明のアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂等から環状に形成され、これと異なる色調(明度、色相、彩度)である不透光性を有する加飾層34は、リング母材31の上面(図2の矢印が示す左側の面、図3の矢印が示す上側の面)に、例えばアルミ蒸着により形成される。
【0052】
リング母材31には、第1面32と、これと隣接し且つ第1境界線32dが突出する方向(凹まない方向)へ第1面32に対して傾斜する第2面33とが形成される。第1面32上には、第1凸部32bが第1表示意匠である主目盛32aとして形成され、第2面33上には、第2凸部33bが第2表示意匠である補完目盛33a、33dとして形成される。補完目盛33a、33dは、主目盛32aを補完する目盛である。
【0053】
第1凸部32bに形成された加飾層34を除去(切削加工)することによって、第1露出面32cを形成し、第2凸部33bに形成された加飾層34を除去することによって、第2露出面33cを形成する。
【0054】
尚、リング母材31は、図3において、第1凸部32bと第2凸部33bが、第1境界線32d上で互いに分離されて形成され、第2露出面33cが第1露出面32cの延長面Aより下方(図中の矢印が示す下側の方向)に配設され、且つ、第1露出面32cが第2露出面33cの延長面Bより下方(図中の矢印が示す下側の方向)に配設されように形成される。
【0055】
また、補完目盛33aに対応する第2凸部33bは、図1に示すように、第1凸部32bと第1境界線32dに対して略垂直な方向へ向かって互いに分離されて形成され、補完目盛33dに対応する第2凸部33bは、第1凸部32bと第1境界線32dに対して略並行する方向へ向かって互いに分離されて形成される。
【0056】
これは、第1凸部32bに形成された加飾層34を除去(切削加工)する際に、第2凸部33bを切削加工してしまうことを防止するためであり、第2凸部33bに形成された加飾層34を除去(切削加工)する際に、第1凸部32bを切削加工してしまうことを防止するためである。
【0057】
リング母材31の外周に形成されたフランジ部36は、アルミ蒸着時の持ち手や治具への位置合わせ,及び、第1凸部32bと第2凸部33bから加飾層34を切削除去する際の切削機械へのチャッキングに用いられる。また、リング母材31を透明樹脂で成型(射出成型等)する際に,フランジ部36の端面にゲート口を設けるようにする。
【0058】
フランジ部36には、これらの加工時の傷や成型のゲートカット跡が見えるため,別体の外周リング37で隠すようにする。外周リング37は、不透光性を有するアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等から形成され、ピン37a(例えば、全周に3カ所)をフランジ部36の貫通孔へ挿入して、これに熱かしめを施す。これにより、外周リング37をリング本体30に固定する。
【0059】
リング母材31には、ピン35が、例えば、全周に3カ所設けられ,ピン35を文字盤2と拡散板8の貫通孔へ挿入して、これに熱かしめを施す。これにより、リング本体30を文字盤2と拡散板8に固定する。尚、導光部22は、環状に設けられ、リング本体30は、導光部22を覆う位置で文字盤2と拡散板8に固定される。また、ピン35は、光が加飾リング3上の第1露出面32cと第2露出面33cを透過するのを妨げないように配置される。
【0060】
外周リング37とリング本体30の固定及びリング本体30と文字盤2と拡散板8との固定は、熱かしめを行う代わりに,スナップフィットの爪等を用いることができる。また、リング母材31と外周リング37は、それぞれ、樹脂成型により一体的に形成される。
【0061】
次に、以上説明した、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成について、図4に基づいて説明する。
【0062】
図4に示すように、マイクロコンピュータ等から構成される制御装置10には、バッテリ13から電力が常時供給されている。制御装置10には、イグニッションスイッチ12が、その操作ポジション(オフポジション、オンポジション)を検出可能に接続され、当該自動車の車速を検出する車速センサ11や図示しないセンサやスイッチ等がそれらの信号を入力可能に接続される。
【0063】
また、車速センサ11からの検出信号に応じて制御装置10によって駆動されるムーブメント5や、発光ダイオード6も、制御装置10に接続される。
【0064】
次に、以上説明した、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の作動について、加飾リング3の視認状態を中心に説明する。
【0065】
イグニッションスイッチ12がオンされると、図4において、制御装置10は、それを検出して作動を開始する。即ち、制御装置10は、車速センサ11からの出力信号に基づき、当該自動車の車速を算出し、これに対応した角度だけシャフト51を回動させるように、ムーブメント5を駆動する。又、この時、制御装置10は、発光ダイオード6を点灯させる。
【0066】
点灯した発光ダイオード6の白色光は、リフレクタ7に導かれ、拡散板8で均一化されて、文字盤2の文字21を透過照明する。これにより、文字21は、白色で発光表示され、この背景部分である背景層23は、青色で表示される。
【0067】
また、点灯した発光ダイオード6の白色光は、リフレクタ7に導かれ、拡散板8で均一化されて、導光部22を通して、加飾リング3の第1露出面32cと第2露出面33cを透過照明する。これにより、銀色の加飾層34を背景として、第1露出面32cと第2露出面33cが、それぞれ、主目盛32aと補完目盛33a、33dとして白色で発光表示される。
【0068】
この結果、第1面32と第2面33及び第1凸部32bと第2凸部33bの各形状による装飾効果を発揮させつつ、即ち、斬新な立体感を視認者に与えつつ、第1露出面32cと第2露出面33cを、銀色の加飾層34と異なる白色で発光表示させることができる。この結果、従来にない見映えのある斬新な表示を実現できる。
【0069】
以上、本発明の第1実施形態による表示装置であるコンビネーションメータ1では、表示装置用加飾体である加飾リング3は、第1面32と、第1面32と隣接し且つ第1面32との第1境界線32dが突出する方向へ第1面32に対して傾斜する第2面33と、第1面32上に第1表示意匠である主目盛32aとして形成された第1凸部32bと、第2面33上に第2表示意匠である補完目盛33a、33dとしてとして形成された第2凸部33bとを備える加飾母材であるリング母材31と、少なくとも第1凸部32bと第2凸部33b上に形成された加飾層34とを備える。
【0070】
第1凸部32bと第2凸部33bが、第1境界線32d上で互いに分離されて形成され、第1凸部上に形成された加飾層34を除去することにより第1露出面32cを形成し、第2凸部33b(第2露出面33c)を、第1露出面32cの延長面Aより下方に配設する。また、第2凸部上に形成された加飾層を除去することにより第2露出面33cを形成し、第1凸部32b(第1露出面32c)を、第2露出面33cの延長面Bより下方に配設する。
【0071】
これにより、第2凸部33bの形状を損なうことなく、第1凸部32bの上面上に形成された加飾層34を除去することができると共に、第1凸部32bの形状を損なうことなく、第2凸部33bの上面上に形成された加飾層34を除去することができる
この結果、二つの平面にそれぞれ凸部を形成した加飾体において、各平面と各凸部の形状による斬新な装飾効果を発揮させつつ、即ち、斬新な立体感を視認者に与えつつ、露出面を形成した凸部を加飾層と異なる加飾母材の色調で表示させることができる。即ち、見映えのある斬新な表示を実現できる凸部が形成された表示装置用加飾体を提供することができる。
【0072】
図5は,図1の変形例である。
【0073】
上述の例に限らず、図5に示すように、主目盛32aの代わりに、文字32aを形成し、補完目盛33a、33dの代わりに、主目盛33aと補完目盛33dを形成することも可能である。
【0074】
(第2実施形態)
図6は,本発明の第2実施形態による表示装置用加飾体である加飾リング3を備えた表示装置であるコンビネーションメータ1の正面図である。
【0075】
図7は,図6に示す加飾リング3の第1露出面と32cと第3露出面と38cの互いの配置関係を説明するための加飾リング3の(リング本体30)の拡大断面図である。
【0076】
本発明の第2実施形態による表示装置用加飾体である加飾リング3は、図6と図7に示すように、第1実施形態と異なり、フランジ部36と外周リング37の代わりに、第3面38を形成する。第3面38は、第1面32と隣接し且つ第2境界線38dが突出する方向(凹まない方向)へ第1面32に対して傾斜するように形成され、第3面38上には、第3凸部38bが第3表示意匠である補完目盛38aとして形成される。
【0077】
第3凸部32bに形成された加飾層34を除去(切削加工)することによって、第3露出面32cを形成する。リング母材31は、図7において、第3露出面38cが第1露出面32cの延長面Aより下方(図中の矢印が示す下側の方向)に配設され、且つ、第1露出面32cが第3露出面38cの延長面Cより下方(図中の矢印が示す下側の方向)に配設されように形成される。
【0078】
これは、第1凸部32bに形成された加飾層34を除去(切削加工)する際に、第3凸部38bを切削加工してしまうことを防止するためであり、第3凸部38bに形成された加飾層34を除去(切削加工)する際に、第1凸部32bを切削加工してしまうことを防止するためである。
【0079】
リング母材31には、フランジ部36が形成されていないため、アルミ蒸着時の持ち手や治具への位置合わせ,及び、第1凸部32bと第2凸部33bと第3凸部38bから加飾層34を切削除去する際の切削機械等へのチャッキングに、フランジ部36を用いることができない。このため、フランジ部36の代わりに、ピン35を用いたり、リング母材31の内側等に、持ち手部や位置合わせ部及びチャッキング部等を設けるようにする。
【0080】
以上の構成により、第2凸部33bと第3凸部38bの形状を損なうことなく、第1凸部32b上に形成された加飾層34を除去することができると共に、第1凸部32bの形状を損なうことなく、第2凸部33b上と第3凸部38b上に形成された各加飾層34を除去することができる
この結果、三つの平面にそれぞれ凸部を形成した加飾体において、各平面と各凸部の形状によるより斬新な装飾効果を発揮させつつ、即ち、より斬新な立体感を視認者に与えつつ、露出面を形成した三つの凸部を加飾層と異なる加飾母材の色調で表示させることができる。即ち、さらに見映えのある斬新な表示を実現できる凸部が形成された表示装置用加飾体を提供することができる。
【0081】
尚、加飾層34は、アルミ蒸着に限る必要はなく、アルミやその他の金属によるめっきや、遮光性のある例えば黒色樹脂等の塗装により形成することができる。また、加飾層34は、透光性を有するものであってもよい。
【0082】
リング母材31は、無色透明である必要はなく、有色透明なものとすることができる。また、リング母材31は、不透光性を有するものであってもよく、この場合は、光源である発光ダイオード6は、不要となる。
【0083】
即ち、加飾層34とリング母材31は、互いに異なる色調(明度、色相、彩度)を有するものとして、上述の例に限らず、種々の変形例が考えられる。
【0084】
また、上述の実施形態では、加飾リング3に加飾される表示手段として、速度計を形成しているが、速度計に限る必要は無く、エンジン回転数を指示するタコメータ、水温計、燃料残量計、電圧計等とすることができる。
【0085】
また、本発明は、加飾リング3に加飾される表示手段として、指針計器以外の液晶表示器等にも適用することができる。この場合、加飾リング3は、リング形状でなく、四角形状や、円弧形状や、U字形状等も考えられる。
【0086】
また、上述の例に限らないで、四つ以上の平面にそれぞれ凸部を形成した加飾体においても、本発明を適用することができる。
【0087】
本発明の特徴は、第1面と、第1面と隣接し且つ第1面との第1境界線が突出する方向へ第1面に対して傾斜する第2面と、第1面上に第1表示意匠として形成された第1凸部と、第2面上に第2表示意匠として形成された第2凸部とを備える加飾母材と、少なくとも第1凸部上に形成された加飾層とを備え、第1凸部と第2凸部が、第1境界線上で互いに分離されて形成され、第1凸部の上面に形成された加飾層を除去することにより第1露出面を形成し、第2凸部を、第1露出面の延長面より下方に配設することである。
【0088】
この特徴を満足する限り、上述の例に限らず、種々の変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は,本発明の第1実施形態による表示装置用加飾体である加飾リング3を備えた表示装置であるコンビネーションメータ1の正面図である。
【図2】図2は、図1中のII−II線断面図である。
【図3】図3は,図2に示す加飾リング3の第1露出面と32cと第2露出面と33cの互いの配置関係を説明するためのリング本体30の拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路を説明する回路構成図である。
【図5】図5は,図1の変形例である。
【図6】図6は,本発明の第2実施形態による表示装置用加飾体である加飾リング3を備えた表示装置であるコンビネーションメータ1の正面図である。
【図7】図7は,図6に示す加飾リング3の第1露出面と32cと第3露出面と38cの互いの配置関係を説明するための加飾リング3の(リング本体30)の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 コンビネーションメータ(表示装置)
2 文字盤(表示手段)、 20 文字盤母材
21 文字、 22 導光部、 23 背景層、 24 貫通孔、
3 加飾リング(表示装置用加飾体)、 30 リング本体
31 リング母材(加飾母材)、 32 第1面
32a 主目盛(文字、目盛、第1表示意匠)
32b 第1凸部、 32c 第1露出面、 32d 第1境界線
33 第2面、 33a 補完目盛(主目盛、目盛、第2表示意匠)
33b 第2凸部、 33c 第2露出面、 33d 補完目盛(目盛、第2表示意匠)
34 加飾層、 35 ピン、 36 フランジ部
37 外周リング、 37a ピン
38 第3面、 38a 補完目盛(第3表示意匠)
38b 第3凸部、 38c 第3露出面、 38d 第2境界線
4 指針(表示手段)、 5 ムーブメント、 51 シャフト
6 発光ダイオード(光源)、 7 リフレクタ、 8 拡散板
9 プリント基板、 10 制御装置、 11 速度センサ
12 イグニッションスイッチ、 13 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示手段を加飾する表示装置用加飾体であって、
第1面と、該第1面と隣接し且つ該第1面に対して該第1面との第1境界線が突出する方向へ傾斜する第2面と、該第1面上に第1表示意匠として形成された第1凸部と、該第2面上に第2表示意匠として形成された第2凸部とを備える加飾母材と、
少なくとも前記第1凸部上に形成された加飾層とを備え、
前記第1凸部と前記第2凸部は、前記第1境界線上で互いに分離されて形成され、
前記第1凸部の上面に形成された前記加飾層を除去することにより第1露出面を形成し、
前記第2凸部を、前記第1露出面の延長面より下方に配設することを特徴とする表示装置用加飾体。
【請求項2】
前記第1凸部と前記第2凸部は、前記第1境界線に対して略垂直な方向へ向かって互いに分離されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用加飾体。
【請求項3】
前記第1凸部と前記第2凸部は、前記第1境界線に対して略並行する方向へ向かって互いに分離されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用加飾体。
【請求項4】
前記第1表示意匠と前記第2表示意匠は、それぞれ、目盛と文字の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体。
【請求項5】
前記第1表示意匠と前記第2表示意匠の一方は、主目盛であり、
前記第1表示意匠と前記第2表示意匠の他方は、前記主目盛を補完する補完目盛であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置用加飾体。
【請求項6】
前記加飾層は、前記第2凸部上に形成され、
前記第2凸部の上面に形成された前記加飾層を除去することにより第2露出面を形成し、
前記第1露出面を、前記第2露出面の延長面より下方に配設することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体。
【請求項7】
前記加飾母材は、前記第1面と隣接し且つ該第1面に対して該第1面との第2境界線が突出する方向へ傾斜する第3面と、該第3面上に第3表示意匠として形成された第3凸部とを備え、
前記加飾層は、前記第3凸部上に形成され、
前記第3凸部の上面に形成された前記加飾層を除去することにより第3露出面を形成し、
前記第1露出面を、前記第3露出面の延長面より下方に配設し、
前記第3露出面を、前記第1露出面の前記延長面より下方に配設することを特徴とする請求項6に記載の表示装置用加飾体。
【請求項8】
前記加飾母材は、前記加飾層と異なる色調を有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体。
【請求項9】
前記加飾母材は、透光性を有し、
前記第2露出面は、前記加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置用加飾体。
【請求項10】
前記加飾母材は、透光性を有し、
前記第2露出面は、前記加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示され、
前記第3露出面は、前記加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置用加飾体。
【請求項11】
前記加飾母材は、透光性を有し、
前記第1露出面は、前記加飾母材が受けた光源の発する光により発光表示されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体。
【請求項12】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体と、
前記表示装置用加飾体により加飾され且つ情報を表示する表示手段とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の表示装置用加飾体と、
前記表示装置用加飾体により加飾され且つ情報を表示する表示手段と、
前記第1露出面と前記第2露出面の少なくとも一方を透過照明する光源とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記表示手段は、文字盤と該文字盤の前面に沿って回動する指針とを備え、
前記表示装置用加飾体は、前記文字盤の前記前面において前記指針の先端の回動軌跡の外周近傍に環状に形成されることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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