説明

表示装置

【課題】発光管アレイ表面から生じる異音が表示画面から漏れ出ることを効果的に抑制することができる表示装置を提供する。
【解決手段】内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極32、32、・・・が形成してあるアドレス電極シート33と、表示電極34、34、・・・が形成してある表示電極シート35との間に挟持してある表示フィルムを用いる。発光管アレイが発する音を抑制する消音フィルム50を、表示フィルムの前面に配置してある。消音フィルム50は、音吸収層42と音反射層43とが交互に配してある多層構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管アレイ型表示モジュールを用いて形成された表示装置に関し、さらに詳しくは、発光管アレイ型表示モジュールに含まれる発光管アレイ表面から発する音が外部へ漏れ出ることを防止することができる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新世代の大画面表示装置を実現する技術として、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してある発光管アレイ型の表示サブモジュールが開発されている。表示サブモジュールに駆動回路、電源回路等を組み込んで表示モジュールを構成することで表示装置として機能させることができる。また、表示サブモジュールを複数連結して大画面対応の表示システムモジュールを構成し、表示システムモジュールを一枚の表示パネルとして駆動回路、電源回路等を組み込むことで、大型表示パネルを製造するための大規模な設備投資が不要で、画質が均質となる表示装置を提供することもできる。図1は、従来の発光管アレイ型の表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。図1(a)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を部分的に示す斜視図であり、図1(c)は、発光管アレイ型表示サブモジュールを連結した状態を示す斜視図である。
【0003】
図1(a)に示すように、従来の発光管アレイ型表示サブモジュール30は、矩形画面の一部を構成する発光管アレイ型表示サブモジュール30であることから、矩形形状を有しており、内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置している。発光管31、31、・・・はガラス製の放電細管であり、管体となる細管の径は、特に大きさが限定されるものではないが、直径0.5〜5mm程度であることが望ましい。細管の形状は、円形の断面、扁平楕円状の断面、方形の断面等、どのような形状の断面を有していてもよい。また、発光管31、31、・・・の内部にはネオン、キセノン等の放電ガスが所定の割合で所定の圧力で封入されている。
【0004】
並列に配置された発光管31、31、・・・は、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って配設されているアドレス電極32、32、・・・を有するアドレス電極シート33と、発光管31、31、・・・の長手方向に略直交する方向に配設されている表示電極対34、34、・・・を有する表示電極シート35とに挟持されることで発光管アレイ型表示サブモジュールを構成している。表示電極シート35はフレキシブルシートであり、例えばポリカーボネートフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等で構成されている。
【0005】
複数の表示電極対34、34、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の表示画面(前面)側に、発光管31、31、・・・の長手方向と直交する方向にストライプ状に設けられており、隣接する表示電極34、34間で発光管31、31、・・・において表示放電を発生させることができるものであれば、特に限定されるものではない。表示電極34は、当該分野で公知の各種の材料を用いて形成することができる。表示電極34に用いられる材料としては、例えば、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)、SnO2 等の透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Cr等の金属の導電性材料が挙げられる。
【0006】
表示電極34の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。例えば、印刷等の厚膜形成技術を用いて形成しても良いし、物理的堆積法又は化学的堆積法からなる薄膜形成技術を用いて形成しても良い。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。薄膜形成技術のうち、物理的堆積法としては、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。化学的堆積法としては、熱CVD法、光CVD法、あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。
【0007】
アドレス電極32、32、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の背面側に、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って発光管31ごとに設けられ、表示電極対34、34、・・・との交差部に発光セルを形成する発光セル選択用のものであれば、特に限定されるものではない。アドレス電極32も、当該分野で公知の各種の材料と方法を用いて形成することができる。
【0008】
上記構成において、発光管アレイ型表示サブモジュール30をカラー表示対応とする場合には、図1(b)に示すように、発光管31ごとに単色の蛍光体層36、例えば赤色(R)用の蛍光体層36R、緑色(G)用の蛍光体層36G、青色(B)用の蛍光体層36Bを有する。RGB3色の発光管31、31、31を一組として一つの画素を構成することでカラー表示に対応することができる。なお、蛍光体層36は、赤色(R)用の蛍光体層36Rでは、紫外線照射により赤色発光する(Y、Gd)BO3 :Eu3+等の蛍光体材料を用いる。緑色(G)用の蛍光体層36Gでは、緑色発光するZn2 SiO4 :Mn等の蛍光体材料を用い、青色(B)用の蛍光体層36Bでは、青色発光するBaMgAl1217:Eu2+等の蛍光体材料を用いる。
【0009】
図1(c)は、上述した発光管アレイ型表示サブモジュール30を縦横に接続する様子を模式的に示す斜視図である。図1(c)では、4枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30から1枚の大画面用の発光管アレイ型表示システムモジュール45を構成しており、1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30は、駆動回路、電源回路等を含まない半完成品である。大画面用の発光管アレイ型表示システムモジュール45を構成した段階で、全体を一つの表示フィルムとして、駆動回路、電源回路等を組み込み、フレームと一体化することにより、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに表示画像の品質のばらつきが少ない大画面表示装置を構成することができる。
【特許文献1】特開2003−338245号公報
【特許文献2】特開2003−043937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、複数の発光管を並列に配置してあるので、駆動電圧が印加された場合には発光管内部の圧力変動、温度変化等に起因して発光管の形状が微妙に変動する。また、発光管自体の製造精度にもばらつきがあり、管径の不一致等も生じており、これらの要因が互いに関連しあうことにより、駆動入力パターンによっては発光管アレイに固有の振動モードと共振し、発光管アレイ表面から異音が発生するという現象が生じる。
【0011】
異音が表示装置前面から漏れ出るのを防止するためには、遮音効果を有する遮音膜を表示画面の前面に設ける必要がある。例えば特許文献2には、プラズマディスプレイの衝撃緩和を目的としたディスプレイ用フィルタ(フィルム)が開示されているが、外部からの衝撃を緩和することはできても、内部から発生する異音が外部へ漏れ出るのを防止する機能については開示も示唆もされていない。そもそも、発光管アレイ型表示サブモジュールを用いる表示フィルム以外の表示パネルにおいては、内部から異音が発生する現象が生じることが無く、遮音機能を求める必然性もない。
【0012】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、発光管アレイ表面から生じる異音が表示画面から漏れ出ることを効果的に抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために第1発明に係る表示装置は、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してある表示フィルムを用いた表示装置において、前記発光管アレイが発する音を抑制する消音フィルムを、前記表示電極シートの前面に配置してあることを特徴とする。
【0014】
第1発明では、発光管アレイを挟持している表示電極シートの前面に、発光管アレイが発する音を抑制する消音フィルムを配置することにより、発光管アレイ表面から発生する、発光管アレイを用いた表示フィルムに固有の異音が表示画面の前面から漏れ出るのを抑制することができ、画像を見る者に音による不快感を与えることがない表示装置を提供することが可能となる。
【0015】
また、第2発明に係る表示装置は、第1発明において、前記消音フィルムは複数の層からなる多層構造を有しており、音を吸収する音吸収層と音を反射する音反射層とからなる多層構造を有するように形成してあることを特徴とする。
【0016】
第2発明では、消音フィルムは複数の層からなる多層構造を有しており、音を吸収する音吸収層と音を反射する音反射層からなる多層構造となるように形成することで、音を吸収して、残存している音を今一度発光管側へ反射する、といった消音機能を繰り返し発揮することができ、発光管アレイを用いた表示フィルムに固有の異音が表示画面の前面から漏れ出ることを効果的に抑制することが可能となる。
【0017】
また、第3発明に係る表示装置は、第2発明において、前記音反射層は光学フィルタ層であることを特徴とする。
【0018】
第3発明では、音反射層を、比較的硬質材料で形成されている光学フィルタ層とすることにより、表示画面の前面から漏れ出た発光管アレイを用いた表示フィルムに固有の異音を確実に反射することが可能となる。
【0019】
また、第4発明に係る表示装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記発光管アレイと前記消音フィルムとの間に所定の間隙部を設けてあることを特徴とする。
【0020】
第4発明では、発光管アレイと消音フィルムとの間に所定の間隙部を設けることにより、比較的硬質な材料で形成されている音反射層を直接伝播する周波数成分が生じることが無く、音を吸収して、残存している音を今一度発光管側へ反射する、といった消音機能を繰り返し確実に発揮させる。したがって、表示画面の前面から発光管アレイを用いた表示フィルムに固有の異音が漏れ出ることをより効果的に抑制することが可能となる。
【0021】
また、第5発明に係る表示装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、単体の前記表示フィルムに駆動回路を設けた表示モジュールの前面に、又は前記表示フィルムを複数連結して駆動回路を設けた表示システムモジュールの前面に、一又は複数の消音フィルムを配置してあることを特徴とする。
【0022】
第5発明では、単体の前記表示フィルムに駆動回路を設けた表示モジュールの前面に、又は表示フィルムを複数連結して駆動回路を設けた表示システムモジュールの前面に、それぞれ一又は複数の消音フィルムを配置することにより、製造工程、目的に応じて最適な消音フィルムを配置することが可能となる。
【0023】
また、第6発明に係る表示装置は、第5発明において、前記消音フィルムを前記表示モジュール単位で配置してあることを特徴とする。
【0024】
第6発明では、消音フィルムを表示モジュール単位で配置することにより、比較的小型の表示モジュールの段階で消音フィルムの取付けを完了することができ、比較的小型の設備を有する工場であっても、大画面用の表示モジュールを精度良く製造することが可能となる。
【0025】
また、第7発明に係る表示装置は、第5発明において、前記表示システムモジュールの前面に一枚の前記消音フィルムを配置してあることを特徴とする。
【0026】
第7発明では、表示システムモジュールの前面に一枚の前記消音フィルムを配置することにより、消音フィルムの接続部分が存在せず、より消音効果の高い表示装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
上記のように、発光管アレイを挟持している表示電極シートの前面に、発光管アレイが発する音を抑制する消音フィルムを配置することにより、発光管アレイ表面から発生する、発光管アレイを用いた表示フィルムに固有の異音が表示画面の前面から漏れ出るのを抑制することができ、画像を見る者に音による不快感を与えることがない表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態に係る発光管アレイを用いた表示装置について、図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイを用いた表示装置に用いる発光管アレイ型表示サブモジュール、発光管アレイ型表示モジュール、及び発光管アレイ型表示システムモジュールの構成の違いを示す模式図である。
【0029】
図2(a)は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュール30を示している。発光管アレイ型表示サブモジュール30の詳細構成は、図1にて説明してあるので省略する。図2(b)は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示モジュール40を示している。発光管アレイ型表示モジュール40は、発光管アレイ型表示サブモジュール30に、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続している。
【0030】
図2(c)は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45を示している。発光管アレイ型表示システムモジュール45は、複数の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を連結し、全体を1枚の表示フィルムとしてX駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続している。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュール30を、2枚接続した状態を示す平面図及び発光管31に直交する面での模式断面図である。図3(a)は、発光管アレイ型表示サブモジュール30の発光管31に直交する面での模式断面図であり、図3(b)は、2枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30を接続した発光管アレイ型表示システムモジュール45を示す平面図である。なお、従来の構成と同一の機能を有する構成部品については、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。
【0032】
図3(b)に示すように、2枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30同士を接続する場合、アドレス電極32、32、・・・が形成されているアドレス電極シート33を端部で背面側へ折り曲げて接続することにより、発光管アレイ間に可能な限り隙間が生じないよう工夫されている。これは、表示電極34、34、・・・が形成されている表示電極シート35についても同様である。
【0033】
したがって、発光管31は非常に接近した状態で構成されており、駆動電圧が印加された場合には発光管31、31、・・・内部の圧力変動、温度変化等に起因して発光管31、31、・・・の形状が微妙に変動する。また、発光管31、31、・・・自体の製造精度にもばらつきがあり、管径の不一致等の要因も互いに関連しあうことにより、駆動入力パターンによっては発光管アレイに固有の振動モードと共振し、発光管アレイ表面から異音が発生するという現象が生じる。
【0034】
図3(a)に示すように、発光管アレイ表面から発生した異音は、表示電極シート35を伝播し、表示画面の前面から画像を見ている者に対して発せられる。斯かる異音は、画像を見る者にとっては不快感を喚起する一因となる。
【0035】
そこで、本実施の形態では、発光管アレイの表示電極シート35の前面に、発光管アレイ表面から発生した異音を抑制する消音フィルムを形成してある。図4は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュール30の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0036】
図4に示すように、表示電極34、34、・・・を一方の面に形成してある表示電極シート35の前面に、多層構造を有する消音フィルム50を設けてある。消音フィルム50は、表示電極シート35側から順に、音を吸収する音吸収層42、音を反射する音反射層43、音吸収層42、音反射層43、・・・というように、音吸収層42と音反射層43とが交互に配設してある。また、消音フィルム50の前面には、ARフィルタ等の表面保護層44が形成されている。
【0037】
このような多層構造とすることにより、発光管アレイ表面から異音が生じた場合、まず音吸収層42にて一定の音エネルギーが吸収され、次の音反射層43にて一定量の音が発光管アレイ側へ反射される。続いて、音反射層43を通過して伝播してきた音について、次の音吸収層42にてさらに一定の音エネルギーが吸収され、次の音反射層43にて一定量の音が発光管アレイ側へ反射される。このように消音フィルム50の各階層にて音エネルギーの吸収及び音の反射が繰り返されることにより、消音フィルム50を透過して表面保護層44の前面から発せられる異音を小さくすることが可能となる。
【0038】
音吸収層42としては、例えばヤング率が10〜200KPaの軟質材を用いることが好ましい。具体的には、透光性を有する軟質ゲルである、シリコンゲル、ポリエチレンゲル、アクリルゲル、ウレタンゲル、アクリルウレタンゲル、ブタジエンゲル、イソプレンゲル、ブチルゲル、スチレンブタジエンゲル、エチレン酢酸ビニル共重合体ゲル、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゲル、フッ素ゲル等がより望ましい。
【0039】
音反射層43としては、例えばヤング率が1000〜4000MPaの硬質材を用いることが好ましい。具体的には、透光性を有する高分子フィルムに用いることができる材質である、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等がより望ましい。
【0040】
例えば厚さ200μmの硬質光学フィルタを音反射層43とし、厚さ1mmの軟質ゲルを音吸収層42とし、消音フィルム50を音吸収層42と音反射層43とを交互に配置した4層構造で構成する。
【0041】
もちろん消音フィルム50は、表示電極シート35側から順に、音を反射する音反射層43、音を吸収する音吸収層42、音反射層43、音吸収層42という順に交互に配設してもよい。光学フィルタの機能は発光面に近接するほど効果的だからである。この場合、図4と同様に、例えば厚さ200μmの硬質光学フィルタを音反射層43とし、厚さ1mmの軟質ゲルを音吸収層42とし、消音フィルム50を音反射層43から順に交互に配置した4層構造で構成する。図5は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュール30の消音フィルム50の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0042】
図5に示すように、表示電極34、34、・・・を一方の面に形成してある表示電極シート35の前面に消音フィルム50を設けてある。消音フィルム50は、4層構造となっており、表示電極シート35側から順に、音を反射する音反射層43、音を吸収する音吸収層42、音反射層43、音吸収層42という順に交互に4層になるよう配設してある。このようにすることで、消音効果を減じることなく、光学フィルタとしての機能を十二分に発揮させることができる。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示モジュール40の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。図6(a)では、発光管アレイ型表示サブモジュール30単体に、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続し、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前面に、消音フィルム50と表面保護層44とを配設してある。
【0044】
ここで、音吸収層42による音エネルギーの吸収効果は、音源に密着するよりも少し離隔した方が効果的であることが知られている。振動による音の直接伝導を回避することができるからである。そこで、消音フィルム50と発光管アレイ型表示サブモジュール30との間に間隙部60を設けることが好ましい。図6(b)は、間隙部60を設けた場合の本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示モジュール40の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0045】
図6(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前面と、消音フィルム50との間に、所定の間隔を有する間隙部60を設けてある。間隙部60を設けることで、振動による音の直接伝導を回避することができ、より消音効果を高めることができる。
【0046】
複数の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を連結して表示システムモジュールを形成する場合、例えば発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに消音フィルム50及び表面保護層44を配設し、それぞれを現地で組み合わせてX駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続することで表示装置を形成しても良い。図7は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45の一構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0047】
図7(a)では、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに、その前面に消音フィルム50及び表面保護層44を配設し、その状態で複数連結した後、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続してある。これにより、大画面の表示装置であっても、工場では1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30に消音フィルム50及び表面保護層44を配設しておけばよく、輸送コストも低減することができる。
【0048】
この場合も、消音フィルム50と発光管アレイ型表示サブモジュール30との間に間隙部60を設けることが好ましい。図7(b)は、間隙部60を設けた場合の本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45の一構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0049】
図7(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前面と、消音フィルム50との間に、所定の間隔を有する間隙部60を設けてある。間隙部60を設けることで、振動による音の直接伝導を回避することができ、より消音効果を高めることができる。
【0050】
また、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに消音フィルム50を配設し、それぞれを現地で組み合わせてX駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続した後、全面を覆う1枚の表面保護層44を形成しても良い。図8は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45の他の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0051】
図8(a)では、発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに、その前面に消音フィルム50を配設し、その状態で複数連結した後、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続してある。その後、全面を覆う1枚の表面保護層44を形成することで表示装置が完成する。これにより、大画面の表示装置であっても、工場では1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30に消音フィルム50を配設しておけばよく、輸送コストも低減することができる。また、現地で表面保護層44の位置合わせ等の煩雑な作業が軽減される。
【0052】
この場合も、消音フィルム50と発光管アレイ型表示サブモジュール30との間に間隙部60を設けることが好ましい。図8(b)は、間隙部60を設けた場合の本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45の他の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0053】
図8(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前面と、消音フィルム50との間に、所定の間隔を有する間隙部60を設けてある。間隙部60を設けることで、振動による音の直接伝導を回避することができ、より消音効果を高めることができる。
【0054】
さらに、複数の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を現地へ輸送し、現地にて連結して、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続した後、全面を覆う1枚の消音フィルム50及び全面を覆う1枚の表面保護層44を形成しても良い。図9は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45の他の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0055】
図9(a)では、発光管アレイ型表示サブモジュール30を複数連結した後、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続してある。その後、全面を覆う1枚の消音フィルム50及び全面を覆う1枚の表面保護層44を形成することで表示装置が完成する。これにより、大画面の表示装置であっても、工場では1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュール30のみを製造すれば足りる。また、消音フィルム50及び表面保護層44の位置合わせを精緻に行う必要がなく、音漏れ等の懸念がない。
【0056】
この場合も、消音フィルム50と発光管アレイ型表示サブモジュール30との間に間隙部60を設けることが好ましい。図9(b)は、間隙部60を設けた場合の本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュール45の他の構成を示す、発光管31に直交する面での模式断面図である。
【0057】
図9(b)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30の前面と、消音フィルム50との間に、所定の間隔を有する間隙部60を設けてある。間隙部60を設けることで、振動による音の直接伝導を回避することができ、より消音効果を高めることができる。
【0058】
複数の発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・で構成される発光管アレイ型表示システムモジュール45の前面に配設する消音フィルム50のサイズ及び枚数には様々なバリエーションがある。図10は、発光管アレイ型表示システムモジュール45の前面に配設する消音フィルム50の構成を模式的に示す表示画面側から見た正面図である。
【0059】
図10(a)は、図9に示す構成に相当し、発光管アレイ型表示サブモジュール30、30、・・・を複数連結した後、X駆動回路51、Y駆動回路52、及びアドレス駆動回路基板53を接続し、表示画面全面を覆う1枚の消音フィルム50を配設してある。しかし、消音フィルム50で表示画面全面を覆う場合、1枚の消音フィルム50で覆うことに限定されるものではなく、図10(b)のように横2枚に分割された消音フィルム50、50を配設しても良いし、図10(c)、図10(e)のように縦3枚、縦2枚に分割された消音フィルム50、50、・・・を配設しても良い。もちろん、図10(d)のように発光管アレイ型表示サブモジュール30ごとに消音フィルム50、50、・・・を配設しても良いことは言うまでもない。
【0060】
以上のように本実施の形態によれば、消音フィルムを形成することにより、発光管アレイ表面から発生する、発光管アレイ型表示サブモジュールに固有の異音が表示画面の前面から漏れ出るのを抑制することができ、画像を見る者に音による不快感を与えることがない発光管アレイ型表示サブモジュールを提供することが可能となる。また、光学フィルタの機能を十分発揮させつつ消音効果を得ることも可能となる。
【0061】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。例えば消音フィルム50の構成は多層構造であれば何層でも良く、最低2層であっても良い。また、例えば厚さ50μmの硬質光学フィルタを音反射層43とし、厚さ250μmの軟質ゲルを音吸収層42とし、交互に積層して10層構造とした消音フィルム50であっても良い。さらに、赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの蛍光体層を有する発光管31のそれぞれの前面にのみ消音フィルム50を設ける構成であっても良い。
【0062】
さらに、単体の表示装置として提供されている複数の表示装置を連結して、大画面の1つの表示システムモジュールとして構成しても良い。この場合、画像を制御することにより1画面に合成する必要があり、表示装置ごとに負荷補正が必要となるものの、消音フィルム50の構成としては本実施の形態と同様であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】従来の発光管アレイ型の表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る発光管アレイを用いた表示装置に用いる発光管アレイ型表示サブモジュール、発光管アレイ型表示モジュール、及び発光管アレイ型表示システムモジュールの構成の違いを示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを、2枚接続した状態を示す平面図及び発光管に直交する面での模式断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの消音フィルムの構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示モジュールの構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュールの一構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュールの他の構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示システムモジュールの他の構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図10】発光管アレイ型表示システムモジュールの前面に配設する消音フィルムの構成を模式的に示す表示画面側から見た正面図である。
【符号の説明】
【0064】
30 発光管アレイ型表示サブモジュール
31 発光管
32 アドレス電極
33 アドレス電極シート
34 表示電極(対)
35 表示電極シート
40 発光管アレイ型表示モジュール
42 音吸収層
43 音反射層
44 表面保護層
45 発光管アレイ型表示システムモジュール
50 消音フィルム
60 間隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置した発光管アレイを、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に挟持してある表示フィルムを用いた表示装置において、
前記発光管アレイが発する音を抑制する消音フィルムを、前記表示電極シートの前面に配置してあることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記消音フィルムは複数の層からなる多層構造を有しており、
音を吸収する音吸収層と音を反射する音反射層とからなる多層構造を有するように形成してあることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記音反射層は光学フィルタ層であることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光管アレイと前記消音フィルムとの間に所定の間隙部を設けてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
単体の前記表示フィルムに駆動回路を設けた表示モジュールの前面に、又は前記表示フィルムを複数連結して駆動回路を設けた表示システムモジュールの前面に、一又は複数の消音フィルムを配置してあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記消音フィルムを前記表示モジュール単位で配置してあることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示システムモジュールの前面に一枚の前記消音フィルムを配置してあることを特徴とする請求項5記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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