説明

表示装置

【課題】電力消費を抑制しながら明るいカラー画像を表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】データ変換部は、第1の画像データに基づいて赤色、緑色、青色、及び白色を表示する表示素子にそれぞれ印加する電力に応じたデータと、1つの画素単位の表示濃度とを算出し、算出した前記データからそれぞれ所定量減らした値を第2の画像データとするとともに、算出した表示濃度の総和と等しくなるように第2の画像データの白色の表示素子に印加する電力に応じたデータを算出することを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手し、その電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
【0003】
この様な電子情報を閲覧するためには、従来からの液晶ディスプレイやCRT、また近年では有機ELディスプレイ等の発光型のディスプレイが主として用いられている。しかしながら、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこのドキュメント情報を注視する必要があり、一般的な発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限される、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
【0004】
これらの欠点を解消する表示方式として、電気化学表示方式が知られており、その一例として、金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)が知られている。(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
ED方式の表示素子は、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成で実現でき、また、表示品位が優れている(明るいペーパーライクな白と引き締まった黒)といった特長を持っている。
【0006】
ED方式等の電気化学表示素子を駆動するときは、電気化学表示素子の両端に閾値以上の一定の電圧をある時間印加する。その表示状態は電圧や時間で制御が可能である。
【0007】
一方、このような電気化学表示素子を用いた表示装置でも、カラー画像を表示したいという要望が多い。しかし、電気化学表示素子のような反射型の素子にカラーフィルタを設けると、各画素の反射率が低下し、表示画面が暗くなってしまう問題がある。
【0008】
明るさをできるだけ低下させずにカラー化する方法としては、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に、さらにW(白)を追加して4色の画素としたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3428603号公報
【特許文献2】特開2003−241227号公報
【特許文献3】特開2001−147666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの電気化学表示素子を用いる表示装置は、電池駆動されることが多く、長時間の使用を可能にするためにも省電力化が重要な課題である。
【0011】
しかしながら、RGBWの4色の副画素を1画素単位として画像を表示すると、画像書換のため電圧を印加する画素が、白黒表示の場合より大幅に増えるため表示装置の消費電力が増えてしまう。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、電力消費を抑制しながら明るいカラー画像を表示することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0014】
1.白色を表示する表示素子と、赤色を表示する表示素子と、緑色を表示する表示素子と、青色を表示する表示素子と、を1つの画素単位として複数配列し、それぞれの前記表示素子に電力を印加してカラー画像を表示可能な表示装置であって、
赤色、緑色、青色を表示する3つの表示素子によって画像を表示する場合にそれぞれの表示素子に印加する電力に対応する第1の画像データから、前記1つの画素単位によって画像を表示する場合にそれぞれの表示素子に印加する電力に対応する第2の画像データに変換するデータ変換部を有し、
前記データ変換部は、
前記第1の画像データに基づいて白色を表示する表示素子に印加する電力に応じたデータと、前記1つの画素単位を構成する表示素子の表示濃度の総和とを算出し、
前記第1の画像データからそれぞれ所定値を減じて赤色、緑色、青色を表示する表示素子の第2の画像データとするとともに、算出した前記表示濃度の総和と等しくなるように白色の表示素子に印加する電力に応じたデータを算出し第2の画像データとすることを特徴とする表示装置。
【0015】
2.前記データ変換部は、
赤色、緑色、青色を表示する表示素子のうち、印加する電力が最も少ない表示素子の前記第1の画像データを前記所定値とすることを特徴とする前記1に記載の表示装置。
【0016】
3.赤色、緑色、青色、及び白色を表示する表示素子について、表示素子に印加する電力と、前記表示素子の表示濃度との関係を示すテーブルを有することを特徴とする前記1または2に記載の表示装置。
【0017】
4.前記表示素子は、電気化学表示素子であることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示装置は、赤色、緑色、青色を表示する3つの表示素子によって画像を表示する場合に対応する第1の画像データから、白色、赤色、緑色、青色の表示素子を1つの画素単位として画像を表示する場合に対応する第2の画像データに変換するデータ変換部を有する。
【0019】
データ変換部は、第1の画像データに基づいて白色を表示する表示素子に印加する電力に応じたデータと、1つの画素単位による表示濃度の総和とを算出する。第1の画像データからそれぞれ所定値減らした値を第2の画像データとするとともに、算出した表示濃度の総和と等しくなるように白色の表示素子に印加する電力に応じたデータを算出し第2の画像データとする。
【0020】
したがって、電力消費を抑制しながら明るいカラー画像を表示することができる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の表示装置の実施形態に係る表示装置100の概観を示す図である。
【図2】本実施形態における表示装置100に用いられるED方式の電気化学表示素子1の基本的な構成を示す概略断面図である。
【図3】電気化学表示素子1に書き込み電圧を印加する時間と表示濃度Dとの関係を説明する図である。
【図4】本実施形態における表示装置100の電気的構成を示す図である。
【図5】本実施形態のカラーフィルタの配列を示す図である。
【図6】電気化学表示素子1に画像を表示させるときの各部の電圧の変化を示すタイムチャートである。
【図7】本実施形態におけるカラー画像の表示濃度とフレーム番号Nとの関係の一例を示すグラフである。
【図8】制御部11の内部構成を説明するための図である。
【図9】本実施形態のカラー画像を表示する手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の一例を示す外観図である。
【0024】
表示装置100は、例えばタブレットPCや電子ブック、PDAであり、メモリ10(図4参照)に記憶されている画像や文字などのデータを表示画面50に表示する。表示画面50には階調表示が可能なメモリー性表示素子である電気化学表示素子1(図2参照)が用いられている。操作部42にはメカニカルスイッチからなる順送りボタン43と逆送りボタン44が設けられている。例えば、ユーザが順送りボタン43を押すと表示画面50に表示されているデータの次のページのデータをメモリ10から読み出して表示する。同様に、ユーザが逆送りボタン44を押すと表示画面50に表示されているデータの前のページのデータをメモリ10から読み出して表示する。
【0025】
図2は、表示装置100に用いられるED方式の電気化学表示素子1の基本的な構成を示す概略断面図である。図2(a)は電気化学表示素子1により黒を表示している状態であり、図2(b)は白を表示している状態である。
【0026】
図2に示すED方式の電気化学表示素子1は、透明なITO(錫ドープ酸化インジウム)電極32と、銀電極30との間に電解質31を保持している。ITO電極32と銀電極30には電源34が接続されている。なお、ユーザはITO電極32側から電気化学表示素子1を観察する。
【0027】
図2(a)のように電源34から銀電極30に対しITO電極32に負の電圧を印加すると図中の矢印方向に電流が流れ、ITO電極32側で電解質31中に含まれる銀の析出反応が生じる。以降ITO電極32に印加する負の電圧を書き込み電圧と呼ぶ。
【0028】
35は析出した銀であり、析出した銀35は光を吸収するので、ITO電極32側から見た電気化学表示素子1の濃度が高くなる。36は溶解した銀を模式的に示しており、銀電極30側では析出していた銀が電解質31中に溶解する現象が生じる。
【0029】
図2(b)のように電源34から銀電極30に対しITO電極32に正の電圧を印加すると、図中の矢印方向に電流が流れ、ITO電極32側では銀の溶解反応が生じる。以降ITO電極32に印加する正の電圧を消去電圧と呼ぶ。図2(a)の状態においてITO電極32側に析出していた銀は電解質31中に溶解し、一定時間消去電圧を印加すると、電解質31に混入された光拡散物質(例えば、酸化チタン粒子)の作用によってITO電極32側から見た電気化学表示素子1は初期状態の白色になる。
【0030】
電気化学表示素子1に含まれる電解質31は、例えば銀塩水溶液より非水系銀塩溶液に銀を転相させることにより調製できる。このような銀塩水溶液は、公知の銀塩を水に溶解して調製することができる。
【0031】
図3は、電気化学表示素子1に書き込み電圧を印加する時間と表示濃度Dとの関係を説明する図である。
【0032】
図3の横軸はTxは書き込み電圧を印加する時間、縦軸の0〜24は表示濃度の値Dである。0は電気化学表示素子1の最小表示濃度(白)、24は電気化学表示素子1の最大表示濃度(黒)であり、この図は0から24までの25段階の階調を表示する例である。図3に示すように本実施形態の電気化学表示素子1では所定の書き込み電圧を印加すると書き込み時間Txに応じて表示濃度Dが増していく。
【0033】
図4は、本実施形態における表示装置の構成を示す図、図5は、本実施形態におけるカラーフィルタの配列を示す図である。図4では説明の簡略化のために3行×3列の画素だけの構成を示すが、表示画面50に画像表示を行うためには、より多くのn行×m列の画素が用いられる。例えば、XGAの表示画面50を構成する場合であれば、画素数は1024×768となる。また、図5のようにカラーフィルタの配列は2行×2列なので、行および列の画素数は2の倍数であることが望ましい。
【0034】
図4において、各画素は、電気化学表示素子1、駆動トランジスタ2、スイッチングトランジスタ4とを有する。図4ではn行×m列の画素の電気化学表示素子1をそれぞれPnmと表記している。例えば1行1列目の画素の電気化学表示素子1はP11、1行2列目の画素の電気化学表示素子1はP12、というように順に表記している。
【0035】
図5は、4行×4列の画素に設けられたカラーフィルタの配列を示している。
【0036】
P11にはG(緑色)のカラーフィルタ材料が塗布され、P12にはR(赤色)のカラーフィルタ材料が塗布され、P21にはB(青色)のカラーフィルタ材料が塗布されている。P22にはカラーフィルタ材料が塗布されていないので白色の画素を意味するWと表記する。R、G、Bの画素とWの画素の4つの画素は、カラー画像の1つの画素単位を構成する副画素である。同様に、P13、P14、P23、P24の4画素、P31、P32、P41、P42の4画素、P33、P34、P43、P44の4画素も1つの画素単位を構成する。
【0037】
符号5a、5b、5cは走査線で、行方向に並んだ画素それぞれのスイッチングトランジスタ4のゲートと、ゲートドライバ12とを互いに接続する。符号8a、8b、8cは信号線で、列方向に並んだ画素それぞれのスイッチングトランジスタ4のソースと、ソースドライバ14とを互いに接続する。ゲートドライバ12は、表示制御部11の制御に基づいて、走査線5a、5b、5cに出力電圧G1、G2、G3を選択的に出力することにより、スイッチングトランジスタ4のオン/オフの制御を行い、駆動トランジスタ2に制御電圧を印加する行を選択する。駆動トランジスタ2のドレインは各画素の電気化学表示素子1の銀電極30に接続され、ソースはGNDバス6によって接地されている。
【0038】
ソースドライバ14は、信号線8a、8b、8c毎にドライバ回路を有し、表示制御部11の制御に基づいて、信号線8a、8b、8cに出力電圧S1、S2、S3を出力する。ソースドライバ14のドライバ回路はオン、オフの2値ドライバであり、表示制御部11の制御に基づいてソースドライバ14に入力された制御電圧Vsまたはオフ電圧である0Vを出力する。
【0039】
制御電圧電源15は、表示制御部11の制御に基づいて制御電圧Vsを出力しソースドライバ14に供給する。
【0040】
バスライン7a、7b、7cは、それぞれ1行ごとの各画素の電気化学表示素子1のITO電極32と接続され、またその一端はコモン電源13に接続されている。コモン電源13は表示制御部11の指令により正極性または負極性の電圧であるコモン電圧Vを出力する。
【0041】
ソースドライバ14の出力電圧S1、S2、S3がオン電圧であるVsのとき、スイッチングトランジスタ4がオンになると、駆動トランジスタ2のゲートにVsが印加され、駆動トランジスタ2はオンになり電気化学表示素子1にはコモン電圧Vcが印加される。その後、スイッチングトランジスタ4がオフになってもゲートの浮遊容量により、駆動トランジスタ2はオン状態を保持する。
【0042】
ソースドライバ14の出力電圧S1、S2、S3がオフ電圧である0Vのとき、スイッチングトランジスタ4がオンになると、駆動トランジスタ2のゲートに0Vが印加され、駆動トランジスタ2はオフになる。
【0043】
メモリ10は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの記録媒体から構成されている。
【0044】
第1フレームメモリ60、第2フレームメモリ61は、それぞれ表示画面50の画素数に対応する記憶領域を有する1画面分のフレームメモリである。第1フレームメモリ60は、メモリ10から読み出した第1の画像データに基づいて算出した、R、G、B、Wを表示する画素の表示濃度に対応するフレーム番号の値N、N、N、Nを記憶する。
【0045】
第2フレームメモリ61は、電気化学表示素子1によって次回表示画面50に表示する第2の画像データとして、データ変換部80によって変換されたR、G、B、Wを表示する画素の表示濃度に対応するフレーム番号の値M、M、M、Mを記憶する。図面上では第1フレームメモリ60、第2フレームメモリ61をそれぞれFM1、FM2と表記する。
【0046】
制御部11は、CPUなどから構成され、プログラムに基づいて表示装置100全体を制御する。
【0047】
次に、図6を用いて本発明の表示装置100に画像を表示させるときの制御を説明する。
【0048】
図6は電気化学表示素子1に画像を表示させるときの各部の電圧の変化を示すタイムチャートである。図6では、電気化学表示素子1に消去電圧を印加して、全ての電気化学表示素子1の画像を消去した後、書き込みを行うページ送りモードについて説明する。
【0049】
最初に、図6のタイムチャートを用いて1列目のP11、P21、P31に印加される電圧VP11、VP21、VP31について説明する。図6のタイムチャートの横軸は時間軸であり、F1〜F5は第1フレーム〜第5フレームを表している。FNと表記するときのNはフレーム番号であり、書き込みを開始してからのフレーム期間の回数を表す。ページ送りモードでは、コモン電圧Vは図6に示すようにVcbである。
【0050】
また、t〜tは第1フレーム〜第6フレームの開始タイミングである。
【0051】
なお、図6のタイムチャートでは図面を簡略化するためF5までしか表示していない。
【0052】
最初に、各フレームFにおけるゲートドライバ12の出力電圧G1、G2、G3について説明する。
【0053】
ゲートドライバ12の1行目の出力電圧G1がΔTの間‘H’になると、1行目のスイッチングトランジスタ4がオンになる。すると、1行目のP11、P12、P13に接続されている駆動トランジスタ2のゲート電圧は、それぞれソースドライバ14の出力S1、S2、S3に設定され図示せぬ浮遊容量に保持される。そのため、ソースドライバ14の出力がVS1のときスイッチングトランジスタ4がオンになると、駆動トランジスタ2はオンになり、次にソースドライバ14の出力が0Vのときスイッチングトランジスタ4がオンになるまで駆動トランジスタ2はオン状態を保持する。
【0054】
次に、ゲートドライバ12の2行目の出力電圧G2がΔTの間‘H’になり、2行目のP21、P22、P23に接続されている駆動トランジスタ2のゲート電圧はそれぞれソースドライバ14の出力S1、S2、S3に設定され図示せぬ浮遊容量に保持される。同様に、3行目のP31、P32、P33に接続されている駆動トランジスタ2のゲート電圧もそれぞれソースドライバ14の出力S1、S2、S3に設定され図示せぬ浮遊容量に保持される。
【0055】
ソースドライバ14の出力S1、S2、S3は、電気化学表示素子1の表示する画像の濃度である表示濃度の値Xに応じて設定される。
【0056】
図6の例について動作を説明する。
【0057】
フレームF1〜F5では、P11、P21、P31に接続されている駆動トランジスタ2が順にオンになり、P11、P21、P31にVcbが印加される。
【0058】
なお、1列目の電気化学表示素子1について説明したが、他の列の電気化学表示素子1にも同様に電圧が印加される。
【0059】
このようにして、電気化学表示素子1は順次走査され、表示画像Xに応じた電圧が所定のフレーム期間の間印加される。
【0060】
図7は、カラー画像の表示濃度とフレーム番号Nとの関係の一例を示すグラフである。図中のD、D、D、Dは、それぞれRの画素の表示濃度、Gの画素の表示濃度、Bの画素の表示濃度、Wの画素の表示濃度である。
【0061】
図7の例では、N=0の全ての電気化学表示素子1の画像を消去した全面白の状態では、Dは0であり、D、D、Dは何れも16である。これは、カラーフィルタを設けた電気化学表示素子は、カラーフィルタのため透過率が下がり最小表示濃度が高くなるためであり、本実施形態では説明を簡単にするためD、D、Dは何れも16とする。
【0062】
また、フレーム番号が8、すなわち8回フレーム書き込みを行うとD、D、D、Dの何れも最大表示濃度になりその値は24である。
【0063】
カラーフィルタを設けない電気化学表示素子の表示濃度Dは最小表示濃度が低く、図7のように1回のフレーム書き込みでカラーフィルタを設けた電気化学表示素子D、D、Dの3倍表示濃度が増すものとする。
【0064】
図7の関係を示す変換テーブルは、ROM96に記憶されている。
【0065】
以下、R、G、B、Wの副画素への書き込みを開始してからのフレーム期間の回数を区別する場合はN、N、N、Nと表記する。
【0066】
次に、図8、図9を用いて、本実施形態でカラー画像を表示する手順を説明する。
【0067】
図8は制御部11の内部構成を説明するための図であり、表示画面50の内部構成は省略している。
【0068】
制御部11は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory)、ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って表示装置100の各部を集中制御する。
【0069】
データ変換部80は、R、G、Bの画素によって画像を表示する場合に対応する第1の画像データから、R、G、B、Wの画素によって画像を表示する場合に対応する第2の画像データに変換する。
【0070】
電圧印加制御部83は、フレーム番号に基づいてそれぞれの電気化学表示素子1に消去電圧または書き込み電圧を印加するよう駆動トランジスタ2を制御する。
【0071】
図9は、本実施形態のカラー画像を表示する手順を説明するフローチャートである。
【0072】
以下、図7の特性を参照しながら図9のフローチャートに沿って説明する。
【0073】
なお、画像の書き込みはフレーム期間の単位で行われ、フレーム期間の間にフレーム番号に応じて電気化学表示素子1に電力(電圧)が印加される。本実施形態では、フレーム期間をFN(Nはフレーム番号)で表す。
【0074】
操作者が操作部42の順送りボタン43または逆送りボタン44を押すと、操作部42から表示制御部11に割り込み信号が送信され、表示制御部11では図9に示す操作ボタン割り込み処理ルーチンが起動される。
【0075】
S101:全画面を消去するステップである。
【0076】
表示制御部11は全画面を消去し、初期化する。全ての電気化学表示素子1の表示濃度は最低表示濃度になる。
【0077】
S102:メモリ10から第1の画像データを読み出すページを指定し、当該ページの画像データを第1フレームメモリ60に書き込むステップである。
【0078】
CPU98は、メモリ10から第1の画像データを読み出すページを指定し、当該ページの画像データを第1フレームメモリ60に書き込む。
【0079】
例えば、操作者が操作部42の順送りボタン43を押すと、CPU98はメモリ10から読み出すページ指定を第1ページから第2ページに更新し、第2ページに記憶されているR、G、Bを表示する画素の第1の画像データ(フレーム番号N、N、N)を第1フレームメモリ60に書き込む。
【0080】
S103:白を表示する画素のフレーム番号Nを算出するステップである。
【0081】
データ変換部80は、R、G、Bを表示する画素の画像データ(フレーム番号N、N、N)からフレーム番号Nを算出する。
【0082】
本実施形態では、下記式によりNを算出する。
【0083】
=(N+N+N)/3
例えば、N、N、Nが2、8、8の場合はN=6である。以下、N、N、Nが2、8、8の例で説明する。
【0084】
S104:N、N、Nの最小値Cを求める。
【0085】
データ変換部80は、N、N、Nの最小値Cを求める。
【0086】
、N、Nが2、8、8だとすると最小値CはNの2である。
【0087】
なお、N、N、Nのうち何れか2つが同じ値で他の一つよりも小さい値の場合は、同じ値を最小値Cとする。また、N、N、Nが同値の場合は、最小値Cを0とする。
【0088】
S105:フレーム番号N、N、Nを変換するステップである。
【0089】
データ変換部80は、N、N、NからそれぞれCを減算し、データ変換後のフレーム番号M、M、Mを算出する。
【0090】
=N−C
=N−C
=N−C
、N、Nが2、8、8とすると、C=2なのでM、M、Mは、0、6、6になる。
【0091】
S106:データ変換前後の表示濃度の総和が同じになるデータ変換後の表示濃度D(M)を算出する。
【0092】
データ変換部80は、1つの画素単位のデータ変換前の表示濃度の総和を算出し、データ変換後の表示濃度の総和がデータ変換前と同じになるデータ変換後の表示濃度D(M)を算出する。
【0093】
データ変換部80は、次式によりD(M)を求める。
【0094】
(M)=(D(N)+D(N)+D(N)+D(N))−(D(M)+D(M)+D(M))
本実施形態では、
(M)=(18+24+24+18)−(16+22+22)=24
である。データ変換後のR、G、Bの副画素の表示濃度がデータ変換前より低く(明るく)なった分、Wの副画素の表示濃度を高く(暗く)して1画素単位の表示濃度の総和が変わらないようにしている。
【0095】
S107:変換後の画像データMを求めるステップである。
【0096】
データ変換部80は、表示濃度Dとフレーム番号Mの関係式によりMを算出する。
【0097】
本実施形態では、
=D(M)/3=24/3=8である。
【0098】
データ変換部80は、算出したM、M、M、Mを第2フレームメモリ61に画像データとして記憶させる。
【0099】
S108:画像を表示するステップである。
【0100】
電圧印加制御部83は、図8で説明した画像を書き込む手順で第2フレームメモリ61の画像データに基づいて所定の電気化学表示素子1に電圧を印加して画像を書き込む。
【0101】
図9のフローチャートの説明は以上である。
【0102】
このようにすると、データ変換部80によるデータ変換前のフレーム番号N、N、N、Nは2、8、8、6であり、4つの副画素の書換のために必要なフレーム番号の総和は24だったのに対し、データ変換後のフレーム番号M、M、M、Mは0、6、6、8であり、必要なフレーム番号の総和は20になる。フレーム番号は電気化学表示素子1に書き込みのため所定時間電力が印加される回数を表すので、フレーム番号の少ない電気化学表示素子1の方が、電力消費が少ない。
【0103】
本実施形態では、データ変換後に1つの画素単位の表示濃度の総和は変わらないままフレーム番号の総和が減るので、カラー表示の明るさを変えずにデータ変換前より消費電力を減らすことができる。
【0104】
なお、Wの副画素の表示濃度は実施形態では最高24なので、S104のステップで求めた最小値Cが大きな値になると、Wの副画素の表示濃度を高く(暗く)して1画素単位の表示濃度の総和が変わらないようにすることができなくなる。そのような場合、データ変換部80はデータ変換を行わないようにすれば良い。
【0105】
また、本実施形態では反射型の表示素子を用いて全面白の状態から画像の書き込みを行う例を説明したが、透過型の表示素子や、全面黒の状態から画像の書き込みを行う場合にも適用できる。
【0106】
以上のように、本実施形態によれば、電力消費を抑制しながら明るいカラー画像を表示することができる表示装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 電気化学表示素子
2 駆動トランジスタ
4 スイッチングトランジスタ
5a、5b、5c 走査線
7a、7b、7c バスライン
8a、8b、8c 信号線
10 メモリ
11 表示制御部
12 ゲートドライバ
13 コモン電源
14 ソースドライバ
30 銀電極
31 電解質
32 ITO電極
34 電源
80 データ変換部
81 電流予測部
83 電圧印加制御部
100 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色を表示する表示素子と、赤色を表示する表示素子と、緑色を表示する表示素子と、青色を表示する表示素子と、を1つの画素単位として複数配列し、それぞれの前記表示素子に電力を印加してカラー画像を表示可能な表示装置であって、
赤色、緑色、青色を表示する3つの表示素子によって画像を表示する場合にそれぞれの表示素子に印加する電力に対応する第1の画像データから、前記1つの画素単位によって画像を表示する場合にそれぞれの表示素子に印加する電力に対応する第2の画像データに変換するデータ変換部を有し、
前記データ変換部は、
前記第1の画像データに基づいて白色を表示する表示素子に印加する電力に応じたデータと、前記1つの画素単位を構成する表示素子の表示濃度の総和とを算出し、
前記第1の画像データからそれぞれ所定値を減じて赤色、緑色、青色を表示する表示素子の第2の画像データとするとともに、算出した前記表示濃度の総和と等しくなるように白色の表示素子に印加する電力に応じたデータを算出し第2の画像データとすることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記データ変換部は、
赤色、緑色、青色を表示する表示素子のうち、印加する電力が最も少ない表示素子の前記第1の画像データを前記所定値とすることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
赤色、緑色、青色、及び白色を表示する表示素子について、表示素子に印加する電力と、前記表示素子の表示濃度との関係を示すテーブルを有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示素子は、電気化学表示素子であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−197052(P2011−197052A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60576(P2010−60576)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】