説明

表示装置

【課題】表示媒体を備える表示装置を提供する。
【解決手段】表示媒体を備える表示装置であって、前記表示媒体は、感温性溶液および複数の微粒子を有する。該微粒子は感温性溶液中に分散され、第1温度の場合、感温性溶液は液状を呈し、微粒子を自由に移動させ、第2温度の場合、感温性溶液はゲル状を呈し、微粒子を固定させる。なお、第1温度と第2温度は異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体を備える表示装置に関し、特に、多重安定性(Multi-stable)を有する表示媒体を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最初の電子ペーパーは、1970年代に開発され、その特徴は、半球を白、別の半球を黒に塗り分けた帯電した微小な球を有して、電界の変化により球を上下回転させながら異なる色を表示させることである。第2世代の電子ペーパー表示装置は、1990年代に開発され、その特徴は、従来の微小な球の替わりにマイクロカプセルを用い、且つ、該カプセル内にカラーオイル(oil)と帯電した白色粒子を充填することである。外部電界によって白色粒子は上下に移動され、白色粒子が上方向(閲覧者に近づく方向)に移動すれば白色を表示し、白色顆粒が下方向(閲覧者から離れる方向)に移動すればオイルの色を表示する。
【0003】
このような従来の技術は、主に帯電粒子の電気泳動によって、表示の目的を達成している。又、電子ペーパー表示装置の技術として、他に電子粉方式、帯電高分子粒子、コレステリック液晶、エレクトロウェッティング等の技術がある。印加された電界によって、異なる粒子に異なる移動速度を持たせることで、一部の粒子を先に表示側に到着させて表示する。しかし、このような時間順次を利用して異なる粒子を分離する方法は、安定な画面表示ができない。故に、電子ペーパー表示技術において、表示画面の安定化という課題が依然として残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の電子ペーパー表示装置の安定な画面表示ができないという課題を解決した、表示媒体を備える表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1基板、第1電極、第2基板、第2電極および表示媒体を有する表示装置を提供する。第1電極は、第1基板上に設置され、第2電極は第2基板上に設置されている。表示媒体は、第1電極と第2電極の間に設置され、なお、該表示媒体は感温性溶液及び複数の微粒子を含んでいる。微粒子は感温性溶液中に分散され、臨界温度より高い第1温度の場合、感温性溶液は液状を呈し、微粒子を自由に移動させ、臨界温度より低い第2温度の場合、感温性溶液はゲル状を呈し、微粒子を固定させる。そのうち、第1温度と第2温度は等しくない。
【0006】
前記微粒子は、複数の第1型微粒子、複数の第2型微粒子と複数の第3型微粒子を含んでいる。各第1型微粒子は、第1電極と第2電極によって生成する第1電界の作用で極性化自己整列現象を生じ、各第2型微粒子は、第1電極と第2電極によって生成する第2電界の作用で極性化自己整列現象を生じて、各第3型微粒子は、第1電極と第2電極によって生成する第3電界の作用で極性化自己整列現象を生ずる。第1電界、第2電界及び第3電界は、例えば、それぞれ異なる第1周波数、第2周波数及び第3周波数を有している。なお、第1型微粒子、第2型微粒子及び第3型微粒子は、それぞれ異なる色を持つことが可能である。
【0007】
本発明の1つの実施例において、前記表示媒体の感温性溶液の材料はポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含んでいる。
【0008】
本発明のもう1つの実施例によれば、前記表示媒体の感温性溶液は透明無色である。
【0009】
本発明の1つの実施例によれば、前記第1電極は反射式電極である。
【0010】
本発明のもう1つの実施例によれば、前記第2電極は透明電極である。
【0011】
本発明の1つの実施例によれば、前記表示媒体の微粒子は金属粒子を含んでいる。
【0012】
本発明のもう1つの実施例によれば、前記表示媒体の微粒子は高分子粒子を含み、例えば、微粒子の材料として、ポリスチレン粒子、又はポリエチレン粒子等がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明による表示装置の表示媒体は、温度の変化により異なる状態を呈する溶液中に微粒子を分散させることで、特定の条件で該微粒子を固定させることができる。つまり、本発明による表示装置の表示媒体は、安定した状態を保つことができ、又、本発明による表示装置は、多重安定性を持っている。
【0014】
上述した本発明の目的、特徴、および利点がより明確に判るよう、以下に実施例を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1(A)】本発明の1つの実施例による表示装置を示す図である。
【図1(B)】本発明の1つの実施例による表示装置の表示時の状態を示す図である。
【図2】本発明のもう1つの実施例による表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(A)は、本発明の1つの実施例による表示装置を示す図である。図1(A)に示すように、表示装置100は、第1基板110,第1電極120,第2基板130,第2電極140および表示媒体150を備えている。第1電極120は第1基板110上に設置され、第2電極140は第2基板130上に設置され、表示媒体150は第1電極120と第2電極140との間に設置されていて、該表示媒体150は感温性溶液152および複数の微粒子154を有している。前記微粒子154は、感温性溶液152中に分散されている。本実施例において、第1電極120は、例えば反射電極であり、第2電極140は、例えば透明電極である。なお、本実施例において、第2基板130を表示面としているが、本発明はこれに限定されない。且つ、第1電極120の材料として、高反射率の金属材料を用いることができ、第2電極140の材料として、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、或いはアルミニウム亜鉛酸化物(Aluminum Zinc Oxide:AZO)等の材料を用いることができる。
【0017】
又、本実施例に使用される感温性溶液152は、周囲環境の温度変化に対して、ある程度敏感である。故に、第1温度の場合、感温性溶液152は液状を呈し、微粒子154を自由に移動させることができ、第2温度の場合、感温性溶液152はゲル状を呈し、微粒子154を固定させる事ができる。すなわち、本実施例に使用される感温性溶液152は、温度変化によりその流動特性も変化する。
【0018】
さらに、感温性溶液152が正の温感特性を有する場合、表示媒体150の温度が臨界温度より高ければ、感温性溶液152は液状を呈し、表示媒体150の温度が前記臨界温度より低ければ、感温性溶液152はゲル状を呈する。つまり、本実施例の感温性溶液152が正の温感特性を有する場合、第1温度は、例えば前記臨界温度より高く、第2温度は、例えば前記臨界温度より低い。
【0019】
一方、感温性溶液152が負の温感特性を有する場合、感温性溶液152の状態は、上述した正の温感特性とちょうど反対である。つまり、第1温度は、前記臨界温度より低く、第2温度は、前記臨界温度より高い。上記の通り、第1温度と第2温度との大小関係は、感温性溶液152自体の性質により決められるため、本発明における第1温度と第2温度は、特定の大小関係に限定されない。
【0020】
本実施例において、感温性溶液152は、感温性高分子を含み、その材料として、例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(poly(N-isopropylacrylamide, PNIPAAm))がある。なお、感温性溶液152は無色透明であり、本実施例において、表示に用いられるのは微粒子154であって、感温性溶液152ではない。微粒子154は、金属粒子または高分子粒子を含んでいる。例えば、微粒子154が高分子微粒子である場合、その材料としてポリスチレン粒子、またはポリエチレン粒子等が使われている。また、微粒子154の直径は、例えば3ミクロンであるが、本発明はそれに限定されない。実際、感温性溶液152の状態が変化する時の臨界温度は、感温性溶液152を作るプロセスによって定められる。例えば、感温性溶液152を作る時、一部のモノマー分子を混ぜることで、臨界温度の高さを調整することができる。
【0021】
全体的に言うと、感温性溶液152は、特定の条件で液状からゲル状に変換し、微粒子154を制限する。よって、表示媒体150は、安定した状態を呈することができて、表示装置100の表示画面が相当高い安定性を示すことができる。即ち、表示媒体150のこの特性により、表示装置100の表示安定化が実現できる。
【0022】
図1(B)は、本発明の1つの実施例による表示装置が表示する時の状態を示す図である。図1(B)に示すように、具体的に表示装置100が表示する際、微粒子154は、第1電極120と第2電極140により生成する電界の作用で極性化自己整列現象を生ずるため、微粒子154は、特定の方式に従って秩序的に配列される。このような状態で、第2基板130より入射される光線Lは第1電極120によって反射されて、画像を表示する。とりわけ、微粒子154が電界の作用によって配列される時、感温性溶液152は液状を呈している。故に、微粒子154は自由に移動でき、電界の作用によって分極化され、且つ特定の配列を現す。
【0023】
また、上述の画像表示を安定化させるため、微粒子154をこのような配列状態に固定させた方が良い。故に、本実施例において、微粒子154を固定する方式として、例えば、表示媒体150の温度を変更して、感温性溶液152をゲル状に変更させることである。表示媒体150の温度を上げるか或いは下げるかは、感温性溶液152の特性により決定されるので、本発明において特に限定しない。表示媒体150の温度を変えて、ゲル状の感温性溶液152中に微粒子154を固定させることで、表示装置100の画面安定性を有効に向上させた。
【0024】
なお、本実施例において、第1電極120と第2電極140より提供される電界作用は、微粒子154を極性化自己整列させるとともに、エネルギーを提供して表示媒体150の温度を上げることもできる。つまり、本実施例は、第1電極120と第2電極140により提供される電界を利用して、表示媒体150の温度を変えて、感温性溶液152の状態を変えることができる。全体的に見れば、表示装置100は、電界の作用だけで表示を実現し、且つ、微粒子154を固定させ、安定な画面表示を実現できる。
【0025】
例えば、負の温感特性を有する感温性溶液152を採用する場合、感温性溶液152は、臨界温度より高い時はゲル状を現し、臨界温度より低い時は液状を現す。表示装置100の表示方法は、例えば、先に、第1電極120と第2電極140により提供される電界を利用して微粒子154を配列させ、この時、第1電極120と第2電極140により提供される電界は、例えば微粒子154を配列させるだけであって、表示媒体150の温度を臨界温度より高く上昇していない。次に、電界周波数を上げ、或いはエネルギーを増加させて、表示媒体150の温度を臨界温度より高く引き上げる。これによって、感温性溶液152は、臨界温度より高くなり、ゲル状に変化し、微粒子152を固定させる。このように、表示装置100は、安定した画面表示ができる。
【0026】
もちろん、上述の表示装置100の表示方法は、例を挙げ説明するためのもので、本発明を限定するものではない。その他の実施例において、その他の方式を利用して、表示媒体150の温度を変え、感温性溶液152を異なる状態に呈させることも可能である。
【0027】
なお、本実施例の表示装置100の構造設計は、単に一つの例に過ぎない。その他の実施例において、表示媒体150は、マイクロカップ型の表示装置、カプセル型表示装置、またはその他の電気泳動表示装置に応用されることができる。各種の電子ペーパー表示技術に表示媒体150を応用することで、これらの表示装置に安定な画面表示の品質をもたらすことができる。むろん、表示装置100は、単一種類の微粒子154の設計を例としているが、本発明はそれに限定されない。その他の実施例において、多種の異なる色或いは異なる光学性質の微粒子154を感温性溶液152中に分散させ、多色表示の効果を実現することができる。
【0028】
図2は本発明のもう一つの実施例の表示装置を示す図である。図2に示すように、表示装置200は前記表示装置100と大体同様であり、同じ素子は同じ記号で表示し、別途に説明しない。特に、表示装置200の表示媒体250において、複数の第1型微粒子254、複数の第2型微粒子256と複数の第3型微粒子258が感温性溶液152中に分散されている。さらに、本実施例において、第1型微粒子254、第2型微粒子256と第3型微粒子258は、例えばそれぞれ赤色、緑色と青色の微粒子である。
【0029】
第1型微粒子254、第2型微粒子256と第3型微粒子258は、例えば、異なる電界の作用により、極性化自己整列の現象を生成する。各第1型微粒子254は、第1電極120と第2電極140により提供される第1電界の作用で極性化自己整列現象を生成するに適し、各第2型微粒子256は、第1電極120と第2電極140により提供される第2電界の作用で極性化自己整列現象を生成するに適し、各第3型微粒子258は、第1電極120と第2電極140により提供される第3電界の作用で自己整合分極現象を生成するに適する。
【0030】
実務上、第1電界、第2電界と第3電界は、それぞれ異なる第1周波数、第2周波数と第3周波数を有する。つまり、第1型微粒子254、第2型微粒子256と第3型微粒子258は、異なる周波数の電界で、極性化自己整列を生成している。本実施例では、第1電極120と第2電極140により提供される電界の作用を調整することで、第1型微粒子254、第2型微粒子256と第3型微粒子258を特定の方式で配列させるが可能となる。これにより、表示装置200がカラーの画像を表示できる。
【0031】
表示装置200がカラーの画像を表示する場合、感温性溶液152を液状からゲル状に変えることで、第1型微粒子254、第2型微粒子256及び第3型微粒子258の位置を固定させることができ、よって、画像の安定性を増加した。本発明は、赤色、緑色と青色三色の微粒子を利用してカラー表示効果を実現することに限定されない。その他の実施形態において、異なる光学特性の微粒子を感温性溶液152中に分散させて、多色性の表示効果を実現することも可能である。
【0032】
つまり、本発明による表示媒体の感温性溶液は、温度の変化に従って異なる状態を呈することができる。そのため、特定の条件で、本発明の表示媒体は、ゲル状を現して、感温性溶液中に分散されている微粒子を固定させることができる。このような表示媒体は、表示装置に応用される時、表示装置に多重安定状態の特性をもたらし、即ち、表示装置に安定した表示画面を実現する。
【0033】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明の保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0034】
100、200〜表示装置
110〜第1基板
120〜第1電極
130〜第2基板
140〜第2電極
150、250〜表示媒体
152〜感温性溶液
154〜微粒子
254〜第1型微粒子
256〜第2型微粒子
258〜第3型微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示媒体を備える表示装置であって、
第1基板と、
前記第1基板上に設置された第1電極と、
第2基板と、
前記第2基板上に設置された第2電極と、
をさらに備え、
前記表示媒体は、前記第1電極と第2電極との間に設置され、
感温性溶液と、
複数の微粒子と、
を有し、
前記複数の微粒子は感温性溶液中に分散され、臨界温度より高い第1温度の場合、前記感温性溶液は液状を呈して前記微粒子を自由に移動させ、前記臨界温度より低い第2温度の場合、前記感温性溶液はゲル状を呈して前記微粒子を固定させ、且つ、前記第1温度と第2温度とは異なっており、
前記複数の微粒子は、複数の第1型微粒子と複数の第2型微粒子と複数の第3型微粒子とを含み、前記第1電極及び第2電極により提供される電界を受け、極性化自己整列現象を生じ、
各前記第1型微粒子は、前記第1電極及び第2電極により提供される第1電界の作用で極性化自己整列現象を生成するのに適し、各前記第2型微粒子は前記第1電極及び第2電極により提供される第2電界の作用で極性化自己整列現象を生成するのに適し、各前記第3型微粒子は前記第1電極及び第2電極により提供される第3電界の作用で極性化自己整列現象を生成するのに適し、
前記第1電界、第2電界及び第3電界は、それぞれ異なる第1周波数、第2周波数及び第3周波数を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示媒体の第1型微粒子、第2型微粒子及び第3型微粒子は、それぞれ異なる色を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示媒体の感温性溶液の材料は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示媒体の感温性溶液は、透明無色であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電極は、反射式電極であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2電極は、透明電極であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示媒体の微粒子は、金属粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示媒体の微粒子は、高分子粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示媒体の微粒子の材料は、ポリスチレン粒子を含むことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示媒体の微粒子の材料は、ポリエチレン粒子を含むことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。

【図1(A)】
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【図1(B)】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−108560(P2012−108560A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52162(P2012−52162)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2009−83527(P2009−83527)の分割
【原出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(502352807)中華映管股▲ふん▼有限公司 (84)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】