説明

表示装置

【課題】各画素における最高輝度を活かした画像を提供可能としながら、表示むらを抑制するための表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度に対応する階調を含む階調帯がピーク階調を含まない場合、階調帯を構成する2つの階調の補正値を用いた線形補間によって第1補正値を算出する。輝度補正回路11は、信号輝度に対応する階調を含む階調帯がピーク階調を含む場合、ピーク階調以外の階調の補正値を用いて第2補正値の算出処理を実行する。輝度補正回路11は、第1補正値又は第2補正値を用いて輝度補正処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示むらを抑制して画像を表示するための表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、液晶パネル等のディスプレイの製造ラインは、均一な品質を実現できるように構築されている。しかし、このような製造ラインにおいても、個々のディスプレイには、製造バラツキが発生する。そこで、各ディスプレイにおいて、よりよい画像を出力できるように調整するための技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の技術では、画質調整装置の制御部が、テストパターンを生成し、液晶パネルに供給し、撮影カメラから出力画像を取得する。そして、出力画像データについてバンドパスフィルタリングを行ない、補正値を算出する。すべての基準階調について画像補正テーブルの算出を終了した場合、補正回路のROMに書き込む。液晶パネルは、画像を表示するための画像信号から、ROMに記録された画像補正テーブルを参照し、線形補間された補正値を算出し、この補正値によって画像信号を調整して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−57149号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような調整においては、液晶パネルの画素の輝度むらを是正するために、補正により輝度を上下させる必要がある。しかしながら、輝度が100%となるピーク階調においては、輝度を下げることはできるが、上げることはできない。このため、液晶パネル内の画素の輝度を均一にするためには、低い輝度を基準にして調整しなければならなかった。この場合、より高い輝度で発光可能な画素(ピクセル)においても輝度を下げるため、全体の輝度を下げてしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、各画素における最高輝度を活かした画像を提供可能としながら、表示むらを抑制するための表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、供給された画像信号に基づいてディスプレイに画像を表示する表示装置であって、画像信号から各画素の信号輝度を取得し、この信号輝度が属する階調帯を特定し、前記特定した階調帯がピーク階調を含まない階調帯の場合には、前記階調帯の上位階調及び下位階調の補正値を取得し、これら上位階調の補正値及び下位階調の補正値を線形補間することにより、前記信号輝度に対応する第1補正値を算出し、前記特定した階調帯がピーク階調を含む階調帯の場合には、前記階調帯以下の階調の補正値を取得し、この補正値を用いて、前記信号輝度に対応する第2補正値を算出し、前記算出した第1補正値又は第2補正値を用いて、前記信号輝度を補正することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記第2補正値によって補正した輝度がピーク階調に対応する輝度を超える場合には、ピーク輝度を用いることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表示装置において、第2補正値を算出する場合には、前記信号輝度以下の2階調以上の補正値を取得し、これら補正値を用いて、前記信号輝度に対応する第2補正値を算出することを要旨とする。
【0009】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、供給された画像信号に基づいてディスプレイに画像を表示する表示装置であって、画像信号から各画素の信号輝度を取得し、この信号輝度が属する階調帯を特定し、前記特定した階調帯がピーク階調を含まない階調帯の場合には、前記階調帯の上位階調及び下位階調の補正値を取得し、これら上位階調の補正値及び下位階調の補正値を線形補間することにより、前記信号輝度に対応する第1補正値を算出し、前記特定した階調帯がピーク階調を含む階調帯の場合には、前記階調帯以下の階調の補正値を取得し、この補正値を用いて、前記信号輝度に対応する第2補正値を算出し、前記算出した第1補正値又は第2補正値を用いて、前記信号輝度を補正する。輝度が高い場合、輝度のバラツキは見え難くなる。従って、ピーク階調帯においては、輝度を優先した画像を提供しながら、他の階調帯においては表示むらを抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、第2補正値によって補正した輝度がピーク階調に対応する輝度を超える場合には、ピーク輝度を用いる。これにより、その画素において出力可能な最高輝度を使用して画像を表示することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第2補正値を算出する場合には、前記信号輝度以下の2階調以上の補正値を取得し、これら補正値を用いて、前記信号輝度に対応する第2補正値を算出する。これにより、各画素の複数の補正値を用いて、補正値を算出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各画素における最高輝度を活かした画像を提供可能としながら、表示むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の表示装置の輝度補正回路の概略構成図。
【図2】本発明の輝度調整処理の処理手順の流れ図。
【図3】本発明の補正値の算出を説明する説明図。
【図4】本発明の補正値の算出を説明する説明図であり、(a)はピーク階調を含まない場合、(b)はピーク階調を含む場合を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態では、表示むら(輝度むら)を抑制して画質を改善した表示装置について説明する。なお、本実施形態では、表示装置として、図1に示す液晶パネル10を用いる。
【0015】
この液晶パネル10は、透明電極に挟まれた液晶(液晶部)と、背面から液晶を照明するバックライトから構成されている。このため、液晶パネル10には、液晶部のむらやバックライトの周辺減光が重畳された画像が出力されることになる。
【0016】
液晶パネル10は、供給される画像信号の輝度を調整するための輝度補正回路11を備えている。この輝度補正回路11は、画像補正テーブルを記録するための不揮発性メモリのROM110を備える。液晶パネル10に画像を表示するための画像信号(RGB信号)は、輝度補正回路11に供給される。
【0017】
このROM110は、入力された画像信号の信号値を調整するための補正値に関するデータ(画像補正テーブル)を記憶している。本実施形態では、基準階調毎に補正値の平面分布を記憶する。この画像補正テーブルは、後述する補正データ生成システムを用いて、補正データ生成処理によって作成される。
【0018】
この輝度補正回路11は、後述する輝度調整処理において、画像信号の輝度を調整する。この輝度補正回路11は、補正値算出手段111及び輝度補正手段112を備える。
補正値算出手段111は、ROM110に記録された画像補正テーブルを、RGB信号毎に参照し、画像信号の輝度に対応する補正値を算出する。ここで、補正値算出手段111は、2つの補正値算出式(第1補正値算出式(1)、第2補正値算出式(2))を記憶している。
γ=〔α*(X−L(i))+β*(L(i+1)−X)〕/(L(i+1)−L(i)) …(1)
γ=α*X/L(i) …(2)
【0019】
本実施形態では、図3に示すように、補正値γを算出するために複数の基準階調L(0)
〜L(n)を用いる。ここで、基準階調L(0)は0%階調(ミニマム階調)であり、L(n)は
100%階調(ピーク階調)である。そして、画像補正テーブルには、基準階調L(1)〜
L(n-1)の補正値が記憶されている。なお、Xは信号輝度に対応する階調である。L(i)及びL(i+1)は、階調Xが属する階調帯の下位基準階調及び上位基準階調である。また、α
及びβは、この階調帯の下位基準階調L(i)及び上位基準階調L(i+1)の補正値である。
【0020】
補正値算出式(1)は、図3における領域(a)に示すように、画像信号の輝度が基準階調L(n-1)以下の範囲(通常階調帯)に存在する場合に補正値を算出するための式であ
る。補正値算出式(1)は、図4(a)に示すように、画像信号の輝度が下位基準階調L(i)及び上位基準階調L(i+1)の間にある場合、それぞれの補正値α,βを用いた線形補間により補正値を算出する関数式である。
【0021】
補正値算出式(2)は、図3における領域(b)に示すように、画像信号の輝度がピーク階調L(n)〜基準階調L(n-1)の範囲(ピーク階調帯)に存在する場合に補正値を算出するための式である。補正値算出式(2)は、図4(b)に示すように、画像信号の輝度が属するピーク階調帯の下位基準階調L(n-1)の補正値αを用いて補正値を算出する関数式
である。本実施形態の補正値算出式(2)は、下位基準階調L(n-1)の補正値αを線形補
正することによって算出する関数式である。
【0022】
輝度補正回路11の輝度補正手段112は、補正値算出手段111から取得した補正値を、入力された補正前の画像信号に加算する。液晶パネル10は、この補正された画像信号を取得して、画像を表示する。
【0023】
(補正データ生成システム)
次に、ROM110に記憶された基準階調L(1)〜L(n-1)の補正値を生成するための補正データ生成システムについて説明する。この補正データ生成システムは、画質調整装置、撮影カメラ、テストパターン発生装置、ROMライタから構成される。画質調整装置は、撮影カメラ、テストパターン発生装置、ROMライタに接続されている。
【0024】
撮影カメラは、液晶パネル10上に表示された画像を撮影し、出力画像データを画質調整装置に供給する。本実施形態では、撮影カメラとして、表示パネルの画素サイズよりも小さい領域を解像可能なCCD素子を備えたモノクロカメラを用いる。
【0025】
テストパターン発生装置は、画質調整装置からの指示に基づいて、液晶パネル10にテストパターン信号を供給する。本実施形態では、8bitのRGB信号を液晶パネル10
全面に供給する。
【0026】
画質調整装置は、液晶パネル10の画質を調整するための補正値を算出する処理を実行するコンピュータ端末である。この画質調整装置は、制御部及び補正情報記憶部を備える。
【0027】
制御部は、CPU、RAM及びROM等を有し、後述する補正データ生成処理を行なう。具体的には、制御部は、液晶パネル10に入力する信号を制御するとともに、後述するように、液晶パネル10に表示された出力画像データに基づいて補正データ生成処理を実行する。
【0028】
補正情報記憶部は、各液晶パネル10の画像を補正するための補正データ(画像補正テーブル)を記憶する。この補正データは、画質調整装置から画像補正テーブルを取得した場合に登録される。この補正情報記憶部には、この液晶パネル10のROM110に書き込むための補正データ(所定の基準階調毎に表示むらを抑制するための画像補正テーブル)が一時的に記憶される。
ROMライタは、画質調整装置に記憶された画像補正テーブルを取得し、この画像補正テーブルを液晶パネル10のROM110に書き込む。
【0029】
(補正データ生成処理)
次に、この補正データ生成システムを用いて、基準階調L(1)〜L(n-1)の補正値に関する画像補正テーブルの生成処理について説明する。
【0030】
まず、画質調整装置の制御部は、表示むらの測定処理を実行する。具体的には、制御部が、テストパターン発生装置に対して、調整対象階調の画像出力を行なうためのRGB信号の出力を指示する。ここでは、調整対象階調において、液晶パネル10の全面に対して、R信号値、G信号値、B信号値が同じ信号(共通する信号値)を用いる。この指示に応じて、テストパターン発生装置は、調整対象階調となる8bitのRGB信号を液晶パネル10に供給する。
【0031】
そして、液晶パネル10は、これに応じて調整対象階調のグレー画像を出力する。この場合、液晶においてセルギャップのむらや、バックライトの明るさにむらがある場合には、液晶パネル10において、これらのむらが重畳された表示むらが生じる。ここで、撮影カメラは、表示むらが重畳された画像を撮影する。
【0032】
次に、画質調整装置の制御部は、液晶パネル10を撮影した出力画像データを撮影カメラから取り込む。そして、制御部は、この出力画像データを、8×8ピクセルから構成されたブロック毎の輝度分布に変換する。
【0033】
次に、画質調整装置の制御部は、フィルタリング処理を実行する。具体的には、制御部は、この変換した出力画像データに対してバンドパスフィルタリングを行なうことにより、バンドパスデータを算出する。このバンドパスデータは、液晶パネル10の面内の輝度分布に応じて、低周波成分や高周波成分を除いた分布から構成される。
【0034】
次に、画質調整装置の制御部は、補正値の算出処理を実行する。具体的には、制御部は、バンドパスデータを反転させた画像補正テーブルを生成する。ここでは、予め設定された階調(基準階調)毎に、液晶パネル10上の補正値の分布を算出する。本実施形態では、8bitで表現される信号値において所定数(例えば、6段階)の基準階調を用いる。そして、基準階調に対応した調整対象階調を1段階毎に順次変更し、調整対象階調毎に画像補正テーブルを生成する。更に、制御部は、調整を行なった基準階調を特定する識別子
に関連付けて画像補正テーブルを補正情報記憶部に記憶する。
【0035】
そして、すべての基準階調についての補正値を算出した場合、画質調整装置の制御部は、補正値の登録処理を実行する。具体的には、制御部は、補正情報記憶部に記憶された補正テーブルを、ROMライタに供給する。この場合、ROMライタは、液晶パネル10のROM110に補正テーブルを書き込む。これにより、ROM110には、基準階調毎に、液晶パネル10の面内のブロック位置(xy座標)に対して補正値の分布が記録される。
【0036】
(輝度調整処理)
本実施形態の液晶パネル10は、上述した補正データ生成システムを用いた補正データ生成処理によって算出された基準階調毎の補正値を用いて、画像信号の輝度調整処理を実行する。ここで、液晶パネル10において、画像を出力する場合の輝度調整処理について、図2を用いて説明する。
【0037】
まず、液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度の取得処理を実行する(ステップS1)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段111は、輝度補正前の画像信号(RGB信号)から、公知の技術を用いてブロック位置における輝度を算出する。そして、この輝度の大きさに対応する階調を特定する。
【0038】
次に、液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度に対応する階調Xが属する階調帯の特定処理を実行する(ステップS2)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段111は、信号輝度の階調Xと、画像補正データの各基準階調L(i)とを比較し、輝
度階調が属する階調帯を特定する。
【0039】
そして、液晶パネル10の輝度補正回路11は、ピーク階調帯に属するか否かの判断処理を実行する(ステップS3)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段111は、信号輝度の階調Xがピーク階調L(n)〜基準階調L(n-1)の範囲のピーク階調帯に属するか否かを判定する。
【0040】
ここで、ピーク階調帯に属さない場合(ステップS3において「NO」の場合)、輝度補正回路11は、階調帯を構成する2つの基準階調の補正値の取得処理を実行する(ステップS4)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段111は、上位基準階調L(i+1)、下位基準階調L(i)を特定する。補正値算出手段111は、これら基準階調に対応する補正値α,βをROM110から取得する。
【0041】
そして、液晶パネル10の輝度補正回路11は、2つの階調の補正値を線形補間して第1補正値の算出処理を実行する(ステップS5)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段111は、上位基準階調L(i+1)と、下位基準階調L(i)と、これらに対応する補正値(α,β)と、この信号輝度の階調Xとを、(1)式に代入することにより、この画素における補正値γを算出する。
【0042】
一方、ピーク階調帯に属する場合(ステップS3において「YES」の場合)、輝度補正回路11は、ピーク階調とともにピーク階調帯を構成する基準階調の補正値の取得処理を実行する(ステップS6)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段111は、ピーク階調帯の下位基準階調L(n-1)に対応する補正値αをROM110から取得する

【0043】
そして、液晶パネル10の輝度補正回路11は、取得した補正値を用いて第2補正値の算出処理を実行する(ステップS7)。具体的には、輝度補正回路11の補正値算出手段
111は、下位基準階調L(i)(=L(n-1))と、これに対応する補正値αと、この信号輝度の階調Xとを、(2)式に代入することにより、画像信号における輝度階調を補正するための補正値γを算出する。
【0044】
次に、液晶パネル10の輝度補正回路11は、補正値を用いて輝度補正処理を実行する(ステップS8)。具体的には、輝度補正回路11の輝度補正手段112は、算出された補正値γを、入力された補正前の画像信号に加算する。ここで、補正後の画像信号の輝度値が、ピーク階調を超える値になった場合には、最高輝度を用いる。以上により、この画素における輝度調整処理が終了する。
【0045】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度に対応する階調Xがピーク階調帯に属しない場合(ステップS3において「NO」の場合)、階調帯を構成する2つの階調の補正値を用いた線形補間によって第1補正値を算出する(ステップS4,S5)。一方、輝度補正回路11は、信号輝度に対応する階調Xがピーク階調帯に属する場合(ステップS3において「YES」の場合)、ピーク階調とともにピーク階調帯を構成する基準階調の補正値を用いて第2補正値の算出処理を実行する(ステップS6,S7)。そして、輝度補正回路11は、第1補正値又は第2補正値を用いて輝度補正処理を実行する(ステップS8)。輝度が高い場合、輝度のバラツキは見え難くなる。従って、ピーク階調帯においては、輝度を優先した画像を提供しながら、他の階調帯においては表示むらを抑制することができる。
【0046】
(2) 本実施形態では、液晶パネル10の輝度補正回路11は、輝度調整処理における輝度補正処理(ステップS8)において、補正後の画像信号の値が、最大出力信号の値を超える値になった場合には、最大出力信号の値にする。これにより、その画素において出力可能な最高輝度を使用して画像を表示することができる。
【0047】
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態においては、液晶パネル10の輝度補正回路11は、第2補正値を、ピーク階調とピーク階調帯を構成する基準階調の補正値を用いた(2)式を用いて算出した。第2の補正値の算出方法は、この算出式に限定されるものではなく、ピーク階調帯と、ピーク階調を含まない階調帯とを異なる補正方法を用いればよい。例えば、ピーク階調帯において、直近の基準階調の補正値を、そのまま第2補正値として用いるようにしてもよい。
更に、第2の補正値は、他の階調の補正値を用いて算出してもよい。例えば、特定した階調帯のピーク階調とピーク階調帯を構成する基準階調の補正値と、それよりも1段階下の階調の補正値とから算出する式を用いて算出してもよい。ここでは、ピーク階調の1段階下の基準階調L(n-1)の補正値α(n-1)と2段階下の基準階調L(n-2)の補正値α(n-2)との平均値を用いてもよい。具体的には、次の(3)式を用いてもよい。
γ=(α(n-1)*X/L(n-1)+α(n-2)*X/L(n-2))/2 …(3)
これにより、各画素の複数の階調の補正値を用いて、補正値を算出することができる。
【0048】
・ 上記実施形態においては、液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度がピーク階調帯に属するか否かによって補正値の算出を変更した。これに加えて、液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度に対応する階調がミニマムの階調帯に属するか否かによって補正値の算出を変更してもよい。この場合、ミニマム階調を含む場合には、次の補正値算出式(4)を用いて補正値γを算出する。
γ=α*X/L(1) …(4)
ここで、L(1)は、ミニマムの階調の1段階上の基準階調であり、αは、この基準階調
の補正値であり、Xは信号輝度に対応する階調である。
【0049】
そして、輝度調整処理において、液晶パネル10の輝度補正回路11は、信号輝度がミニマム階調帯に属するか否かの判断処理を実行する。具体的には、輝度補正回路11は、信号輝度の階調Xが、基準階調L(1)〜ミニマム階調L(0)の範囲のミニマム階調帯に属するか否かを判定する。
【0050】
ここで、ミニマム階調帯に属しない場合、輝度補正回路11は、ステップS4,S5の処理を実行する。一方、ミニマム階調帯に属する場合には、輝度補正回路11は、ミニマム階調とともにミニマム階調帯を構成する基準階調の補正値を用いて第3補正値を算出する。具体的には、輝度補正回路11は、ミニマム階調帯の上位基準階調L(1)及びこの補
正値αと、この信号輝度の階調Xとを取得し、(4)式に代入することにより、第3補正値としての補正値γを算出する。
【0051】
そして、輝度補正回路11は、ステップS8と同様に、補正値を用いて輝度補正処理を実行する。この場合、補正後の画像信号の輝度値が、ミニマム階調を下回る値になった場合には、最小輝度となる最小出力信号の値にする。以上により、輝度補正処理が終了する。これにより、各画素の最低輝度を活かした画像を提供可能としながら、表示むらを抑制することができる。
【0052】
・ 上記実施形態においては、液晶パネル10の表示むらの抑制に適用したが、調整対象の表示パネルはこれに限定されるものではない。プラズマディスプレィ(PDP)、投影型プロジェクタ等のような画像出力装置に適用することも可能である。
【0053】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記特定した階調帯がミニマム階調を含まない階調帯の場合には、前記第1補正値を算出し、
前記特定した階調帯がミニマム階調を含む階調帯の場合には、前記階調帯以上の階調の補正値を取得し、この補正値を用いて、信号輝度に対応する第3補正値を算出し、
前記算出した第1補正値、第2補正値又は第3補正値を用いて、信号輝度を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
従って、この(a)に記載の発明によれば、ミニマム階調帯においては、輝度を優先して暗い画像を提供しながら、他の階調帯において表示むらを抑制することができる。
【0054】
(b)前記第2補正値によって補正した輝度がミニマム輝度よりも低い場合には、ミニマムの輝度を用いることを特徴とする(a)に記載の表示装置。
従って、この(b)に記載の発明によれば、その画素において出力可能な最低輝度を使用して画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0055】
α,β,γ…補正値、L(n)…ピーク階調、X…信号輝度に対応する階調、10…液
晶パネル、11…輝度補正回路、110…ROM、111…補正値算出手段、112…輝度補正手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された画像信号に基づいてディスプレイに画像を表示する表示装置であって、
画像信号から各画素の信号輝度を取得し、
この信号輝度が属する階調帯を特定し、
前記特定した階調帯がピーク階調を含まない階調帯の場合には、前記階調帯の上位階調及び下位階調の補正値を取得し、これら上位階調の補正値及び下位階調の補正値を線形補間することにより、前記信号輝度に対応する第1補正値を算出し、
前記特定した階調帯がピーク階調を含む階調帯の場合には、前記階調帯以下の階調の補正値を取得し、この補正値を用いて、前記信号輝度に対応する第2補正値を算出し、
前記算出した第1補正値又は第2補正値を用いて、前記信号輝度を補正することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2補正値によって補正した輝度がピーク階調に対応する輝度を超える場合には、ピーク輝度を用いることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第2補正値を算出する場合には、前記信号輝度以下の2階調以上の補正値を取得し、これら補正値を用いて、前記信号輝度に対応する第2補正値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−63440(P2012−63440A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205923(P2010−205923)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(503193351)株式会社イクス (28)
【Fターム(参考)】