説明

表示装置

【課題】応力に起因する輝度ムラを低減することの可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、表示パネルモジュールと、バックライトと、これらを互いに固定する固定層とを備えている。表示パネルモジュールは、複数の画素が配置された画素領域を有する光変調パネルと、光変調パネルを間にして互いに対向配置された一対の偏光板と、一対の偏光板のうちバックライト側の偏光板と、光変調パネルもしくは固定層との間に配置された補強部材とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、液晶パネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車には、液晶パネルが様々な箇所に用いられている。例えば、カーナビゲーション装置の表示部に液晶パネルが用いられている。最近では、自動車の速度やエンジンの回転数、ガソリンの残量、エンジン冷却水の温度などを表示するインスツルメント・パネル(インパネ)にも液晶パネルが用いられるようになってきている。
【0003】
自動車に搭載される電子機器では、自動車の移動に伴う振動によって、構成部品がぐらついたり、傷ついたりするのを防止する目的で、構成部品同士を接着部材で固定することが一般に行われている。例えば、車載ディスプレイにおいて、液晶パネルと、バックライトとの間に、これらを互いに固定する両面テープが設けられている(特許文献1参照)。この両面テープは、液晶パネルとバックライトとを互いに固定する他に、これらの間にゴミが侵入するのを防ぐ役割も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−186024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の車載ディスプレイにおいて、バックライトの上面のうち、液晶パネルを固定する部分(固定面)が完全な水平面とならず、わずかに傾いたり、波打ったりする場合がある。これは、例えば、バックライトの筐体を製造する過程で生じる製造誤差や、使用時の熱履歴などによって生じ得る。このように固定面の平面度が不均一となっている場合、両面テープでバックライトに固定されている液晶パネルに応力が与えられ、その結果、輝度ムラが発生するという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、応力に起因する輝度ムラを低減することの可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の表示装置は、表示パネルモジュールと、表示パネルモジュールを背面から照明するバックライトと、表示パネルモジュールとバックライトとの間に配置され、かつ表示パネルモジュールおよびバックライトのそれぞれの外縁を互いに固定する固定層とを備えている。表示パネルモジュールは、複数の画素が配置された画素領域を有する光変調パネルと、光変調パネルを間にして互いに対向配置された一対の偏光板と、一対の偏光板のうちバックライト側の偏光板と、光変調パネルもしくは固定層との間に配置された補強部材とを有している。
【0008】
本技術の表示装置では、バックライト側の偏光板と、光変調パネルもしくは固定層との間に補強部材が設けられている。これにより、光変調パネルがバックライトの上面(設置面)の平坦性の悪さに起因して湾曲し、光変調パネルに応力がかかるのを低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本技術の表示装置によれば、光変調パネルに応力がかかるのを低減することができるようにしたので、応力に起因する輝度ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本技術の一実施の形態に係る表示装置の断面構成図である。
【図2】図1の表示装置の展開斜視図である。
【図3】図1の表示装置の一変形例の断面構成図である。
【図4】図1、図3の表示装置の一応用例に係る電子機器の斜視図である。
【図5】図1、図3の表示装置の他の応用例に係るインスツルメント・パネルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
2.変形例
3.応用例
【0012】
<1.実施の形態>
[構成]
まず、本技術の一実施の形態に係る表示装置1について説明する。図1は、表示装置1の断面構成の一例を表したものである。図2は、表示装置1の概略構成の一例を展開して斜視的に表したものである。なお、図1は、図2のA−A線における断面に対応している。表示装置1は、表示パネルモジュール10と、表示パネルモジュール10の背面に配置されたバックライト20と、表示パネルモジュール10とバックライト20との間に配置された固定層30とを備えている。
【0013】
表示装置1は、さらに、図示しないが、駆動基板と、FPC(Flexible printed circuits:フレキシブルプリント基板)とを備えている。駆動基板は、表示パネルモジュール10を駆動することにより表示パネルモジュール10に映像を表示させるものであり、例えば、バックライト20の背面側に配置されている。FPCは、表示パネルモジュール10と駆動基板とを電気的に接続するものである。
【0014】
(表示パネルモジュール10)
表示パネルモジュール10は、映像を表示するためのものであり、例えば、図2に示したような4辺を有する方形状となっている。表示パネルモジュール10は、例えば、入射光を変調することにより映像を表示するものであり、例えば、映像信号に応じて各画素が駆動されることにより、背面側から入射した光を変調し、画像光を上面から出力する透過型の表示パネルである。表示パネルモジュール10は、液晶層を一対のガラス基板で挟み込んだ液晶パネル11と、液晶パネル11を間にして互いに対向配置された一対の偏光板12,13とを有している。
【0015】
液晶パネル11は、複数の画素が配置された画素領域を有しており、表示パネルモジュール10の上面のうち各画素の配置された画素領域に対応する領域が、映像表示面10Aとなっている。また、表示パネルモジュール10の上面のうち外縁に相当する領域(具体的には映像表示面10Aの周縁)が映像非表示領域であるフレーム領域となっている。液晶パネル11は、例えば、図示しないが、バックライト20側から順に、ガラス基板、画素電極、配向膜、液晶層、配向膜、共通電極、カラーフィルタおよびガラス基板を有している。
【0016】
偏光板12,13は、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるようになっている。偏光板12,13はそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように配置されており、これによりバックライト20からの射出光が液晶層を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。一対の偏光板12,13のうちバックライト20とは反対側(つまり映像表示面10A側)の偏光板12には、その表面に、必要に応じて反射防止膜などの光学膜が形成されている。
【0017】
表示パネルモジュール10は、さらに、一対の偏光板12,13のうちバックライト20側の偏光板13と、固定層30との間に補強部材14を有している。補強部材14は、表示パネルモジュール10が固定層30を介してバックライト20上に貼り合わされたときに、液晶パネル11がバックライト20の上面(設置面)の平坦性の悪さに起因して湾曲するのを低減するためのものである。補強部材14は、偏光板12,13に使用される材料と比較して、薄くても高い剛性が得られ、かつ平坦性に優れた材料で構成されている。補強部材14は、例えば、ガラス基板からなる。ガラス基板の厚さは、液晶パネル11に用いられるガラス基板の厚さと同一またはそれよりも厚くなっていることが好ましい。ただし、スペックによっては、ガラス基板の厚さが、液晶パネル11に用いられるガラス基板の厚さよりも薄くても問題ないこともある。補強部材14は、液晶パネル11との対向領域内であって、かつ少なくとも後述の映像表示面10A(画素領域)との対向領域に配置されていることが好ましい。なお、補強部材14は、表示パネルモジュール10において、液晶パネル11との関係でバックライト20側に配置されていればよく、例えば、図3に示したように、偏光板13と、液晶パネル11との間に配置されていてもよい。
【0018】
(バックライト20)
バックライト20は、表示パネルモジュール10の背面に光を照射するものである。バックライト20は、例えば、エッジライト方式の照明装置であり、例えば、導光板と、導光板の端部に配置された光源と、導光板の上面に配置された各種光学フィルムとを有している。なお、バックライト20は、光源の直上に各種光学フィルムが配置された直下方式の照明装置であってもよい。バックライト20は、上述の光源等を覆う筐体を備えている。この筐体は、上述の光源等を載置するための容器本体(台座)と、その台座と組み合わせることで、上述の光源等を外部からの衝撃などから保護するためのカバー(フレーム)とで構成されている。フレームには、表示パネルモジュール10の映像表示面10Aに対応して開口21が設けられており、台座およびフレームが、ボルトなどで互いに固定されることにより、映像表示面10Aと開口21との位置決めがなされている。
【0019】
(固定層30)
固定層30は、表示パネルモジュール10およびバックライト20を互いに固定するものである。固定層30は、接着層、または粘着層で構成されている。固定層30は、例えば、スポンジ状の両面テープからなり、表示パネルモジュール10およびバックライト20のそれぞれの外縁を互いに固定(接着)するようになっている。固定層30は、表示パネルモジュール10のフレーム領域に対応して配置されている。固定層30は、表示パネルモジュール10が図2に示したような4辺を有する方形状となっている場合には、例えば、4辺を有する方形状となっており、かつ映像表示面10Aに対応して開口31を有する環状の形状となっている。なお、固定層30は、表示パネルモジュール10のフレーム領域の辺ごとに1つずつ別個に設けられていてもよい。固定層30が表示パネルモジュール10のフレーム領域の辺ごとに1つずつ別個に設けられている場合には、各辺に設けられた固定層30は、例えば、帯状の形状となっている。また、固定層30は、表示パネルモジュール10のフレーム領域の一部の辺にだけ設けられていてもよい。固定層30は、例えば、接着層、または粘着層で構成されている。
【0020】
[効果]
次に、表示装置1の効果について説明する。表示装置1では、バックライト20側の偏光板13と、液晶パネル11もしくは固定層30との間に補強部材14が設けられている。これにより、液晶パネル11がバックライト20の上面(設置面)の平坦性の悪さに起因して湾曲し、液晶パネル11に応力がかかるのを低減することができるので、応力に起因する輝度ムラを低減することができる。
【0021】
また、表示装置1では、補強部材14が液晶パネル11との関係でバックライト20側に配置されているので、補強部材14を液晶パネル11との関係で映像表示面10A側に配置した場合と比べて、表示品質に悪影響を及ぼす虞を少なくすることができる。また、表示装置1では、補強部材14という新たな光学部材を用いており、既存の光学部材の材料や厚さなどを変更していない。つまり、既存の光学部材の設計変更をすることなく、補強部材14を追加するだけで、応力に起因する輝度ムラを低減することができる。
【0022】
<2.変形例>
上記実施の形態では、表示パネルモジュール10は液晶パネル11を有していたが、液晶パネル11とは異なる方式で光を変調するパネル(光変調パネル)であってもよい。
【0023】
<3.応用例>
[第1応用例]
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1の一応用例について説明する。図4は、本応用例に係る電子機器100の概略構成の一例を表す斜視図である。電子機器100は、携帯電話機であり、例えば、図4に示したように、本体部111と、本体部111に対して開閉可能に設けられた表示体部112とを備えている。本体部111は、操作ボタン115と、送話部116を有している。表示体部112は、表示装置113と、受話部117とを有している。表示装置113は、電話通信に関する各種表示を、表示装置113の表示画面114に表示するようになっている。電子機器100は、表示装置113の動作を制御するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部は、電子機器100全体の制御を司る制御部の一部として、またはその制御部とは別に、本体部111または表示体部112の内部に設けられている。
【0024】
表示装置113は、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1と同一の構成を備えている。これにより、表示装置113において、表示パネルモジュール10の映像表示面を精度よく表示画面114の所望の位置の配置することができる。
【0025】
[第2応用例]
続いて、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1の他の応用例について説明する。図5は、本応用例に係るインスツルメント・パネル200の概略構成の一例を表す正面図である。インスツルメント・パネル200は、自動車の運転席の前面に設けられるものであり、表示装置210を備えている。表示装置210は、自動車の運転に必要な種々の情報を表示装置210の表示画面210Aに表示するようになっている。表示装置210は、例えば、図5に示したように、自動車の速度211や、エンジンの回転数212、右折213、左折214、およびガソリンの残量やエンジン冷却水の温度などの各種情報215を表示するようになっている。
【0026】
表示装置210は、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1と同一の構成を備えている。これにより、表示装置210おける輝度ムラを低減することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1を応用可能な電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【0028】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
表示パネルモジュールと、
前記表示パネルモジュールを背面から照明するバックライトと、
前記表示パネルモジュールと前記バックライトとの間に配置され、かつ前記表示パネルモジュールおよび前記バックライトのそれぞれの外縁を互いに固定する固定層と
を備え、
前記表示パネルモジュールは、
複数の画素が配置された画素領域を有する光変調パネルと、
前記光変調パネルを間にして互いに対向配置された一対の偏光板と、
前記一対の偏光板のうち前記バックライト側の偏光板と、前記光変調パネルもしくは前記固定層との間に配置された補強部材と
を有する
表示装置。
(2)
前記補強部材は、ガラス基板である
(1)に記載の表示装置。
(3)
前記補強部材は、前記光変調パネルとの対向領域内であって、かつ少なくとも前記画素領域との対向領域に配置されている
(1)または(2)に記載の表示装置。
(4)
前記光変調パネルは、液晶パネルである
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の表示装置。
【符号の説明】
【0029】
1…表示装置、10…表示パネルモジュール、10A…映像表示面、11…液晶パネル、12,13…偏光板、14…補強部材、20…バックライト、21,31…開口、100…電子機器、111…本体部、112…表示体部、113…表示装置、114…表示画面、115…操作ボタン、116…送話部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルモジュールと、
前記表示パネルモジュールを背面から照明するバックライトと、
前記表示パネルモジュールと前記バックライトとの間に配置され、かつ前記表示パネルモジュールおよび前記バックライトのそれぞれの外縁を互いに固定する固定層と
を備え、
前記表示パネルモジュールは、
複数の画素が配置された画素領域を有する光変調パネルと、
前記光変調パネルを間にして互いに対向配置された一対の偏光板と、
前記一対の偏光板のうち前記バックライト側の偏光板と、前記光変調パネルもしくは前記固定層との間に配置された補強部材と
を有する
表示装置。
【請求項2】
前記補強部材は、ガラス基板である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記補強部材は、前記光変調パネルとの対向領域内であって、かつ少なくとも前記画素領域との対向領域に配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光変調パネルは、液晶パネルである
請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104969(P2013−104969A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247763(P2011−247763)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】