説明

表示装置

【課題】 表示装置の表面に配置する保護部材が割れた場合であっても、視認性を低下させることなく、保護部材の破片が飛散することを防止して、安全性を確保した表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の表示装置100は、表示装置100を構成する筐体12上に、筐体12を覆うように透明保護部材1を配置する際、透明保護部材1の裏面1cにおいて、表示パネル10の表示領域DRに対応する位置に配置された透明粘着材2により、表示パネル10の表示面が貼り付けられている。また、表示領域DRより、透明保護部材1の端部1bまでの領域である周辺領域ARには、表示領域DRに対応した開口部5aを備えたシート5が貼り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの表示面を保護するための保護部材を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の表示装置は、表面を保護するためにガラス板等からなる保護板が配置されている。また、特に、携帯電話や携帯型情報端末などで使用される表示装置は、表示装置よりも大きい保護板を表示装置の筐体の表面に配置し、保護板を露出させることで機能性や意匠性を高めるという製品が増えている。このような表示装置は、表面に保護板が配置されるため、外部からの衝撃により保護板が割れた際にガラス片が飛散することを防止するため、保護板に光硬化性樹脂からなる飛散防止膜を形成する、または、飛散防止シートを貼り付けている(特許文献1、特許文献2、および特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279554号公報
【特許文献2】特開2009−216764号公報
【特許文献3】実開平7−36242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光硬化性樹脂によって飛散防止膜を得る方法では、樹脂が硬化する際に収縮し、樹脂が塗布された面と塗布されていない面とで収縮率が異なるため、保護板に反りや変形が発生するという問題がある。
【0005】
特許文献2に記載の液晶表示装置は、保護板1を液晶モジュールの表示面に配置し、保護板1の表面に飛散防止シート13を密着接合させているが、長期間の使用により、保護板1の周辺部より飛散防止シート13が剥がれるという問題がある。
【0006】
また、特許文献3に記載の手書き入力装置は、液晶表示装置8上に載置されたガラス板10の下面に、ガラスの飛散防止のための透明フィルム22が貼り付けた構成であるが、ガラス板10は空気層を介して液晶表示装置8に載置されていることおよび透明フィルム22の屈折率がガラスの屈折率と異なる場合、多重反射が発生しムラが発生するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表示装置の表面に配置する保護板が割れた場合であっても、視認性を低下させることなく、保護板の破片が飛散することを防止して安全性を確保した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、画像を表示する表示パネルを筐体内に収納する表示装置と、筐体を覆い、かつ表示パネルの表示面に配置される透明保護部材と、を備え、透明保護部材の表示パネルと対向する面において、表示パネルの表示領域に対応する位置に接着部材が配置されて表示パネルが貼り付けられ、表示パネルの表示領域の外側から透明保護部材の端部までの周辺領域には、飛散防止シートが貼り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による表示装置によれば、表示装置の表面に配置する保護部材が割れた場合であっても、視認性を低下させることなく、保護部材の破片が飛散することを防止して、安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の表示装置に係る分解斜視図である。
【図2】本発明の表示装置に係る平面図である。
【図3】本発明の表示装置に係る断面図である。
【図4】本発明の表示装置に係る断面図である。
【図5】本発明の表示装置に係る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る面状光源装置の実施形態を図面に基づいて説明する。各図において同一の符号を付されたものは、実質的に同様の構成要素を示す。
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明の表示装置の分解斜視図、図2は図1の表示装置の正面図、図3は図2の表示装置をA-A方向から見た断面図である。
【0013】
図1乃至図3に示すように、表示パネル10はガラスなどで構成される第1の基板であるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)基板8と第2の基板である対向基板7とが貼り合わされ、これら2枚の対向基板7、TFT基板8間に液晶(図示せず)が注入されている。それぞれの基板の表面には、基板の大きさよりも小さいサイズで形成される上偏光板6および下偏光板9が貼り付けられている。ここで、TFT基板8にはTFTを含む画素および共通電極などが形成され、対向基板7にはカラーフィルタや画素の対向電極などが形成される。また、表示パネル10に映像信号を入力するための回路基板(図示せず)をTFT基板8に配置させている。表示パネル10の下偏光板9を配置した背面側には、バックライトユニット11を配置する。表示パネル10とバックライトユニット11を筐体12に収納して、表示装置100を構成している。なお、対向基板7上の上偏光板6の前面側(表示パネル10の表示面)には、表示パネル10を保護するための透明保護部材1が透明粘着材2によって貼り付けられている。また、本発明において、透明保護部材1は、バックライト11および表示パネル10を収納した筐体12を覆うように配置される。
【0014】
<透明保護部材>
本発明の表示装置10に用いられる透明保護部材1はガラスや、透明なアクリル、ポリカーボネートなどの樹脂材料によって形成されている。また、透明保護部材1は、表示パネル10を収納する筐体12を覆うように配置されるため、表示パネル10の外形よりも大きい外形サイズのものが用いられる。また、図3に示すように、透明保護部材1は、表面1aが露出されて表示装置100に配置されている。一般的な表示装置のように透明保護部材1の周辺部を枠状のフレームで覆う構造では、フレームと透明保護部材1の表面1aとの間に段差が生じ、機能性や意匠性が低下するが、本構成を適用することで携帯電話や携帯型端末情報などにおいて、機能性や意匠性を高めることができる。
【0015】
<印刷部>
図3に示すように、透明保護部材1の表示パネル10と対向する面であって、視認側と反対側である裏面1cの周辺領域ARに、印刷部3が形成されている。周辺領域ARは、表示パネル10の表示領域DRより、透明保護部材1の端部1bまでの領域である。印刷部3は表示領域DRと略同じ大きさの開口部3aを有し、透明保護部材1の端部1bまでの領域の範囲内である周辺領域ARにインク等を塗布することで形成される。透明保護部材1の周辺領域の印刷部3を黒色などの遮光する色のインクで形成させることにより、バックライト11からの出射光が表示パネル10の表示領域DRの外側や、対向基板7の周辺部から漏れた光が表示装置100の表示面から視認することを防ぐことができる。なお、印刷部3は、黒色のインク以外に意匠性を考慮し、別の色を用いてもよい。
【0016】
<シート>
透明保護部材1の裏面1cの印刷部3を形成した領域である周辺領域ARには、飛散防止のためのシート5が貼り付けられる。シート5はPET(Polethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)などのフィルム状の樹脂系材料で形成され、シート5の一方の面に樹脂材料を含む粘着部材4を有している。この粘着部材4により、シート5が透明保護部材1の裏面1cに貼り付けられている。なお、シート5の厚さは0.1mm程度が好ましい。
【0017】
なお、シート5は、透明保護部材1の裏面1cに形成される印刷部3と同様に、表示パネル10の表示領域DRとほぼ同等の大きさの開口部5aを有する枠形状のものを用いる。シート5は、シート5の開口部5aと、印刷部3の開口部3aとが同じ位置になるように配置し、印刷部3と重なる位置に貼り付けられる。
【0018】
<透明粘着材>
次に、透明粘着材2について説明する。透明粘着剤2は、透明粘着材2は樹脂材料で構成されたシート状の粘着材もしくは樹脂材料を含む接着剤等の接着部材を用いる。透明粘着材2は、透明保護部材1に形成される印刷部3の開口部3aと同等もしくは同等より大きいサイズのものすなわち、少なくとも表示領域DRの範囲に対応して配置され、表示パネル10を透明保護部材1に貼り付ける。なお、透明粘着材2は、表示パネル10を構成する基板(本発明においてはガラス)に近い屈折率を備えており、表示パネル10と透明保護部材1との間の多重反射を防止して視認性の低下を防止している。
【0019】
本発明の表示装置100は、表示装置100を構成する筐体12上に、筐体12を覆うように透明保護部材1を配置する際、透明保護部材1の裏面1cにおいて、表示パネル10の表示領域DRに対応する位置に配置された透明粘着材2により、表示パネル10の表示面が貼り付けられている。また、表示領域DRより、透明保護部材1の端部1bまでの領域である周辺領域ARには、表示領域DRに対応した開口部5aを備えたシート5が粘着部材4を介して貼り付けられている。よって、透明保護部材1は、表示パネル10の表示領域DRと重なる位置には、表示パネル10を貼り付けるための透明粘着材2が配置され、表示領域DRより外側である周辺領域ARには、粘着部材4を介してシート5を配置したため、透明保護部材1に外部から圧力や、衝撃が与えられ、透明保護部材1が破損した場合であっても、表示領域DRは透明粘着材2により、周辺領域ARは粘着部材4を備えたシート5により、透明保護部材1の破片が飛散することを防止できる。これにより、表示装置100の外部からの圧力や衝撃が与えられた場合であっても、安全性を確保できる。
【0020】
また、本発明の表示装置100は、透明粘着材2により表示パネル10の表示領域DRの飛散防止機能を備えるとともに、周辺領域ARのみに粘着部材4を介してシート5を貼り付けるという構成であるため、新たな部品の追加を最小限に抑え、容易に組立てが可能となる。
【0021】
また、周辺領域ARに対応して、印刷部3を形成したため、バックライト11からの出射光が表示パネル10の表示領域DRや対向基板の周辺部から漏れた光が表示面から視認することを防止することができる。
【0022】
なお、本発明の周辺領域ARに配置した、シート5は、粘着部材4を介して透明保護部材1に貼り付けられているが、粘着部材4が配置されていれば、透明保護部材1の破片が飛散することを防止することができる。また、粘着部材4に対応してシート5を配置することで、粘着部材4が他部材等と接着することを防止することができる。
【0023】
また、粘着部材4を介してシート5を透明保護部材1の周辺領域ARに貼り付けることで、透明保護部材1の剛性を高めることができ、透明保護部材1が破損することを防止できる。
【0024】
さらに、シート5は、所望の模様等を形成させて周辺領域ARに配置させることができ、これにより意匠性を向上させることができる。
【0025】
また、本発明に用いるシート5は、図1に示すように開口部5aを形成させた連続した枠形状のものを一例として説明したが、周辺領域ARの形状およびサイズに合わせて適宜分割したシート5を用いてもよい(図示せず)。分割したシート5を複数用いることで、シート5のコストを下げることができ、かつ、位置決め等の作業性を向上させることができる。
【0026】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2に係る表示装置100の断面図であり、図中、図1と同等の部分には同一符号を付して示している。
【0027】
実施の形態1に係る液晶表示装置においては、透明保護部材1に貼り付けられている透明粘着材2は表示領域DRに対応して配置し、透明保護部材1の端部1bまでの領域である周辺領域ARに、表示領域DRに対応した開口部5aを有するシート5を配置していたが、本実施の形態2に係る表示装置100においては、シート5の開口部5aを表示領域DRよりも大きく構成した。なお、本構成以外は、実施の形態1と同様であり、同様の部分の説明は省略する。
【0028】
図4に示すように、シート5の開口部5aは、表示領域DRよりも大きく形成され、飛周辺領域ARの範囲内に配置される。印刷部3の開口部3aよりも大きく、表示領域DRに配置する透明粘着材2の大きさと同じかやや大きいものを配置し、シート5の開口部5aの端部と透明粘着材2の開口部5aと対向する端部とが所定の間隔Dを備えて配置される構成とする。シート5の開口部5aと、透明粘着材2との間隔Dは好ましくは0mmより大きく5mmより小さくなるように配置される。
【0029】
このように、透明保護部材1の裏面1cにおいて、シート5を透明粘着材2と間隔Dを備えて配置しているので、透明保護部材1を透明粘着材2によって表示パネル10に貼り付ける際、透明粘着材2がシート5の開口部5aに配置されることにより段差となることを防止または段差となる範囲を狭くすることができる。シート5の開口部5aに配置される透明粘着材2が、段差となることを防止できるため、透明保護部材1の裏面1cにおいて、シート5の開口部5a端と透明粘着材2との間に段差が起因する隙間を防止して、透明粘着材2に発生する気泡を防止できる。よって、透明保護部材1に飛散防止の構造をとった場合であっても、気泡による表示不良が発生しない表示装置100を得ることができる。
【0030】
実施の形態3.
図5は本発明の実施の形態3に係る表示装置100の断面図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。
【0031】
本実施の形態3に係る表示装置では、実施の形態1または実施の形態2で用いた印刷部3を形成せず、シート51を、遮光性を有する部材で形成している。なお、本構成以外は、実施の形態1、2と同様であるため、説明は省略する。
【0032】
図5に示すシート51は、黒色の顔料などが練り込まれた材料を使用して形成した。または、シート5の一方の面に備えられた粘着部材41に同様の顔料が練りこまれた材料を使用してもよい。
【0033】
このように、本実施の形態3ではシート51を遮光性の材料で形成したので、シートに飛散防止機能と、遮光機能を備えることができるため、透明保護部材1の周辺領域に遮光のための印刷等を施す必要がなくなり、表示装置100を安価に作成することができる。また、表示装置100の組立作業性が向上する。
【0034】
なお、本発明において、上記各実施の形態で限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更、組合せが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 透明保護部材、1a 表面、 1b 端部、 1c 裏面、
2 透明粘着材、3 印刷部、4、41 粘着部材、5、51 シート、
5a 開口部、6 上偏光板、7 対向基板、8 TFT基板、9 下偏光板、
10 表示パネル、DR 表示領域、AR 周辺領域、11 バックライトユニット、
12 筐体、100 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルを筐体内に収納する表示装置と、
前記筐体を覆い、かつ前記表示パネルの表示面に配置される透明保護部材と、を備え、
前記透明保護部材の前記表示パネルと対向する面において、前記表示パネルの表示領域に対応する位置に透明接着部材が配置されて前記表示パネルが貼り付けられ、前記表示パネルの表示領域の外側から前記透明保護部材の端部までの周辺領域には、粘着部材が配置されたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記透明保護部材は、前記粘着部材に対応してシートが貼り付けられたことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記シートは、前記表示領域に対応する位置に開口部を備えて貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記シートは、前記表示領域より大きい開口部を備え、前記開口部端と前記透明接着部材端とが、所定の間隔を備えて貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記シートは、分割された複数のシートにより周辺領域に対応した形状に構成されたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記透明保護部材の前記表示パネルと対向する面において、
前記透明保護部材および前記粘着部材間に、印刷部を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記粘着部材は、遮光性を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記シートは、遮光性を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−29601(P2013−29601A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164487(P2011−164487)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】