説明

表示装置

【課題】表示装置内への液滴の浸入を防止すること。
【解決手段】液晶表示装置は、液晶パネル3と、パネル外周縁部と略対向して配置された外周部を有するシャーシ4と、シャーシ4を外側から覆う外装部材としてのベゼル5を備える。液晶パネル3に設けた防滴部材6には溝部6bが形成されている。溝部6の一部はシャーシ4の開口部4dを貫通してベゼル5の開口部5bに挿通され、液晶パネル3の表面に付着した水滴10を装置外に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置の防滴構造に関し、特にフィルム材を用いた防滴構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は薄型化や軽量化の要求が増しており、従来に比べて高精細化された液晶パネルが市場に出始めている。図8(A)は従来の液晶表示装置101の斜視図である。図8(B)は内部構造例を示す、図8(A)のB−B線に沿う部分断面図である。図8(C)は内部構造の別例を示す、図8(A)のC−C線に沿う部分断面図である。
液晶表示装置101は正面側から順に、ベゼル105、シャーシ104、パネル(液晶表示パネル)103、ケース(バックライトケース)102、リアカバー107を備える。図8(B)の例では、ケース102の前面部に形成した凹部102aにパネル103の外周縁部が嵌め込まれて固定される。矩形枠状のシャーシ104は角筒部104aと前面部104cを有する板金部材である。パネル103の四隅には、前面部104cとの間にゴム製の緩衝材108が配置され、パネル103に大きな押圧力をかけずに、その前後方向の位置を拘束している。なお、緩衝材108を設けていない場所では、パネル103の前面とシャーシ104の前面部104cの間に隙間がある。パネル103の上端部103aには、多数の画素ごとに駆動電圧を印加するソースドライバIC103b(XドライバICとも呼ぶ)を実装した基板(駆動回路基板)103cが接続されている。ソースドライバIC103bはシャーシ104とケース102の間に配置され、その発生熱は熱伝導シート109に伝わってシャーシ104に拡散する。
【0003】
ところで、液晶パネルの高精細化が進み、より多くの画像情報を処理する必要に伴い、基板での発熱量が増大する。また、パネルの画素が小さくなるため開口率が下がり、透過光量が減少してしまう。それを補うためにバックライト部の光量を増やす必要性から発熱量も増大する。さらには画素数が増加するとソースドライバICの数が増え、全体の発熱量も増加する。温度上昇により、筺体内の上部に位置するソースドライバICは高温雰囲気に曝されることになる。
そこで、図8(C)に示すように、ソースドライバIC103bをパネル103の下端部よりも下側に配置した構成が考えられる。結露などにより、パネル103に付着した水滴110は表面を伝わって下方に流れ、パネル103とシャーシ104の隙間から浸入する。これは基板103cとソースドライバIC103bの電気的なショートを惹き起こし、画像表示を阻害する原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表示装置では防滴対策において以下の課題がある。
図8(C)の例で、水滴110の浸入を防止するために、緩衝材108をパネル103の下端部103d付近にて前面の全辺に亘って隙間無く貼り付けて押圧する方法が考えられる。この場合、押圧力によりパネル103が歪むことや、表示ムラの発生により画像が正しく表示されないおそれがある。
また、図8(D)に示すように前面板111をパネル103に対向させて一定の距離だけ離隔させ、パネル103を押圧しないようにベゼル112の前面部に接着固定する構成も考えられる。この場合、前面板111の表面に付着した水滴110は、筐体内に浸入することなく前面板111の下端部から筐体外に落ちていく。水滴110の浸入は防止できるが、前面板111とパネル103との距離の分だけ筐体の厚さが増す。さらに、前面板111の重量による筐体全体の重量増加は薄型化および軽量化の要請に反する。
そこで、本発明は、表示装置内への液滴の浸入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る装置は、表示領域を有する表示パネルと、該表示パネルの周囲を覆う部材と、前記表示パネルに設けた防滴手段を備えた表示装置であって、前記防滴手段には前記表示パネルの表面に付着した液滴を装置外に排出する溝部を設け、前記表示パネルの周囲を覆う部材には前記溝部を貫通させる開口部を形成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液滴の浸入による弊害を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図2乃至4と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、液晶表示装置を示す斜視図である。
【図2】液晶表示装置の主要機構部を例示する分解斜視図である。
【図3】液晶表示装置の正面中央下部の構造を例示する側面断面図である。
【図4】防滴部材を説明する斜視図(A)および側面断面図(B)である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の溝形成部を説明する分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る液晶パネルの防滴部材を説明する分解斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る液晶パネルの横設置状態(A)および縦設置状態(B)を説明する正面図である。
【図8】従来の液晶表示装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の各実施形態を説明する。なお、以下では表示パネルとして液晶パネルを使用した表示装置を説明するが、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、FEDパネル、表面伝導型放出素子を用いたディスプレイパネルなどに適用できる。
【0009】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の斜視図である。図1には液晶パネル3と、外装部材であるベゼル5およびリアカバー7を示す。
図2は液晶表示装置1の主要機構部の分解斜視図である。図2には、正面側から順に、ベゼル5、シャーシ部材(以下、単にシャーシという)4、防滴部材6、液晶パネル3、バックライト(以下、BLと略記する)ケース2、リアカバー7を示す。本例では液晶パネル3の周囲を覆う被覆部材としてシャーシ4とベゼル5が設けられ、外装部材であるベゼル5の内側にシャーシ4が配置される。なお、以下の説明では、液晶表示装置1において、矢印1aの方向を前方、矢印1bの方向を後方とする。また、ユーザからみて矢印1cの方向を右方、矢印1dの方向を左方とし、矢印1eの方向を下方、矢印1fの方向を上方とする。
【0010】
図3は液晶表示装置1における正面中央付近の下部を上下方向にて切断した場合の側面断面図である。
BLケース2は、アルミウムなどの金属材料で長方形に形成した板状のケースベース部2aと、ケースベース部2aの外周縁部2bにてねじ(不図示)により密着して結合したケース筒部2cから成る。ケース筒部2cは、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂等の樹脂材料で形成され、上下左右方向に4枚の板部が一体化して筒形状を成す。ケース筒部2cの内壁前面部には凹部2dが形成され、液晶パネル3の外周縁部を受け入れる。なお、BLケース2と液晶パネル3によって形成される空間には光源(不図示)が配置されている。
液晶パネル3は、前面側に画像を表示する表示領域3aを有し、BLケース2の凹部2dに嵌まり込むことで左右(矢印1cおよび1d参照)と後方向(矢印1b参照)の位置が規定される。さらに、液晶パネル3の四隅には、液晶パネル3の前面とシャーシ4の前面部4bの間に柔らかいゴム製の緩衝材8が配置されている。液晶パネル3のパネル下端部3bに接続された駆動回路基板3cには、多数の画素を駆動するためにソースドライバIC3d(XドライバICとも呼ぶ)が実装されている。駆動回路基板3cは、TAB(Tape Automated Bonding)を用いた基板である。ソースドライバIC3dは、画素ごとに印加電圧を加える回路部品であり、BLケース2とシャーシ4の外周部4cの間で、左右方向に沿って一直線上に複数個配置されている。各ソースドライバIC3dは、熱伝導シート9を介してシャーシ4の外周部4cの内面に密着している。
【0011】
シャーシ4は前面部4bと外周部4cから成る。前面部4bは、液晶パネル3の前面と対向して配置された前面開口部4aを有し、外周部4cは前面部4bの4つの端辺を折り曲げて形成されて、液晶パネル3の外周縁部3eと対向して配置される。外周部4cは、液晶パネル3、駆動回路基板3c、BLケース2を外側から包囲しており、液晶パネル3の下端部3bに対応する位置には左右方向において複数の開口部4dが形成されている。ベゼル5は、シャーシ4を外側から覆う外装外周部5aを有する。外装外周部5aには、外周部4cの開口部4dと対向する位置に複数の開口部5bが左右方向に亘って形成されている。
防滴部材6はフィルム材で形成され、その一部が液晶パネル3の外周縁寄りの部分に取り付けられた状態で、液晶パネル3とシャーシ4の前面部4bの間に位置している。防滴部材6は、液晶パネル3の下端部3bの直近前面にて粘着剤等により対向密着する密着部6aを有する。密着部6aから延長されて外装外周部5aまでに及ぶ部分は溝形成部6cであり、後述する溝部6bが形成されている。溝部6bは、フィルム材の一部を後方(矢印1b参照)に押し込んで形成されており、溝形成部6cの下端寄りの部分は、シャーシ4の開口部4dを貫通し、さらにベゼル5の開口部5bに到達している。
【0012】
図4は防滴部材6を説明する分解斜視図(A)および側面断面図(B)である。
溝部6bとして、本例では略Y字をした2つの異なる大きさの溝6f、6gを示す。以下では、大きい方をY溝6fといい、小さい方をy溝6gという。複数のY溝6fおよびy溝6gは、パネル下端部3bから見て夫々の一部が重なり合った状態で、左右方向(矢印1cおよび1d参照)に沿って交互に配置されている。
防滴部材6は、Y溝6fおよびy溝6gがそれぞれ形成された下端部にシャーシフィルム部6hを有する。Y溝6fとこれに隣接するy溝6gにそれぞれ対応したシャーシフィルム部6h同士の間には、スリット状の切欠部6kが形成されている。シャーシフィルム部6hは、その幅がシャーシ4の外周部4cに形成した開口部4dに挿通可能な長さを有する。また、シャーシフィルム部6hの下端部には外装フィルム部6iが設けられており、ベゼル5の開口部5bに挿通される。外装フィルム部6iには、Y溝6f、y溝6gのうち鉛直方向に延びる縦溝の下端部が及んでおり、隣接する外装フィルム部6i同士の間には切欠部6mが形成されている。
【0013】
次に、液晶パネル3の表面に付着した液滴の流れについて説明する。
液晶パネル3の表面に付着した水滴10は、破線の矢印6jで示すように、防滴部材6の密着部6aの前面を伝わって落ちる。そして水滴10はY溝6fまたはy溝6gのうちの、上方に開いた2本の傾斜溝のいずれかに入る。前記のようにY溝6fおよびy溝6gは、パネル下端部3bから見て夫々の一部が重なり合うように配置されている。よって、防滴部材6の左右方向(図4の矢印1cおよび1d参照)のいずれの位置から水滴10が流れ落ちたとしても、必ずどれかの溝部6b(Y溝6f、y溝6g)に流れ落ちる。この水滴10はY溝6f、y溝6gのうち鉛直方向に延びる縦溝を通って、ベゼル5の外へと速やかに排出される。
【0014】
なお、本例では、溝部6bにて、フィルム材の一部を後方向(図4の矢印1b参照)に押し込んでY溝6fおよびy溝6gを形成している。これに限らず、フィルム材の一部を前方(図4の矢印1a参照)に押してY溝6fおよびy溝6gを形成してもよい。また、溝部6bの形状はY字に限らず、水滴10を外装外周部5aの外に速やかに誘導できる形状であればよい。あるいは表示パネルの外周縁寄りの表面に溝を形成しても構わない。なお、これらの事項は後述する別の実施形態でも同様である。
以上、第1実施形態では、液晶パネル3の表面に付着した水滴10を防滴部材6の溝部6bによって装置外に排出できる。つまり、水滴10が付着して液晶パネル3の下方(図4の矢印1e参照)に流れ落ちる場合、水滴10は溝部6bに沿って液晶表示装置1の外に速やかに排出される。さらに、防滴部材6は、その一部が液晶パネル3に固定され、溝形成部6cは前方(図4の矢印1a参照)の部分と後方(図4の矢印1b参照)の部分を分断する。これによって駆動回路部品への液滴の流路が遮られる。つまり、液晶パネル3の後方にてパネル下端部3bの近辺に配置された駆動回路基板3c、およびソースドライバIC3dは、防滴部材6の溝形成部6cによって水滴10の浸入から保護される。なお、シャーシフィルム部6hの幅を大きくし、切欠部6kを小さくすることで、防滴部材6による遮蔽効果がさらに高まる。
第1実施形態によれば、表示パネルに前面板を設けることなく、防滴部材6で液滴の浸入による弊害を防止できる。
【0015】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態との相違点は、防滴部材6の溝形成部6cの形状と、光学フィルム16の一部を加工して溝形成部16cを形成したことである。よって、以下では第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることにより、それらの詳細な説明を省略する。このことは後述する別の実施形態でも同様とする。
図5は、第2実施形態に係る液晶表示装置の溝形成部16cを説明する分解斜視図である。
【0016】
光学フィルム16は、シリコーン、アクリル等の樹脂によるフィルム材で形成され、溝形成部16cを有する。溝形成部16cは、パネル下端部3bから外装外周部5aにかけて溝部16bが形成された、光学フィルム16の延長部である。
溝部16bは、フィルム材の一部を後方(図5の矢印1b参照)に押し込んで形成され、下端寄りの部分はシャーシ4の開口部4dを貫通してさらにベゼル5の開口部5bに挿通される。溝部16bに例示する溝16fは、鉛直方向(図5の矢印1eおよび1f参照)に対して一定の角度をなす傾斜溝と、この溝から下方に繋がる縦溝から成る。つまり、略への字をした複数の溝16fは、パネル下端部3bから見て隣り合う溝の一部が互いに重なり合う状態で、左右方向(図5の矢印1cおよび1d参照)に亘って配置されている。
溝形成部16cは、その下端部にて溝16fに対応したシャーシフィルム部16hを有し、隣接するシャーシフィルム部16h同士の間にはスリット状の切欠部16kが形成されている。シャーシフィルム部16hは、その幅がシャーシ4の外周部4cに形成した開口部4dに挿通可能な長さを有する。シャーシフィルム部16hは下端部に外装フィルム部16iを有し、これはベゼル5の開口部5bに挿通される。外装フィルム部16i同士の間には切欠部16mが形成されている。
【0017】
次に、光学フィルム16の表面に付着した水滴10の流れについて説明する。
光学フィルム16の表面に付着した水滴10は、破線の矢印16jに示すように溝形成部16cに伝わり、溝部16bに入る。図5に示す溝16fの傾斜溝は、パネル下端部3bから見て夫々の一部が重なり合うように配置されている。よって、溝形成部16cの左右方向(図5の矢印1cおよび1d参照)にて、いずれの位置から水滴10が流れ落ちたとしても、必ず溝16fの傾斜溝から縦溝を通って流れ落ち、ベゼル5の外へ速やかに排出される。
以上、第2実施形態では、光学フィルム16の表面に水滴10が付着して液晶パネル3の下方に流れ落ちた場合、溝形成部16cの溝部16bに沿って水滴10は液晶表示装置1の外へ速やかに排出される。よって、第1実施形態と同様の効果が得られ、さらには、光学フィルム16に溝形成部16cを形成することにより、部品点数の削減に寄与する。
【0018】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る液晶表示装置1は、表示部を横長に設置した状態(以下、横設置状態という)と、表示部を縦長に設置した状態(以下、縦設置状態という)で使用可能である。すなわち、表示部は不図示の回転機構によって回転可能に支持されており、ユーザは使用目的に応じて表示部を横設置状態または縦設置状態に変更可能である。
図6は、第3実施形態に係る液晶パネル3の防滴部材26を説明する分解斜視図であり、液晶パネル3の横設置状態を示す。なお、図6ではシャーシ4およびベゼル5は夫々分割した構造となっている。これは、シャーシフィルム部26h、外装フィルム部26iを、夫々開口部4dと開口部24d、開口部5bと開口部25bに嵌り易くするためである。
液晶パネル3が縦設置状態の場合、パネル下端部3b側(図中、シャーシ4の右端寄り部分)にてシャーシ4の開口部24dは、開口部4dと同様の形状と機能を有する。またベゼル5に形成した開口部25bは、開口部5bと同様の形状と機能を有する。
【0019】
ユーザが液晶パネル3を回転させた横設置状態または縦設置状態の姿勢で、防滴部材26には、パネル下端部3bとなる位置にてその直近前面に対向密着する密着部26aが粘着剤等により取り付けられている。パネル下端部3bから外装外周部5aにかけて、溝部26bが形成された溝形成部26cには複数のY溝26fが形成されている。溝部26bは、フィルム材の一部を後方(図6の矢印1b参照)に押し込んで形成され、溝部26bの端部はシャーシ4の開口部4dおよび開口部24dをそれぞれ貫通して、ベゼル5の開口部5bおよび開口部25bに到達している。
溝部26bに形成したY溝26fはいずれも同一の形状で、左右方向(図6の矢印1cおよび1d参照)と鉛直方向(図6の矢印1eおよび1f参照)に沿って配置されている。隣り合うY溝26f同士は少なくとも一部(本例では、2つの傾斜溝のうちの一方が結合した結合部26n参照)で繋がり、連続した1つの溝部26bを成している。密着部26aと溝形成部26cは、液晶パネル3の正面から見て略L字状を成している(図7参照)。左右方向から上下方向に向きを変える屈曲部では、結合部26pに示すように隣接するY溝26fが繋がることで、連続した溝を成している。
防滴部材26はシャーシフィルム部26hを有し、その幅はシャーシ4の開口部4dおよび24dに挿通可能な長さである。シャーシフィルム部26h同士の間にはスリット状の切欠部26kが形成されている。シャーシフィルム部26hの端部に外装フィルム部26iが設けられ、その幅はベゼル5の開口部5bおよび25bに挿通可能な長さである。外装フィルム部26i同士の間には切欠部26mが形成されている。
【0020】
図7は、本実施形態に係る液晶パネル3の横設置状態を示す(A)図と、縦設置状態を示す(B)図である。
以下、液晶パネル3の表面に水滴10が付着した際の水滴10の流れについて説明する。なお、Y溝26fは簡略化して示している。
図7(A)に示す液晶パネル3の横設置状態にて、液晶パネル3の表面に付着した水滴10は、破線の矢印26jに示すように、溝形成部26cに伝わって溝部26bに入る。溝部26bには、Y溝26fが左右方向(図7の矢印1cおよび1d参照)に連続して形成されている。このため、液晶パネル3の左右方向のいずれの位置から水滴10が流れ落ちたとしても必ず溝部26bに流れ落ち、いずれかのY溝26fを通って、ベゼル5の外へ速やかに排出される。
【0021】
ユーザが表示部を回転させると、図7(B)に示す縦設置状態に変化する。これは、図7(A)に示すように液晶パネル3の表面に水滴10が付着した状態から液晶パネル3が回転方向(矢印1g参照)に90°の角度で時計回り方向に回転された直後の状態である。水滴10は重力方向に落下するので、破線の矢印26qに示す方向に流れ落ちる。溝部26bは、連続して形成されているので液晶パネル3のいずれの位置から水滴10が流れ落ちたとしても、必ず溝部26bに流れ落ち、ベゼル5の外へ速やかに排出される。縦設置状態への姿勢変更後に、図7(B)に示す液晶パネル3の左辺に位置する溝部26bのY溝26fに流れ落ちた水滴10は、結合部26pから隣接するY溝26へと順次に伝わっていく。さらに水滴10は、液晶パネル3の下辺にて左端に位置する溝部26bのY溝26から排出される。なお、溝部26bによる水滴の排出効果は、液晶パネル3を横設置状態から縦設置に回転させた場合と同様、縦設置状態から横設置状態に回転させた場合でも発揮される。
以上、第3実施形態によれば、液晶パネル3の表面に付着した水滴10を、溝部26bに沿って装置外へ速やかに排出できる。さらには、液晶パネル3の姿勢を変える際、液晶パネル3の表面に水滴10が付着した状態でユーザが回転させても、水滴10を速やかに排出することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 液晶表示装置
3 液晶パネル
3a 表示領域
3c 駆動回路基板
3d ソースドライバIC
4 シャーシ
4c シャーシ外周部
4d 開口部
5 ベゼル
5b 開口部
6 防滴部材
6a 密着部
6b 溝部
6c 溝形成部
6f、6g 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する表示パネルと、該表示パネルの周囲を覆う部材と、前記表示パネルに設けた防滴手段を備えた表示装置であって、
前記防滴手段には前記表示パネルの表面に付着した液滴を装置外に排出する溝部を設け、
前記表示パネルの周囲を覆う部材には前記溝部を貫通させる開口部を形成したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの外周縁部を覆うシャーシ部材および該シャーシ部材を囲む外装部材が設けられ、
フィルム材で形成された前記防滴手段は、
前記表示パネルの外周縁部の表面に密着する密着部と、
前記表示パネルの外周縁部に亘って形成した複数の溝を有する前記溝部を備えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記防滴手段は、前記表示パネルの表面に貼り付けられた光学フィルムの一部であって、当該光学フィルムに前記溝部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルは、その姿勢を横長で使用する横設置状態または縦長で使用する縦設置状態に変更可能であり、
前記横設置状態および前記縦設置状態にてそれぞれ前記表示パネルの下辺となる位置に前記防滴手段が設けられ、前記溝部には複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の溝はその一部が結合することで繋がっていることを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記溝部は、鉛直方向に延びる縦溝および該縦溝に連続して鉛直方向に対して傾斜した傾斜溝を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の表示装置。
【請求項7】
前記傾斜溝は、前記表示パネルの下辺から見た場合に重なっていることを特徴とする請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記シャーシ部材の外周部と前記外装部材との間には前記表示パネルを駆動する回路部品が配置され、
前記防滴手段にて前記複数の溝を形成した溝形成部が前記回路部品への液滴の流路を遮ることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3195(P2013−3195A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131099(P2011−131099)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】