説明

表示評価装置、及び表示評価プログラム

【課題】利用者の色に関する要求や色評価の厳しさ等に左右されることなく表示装置の特性評価の精度を向上させる。
【解決手段】評価者特性評価部16は、提示部12により画像表示装置11に利用者の特性評価用の画像と設問を表示させ、評価者により入力装置13から入力される設問に対する回答から該利用者の利用者特性(色に関する要求レベル、色の評価の厳しさ等を含む)を評価し、該利用者特性に応じて画像表示装置11の特性の評価に際して適用する評価パターンを割り当てる。装置特性評価部15は、割り当てられた評価パターンに基づき、利用者特性に応じて色の値、形状が変更されたパッチ、あるいはステップ数が変更された設問を画像表示装置11に表示し、該設問に対する利用者の回答から画像表示装置11の表示に関する特性を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示評価装置、及び表示評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を画像表示装置に表示させる場合、装置によって出力される色が異なる場合がある。
【0003】
このような色の違いがあると、例えば、ある画像表示装置を用いてデザインや原稿作成を行い、そのデザイン画や原稿を他の画像表示装置で表示した際に、利用者が意図した色が再現されない場合が生じる。
【0004】
この色の違いは、標準とする画像表示装置の出力と、使用している画像表示装置の出力とを比べれば分かるが、例えば、1台の画像表示装置が与えられた場合には比較の対象がない。
【0005】
そのため、当該画像表示装置において本来の色が出力されているのか否かを知るための手段が必要となる。
【0006】
画像表示装置の出力を調整する方法として、特許文献1には、階調を異ならせたテストパターンを表示し、見え方に応じてγ値を調整する技術が開示されている。
【0007】
また、白またはグレーから階調を異ならせた複数の図形を並べて表示し、いずれが白またはグレーとして見えるかによりカラーバランス特性を取得し、γ値を調整する技術も開示されている。
【0008】
この場合、利用者の色に関する要求のレベルや、スキルが異なると、表示された図形がどのような色に見えるか等に関する回答内容も異なってくることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4303956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、利用者の色に関する要求や色評価の厳しさ等に左右されることなく表示装置の特性評価の精度を向上させることができる表示評価装置、及び表示評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の表示評価装置の発明は、表示装置の表示特性の評価に係る設問に対する評価を行なう評価者の特性を評価するための図形を前記表示装置に表示するとともに、前記評価者特性の評価に係る設問を併せ提示し、前記評価者による前記設問に対する回答から前記評価者の色に関する要求の度合いを含む評価者特性を評価する評価者特性評価手段と、前記表示装置の表示特性を評価するための図形を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて表示態様を変更して前記表示装置に表示するとともに、前記表示装置の表示特性の評価に係る設問を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて設問内容を変更して併せ提示し、前記評価者による前記表示装置の表示特性に係る設問に対する回答から前記表示装置の表示特性を評価する特性評価手段とを具備する。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記評価者特性評価手段は、前記表示装置を使用する業務目的を問う設問を提示し、該設問に対して前記評価者が回答する業務目的に応じて該評価者の色に対する要求の度合いを評価する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記評価者特性評価手段は、前記表示装置に前記評価者特性を評価するための2以上の図形を表示しながら該図形間の色の感じ方を確認する前記設問を提示し、該設問に対して前記評価者が回答する色の感じ方から該評価者の色に関する評価の厳しさの度合いを評価する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記評価者特性評価手段は、前記2以上の図形を該図形間で色相と明彩度を変えた色で表示する。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか1つに記載の発明において、前記特性評価手段は、前記評価者特性評価手段による評価者の色に関する要求の度合い、または色の評価の厳しさの度合いの評価結果に応じて、前記表示装置の表示特性を評価するための2以上の前記図形に関する図形間の色の値、図形の大きさ、図形間の接触量及び模様を含む図形形状を変更する。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1つに記載発明において、前記特性評価手段は、前記評価者特性評価手段による評価者の色に関する要求の度合い、または色の評価の厳しさの度合いの評価結果に程度に応じて、前記表示装置の表示特性に係る前記設問のステップ数を変更する。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか記載の発明において、前記評価者特性評価手段は、前記表示装置に前記評価者特性を評価するための2以上の図形を表示しながら該図形の見え方に関する色の用語の使い方を確認する設問を提示し、該設問に対する前記評価者による回答から該評価者の色の用語の使い方を評価する。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記特性評価手段は、前記評価者特性評価手段による評価者の色に関する用語の使い方の評価結果を反映して前記表示装置の表示特性に係る設問に適用する色の用語を変更する。
【0019】
請求項9記載の表示評価プログラムの発明は、表示装置の表示特性を評価するための図形を前記表示装置に表示するとともに、前記表示装置の表示特性の評価に係る設問を併せ提示し、前記設問に対する回答から前記表示装置の表示特性を評価する処理をコンピュータで実行する表示評価装置に実装され、前記コンピュータを、表示装置の表示特性の評価に係る設問に対する評価を行なう評価者の特性を評価するための図形を前記表示装置に表示するとともに、前記評価者特性の評価に係る設問を併せ提示し、前記評価者による前記設問に対する回答から前記評価者の色に関する要求の度合いを含む評価者特性を評価する評価者特性評価手段、前記表示装置の表示特性を評価するための図形を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて表示態様を変更して前記表示装置に表示するとともに、前記表示装置の表示特性の評価に係る設問を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて設問内容を変更して併せ提示し、前記評価者による前記表示装置の表示特性に係る設問に対する回答から前記表示装置の表示特性を評価する特性評価手段として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、利用者の色に関する要求や色評価の厳しさ等に左右されることなく表示装置の特性評価の精度を向上させることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、表示装置の特性の診断を利用者の利用目的に応じたレベルに対応した基準で評価することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明において、評価者の色に関するスキルに合わせた基準を用いて表示装置の特性を診断できる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明において、利用者の色の見え方の感覚に関する情報を詳細に得ることができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項2乃至4のいずれか1つに記載の発明において、利用者の色のスキル等に見合ったパッチや設問内容を用いて表示の特性を評価できる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、請求項2乃至5のいずれか1つに記載の発明において、利用者の色のスキル等に対して設問が過多、過少となることを回避できる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の発明において、利用者がなじんでいる色の捉え方を把握できる。
【0027】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明において、利用者がなじんでいる色の捉え方を把握して表示器機特性診断が行える。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、利用者の色に関する要求や色評価の厳しさに左右されることなく表示特性が評価できるように表示評価装置を駆動制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一実施の形態に係わる表示評価装置の機能構成を示すブロック。
【図2】表示評価装置の評価処理動作を示すフローチャート。
【図3】画像表示装置の特性評価処理動作を示すフローチャート。
【図4】設問に用いるパッチの一例を示す図。
【図5】いくつかの画像表示装置における色再現域の一例を説明する図。
【図6】装置特性評価値テーブルの一例を示す表図。
【図7】評価値累計テーブルの一例を示す表図。
【図8】表示評価装置の評価者特性評価処理動作を示すフローチャート。
【図9】表示/設問パターンの一例を示す図。
【図10】評価者特性評価に用いる各種テーブルの構成を示す表図。
【図11】用語パターン判定テーブルの構成を示す表図。
【図12】評価パターンテーブルの構成を示す表図。
【図13】評価者特性評価結果に基づくパッチの値の変更イメージを示す図。
【図14】評価者特性評価結果に基づくパッチの形状変更イメージを示す図。
【図15】評価者特性評価結果に基づく設問ステップ数変更イメージを示す図。
【図16】実施の形態に係る表示評価機能を実現するコンピュータの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる表示評価装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
表示評価装置10は、画像表示装置11、提示部12、入力装置13、受付部14、装置特性評価部15、評価者特性評価部16を具備して構成される。
【0032】
画像表示装置11は、表示の特性の評価対象となる装置であり、例えば、クライアント〔PC(パーソナル・コンピュータ)〕に接続される表示装置(ディスプレイ)が想定される(図16参照)。
【0033】
提示部12は、例えば、利用者による入力装置13での所定の操作(表示特性評価開始指示操作)に基づいて予め決められている2以上の図形を画像表示装置11に出力させ、その際に、当該2以上の図形がどのように見えるかを設問として利用者に提示する。
【0034】
利用者(画像表示装置11の表示特性の評価に係る設問に対する評価を行なう操作者:評価者)は、上記図形の表示に合わせて表示される上記設問の回答を入力装置13を用いて入力し、受付部14は評価者からの設問に対する回答を受け付ける。
【0035】
装置特性評価部15は、受付部14で受け付けた評価者からの設問に対する回答から、画像表示装置11の表示に関する特性を評価する。
【0036】
このように、本実施形態において、装置特性評価部15は、画像表示装置11の特性を評価するために用いる図形と設問を提示部12により画像表示装置11に表示させ、該設問に対して評価者が入力装置13から入力する回答を受付部14で受け付け、該設問に対する回答から当該画像表示装置11の特性(表示の特性)を評価し、該評価結果を出力する処理を実施する(図3参照)。
【0037】
また、本実施形態に係る特有の構成である評価者特性評価部16は、装置特性評価部15での画像表示装置11の特性を評価する処理に先立ち、評価者の特性を評価するための図形と設問を提示部12により画像表示装置11に表示させ、該評価者特性評価に係る設問に対して評価者が入力装置13から入力する回答を受付部14で受け付け、該設問に対する回答から当該評価者の特性を評価する処理を行なう。
【0038】
この処理によって評価される評価者の特性としては、該評価者の色に関する要求レベル、色の評価に関する厳しさ(視力、感覚、用語の捉え方)等を想定している。
【0039】
上述した画像表示装置11の特性の評価、評価者特性の評価のいずれの処理においても、複数の設問を用意しておき、これら複数の設問に対する複数の回答から該当する特性の評価を行うことができる。
【0040】
図2は、本実施の形態に係る表示評価装置10の評価処理動作を示すフローチャートである。
【0041】
図2に示すように、表示評価装置10では、まず、評価者特性評価部16が評価者の特性を評価する処理を実施し(ステップS101)、引き続き、装置特性評価部15がステップS101における評価者特性の評価結果を踏まえて画像表示装置11の特性(表示の特性)を評価する処理を実施する(ステップS201)。
【0042】
ステップS101での評価者特性評価処理については後で図8を参照して詳述するものとし、ここでは、便宜上、ステップS201における画像表示装置の特性(表示)の評価処理について図3に示すフローチャートを参照して先に説明する。
【0043】
図3に示す画像表示装置の特性評価処理において、提示部12は特性評価用の設問に対応する2以上の図形(表示装置特性評価に係る図形)を画像表示装置11に出力させる(ステップS211)。
【0044】
2以上の図形は、それぞれ縁取りを図形の色とし、あるいは縁取りを行わない。
【0045】
また、設問は色名などを使用せず、例えば濃さや鮮やかさや色が「近い」、「同じ」、「異なる」などの言葉を使用して行う。あるいは、図形を直接選択する設問でもよい。
【0046】
次いで、ステップS212において、評価者が入力装置13を用いて行う設問に対する回答を受付部14が受け付ける。
【0047】
ステップS213において、設問が終了したか否かを判断し、設問が残っている場合(ステップS213でNO)にはステップS211に戻って残りの設問に対応する図形の表示及び回答の受付を繰り返す。
【0048】
その際には、設問の際の図形の色が評価者の残像として残らないように、例えば全面が白または灰色などの出力を行うとよい。
【0049】
なお、設問が1つである場合にはステップS213における判断を行わずにステップS214へ進めばよい。
【0050】
ステップS213で設問が終了したと判断した場合(ステップS213でYES)には、ステップS214において、それぞれの設問に対する評価者からの回答をもとに、画像表示装置11の特性を装置特性評価部15で評価する。
【0051】
この例ではさらに、ステップS215において、装置特性評価部15で評価した結果を出力する。
【0052】
この評価結果の出力は、画像表示装置11に対して行ってもよいし、他の装置に対して出力したり、あるいは他の処理へ渡して利用しても良い。
【0053】
具体例を用いながらさらに説明する。
【0054】
図4は、ステップS211での図形の表示に併せて提示される設問の第1の例の説明図である。
【0055】
図4に示す例では、2つの矩形図形をそれぞれ45度傾け、部分的に重ねて成る装置特性評価用のパッチ(評価用図形)20を出力している。
【0056】
この2つの図形の色は、予め決められた色相だけ異ならせる。なお、図示の都合上、色の違いは斜線を異ならせて示している。
【0057】
そして設問として、2つの図形の色が異なって見えるか否かを評価者に回答させる。
【0058】
設問の具体例としては、「2つの図形の色は同じに見えますか?」、「2つの図形のどちらが鮮やかですか?」、「2つの図形のどちらが濃く見えますか?」など、種々の設問が考えられる。
【0059】
これらの設問に対する評価者からの回答により、画像表示装置11の色再現域が予め設定した標準的な色再現域と比べて狭いのか否かが分かる。
【0060】
図5は、いくつかの画像表示装置における色再現域の一例の説明図である。
【0061】
画像表示装置11は色再現能力が異なる場合があり、図5では標準の色再現域をAとして示し、この色再現域Aを有する画像表示装置を画像表示装置Aとする。
【0062】
また、ある画像表示装置Bの色再現域をBとして示し、さらに別の画像表示装置Cの色再現域をCとして示している。色再現域Bは標準の色再現域Aよりも狭く、色再現域Cは色再現域Bよりもさらに狭い。
【0063】
画像表示装置Aに対して、ある色信号p(再現される色を黒丸で示す)を与えると、図5中の色a1が再現されるとする。
【0064】
この色信号pを画像表示装置Cに与えた場合、色再現域の違いから、例えば図5中の色c1が出力されてしまう。
【0065】
また、色信号pとは色相が異なる別の色信号q(再現される色を白丸で示す)を画像表示装置Aに対して与えた場合、図5中の色a2が再現されるとする。
【0066】
この色信号qを画像表示装置Cに与えた場合、色再現域の違いから、例えば図5中の色c2が出力されてしまう。
【0067】
図4に示した例では、2つの図形の色として、この色信号pと色信号qを与える。
【0068】
画像表示装置Aに色信号p及び色信号qを与えた場合には、図5から再現される色は色a1と色a2である。
【0069】
この場合、再現された色a1と色a2は異なって視認される。
【0070】
しかし、画像表示装置Cに色信号p及び色信号qを与えた場合には、図4から再現される色は色c1と色c2であり、色c1と色c2の色相差は色a1と色a2の色相差よりも小さくなる。
【0071】
そのため、2つの図形の色が異なる色として視認されない場合がある。
【0072】
このような見知から、設問に対する回答から色再現域の広さを評価すればよい。
【0073】
例えば、図4に示した形態で予め決められた色相が異なる2つの図形(パッチ20)を提示部12で画像表示装置11に出力させ、その図形を参照した評価者から受付部14が受け付けた設問に対する回答が、2つの図形の色が異なって見えるとの回答の場合には、当該画像表示装置11の色再現域は標準の色再現域Aの広さを有していると評価部15で評価すればよい。
【0074】
また、2つの図形の色が異なる色として見えないと回答された場合には、図5でも説明したように当該画像表示装置11の色再現域は標準の色再現域Aに比べて縮退していることが考えられ、当該画像表示装置の色再現域は標準よりも狭いと評価部15で評価すればよい。
【0075】
上述の2つの図形を出力するための色信号p、qの色は、表示装置の場合には青系の色で各装置において色再現域が異なることから、青系の異なる色相の2色を用いるとよい。
【0076】
表示装置ではR(赤)、G(緑)、B(青)を用いてフルカラーの再現を行うが、色信号p、qの色として例えばB単色とBにGまたはRを混色させた色を用いればよい。
【0077】
あるいは、B単色と、BにBよりも少ないG及びRを混色させた色を用いてもよい。
【0078】
また、この青系の色で色再現域が異なることによって、マゼンタや赤系の色についても影響を受けることから、マゼンタ系の2色、赤系とマゼンタ系の2色等を用いるとよい。
【0079】
この場合、R及びGは固定してBを変更した2色を用いるとよい。
【0080】
あるいは、R及びGの変更量よりもBの変更量を大きくした2色を用いてもよい。
【0081】
マゼンタ系、赤系の色では、色再現域の違いにより鮮やかさが異なって観察されることになる。
【0082】
もちろん、緑系、シアン系、黄系などの色で図形を構成してもよい。
【0083】
また、これらのいくつかの色の組み合わせを複数の設問として用意し、回答を得てもよい。複数の回答が得られれば、色再現域の概要がさらに詳細に分かる。
【0084】
色信号p、qの色として、上述の青系、マゼンタ系、赤系とマゼンタ系などのように異ならせるほか、色信号pの色と色信号qの色との色差を異ならせた複数の設問を行ってもよい。
【0085】
なお、図形の形状は図4に示した例(パッチ20)に限られるものではなく、円形など、他の形状であってもかまわない。
【0086】
また、図形の配置についても、図4に示した例に限られるものではなく、評価者の見えなどを考慮して配置すればよい。
【0087】
上述した設問及び得られた回答からの画像表示装置11の評価は、それぞれ単独で行ってもよいが、いくつかの設問及び当該設問に対する回答をもとにして総合的に画像表示装置11の評価を装置特性評価部15で行ってもよい。
【0088】
図6は、回答パターンと評価値の一例の説明図、図7は、回答結果と特性評価の一例の説明図である。
【0089】
装置特性評価部15は、例えば図6に示すように各設問におけるそれぞれの回答と評価値とを対応付けて記憶している。
【0090】
図6に示す装置特性評価値テーブル151の例では、評価項目として色域、階調、色バランスの3項目について評価値を設定している。
【0091】
そして、例えば設問1については、1と回答された場合には、色バランスの評価値を−1とし、2と回答された場合には、階調の評価値を1,色バランスの評価値を2としている。
【0092】
以降の設問についても、各設問で行われる回答とその回答が行われた場合の各評価項目における評価値を設定している。
【0093】
そして、提示部12から設問を画像表示装置11に出力させ、その設問に対する回答を受付部14により受け付けて、装置特性評価部15では各設問に対して行われた回答に対応する各評価項目の評価値を取得して行く。
【0094】
得られた評価値を累計管理する装置評価値累計テーブル153の一例を図7に示している。
【0095】
例えば、設問1では1が回答された場合を示しており、図6より色バランスの評価値として−1が得られている。
【0096】
以降の設問についてもそれぞれの設問の回答に対する各評価項目の評価値を図6より得ると、図7に示したようになる。
【0097】
設問が終了したら、各評価項目における評価値を合計し、総合の欄に示す値を得ている。
【0098】
この例の装置評価値累計テーブル153では、色域の評価値6、階調の評価値4、色バランスの評価値−2が得られている。
【0099】
得られた総合評価値から、当該画像表示装置11の特性を評価すればよい。評価は、例えばいくつかの閾値を予め設定しておき、閾値と総合評価値を比較して、各評価項目における総合評価値をクラス分けする。
【0100】
このクラス分けした結果を当該画像表示装置11の特性評価とすればよい。
【0101】
例えば5段階にクラス分けすれば、各評価項目について5段階で特性が評価されることになる。
【0102】
あるいは、各評価項目の総合評価値から、さらに例えば評価式などで評価値を算出し、その評価値あるいは評価値をクラス分けしてもよい。
【0103】
次に、図2のステップS101における評価者特性評価処理について説明する。
【0104】
図8は、本実施の形態に係る表示評価装置10における評価者特性評価処理を示すフローチャートである。
【0105】
この処理は、例えば、評価者が入力装置13を用いて所定の操作(評価者特性評価処理開始指示操作)を行なうことにより起動される。
【0106】
評価者特性評価処理が起動されると、評価者特性評価部16は、提示部12により画像表示装置11に評価者の色に関する要求レベルを確認(把握)するための種別aの設問(設問a)を表示させ(ステップS111)、該設問aに対する評価者からの回答を待つ(ステップS112)。
【0107】
この状態で、評価者により入力装置13から入力される設問aに対する回答を受付部14が受け付けると(ステップS112でYES)、その回答情報を保持する(ステップS113)。
【0108】
次に、評価者特性評価部16は、提示部12により画像表示装置11に評価者の色の用語の使い方(捉え方)を確認するために予め用意されている図形(パッチ)を表示し(ステップS114)、その際、評価者の色の用語の捉え方を確認(把握)するための種別bの設問(設問b)を併せ表示させたうえで(ステップS115)、該設問bに対する評価者からの回答を待つ(ステップS116)。
【0109】
この状態で、評価者により入力装置13から入力される設問bに対する回答を受付部14が受け付けると(ステップS116でYES)、その回答情報を保持する(ステップS117)。
【0110】
引き続き、評価者特性評価部16は、提示部12により画像表示装置11に対して上記ステップS114で表示したパッチを例えば別の図形に表示変更したうえで、評価者の色に関する感覚(色の見え方)を確認(把握)するための種別cの設問(設問c)を併せ表示させたうえで(ステップS118)、該設問cに対する評価者からの回答を待つ(ステップS119)。
【0111】
この状態で、評価者により入力装置13から入力される設問cに対する回答を受付部14が受け付けると(ステップS119でYES)、評価者特性評価部16は、その回答情報を保持し(ステップS120)、ステップS121の評価者特性評価処理へと移行する。
【0112】
ステップS121に移行すると、評価者特性評価部16は、上記ステップS113で保持した設問aに対する回答情報、上記ステップS117で保持した設問bに対する回答情報、上記ステップS120で保持した設問cに対する回答情報に基づき、評価者の色に関する要求レベル、色に関する個人スキルの度合い(色の評価の厳しさの度合い:視力、感覚、用語の捉え方等により判定可能)等、評価者の色に関する特性(評価者特性)を評価する処理を行なう。
【0113】
更に、評価者特性評価部16は、ステップS121における評価者特性の評価結果に応じて、その後に実施する画像表示装置11の特性評価処理(図3参照)に適用する評価パターンを割り当てる処理を行なう(ステップS122)。
【0114】
図8に示す一連の処理を更に詳しく説明すると、上記ステップS111において、設問aとしては、例えば、「業務目的を入力して下さい。」、「モニタの使用目的は何ですか?」等、画像表示装置11をどのような業務目的に使用するかを問う設問を提示し、ステップS112においては、評価者から「カラーデザイン」、「プレゼンテーション」、「配布資料の作成」、「一般事務」等の回答情報を得る。
【0115】
これらの回答情報から、ステップS121において、評価者特性評価部16は、当該評価者の色に関する要求レベルについて、「色に関する要求が厳しい」、「色に関する要求がやさしい(緩い)」等の評価結果を得ることができる。
【0116】
また、上記ステップS114では、例えば、明度または彩度の異なる、もしくは明彩度が両方異なる2つのパッチを表示した上で、ステップS115における設問bとして、例えば、「左(あるいは右)が明るい」、「左(あるいは右)が鮮やか」等のパッチの見え方の感覚を問う設問を提示し、ステップS116では、評価者からそのうちのいずれかの見え方であるかを示す回答情報を受け付ける。
【0117】
また、図9(a)に示す表示/設問パターン111aの如く色相や色のカテゴリ(色名など)が異なる2つのパッチを表示したうえで、ステップS115における設問bとして、例えば、「左(あるいは右)が明るい」、「左(あるいは右)が鮮やか」、「左(あるいは右)が濃い」等のパッチの見え方の感覚を問う設問を提示し、ステップS116では、評価者からそのうちのいずれかの見え方であるかを示す回答情報を受け付けても良い。
【0118】
図9(a)に示す表示/設問パターン111aは色相が異なっているだけでなく、明彩度も異なった表示であってもよく、色相や色のカテゴリ(色名など)が異なってかつ、明度または彩度、明彩度の両方が異なる2つのパッチを表示し、パッチの見え方の感覚を問う設問を提示し、ステップS116では、評価者からそのうちのいずれかの見え方であるかを示す回答情報を受け付けても良い。
【0119】
複数(例えば、明度と彩度)を変更したパッチを比較することで、当該評価者の見え方の感覚に関する情報を詳細に得ることができる。
【0120】
次いで、ステップS118では、図9(a)に示す表示/設問パターン111a中のパッチに対して色相が変化したパッチと、例えば、パッチ間の色が「同じ」、「近い」、「やや差がある」、「非常に差がある」等を問う設問(上記設問cに相当)を含む表示/設問パターン111b〔図9(b)〕に表示変更したうえで、ステップS119では、評価者から上記設問c内のいずれかの見え方であるかを示す回答情報を受け付ける。
【0121】
ステップS118で表示するパッチの色についても、ステップS114と同様に、明度または彩度が異なる、もしくは明彩度が両方異なるパッチを表示してもよいし、明彩度と色相の全てが異なるパッチを表示し、回答情報を受け付けてもよい。
【0122】
これにより、評価者特性評価部16は、ステップS121において、上記ステップS116、及びS119で受け付けた(ステップS117、及びS120でそれぞれ保持した)回答情報から、当該評価者の表示/設問パターン111a、111bにおけるパッチの色の見え方や、色の差に関する感覚を把握し、該把握した色の感覚から、当該評価者について、「色の評価結果が厳しい」、「色の評価結果がやさしい」等、個人レベルでの色に関するスキルの程度の評価結果を得ることができる。
【0123】
また、ステップS121において、評価者特性評価部16は、上述した評価者の色に関する要求レベル、あるいは個人スキルのレベルとともに、当該評価者の色に関する用語パターン(色の用語の使い方に関する習性)を把握することもできる。
【0124】
例えば、上記ステップS116、S119にて評価者により選択された用語(「明るい」、「鮮やか」、「濃い」等)と、該用語が選択対象とされている設問(上記設問b、c)と一緒に提示したパッチの色の明度、彩度との関係に基づいて当該評価者に対応する色の用語パターンを決定(評価)することができる。
【0125】
なお、色に関する評価者の特性〔色に関する要求レベル、個人スキル(色の評価の厳しさ)〕や、評価者の色に関する用語パターンを評価(選定)するには、後述するように、各パラメータ(色に関する評価者の特性、用語パターン)毎に、色に関する設問と該設問に対する回答の評価値を管理する評価値テーブルを設け、回答を受け付ける毎に該回答に対応する評価値を評価値テーブルから取得して累計テーブル上に累計していき、評価判定用のテーブルに設定された複数の評価ランクの中から当該該評価値の累計値(総計)を包含する評価ランクを読み出す方法がある。
【0126】
図10は、色に関する評価者の特性(色に関する要求レベル、個人スキル)を評価するために用いる評価値テーブル161〔図10(a)参照〕、累計テーブル163〔図10(b)参照〕、及び評価者特性判定テーブル165〔図10(c)参照〕のそれぞれの構成を示す表図である。
【0127】
この例によれば、図10(a)において、評価値テーブル161には、色に関する1番からN番の設問にそれぞれ対応して該設問に対する回答に関する業務目的〔(ワークフロー:デザイン)、(ワークフロー:オフィス)〕別の評価値が登録されている。
【0128】
評価者特性評価部16は、上記ステップS115、S118の設問に対する回答が得られる毎に、評価値テーブル161から、該回答に対応する評価値を読み出し、該評価値の累計値を累計値テーブル163により管理する。
【0129】
この例では、デザイン作成用のワークフロー(ステップS112で受け付けた回答から判定できる)を利用する評価者から、まず、番号1の設問(設問1)に対する複数の回答中の1番の回答(回答1)を受け付けて評価値テーブル161から該設問1/回答1に対応する評価値0を読込んで累計テーブル163に登録し、次いで、番号2の設問(設問2)に対する複数の回答の中から2番の回答(回答2)を受け付けて評価値テーブル161から該設問2/回答2に対応する評価値4を読込んで累計テーブル163に登録する。
【0130】
その後、番号3以降の設問に対する回答を受け付けて評価値テーブル161から該設問と回答に対応する評価値を読込んで累計テーブル163に登録していき、図10(b)において、番号Nの設問(設問N)に対する複数の回答の中から2番の回答(回答2)を受け付けて評価値テーブル161から該設問N/回答2に対応する評価値3を読込んで登録した後、設問1〜Nまでの各評価値の総計(累計値)10を算出して当該累計テーブル163に保持、管理する。
【0131】
これにより、図10(c)においては、評価値の総計値、例えば、(0〜4)、(5〜8)、(9〜12)の各帯域に対応して個人レベルの評価値(色の評価の厳しさを表す)である「(色の評価が)厳しい」、「(色の評価が)普通」、「(色の評価が)やさしい」が登録された評価者特性判定テーブル165aから、図10(b)で求めた評価値(総合)10に対応する「厳しい」という評価値が読み出され、「個人レベルが普通」という評価結果が得られる。
【0132】
同様に、本実施形態では、評価者の用語パターンを判定するために用いる、例えば、図11に示す如くの用語パターン判定テーブル165bを有している。
【0133】
この用語パターン判定テーブル165bは、用語パターンの評価値の総計値(帯域)、例えば、(0〜7)、(8〜12)に対応して「用語パターンA」、「用語パターンB」という用語パターン種別情報を保持、管理している。
【0134】
ここで、用語パターンAは、例えば、色の設問等に用いる用語として、「明るい」、「鮮やか」、「濃い」のうちのいずれかの用語を使うことを規定したパターンであり、用語パターンBは、用語バターンAで規定された用語以外の用語を使うことを規定したものである。
【0135】
評価者の用語パターンを判定するためには、この用語パターン判定テーブル165bに加えて、例えば、図10(a)に示す評価値テーブル161中の設問に対する回答の評価値を用語の評価値に置き換えた用語評価値テーブル161b(不図示)と、図10(b)に示す評価値累計テーブル161中の設問に対する回答の評価値の累計値を用語の評価値の累計値に置き換えた用語評価値累計テーブル163b(不図示)を設ける。
【0136】
これにより、上記用語評価値テーブル161bを参照して用語評価値累計テーブル163b上で用語評価値を累計して行きつつ、用語パターン判定テーブル165bから該累計値(総合)が含まれる用語評価値帯域を特定し該帯域に対応する用語パターンA、Bを当該評価者の用語パターンとして設定(決定)することができる。
【0137】
上述した評価者特性評価処理機能による評価者特性評価結果に対応した評価パターンを割り当てるために、評価者特性評価部16は、例えば、図12に示す如くの評価パターンテーブル171を保持している。
【0138】
この例において、評価パターンテーブル171は、評価者特性評価部16による評価者特性の評価結果、すなわち、当該評価者の個人評価レベル(色に対する評価の厳しさの程度)、色に関する要求のレベル(業務目的)、用語パターン(色の用語の使い方の習性)のそれぞれをキーとする複数の評価パターン(パターン1〜8)を格納している。
【0139】
評価パターン割当テーブル171における評価パターンの例を挙げると、例えば、色の用語の捕らえ方に関して用語パターンAと評価された場合に適用されるものとしてはパターン1、2、5及び6が挙げられる。
【0140】
パターン1は、業務目的としてワークフロー(デザイン)が選択され、個人評価レベルが厳しいとの評価が得られた場合に適用されるものであり、基準となる2つのパッチ(例えば、個人評価レベルが「普通」の時に表示されるパッチ)に対して色の値(両者の差分等)が小さいパッチを表示し、規準となる評価ステップ数(例えば、個人評価レベルが「普通」の時に用いるステップ数)に比べて評価ステップ(設問)数が多いパターンである。
【0141】
パターン2は、業務目的としてワークフロー(オフィス)が選択され、個人評価レベルが厳しいとの評価が得られた場合に適用されるものであり、例えば、基準となる2つのパッチを表示し、評価ステップ(設問)数も規準となる評価ステップ数であるパターンである。
【0142】
パターン5は、業務目的としてワークフロー(デザイン)が選択され、個人評価レベルがやさしいとの評価が得られた場合に適用されるものであり、基準となる2つのパッチを表示し、規準となる評価ステップ数に比べて評価ステップ(設問)数が多いパターンである。
【0143】
パターン6は、業務目的としてワークフロー(オフィス)が選択され、個人評価レベルがやさしいとの評価が得られた場合に適用されるものであり、基準となる2つのパッチに)に対して色の値(両者の差分等)が大きいパッチを表示し、規準となる評価ステップ数に比べて少ない評価ステップ数であるパターンである。
【0144】
更に、評価パターンテーブル171には、色の用語パターンBと評価された場合に適用されるパターン3、4、7及び8が格納される。
【0145】
これらパターン3、4、7及び8は、用語パターンAとは異なる用語パターンBを使用する以外は、パッチの値やステップ数についての条件は、それぞれ、パターン1、2、5及び6と同等のものである。
【0146】
このように、評価パターンテーブル171は、画像表示装置11の特性評価処理(図2のS201、図3参照)に際し、色に関する評価者の特性〔色に関する要求レベル、色の評価の厳しさ、色の用語パターン等〕に応じて変更するパッチや設問の形態を規定したものである。
【0147】
評価者の特性(評価結果)と、画像表示装置11の特性評価処理時に該評価者の特性に応じて変更されるパッチや設問の形態との対応関係の具体例について図13〜図15を参照して説明する。
【0148】
図13は、評価者の特性に対応する変更要素の1つである評価用図形(パッチ)の「値」と評価者の特性(個人スキルのレベル)との対応関係を示す概念図である。
【0149】
図13において、両端に矢印を付加した横線は図の左側に寄るほど“色に関する要求が厳しい(選択されたワークフローの種別に基づいて評価される)”、あるいは“色の評価結果が厳しい〔色の感覚(見え方等)に関する回答をもとに評価される〕”状態を表している(図14、図15においても同じ)。
【0150】
図13に示す如く、本実施の形態では、画像表示装置11の特性評価処理に際して評価者に提示するパッチの「値」については、評価者の“色に関する要求が厳しい”ほど、あるいは“評価結果が厳しい”ほど、パッチ間の差分の値が小さくなるように変更される。
【0151】
図14は、評価者の特性に対応する別の変更要素であるパッチの「図形の形」と評価者の特性との対応関係を示す概念図である。
【0152】
ここでパッチの「図形の形」としては、両パッチ間の接触量、グラデーションや縁取り等の模様を想定している。
【0153】
図14(a)に示す如く、本実施の形態では、画像表示装置11の特性評価処理に際して評価者に提示するパッチの「図形の形」については、評価者の“色に関する要求が厳しい”ほど、あるいは“色の評価結果が厳しい”ほど、両パッチ間の接触量が小さくなるように変更される。
【0154】
また、本実施の形態では、画像表示装置11の特性評価処理に際して評価者に提示するパッチの「図形の形」の別の例としては、図14(b)に示す如く、評価者の“色に関する要求が厳しい”、あるいは“色の評価結果が厳しい”側では両パッチにグラデーションを付加して表示し、評価者の“色に関する要求がやさしい”、あるいは“色の評価結果がやさしい”側ではパッチに縁(両パッチの隣接部分)取りを施した形状に変更して表示してもよいし、両パッチの接触部分の差が小さくなるように表示パッチのグラデーションの変化量を変更して表示してもよい。
【0155】
また、“色に関する要求が厳しい”側では、表示パッチのグラデーションの変化開始点をパッチの接触側に近い位置とし、“色に関する要求が易しい”側では、表示パッチのグラデーションの変化開始点がパッチ全体となるように変更してもよい。
【0156】
また、“色に関する要求が厳しい”側では、表示パッチの接触部分の境界線をなくし、“色に関する要求が易しい”側になるほど、表示パッチの接触部分に縁取りの量を大きくして表示してもよい。
【0157】
また、色に関する要求が厳しい”側では、表示パッチの大きさを小さくし、“色に関する要求が易しい”側では、表示パッチの大きさを大きくしてもよい。
【0158】
図15は、評価者の特性に対応する更に別の変更要素である設問のステップ数と評価者の特性との対応関係を示す概念図である。
【0159】
図15に示すように、本実施の形態では、画像表示装置11の装置評価処理に際して評価者に提示する設問のステップ数については、評価者の“色に関する要求が厳しい”ほど、あるいは“色の評価結果が厳しい”ほど、ステップ数が多くなるように変更される。
【0160】
なお、本実施の形態では、図13〜図15に例示したパッチの差分の値、形状、設問ステップ数の変更と合わせて、それぞれの設問における色の用語の使い方については、評価パターンテーブル171によって当該評価者に割り当てられた用語パターンA、Bに規定された用語に変更された質問形態への変更が行われる。
【0161】
上述したように、本実施の形態では、画像表示装置11の評価処理(表示器機特性診断)を行なう場合、これに先立って評価される評価者の特性(色に関する要求レベル、色の評価の厳しさ)が反映される結果、表示器機特性診断をユーザの目的に応じたレベルに対応した基準で評価することが可能になる。
【0162】
図16は、本実施の形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。
【0163】
図中、50はプログラム、30はコンピュータ、41は光磁気ディスク、42は光ディスク、43は磁気ディスク、44はメモリ、31はCPU(中央処理装置)、32は内部メモリ、33は読取部、34はハードディスク、35はインタフェース、36は通信部である。
上述の実施の形態で説明した各部の機能を全部あるいは部分的に、コンピュータにより実行可能なプログラム50によって実現してもよい。
【0164】
その場合、そのプログラム50およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶させておけばよい。
【0165】
記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部33に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部33にプログラムの記述内容を伝達するものである。
【0166】
例えば、光磁気ディスク41,光ディスク42(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク43,メモリ44(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。
【0167】
もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0168】
これらの記憶媒体にプログラム50を格納しておき、例えばコンピュータ30の読取部33あるいはインタフェース35にこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム50を読み出し、内部メモリ32またはハードディスク34(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU31によってプログラム50を実行することによって、上述の実施の形態で説明した機能が全部あるいは部分的に実現される。
【0169】
あるいは、通信路を介してプログラム50をコンピュータ30に転送し、コンピュータ30では通信部36でプログラム50を受信して内部メモリ32またはハードディスク34に記憶し、CPU31によってプログラム50を実行することによって実現してもよい。
【0170】
なお、インタフェース35を介して画像表示装置11が接続され、図形を含む設問の出力を行い、また、インタフェース35を介して接続される入力装置13から設問に対する回答を受け付けるように構成すればよい。
【0171】
コンピュータ30には、このほかインタフェース35を介して様々な装置と接続してもよい。
【0172】
もちろん、ほかの装置がインタフェース35を介して接続されていてもよい。
【0173】
もちろん、部分的にハードウェアによって構成することもできるし、全部をハードウェアで構成してもよい。
【0174】
また、1台のコンピュータに限らず、複数のコンピュータによって実現してもよい。
【0175】
本発明は、上記の、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0176】
例えば、1または複数のクライアントと評価サーバを通信路により接続し、クライアントは、操作者評価用、あるいは装置特性評価用の図形を含む設問を表示装置に出力し、該設問に対する回答を受け付けて評価サーバに送り、評価サーバには装置特性評価部15、操作者特性評価部16の機能を設け、クライアントから送られてくる操作者特性評価用、あるいは装置特性評価用の設問に対する回答をもとに、クライアントに接続された表示装置を利用する評価者の特性を評価したうえで、該評価者特性の評価結果に基づいて当該表示装置の特性を評価し、これらの評価結果をクライアントに送る構成としても良い。
【0177】
また、評価サーバに通信路を介して調整サーバを更に接続し、評価結果及び設問に対する回答を調整サーバに送り、調整サーバが評価サーバ42から送られてくる評価結果及び設問に対する回答をもとにクライアントに接続されている表示装置の色再現を調整する構成としても良い。
【0178】
また、本実施の形態ではクライアントに接続される表示装置の特性を評価する例を挙げているが、クライアントの表示装置の表示内容を拡大して投影表示するプロジェクタ等の表示の特性評価を行なう構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、評価者の色に関する要求レベルを含む評価者特性を反映させて情報処理装置の表示部等の表示装置の特性を評価する表示評価装置、及び表示評価プログラムに適用できる。
【符号の説明】
【0180】
10…表示評価装置、11…画像表示装置、111a,111b…表示/設問パターン、12…提示部、13…入力装置、14…受付部、15…装置特性評価部、16…評価者特性評価部、161…評価値テーブル、163…評価値累計テーブル、165a…評価者特性判定テーブル、165b…用語パターン判定テーブル、171…評価パターンテーブル、30…コンピュータ、31…CPU(中央処理装置)、32…内部メモリ、33…読取部、34…ハードディスク、35…インタフェース、36…通信部、41…光磁気ディスク、42…光ディスク、43…磁気ディスク、44…メモリ、50…プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示特性の評価に係る設問に対する評価を行なう評価者の特性を評価するための図形を前記表示装置に表示するとともに、前記評価者特性の評価に係る設問を併せ提示し、前記評価者による前記設問に対する回答から前記評価者の色に関する要求の度合いを含む評価者特性を評価する評価者特性評価手段と、
前記表示装置の表示特性を評価するための図形を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて表示態様を変更して前記表示装置に表示するとともに、前記表示装置の表示特性の評価に係る設問を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて設問内容を変更して併せ提示し、前記評価者による前記表示装置の表示特性に係る設問に対する回答から前記表示装置の表示特性を評価する特性評価手段と
を具備する表示評価装置。
【請求項2】
前記評価者特性評価手段は、
前記表示装置を使用する業務目的を問う設問を提示し、該設問に対して前記評価者が回答する業務目的に応じて該評価者の色に対する要求の度合いを評価する
請求項1記載の表示評価装置。
【請求項3】
前記評価者特性評価手段は、
前記表示装置に前記評価者特性を評価するための2以上の図形を表示しながら該図形間の色の感じ方を確認する前記設問を提示し、該設問に対して前記評価者が回答する色の感じ方から該評価者の色に関する評価の厳しさの度合いを評価する
請求項1または2記載の表示評価装置。
【請求項4】
前記評価者特性評価手段は、
前記2以上の図形を該図形間で色相と明彩度を変えた色で表示する
請求項3記載の表示評価装置。
【請求項5】
前記特性評価手段は、
前記評価者特性評価手段による評価者の色に関する要求の度合い、または色の評価の厳しさの度合いの評価結果に応じて、前記表示装置の表示特性を評価するための2以上の前記図形に関する図形間の色の値、図形の大きさ、図形間の接触量及び模様を含む図形形状を変更する
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の表示評価装置。
【請求項6】
前記特性評価手段は、
前記評価者特性評価手段による評価者の色に関する要求の度合い、または色の評価の厳しさの度合いの評価結果に程度に応じて、前記表示装置の表示特性に係る前記設問のステップ数を変更する
請求項2乃至5のいずれか1つに記載の表示評価装置。
【請求項7】
前記評価者特性評価手段は、
前記表示装置に前記評価者特性を評価するための2以上の図形を表示しながら該図形の見え方に関する色の用語の使い方を確認する設問を提示し、該設問に対する前記評価者による回答から該評価者の色の用語の使い方を評価する
請求項1乃至6のいずれか記載の表示評価装置。
【請求項8】
前記特性評価手段は、
前記評価者特性評価手段による評価者の色に関する用語の使い方の評価結果を反映して前記表示装置の表示特性に係る設問に適用する色の用語を変更する
請求項7記載の表示評価装置。
【請求項9】
表示装置の表示特性を評価するための図形を前記表示装置に表示するとともに、前記表示装置の表示特性の評価に係る設問を併せ提示し、前記設問に対する回答から前記表示装置の表示特性を評価する処理をコンピュータで実行する表示評価装置に実装され、
前記コンピュータを、
表示装置の表示特性の評価に係る設問に対する評価を行なう評価者の特性を評価するための図形を前記表示装置に表示するとともに、前記評価者特性の評価に係る設問を併せ提示し、前記評価者による前記設問に対する回答から前記評価者の色に関する要求の度合いを含む評価者特性を評価する評価者特性評価手段、
前記表示装置の表示特性を評価するための図形を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて表示態様を変更して前記表示装置に表示するとともに、前記表示装置の表示特性の評価に係る設問を、前記評価者特性評価手段による前記評価者特性の評価結果に応じて設問内容を変更して併せ提示し、前記評価者による前記表示装置の表示特性に係る設問に対する回答から前記表示装置の表示特性を評価する特性評価手段
として機能させるための表示評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−205234(P2012−205234A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70283(P2011−70283)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】