説明

表面に適用されるための物品及びその方法

本発明は、機能効果を表面に適用するために用いられてもよいような積層物品を含む。機能効果は、色彩であってもよい。物品は、再配置可能性のために一時的に、又は長期間の使用のために永久的にのいずれかで表面に結合するために、所望のように、優先的に互いから剥離するか又は互いに接着するプライを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色彩又は機能効果を表面に適用するための物品に関し、この物品は積層シートであってもよい。
【背景技術】
【0002】
積層シートは、当該技術分野において既知である。積層シートは、色彩効果を表面に適用するために使用できる。こうしたシートは、壁紙又はドライカラー構成要素を含んでもよい。色彩構成要素は、塗料において生じるように、結合剤に固着された顔料を含んでもよい。シートは表面に接着剤により付着されてもよいし、又は当該技術分野において既知のその他の手段、例えば粘着、磁力、静電気/帯電、機械的手段、吸引/真空、その他の圧力差などによって付着されてもよい。
【0003】
物品は、不定の幅の連続的長さで提供されてもよいし、又は不連続単位で提供されてもよい。物品は、渦巻き又は平面シートであってもよい。更に物品は、ディーキャルのように不連続単位として、連続ロールから切り取られてもよい。
【0004】
物品の基材への適用時に、積層構造が損なわれないままであることは重要である。特に好ましい積層構造は、剥離可能ライナー、色彩構成要素又は機能効果、及び接着剤又は他の結合剤のように、連続する薄層を具備してもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薄層の早過ぎる層間剥離を回避することが重要である。例えば、物品が表面上に配置されるまで、及び永久的にその上に位置付けられるまでは、特にそう望まれない限り、剥離可能ライナーが色彩構成要素から剥がされないことが重要である。同様に、結合剤又は色彩構成要素の凝集破壊が生じないことが重要である。更に、真の垂直が達成されている隅を持つ直角度、パターンマッチングなどを確実にするために、シートを再配置することを望む場合もある。したがって、物品の基材への結合強度は、これが起こらないようにあまりに早く発現しないことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機能効果を表面に提供するための物品を含む。物品は、向かい合う関係の薄層を含む積層体を含む。薄層は、機能効果を提供するシート、シートの第一面に接合した結合剤、及びシートの第二面に取り外し可能に付着した剥離可能ライナーを含む。機能効果は色彩であってもよい。シートは、指定された厚さ及び表面に結合するための適用圧力を有してもよい。
【0007】
物品は、巻いた形式、切断し積み重ねた形式などで提供されてもよい。物品は表面に、手で適用されてもよいし、又はディスペンサーから適用されてもよい。ディスペンサーは、供給の間に生じる内部力を有する。また、ディスペンサーと物品との間にも供給の間に力が生じる。
【0008】
プライ間の相対力は、ディスペンサー内での力が、各薄層の凝集力、及びシートと剥離可能ライナーとの間の力、並びにシートと結合剤との間の力より大きいように規定してもよい。更に、物品が表面に供給される時、物品を表面に結合する力は、表面への適用時の物品とディスペンサーとの間の力より大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、色彩のような機能効果を表面に適用するための物品及び方法を対象としている。本明細書で使用する時、「色彩」という用語は、色彩効果、即ち、色知覚の審美的相違を指すために使用される。具体的な実施形態では、色彩効果は実質的に永久的な色彩効果であり、即ち、日常的な接触、光の照射、若しくは同様なものにより除去されたり、又は顕著に減少したりしない色彩効果である。したがって、実質的に永久的な色彩効果は、チョーク又はクレヨンにより提供されるような、簡単に除去される又は減少する可能性がある一時的な色彩効果とは区別される。「色彩構成要素」という用語は、本明細書において、色彩効果を提供する発明物品の構成要素を指すために使用される。
【0010】
あるいは物品は、他の機能効果を表面に提供してもよい。例えば、物品は、遮音、断熱、質感、しるし/指示、紫外線、殺菌剤、物質伝達、持効性臭気抑制、香り付きの壁、銅表面、ペットの問題解決法(Pet Solutions)、暗闇で光る(グローインザダーク)壁(例えば色彩メモリ、光メモリ、グローインザダークの格差、光互変性物質)、ホワイトボード能力、消去性、洗浄性、物品を吊るすための取付能力(例えば、フック及びループ)、絵、磁性表面、発光、発熱、音の発生、自己洗浄、埃吸収、映写用の反射(壁のより小さい領域であることができる)、音響透過性、音の発生、耐火性、破片を捕捉するための安全ネット、一方からしか透視できない窓、煙感知、一酸化炭素感知、侵入検知警報、音感知、音反応性などを提供してもよい。本発明による物品はほぼ平面的でありシート形態であってもよいことは理解されるが、顕著な厚さを有する物品もまた以下に検討される。
【0011】
「表面」という用語は、本明細書において、色彩構成要素をその上に受け取ることができる物体又は基材の外層又は境界を指すために用いられる。好適な表面は実質的に二次元で及び平面であるか、又は実質的に三次元であってもよく、曲線、角を成す部分、又は同様なものが挙げられる。一つの実施形態では、本発明の物品及び方法を用いて色彩構成要素が適用される表面には、建築表面、即ち建物、建築備品(即ち、設備)、家具などの表面が含まれる。建築表面は、建物内の内部表面であっても、又は建物の外側部分の外部表面であってもよい。実質的に三次元の建築表面には、例えば繰形(例えば、窓又は戸口周辺の繰形)、床板、設備、家具、床、調理台などの二次元表面の縁部処理を挙げることができる。建築表面は、永久的に設置されたものでもよいし、又は一時的に設置されたもの若しくは移動可能なものであってもよい。本発明の製品は物品の表面に更に適用して、物品に同じ又は異なる質感及び/又は建築表面の外観を与えることができる。例えば、本発明の製品は、設備、家具、及びその他の建築物品に色彩層を適用するために用いることができる。本発明の物品及び方法を用いて色彩を適用するのに好適な更なる表面は、本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0012】
本明細書において、「垂直な」、「水平な」、「下に」、「上に」などの用語への言及は、関係枠を確立するために、限定する目的ではなく例示する目的で行われる。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々なその他の関係枠が使用されてもよいことが理解される。本明細書に記載される、物品上に作用する力は、物品構成要素上に作用させられる実際の力の略図であり、物品全体、及び/又は物品内の隣接する薄層間の対応する中間面又は境界全体に供給されることを当業者は理解するであろう。次の記載が、色彩を含む機能効果を有する物品10と共に与えられる。しかしながら、この記載は説明目的のためだけに与えられ、請求項はそのように限定されないことを認識するべきである。
【0013】
図1A、1B及び2を参照すると、表面上に色彩を適用するための物品10は、色彩シート12、感圧接着剤のような結合剤14、及び剥離可能ライナー16を具備する。剥離可能ライナー16は、シート12に取り外し可能に結合し、シート12が所望の表面20(図3)に適用された直後に、又は表面20への適用後に除去されるように意図され適合されている。シート12は、例えば、光沢、半光沢、繻子光沢、つや消し、若しくはつやなし、又はその他の視覚的効果、例えば拡散、反射、若しくは同様のものなど、又はその他の有益な特性を提供する、例えば透明な、半透明な、真珠光沢のある、若しくは不透明なコーティングを含むトップコート22を含んでもよい。シート12及び結合剤14は、約0.0033インチ(0.08mm)未満の全体的厚さを有してもよい。
【0014】
結合剤14は、当業者に既知の感圧接着剤のようないかなる接着剤であってもよく、シート12を表面20に、約50lbs/in2(3500g/cm2)未満の圧力の適用時に結合するように適合される。代表的な物品10は、同一出願人による出願番号10/324,237(題名「色彩を表面上に適用するための物品及び方法(Articles and Methods for Applying Color on Surfaces)」)に記載される。
【0015】
剥離可能ライナー16は、例えば剥離可能ライナー16がフィルムの形態である場合、構造的支持及び/若しくは強度をシート12に提供することができ、並びに/又は製造、保存、及び使用中に物品の取り扱いを容易にするために提供されることができる。剥離可能ライナー16は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリマー、不織布のシートから形成されてもよいし、又はセルロース系であってもよい。剥離可能ライナー16は、シリコーンコーティングのような剥離コーティングをシート12に向かい合う表面上に備えてもよい。剥離可能ライナー16のキャリパーは、シート12のキャリパーより大きくてもよい。
【0016】
物品10は、剥離可能ライナー16が結合剤14に隣接して及び接触して配置されるように、巻いたロール形態(図1A)で提供されてもよいし、あるいは積み重ねた形態(図1B)で提供されてもよい。ロール形態では、物品10は、図2に示されるように、剥離可能ライナー16が半径方向に外側に向くように巻かれてもよいし、又は結合剤14が半径方向に外側に向くように逆に巻かれてもよい。同様に、個々に積み重ねられた物品10(図1B)は、結合剤14及び剥離可能ライナー16が向かい合う関係であるように積み重ねられてもよいし、交互に物品10が置き換えられてもよく、あるいは物品10が無作為の向きに配置されてもよい。
【0017】
物品10は、0.0033インチ(0.076mm)未満、及び好ましくは0.003インチ(0.069mm)未満の厚さを有してもよい。厚さは、結合剤14及びシート12のみを考慮して測定され、剥離可能ライナー16は考慮されない。厚さは、5mm直径の押さえ金を用いて8.74gの荷重下で測定される。物品10は、手で適用されてもよいし、又はそのためのディスペンサーを用いて適用されてもよい。ディスペンサーを使用する場合には、ディスペンサーは、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)の米国特許出願10/458,520(2003年6月10日出願)、及び10/700,614(2003年11月4日出願)の教示にしたがって製造されてもよい。
【0018】
結合剤14を剥離可能ライナー16から成功裡に巻き戻す、又はさもなければ分離するために、剥離可能ライナー16及び結合剤14との間に示される、図2でF1と標識される総結合(例えば、巻き戻し又は分離)力は、シート12と剥離可能ライナー16との間に示される、図2でF2と標識される総結合(例えば、剥離)力より小さくなければならない。さもなければ、剥離可能ライナー16は、巻き戻す又は積み重ねたものから取り出す間に、結合剤14によってシート12に固着されてしまい、その後の表面20への適用の間に除去されるためにシート12に固着したままにはならない。剥離可能ライナー16のシート12からのこうした早過ぎる除去又は層間剥離は、表面20への適切な適用のためには不適当である。
【0019】
物品10がロール形態から巻き戻される場合には、巻き戻し力は、剥離可能ライナー16と、剥離可能ライナー16に接触するシート12の隣接部分の表面との間に作用する接着力の特性を示すように規定される。同様に、物品10が積み重ねた又は層化された形態に配置される場合には、分離力は、剥離可能ライナー16と結合剤14との間に作用する接着力の特性を示すように規定される。巻き戻し又は分離力は、ラボマスター剥離及び接着試験機モデル80−90(Lab Master Release and Adhesion Tester Model 80-90)及び720インチ(1830cm)の試験速度で16インチ(40.6cm)の試料長を用いる修正された形式のASTMD3811に従って、2.0インチ(5.08cm)幅の剥離ストリップを用いる剥離試験により測定されてもよい。物品10がロールに巻かれている本発明の特定の実施形態では、ロールに巻いた物品10を巻き戻すために必要な巻き戻し力F1は、約150g/2インチ(5.08cm)未満である(物品10が約12インチ(30.5cm)/分〜約800インチ(2030cm)/分の速度で、並びに約180°未満、及び特に90°の角度で巻き戻される場合)。角度は、下にあるもう一方の薄層である剥離可能ライナー16からの結合剤14の剥離の線に沿って配置される円形ロール層への接平面に対して測定される。本発明の他の実施形態では、ロールが約12インチ(30.5cm)/分〜720インチ(約1830cm)/分の範囲の速度で巻き戻される場合、巻き戻し力F1は、約100g/2インチ(5.08cm)未満である。本発明の更に他の実施形態では、ロールが約180インチ(460cm)/分〜約720インチ(1830cm)/分の範囲の速度で巻き戻される場合、巻き戻し力F1は、約50g/2インチ(5.08cm)〜約65g/2インチ(5.08cm)の範囲である。更に別の実施形態では、12インチ(30.5cm)/分及び300インチ(760cm)/分の速度で、巻き戻し力は50g/2インチ(5.08cm)未満の大きさである。
【0020】
物品10が巻き戻しを必要としない本発明の特定の実施形態では、剥離ライナー16と結合剤14とを分離するために必要な分離力F1は、約12インチ(30.5cm)/分〜約800インチ(2030cm)/分の速度で分離される場合、約150g/2インチ(5.08cm)未満である。本発明の他の実施形態では、剥離ライナー16と結合剤14とが約12インチ(30.5cm)/分〜約720インチ(1830cm)/分の範囲の速度で分離される場合、分離力F1は、約100g/2インチ(5.08cm)未満である。本発明の更に他の実施形態では、剥離ライナー16と結合剤14とが約180インチ(460cm)/分〜約720インチ(1830cm)/分の範囲の速度で分離される場合、分離力F1は、約50g/2インチ(5.08cm)〜約65g/2インチ(5.08cm)の範囲である。
【0021】
巻き戻し又は分離力F1の大きさは、結合剤14の組成又は化学的構成要素を変えることにより変更されてもよい。例えば、接着剤の粘着度を変えるために、粘着剤及び/又は架橋剤を組成に添加してもよい。また巻き戻し力又は分離力を変えるために、結合剤14のコーティング重量又は厚さを変えてもよい。あるいは、ロールを巻き戻す又は隣接する積み重ねたシートを分離する場合に、結合剤14から分離する能力に影響を与えるために、剥離可能ライナー16の剥離コーティングの組成又は化学的構成要素を変えてもよい。巻き戻し力の値はまた、物品10が巻かれるロールのきつさ又は緻密さによって影響され得る。結合剤14として接着剤が用いられる場合には、接着剤は、表面20へのその接着を緩和するために冷やされてもよい。同様に、剥離ライナー16を結合剤14に接触させて設置するために用いられる圧縮力も、分離力の大きさに影響し得る。結合剤14と剥離可能ライナー16との間に作用する静電気から生じる力は、巻き戻し又は分離力の値に寄与し得る。
【0022】
図3を参照すると、物品が表面20に適用された後、図3でF3として標識される、結合剤14と表面20との間の接着力は、本発明の特定の実施形態では、約125g/2インチ(5.08cm)より大きい。接着力F3は、物品10を表面20から、約180°未満、特に90°の角度で剥離することにより測定される。本発明のその他の実施形態では、結合剤14と表面20との間の接着力F3は、12インチ(30.5cm)/分で測定して約180g/2インチ(5.08cm)より大きい。F3は、結合剤14と外面20との間の力として一般に解釈されるが、本発明はそのように限定されない。例えば、F3は物品10の第一部分の結合剤14と、物品10の第二部分のシート12との間で測定されてもよい。これは、例えば物品10の二部分が、継ぎ目におけるように重なり合う関係で設置される場合に生じる場合がある。
【0023】
接着力F3の大きさは、結合剤14と表面20との間の結合の程度により影響される場合がある。具体的には、結合剤14と表面20との間の同一の広がりを持つ境界又は中間面に混入物質が実質的にない場合には、接着力の大きさは増大する。そのためには、表面20の状態は、物品10の適用のために、例えば一時的に付着されそのため除去可能である残留物を除去するのに有効な方式で、表面20を拭くことにより準備されてもよい。残留物を除去することは、そうしなければ、介在する残留物が接着結合を確立するための表面20の利用可能な表面積を少なくするため、表面20と結合剤14との間の接触面積を増大させ、これは接着結合の強度を強める。
【0024】
物品10は、表面20に実質的に適用され得る。「実質的適用」の確立に影響する要因には、これらに限定されないが、物品10を表面20に適用するために用いられるつや出し(burnish)又は滑らかにする圧力、表面20の表面エネルギー、遊離した破片及び/又は混入物質(例えば、紙やすりで磨いた後の残留物)の存在、表面20の表面の質感、物品の適用前に表面20上に存在する塗料のコーティング、もしある場合は適用前の表面20上の塗料の種類、下に存在する表面の特性、並びに壁紙の除去による残留物(例えばサイズ剤)が挙げられる。表面20の表面の質感、及び空泡の除去は、結合剤14と表面20の部分間の接触の程度に影響し、質感がより大きいほど接着結合の強度は弱まる。所望であれば、物品10は空気がそれを通って逃げられるように穴を開けてもよい。結合剤と表面20との間の接着の程度はまた、表面20上に存在する塗料の特性により影響される。例えば、結合の程度は、下塗剤、エナメル塗料、若しくはラテックス塗料の間で、又は光沢、半光沢、繻子光沢、つや消し、若しくはつやなし仕上げの間で異なる場合がある。物品10の曲げ剛性もまた、表面20への接触及び接着を達成する物品10の能力に影響する。更に、物品10に穴が開いている場合は、それを通って空気が放出される場合があり、物品10の表面20への接触/接着を増大させる。
【0025】
結合剤14に添加されてもよい粒子には、これらに限定されないが、カーボンブラック、炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ、サテンホワイト、バライト、雲母、酸化亜鉛、プラスチック顔料、又は主としてカオリナイト(水和ケイ酸アルミニウム(Al2Si25(OH)4))から構成されるカオリン粘土顔料が挙げられる。粒子は、結合剤14の基質内にある場合は不活性であるべきである。粒子の平均直径又は平均径は、約25nm〜約150μmの範囲であってもよい。結合剤15の組成は、約5重量%の粒子を含んでもよく、組成の残部は有機基質を含むが、結合剤14がより濃くなるにつれて、より高い比率の粒子を用いてもよい。
【0026】
図3を続けて参照すると、物品10が表面20に適用される時に、結合剤14はシート12を表面20に接着して固着させ、剥離可能ライナー16が除去されてシート12を暴露する。図2のF2として標識される剥離力は、上記のように、剥離可能ライナー16のシート12からの分離の特性を示す。本発明の特定の実施形態では、剥離可能ライナーがシート12から約12インチ(30.5cm)/分〜約720インチ(1830cm)/分の速度で、少なくとも約45°の角度で剥離される場合に、剥離可能ライナー16とシート12との間の剥離力F2は、約20g/2インチ(5.08cm)〜約200g/2インチ(5.08cm)である。本発明の他の実施形態では、剥離可能ライナー16がシート12から約12インチ(30cm)/分〜300インチ(760cm)/分の速度で、約180°未満の角度で剥離される場合に、剥離力F2は、約110g/2インチ(5.08cm)〜約150g/2インチ(5.08cm)の範囲である。本発明の更に他の実施形態では、剥離可能ライナー16がシート12から約12インチ(30cm)/分〜300インチ(760cm)/分の速度で、約180°未満の角度で剥離される場合に、剥離力F2は、約40g/2インチ(5.08cm)〜約80g/2インチ(5.08cm)の範囲である。
【0027】
特に好ましい実施形態では、次の力がF1、F2、及びF3として用いられてもよい:
【0028】
【表1】

例えば二構成要素間の接触面積を変更することにより、剥離可能ライナー16とシート12との間の接着を変更することは、剥離力F2の変更を結果としてもたらす場合がある。剥離可能ライナー16とシート12との間の中間面の変更は、接着を変更するように作用する。同様に、シート12と剥離可能ライナー16との間の帯電は、これらの薄層の間に過度の親和力を生じる場合がある。
【0029】
図3を続けて参照すると、図3のF3として標識される、結合剤14と表面20との間の接着力は、剥離力F2より小さく、その結果、シート12が表面20に結合するように圧力が適用された後で剥離可能ライナー16が除去される時に、シート12は表面20に結合したまま残る。加えて、図3のF4として標識される、結合剤14とシート12との間の分離力は、接着力F3より大きく、その結果、表面20への適用時に剥離可能なライナー16が除去される時に、シート12と結合剤14は共に結合したまま残る。
【0030】
物品が表面20に適用される場合の適用の最初の点での結合剤14と表面20との間の接着力F3は、物品10の適用の間及び巻いた物品10を巻き戻す間に作用させられる適用力より大きい。典型的には、巻いた物品10は、表面20上の一つの位置に適用又は粘着され、更に長さまで巻き戻され、切断され、表面20に対して押し付けられて、接着結合を確立する。最初の粘着後の粘着領域上での接着力は、粘着領域上での接着性を失うことなく連続適用を可能にするために十分であることが必要である。
【0031】
本発明による物品10を更に詳細に検討することにより、当業者は接着力及び凝集力の両方が存在することを認識する。例えば、図2〜3を参照すると、剥離可能ライナー16内の凝集力C1は、剥離可能ライナー16の一部分をそれ自体から分離させるために必要な力の量を表す。凝集力C3は、同様に、シート12のそれ自体からの分離を起こすために必要な凝集力を表す。同様に、凝集力C5は、結合剤14をそれ自体から分離させるために必要な凝集力を表す。更に、物品10がディスペンサー(図示せず)により適用される時に、物品10とそのディスペンサーとの間に供給力D6が生じることを当業者は認識する。同様に、力D7がディスペンサー内に生じる。力D7は、供給システムの内部の摩擦、ディスペンサーにより起こる制動作用などに関わる。
【0032】
表面20への最初の提示では、再配置性が必要とされる:
F2>F1及び
F3(開始時は表面に対して垂直)<F2(開始時は表面に対して垂直)<C1、C3、C5
【0033】
剥離可能ライナー16を有する物品10を所定位置に供給するために、次の関係が適用時点で当てはまらなくてはならない。ディスペンサーの力D7は、物品10の層の間の力及び物品10の層に対する凝集力より小さくなければならない。また、物品10と表面20との間の付着力F3は、物品10とディスペンサーとの間の引力より大きくなければならない。数学的には、これは次のように表すことができる。
D7<C1、F2、C3、F4、C5
及びF3(適用中)>D6+D7
及び好ましくはF4>F3>F2
この方程式は、物品10が表面20にディスペンサーなしに適用される場合は、適用されないことが理解される。
【0034】
更に、剥離可能ライナー16がなお所定位置にある場合に供給される場合は
a.F3(開始時は表面に対して垂直及び接線方向)≧D6≧F1+D7
b.F2>F1
式中、D6は、物品10とディスペンサーとの間の力であり、供給中にユーザーが表面に適用する力であり、またD7はディスペンサーの内部摩擦/抵抗に等しい。
【0035】
具体的注釈「垂直」又は「接線方向」がない場合は、両方が適用される
所望であれば、ディスペンサーには、その内部力を減少させるために電力が供給されてもよい。
【0036】
更に、物品10が表面20に最初に適用された後、再配置することが望ましい場合もあることを当業者は認識する。例えば、物品10が、真っ直ぐな、滑らかな、又は水平な方式で適用されない場合もある。皺などを除去することを望む場合もある。再配置中、結合剤14と表面20との間の力F3は、物品10に特有のその他の力より小さくなくてはならない。数学的には、これは次のように表すことができる。
F3(再配置中)<C1、F2、C3、F4、C5
【0037】
表面20への最終適用時に、物品10を表面20に接合する結合力が、剥離可能ライナー16とシート12との間の力より大きいことが重要である。数学的には、これは次のように表すことができる。
F3>F2I>F2
C、C3、C5>F3(ユーザーによるいずれかのつや出しの後、表面に対して垂直及び接線方向)>F2(剥離可能ライナー16の除去の開始時、開始時には表面に対して垂直及び接線方向に取られる>F2(ライナー16とシート12との間の剥離力。
【0038】
適用時に剥離可能ライナー16を有する物品10について、式中、F2Iは、剥離可能ライナー16を物品10の残部から除去するために必要な開始力である。剥離可能ライナー16がシート12から既に予備分離されている場合には、前述の方程式は次のように簡単にすることができる。
F3(再配置時)>F2
【0039】
所望であれば、ディスペンサーは、剥離可能ライナー16を物品10の残部から適用中にスプールすることが、当該技術分野において既知である。そうである場合、結合剤14を表面20に接合する力F3は、物品10内に存在するその他の力より小さいことが必要である。数学的には、これは次のように表すことができる。
F3(適用時点)<C1、F2I、C3、F4、C5
C1、C3、C5>F3(表面に対して垂直及び接線方向)≧D6≧(F1+F2+D7)
F2>F1
【0040】
更に、接着剤とディスペンサーとの間の力は、シート12と取り外し可能層16との間の力と、結合剤14とディスペンサーとの間の力と、ディスペンサー自体の中の力を足したものより大きくなければならない。数学的には、これは次のように表すことができる。
F3(適用時点)>F2+D6+D7
【0041】
いったん剥離可能ライナー16が除去された後で、上記のように物品10の再配置をなお望む場合がある。こうした時には、物品10と表面20との間の接着力は、シート12の凝集強度、結合剤14の凝集強度、及びそれらの間の力未満でなくてはならない。数学的には、これは次のように表すことができる。
F3(再配置中)<C3、F4、C5
【0042】
強度層は下記のように加えられてもよい。強度層がない場合でさえ、次の引っ張り関係が観察されなくてはならず、その際物品10を表面20に接合する力は、上記の内部力の組み合わせより小さい。数学的には、これは次のように表すことができる。
F3(表面に垂直に剥離される)<C3+F4+C5(各々が引っ張りの様態にある)
【0043】
凝集強度は、ASTMD882に従って測定されてもよいが、層の分離はASTMD3330に従って15分の滞留時間後に測定されてもよい。シート12と結合剤14との間、剥離可能ライナー16とシート12との間、及び/又は結合剤14と剥離可能ライナー16との間の接着は、表面処理により変更されてもよい。具体的には、シート12及び/又は剥離可能ライナー16は、コロナ処理により、表面積を増大させるために目的表面を粗くすることにより、目的表面の膨張、分子間混合により、結合剤の直接コーティングにより、積層中に熱若しくは圧力を適用することにより、官能化ポリマーを含めて共有結合若しくは分子間結合を提供することにより、一以上の層の表面積をエンボス加工により増大させることにより、はけ塗り若しくはその他の機械的方法により、又は粒子を添加することにより、又は溶蝕により、及びこれらの組み合わせにより表面処理されてもよい。例えばコロナ処理は、一対の間隔をあけた電極により供給される高電圧のコロナ放電に暴露することを伴う。
【0044】
図4を参照すると、物品10は、シート12と結合剤14との間に配置され、それらの間の結合を強化する一以上の連携層18を更に含んでもよい。典型的な連携層18には、官能化ポリオレフィンエチレンアクリレート、エチレンビニルアセテート、官能化アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエトキシレート、及びこれらの組み合わせ、及び当該技術分野において既知のようなその他の物質が含まれる。連携層18は、シート12と結合剤14との間の結合力を強化する。
【0045】
「発明を実施するための最良の形態」において引用したすべての文書は、関連する部分において、参考として本明細書に組み込まれるが、いずれの文書の引用も、本発明に関する先行技術であることの容認と考えられるべきではない。
本発明の特定の実施形態を例証し説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】ロールに巻いた本発明による物品の斜視図。
【図1B】積み重ねた配置の本発明による物品の斜視図。
【図2】隣接する積層体が分離される間の、図1のロール又は図2の積み重ねの部分の垂直断面図。
【図3】剥離可能ライナーが物品の残部から除去される間の、表面に結合される図2の物品の垂直断面図。
【図4】本発明による別の実施形態の垂直断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に色彩を与えるための物品であって:
反対側の第一及び第二面を有する色彩のシート;
前記色彩のシートの前記第一面に保持される、前記シートを該表面に結合できる結合剤であって、前記色彩のシート及び結合剤の少なくとも一つが、約0.076mm未満の厚さであることを特徴とし、並びに前記結合剤が、室温で及び約50lbs/in2(3500g/平方cm)未満の圧力の適用時に、該物品を表面に接着するように適合される結合剤;及び
前記色彩のシートの前記第二面に取り外し可能に付着された剥離可能ライナー
を具備する物品。
【請求項2】
前記剥離可能ライナーが前記結合剤に接触するように前記物品がロール上に巻かれる場合に、前記剥離可能ライナーと前記結合剤との間に示される総接合力が、前記シートと前記剥離可能ライナーとの間に示される総接合力より小さい、請求項1に記載の物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に色彩を与えるための物品であって、前記物品が:
反対側の第一及び第二面を有する色彩のシート;
前記色彩のシートの前記第二面に取り外し可能に付着された剥離可能ライナー;及び
前記色彩のシートの前記第一面に保持される、前記シートを該表面に結合できる結合剤であって、前記色彩のシート及び結合剤の少なくとも一つが、0.076mm未満の厚さであることを特徴とし、並びに前記結合剤が、室温で及び3500g/平方cm未満の圧力の適用時に、該物品を表面に接着するように適合される結合剤
を含む物品。
【請求項2】
前記剥離可能ライナーが前記結合剤に接触するように前記物品がロール上に巻かれる場合に、前記剥離可能ライナーと前記結合剤との間に示される総接合力が、前記シートと前記剥離可能ライナーとの間に示される総接合力より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の物品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−515239(P2006−515239A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518581(P2005−518581)
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/004505
【国際公開番号】WO2004/074009
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【出願人】(505307507)エイブリー デニソン コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】