説明

表面改質カーボンブラックとその分散体

【課題】非極性媒体であるシリコーンオイル中で優れた分散性を有する表面改質カーボンブラック、および、その分散体を提供すること。
【解決手段】カーボンブラック粒子表面の官能基とウレタン結合した両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、反応性シリコーン系ポリマーと化学結合したことを特徴とする表面改質カーボンブラック。及び、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を溶媒に溶解し、該溶液中にカーボンブラックを加えて混合してカーボンブラック粒子表面にイソシアネート基をウレタン結合させ、未反応のイソシアネート化合物を除去した後、シリコーンオイルに分散させ、反応性シリコーン系ポリマーを添加して混合及び脱泡してなる表面改質カーボンブラック分散体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリコーンオイルなどの極性の極めて小さい低極性溶媒や非極性溶媒に対して高い分散性を示し、また、ポリマーに配合して電気的特性に優れた組成物や低電圧で駆動可能な電子装置に使用される表面改質カーボンブラックとその分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックは基本的には親油性であって、水のような極性溶媒に対する分散性は極めて低い。しかし、近年、インクジェットプリンター用インキなどの用途を中心として水分散性能の優れたカーボンブラックの開発、研究が盛んに行われている。
【0003】
また、低極性溶媒や非極性溶媒にカーボンブラックを安定分散させた分散体に対する要求も強く、例えばインク、塗料などの組成物、カラーフィルター用ブラックマトリックス、ディスプレイデバイスなどに使用されるカーボンブラック分散体の開発が望まれている。
【0004】
そして、例えば、特許文献1にはインキ、複写機用トナー、塗料、樹脂着色剤などに用いられる各種媒体中への分散性に優れたカーボンブラックグラフトポリマーとして、シリコーン成分を含有する重合体部分とカーボンブラック部分を含み、シリコーンオイル中に分散させたときの破壊電圧が0.5kV/mm以上であるカーボンブラックグラフトポリマーが提案されている。これは、カーボンブラックグラフトポリマーの重合体部分にシリコーン成分のポリマー鎖を含有させることにより、極性の低い媒質中でも十分な分散性を付与することができるとするものである。
【0005】
また、特許文献2にはセグメント(A)及びセグメント(A)と異なる鎖構造のセグメント(B)とからなり、セグメント(A)がカーボンブラック表面の官能基と反応性を有する基(1)を有する重合体を、カーボンブラック表面の官能基との反応により得られるカーボンブラックグラフトポリマーであって、セグメント(A)、(B)が目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(2)を有する反応性カーボンブラックグラフトポリマーが提案されている。
【0006】
しかし、エポキシ基を反応性基に用いることから三員環開環のために触媒を使用するので、分散体中に触媒が残留する触媒が残存するという問題があり、また、イソシアネート基とポリシロキサンを結合してシリコーン系化合物を結合させたグラフトカーボンブラックは具体的には開示されていない。
【特許文献1】特開平8−337624号公報
【特許文献2】特開平9−272706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、非極性媒体であるシリコーンオイル中で良好な分散性を示すカーボンブラックの表面改質について鋭意研究を行って、カーボンブラック表面をシリコーンオイルの構造に近似した反応性シリコーン成分を含有するポリマーと反応させて得られた表面改質カーボンブラックは、シリコーンオイル中で優れた分散性を有することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、非極性媒体であるシリコーンオイル中で優れた分散性を有し、樹脂媒体に添加しても樹脂硬化を阻害することなく、電気絶縁性にも優れた表面改質カーボンブラック、および、その分散体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る表面改質カーボンブラックは、カーボンブラック粒子表面の官能基と化学結合した両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、反応性シリコーン系ポリマーと化学結合したことを構成上の特徴とする。
【0010】
また、本発明の表面改質カーボンブラック分散体は、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を溶媒に溶解し、該溶液中にカーボンブラックを加えて混合してカーボンブラック粒子表面に一方のイソシアネート基を化学結合させ、未反応のイソシアネート化合物を除去した後、シリコーンオイルに分散させ、反応性シリコーン系ポリマーを添加して混合及び脱泡して、カーボンブラック粒子表面に結合したイソシアネート化合物の他方の未結合イソシアネート基とシリコーンポリマーを化学結合してなることを構成上の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、カーボンブラック粒子表面の官能基と反応性シリコーン系ポリマーと化学結合したものであり、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、カーボンブラックと反応性シリコーン系ポリマーとを結合させる中間物質として機能するものである。
【0012】
そして、シリコーンオイルの構造に近似した反応性シリコーン系ポリマーをカーボンブラック粒子表面に結合させて表面改質したカーボンブラックおよびそのシリコーンオイル分散体は、非極性媒体であるシリコーンオイル中で優れた分散性を有し、樹脂媒体に添加しても樹脂硬化を阻害するとなく、電気絶縁性にも優れており、電子ペーパー用の表示媒体や液晶表示用ブラックマトリックスなどとして好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いるカーボンブラックは、その粒子表面に反応性基であるヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、スルホン基などの官能基を有するものであれば特に制限はなく、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどいずれも使用することができるが、好ましくは電子顕微鏡観察により測定される一次粒子径が0.01〜0.3μmのカーボンブラックが用いられる。一次粒子径が0.01μm未満のカーボンブラックでは粒子間に作用する凝集力が大きいために凝集し易くなり、一方、0.3μmを越える場合には表面改質した状態での自重が大きくなり、シリコーンオイル中で沈降し易くなる。
【0014】
カーボンブラック粒子表面の官能基はカーボンブラックを化学修飾することにより生成および制御することができる。
【0015】
例えば、
(1)ヒドロキシル基およびカルボキシル基の生成は、オゾン、酸素、NOX 、SOX などのガス雰囲気にカーボンブラックを曝す方法、低温酸素プラズマで処理する方法、オゾン水、過酸化水素水、ペルオキソ2酸あるいはその塩類、次亜ハロゲン酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、硝酸などの酸化剤水溶液に入れて攪拌混合する方法、などの気相酸化処理や液相酸化処理する方法。
(2)アミノ基の生成は、硝酸/硫酸混合系で酸化してニトロ基を生成させ、ホルムアルデヒドなどの還元剤で還元する方法。
(3)スルホン基の生成は、濃硫酸でスルホン化する方法。
(4)エポキシ基の生成は、ヒドロキシル基、カルボキシル基にエポキシ基を有するハロゲン化物を反応させる方法。
などの方法で化学修飾する。
【0016】
なお、化学修飾する程度は、pHが5以下となるまで行うことが好ましく、pH5以下の市販酸性ブラックあるいはチャンネルブラックであれば、酸化処理などを施すことなくそのまま適用することもできる。
【0017】
これらの官能基は、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と反応させることにより、カーボンブラック粒子表面にウレタン結合(OHOCN)や尿素結合(NH−CO−NH)などの化学結合によりイソシアネート化合物が結合される。
【0018】
この反応を、例えば、カーボンブラック粒子表面の官能基としてヒドロキシル基と、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としてメチルジフェニルジイソシアネートとを反応させて、カーボンブラック粒子表面にイソシアネート化合物を結合させた場合の反応式を化1に示した。
【0019】
【化1】

【0020】
本発明の表面改質カーボンブラックは、化1のようにカーボンブラック粒子表面の官能基とウレタン結合した両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物の、未反応の片端イソシアネート基が反応性シリコーン系ポリマーと結合して表面改質されたものである。
【0021】
すなわち、カーボンブラック粒子表面の官能基と結合した両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物の未結合のイソシアネート基を、反応性シリコーン系ポリマーと結合させたものであり、イソシアネート化合物はカーボンブラックと反応性シリコーンとを結合させるための中間物質として機能する。
【0022】
この反応を化2に例示した。化2は、化1に示したカーボンブラック粒子表面のヒドロキシル基とメチルジフェニルジイソシアネートとを反応させてジフェニルメタン基をウレタン結合させた後、反応性基として片末端にヒドロキシル基を有するポリシロキサンを反応させて化1に示したウレタン結合を介してジフェニルメタン基がポリシロキサン基と結合したポリシロキサン系構造を有する表面改質カーボンブラックが生成する化学反応を例示したものである。
【0023】
【化2】

【0024】
但し、式中Rは炭素数1〜6のアルキレン基を、R〜R13は同一又は異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシル基をそれぞれ示し、nは0〜200の整数を示す。
【0025】
ポリシロキサンに含有される反応性基としては、ヒドロキシル基以外にもカルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、スルホン基などのイソシアネート基と反応するものであれば特に制限無く使用することができる。例えば、アミノ基を有しているものであれば化3のようになる。
【0026】
【化3】

【0027】
本発明の表面改質カーボンブラック分散体は、この表面改質カーボンブラックを非極性シリコーンオイル中に分散させたものである。すなわち、両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を溶媒に溶解し、該溶液中にカーボンブラックを加えて混合してカーボンブラック粒子表面にイソシアネート基をウレタン結合させ、次いで未反応のイソシアネート化合物を除去した後、シリコーンオイルに分散させ、反応性シリコーン系ポリマーを添加して混合及び脱泡したものであり、次のプロセスで作製される。
【0028】
イソシアネート化合物は両末端にイソシアネート基を有していることが必要であり、一端のイソシアネート基はカーボンブラック粒子表面の官能基と結合し、他端のイソシアネート基は反応性シリコーン系ポリマーの末端反応性基と結合する。
【0029】
両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、パラフェニレンジイソシアネート、2−クロロ−1、4−フェニルジイソシアネート、2、4−トルエンジイソシアネート(TDI)、2、6−トルエンジイソシアネート、1、5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジフェニルメタン−4、4′−ジイソシアネート(MDI)、1、3−キシレン−4、6−ジイソシアネート、ジフェニルサルファイド−4、4′−ジイソシアネート、1、4−ナフタレンジイソシアネートなどが例示され、好ましくは、MDI、TDI、HDIが用いられる。
【0030】
これらのイソシアネート化合物は酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル化合物あるいはケトン類の溶媒に溶解し、この溶液中にカーボンブラックを加えて攪拌脱泡機で攪拌及び脱泡して混合した後、三本ロールミルなどを用いて混合物を混練してカーボンブラックの粒子表面の官能基とイソシアネート基とを結合させる。この際、ジブチルチンジラウレートなどの脱水縮合剤を少量添加するとウレタン反応が進行し易くなり好適である。
【0031】
上記の混練物は、再度溶媒に溶解して分散させた後、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、プロセスホモジナイザーなどを用いて分散した後、25〜100℃の温度で適宜時間熱処理して、イソシアネート化合物をカーボンブラック粒子表面の官能基とウレタン結合により強固に結合させる。
【0032】
この場合に、未反応のイソシアネート化合物が残留するとカーボンブラック粒子同士の凝集結合が促進され、またイソシアネート化合物が中間物質として起こる反応性シリコーン系ポリマー同士の結合がなされ、熱処理後の分散液を高速遠心分離機で処理して未反応のイソシアネート化合物を除去、精製する。なお、遠心除去する際に乾燥させてしまうと、カーボンブラック粒子同士が乾燥凝集するため、遠心力を低く設定して行うことが好ましく、また溶媒を添加して再分散させ、遠心分離処理する操作を数回繰り返し行って、未反応イソシアネート化合物を除去、精製することが好ましい。
【0033】
このようにしてカーボンブラック粒子表面の官能基にイソシアネート化合物をウレタン結合させたカーボンブラックを、非極性溶媒であるシリコーンオイルに混合して分散させた後、反応性シリコーン系ポリマーを加えて攪拌脱泡し、更に三本ロールなどで混練してイソシアネート化合物の片端イソシアネート基と反応性シリコーン系ポリマーを結合させることができる。この場合、ジブチルチンジラウレートなどの脱水縮合剤を少量添加すると、この反応が円滑に進むので好ましい。
【0034】
ポリシロキサン基を結合させるために使用する反応性シリコーン系ポリマーは、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基などの反応性官能基を有するポリシロキサンが用いられ、この反応性官能基の導入される場所は片末端でも両末端でも、更に側鎖であっても、特に制限無く使用できる。特に、両末端若しくは側鎖に反応性官能基を有する反応性シリコーン系ポリマーは反応性を考慮して、片末端にのみ反応性官能基を持つものが好ましい。
【0035】
また、反応性シリコーン系ポリマーはシリコーンオイルの構造に近似した構造を有するものが好ましく、一般的なシリコーンオイルの構造はポリシロキサン構造であるため反応性シリコーン系ポリマーとしては、その骨格構造はポリシロキサン構造であることが好ましい。
【0036】
本発明のカーボンブラック分散体における表面改質カーボンブラックは、その表面に結合したシリコーン系ポリマー鎖によりシリコーンオイル中に立体障害を伴って分散していることから、反応性シリコーン系ポリマーは分子量500〜30000のポリマーを使用することが好ましい。分子量500未満のポリマーはポリマー鎖による立体障害が小さく分散性が乏しくなり、一方30000を越えると表面改質カーボンブラックの自重により沈降し易くなったり、粘度が高くなる事で分散体自体の粘度が高くなってしまう。
【0037】
混練物をシリコーンオイルにて希釈し、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、プロセスホモジナイザーなどで混練して、カーボンブラック粒子表面にイソシアネート化合物と反応性シリコーン系ポリマーとが結合した表面改質カーボンブラックのシリコーンオイルへの分散性を向上させることができる。
【0038】
次に、分散液中に残留した少量の溶媒を除去するために加熱処理を施して溶媒を完全に除去した後、シリコーンオイルを添加して濃度調整して表面改質カーボンブラック分散体が調製される。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0040】
実施例1
カーボンブラックに東海カーボン(株)製TB#7550Fを用い、酸化剤水溶液(濃度2Nの過硫酸ナトリウム水溶液)中で液相酸化した後、濾別、洗浄、乾燥してpH2の酸化カーボンブラックを試料を作製した。
【0041】
両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物として、メタンジフェニルジイソシアネート(MDI)12.5gを15wt%の濃度に溶解させたメチルエチルケトン溶液に、不活性ジメチルポリシロキサン〔GE東芝シリコーン(株)製TSF451−1000〕150g、十分に乾燥した酸化カーボンブラック試料75gを攪拌脱泡機に入れて攪拌2分、脱泡2分の前混練を行った後、三本ロール〔(株)井上製作所製SR−4〕にて30分間混練した。次いで、混練物にジブチルチンジラウレート0.875gを10wt%の濃度に溶解させたシリコーンオイル〔信越化学工業(株)製KF96L−1cs〕溶液を添加し、更に30分間三本ロールで混練した。この際、溶媒であるメチルエチルケトンは揮散するため、適宜メチルエチルケトンを添加した。
【0042】
この混練物にメチルエチルケトンを加えて全量を1リットルとし、超音波式ホモジナイザー〔(株)日本精機製作所製Ultrasonic Generator US〕により10分間、更に高圧ホモジナイザー〔(株)東海製ナノマイザーTL−1500〕を用いて50〜150MPaの圧力で、イソシアネート化合物結合カーボンブラックを溶媒中に分散させた後、セパラブルフラスコにて60℃で2時間攪拌しながら加熱処理した。
【0043】
加熱処理後の分散液を3000rpmで3分間遠心分離処理し、遠心分離後の上澄み液を除去したのち、メチルエチルケトンを添加して再度遠心分離した。この操作を2回実施し、その後、遠心残さに対してシリコーンオイルを添加して遠心分離を2回実施した。
【0044】
上記遠心残さを3等分して、その一部と反応性シリコーン〔GE東芝シリコーン(株)製TSF4709〕16.25gとを混合し、三本ロールで30分間混練し、ジブチルチンジラウレート0.875gを10wt%の濃度に溶解させたシリコーンオイル溶液を添加し、更に30分三本ロールにて混練した。
【0045】
この混練物にシリコーンオイルを添加して全量を250gとした後、セパラブルフラスコにて60℃で4時間攪拌しながら加熱処理した。加熱処理後の分散体をナノマイザーを用いて、50〜150MPaの圧力を掛けて更に機械的分散を行った。
【0046】
上記分散体を乾燥機にて80℃で1時間加熱処理し、その後ADVANTEC(株)製No.131濾紙を2回通過させ、最後に全量を再び250gになるようにシリコーンオイルを適量添加して、カーボンブラック濃度10wt%のシリコーンオイルに分散させた表面改質カーボンブラック分散体1を得た。
【0047】
実施例2
実施例1と同じカーボンブラックを用いてオゾンにより気相酸化して、pH2.5の酸化カーボンブラックを試料を作製した。
【0048】
このカーボンブラック試料を用いて、実施例1と同じ方法により、10wt%のシリコーンオイル分散させた表面改質カーボンブラック分散体2を得た。
【0049】
実施例3
カーボンブラックにDegussa社製SpecialBlack4(pH2.3)を用いた他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体3を得た。
【0050】
比較例1
実施例1において、酸化処理を施さないカーボンブラック(東海カーボン製TB#7550F、pH6.8)を用いた他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体4を得た。
【0051】
比較例2
実施例1において、イソシアネート化合物を使用しない他は、実施例1と同じ方法により表面改質カーボンブラック分散体5を得た。
【0052】
これらの分散体について、Honeywell社製のMicrotrac法粒度分析計9340−UPA150を用いて分散体中のカーボンブラック凝集体の平均粒子径を測定し、また山一電機(株)製の振動式粘度計により分散体の粘度を測定した。また、その分散状態を目視観察した。測定結果の経時的変化を表1に示した。
【0053】
【表1】

【0054】
分散体1〜3は分散体4、5に比べて分散性に優れており、また分散体2、3は分散体1に比べてカーボンブラック粒子表面の官能基の生成量が少ないために分散性は若干劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラック粒子表面の官能基と化学結合した両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が、反応性シリコーン系ポリマーと化学結合したことを特徴とする表面改質カーボンブラック。
【請求項2】
両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を溶媒に溶解し、該溶液中にカーボンブラックを加えて混合してカーボンブラック粒子表面に一方のイソシアネート基を化学結合させ、未反応のイソシアネート化合物を除去した後、シリコーンオイルに分散させ、反応性シリコーン系ポリマーを添加して混合及び脱泡して、カーボンブラック粒子表面に結合したイソシアネート化合物の他方の未結合イソシアネート基とシリコーンポリマーを化学結合してなることを特徴とする表面改質カーボンブラック分散体。

【公開番号】特開2007−161800(P2007−161800A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357458(P2005−357458)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000219576)東海カーボン株式会社 (155)
【Fターム(参考)】