説明

表面調整用組成物、表面調整方法及び表面調整処理物

【課題】表面調整用組成物の貯蔵時における安定性が優れており、リン酸塩化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができ、特に複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部や高張力鋼板等の難化成性金属材料に適用した場合においても充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能な表面調整用組成物を提供すること。
【解決手段】リン酸亜鉛粒子を含有するpH3〜12の表面調整用組成物であって、
前記リン酸亜鉛粒子はD50が3μm以下のものであり、
前記表面調整用組成物が、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを含有することを特徴とする表面調整用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面調整用組成物、それを用いた表面調整方法、並びにそれを用いて処理された表面調整処理物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体、家電製品等は、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合金等の金属材料からなり、通常、前処理としての化成処理工程を経た後で塗装等の処理が行われる。そして、このような化成処理として、リン酸塩処理が一般に行われている。また、リン酸塩化成処理においては、微細で緻密なリン酸塩の結晶を金属材料表面に析出させるために、前工程として表面調整処理を行うのが一般的である。
【0003】
このような表面調整処理において使用する表面調整用組成物としては、ジャーンステッド塩と呼ばれるリン酸チタン粒子や2価又は3価の金属のリン酸塩粒子を含有した処理液が知られている。
【0004】
例えば、特開平10−245685号公報(特許文献1)には、粒径が5μm以下の少なくとも1種以上の2価もしくは3価の金属のリン酸塩粒子とアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩又はこれらの混合物を含有し、且つ、pHを4〜13に調整した金属のリン酸塩化成処理前の表面調整用前処理液が開示されている。
【0005】
更に、特開2000−96256号公報(特許文献2)には、2価及び/又は3価の金属の1種以上を含有するリン酸塩から選ばれる1種以上のリン酸塩粒子と、各種促進剤とを含有する金属のリン酸塩化成処理前の表面調整用処理液が開示されている。
【0006】
しかしながら、近年の新たな素材開発や処理工程の簡略化によって、前記特許文献等に記載されているような表面調整用処理液では完全に対応しきれない場合も現れてきたため、更に表面調整用処理液の性能を改善し、これによって化成処理されて得られる化成処理皮膜の物性を向上させることが要求されている。
【0007】
例えば、高張力鋼板等は難化成性金属材料として知られており、従来の方法による化成処理によって充分な耐食性を有する化成皮膜を得ることが困難であった。また、複数種の異種金属材料を同時に化成処理した場合には、その接触部近傍においては化成処理能力が著しく低下するという問題があった。さらに近年耐食性の要求レベルが上がり、より緻密なリン酸塩結晶皮膜をより安定して形成できることが求められることから、表面調整用組成物の貯蔵時における安定性も要求されている。
【特許文献1】特開平10−245685号公報
【特許文献2】特開2000−96256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、表面調整用組成物の貯蔵時における安定性が優れており、化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができ、特に複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部や高張力鋼板等の難化成性金属材料に適用した場合においても充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能な表面調整用組成物、それを用いた表面調整方法、並びにそれを用いて処理された表面調整処理物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のリン酸亜鉛粒子を含有する表面調整用組成物において、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを組み合わせて用いることにより、表面調整用組成物の貯蔵時における安定性が優れており、化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能な表面調整用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の表面調整用組成物は、リン酸亜鉛粒子を含有するpH3〜12の表面調整用組成物であって、
前記リン酸亜鉛粒子はD50が3μm以下のものであり、
前記表面調整用組成物が、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを含有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の表面調整用組成物においては、前記アルカノールアミンは第3級のアルカノールアミンであることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の表面調整用組成物においては、前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、D50が0.01〜3μmであり且つ水酸基価が1〜100のものであることが好ましい。
【0013】
本発明の表面調整方法は、前記表面調整用組成物を金属材料表面に接触させることを特徴とする方法である。
【0014】
本発明の表面調整処理物は、前記表面調整用組成物を接触させて表面が調整された金属材料であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面調整用組成物の貯蔵時における安定性が優れており、リン酸塩化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができ、特に複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部や高張力鋼板等の難化成性金属材料に適用した場合においても充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能な表面調整用組成物、それを用いた表面調整方法、並びにそれを用いて処理された表面調整処理物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0017】
先ず、本発明の表面調整用組成物について説明する。すなわち、本発明の表面調整用組成物は、リン酸亜鉛粒子を含有するpH3〜12の表面調整用組成物であって、
前記リン酸亜鉛粒子はD50が3μm以下のものであり、
前記表面調整用組成物が、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを含有することを特徴とするものである。
【0018】
本発明にかかるリン酸亜鉛粒子は、組成式Zn(POnHOで表されるリン酸亜鉛の粒子である。このようなリン酸亜鉛粒子は、表面調整機能を得るための結晶核となるものであり、これらの粒子が金属材料表面に付着等することによって化成処理反応が促進されるものと推察される。そして、このようなリン酸亜鉛粒子は、D50(体積50%径)が3μm以下のものである必要がある。D50が3μmを超えると、表面調整処理浴中でのリン酸亜鉛粒子の安定性が不充分となり、リン酸亜鉛粒子が沈降し易いという問題がある。これに対して、本発明の表面調整用組成物は、D50(体積50%径)が3μm以下のリン酸亜鉛粒子を含むものであるため、リン酸亜鉛粒子の表面調整処理浴中での沈降を抑制することができ、さらには化成処理を施した場合に緻密な化成皮膜を形成することが可能となる。
【0019】
また、このようなリン酸亜鉛粒子は、D50が0.01〜3μmの範囲のものであることが好ましく、0.1〜1μmの範囲のものであることがより好ましい。D50が前記下限未満では生産効率が悪くなり不経済となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、表面調整の機能が得られずに、化成処理反応が進行しにくくなる傾向にある。
【0020】
さらに、このようなリン酸亜鉛粒子は、D90(体積90%径)が4μm以下のものであることが好ましい。この場合、前記リン酸亜鉛粒子は、D50が3μm以下のものであるだけでなく、D90が4μm以下のものであるため、粗大なリン酸亜鉛粒子の存在割合が比較的少ないものである。上述のように、D50(体積50%径)が3μm以下のものであるリン酸亜鉛粒子を用いることによって、短時間の化成処理で充分な皮膜量の微細なリン酸塩結晶皮膜を金属材料表面に析出させることができるが、3μm以下に分散するために過度の粉砕を行うと、比表面積の増大に伴い分散剤等の配合成分が相対的に不足し、再凝集を起こし、かえって粗大粒子を形成して分散安定性を損なう傾向がある。また、表面調整用組成物の配合成分や調製条件によっては前記リン酸亜鉛粒子の分散性にバラツキが生じ、微細粒子同士の再凝集や増粘等の問題を引き起こしてしまう傾向がある。しかし、このようにD90(体積90%径)が4μm以下のリン酸亜鉛粒子を用いることによって、上述のような不都合が生じることを抑制することができる。
【0021】
また、このようなリン酸亜鉛粒子は、D90が0.01〜4μmの範囲のものであることが好ましく、0.05〜2μmの範囲のものであることがより好ましい。D90が前記下限未満ではリン酸亜鉛粒子が凝集しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、微細な金属のリン酸亜鉛粒子の割合が少なくなるため、微細粒子同士の再凝集や増粘等の問題を引き起こしてしまう傾向がある。
【0022】
なお、前記D50(体積50%径)及びD90(体積90%径)は、分散液中での粒度分布に基づき、粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブがそれぞれ50%、90%となる点の粒径である。前記D50及びD90は、例えば、光回折式粒度測定装置(「LA−500」、商品名、堀場製作所社製)等の粒度測定装置を用いて測定することができる。なお、本明細書において、平均粒径と記載した場合には、D50を示すものとする。
【0023】
以上説明したようなリン酸亜鉛粒子の含有量としては、表面調整処理浴中のリン酸亜鉛粒子の濃度が50〜20000ppmの範囲となる量であることが好ましく、150〜10000ppmの範囲となる量であることがより好ましい。含有量が前記下限未満では結晶核となるリン酸亜鉛粒子が不足し、充分な表面調整効果が得られない傾向があり、他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向がある。
【0024】
本発明の表面調整用組成物は、前述したリン酸亜鉛粒子を含有するpH3〜12のものである必要がある。pHが3未満であると、前記リン酸亜鉛粒子が溶解しやすくなり、不安定となり、次工程の化成処理に悪影響を与えるおそれがある。他方、pHが12を超えると、化成処理において化成浴のpH上昇を招くことになり、化成不良が生じるおそれがある。また、次工程の化成処理に与える影響の観点から、表面調整用組成物のpHが6〜11の範囲であることが好ましい。
【0025】
また、本発明の表面調整用組成物は、前述したリン酸亜鉛粒子の他に、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを含有するものである必要がある。このように本発明においては、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを組み合わせて用いることによって、表面調整用組成物の貯蔵時における安定性が優れており、化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能な表面調整用組成物を得ることができる。
【0026】
本発明にかかるアルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン等の第1級のアルカノールアミン;ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級のアルカノールアミン;N,N−ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第3級のアルカノールアミンが挙げられる。これらの中でも、前記リン酸亜鉛粒子への吸着性に優れ、二次凝集しにくく、粉砕効率が非常に高いという観点から、第3級のアルカノールアミンを用いることが好ましく、N,N−ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンを用いることがより好ましい。これらのアルカノールアミンは単独で又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
このようなアルカノールアミンは、前記リン酸亜鉛粒子に吸着されやすく、また粉砕分散性能も高く、さらには水素結合等の電磁気学的作用によって金属材料表面に付着等する能力が高い。そのため、このようなアルカノールアミンは、本発明の表面調整用組成物に優れた化成性能を付与しているものと推察される。
【0028】
このようなアルカノールアミンの含有量としては、含有量が前記リン酸亜鉛粒子(固形分)100質量部に対して、0.01〜1000質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜100質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が前記下限未満では前記リン酸亜鉛粒子への吸着量が不十分であるため、分散時の粉砕効果や前記リン酸亜鉛粒子の金属材料への吸着効果が期待できず、表面調整効果が得られない傾向にある。他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向にある。
【0029】
また、このようなアルカノールアミン含有量としては、表面調整処理浴中におけるアルカノールアミンの濃度が1〜10000ppmの範囲となる量であることが好ましく、10〜5000ppmの範囲となる量であることがより好ましい。濃度が前記下限未満では前記リン酸亜鉛粒子への吸着量が不充分となり、二次凝集しやすくなる傾向にある。他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向にある。
【0030】
本発明にかかる没食子酸類とは、没食子酸及び関連する化合物を意味し、例えば、没食子酸、ピロガロール、タンニン酸、カテキン、フラボノイド、及びこれらを基本骨格とする没食子酸誘導体が挙げられる。これらの中でも、没食子酸、ピロガロール、カテキンが好ましい。これらの没食子酸類は二種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0031】
このような没食子酸類は、前述したアルカノールアミン及び後述する水酸基含有アクリル樹脂微粒子と併用されることによって、金属材料への前記リン酸亜鉛粒子の吸着性を改善し、特にアルミニウム系金属材料等の難化成性金属材料の化成性を向上させることに加えて、本発明の表面調整用組成物の安定性を向上させるものと推察される。すなわち、このような没食子酸類を添加すると、濃厚な原液の状態で長期間保存した場合の貯蔵安定性や表面調整処理浴の安定性に優れるものとなる。更には、水道水に由来するカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度部分が液中に混入した場合であっても、前記リン酸亜鉛粒子の凝集が抑制された表面調整用組成物とすることができるものと推察される。
【0032】
このような没食子酸類の含有量としては、含有量が前記リン酸亜鉛粒子(固形分)100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜100質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が前記下限未満では、前記リン酸亜鉛粒子への吸着量が不充分であるため、前記リン酸亜鉛粒子の金属材料への吸着効果が充分でなく、添加効果が期待できない傾向にある。他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向がある。
【0033】
また、このような没食子酸類の含有量としては、表面調整処理浴中における没食子酸類の濃度が1〜1000ppmの範囲となる量であることが好ましく、10〜500ppmの範囲となる量であることがより好ましい。濃度が前記下限未満では、前記リン酸亜鉛粒子への吸着量が不充分であるため、前記リン酸亜鉛粒子の金属材料表面への吸着等が促進されない傾向にある。他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向にある。
【0034】
本発明にかかる水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、少なくともアクリル系単量体を含むエチレン性不飽和単量体組成物を重合させて得られる樹脂であって水酸基を有する樹脂からなる微粒子のことをいう。このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、前述したアルカノールアミン及び前述した没食子酸類と併用されることによって、本発明の表面調整用組成物の化成性を大きく向上させ、また、前記リン酸亜鉛粒子と吸着等の相互作用をすることにより安定化に寄与する。そのため、濃厚な原液の状態で長期間保存した場合の貯蔵安定性や表面調整処理浴の安定性、水道水に由来するカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度成分に対する安定性を獲得できるものと推察される。
【0035】
さらに、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子は前記リン酸亜鉛粒子と相互作用するため、前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子を使用しない場合と比べて前記リン酸亜鉛粒子がより沈降しにくくなるものと推察される。すなわち、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、前記水分散性樹脂微粒子表面に水酸基及び前記水酸基を有する樹脂溶解鎖が樹脂微粒子近傍に局在化する傾向にあるため、前記水酸基及び前記樹脂溶解鎖とリン酸亜鉛粒子とが相互作用し、水系溶媒中でのリン酸亜鉛粒子の安定化に寄与するものと推察される。また、金属材料とリン酸亜鉛粒子間の相互作用も生じさせ、これによって化成性が良好なものとなると推察される。またこのような水酸基は表面に配行されやすいため電気二重層を形成および構造反発による粒子の安定化が図られると推察される。さらに濃厚な原液では、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子のチキソトロピー効果により前記リン酸亜鉛粒子の安定化に寄与するものと推察される。
【0036】
このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、少なくともアクリル系単量体を含むエチレン性不飽和単量体組成物の重合によって得ることができる。なお、エチレン性不飽和単量体とは、スチレン等の1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する単量体のことをいう。また、アクリル系単量体とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の1分子中にアクリル基又はメタクリル基を有する単量体のことをいう。
【0037】
前記エチレン性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとεカプロラクトンとの反応物、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体;等のアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロル(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系単量体等を挙げることができる。本発明に用いる前記エチレン性不飽和二重結合を有する単量体は、前記単量体を単独で使用するものであっても、2以上の成分を併用して使用するものであってもよい。
【0038】
さらに、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体を使用して、内部架橋型の水酸基含有アクリル樹脂微粒子としてもよい。前記1分子中に2以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアリロキシジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの不飽和モノカルボン酸エステル;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート等の多塩基酸の不飽和アルコールエステル;ジビニルベンゼン等の2個以上のビニル基で置換された芳香族単量体等を挙げることができる。
【0039】
また、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子としては、前記エチレン性不飽和単量体組成物を、界面活性剤を使用せずに重合させる、いわゆるソープフリー重合させて得られるもの、又は、限外濾過により遊離界面活性剤等の低分子化合物を低減したものが好ましい。前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子の分散液中に多量の界面活性剤が含まれている場合、前記表面調整用組成物の配合設計に悪影響を及ぼす傾向にある。
【0040】
以上説明したような方法で得られる水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、水酸基価が1〜100のものであることが好ましく、5〜50のものであることがより好ましい。このような水分散性樹脂微粒子を使用することによって、特に、リン酸亜鉛粒子の分散安定性を向上させる傾向にある。
【0041】
さらに、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、D50(平均粒径)が3μm未満のものである。水分散性樹脂微粒子の平均粒径が3μm以上の粗大樹脂粒子であると、微細な粒径を有するリン酸亜鉛粒子の分散安定性を向上させるという効果が生じにくい傾向にある。
【0042】
また、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子のD50は、0.01〜1μmの範囲であることが好ましく、0.03〜0.5μmの範囲であることがより好ましい。D50が前記下限未満では、粒子が微小でありすぎるため、工業的に量産するのが難しく、また、再凝集しやすくなる傾向にある。他方、前記上限を超えると、リン酸亜鉛粒子の分散安定性が損なわれ、良好な化成皮膜を形成できなくなる傾向にある。なお、D50(体積50%径)は、前記説明した通りの方法で測定することができる。
【0043】
このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子の含有量としては、含有量が前記リン酸亜鉛粒子(固形分)100質量部に対して0.01〜1000質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜100質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が前記下限未満では、沈降抑制効果、反発効果を充分に得られない傾向にある。他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向にある。
【0044】
また、このような水酸基含有アクリル樹脂微粒子の含有量としては、表面調整処理浴中における前記水分散性樹脂微粒子の濃度が、1〜10000ppmの範囲となる量であることが好ましく、10〜1000ppmの範囲となる量であることがより好ましい。濃度が前記下限未満では沈降抑制効果、反発効果を充分に得られない傾向にある。他方、前記上限を超えても所望の効果を超える効果が得られるわけでなく不経済となる傾向にある。
【0045】
本発明の表面調整用組成物は、上述した成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で更に界面活性剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤等を配合していてもよい。
【0046】
前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を挙げることができる。前記ノニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノードアミド、ノニルフェノール、アルキルノニルフェノール、ポリオキシアルキレングリコール、アルキルアミンオキサイド、アセチレンジオール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。このほかに、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤、炭化水素基にある水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたフッ素系界面活性剤等もノニオン界面活性剤に含まれる。これらの中で、親水性親油性バランス(HLB)が6以上のものを挙げることができる。なかでも、本発明の効果をより得られる点から、HLBが6以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。なお、上記HLB値は、下記の一般式(グリフィン法)に基づいて計算したものである。
HLB=20×(Mw/M)
(Mw:親水基部分の重量、M:界面活性剤の分子量)
前記アニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリビスフェノールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチルアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチルアルキルアリル硫酸エステル塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、エーテルカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、本発明の効果をより得られる点から、アルキルエーテルリン酸エステル塩が好ましい。
【0047】
前記アニオン性界面活性剤は、アンモニア又はアミン系中和剤で中和させて用いることができる。前記アミン系中和剤としては、例えば、ジエチルアミン(DEA)、トリエチルアミン(TEA)、モノエタノールアミン(META)、ジエタノールアミン(DETA)、トリエタノールアミン(TETA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、イソプロピルエタノールアミン(IPEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)、2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロパノール(DMAMP)、モルホリン(MOR)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−エチルモルホリン(NEM)等を挙げることができる。なかでも、2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)を使用することが好ましい。
【0048】
本発明の表面調整用組成物においては、前記アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤の含有量が、下限3ppm、上限500ppmであることが好ましい。前記範囲内であると、本発明の効果を良好に得ることができる。前記下限は、5ppmであることがより好ましく、前記上限は、300ppmであることがより好ましい。なお、前記界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
また、本発明の表面調整用組成物は、錆の発生をより抑制するために、必要に応じて2価又は3価の金属亜硝酸化合物を更に添加することができる。
【0050】
さらに、本発明の表面調整用組成物は、前記リン酸亜鉛粒子を分散させる分散媒を更に含有させることができる。
【0051】
前記分散媒としては、水を80質量%以上含む水性媒体が挙げられる。また、水以外の媒体としては各種水溶性の有機溶剤を用いることができる。このような水溶性の有機溶剤の含有量は低く抑えることが好ましく、好ましくは水性媒体の10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。なお、本発明においては、水以外の分散媒を全く含まない分散液とすることもできる。
【0052】
このような水溶性の有機溶剤としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチルグリコール、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル系溶剤;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン等のアミド系溶剤;エチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤を挙げることができる。これらの水溶性の有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
また、本発明の表面調整用組成物には、更に金属のリン酸亜鉛粒子を安定させ、次に行われるリン酸塩化成処理工程において微細な化成皮膜を形成する目的でソーダ灰等のアルカリ塩が添加されてもよい。
【0054】
以上説明したような本発明の表面調整用組成物は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、先ず、原料として使用するリン酸亜鉛としては、市販品を使用することができ、例えばZn(PO・4HOで表されるものであり、一般に無色、結晶性の固体であり、白色の粉末状態のものを使用することができる。
【0055】
なお、このような原料のリン酸亜鉛の製造方法としては、例えば、硫酸亜鉛とリン酸水素二ナトリウムの希釈液をモル比3:2で混合加温すると、リン酸亜鉛の四水和物が結晶性沈殿物として生成する。また、希リン酸水溶液と酸化亜鉛又は炭酸亜鉛とを反応させてもリン酸亜鉛の四水和物を得ることができる。四水和物の結晶は斜方晶系で、3種の変態がある。加熱すると、100℃で二水和物、190℃で一水和物、250℃で無水和物となる。本発明におけるリン酸亜鉛は、これら四水和物、二水和物、一水和物、無水和物のいずれも利用可能であるが、一般に入手容易な四水和物をそのまま用いれば足りる。
【0056】
また、原料のリン酸亜鉛の形状としては特に限定されず、任意の形状のものを使用することができる。市販品は白色の粉末状が一般的であるが、粉末の形状は、微粒子状、板状、鱗片状等、いずれの形状でも構わない。前記原料のリン酸亜鉛の粒径も特に限定されないが、通常、D50が数μm程度の粉末である。特に塩基性付与の処理をすることにより緩衝作用を高めた製品等、防錆顔料として市販されているものが好適に使用される。後述するように、本発明に従うと、原料のリン酸亜鉛粒子としての一次粒径や形状にかかわらず、微細に均一分散した安定なリン酸亜鉛粒子の分散液を調製することができる。
【0057】
前記表面調整用組成物は、前記原料のリン酸亜鉛をあらかじめ微細に分散させて用いることが好ましい。前記原料のリン酸亜鉛の水性分散液を調製する方法は限定されないが、好ましくは、水又は水溶性の有機溶媒等の上述した分散媒中に原料のリン酸亜鉛粒子を配合し、前述したアルカノールアミン、前述した没食子酸類、並びにその他の添加剤の存在下で湿式粉砕を行うことにより達成できる。また、前記アルカノールアミン及び前記没食子酸類は、必要に応じて、前記水性分散液の調製後に添加してもよい。
【0058】
なお、前記リン酸亜鉛粒子の水性分散液を得るにあたっては、分散液の調製時に原料のリン酸亜鉛を水性媒体に配合して湿式粉砕を行うのが工程上好都合であるが、湿式粉砕を水性媒体以外の分散媒中で行ってから溶媒置換を行って調製してもよい。
【0059】
前記水性分散液の調製において、前記原料のリン酸亜鉛の配合量は、分散液中、通常、下限0.5質量%、上限50質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、リン酸亜鉛粒子の含有量が少なすぎるため分散液を用いて得られる表面調整用組成物の効果が充分に得られないおそれがある。50質量%を超えると、湿式粉砕により均一で微細な粒度分布を得ることが困難となり、また、微細に分散するのが困難となるおそれがある。前記下限は、1質量%であることがより好ましく、前記上限は、40質量%であることがより好ましい。
【0060】
また、前述したアルカノールアミン、前述した没食子酸類、並びにその他の添加剤の添加量は、分散液中、それぞれ下限0.1質量%、上限50質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、充分に分散性できないおそれがある。50質量%を超えると、これらの添加成分の影響により分散性が悪くなるおそれがあり、また、分散が充分であったとしても、経済的には有利ではない。前記下限は、0.5質量%であることがより好ましく、前記上限は、20質量%であることがより好ましい。
【0061】
前記リン酸亜鉛粒子がD50を3μm以下に微細に分散した分散液を得る方法は限定されないが、好ましくは、分散媒に原料のリン酸亜鉛を0.5〜50質量%と、前記のような添加成分を0.1〜50質量%となるように存在させて、湿式粉砕する。前記湿式粉砕の方法は特に限定されず、一般的な湿式粉砕の手段を用いればよく、例えば、ディスク型、ピン型等に代表されるビーズミル、高圧ホモジェナイザー、超音波分散機等に代表されるメディアレス分散機等を用いることができる。
【0062】
前記湿式粉砕において、リン酸亜鉛粒子のD90をモニターすることによって、過分散を抑制し、凝集や増粘、微細粒子同士の再凝集等を抑制することができる。本発明では、D90を4μm以下となるようにすることが好ましい。また、過分散を生じない程度の配合及び分散条件を選択することが望ましい。
【0063】
上述した分散液の調製方法により、水性媒体中での2価又は3価の金属のリン酸塩のD50を3μm以下に調節することができ、安定性に優れ、表面調整用組成物として優れた性能を有する水性分散液を得ることができる。D50は通常、0.01〜3μmの範囲で所望の程度に調節できる。
【0064】
また、上述した分散液の調製方法によって水性分散液を調製することにより、原料のリン酸亜鉛が3μmを超えるものであってもD50が3μm以下の状態で水性媒体中に分散することができる。原料のリン酸亜鉛が数十μmの一次粒子径を有するものであっても同様である。これは、もともと一次粒子径の小さなリン酸亜鉛粒子を用いなくとも、上述した方法に従って湿式粉砕することによりリン酸亜鉛粒子の一次粒子径を小さくすることができることも意味している。上述の方法によれば、水性分散液中のリン酸亜鉛粒子のD50を3μm以下、更には1μm以下、更には0.2μm以下とすることもできるのである。
【0065】
上述のようにして得られた分散液は、表面調整処理浴中のリン酸亜鉛粒子のD50を3μm以下で用途に合せて調節することができ、分散安定性に優れた水性分散液である。
【0066】
前記湿式粉砕法により、D90を超える粒径の粒子として示される粗大粒子の割合を低減できるため、特に、分散径の分布としてD90が4μm以下、更には2.6μm以下、更には0.3μm以下の、大分散径粒子の混在が抑えられた分散径の分布のシャープな分散液とすることができる。このため、微細な分散径でリン酸亜鉛粒子が分散し、且つ分散状態が極めて安定しているものと推察される。また、粗大粒子の割合が低いことから液中のリン酸亜鉛粒子が結晶核の生成に効率的に寄与すること、また分散径の分布がシャープで粒径が比較的均一であることから、表面調整処理工程においては、より均一な結晶核が形成され、引き続く化成処理により均一な2価又は3価の金属のリン酸塩結晶皮膜の形成をもたらし、得られる化成処理鋼板の表面性状が均一で優れたものとなることが推察される。さらに、このことが複雑な構造を有する金属素材の袋部や黒皮鋼板のような難化成鋼板に対する処理性を向上させているものと推察される。
【0067】
なお、分散液中のリン酸亜鉛粒子のD50、D90は、光回折式粒度測定装置を用いて粒度分布測定を行い求めることができる。
【0068】
前記水性分散液は、特に、前記リン酸亜鉛粒子を10質量%以上、更には20質量%以上、更には30質量%以上まで配合した高濃度の水性分散液を得ることもできる。このため、優れた表面調整能を有する表面調整用組成物を調製することができる。
【0069】
上述のようにして得られた水性分散液に、前述した水酸基含有アクリル樹脂微粒子、並びに必要に応じて、その他の成分(2価又は3価の金属亜硝酸化合物、分散媒、増粘剤等)を混合することにより、表面調整用組成物の濃厚液が得られる。前記水性分散液と前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子及びその他の成分との混合方法は特に限定されず、例えば、水性分散液に前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子及びその他の成分を添加して混合してもよいし、水性分散液の調製中に前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子及びその他の成分を配合されてもよい。
【0070】
本発明の表面調整用組成物は、例えば、前記表面調整用組成物の濃厚液を水で希釈して調製されるものである。前記アルカノールアミン、前記没食子酸類、前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、必要に応じて、原料のリン酸亜鉛の添加と同時に水性媒体に添加されるのが好ましいが、リン酸亜鉛粒子を分散させた水性分散液に後添加されても良い。このような表面調整用組成物は、分散安定性に優れ、金属材料に良好な表面調整を施すことができる。
【0071】
次に、本発明の表面調整方法について説明する。すなわち、本発明の表面調整方法は、前述した本発明の表面調整用組成物を金属材料表面に接触させることを特徴とする方法である。これにより、鉄系及び亜鉛系の金属材料に加え、アルミニウム系金属材料及び高張力鋼板等の難化成性金属材料表面にリン酸亜鉛粒子を充分な量付着させることができ、化成処理工程で良好な化成皮膜を形成させる。また、例えば、鉄又は亜鉛系金属材料とアルミニウム系金属材料等の異種金属接触部を有する異種金属材料を同時に処理することができ、充分な皮膜量の化成皮膜を金属材料表面に形成することができる。
【0072】
このような表面調整方法における表面調整用組成物と金属材料表面とを接触させる方法は特に限定されず、浸漬、スプレー等の従来公知の方法を適宜採用することができる。
【0073】
また、このような表面調整方法が行われる金属材料としては特に限定されず、一般にリン酸塩化成処理を行う種々の金属、例えば亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、マグネシウム合金、或いは冷延鋼板、高張力鋼板等の鉄系金属材料に適用可能である。また、例えば、鉄鋼又は亜鉛メッキ鋼板とアルミニウム系金属材料等の異種金属材料を同時に処理する用途にも好適に適用することができる。
【0074】
また、本発明の表面調整用組成物を用いて、脱脂兼表面調整工程に使用することができる。これにより、脱脂処理後の水洗工程を省略することができる。前記脱脂兼表面調整工程では、洗浄力を高めるために公知の無機アルカリビルダー及び有機ビルダー等を添加しても構わない。また、公知の縮合リン酸塩等を添加しても構わない。前記表面調整において、表面調整用組成物と金属材料表面との接触時間、表面調整用組成物の温度は特に限定されず、従来公知の条件で行うことができる。
【0075】
次いで、本発明の表面調整処理物について説明する。本発明の表面調整処理物は、本発明の表面調整用組成物を接触させて表面が調整された金属材料である。このような表面調整処理物に、次いでリン酸塩化成処理を行ってリン酸塩化成処理金属板を製造することができる。
【0076】
このようなリン酸塩化成処理方法は特に限定されず、浸漬(ディップ)処理、スプレー処理、電解処理等の種々の公知の方法を適用することができる。これらを複数組み合わせてもよい。金属材料表面上に析出させるリン酸塩結晶皮膜に関しても、金属のリン酸塩であれば特に限定されず、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛カルシウム等、何ら制限されるものではないが、リン酸亜鉛が好ましい。前記リン酸塩化成処理において、化成処理剤と金属材料表面との接触時間、化成処理剤の温度は特に限定されず、従来公知の条件で行うことができる。
【0077】
前記表面調整及び前記化成処理を行った後、更に塗装を行うことにより塗装鋼板を製造することができる。前記塗装方法は電着塗装が一般的である。塗装に用いられる塗料は特に限定されず、一般にリン酸塩化成処理金属板の塗装に用いられる種々のもの、例えばエポキシメラミン塗料、カチオン電着塗料とポリエステル系中塗塗料とポリエステル系上塗塗料等を挙げることができる。なお、化成処理後、塗装に先だっては洗浄工程を行うといった公知の方法が採用される。
【実施例】
【0078】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
(製造例1)
先ず、撹拌機、温度調節器、滴下漏斗(二つ)、窒素導入管及び冷却器を備えたフラスコにアニオン界面活性剤(「ペレックスSSH」、商品名、花王社製)2質量部と脱イオン水387.8質量部を仕込み80℃に昇温した。次に、一方の滴下漏斗に、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液10.2質量部を仕込んだ。また、他方の滴下漏斗に、アクリル酸2−エチルヘキシル30質量部、スチレン60質量部、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル10質量部からなる単量体組成物を仕込んだ。次いで、仕込んだ過硫酸アンモニウム水溶液の80%を滴下し、さらに単量体組成物を滴下し、ラジカル重合を開始させた。そして、90分かけて単量体組成物を均一に滴下し、残りの過硫酸アンモニウム水溶液(20%)を滴下し、そのまま1時間エージングを行った。その後、この反応生成物を冷却し、水酸基価43の樹脂微粒子1を含有する水分散性樹脂微粒子エマルションを得た。なお、得られたエマルションの樹脂固形分は20質量%であった。
【0080】
(製造例2)
メタクリル酸メチル35質量部、スチレン60質量部、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル5質量部からなる単量体組成物を用いた以外は調製例1と同様にして、水酸基価22の樹脂微粒子2を含有する水分散性樹脂微粒子エマルションを得た。なお、得られたエマルションの樹脂固形分は20質量%であった。
【0081】
(実施例1)
先ず、純水50質量部にN,N−ジメチルエタノールアミン1質量部、没食子酸1質量部及びリン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散した。次に、得られた分散液に製造例1で得られた水分散性樹脂微粒子エマルション25質量部を添加し、全量100質量部となるように純水を添加して表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して表面調整用組成物を得た。
【0082】
(実施例2)
N,N−ジメチルエタノールアミン1質量部に代えてトリエタノールアミン1質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、表面調整用組成物の濃厚液、及び表面調整用組成物を得た。
【0083】
(実施例3)
N,N−ジメチルエタノールアミン1質量部に代えてメチルジエタノールアミン1質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、表面調整用組成物の濃厚液、及び表面調整用組成物を得た。
【0084】
(実施例4)
没食子酸1質量部に代えてピロガロール1質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、表面調整用組成物の濃厚液、及び表面調整用組成物を得た。
【0085】
(実施例5)
製造例1で得られた水分散性樹脂微粒子エマルション25質量部に代えて製造例2で得られた水分散性樹脂微粒子エマルション25質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、表面調整用組成物の濃厚液、及び表面調整用組成物を得た。
【0086】
(実施例6)
純水44質量部にN,N−ジメチルエタノールアミン10質量部、没食子酸1質量部及びリン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散した。次に、得られた分散液に製造例1で得られた水分散性樹脂微粒子エマルション25質量部を添加し、全量100質量部となるように純水を添加して表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して表面調整用組成物を得た。
【0087】
(比較例1)
N,N−ジメチルエタノールアミン1質量部を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較用の表面調整用組成物の濃厚液、及び比較用の表面調整用組成物を得た。
【0088】
(比較例2)
製造例1で得られた水分散性樹脂微粒子エマルション25質量部を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較用の表面調整用組成物の濃厚液、及び比較用の表面調整用組成物を得た。
【0089】
(比較例3)
純水69質量部に、コロイダルシリカ(「アエロジル300」、商品名、SiO、日本アエロジル社製)5質量部を添加しディスパー3000rpmで予備分散し、その後第三リン酸ナトリウム1質量部とリン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルに360分間分散して比較用の表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して比較用の表面調整用組成物を得た。
【0090】
(比較例4)
純水75質量部にポリアリルアミン20%液(「PAA−03」、商品名、分子量3000、固形分20%、東洋紡績社製)5質量部をディスパー3000rpmで予備分散し、リン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散して比較用の表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して比較用の表面調整用組成物を得た。
【0091】
(比較例5)
純水76質量部に25%アンモニア水4質量部とリン酸亜鉛粒子20質量部を添加し、ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散して比較用の表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して比較用の表面調整用組成物を得た。
【0092】
(比較例6)
純水79質量部にカルボキシメチルセルロース(CMC)(「APP84」、商品名、日本製紙社製)1質量部を添加し、ディスパー3000rpmで予備分散し、リン酸亜鉛粒子20質量部ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散して比較用の表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して比較用の表面調整用組成物を得た。
【0093】
(比較例7)
純水76.5質量部にベントナイト8(試薬)1質量部、ポリアクリル酸スルホン酸共重合体(「アロンA6020」、商品名、固形分40%、東亞合成化学社製)2.5質量部を添加し、ディスパー3000rpmで予備分散し、リン酸亜鉛粒子20質量部ジルコニアビーズ(1mm)充填率80%で、SGミルにより360分間分散して比較用の表面調整用組成物の濃厚液を得た。そして、得られた濃厚液を水道水でリン酸亜鉛濃度0.1%になるように建浴し、ジメチルエタノールアミンでpHを9に調整して比較用の表面調整用組成物を得た。
【0094】
(比較例8)
チタン系粉体表面調製剤(「5N10」、商品名、日本ペイント社製)を水道水で0.1%に建浴し、NaOHでpH9に調整した。
【0095】
<表面調整用組成物及び化成皮膜の評価>
(I)試験板の作製
先ず、冷延鋼板(SPC)(70mm×150mm×0.8mm)、アルミニウム板(♯6000系)(70mm×150mm×0.8mm)、L処理合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(GA(有))(70mm×150mm×0.8mm)、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(GA(無))(70mm×150mm×0.8mm)、高張力鋼板(70mm×150mm×1.0mm)のそれぞれに、脱脂剤(「サーフクリーナーEC92」、商品名、日本ペイント社製)を使用して、40℃で2分間脱脂処理し、次いで、実施例1〜6及び比較例1〜8で得られた表面調整用組成物を用いて、室温で30秒間表面調整処理した。用いた表面調整用組成物の組成比を表1に示す。
【0096】
続いて、それぞれの鋼板に、リン酸亜鉛処理液(「サーフダインSD6350」、商品名、日本ペイント社製)を用いて浸漬法で35℃、2分間化成処理し、水洗、純水洗、乾燥してSPC試験板、GA(有)試験板、GA(無)試験板、高張力鋼板試験板を得た。
【0097】
次に、上述した表面調整処理と同様の方法で、アルミニウム板(Al)及び合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(GA(無))を表面調整処理した。その後、表面調整処理後のアルミニウム板と合金化溶融亜鉛メッキ鋼板とをクリップにて接続した。次いで、接続した鋼板に対して、上述した化成処理と同様の方法で、化成処理、水洗、純水洗、乾燥してAl電飾部試験板を得た。
【0098】
(II)評価試験
下記の方法により、得られた表面調整用組成物のリン酸亜鉛粒子の粒径、得られた表面調整用組成物の濃厚液の安定性、並びに、得られた試験板における化成皮膜の外観、化成皮膜量、評価又は測定を行った。得られた結果をそれぞれ表2に示す。
【0099】
(i)リン酸亜鉛粒子の粒径の測定
実施例1〜6及び比較例1〜7で得られた表面調整用組成物に含まれるリン酸亜鉛粒子の粒径について、光回折式粒度測定装置(「LA−500」、商品名、堀場製作所社製)を用いて、粒度分布測定を行い、D50(分散体の平均径)をモニターし、D50を測定した。
【0100】
(ii)表面調整用組成物の濃厚液の安定性
実施例1〜6及び比較例1〜7で得られた表面調整用組成物の濃厚液を温度40℃の条件下に30日放置して、放置後の濃厚液の外観を目視にて、下記の基準で評価した。
○;リン酸亜鉛粒子が安定に分散している。
△;リン酸亜鉛粒子が分散しているが、一部は凝縮して懸濁液から分離している。
×;分離し再分散しにくい。
【0101】
(iii)化成皮膜の外観
SPC試験板、高張力鋼板試験板、Al電飾部試験板について、形成された化成皮膜の外観を、目視にて、下記の基準で評価した。また、サビが発生した場合は、「サビ発生」と記載した。
◎:全面に均一に細かく被覆されている。
〇:全面に粗く被覆されている。
△:一部被覆されていない。
×:化成皮膜がほとんど形成されていない。
【0102】
(iv)化成皮膜量
SPC試験板、Al電飾部試験板について、蛍光X線測定装置(「XRF−1700」、商品名、島津製作所社製)を使用して化成皮膜質量を測定した。なお、冷延鋼板(SPC)のように比較的化成処理性に優れた金属材料を使用した場合は、できるだけ緻密な結晶皮膜が形成されることが望ましいため、粒子径が小さく、皮膜量が少ないほうが、化成性能が高いと判断される。一方、アルミニウム板の電飾部(Al電飾部)や高張力鋼板等の難化成性金属材料の場合は、化成処理性が低いため、結晶皮膜量を増加させることが必要とされる。このため、皮膜量は多いほうが、化成性能が高いと判断される。
【0103】
(v)耐食性
SPC試験板、GA(有)試験板、GA(無)試験板について、耐食性を評価した。すなわち、先ず、化成処理後の試験板にカチオン電着塗料(「パワーニックス110」、商品名、日本ペイント社製)を乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、水洗後170℃20分間加熱して焼付け塗膜を形成した。塗膜が形成された試験板のエッジ及び裏面をテープシールし、カッターで素地金属まで達するようクロスカット疵(カット長さ:100mm)を入れて耐食性評価用試験片を作成した。次に、耐食性評価用試験片を下記の条件を1サイクルとするサイクル腐食試験(200サイクル)に供した。
塩水噴霧:温度35℃、湿度95%、2時間、5%NaCl水溶液
低湿乾燥:温度60℃、湿度20〜30%、4時間
湿潤放置:温度50℃、湿度95%以上、2時間
そして、サイクル腐食試験後の試験片における塗膜の膨れ幅を測定した。なお、膨れ幅が小さいほど耐食性が優れると判断される。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
表2に示した結果から明らかなように、本発明の表面調整用組成物を用いた場合(実施例1〜6)は、冷延鋼板(SPC)に対して、充分な皮膜量の化成皮膜が形成され、更に、複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部(Al電飾部)にも充分な皮膜量の化成皮膜が形成されていた。また、冷延鋼板(SPC)及び高張力鋼板に対して、均一な化成皮膜が形成され、更に、複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部(Al電飾部)にも均一な化成皮膜が形成されていた。さらに、本発明の表面調整用組成物を用いた場合(実施例1〜6)は、サイクル腐食試験後の試験片における塗膜の膨れ幅が小さかった。したがって、本発明の表面調整用組成物を用いると、リン酸塩化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能となることが確認された。
【0107】
また、本発明の表面調整用組成物(実施例1〜6)の濃厚液においては、長期間の放置後においてもリン酸亜鉛粒子が安定に分散していた。したがって、本発明の表面調整用組成物は、貯蔵時における安定性が優れていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本発明によれば、表面調整用組成物の貯蔵時における安定性が優れており、リン酸塩化成処理を施した場合に充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することができ、特に複数種の金属材料を同時に化成処理する際の異種金属の接触部や高張力鋼板等の難化成性金属材料に適用した場合においても充分な耐食性を有し且つ充分な皮膜量の化成皮膜を形成することが可能な表面調整用組成物、それを用いた表面調整方法、並びにそれを用いて処理された表面調整処理物を提供することが可能となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸亜鉛粒子を含有するpH3〜12の表面調整用組成物であって、
前記リン酸亜鉛粒子はD50が3μm以下のものであり、
前記表面調整用組成物が、アルカノールアミンと、没食子酸類と、水酸基含有アクリル樹脂微粒子とを含有することを特徴とする表面調整用組成物。
【請求項2】
前記アルカノールアミンは第3級のアルカノールアミンであることを特徴とする請求項1に記載の表面調整用組成物。
【請求項3】
前記水酸基含有アクリル樹脂微粒子は、D50が0.01〜3μmであり且つ水酸基価が1〜100のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面調整用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の表面調整用組成物を金属材料表面に接触させることを特徴とする表面調整方法。
【請求項5】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の表面調整用組成物を接触させて表面が調整された金属材料であることを特徴とする表面調整処理物。