説明

袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造

【課題】袋物や衣類の紐通し部に通されている引締め紐で袋口あるいは筒口が押し縮められ絞められている場合、閉められた袋口あるいは筒口を手で押し広げることなく簡単に開くことができ、また、持ち運び中に袋口あるいは筒口が緩むことがない、引締め紐による開閉紐構造を提供する。
【解決手段】袋口あるいは筒口2に紐通し口3を設けた紐通し部4を形成し、紐通し部4内に引締め紐5を一周させて、その両端を紐通し口3より引き出すとともに、環状のスライダー6に摩擦抵抗が生じるようその両端を通し、かつその環状のスライダー6に第一の持ち手8を取り付ける。前記紐を、ロックの板バネ14や圧力板17に第一の持ち手8を取り付けた環状のスライダー6に、両端を通す。また、環状のスライダー6を紐通し口3に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体の袋口や、衣類の筒口の紐通し部に通されている、袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、袋体の袋口あるいは筒口が引締め紐で押し縮められ絞られている場合、袋口あるいは筒口を開けるのに手で押し広げなければ開けることができなかったので、子供や手の力の弱い人には袋口あるいは筒口が開けにくかった。また、引締め紐に緩み止めが取り付けていなものは、持ち運び中に袋口あるいは筒口が緩みやすかった。衣類の筒口についている緩み止めは、緩み止めを移動させてから開けなければならないので、2回の動作を行わないと開くことができなかつた。特許文献1については、巾着袋において、前記袋体の挿脱口部に近い左右両側部位に、挿脱口部獲拡開用の1対の摘み片を取付けたと記載されている。特許文献2については、引締め式開閉袋の上記リング状の紐通し部2の一部に閉鎖状の開口部3を閉じ紐4に沿って外周方向に引きのばすことにより開口せしめる把手部7を設けていると記載されている。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録第3088290号
【特許文献2】 実用新案登録第3039646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、紐通し部に通されている引締め紐で袋口あるいは筒口が押し縮められ絞られて閉じられているのを開けるのに、手で押し開けなければ開くことができなかったので、子供や力のない人には袋口あるいは筒口が開けにくかった。また、引締め紐に緩み止めが取り付けられていないものは、持ち運び中に袋口あるいは筒口が緩みやすく、衣類の筒口についている緩み止めは緩み止めを移動させてから開けなければならないため、2回の動作を行わないと開くことができなかつた。特許文献1のように摘み片を取り付けその摘み片をつかんで左右に引っ張る方法では、紐通し部より離れると大きな力が必要となる。特許文献1、2とも緩み止めが付いていないので袋口が持ち運び途中で緩みやすい。本発明はこのような従来の問題を解決するものであり、絞られた袋口あるいは筒口が楽に開き、物を入れて閉めるときには緩むことなく、袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、袋口あるいは筒口2に紐通し口3を設けた紐通し部4を形成し、紐通し部4内に引締め紐5を一周させて、その両端を紐通し口3より引き出すとともに、環状のスライダー6に摩擦抵抗が生じるようその両端を通し、かつその環状のスライダー6に第一の持ち手8を取り付けたことである。
【0006】
請求項2記載の本発明の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、袋口あるいは筒口2に紐通し口3を設けた紐通し部4を形成し、紐通し部4内に引締め紐5を一周させて、その両端を紐通し口3より引き出すとともに、ロックの板バネ14や圧力板17に第一の持ち手8を取り付けた環状のスイダー6に、その両端を通したことである。
【0007】
請求項3記載の本発明の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、環状のスライダー6を紐通し口3に固定したことである。
【0008】
請求項4記載の本発明の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、袋口あるいは筒口2に第一の紐通し部4A、第二の4Bを形成し、その第一の紐通し部4A、第二の紐通し部4Bに互いに対向した第一の紐通し口3A及び第二の紐通し口3Bを設けることによって、その第一の紐通し部4A,第二の紐通し部4Bを第一の紐通し部4A半部と第二の紐通し部4B半部に分割し、第一の引締め紐5Aを第一の紐通し口3Aから第一の紐通し部4Aを通して第二の紐通し口3Bより引き出し、第二の引締め紐5Bを第一の紐通し口3Aから第二の紐通し部4Bを通して第二の紐通し口3Bより引き出し、両側の第一の紐通し口3A、第二の紐通し口3Bより出ている第一引締め紐5A、第二の引締め紐5Bの両端を、それぞれ第一の環状のスライダー6A、第二の環状のスライダー6Bを通し、かつそれぞれの第一の環状スライダー6A、第二の環状のスライダー6Bを第一の紐通し口3A及び第二の紐通し口3Bに固定したことである。
【0009】
請求項5記載の本発明の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、紐通し口3と略反対側における紐通し部4に穴12を開け、その穴12から引締め紐5に第二の持ち手10をくぐらせ取り付けたことである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、袋口あるいは筒口に通された引締め紐に環状のスライダーを通すことで、袋口あるいは筒口を閉めるときには緩むこととなく良く閉まり緩み止めとなる。また、第一の持ち手を取り付けることで、環状のスライダーを子供や手の力の弱い人にも移動しやすく袋口あるいは筒口が緩み開けやすくなる。
【0011】
本発明の請求項2記載の袋口の引締め紐による開閉紐構造は、ロックの板バネや圧力板に第一の持ち手を取り付けた環状のスライダーを通すことにより、袋口を閉めたときには引締め紐が緩まないようにロックされ、袋口を開けるときには第一の持ち手を持つとロックが解除され、引締め紐上を移動することができる。
【0012】
本発明の請求項3記載の袋口の引締め紐による開閉紐構造は、紐通し口に環状のスライダーを固定することで、今まではストッパーを移動させてから袋口あるいは筒口を開いていた動作を、第一持ち手を持って移動すると、環状のスライダーと袋口あるいは筒口が一緒に移動し楽に開けられる。また、開きたい位置まで環状のスライダー移動すると、移動した位置まで開き緩み止めとなり作業効率が良い。
【0013】
本発明の請求項4記載の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、袋口あるいは筒口左右両側の紐通し口と環状のスライダーを固定することにより、紐通し部の片側の半分の長さの引締め紐を移動することで開閉でき、とくに袋口が大きく浅い形状の袋体においては、引締め紐を長く引き出さず袋口を閉められる。
【0014】
本発明の請求項5記載の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造は、紐通し口3と略反対側に第二の持ち手が取り付けたことにより、一方の手で第一の持ち手を持ち、他方の手で第二の持ち手を持つことで環状のスライダーを移動しやすく袋口あるいは筒口が開けやすく、従来の方法に比べて弱いい力で楽に開けられ作業効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の第一の実施例袋口を開いた斜視図。
【図2】 本発明の第一の実施例の引締め紐と環状のスライダーの全体図。
【図3】 本発明の第二の実施例図2を衣類に取り付けた側面図。
【図4】 本発明の第三の実施例袋口を開いた斜視図。
【図5】 本発明の第三の実施例の環状のスライダーの断面図。
【図6】 本発明のロックの付いた環状のスライダーの斜視図。
【図7】 本発明の第四の実施例袋口を開いた斜視図。
【図8】 本発明の第五の実施例袋口を開いた斜視図。
【図9】 本発明の第五の実施例袋口を開いた側面図。
【図10】 本発明の第五の実施例引締め紐と一対の環状のスライダーの全体図。
【図11】 本発明の第五の実施例袋口を閉めた側面図。
【図12】 本発明の第六の実施例袋口を開いた斜視図。
【図13】 本発明の第六の実施例引締め紐に第二の持ち手を取り付けた全体図。
【図14】 本発明の第六の実施例袋口を閉めた側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の袋口の開閉紐の組立体の実施図を参照して説明する。
図1は巾着型の袋体1で不織布や布、合成樹脂シートの柔軟部材で作り、袋口2に紐通し口3を設けた紐通し部4をトンネル状に形成する。紐通し部4は、式締め紐5が緩く通る幅をとり、折り返して作るか、または、トンネル状になるよう部材を張り付けるか縫い付ける方法など目的に合った作り方でよい。紐通し口3より引締め紐5を紐通し部4内に一周させて両端を紐通し口3より引き出し、緩み止めとなるように緩くもなくきつくもなく摩擦抵抗が生じるよう環状のスライダー6を通し、その環状のスライダー6に第一の持ち手8を取り付け引締め紐5両端を合わせて留め付け部材7で留めるか、結び玉11で留める。環状のスライダー6には布や金属、プラスチックなどの素材で作られたリングやパイプを緩くもなくきつくもなく摩擦抵抗が生じるよう第一の持ち手8を取り付けて引締め紐5に通す。第一の持ち手8は紐やプラスチック、金属等の素材で持ちやすい長さや形状のものを取り付けるか、環状のスライダー6に合成樹脂や金属片の持ち手を取り付け一体とした部材でもよい。引締め紐5を引くと袋口2が絞られて閉じ、環状のスライダー6が袋口の緩み止めとなり持ち運びしても袋口2が緩まない。また、開けるときには、第一の持ち手8を持って、移動させると袋口2が緩み開けやすくなる。第一の持ち手8が付いているので子供や手の力の弱い人でも移動しやすい。
【0017】
図2は図1の紐通し部4に通されている引締め紐5と環状のスライダー6を表わしたものである。
【0018】
図3は衣類9のデザインにより適宜必要な部分に紐通し口3を設け紐通し部4を作りもちいたものである。環状のスライダー6が取り付けてあるため、着用時に緩むことがない。引締め紐5のかわりにゴム紐でもよい。
【0019】
図4、図1において袋口2の紐通し部4の引締め紐5に、ロックの板バネ14に第一の持ち手8を取り付けた環状のスライダー6を通したものある。環状のスライダー6に板バネ14を取り付ける板バネ通し穴15を開け、板バネ14をV字に折り曲げ一方の先端を板バネ通し穴15に固定し、板バネ14折り曲げ部16は引締め紐5を強く押し下げ引締め紐5がロックされるようにし、他方の板バネ14先端には第一の持ち手8を取り付ける。第一の持ち手8を持って板バネ14を引き上げると、板バネ14が持ち上げられてロックがはずれ環状のスライダー6が移動できる。第一の持ち手8が取り付けてあるので移動しやすい。
【0020】
図5は、図4の環状のスライダー6の断面を表わしたものである。
図(A)はロックが解除された断面図。図(B)はロックされた断面図。
【0021】
図6は、ロック構造にコイルバネ18を使い、圧力板に第一の持ち手8を取り付けた環状のスライダー6を表わしたものである。環状のスライダー6には、合成成樹脂や金属により筒状に形成し、側面に引締め紐5が通される対向した紐通し穴19A,19Bを設ける。その紐通し穴19Aより引締め紐5を押し通し、紐通し穴19Bより引き出す。通された引締め紐5はコイルバネ18が圧力板17で押されて締めつけられって止められるロック構造にし、圧力板17には圧力板17を引き上げる第一の持ち手8を取り付け、その第一の持ち手8を引き上げると、圧力板17が引き上げられロックがはずれ環状のスライダー6が移動できる。
【0022】
図7は、図1の環状のスライダー6に第一の持ち手8を取り付けた紐で紐通し口3と環状のスライダー6を一緒に固定する。固定の方法としては糸やカシメ、接着など材質に合わせて固定してよい。袋口2が閉められていても第一の持ち手8を持って環状のスライダー6を移動することで袋口が一緒に開くため、手で押し開けずにすむ。
【0023】
図8は、袋口あるいは筒口2第一の紐通し部4A、第二の紐通し部4Bを形成し、その第一の紐通し部4A、第二の紐通し部4Bに互いに対向した第一の紐通し口3A及び第二の紐通し口3Bを設けることによって、その第一の紐通し部4A,第二の紐通し部4Bを第一の紐通し部4A半部と第二の紐通し部4B半部に分割し、第一の引締め紐5Aを第一の紐通し口3Aから第一の紐通し部4Aを通して第二の紐通し口3Bより引き出し、第二の引締め紐5Bを第一の紐通し口3Aから第二の紐通し部4Bを通して第二の紐通し口3Bより引き出し、両側の第一の紐通し口3A、第二の紐通し口3Bより出ている、第一引締め紐5A、第二引締め紐5Bの両端を、それぞれ第一のスライダー6A、第二のスライダー6Bを通し、かつそれぞれの第一の環状スライダー6A、第二の環状のスライダー6Bを第一の紐通し口3A及び第二の紐通し口3Bに固定したことにより、第一の紐通し部4A第二の紐通し部4Bの長さの第一の引締め紐5A、第二の引締め紐5Bを両側に移動することで袋口が開閉できる。
【0024】
図9は、図8の袋口2が大きく浅い形状の袋体1を表わしたものである。袋口2が大きく浅い形状の袋体1では、袋口2を閉めるとき、一方に引き出される引締め紐5を長く引きださずにすむ。
【0025】
図10は、図8の袋口2に通されている引締め紐5と一対の環状のスライダー6を表わしたものである。
【0026】
図11は図8の袋口2を閉めた状態を表わしたものである。
【0027】
図12は袋口2の紐通し口3を設けた略反対側の紐通し部4に穴を開け、紐通し部4を形成する。穴12はハトメでも穴かがりでもよい。紐通し口3より紐通し部4内に引締め紐5を一周させて、その両端を紐通し口3より引き出して環状のスライダー6を通し、かつ環状のスライダー6を紐通し口3に固定紐13で固定し、引締め紐5両端は留付け部材7で留める。紐通し部4の穴12から、第二の持ち手10を紐通し部4に通されている引締め紐5にくぐらせて第二の持ち手10を取り付ける。第二の持ち手10は紐や金属、プラスチックの部材をつかい持ちやすい長さにする。一方の手で第一の持ち手8を持ち、他方の手で第二の持ち手10を持っことで環状のスライダー6を移動しやすく、楽に袋口2を開けることができる。
【0028】
図13は図12の引締め紐5全体を表わしたものである。
【0029】
図14は図12の袋口2を閉めた状態を表わしたものである。
【符号の説明】
【0030】
1 袋体
2 袋口あるいは筒口
3 紐通し口
4 紐通し部
5 引締め紐
6 環状のスライダー
7 留付け部材
8 第一の持ち手
9 衣類
10 第二の持ち手
11 結び玉
12 穴
13 固定紐
14 板バネ
15 板バネ通し穴
16 折り曲げ部
17 圧力板
18 コイルバネ
19 紐通し穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋口あるいは筒口2に紐通し口3を設けた紐通し部4を形成し、紐通し部4内に引締め紐5を一周させて、その両端を紐通し口3より引き出すとともに、環状のスライダー6に摩擦抵抗が生じるようその両端を通し、かつその環状のスライダー6に持ち手8を取り付けたことを特徴とする袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造。
【請求項2】
袋口あるいは筒口2に紐通し口3を設けた紐通し部4を形成し、紐通し部4内に引締め紐5を一周させて、その両端を紐通し口3より引き出すとともに、ロックの板バネ14や圧力板17に持ち手8を取り付けた環状のスイダー6に、その両端を通したことを特徴とする袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造。
【請求項3】
環状のスライダー6を、紐通し口3に固定したことを特徴とする請求項1、または請求項2記載の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造。
【請求項4】
袋口あるいは筒口2に第一の紐通し部4A、第二の紐通し部4Bを形成し、その第一の紐通し部4A、第二の紐通し部4Bに互いに対向した第一の紐通し口3A及び第二の紐通し口3Bを設けることによって、その第一の紐通し部4A、第二の紐通し部4Bを第一の紐通し部4A半部、第二の紐通し部4B半部に分割し、第一の引締め紐5Aを第一の紐通し口3Aから第一の紐通し部4Aを通して第二の紐通し口3Bより引き出し、第二引締め紐5Bを第一の紐通し口3Aから第二の紐通し部4Bを通して第二の紐通し口3Bより引き出し、両側の第一の紐通し口3A、第二の紐通し口3Bより出ている、第一の引締め紐5A、第二の引締め紐5Bの両端を、それぞれ第一の環状のスライダー6A第二の環状のスライダー6Bを通し、かつそれぞれの第一の環状スライダー6A、第二の環状のスライダー6Bを第一の紐通し口3A及び第二の紐通し口3Bに固定したことを特徴する請求項1、または請求項2記載の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造。
【請求項5】
紐通し口3と略反対側における紐通し部4に穴12を開け、その穴12から引締め紐5に第二の持ち手10をくぐらせ取り付けたことを特徴とする請求項1から3記載の袋口あるいは筒口の引締め紐による開閉紐構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−171689(P2012−171689A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49588(P2011−49588)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(595138421)
【Fターム(参考)】