説明

袋詰め包装方法及び袋詰め包装品

【課題】
位置決め包装品を位置決めされた状態のまま取り出すことができる袋詰め包装方法、そのような状態に包装された袋詰め包装品を提供する。
【解決手段】
品物1〜5を詰めて包装する包装袋6の品物の充填区域8に当たる包装袋6の縁7に、これと交差する方向に包装袋6を切り裂くためのノッチ9を設けた包装袋6を用いて品物1〜5を位置決めして袋詰めする。このように包装袋6の縁7に、縁7と交差する方向に包装袋6を切り裂くためのノッチ9を設けた袋を用いて品物を袋詰めしているので、袋詰め包装品10はそのノッチ9から包装袋6が切り開かれるように包装袋6を縁7に沿う方向に両手で引き裂くことで、包装袋6は品物1〜5の品物の充填区域8を通って引き裂かれ、包装袋6内に充填されている品物1〜5は、ほぼその位置に留まった状態で抜け出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋詰めされた品物を袋から容易に取り出せるようにした袋詰め包装方法、特に袋内に位置決めや整列させて袋詰めされた品物を、その位置決めや整列された状態のまま容易に取り出すことができるように包装する包装方法及び袋詰めされた品物を位置決めや整列された状態のままでも容易に取り出すことができるようにした袋詰め包装品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、サラダ用野菜類、添物野菜類、すき焼きや水炊き用などの各種鍋物用野菜、煮物用、カレー用、豚汁用など各種料理用野菜類など、洗浄したあと各種料理に適応した大きさにカットした状態の野菜類をそれら料理用に取り揃えて袋詰めやパック詰め、或いはトレーを使ってトレー包装にして提供され家庭で手軽に調理することができるようになって来ている。これらのカット野菜などは色取りを考慮して材料毎に位置決めして袋詰めやパック詰めされて提供することも行われている。これらのカット野菜類を組み合わせた商品は、各種野菜類の組合せを視覚に立体的に訴えることができる上、その詰め合わせ状態を崩さずにパックやトレー入りのまま食事の場に供することができることから、パック詰め包装やトレーを使った包装商品として提供されているものが多い。
【0003】
しかしながら、カップやパック詰め商品にすると、カップやパック、蓋、それらを包むプラスチック袋など多くの包材を使って包装が行われ商品価格に占める包材価格の割合が高く、割高な商品となるばかりでなく、包装の作業工数が多い上、商品が嵩むため運送費がかかる。更に、パック内に積み重ね状態にして包装したものでは、包装されたカット野菜やドレッシングなどの調味類が重力で下方へ沈降することが生じ、充填された野菜類が時間の経過につれて弱って来るとこの沈降が早く、商品として見劣りするものになりがちである。また、パック詰め包装やトレー包装では、パックと蓋と袋、トレーを袋やラッピング用フィルムなどを用いるため包装材料が多く、家庭ごみを増やすことに繋がって省資源化に反する。
【0004】
一方、特許文献1に示すように包装品を整列させ、又は特許文献2に示すように包装品を位置決めして袋詰めすれば、包装材料が一枚の袋で足りるので省資源化になるものの、せっかく各種材料を整列や位置決めした状態で包装しても、それを袋から取り出すときにバラバラに混ざった状態になってしまい、食卓に綺麗な色取り状態の野菜材料の組合せのままに提供することが難しいという問題が生じ、位置決めして包装された状態を保った形態で食卓に供するには袋を注意深くはさみなどで切り開いて注意深く皿に取り出すことが必要であり、そのように行なっても上手く取り出すのが難しいという問題がある。そのため、割高で省資源化に反するパック詰め包装やトレー包装が多く採用されている。
【0005】
また、姿煮した魚を袋詰めした包装品なども提供されているが、袋詰め商品を袋から取り出すときに、箸でつまんで引き出すときにちぎってしまったり壊したりすることも多く、また、袋の開口部から商品を取り出すときに汁が垂れるなど、袋詰めされた商品を取り出すのに苦労することも多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−289712号公報
【特許文献2】特願2008−174240
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の位置決めされたカット野菜などの包装商品が上記した問題点を有していた点に鑑み、本発明は、少ない包装材料と包装工数で包装することができるとともに、多量運送に適した状態で、しかも、位置決め包装品においても位置ずれが生じにくく包装することができる袋詰め包装を採用しながらも、位置決めされた状態など、包装された状態のまま包装物を取り出すことができるように袋詰めする袋詰め包装方法、及び袋詰めされた品物を袋詰めされた状態のまま容易に取り出せるようにした袋詰め包装品を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決する袋詰め包装方法として、品物を詰めて包装する袋における品物の充填区域に当たる袋の縁に同縁と交差する方向に同袋を切り開くための切開き開始部及び切開き開始部となる切込みについての表示の少なくともいずれか一方を設けた袋を用いて品物を袋詰めすることを特徴とする袋詰め包装方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記課題を解決する袋詰め包装品として、品物の充填区域に当たる袋の縁に同縁と交差する方向に同袋を切り開くための切開き開始部及び切開き開始部となる切込みについての表示の少なくともいずれか一方を設けたことを特徴とする袋詰め包装品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の袋詰め包装方法によれば、品物の充填区域に当たる袋の縁に同縁と交差する方向に同袋を切り開くための切開き開始部を設けた袋を用いて品物を袋詰めするので、得られる袋詰め包装品は、その切開き開始部から袋を切り開くように袋を両手で引き裂くことで、充填区域に充填されている品物を横切って袋が引き裂かれて除去され、袋内に充填されている品物をほぼその位置に留まったまま取り出すことができる。上記した切開き開始部を設ける代わりに、切開き開始部となる切込みを設ける箇所を表示してある袋を使って袋詰め包装した包装品にした場合は、袋詰めされている商品を取り出すときに、その表示された切込み箇所に鋏などで切れ目を入れて上記したと同様の取り出し操作を行うことができる。
【0011】
従って、上記した引き裂き動作を、食卓に乗せる皿やトレー上に袋詰め包装品を載せて行えば、袋内に位置決めして充填されていた野菜類、或いは形を整えて袋詰め包装された品物でも、その位置決めなどの状態を保ったまま、その皿やトレー上に移すことができる。また、本発明による袋詰め包装方法を袋内の脱気と併せ行うことにより、袋内に充填包装された品物は袋を形成している2枚のシートの間に挟まれて変位し難い状態になるので、位置決め包装した品物は輸送中や取り扱い中に変位するのを防止されるが、上記したように袋をその切開き開始部から切り開くことで脱気状態が解かれて内部の品物はその位置決めを保ったまま、その皿やトレー上に移して取り出すことができる。
【0012】
本発明の袋詰め包装方法及び本発明の袋詰め包装品を提供する上で使用する包装袋は、品物の充填区域に当たる袋の縁に同縁と交差する方向に、品物が充填されている区域を横切って同袋を切り裂いて開くための切開き開始部を製袋時に形成させ、また、切開き開始部となるノッチや切込みについての表示を袋に対する印刷時に行わせて容易に造ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による袋詰め包装品の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1に示した袋詰め包装品における切開き開始部から包装袋を切り開いて、内部に位置決め充填されていた品物を皿上に滑り出させつつ取り出している状態を示す模式平面図。
【図3】図2に示した袋の切裂きのあと、袋を取り除いて、袋内に位置決め包装されていた品物を皿上に取り出した状態を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、複数種類の野菜など5種類の品物1,2,3,4、及び5が包装袋6内にそれぞれ所定位置に位置決めして充填された袋詰め包装品10を示している。このように包装袋6内に複数種類の品物を並べて充填、或いは位置決めして充填するには、人手で行っても、或いは、特開2000−289712号公報や特願2008−174240号に示すように機械的に充填してもよく、その態様は限定されない。この袋詰め包装品10は品物1から5が充填されたあと、充填した品物に応じた適宜の力で両側からスポンジで押圧するなどによって脱気がなされ、袋の4方がシールによって閉じられた状態にしてある。その脱気や袋開口部のシールは公知の態様で適宜行えばよいので、その詳細については説明を省略する。
【0015】
こうして、包装袋6の内部に充填されている品物1から5は、包装袋6を構成するプラスチックシートによって挟まれて保持された状態となり、袋詰め包装品10を動かしても内部に充填された品物1から5は相互に、及び包装袋6と相対変位することなく、袋内の品物1から5は位置決めされた状態を維持する。また、図1に示すように位置決め包装された袋詰め包装品10は、比較的平らな状態に袋詰めされているので、輸送時や移送時には、積層状態にすることができるので、取扱いが容易であるとともに、低コストで輸送が可能である。
【0016】
品物を充填した包装袋6には、品物1から5が充填されている品物の充填区域8に当たる適宜の位置、図示の場合は品物の充填区域8のほぼ中央部に当たる袋の縁7に、包装袋6をその縁7と交差する方向、例えば包装袋6の縁7と直交する方向(図では水平方向に伸びている縁7と直交する上下方向)、に包装袋6を切り裂いて開くための切開き開始部(切裂き始点)としてのV字形のノッチ9が形成されている。このノッチ9を形成させた縁7に対向する反対側の縁7にはノッチ9は形成されていない。このノッチ9などの切開き開始部は製袋時に形成させる。なお、包装袋6は、このノッチ9を切裂き始点として、ノッチ9を形成させてある縁7に交差する方向、例えば、縁7に対して直角方向に、充填区域8における品物1から5のほぼ中央部を横切って簡単に切り開かれるように、延伸方向を考慮してノッチ9を形成する縁7を選択する。
また、包装袋6には、ノッチ9が形成されていることを示す適宜のマークや、そのノッチ9を開始点とする袋の引き裂き方を示す表示を付しておくのが好ましい。
【0017】
以上説明したように品物1から5が位置決めされた状態で袋詰めされた袋詰め包装品10からは、充填された位置決め状態を保った状態のまま、次のように品物1から5を取り出すことができる。袋詰め包装品10は、ノッチ9が形成されている包装袋6の縁7を手前又は向こう側になるように向けて、品物1から5を取り出し用の皿11などの上に載せ、ノッチ9が形成されている縁7の両端部分を両手で把持して図2に示すようにノッチ9から、充填されている品物1から5のほぼ中央部を横切る状態で包装袋6を切り裂きながら両側へ引き離しつつ、上方に持ち上げて行く。包装袋6内に脱気状態で保持された状態になって袋詰めされていた品物1から5は、包装袋6がノッチ9から破られることによってその保持状態から開放され、包装袋6を切り裂くにつれて、内部に充填されている品物1から5は包装袋6から、包装袋6内に位置決めされていた相互の位置関係を保ちながら徐々に抜け出て取り出し用の皿11上に滑り出る。なお、包装袋6をノッチ9から切り離す途中に両手を僅か振るわせるなどすることにより、包装袋6から品物1から5を円滑に排出させることができる。
【0018】
こうして包装袋6を引き裂きつつ包装袋6内の品物1から5を静かに徐々に抜き出させることにより、図3に示すように、取り出し用の皿11の上に、包装袋6内に位置決めされていた品物1から5は相互の位置関係を保ったまま抜け出すので、そのまま、色取り良く位置決めされた状態で取り出し用の皿11に盛り付けられて食卓に供することができる。包装袋6内に充填する品物には制限はなく、野菜、その他の食材、容器やチューブ入りの調味料やドレッシング類、カップ容器入りの食材など適宜のものであってよい。
【0019】
以上、本発明を図示した実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は図示した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図示した実施形態では、袋詰めすべき包装袋6の一つの縁7のみにノッチ9を形成させてあるが、対向する縁7にノッチ9を形成させ、どの縁7からでも包装袋6を引き裂けるようにしてもよい。また、図示した実施形態では、V字形のノッチ9を切開き開始部として形成しているが、単なる切込みなどの適宜の切開き開始部であってよい。なお、切開き開始部を設けた箇所を示す表示や、その切開き開始部からの包装袋の引き裂き方の説明を袋に表示しておくことが好ましく、特に、包装袋の縁に単なる切れ目を入れた場合は、その切開き開始部を示す目印を付けておいて開封操作を行い易くするのが好ましい。
【0020】
また、上記した実施形態では、包装袋6の切開き開始部としてのノッチ9を充填区域の中央部に当たる位置の縁7に設け、その切開き開始部から充填品物1〜5の中央部を横切って包装袋6が切裂かれるようにしているが、包装袋を切裂くのは充填区域の中央部に限定されるものではなく、包装袋を引き破ったときに、充填されている品物が包装袋の切裂け部から円滑に滑り出ることができる切裂きが行われるように、包装袋に充填されている品物の重量バランスなど品物の種類に応じて、適宜の位置に切開き開始部を設けるのが好ましい。また、上記した実施形態では、野菜の位置決め包装の場合について説明したが、形を整えて魚類を袋詰めする場合、或いは、複数種の菓子類を配色良く袋詰めしたものを、その袋詰めされた状態のまま取り出せるようにする場合などに種々適用可能であり、包装品の袋内を脱気するか否か、また、その脱気の程度は包装される品物に応じて適宜選択する。
【0021】
更にまた、上記した実施形態では、切開き部として袋の縁7にノッチ9のみを設けた場合について説明したが、そのようなノッチ9などの切開き開始部を設けることに代えて、切開き開始部となる切込みを設ける箇所を指摘する表示を付けるなど包装袋を切裂いて開くときの始点とする切込みを入れる箇所を示す切れ目入れ部についての表示を付けただけの袋詰め商品として流通させ、袋詰め包装品を解封して品物を取り出すときに、そこに鋏などで切り込みを入れて貰い、そこから包装袋を引き裂いて包装された品物を取り出せるようにした袋詰め商品にしてもよい。このやり方は、包装袋が不用意に引き裂かれるのを防ぐことが望まれる場合に採用して効果がある。
【符号の説明】
【0022】
1〜5 品物
6 包装袋
7 縁
8 品物の充填区域
9 ノッチ
10 袋詰め包装品
11 取り出し用の皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
品物を袋に詰めて包装する袋詰め包装方法であって、前記袋における品物の充填区域に当たる袋の縁に同縁と交差する方向に同袋を切り開くための切開き開始部及び切開き開始部となる切込みについての表示の少なくともいずれか一方を設けた袋を用いて品物を袋詰めすることを特徴とする袋詰め包装方法。
【請求項2】
前記袋内に複数の品物を位置決めして充填することを特徴とする請求項1に記載の袋詰め包装方法。
【請求項3】
品物を充填した後、位置決めして充填された品物が位置ずれするのを防止するよう前記袋内を脱気することを特徴とする請求項2に記載の袋詰め包装方法。
【請求項4】
品物を袋詰めした袋詰め包装品であって、前記袋には、品物の充填区域に当たる袋の縁に同縁と交差する方向に同袋を切り開くための切開き開始部及び切開き開始部となる切込みについての表示の少なくともいずれか一方を設けたことを特徴とする袋詰め包装品。
【請求項5】
前記袋内に複数の品物が位置決めして充填してあることを特徴とする請求項4に記載の袋詰め包装品。
【請求項6】
前記袋内が脱気してあることを特徴とする請求項4又は5に記載の袋詰め包装品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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