被供給物の供給方法。
【課題】本発明は、ダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランドの画像取込と位置検出を省略し、これに代えて、アイランドの位置を所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいて予測する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラで任意のアイランドに対して被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、次のアイランドまでの相対位置を前記マトリックス配置情報に基づいて予測演算して前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させて次のアイランドに対して被供給物を供給すると共に被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出する工程と、さらに次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかける工程とを有する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラで任意のアイランドに対して被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、次のアイランドまでの相対位置を前記マトリックス配置情報に基づいて予測演算して前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させて次のアイランドに対して被供給物を供給すると共に被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出する工程と、さらに次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかける工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム又は基板に対するチップやペーストなどの被供給物を供給する供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のアイランドが所定マトリックス状に配置されたリードフレーム又は基板に対して、チップやペーストなどの被供給物を各アイランドに順番に自動供給する装置として、ボンディング装置やペースト塗布装置がある。これら装置には、チップやペーストの供給前のアイランドの画像を取り込んでアイランドの位置を検出すると共に、チップやペーストを供給した後のアイランドの画像を取り込んでチップの取付状態が正常か否か、ペーストの面積に過不足がないかどうか、及びペーストの位置が適正か否かなどを検査する検査装置が組み込まれている。
【0003】
このような検査装置の一例を図8、図9に基づいて簡単に説明する。図8の検査装置10は、例えばリードフレーム12に対するペーストの塗布装置に組み込まれる。ここではペースト塗布装置は省略している。
【0004】
リードフレーム12は吸着板14に取り付けられた状態で搬送ステージ16に搭載される。搬送ステージ16はリードフレーム12をその長手方向(X方向)に搬送する。搬送ステージ16の上方にはCMOSカメラ18が配設され、このカメラ18でアイランドの画像を取り込む。搬送ステージ16とカメラ18との間には同軸落射照明装置20が配設され、光源22からの光をハーフミラー24で反射させ、アイランド26およびペースト28直上から照射した光の垂直上向き反射光がハーフミラー24を通してカメラ18で受光される。カメラ18に取り込んだアイランド26およびペースト28の画像は画像処理系21で処理する。カメラ18と同軸落射照明装置20は図示しないYテーブルに搭載されてリードフレーム12の幅方向(Y方向)に移動可能とされている。
【0005】
図10はリードフレーム12を模式的に示したもので、カメラ18の視野が矩形二点鎖線で示される。この視野は3×3のマトリックス状配置のアイランド26を収めるだけの広さがある。図11はこの視野を拡大したもので、一番目と二番目のアイランド26にペースト28が供給された状態を示している。この時、カメラ18は二番目のアイランド26の直上位置に来ている。従来の方法で三番目のアイランド26にペースト28を供給しようとする時、図11の画像を使用して二番目のアイランド26のDBI画像処理をしている間に、同じ図11の画像から三番目のアイランド26の位置検出を行う。DBI画像処理とアイランド26の位置検出をした後、前記位置検出情報に基づいて搬送ステージ16をY方向にアイランドの1ピッチ分だけ移動させ、三番目のアイランド26を所定のボンディング位置ないし供給位置に移動させる。それから三番目のアイランド26に対するダイボンディングまたはペースト供給を行い、この状態の画像を再びカメラ18に取り込む。この取り込んだ画像からチップの取り付け状態のズレ量、ペースト28の面積、及びペースト28の位置などを検出する。そして、これら検出値に基づいて次のアイランド26(4番目)に対してチップやペースト28を供給する際にチップやペースト28の供給位置およびペースト28の供給量のズレ(正常な供給位置および供給量からの乖離)を補正すべくボンディング装置ないしペースト塗布装置をフィードバック式に制御する。
【0006】
図12に従来の方法によるダイボンディングまたはペースト供給をフローチャートで示す。ステップS1で第n番目とn+1番目のアイランドの一括画像取込を行う。この時、第n番目のアイランドには既にダイボンディングまたはペースト供給が行われているものとする。ステップS2で第n番目のアイランドのDBI画像処理またはペーストの面積・位置の検出と、第n+1番目のアイランドの位置検出が同時に行われる。その後、ステップS3で前記位置検出に基づいてYテーブルを移動させ、カメラ18を第n+1番目のアイランドの真上に移動させる。そしてステップS4で第n+1番目のアイランドに対してダイボンディングまたはペースト供給を行う。以上のステップS1〜S4を繰り返してアイランドの列方向(Y方向)のダイボンディングまたはペースト供給を完了すると、リードフレームをX方向に1ピッチ分だけ搬送し、再び以上のステップS1〜S4を繰り返す。なお、従来公知のペーストの検査装置としては例えば特許文献1があり、またボンディング領域の位置認識方法については例えば特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−197026号公報
【特許文献2】特開2009−253185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のチップやペーストの供給方法は、必ずアイランドの実際の位置を画像情報として取り込んでアイランドの実際の位置を割り出してからダイボンディング又はペースト供給を行っていた。一方、製品の信頼性向上のためにダイボンディングまたはペースト供給した後のアイランドの画像もカメラに取り込んでDBI(ダイボンディング・インスペクション)画像処理や、ペーストの面積や位置を検出する必要がある。しかしながら、このようにダイボンディング又はペースト供給の前後でアイランドの画像取り込みを行うには、現在DBI画像処理の対象としているアイランドをカメラの視野に収めるだけでなく、次にダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランドまでカメラの視野に収める必要がある。すなわち、少なくとも隣接する二つのアイランドを一つのカメラの視野に収める必要がある。カメラの視野の広狭はカメラコストに大きく影響するから、カメラの低コスト化のためにはその視野を必要最低限にする必要がある。しかしながら、アイランド間のピッチは品種によって広狭様々である。このため、カメラの視野は最大ピッチに合わせて設定せざるを得ないという事情がある。また、カメラのレンズ倍率を下げてカメラの視野を拡大する方法も考えられるが、そうすると画像の分解能が落ちて検査精度が低下するから有効な解決手段にならない。
【0009】
一方、アイランドの位置は所定マトリックス状配置に基づいているため、各アイランドの位置はリードフレーム上に基準点さえ確保できれば当該基準点を元にして予測可能である。ダイボンディングまたはペースト供給した後のアイランドの画像は製品の信頼性確保のために不可欠ではあるが、アイランド位置の検出は実際のアイランドの画像を必ずしも検出しないで前述した位置予測により代替できないこともない。
【0010】
そこで本発明は、次にダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランドの画像取込と位置検出を省略する代わりに、ダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランド位置を所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいて位置予測する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明の供給方法は、複数のアイランドが所定マトリックス状に配置されたリードフレーム又は基板を被供給物の供給位置まで搬送した後、前記アイランドの所定位置に対して供給手段から順番に被供給物を供給する供給方法であって、少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラで任意のアイランドに対して被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、次のアイランドまでの相対位置を前記マトリックス配置情報に基づいて予測演算して前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させて次のアイランドに対して被供給物を供給すると共に被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出する工程と、さらに次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかける工程と、を有する。
【0012】
所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいてアイランドの位置を予測して被供給物を供給するだけでは、リードフレームの歪みやリードフレームの送り機構の誤差に基づく供給位置のズレを修正することができない。そこで、被供給物を供給した後の状態をカメラで撮像し、この撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出して次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかけるようにした。
【0013】
本発明方法においては、撮像工程で得られたアイランドの複数の位置情報を順次記憶手段に記憶すると共に、これら記憶された複数の位置情報に基づいて次に被供給物を供給するアイランドの位置を予測演算することができる。
【0014】
隣接する二つのアイランド間でピッチが連続的に逓増または逓減するような場合、撮像工程で得られたアイランドの複数の位置情報を順次記憶手段に記憶し、ピッチの逓増率または逓減率に基づいて、次に被供給物を供給するアイランドの位置をより正確に予測演算することができる。また、隣接する二つのアイランド間でアイランドの列と直角な方向(X方向)の位置ズレが発生している場合、すなわち、アイランドの列が傾斜ないし湾曲している場合も、各アイランドの位置情報から傾斜度ないし湾曲率が分かるから、次に被供給物を供給するアイランドの位置をより正確に予測演算することができる。
【0015】
本発明方法においては、最初の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と最新の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し、前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることができる。
【0016】
列方向に並んだ複数のアイランドを順番に位置予測する際に、リードフレーム又は基板にアイランドの列を傾斜させる歪みがあると前記位置予測の誤差が大きくなる。そこで、最初と最新(直近)の撮像工程で得られた二つのアイランドの位置情報に基づいてリードフレーム又は基板の傾斜θを検出する。二つのアイランドの相対距離が大きいほど前記傾斜の検出精度が高まる。
【0017】
本発明方法においては、任意の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と直近の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることができる。
【0018】
列方向に並んだ複数のアイランドを順番に位置予測する際に、リードフレーム又は基板にアイランドの列を湾曲させる歪みがあると前記位置予測の誤差が大きくなる。そこで、最新と直近の撮像工程で得られた二つのアイランドの位置情報に基づいてリードフレーム又は基板の部分的歪みを検出する。アイランドの位置予測をする際にはこの歪みも考慮することにより誤差が少なくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上のようにダイボンディングまたはペースト供給の前段階としてのアイランドの位置検出を従来のアイランドの実際の画像の取込みによるのではなく、所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいて位置予測するので、カメラの視野は少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラであればよく、これによりアイランドのピッチ間隔が広狭様々な多品種に対応できると共に、カメラの低コスト化とタクトタイムの低減の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明で使用するカメラでアイランドを捉えた状態を示すリードフレームの部分平面図。
【図2】本発明で使用するカメラの視野を示す平面図。
【図3】(A)、(B)は本発明によるアイランドに対するペーストの供給状態を示す平面図。
【図4】(A)、(B)は本発明によるアイランドに対するペーストの供給状態を示す平面図。
【図5】本発明による供給方法のフローチャート。
【図6】(A)〜(C)はアイランドの列の傾斜検出方法を示す図。
【図7】アイランドの別の傾斜検出方法を示す図。
【図8】従来のダイボンディングまたはペースト供給の検査装置の一例を示す斜視図。
【図9】カメラと同軸落射照明装置の側面図。
【図10】従来のカメラの視野の中心にアイランドを捉えた状態のリードフレームの平面図。
【図11】従来のカメラの視野を示す平面図。
【図12】従来の供給方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。なお、本発明方法は図8に示す検査装置に適用可能であるため、必要に応じて図8を参照する。また、チップやペーストの供給手段は従来品を使用可能なため、供給手段の具体的説明は省略する。図1と図2は、本発明で使用するカメラ(図8のカメラ18)の視野の中心にリードフレーム12の最初のアイランド26を捉えた状態を示す。この図から分かるように、二番目のアイランド26はカメラの視野から外れている。すなわち、本発明で使用するカメラはアイランド26の列方向(Y方向)で少なくとも1つのアイランド26を視野に収めることができるものであればよい。
【0022】
図3と図4に本発明の供給方法でペーストを供給する状態を示す。図3の(A)は任意のアイランド26(n番目)に既にペースト28を供給し、次のアイランド26(n+1番目)にペースト28を供給するために、アイランド26の所定マトリックス状配置情報に基づいて次のアイランド26の位置をY方向にyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。ここでn番目のアイランド26には正しい位置にペースト28が供給されているものとする。次のアイランド26(n+1番目)に供給したペースト28は実線で示しているが、このペースト28の位置は破線で示す本来の供給位置からΔyだけn番目のアイランド26側に離間しているものとする。このようなズレはカメラ(図8のカメラ18)を搭載したYテーブルのY方向ピッチ送り誤差やリードフレーム12の温度膨張等によって起こり得る。
【0023】
次に、図3の(B)はペースト28を供給したアイランド26(n+1番目)から次のアイランド26(n+2番目)の位置をY方向にy+Δyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。直近のアイランド26(n+1番目)では所定のマトリックス情報に基づいてY方向にyだけ離れた位置にアイランド26があると位置予測したが、この位置予測に基づいてペースト28を実際に供給してその位置をカメラで画像取り込みし検査した結果、前述の図3(A)のようにペースト供給位置がΔyだけズレていたことが分かった。そこで、このズレ(Δy)が次のアイランド26(n+2番目)でも再度起こることがないように、次のアイランド26(n+2番目)の位置予測で本来ならば所定のマトリックス情報に基づいて直近のアイランド26(n+1番目)の中心からY方向にyだけカメラ搭載のYテーブルや供給手段を移動すべきところを、y+Δyだけ移動する。これにより前記ズレ(Δy)が解消される。
【0024】
次に、図4の(A)は、図3の(A)と同様に任意のアイランド26(n番目)に既にペースト28を供給し、次のアイランド26(n+1番目)にペースト28を供給するために、アイランド26の所定マトリックス状配置情報に基づいて次のアイランド26の位置をY方向にyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。n番目のアイランド26には正しい位置にペースト28が供給されているものとする。次のアイランド26(n+1番目)に供給したペースト28は実線で示しているが、このペースト28は破線で示す本来の供給位置からΔyだけn番目のアイランド26から離れる方向に離間しているものとする。
【0025】
図4の(B)はペースト28を供給したアイランド26(n+1番目)から次のアイランド26(n+2番目)の位置をY方向にy−Δyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。直近のアイランド26(n+1番目)では所定のマトリックス情報に基づいてY方向にyだけ離れた位置にアイランド26があると位置予測したが、この位置予測に基づいてペースト28を実際に供給してその位置をカメラで画像取り込みして検査した結果、図4(A)のようにペースト供給位置がΔyだけズレていたことが分かった。そこで、このズレ(Δy)が次のアイランド26(n+2番目)でも再度起こることがないように、次のアイランド26(n+2番目)の位置予測で本来ならば所定のマトリックス情報に基づいて直近のアイランド26(n+1番目)の中心からY方向にyだけカメラ搭載のYテーブルや供給手段を移動すべきところを、y−Δyだけ移動する。これにより前記ズレ(Δy)が解消される。
【0026】
以上の工程をフローチャートで示すと図5のようになる。この図5ではペースト供給だけでなく、ダイボンディングも含めて記載してある。すなわち、本発明方法はリードフレーム又は基板に対するチップやペーストなどの被供給物を供給する供給方法すべてに広く適用可能である。図5のステップS1では第n番目のアイランドの画像取込を行う。この時、第n番目のアイランドには既にダイボンディングまたはペースト供給が行われているものとする。ステップS2で第n番目のアイランドのDBI画像処理またはペーストの面積・位置の検出と、第n+1番目のアイランドの位置予測が同時に行われる。その後、ステップS3で前記位置検出に基づいてカメラ搭載のYテーブルを1ピッチ分Y方向に移動させると共に、ステップS4で第n+1番目のアイランドに対して供給手段によりダイボンディングまたはペースト供給を行う。以上のステップS1〜S4を繰り返してアイランドの列方向のダイボンディングまたはペースト供給を完了すると、リードフレームをX方向に1ピッチ分だけ搬送し、再び以上のステップS1〜S4を繰り返す。
【0027】
以上、アイランドがY方向にズレている場合のボンディングまたはペースト供給の位置補正について説明したが、本発明はアイランドのY方向の位置ズレだけでなく、アイランドの列の傾斜によるズレにも対応可能である。図6はこのような列の傾斜に対する本発明の適用例を示す。図6(A)は傾斜のないアイランド26の列の1番目と2番目のアイランド26にペースト28を供給した状態を示す。このように列に傾斜がないアイランド26であれば前述したY方向のペースト供給位置補正のみで対応可能である。しかし、図6の(B)と(C)のように、アイランド26の列がそれぞれθだけ傾いている場合は、前述の供給位置補正方法では対応しきれない。(B)は1番目と2番目のアイランド26にペースト28を供給した状態を示しているが、1番目のアイランド26についてカメラで取り込んだ画像と、2番目のアイランド26についてカメラで取り込んだ画像をそれぞれ基準となるアイランド画像とパターンマッチングにより比較することにより、各アイランドの本来の位置からのズレ量が分かる。これらの情報から、1番目と2番目のアイランドの位置をそれぞれ検出することができ、両アイランドの中心を結ぶ直線L1を計算で求めることができる。この直線L1と列方向の直線L2とがなす角度が列の傾斜θとなる。この列の傾斜θを考慮して、カメラ搭載のYテーブルが前記傾斜θ方向に3番目のアイランド26まで移動するように、YテーブルをY方向にピッチ送りで移動させつつ、リードフレーム12をX方向にも移動させる。同様に、供給手段を3番目のアイランド26まで移動させて同アイランドに対してダイボンディングまたはペースト供給を行う。3番目以降のアイランド26に対しても同様の方法で正しい位置にペースト28を供給することができる。
【0028】
次に、図6(C)は1番目と4番目のアイランド26の各中心を結ぶ直線L3と、列方向の直線L2とがなす角度を列の傾斜θとする方法である。図6(B)のように隣接する二つのアイランド26の中心を結ぶ直線L1は、二点間距離が短いために直線L1自体の精度が十分でない場合が考えられる。特にアイランド26のピッチが非常に短い品種では尚更である。そこで、図6(C)のように最初に画像取り込みをした1番目のアイランド26の中心と、直近(最後)に画像取り込みをした(この場合は4番目の)アイランド26の中心とを結ぶ直線L3と、列方向の直線L2とがなす角度を列の傾斜θとする。この方法であれば二つのアイランド26の中心の二点間距離が大きくなるので、両アイランド26を結ぶ直線の傾斜θの精度が高まり。次に予測するアイランド26の位置精度が高まる。
【0029】
次に、図7はアイランドの列が弓なりに湾曲している場合のアイランドの位置予測を説明するためのもので、アイランドの列方向直線L2と、1番目と2番目のアイランドの中心を結ぶ直線L5との間の角度をθ1、1番目と2番目のアイランドの中心を結ぶ直線L5と、2番目と3番目のアイランドの中心を結ぶ直線L6との間の角度をθ2、2番目と3番目のアイランドの中心を結ぶ直線L6と、3番目と4番目のアイランドの中心を結ぶ直線L7との間の角度をθ3とする。アイランドのズレが発生している場合、各アイランドの画像取り込みによる位置検出によりアイランド位置情報を順次記憶手段に記憶すると共に、これら記憶された複数の位置情報に基づいて次にペーストを供給するアイランドの位置情報を予測演算する。具体的には、θ1〜θ3が同じであれば各アイランドが円弧状にズレて並んでいることが分かるから、次にペーストを供給するアイランドの位置は同じ円弧上にあると予測することができる。従って、そのような予測位置にカメラと供給手段を移動させればよい。また、θ1〜θ3が逓増している場合は、同じ逓増率が次のアイランドでも続くと予測されるから、そのような予測位置にカメラと供給手段を移動させればよい。また、θ1〜θ3が逓減している場合も同様である。
【符号の説明】
【0030】
10 検査装置
12 リードフレーム
14 吸着板
16 搬送ステージ
18 カメラ
20 同軸落射照明装置
21 画像処理系
22 光源
24 ハーフミラー
26 アイランド
28 ペースト
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム又は基板に対するチップやペーストなどの被供給物を供給する供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のアイランドが所定マトリックス状に配置されたリードフレーム又は基板に対して、チップやペーストなどの被供給物を各アイランドに順番に自動供給する装置として、ボンディング装置やペースト塗布装置がある。これら装置には、チップやペーストの供給前のアイランドの画像を取り込んでアイランドの位置を検出すると共に、チップやペーストを供給した後のアイランドの画像を取り込んでチップの取付状態が正常か否か、ペーストの面積に過不足がないかどうか、及びペーストの位置が適正か否かなどを検査する検査装置が組み込まれている。
【0003】
このような検査装置の一例を図8、図9に基づいて簡単に説明する。図8の検査装置10は、例えばリードフレーム12に対するペーストの塗布装置に組み込まれる。ここではペースト塗布装置は省略している。
【0004】
リードフレーム12は吸着板14に取り付けられた状態で搬送ステージ16に搭載される。搬送ステージ16はリードフレーム12をその長手方向(X方向)に搬送する。搬送ステージ16の上方にはCMOSカメラ18が配設され、このカメラ18でアイランドの画像を取り込む。搬送ステージ16とカメラ18との間には同軸落射照明装置20が配設され、光源22からの光をハーフミラー24で反射させ、アイランド26およびペースト28直上から照射した光の垂直上向き反射光がハーフミラー24を通してカメラ18で受光される。カメラ18に取り込んだアイランド26およびペースト28の画像は画像処理系21で処理する。カメラ18と同軸落射照明装置20は図示しないYテーブルに搭載されてリードフレーム12の幅方向(Y方向)に移動可能とされている。
【0005】
図10はリードフレーム12を模式的に示したもので、カメラ18の視野が矩形二点鎖線で示される。この視野は3×3のマトリックス状配置のアイランド26を収めるだけの広さがある。図11はこの視野を拡大したもので、一番目と二番目のアイランド26にペースト28が供給された状態を示している。この時、カメラ18は二番目のアイランド26の直上位置に来ている。従来の方法で三番目のアイランド26にペースト28を供給しようとする時、図11の画像を使用して二番目のアイランド26のDBI画像処理をしている間に、同じ図11の画像から三番目のアイランド26の位置検出を行う。DBI画像処理とアイランド26の位置検出をした後、前記位置検出情報に基づいて搬送ステージ16をY方向にアイランドの1ピッチ分だけ移動させ、三番目のアイランド26を所定のボンディング位置ないし供給位置に移動させる。それから三番目のアイランド26に対するダイボンディングまたはペースト供給を行い、この状態の画像を再びカメラ18に取り込む。この取り込んだ画像からチップの取り付け状態のズレ量、ペースト28の面積、及びペースト28の位置などを検出する。そして、これら検出値に基づいて次のアイランド26(4番目)に対してチップやペースト28を供給する際にチップやペースト28の供給位置およびペースト28の供給量のズレ(正常な供給位置および供給量からの乖離)を補正すべくボンディング装置ないしペースト塗布装置をフィードバック式に制御する。
【0006】
図12に従来の方法によるダイボンディングまたはペースト供給をフローチャートで示す。ステップS1で第n番目とn+1番目のアイランドの一括画像取込を行う。この時、第n番目のアイランドには既にダイボンディングまたはペースト供給が行われているものとする。ステップS2で第n番目のアイランドのDBI画像処理またはペーストの面積・位置の検出と、第n+1番目のアイランドの位置検出が同時に行われる。その後、ステップS3で前記位置検出に基づいてYテーブルを移動させ、カメラ18を第n+1番目のアイランドの真上に移動させる。そしてステップS4で第n+1番目のアイランドに対してダイボンディングまたはペースト供給を行う。以上のステップS1〜S4を繰り返してアイランドの列方向(Y方向)のダイボンディングまたはペースト供給を完了すると、リードフレームをX方向に1ピッチ分だけ搬送し、再び以上のステップS1〜S4を繰り返す。なお、従来公知のペーストの検査装置としては例えば特許文献1があり、またボンディング領域の位置認識方法については例えば特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−197026号公報
【特許文献2】特開2009−253185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のチップやペーストの供給方法は、必ずアイランドの実際の位置を画像情報として取り込んでアイランドの実際の位置を割り出してからダイボンディング又はペースト供給を行っていた。一方、製品の信頼性向上のためにダイボンディングまたはペースト供給した後のアイランドの画像もカメラに取り込んでDBI(ダイボンディング・インスペクション)画像処理や、ペーストの面積や位置を検出する必要がある。しかしながら、このようにダイボンディング又はペースト供給の前後でアイランドの画像取り込みを行うには、現在DBI画像処理の対象としているアイランドをカメラの視野に収めるだけでなく、次にダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランドまでカメラの視野に収める必要がある。すなわち、少なくとも隣接する二つのアイランドを一つのカメラの視野に収める必要がある。カメラの視野の広狭はカメラコストに大きく影響するから、カメラの低コスト化のためにはその視野を必要最低限にする必要がある。しかしながら、アイランド間のピッチは品種によって広狭様々である。このため、カメラの視野は最大ピッチに合わせて設定せざるを得ないという事情がある。また、カメラのレンズ倍率を下げてカメラの視野を拡大する方法も考えられるが、そうすると画像の分解能が落ちて検査精度が低下するから有効な解決手段にならない。
【0009】
一方、アイランドの位置は所定マトリックス状配置に基づいているため、各アイランドの位置はリードフレーム上に基準点さえ確保できれば当該基準点を元にして予測可能である。ダイボンディングまたはペースト供給した後のアイランドの画像は製品の信頼性確保のために不可欠ではあるが、アイランド位置の検出は実際のアイランドの画像を必ずしも検出しないで前述した位置予測により代替できないこともない。
【0010】
そこで本発明は、次にダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランドの画像取込と位置検出を省略する代わりに、ダイボンディング又はペースト供給をしようとするアイランド位置を所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいて位置予測する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明の供給方法は、複数のアイランドが所定マトリックス状に配置されたリードフレーム又は基板を被供給物の供給位置まで搬送した後、前記アイランドの所定位置に対して供給手段から順番に被供給物を供給する供給方法であって、少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラで任意のアイランドに対して被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、次のアイランドまでの相対位置を前記マトリックス配置情報に基づいて予測演算して前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させて次のアイランドに対して被供給物を供給すると共に被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出する工程と、さらに次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかける工程と、を有する。
【0012】
所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいてアイランドの位置を予測して被供給物を供給するだけでは、リードフレームの歪みやリードフレームの送り機構の誤差に基づく供給位置のズレを修正することができない。そこで、被供給物を供給した後の状態をカメラで撮像し、この撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出して次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかけるようにした。
【0013】
本発明方法においては、撮像工程で得られたアイランドの複数の位置情報を順次記憶手段に記憶すると共に、これら記憶された複数の位置情報に基づいて次に被供給物を供給するアイランドの位置を予測演算することができる。
【0014】
隣接する二つのアイランド間でピッチが連続的に逓増または逓減するような場合、撮像工程で得られたアイランドの複数の位置情報を順次記憶手段に記憶し、ピッチの逓増率または逓減率に基づいて、次に被供給物を供給するアイランドの位置をより正確に予測演算することができる。また、隣接する二つのアイランド間でアイランドの列と直角な方向(X方向)の位置ズレが発生している場合、すなわち、アイランドの列が傾斜ないし湾曲している場合も、各アイランドの位置情報から傾斜度ないし湾曲率が分かるから、次に被供給物を供給するアイランドの位置をより正確に予測演算することができる。
【0015】
本発明方法においては、最初の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と最新の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し、前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることができる。
【0016】
列方向に並んだ複数のアイランドを順番に位置予測する際に、リードフレーム又は基板にアイランドの列を傾斜させる歪みがあると前記位置予測の誤差が大きくなる。そこで、最初と最新(直近)の撮像工程で得られた二つのアイランドの位置情報に基づいてリードフレーム又は基板の傾斜θを検出する。二つのアイランドの相対距離が大きいほど前記傾斜の検出精度が高まる。
【0017】
本発明方法においては、任意の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と直近の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることができる。
【0018】
列方向に並んだ複数のアイランドを順番に位置予測する際に、リードフレーム又は基板にアイランドの列を湾曲させる歪みがあると前記位置予測の誤差が大きくなる。そこで、最新と直近の撮像工程で得られた二つのアイランドの位置情報に基づいてリードフレーム又は基板の部分的歪みを検出する。アイランドの位置予測をする際にはこの歪みも考慮することにより誤差が少なくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上のようにダイボンディングまたはペースト供給の前段階としてのアイランドの位置検出を従来のアイランドの実際の画像の取込みによるのではなく、所定マトリックス状配置の既知の情報に基づいて位置予測するので、カメラの視野は少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラであればよく、これによりアイランドのピッチ間隔が広狭様々な多品種に対応できると共に、カメラの低コスト化とタクトタイムの低減の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明で使用するカメラでアイランドを捉えた状態を示すリードフレームの部分平面図。
【図2】本発明で使用するカメラの視野を示す平面図。
【図3】(A)、(B)は本発明によるアイランドに対するペーストの供給状態を示す平面図。
【図4】(A)、(B)は本発明によるアイランドに対するペーストの供給状態を示す平面図。
【図5】本発明による供給方法のフローチャート。
【図6】(A)〜(C)はアイランドの列の傾斜検出方法を示す図。
【図7】アイランドの別の傾斜検出方法を示す図。
【図8】従来のダイボンディングまたはペースト供給の検査装置の一例を示す斜視図。
【図9】カメラと同軸落射照明装置の側面図。
【図10】従来のカメラの視野の中心にアイランドを捉えた状態のリードフレームの平面図。
【図11】従来のカメラの視野を示す平面図。
【図12】従来の供給方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。なお、本発明方法は図8に示す検査装置に適用可能であるため、必要に応じて図8を参照する。また、チップやペーストの供給手段は従来品を使用可能なため、供給手段の具体的説明は省略する。図1と図2は、本発明で使用するカメラ(図8のカメラ18)の視野の中心にリードフレーム12の最初のアイランド26を捉えた状態を示す。この図から分かるように、二番目のアイランド26はカメラの視野から外れている。すなわち、本発明で使用するカメラはアイランド26の列方向(Y方向)で少なくとも1つのアイランド26を視野に収めることができるものであればよい。
【0022】
図3と図4に本発明の供給方法でペーストを供給する状態を示す。図3の(A)は任意のアイランド26(n番目)に既にペースト28を供給し、次のアイランド26(n+1番目)にペースト28を供給するために、アイランド26の所定マトリックス状配置情報に基づいて次のアイランド26の位置をY方向にyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。ここでn番目のアイランド26には正しい位置にペースト28が供給されているものとする。次のアイランド26(n+1番目)に供給したペースト28は実線で示しているが、このペースト28の位置は破線で示す本来の供給位置からΔyだけn番目のアイランド26側に離間しているものとする。このようなズレはカメラ(図8のカメラ18)を搭載したYテーブルのY方向ピッチ送り誤差やリードフレーム12の温度膨張等によって起こり得る。
【0023】
次に、図3の(B)はペースト28を供給したアイランド26(n+1番目)から次のアイランド26(n+2番目)の位置をY方向にy+Δyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。直近のアイランド26(n+1番目)では所定のマトリックス情報に基づいてY方向にyだけ離れた位置にアイランド26があると位置予測したが、この位置予測に基づいてペースト28を実際に供給してその位置をカメラで画像取り込みし検査した結果、前述の図3(A)のようにペースト供給位置がΔyだけズレていたことが分かった。そこで、このズレ(Δy)が次のアイランド26(n+2番目)でも再度起こることがないように、次のアイランド26(n+2番目)の位置予測で本来ならば所定のマトリックス情報に基づいて直近のアイランド26(n+1番目)の中心からY方向にyだけカメラ搭載のYテーブルや供給手段を移動すべきところを、y+Δyだけ移動する。これにより前記ズレ(Δy)が解消される。
【0024】
次に、図4の(A)は、図3の(A)と同様に任意のアイランド26(n番目)に既にペースト28を供給し、次のアイランド26(n+1番目)にペースト28を供給するために、アイランド26の所定マトリックス状配置情報に基づいて次のアイランド26の位置をY方向にyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。n番目のアイランド26には正しい位置にペースト28が供給されているものとする。次のアイランド26(n+1番目)に供給したペースト28は実線で示しているが、このペースト28は破線で示す本来の供給位置からΔyだけn番目のアイランド26から離れる方向に離間しているものとする。
【0025】
図4の(B)はペースト28を供給したアイランド26(n+1番目)から次のアイランド26(n+2番目)の位置をY方向にy−Δyだけ離れた位置であると予測した状態を示す。直近のアイランド26(n+1番目)では所定のマトリックス情報に基づいてY方向にyだけ離れた位置にアイランド26があると位置予測したが、この位置予測に基づいてペースト28を実際に供給してその位置をカメラで画像取り込みして検査した結果、図4(A)のようにペースト供給位置がΔyだけズレていたことが分かった。そこで、このズレ(Δy)が次のアイランド26(n+2番目)でも再度起こることがないように、次のアイランド26(n+2番目)の位置予測で本来ならば所定のマトリックス情報に基づいて直近のアイランド26(n+1番目)の中心からY方向にyだけカメラ搭載のYテーブルや供給手段を移動すべきところを、y−Δyだけ移動する。これにより前記ズレ(Δy)が解消される。
【0026】
以上の工程をフローチャートで示すと図5のようになる。この図5ではペースト供給だけでなく、ダイボンディングも含めて記載してある。すなわち、本発明方法はリードフレーム又は基板に対するチップやペーストなどの被供給物を供給する供給方法すべてに広く適用可能である。図5のステップS1では第n番目のアイランドの画像取込を行う。この時、第n番目のアイランドには既にダイボンディングまたはペースト供給が行われているものとする。ステップS2で第n番目のアイランドのDBI画像処理またはペーストの面積・位置の検出と、第n+1番目のアイランドの位置予測が同時に行われる。その後、ステップS3で前記位置検出に基づいてカメラ搭載のYテーブルを1ピッチ分Y方向に移動させると共に、ステップS4で第n+1番目のアイランドに対して供給手段によりダイボンディングまたはペースト供給を行う。以上のステップS1〜S4を繰り返してアイランドの列方向のダイボンディングまたはペースト供給を完了すると、リードフレームをX方向に1ピッチ分だけ搬送し、再び以上のステップS1〜S4を繰り返す。
【0027】
以上、アイランドがY方向にズレている場合のボンディングまたはペースト供給の位置補正について説明したが、本発明はアイランドのY方向の位置ズレだけでなく、アイランドの列の傾斜によるズレにも対応可能である。図6はこのような列の傾斜に対する本発明の適用例を示す。図6(A)は傾斜のないアイランド26の列の1番目と2番目のアイランド26にペースト28を供給した状態を示す。このように列に傾斜がないアイランド26であれば前述したY方向のペースト供給位置補正のみで対応可能である。しかし、図6の(B)と(C)のように、アイランド26の列がそれぞれθだけ傾いている場合は、前述の供給位置補正方法では対応しきれない。(B)は1番目と2番目のアイランド26にペースト28を供給した状態を示しているが、1番目のアイランド26についてカメラで取り込んだ画像と、2番目のアイランド26についてカメラで取り込んだ画像をそれぞれ基準となるアイランド画像とパターンマッチングにより比較することにより、各アイランドの本来の位置からのズレ量が分かる。これらの情報から、1番目と2番目のアイランドの位置をそれぞれ検出することができ、両アイランドの中心を結ぶ直線L1を計算で求めることができる。この直線L1と列方向の直線L2とがなす角度が列の傾斜θとなる。この列の傾斜θを考慮して、カメラ搭載のYテーブルが前記傾斜θ方向に3番目のアイランド26まで移動するように、YテーブルをY方向にピッチ送りで移動させつつ、リードフレーム12をX方向にも移動させる。同様に、供給手段を3番目のアイランド26まで移動させて同アイランドに対してダイボンディングまたはペースト供給を行う。3番目以降のアイランド26に対しても同様の方法で正しい位置にペースト28を供給することができる。
【0028】
次に、図6(C)は1番目と4番目のアイランド26の各中心を結ぶ直線L3と、列方向の直線L2とがなす角度を列の傾斜θとする方法である。図6(B)のように隣接する二つのアイランド26の中心を結ぶ直線L1は、二点間距離が短いために直線L1自体の精度が十分でない場合が考えられる。特にアイランド26のピッチが非常に短い品種では尚更である。そこで、図6(C)のように最初に画像取り込みをした1番目のアイランド26の中心と、直近(最後)に画像取り込みをした(この場合は4番目の)アイランド26の中心とを結ぶ直線L3と、列方向の直線L2とがなす角度を列の傾斜θとする。この方法であれば二つのアイランド26の中心の二点間距離が大きくなるので、両アイランド26を結ぶ直線の傾斜θの精度が高まり。次に予測するアイランド26の位置精度が高まる。
【0029】
次に、図7はアイランドの列が弓なりに湾曲している場合のアイランドの位置予測を説明するためのもので、アイランドの列方向直線L2と、1番目と2番目のアイランドの中心を結ぶ直線L5との間の角度をθ1、1番目と2番目のアイランドの中心を結ぶ直線L5と、2番目と3番目のアイランドの中心を結ぶ直線L6との間の角度をθ2、2番目と3番目のアイランドの中心を結ぶ直線L6と、3番目と4番目のアイランドの中心を結ぶ直線L7との間の角度をθ3とする。アイランドのズレが発生している場合、各アイランドの画像取り込みによる位置検出によりアイランド位置情報を順次記憶手段に記憶すると共に、これら記憶された複数の位置情報に基づいて次にペーストを供給するアイランドの位置情報を予測演算する。具体的には、θ1〜θ3が同じであれば各アイランドが円弧状にズレて並んでいることが分かるから、次にペーストを供給するアイランドの位置は同じ円弧上にあると予測することができる。従って、そのような予測位置にカメラと供給手段を移動させればよい。また、θ1〜θ3が逓増している場合は、同じ逓増率が次のアイランドでも続くと予測されるから、そのような予測位置にカメラと供給手段を移動させればよい。また、θ1〜θ3が逓減している場合も同様である。
【符号の説明】
【0030】
10 検査装置
12 リードフレーム
14 吸着板
16 搬送ステージ
18 カメラ
20 同軸落射照明装置
21 画像処理系
22 光源
24 ハーフミラー
26 アイランド
28 ペースト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイランドが所定マトリックス状に配置されたリードフレーム又は基板を被供給物の供給位置まで搬送した後、前記アイランドの所定位置に対して供給手段から順番に被供給物を供給する供給方法であって、
少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラで任意のアイランドに対して被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、
次のアイランドまでの相対位置を前記マトリックス配置情報に基づいて予測演算して前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させて次のアイランドに対して被供給物を供給すると共に被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、
撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出する工程と、
さらに次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかける工程と、
を有する被供給物の供給方法。
【請求項2】
前記撮像工程で得られたアイランドの複数の位置情報を順次記憶手段に記憶すると共に、これら記憶された複数の位置情報に基づいて次に被供給物を供給するアイランドの位置を予測演算することを特徴とする請求項1の供給方法。
【請求項3】
最初の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と最新の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることを特徴とする請求項2の供給方法。
【請求項4】
任意の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と直近の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることを特徴とする請求項2の供給方法。
【請求項1】
複数のアイランドが所定マトリックス状に配置されたリードフレーム又は基板を被供給物の供給位置まで搬送した後、前記アイランドの所定位置に対して供給手段から順番に被供給物を供給する供給方法であって、
少なくとも1つのアイランド領域を撮像可能なカメラで任意のアイランドに対して被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、
次のアイランドまでの相対位置を前記マトリックス配置情報に基づいて予測演算して前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させて次のアイランドに対して被供給物を供給すると共に被供給物を供給した後の状態を撮像する工程と、
撮像後の画像情報から被供給物の所定供給位置からのズレを検出する工程と、
さらに次のアイランドまでの相対位置の予測演算で前記ズレを解消するように補正をかける工程と、
を有する被供給物の供給方法。
【請求項2】
前記撮像工程で得られたアイランドの複数の位置情報を順次記憶手段に記憶すると共に、これら記憶された複数の位置情報に基づいて次に被供給物を供給するアイランドの位置を予測演算することを特徴とする請求項1の供給方法。
【請求項3】
最初の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と最新の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることを特徴とする請求項2の供給方法。
【請求項4】
任意の撮像工程で得られたアイランドの位置情報と直近の撮像工程で得られたアイランドの位置情報とに基づいて前記供給手段の移動方向に対するリードフレーム又は基板の傾斜θを検出し、前記マトリックス配置情報と前記傾斜θに基づいて次のアイランドまでの相対位置を予測演算し前記供給手段を次のアイランドまで相対的に移動させることを特徴とする請求項2の供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−119323(P2011−119323A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273147(P2009−273147)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
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