説明

被包されたナノ粒子

【解決手段】
本発明は半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物に関し、前記半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸基化合物又はその誘導体からなる自己組織化層に被包されている。さらに開示するのは、半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物であって、前記半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体からなる自己組織化層に被包されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被包された(encapsulated)半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物及びその生成方法に関するものであり、ナノ粒子は、特に限定するものでないが、コア、コア/シェル又はコア/マルチシェルの半導体ナノ粒子に関し、被包されることにより、水性媒体の中にほぼ分散又は溶解されることができ、及び/又はバイオラベリングやバイオセンシング等の用途に用いるのに適している。
【背景技術】
【0002】
蛍光有機分子が抱える不利な点として、光退色、励起照射周波数の違い、広輝線放射などが挙げられる。しかし、蛍光有機分子を量子ドット(QD)の半導体ナノ粒子に置換することで、これらの問題を回避することができる。
【0003】
半導体ナノ粒子の大きさによって材料の電子特性が決定され、バンドギャップのエネルギーは、量子閉込め効果の結果として半導体ナノ粒子の大きさに反比例する。異なる大きさの量子ドットは、単一波長の光での照射によって励起され、バンド幅が狭い不連続蛍光が放射される。更に、ナノ粒子の表面積/体積比が大きいと、量子ドットの物理的及び化学的特性に大きな影響を与える。
【0004】
単一の半導体材料を含むナノ粒子は通常、物理的/化学的安定性が適度であり、その結果として、蛍光量子効率は比較的低い。量子効率がこのように低くなるのは、欠陥部で生じる非放射性の電子ホール再結合やナノ粒子表面でのダングリングボンドによる。
【0005】
コアシェルナノ粒子はシェル材を有する半導体コアを含み、該シェル材は、典型的には幅広のバンドギャップと、前記コアの表面でエピタキシャル成長した同様な格子寸法とを有する。シェルは、コアの表面から欠陥及びダングリングボンドを除去し、これにより電荷担体(charge carrier)はコア内部に閉じ込められ、非放射再結合における中心として機能する表面状態から離れる。最近では、半導体ナノ粒子の構造は、コア/マルチシェルのナノ粒子が含まれるように更に発展し、コア半導体材料に2以上のシェル層が設けられることで、ナノ粒子の物理的、化学的及び/又は光学的特性は更に向上している。
【0006】
コア及びコア/(マルチ)シェルの半導体ナノ粒子の表面は、反応性に富むダングリングボンドを有することが多く、これらは、有機リガンド化合物などの適当なリガンドの配位(coordination)によって不動態化されることができる。リガンド化合物は通常、不活性溶媒に溶解されるか、量子ドットの合成に用いられるナノ粒子コアの成長及び/又はシェル処理における溶媒として用いられる。いずれの方法も、リガンド化合物は孤立電子対を表面金属原子に提供することで、量子ドットの表面をキレート化するが、このことが粒子の凝集(aggregation)を抑制し、周囲の化学環境から粒子を保護し、電子的安定化をもたらして、相対的に非極性の媒体中で溶解性を付与することができる。
【0007】
水性環境(即ち、主として水からなる媒体)における量子ドットの幅広い適用(例えば、バイオマーカーとして、或いはバイオセンシング用途において)をこれまで制限してきた一つの要因は、量子ドットの水性媒体との不適合性であり、水性媒体中に分散又は溶解された量子ドットと安定な系を生成することができないということである。それゆえ、量子ドットを水性適合性にするため、つまり、量子ドットが水又は主として水からなる媒体の中で均一に分散できるように、一連の表面改質処理が開発されてきた。
【0008】
量子ドットの表面改質処理として最も広く用いられる処理は、“リガンド交換(ligand exchange)”である。コア合成及び/又はシェル化処理を行う間、親油性リガンド分子が、何らかの理由により、量子ドットの表面に配位し、次に、選択された極性/荷電リガンド化合物と交換される。他の表面改質法として、極性/荷電分子又はポリマー分子を、量子ドットの表面に既に配位されているリガンド分子と相互キレート化する(interchelate)ものがある。
【0009】
現在のリガンド交換及び相互キレート化処理では、量子ドットナノ粒子を水性媒体に適合性にすることはできるが、通常は、材料の量子収量が低下したり、及び/又は、対応する未改質量子ドットのサイズよりも実質的に大きくなる。
【0010】
バイオラベリングや関連する用途において量子ドットの適用を制限する他の要因は、許容可能な水性適合性を、量子ドットを所望のバイオラベリング種に結合又は関連づける能力と組み合わせることの困難さにある。
【0011】
取り組まなければならない更なる課題は、バイオラベルを担持する量子ドット含有種が、どのようにして生物学的適合性及び使用の安全性を確実に得られるかということである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、上記課題のうち1又は2以上の課題を解消するか又は軽減することである。
【0013】
本発明の第1の態様は、半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を提供するもので、該半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸基化合物又はその誘導体からなる自己組織化層(self-assembled layer)に被包されている。
【0014】
本発明の第2の態様は、半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を提供するもので、該半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合脂肪酸基ポリマー又はその誘導体からなる自己組織化層に被包されている。
【0015】
本発明の第3の態様は、半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を提供するもので、該半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体からなる自己組織化層に被包されている。
【0016】
第4の態様は、半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を提供するもので、該半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合C8−C36ジアセチレン基ポリマー又はその誘導体からなる自己組織化層に被包されている。
【0017】
本発明の上記態様が提供する被包ナノ粒子は、安定的かつ強固であり、量子収量が大きく、適切に官能化されることにより、ナノ粒子は水性適合性(aqueous compatible)、及び/又は、更なる種へ結合され、標的分子や結合部位に結合することができる。
【0018】
本発明に基づいて生成された水性適合性量子ドットは、多くの異なる用途に使用されることができ、その用途として、限定するものでないが、極性溶媒(例えば、水及び水ベースの溶媒)、電子機器、インク、ポリマー、ガラスへの添加(incorporation)、又は量子ドットナノ粒子のセル、生体分子、金属、分子等への付着(attachment)を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明について、限定するものでなく例示として示す図及び以下の実施例を参照してさらに説明する。
【0020】
【図1】図1は、例示的なジアセチレンリガンドのリストであり、全てを網羅しているものではない。
【0021】
【図2】図2は、好適なジアセチレン単量体である10,12−トリコサジイン酸の重合を示す図である。
【0022】
【図3】図3は、重合前に、量子ドット(QD)表面を、ジアセチレン単量体で官能化する際の初期段階を示す略図である。
【0023】
【図4】図4は、pH値8.5の50mMホウ酸塩緩衝剤において、好適なペグ化ポリジアセチレンリガンドに結合されたInP/ZnS量子ドットの発光スペクトルである。
【0024】
【図5】図5は、図4の結果であるInP/ZnS量子ドットについて、流体力学的サイズを標準化プロット(normalised plot)したものである。
【0025】
【図6a】図6aは、図4及び図5の結果をもたらすと分析されたInP/ZnS量子ドットの試料写真であって、環境光の下で撮影されたものである。
【図6b】図6bは、図4及び図5の結果をもたらすと分析されたInP/ZnS量子ドットの試料写真であって、360nMの紫外線の下で撮影されたものである。
【0026】
【図7】図7は、本発明に基づいて調製されたジアセチレン被包量子ドット群を、水ベースのホウ酸塩緩衝剤に分散させたときの、粒子サイズの分散度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当業者であれば理解されるように、“両親媒性(amphiphilic)”という用語は親水性と親油性の両方を有する分子を指す。本発明の幾つかの態様では脂肪酸又はその誘導体を使用し、親油性の脂肪分を含有するが、本発明の他の態様としてジアセチレン又はその誘導体を使用し、比較的長い(C8−C36)親油性の炭素鎖を含有することもできる。
【0028】
発明者はいかなる特定の理論にも制約されることを望むものではなく、半導体ナノ粒子の周りを封包層(encapsulating layer)が自己組織化するのは、脂肪酸/ジアセチレン分子の親油性領域間の疎水性相互作用によるものであり、ナノ粒子表面に結合された既存の親油性リガンドとの疎水性相互作用と選択的に組み合わせられるものと現在考えられている。後者の組織化の例は、図3に概略が示されており、ジアセチレン官能基を含有する複数の脂肪酸分子の脂肪分が、量子ドット(QD)ナノ粒子の表面に既に結合されたリガンド分子(黒色曲線で示す)の親油性領域を相互キレート化したものである。そのようにするとき、脂肪酸/ジアセチレン分子は、両親媒性の封包層の中へ自己組織化し、この層が、コーティングされたナノ粒子に水性適合性を付与し、及び/又は、更に化学的改質が施されることで、更なる機能を具えることができる。図3に示されるシステムに関する本発明の好適な実施例において、脂肪酸/ジアセチレン分子のカルボン酸基が、ポリエチレングリコール(PEG)又はその誘導体などの異なる水溶化基にまず置換され、その後、図3に示すように、封包層の自己組織化を促進するのに効果的な状況下で、ナノ粒子と接触する。
【0029】
このように、本発明は、個々に分離した被包ナノ粒子が組み込まれたナノ粒子組成物を提供するもので、各ナノ粒子には、ナノ粒子に水性適合性をもたらす表面コーティング又は層、及び/又は更なる官能化に適合した表面コーティング又は層が設けられている。
【0030】
本発明の様々な態様での好適な実施例において、半導体ナノ粒子は半導体材料、好ましくは蛍光性半導体材料からなるコアを含んでいる。半導体材料は周期律表の2〜16族のうち何れか1又は複数の族のイオンを含んでおり、これには2種の異なるイオンを含む2元材料、3種の異なるイオンを含む3元材料及び4種の異なるイオンを含む4元材料が含まれる。一例として、ナノ粒子は、例えば、限定するものでないが、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InSb、AlP、AlS、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、PbS、PbSe、Si、Ge、及びそれらの組合せ等のコア半導体材料を含むことができる。本発明に係るナノ粒子は、コアの平均直径が、望ましくは約20nm未満であり、より好ましくは約15nm未満、最も好ましくは約2〜5nmである。
【0031】
単一の半導体材料(例えば、CdS、CdSe、ZnS、ZnSe、InP、GaN等)を含むナノ粒子の量子効率は通常は比較的低いが、これは欠陥及びナノ粒子表面のダングリングボンドで生じる非放射性の電子ホール再結合に起因する。これらの問題に対して少なくとも部分的に対処するために、ナノ粒子コアは、例えば半導体材料のコアに対して、異なる材料からなる1又は複数の層(この明細書では、“シェル”と称することもある)で少なくとも部分的にコーティングされる。各シェルに含まれる物質は、周期律表の2〜16族のうち何れか1又は複数の族のイオンを含むことができる。ナノ粒子が2以上のシェルを含む場合、各シェルは異なる材料で形成されるのが好ましい。例示的なコア/シェル材料において、コアは上記材料のうち一種で形成され、シェルはコア材料よりもバンドギャップエネルギーが大きく、コア材料と同様な格子寸法を有する半導体材料から構成される。シェル材料の例として、限定するものでないが、ZnS、MgS、MgSe、MgTe及びGaNを挙げることができる。表面状態から離れて電荷担体をコア内部に閉じ込めることにより、量子ドットの安定性は向上し、量子収量は増大する。
【0032】
ナノ粒子の平均直径を変えることにより、放射波長が変えられる。エネルギーレベル、ひいてはナノ粒子蛍光放射の周波数は、ナノ粒子が作られる材料と、ナノ粒子のサイズとによって制御されることができる。一般的に、同じ材料で作られたナノ粒子は、サイズが大きくなるほど赤色発光が強くなる。好ましくは、ナノ粒子の直径は約1〜15nmであり、より好ましくは約1〜10nmである。ナノ粒子は、好ましくは約400〜900nm、より好ましくは約400〜700nmの波長を有する光を放射する。
【0033】
本発明の更なる態様は、ナノ粒子組成物を生成する方法に関する。
【0034】
第1の更なる態様は、自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物の生成方法を提供するものであって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸化合物又はその誘導体を含んでおり、前記方法は、
a.前記半導体ナノ粒子を準備する工程と、
b.前記両親媒性の脂肪酸基化合物を準備する工程と、
c.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性の脂肪酸基化合物を自己組織化させるのに適した状況下で、前記両親媒性の脂肪酸基化合物に接触させ、前記半導体ナノ粒子を封包又は少なくとも部分的に封包する自己組織化層を形成する工程と、を含んでいる。
【0035】
更なる態様は、自己組織化層の中に被包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物の生成方法を提供するものであって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合脂肪酸基ポリマー又はその誘導体を含んでおり、前記方法は、
a.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性の脂肪酸基化合物に接触させる工程と、
b.前記両親媒性の脂肪酸基化合物を重合させる工程と、を含んでいる。
【0036】
前記脂肪酸基化合物は、好ましくは、前記ナノ粒子よりも、少なくとも10倍モル過剰、より好ましくは少なくとも100倍モル過剰、最も好ましくは、少なくとも1000倍モル過剰で準備される。
【0037】
脂肪酸基化合物は、好ましくは、親水基を含有する更なる化合物と反応させることにより、ナノ粒子を脂肪酸基化合物に接触させる前に、前記親水基を前記脂肪酸基化合物に取り込むことができる。
【0038】
ナノ粒子と脂肪酸基化合物との接触は、好ましくは、適当な温度(例えば、ほぼ室温又はそれより高い温度)、及び適当な時間(少なくとも約15分)で培養(incubation)することを含み、これにより、脂肪酸基化合物がナノ粒子の周りで自己組織化し、封包層の形成を促進することができる。
【0039】
重合は、溶液ベース(固体状態ではなく)で行われるか、或いは、脂肪酸基化合物を光線照射、熱及び/又は化学的重合剤に曝露することにより行われるか、或いはその両方で行われることが好ましい。好適な実施例において、重合は脂肪酸基化合物を紫外線に約360nmで曝露することにより行われる。この曝露は、少なくとも1〜2分間、より好ましくは、約5分間行われる。曝露は、N2などの不活性雰囲気下で行ってもよい。
【0040】
更なる態様は、自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物の生成方法を提供するものであって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体を含んでおり、前記方法は、
a.前記半導体ナノ粒子を準備する工程と、
b.前記両親媒性のジアセチレン基化合物を準備する工程と、
c.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性のジアセチレン基化合物を自己組織化させるのに適した状況下で、前記両親媒性のジアセチレン基化合物に接触させ、前記半導体ナノ粒子を封包又は少なくとも部分的に封包する自己組織化層を形成する工程と、を含んでいる。
【0041】
他の態様は、自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物の生成方法を提供するものであって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合C8−C36ジアセチレン基ポリマー又はその誘導体を含んでおり、前記方法は、
a.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性のジアセチレン基化合物に接触させる工程と、
b.前記両親媒性のジアセチレン基化合物を重合させる工程と、を含んでいる。
【0042】
前記ジアセチレン基化合物は、好ましくは、前記ナノ粒子よりも、少なくとも10倍モル過剰、より好ましくは少なくとも100倍モル過剰、最も好ましくは、少なくとも1000倍モル過剰で準備される。
【0043】
ジアセチレン基化合物は、好ましくは、親水基を含有する更なる化合物と反応させることにより、ナノ粒子を脂肪酸基化合物に接触させる前に、前記親水基を前記ジアセチレン基化合物に取り込むことができる。
【0044】
ナノ粒子とジアセチレン基化合物との接触は、好ましくは、適当な温度(例えば、ほぼ室温又はそれより高い温度)、及び適当な時間(少なくとも約15分)で培養することを含み、これにより、ジアセチレン基化合物がナノ粒子の周りで自己組織化し、封包層の形成を促進することができる。
【0045】
重合は、固体状態ではなく溶液ベースであることが好ましく、そして、ジアセチレン基化合物を光線照射、熱及び/又は化学的重合剤に曝露することにより行われる。好ましくは、重合はジアセチレン基化合物を紫外線に約360nmで曝露することにより行われる。曝露は、少なくとも1〜2分間、より好ましくは、約5分間行われる。また、曝露は不活性(例えば、N2などの)雰囲気下で行ってもよい。
【0046】
典型的には、コア、コア/シェル又はコア/マルチシェルのナノ粒子を生成するのにコア及び/又はシェル処理が用いられ、その結果として、ナノ粒子は、ミリスチン酸、ヘキサデシルアミン及び/又はトリオクチルホスフィンオキシド等の表面結合リガンドで、少なくとも部分的に被覆される。このようなリガンドは通常、コア及び/又はシェル処理が行われた溶媒から得られる。この種のリガンドは、上述したように、非極性媒体中のナノ粒子の安定性を向上させ、電子安定性をもたらし、及び/又は望ましくないナノ粒子の凝集をなくすことができるが、これらのリガンドは通常、より極性の媒体(例えば、水性溶媒など)中でナノ粒子の安定な分散又は溶解を妨げる。
【0047】
好ましい実施例において、本発明が提供するナノ粒子は、その量子収量が大きく、安定で、好ましくは水性適合性である。コア及び/又はシェル処理の結果、親油性表面結合リガンド(例として、ヘキサデシルアミン、トリオクチルホスフィンオキシド、リスチン酸等が挙げられる)がナノ粒子の表面に配位されると、これらリガンドは、脂肪酸或いはジアセチレン基化合物と、全部又は部分的に交換されるか、及び/又は、脂肪酸或いはジアセチレン基化合物が、存在する親油性表面結合リガンドと相互キレート化する。
【0048】
架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸を用いた本発明の態様において、好ましくは、脂肪酸は単一の炭素−炭素結合により分離された少なくとも2つの炭素−炭素二重結合又は三重結合を含む。そのような脂肪酸は、好ましくは、前記の炭素−炭素二重結合又は三重結合により架橋結合可能である。
【0049】
特に好適な実施例において、脂肪酸はジアセチレン成分を含有し、この場合、前記脂肪酸はジアセチレン成分を介して架橋結合可能であることが好ましい。
【0050】
脂肪酸は、例えば、光架橋結合可能、熱的架橋結合可能、及び/又は化学的架橋結合可能である。
【0051】
脂肪酸が飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸であることは、当業者であれば理解されるであろう。従って、本発明の好適な実施例における脂肪酸基化合物は、好ましくは、脂肪酸の脂肪族領域を介して、ナノ粒子表面に結合される(linked)か又は連繋される(associated)。この場合、前記脂肪族領域は、ナノ粒子表面に結合された他の非脂肪酸リガンド分子に全部又は部分的に置換されるか、及び/又は相互キレート化することもできる。
【0052】
ジアセチレン基ポリマーを用いた本発明の態様では、前記ポリマーは、架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体から生じる架橋重合繰返し単位を含むことが好ましい。
【0053】
架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体を用いた態様では、前記ジアセチレン基化合物は、好ましくは、C15−C30ジアセチレン基化合物であり、より好ましくは、C18−C24ジアセチレン基化合物である。
【0054】
脂肪酸又はジアセチレン基化合物は、例えば生物学的分子(biological molecule)又は結合部位(binding site)のような、標的分子又は結合部位に選択的に結合できるように構成された結合基を含むことが好ましい。
【0055】
好適な実施例において、前記脂肪酸又はジアセチレン基化合物は、式(1)を有する。
【化1】

式(1)中、m=2〜20、n=0〜10であり、Xは、水素又は他の化学基である。
【0056】
更なる好適な実施例では、m=5〜15であり、より好ましくはm=8〜12、最も好ましくは、m=9である。nの値は、例えばn=6〜10であり、より好ましくはn=8である。
【0057】
脂肪酸又はジアセチレン基化合物は、10,12−ヘプタコサジイン酸、10,12−ヘプタデカジイン酸、10,12−ノナコサジイン酸、10,12−ペンタコサジイン酸、10,12−トリコサジイン酸、2,4−ヘンエイコサジイン酸、2,4−ヘプタデカジイン酸、2,4−ノナデカジイン酸、及び2,4−ペンタデカジイン酸から成る群より選択される脂肪酸化合物から得られることができる。
【0058】
脂肪酸又はジアセチレン基化合物は、化合物の両親媒性に寄与する親水基を含有することが好ましい。従って、式(1)において、Xは好ましくは親水基である。
【0059】
親水基は、脂肪酸化合物(式(1)のXが親水基のとき)のカルボン酸基に由来する炭素原子に結合されるか、或いは、ジアセチレン化合物の末端炭素原子に結合される。
【0060】
適当な親水基であればどんな親水基でも、脂肪酸又はジアセチレン基化合物に含有させることができる。
【0061】
適当な親水基は、ポリエーテル結合を含んでいる。前記親水基は、好ましくは、ポリエチレングリコール又はその誘導体であり、それらの平均分子量は約1〜10,000、より好ましくは約3〜7,000、最も好ましくは、約5,000である。
【0062】
親水基は、標的分子又は結合部位に選択的に結合できるように構成された結合基を含むことが好ましい。
【0063】
好適な実施例において、親水基は有機基に由来するか、或いは、硫黄、窒素、酸素及び/又はリンなどの1又は複数のヘテロ原子(即ち、非炭素原子)を含むか、或いはその両方である。例示的な親水基は、水酸化物、アルコキシド、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、ニトロ、ポリエチレングリコール、スルホン酸、スルホン酸エステル、リン酸及びリン酸エステルを含む群から得られる。
【0064】
用いられる親水基は適当であればどんな親水基でもよいが、好適な実施例では、荷電基又は極性基(例えば、水酸化物塩、アルコキシド塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩、スルホン酸塩又はリン酸塩など)である。
【0065】
カルボキシレート基もまた、カップリング/架橋結合反応(例えば、カルボン酸とアミンとの間におけるカルボジイミド媒介カップリング)に加わることができるように、或いは、他の種(タンパク質、ペプチド、抗体、炭水化物、糖脂質、糖タンパク質及び/又は核酸を含む)にカップリングされることができるように、適当な化学官能性をもたらすことができる。
【0066】
本発明の範囲は、上述した好適な実施例に限定されるものではなく、上記の本発明の各態様を包含する基本概念から逸脱することなく変更できることは理解されるであろう。
【実施例1】
【0067】
<ペグ化ジアセチレン化合物を用いた量子ドットの官能化>
カドミウムを含まない量子ドット(QD)の試料を官能化して、以下のペグ化ポリジアセチレン表面キャッピング剤を含有させた。
【0068】
まず最初に、適当な重合性単量体を生成することにより、表面キャッピング剤を調製した。DCCカップリングを用いて、10,12−トリコサジイン酸のカルボキシル末端を、同じ化学量論量のCH3−O−PEG5000−NH2に結合させた。得られたペグ化ジアセチレン化合物を、クロロホルムを用いて洗浄と析出(precipitation)を繰り返して精製した。生成物の化学的構造は、NMRにより、反応が完了したことを確認した。
【0069】
次に、予め調製されたジアセチレン単量体を、カドミウムを含まないInP/ZnS量子ドットの試料に添加した。クロロホルム中にミリスチン酸キャッピング層を有するInP/ZnS量子ドットに、1000倍(単量体/ドットのモル比)のペグ化ジアセチレン単量体を添加した。得られた溶液を、簡単にボルテックス混合(vortex-mixed)した後、50℃で30分間培養した。
【0070】
次に、InP/ZnS量子ドットに結合したペグ化ジアセチレン単量体を重合した。この重合は、コーティングされた量子ドットを含む溶液を、360nmの紫外線で5分間、N2ガス下で照射することにより行った。照射後、溶液を室温にて一晩(約15時間)保存した。
【0071】
次に、量子ドットの安定水溶液を以下のとおり調製した。量子ドット含有溶液に、官能化されていないPEG3000を1%重量/体積の比で添加した。得られた透明溶液を、回転蒸発器を用いて乾燥させた。乾燥後の残留物に、十分な量のホウ酸塩緩衝剤(50mMホウ酸ナトリウム、pH値8.0)を添加した。混合物をゆっくりかき混ぜて、残留物を完全に溶解させ、ペグ化ジアセチレンポリマーでキャッピングされた量子ドットの水溶液を得た。標準的なゲル濾過カラムを用いて、過剰のPEGと反応していない全ての単量体から量子ドットの最終調製物を精製した。
【0072】
上記手順に基づいて生成された水溶性InP/ZnS−ポリジアセチレン量子ドットの発光特性及びサイズ特性を、図4及び図5にそれぞれ示す。これらの図から分かるように、キャッピングされた量子ドットは約630nmで放出され、量子サイズの分散範囲が狭い。量子ドットが示す高レベルの水溶解度は、図6a及び図6bを参照すれば明らかであり、周辺光(図6a)及び360nMの紫外線(図6b)の下で撮影された試料写真であるこれらの図は、溶液が透明であることを示している。
【実施例2】
【0073】
実施例1にて上述した方法と類似の方法を用いて、カドミウムを含まない量子ドット(QD)の更なる試料を官能化することにより、ポリジアセチレン表面キャッピング剤を含有させた。被包された量子ドットの粒子サイズの分散度が図7に示されており、そこでは、動的光散乱と超遠心分離法(CPS)とを組み合わせた方法を用いて記録されたデータを示している。6.8nmでの大きく狭いピークは、被包された量子ドット群全域にわたる粒子サイズの分散度が低いことを示すと共に、本発明の方法により分離した被包量子ドットが得られるという結論を裏付けるものであって、各々の前記被包された量子ドットには、自己組織化したそれぞれの封包層が設けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物であって、前記半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸基化合物又はその誘導体からなる自己組織化層の中に封包されている、ナノ粒子組成物。
【請求項2】
架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸は、単一の炭素−炭素結合により分離された少なくとも2つの炭素−炭素二重結合又は三重結合を含む、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項3】
脂肪酸は、前記の炭素−炭素二重結合又は三重結合により架橋結合可能である、請求項2に記載のナノ粒子組成物。
【請求項4】
脂肪酸はジアセチレン成分を含有する、請求項1乃至3の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項5】
脂肪酸は、前記ジアセチレン成分を介して架橋結合可能である、請求項4に記載のナノ粒子組成物。
【請求項6】
脂肪酸は、光架橋結合可能、熱的架橋結合可能、及び/又は化学的架橋結合可能である、請求項1乃至5の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項7】
脂肪酸は、該脂肪酸の脂肪族領域を介してナノ粒子表面に連繋される、請求項1乃至6の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項8】
脂肪族領域は、ナノ粒子表面に結合された他の非脂肪酸リガンド分子を相互キレート化する、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項9】
脂肪酸基化合物は、標的分子又は結合部位に選択的に結合できるように構成された結合基を含む、請求項1乃至8の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項10】
脂肪酸基化合物は式(1)を有し、
【化2】

前記式(1)中、m=2〜20、n=0〜10であり、Xは、水素又は他の化学基である、請求項1乃至9の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項11】
m=5〜15である、請求項10に記載のナノ粒子組成物。
【請求項12】
m=8〜12である、請求項10に記載のナノ粒子組成物。
【請求項13】
m=9である、請求項10に記載のナノ粒子組成物。
【請求項14】
n=6〜10である、請求項10、11、12又は13の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項15】
n=8である、請求項10、11、12又は13の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項16】
脂肪酸基化合物は、10,12−ヘプタコサジイン酸、10,12−ヘプタデカジイン酸、10,12−ノナコサジイン酸、10,12−ペンタコサジイン酸、10,12−トリコサジイン酸、2,4−ヘンエイコサジイン酸、2,4−ヘプタデカジイン酸、2,4−ノナデカジイン酸、及び2,4−ペンタデカジイン酸から成る群より選択される脂肪酸化合物に由来する、請求項1乃至15の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項17】
Xは親水基である、請求項10乃至15の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項18】
脂肪酸基化合物は親水基を含んでいる、請求項1乃至15の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項19】
親水基は、脂肪酸化合物のカルボン酸基に由来する炭素原子に結合される、請求項17又は18に記載のナノ粒子組成物。
【請求項20】
親水基はポリエーテル結合を含んでいる、請求項17、18又は19に記載のナノ粒子組成物。
【請求項21】
親水基はポリエチレングリコール又はその誘導体である、請求項17、18又は19に記載のナノ粒子組成物。
【請求項22】
ポリエチレングリコールは、平均分子量が約1〜10,000である、請求項21に記載のナノ粒子組成物。
【請求項23】
ポリエチレングリコールは、平均分子量が約3〜7,000である、請求項21に記載のナノ粒子組成物。
【請求項24】
ポリエチレングリコールは、平均分子量が約5,000である、請求項21に記載のナノ粒子組成物。
【請求項25】
親水基は、標的分子又は結合部位に選択的に結合できるように構成された結合基を含む、請求項17乃至24の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項26】
半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物であって、前記半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合脂肪酸基ポリマー又はその誘導体からなる自己組織化層の中に封包されている、ナノ粒子組成物。
【請求項27】
脂肪酸基ポリマーは、架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸基化合物又はその誘導体に由来する架橋重合繰返し単位を含む、請求項26に記載のナノ粒子化合物。
【請求項28】
脂肪酸はジアセチレン成分を含んでいる、請求項26又は27に記載のナノ粒子組成物。
【請求項29】
半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物であって、前記半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体からなる自己組織化層の中に封包されている、ナノ粒子組成物。
【請求項30】
ジアセチレン基化合物はC15−C30ジアセチレン基化合物である、請求項29に記載のナノ粒子組成物。
【請求項31】
ジアセチレン基化合物はC18−C24ジアセチレン基化合物である、請求項29に記載のナノ粒子組成物。
【請求項32】
ジアセチレン基化合物は、10,12−ヘプタコサジイン酸、10,12−ヘプタデカジイン酸、10,12−ノナコサジイン酸、10,12−ペンタコサジイン酸、10,12−トリコサジイン酸、2,4−ヘンエイコサジイン酸、2,4−ヘプタデカジイン酸、2,4−ノナデカジイン酸、及び2,4−ペンタデカジイン酸から成る群より選択される脂肪酸化合物に由来する、請求項29に記載のナノ粒子組成物。
【請求項33】
ジアセチレン基化合物は式(1)を有し、
【化3】

前記式(1)中、m=2〜20、n=0〜10であり、Xは、水素又は他の化学基である、請求項29に記載のナノ粒子組成物。
【請求項34】
Xは親水基である、請求項33に記載のナノ粒子組成物。
【請求項35】
ジアセチレン基化合物は親水基を含んでいる、請求項29乃至34の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項36】
親水基は、ジアセチレン化合物の末端炭素原子に結合される、請求項34又は35に記載のナノ粒子組成物。
【請求項37】
親水基はポリエーテル結合を含んでいる、請求項34乃至36の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項38】
親水基はポリエチレングリコール又はその誘導体である、請求項34乃至36の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項39】
ジアセチレン基化合物は、標的分子又は結合部位に選択的に結合できるように構成された結合基を含む、請求項29乃至38の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項40】
半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物であって、前記半導体ナノ粒子は、両親媒性の架橋結合C8−C36ジアセチレン基ポリマー又はその誘導体からなる自己組織化層の中に封包されている、ナノ粒子組成物。
【請求項41】
ジアセチレン基ポリマーは、架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体に由来する架橋重合繰返し単位を含む、請求項40に記載のナノ粒子化合物。
【請求項42】
前記ナノ粒子はコア、コア/シェル又はコア/マルチシェルのナノ粒子である、請求項1乃至41の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項43】
前記ナノ粒子は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InSb、AlP、AlS、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、PbS、PbSe、Si、Ge、MgS、MgSe、MgTe及びそれらの組合せからなる群より選択される1又は複数の半導体材料を含む、請求項1乃至42の何れかに記載のナノ粒子組成物。
【請求項44】
自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を生成する方法であって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合可能な多元不飽和脂肪酸化合物又はその誘導体から成り、
a.前記半導体ナノ粒子を準備する工程と、
b.前記両親媒性の脂肪酸基化合物を準備する工程と、
c.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性の脂肪酸基化合物を自己組織化させるのに適した状況下で、前記両親媒性の脂肪酸基化合物に接触させ、前記半導体ナノ粒子を封包又は少なくとも部分的に封包する自己組織化層を形成する工程と、を含んでいる方法。
【請求項45】
脂肪酸基化合物は、ナノ粒子よりも、少なくとも10倍モル過剰で準備される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
脂肪酸基化合物は、ナノ粒子よりも、少なくとも100倍モル過剰で準備される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
脂肪酸基化合物は、ナノ粒子よりも、少なくとも1000倍モル過剰で準備される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
脂肪酸基化合物を、親水基を含有する更なる化合物と反応させることにより、ナノ粒子を脂肪酸基化合物に接触させる前に、前記親水基を前記脂肪酸基化合物の中に取り込む、請求項44乃至47の何れかに記載の方法。
【請求項49】
ナノ粒子と脂肪酸基化合物との接触は、室温以上の温度で培養することを含む、請求項44乃至48の何れかに記載の方法。
【請求項50】
培養は少なくとも約15分間行われる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を生成する方法であって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合脂肪酸基ポリマー又はその誘導体からなり、
a.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性の脂肪酸基化合物に接触させる工程と、
b.前記両親媒性の脂肪酸基化合物を重合する工程と、を含む方法。
【請求項52】
重合は、脂肪酸基化合物を光線照射、熱及び/又は化学的重合剤に曝露することにより行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
重合は、脂肪酸基化合物を紫外線に約360nmで曝露することにより行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記曝露は少なくとも1〜2分間行われる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を生成する方法であって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合可能なC8−C36ジアセチレン基化合物又はその誘導体からなり、
a.前記半導体ナノ粒子を準備する工程と、
b.前記両親媒性のジアセチレン基化合物を準備する工程と、
c.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性のジアセチレン基化合物を自己組織化させるのに適した状況下で、前記両親媒性のジアセチレン基化合物に接触させ、前記半導体ナノ粒子を封包又は少なくとも部分的に封包する自己組織化層を形成する工程と、を含んでいる、方法。
【請求項56】
ジアセチレン基化合物は、ナノ粒子よりも、少なくとも10倍モル過剰で準備される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ジアセチレン基化合物は、ナノ粒子よりも、少なくとも100倍モル過剰で準備される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
ジアセチレン基化合物は、ナノ粒子よりも、少なくとも1000倍モル過剰で準備される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
ジアセチレン基化合物を、親水基を含有する更なる化合物と反応させることにより、ナノ粒子を脂肪酸基化合物に接触させる前に、前記親水基を前記ジアセチレン基化合物の中に取り込む、請求項55乃至58の何れかに記載の方法。
【請求項60】
ナノ粒子とジアセチレン基化合物との接触は、室温以上の温度で培養することを含む、請求項55乃至59の何れかに記載の方法。
【請求項61】
培養は少なくとも約15分間行われる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
自己組織化層の中に封包された半導体ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を生成する方法であって、前記自己組織化層は、両親媒性の架橋結合されたC8−C36ジアセチレン基ポリマー又はその誘導体からなり、
a.前記半導体ナノ粒子を、前記両親媒性のジアセチレン基化合物に接触させる工程と、
b.前記両親媒性のジアセチレン基化合物を重合する工程と、を含む方法。
【請求項63】
重合は、ジアセチレン基化合物を光線照射、熱及び/又は化学的重合剤に曝露することにより行われる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
重合は、ジアセチレン基化合物を紫外線に約360nmで曝露することにより行われる、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記曝露は少なくとも1〜2分間行われる、請求項64に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−517011(P2012−517011A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548764(P2011−548764)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000189
【国際公開番号】WO2010/089545
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(509295262)ナノコ テクノロジーズ リミテッド (12)