被包具
【課題】特に下方から侵入してくる水及び泥水から被包対象物を保護する被包具を提供する。
【解決手段】被包具1は、可撓性、防水性を有し被包対象物2を被包可能な面積の方形に成形されたシート部材3と、前記シート部材3における方形の一つの角4aと、その角4aと対角線上に位置する角4bとに設けられた開閉手段5とからなる。前記シート部材3の内面6中央部分には、設置面Mとの定着手段たる板状の重量物10が設けられ、前記開閉手段5は、シート部材3の四つの角4a、4b、4c、4dのうちの一つの角4aのシート部材3の被包対象物2を包容する側の面(内面)6上に設けられた第1の面ファスナ7と、角4aと対角線上に位置する角4bの被包対象物2を外部から保護する側の面(外面)8上に設けられた前記第1の面ファスナ7と着脱自在な第2の面ファスナ9によって構成されている。
【解決手段】被包具1は、可撓性、防水性を有し被包対象物2を被包可能な面積の方形に成形されたシート部材3と、前記シート部材3における方形の一つの角4aと、その角4aと対角線上に位置する角4bとに設けられた開閉手段5とからなる。前記シート部材3の内面6中央部分には、設置面Mとの定着手段たる板状の重量物10が設けられ、前記開閉手段5は、シート部材3の四つの角4a、4b、4c、4dのうちの一つの角4aのシート部材3の被包対象物2を包容する側の面(内面)6上に設けられた第1の面ファスナ7と、角4aと対角線上に位置する角4bの被包対象物2を外部から保護する側の面(外面)8上に設けられた前記第1の面ファスナ7と着脱自在な第2の面ファスナ9によって構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に下方からの水分の侵入を防ぐための被包具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に置かれ雨風に晒される自動車(自走式車両)又は建築資材等に対し、自動車には防水性を備えた布を、自動車の立体的な形状に対応するように立体裁断して縫製し、下面が開口された乗り物型の袋状の自動車用ボディカバー(特許文献1)を自動車の上方から被せて装着し、また、建築資材等においては、前記布で包む様に巻いて雨風に対し保護してきた。
【特許文献1】特開2004−306875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大量の雨水により道路が冠水するなどの場合においては、特許文献1に記載の自動車用ボディカバーでは下方から侵入してくる水又は泥水に対し何ら抵抗することなく、自動車又は建築資材等は浸水を許し、自動車又は建築資材等の所有者は多大な被害を受けてしまうという欠点があった。また、被包対象物が大きい場合に被包作業が困難になるという欠点もあった。
【0004】
本発明は、特に下方から侵入してくる水及び泥水から被包対象物を保護する被包具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、被包対象物を被包可能な面積に成形された防水性を有するシート部材を備えた被包具であって、前記シート部材上に配置された前記被包対象物を下方から上方へと被包することである。
【0006】
請求項2の発明は、前記被包対象物が自走式車両であることである。
【0007】
請求項3の発明は、前記シート部材を開閉する開閉手段を備えたことである。
【0008】
請求項4の発明は、前記シート部材の設置面に対し該シート部材を定着させる定着手段を備えたことである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、被包対象物を下方から上方へと包容することにより、下方からの水又は泥水の侵入を防ぐことができると共に被包対象物の被包を容易にすることができる。また、シート部材を敷広げ、被包対象物をシート部材に配置した後に被包対象物を被包するため、自走式車両等の車輪を有した被包対象物をシート部材に配置する場合に、皺や段差が無いようにシート部材を平坦に敷広げることで車輪による被包具の巻き込みを抑える共に、車高の低い自走式車両を被包する場合においても車体に接触させることなくシート部材に配置することが可能で、被包対象物の配置を簡単にし作業性を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、下方からの水分の侵入に弱い自走式車両をシート部材により下方から上方へと被包することにより、下方から侵入してくる水分に抵抗することができると共に、質量及び形状の大きい自走式車両の被包を容易にすることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、シート部材に開閉手段を備えたことにより、被包対象物を被包してから、開閉手段で被包対象物を包んだシート部材全体を締めるので、被包対象物をコンパクトに被包できる。
【0012】
請求項4の発明によれば、冠水時の設置面からの被包具の浮き上がりを防ぎ、被包具が内部の被包対象物とともに流されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0014】
図1乃至14は、実施例1を示しており、被包具1は、被包対象物2を被包可能な面積の方形に成形されたシート部材3と、前記シート部材3における方形の一つの角4aと、その角4aと対角線上に位置する角4bとに設けられた開閉手段5とからなる。
【0015】
前記シート部材3は、防水性を有した強度の高い布を正方形に成形したたもので、被包対象物2として最低限自走式車両が被包可能な面積を有している。
【0016】
前記開閉手段5は、シート部材3の四つの角4a、4b、4c、4dにおけるうちの一つの角4aのシート部材3の被包対象物2を包容する側の面(内面)6上に設けられた第1の面ファスナ7と、角4aと対角線上に位置する角4bの被包対象物2を外部から保護する側の面(外面)8上に設けられた前記第1の面ファスナ7と着脱自在な第2の面ファスナ9によって構成されている。また第2の面ファスナ9は、第1の面ファスナ7より大きな面積に設けることが好ましい。本実施例においては、角4bから伸びた第2の面ファスナ9は、ほぼ角4aまで達しているが、第2の面ファスナ9の長さがシート部材3の対角線の長さに近いほど様々な大きさ又は形状の被包対象物2に対応可能である。
【0017】
シート部材3の内面6中央部分には、定着手段たる重量物10が設けられており、重量物10は、本実施例においては板状に形成されたものを用いているが、重量物の変形例として、図4に示す小片状の重量物11をシート部材3に点在させたものでもよいものとする。
【0018】
更に定着手段の変形例として、図5に示すようにシート部材3に貫通部12を設け、貫通部12を介しシート部材3を被包具1の設置面Mへと定着させる杭、アンカー、螺子部材等の定着部材13を備えたものでもよいものとする。
【0019】
以上の構成について作用を述べると、本実施例の被包具1を用いた被包対象物2の被包方法は、被包具1のシート部材3を内面6が上になるように所望の設置面Mに敷広げ、被包対象物である自走式車両2をシート部材3の内面6における任意の位置に配置する(図6参照)。そして、いずれかの角、例えば角4cを折り返す(図7参照)。次いで他の角、例えば角4dを折り返す(図8参照)。さらに残りの角、例えば角4bを折り返す(図9参照)。最後に角4aを折り返し、第一の面ファスナ7と第2の面ファスナ9とを接着する(図10参照)。以上の方法により被包具1による被包対象物2の被包は完了する(図1参照)。
【0020】
上記の被包手順から分るようにシート部材3の折り返しは、被包対象物2の大きさ、形状に合わせて適宜行えるので、コンパクトに被包対象物2の被包を完了させることができる。なお、被包対象物2を被包していく順序は最後に第1の面ファスナ7と第2の面ファスナ9を接着する限り、どのような手順で進めてもよい。また、手順のみならずシート部材3の折り方も本実施例で図示したものに限られない。さらに、自走式車両等の被包対象物2を包む被包具1は定型を有しないので、被包できる被包対象物2の形状や大きさに対する許容範囲が大きい。同じ被包対象物2であってその形状や大きさが多少変化した場合でも確実にそして容易に被包することができる。
【0021】
また、以上の被包方法によれば、図3に示すように設置面Mが冠水した状態においても、被包具1は下方からの水及び泥水等の水分Wの侵入を防ぎ、冠水により被包具1周りを水分Wに囲まれた場合に生じる内部の被包対象物2もろとも被包具1を上方へ持ち上げようとする浮力Fに対し、被包対象物2の自重Gと定着手段10による抵抗力Rにより、被包具1は設置面Mに接したまま留まる。
【0022】
本実施例のその他の変形例として開閉手段5は、上記実施例のような面ファスナ7,9を用いたものではなく、図11に示すようなシート部材3の縁に開閉手段5としてファスナ部材14を設け、被包具1を開閉してもよい。また、図12に示すようにシート部材3の角又は縁に開閉手段5として紐部材15を設け、被包具1を開閉してもよい。さらに、開閉手段5を設けずに図13に示すように、角4a,4b同士を直接結んでもよい。
【0023】
シート部材3の形状は、上記実施例のような正方形に限らず、被包の対象となる物品にあわせて適宜変更することが可能である。例えば図14に示すように方形を崩した菱形に成形してもよい。このように成形すれば大きな被包対象物も容易に被包することができる。
【0024】
被包対象物2としては、自走式車両に限らず、図15に示すような建築用資材16であっても、更に工具、工具箱又は物置等の箱型形状をしたものであっても構わないこととする。
【0025】
以上のように、前記実施例では請求項1に対応して、被包対象物2を被包可能な面積に成形された可撓性及び防水性を有するシート部材3であって、前記シート部材3上に配置された前記被包対象物2を下方から上方へと容易に被包することにより、下方からの水又は泥水等の水分Wの侵入を防ぐことができると共に被包対象物2の被包を容易にすることができる。また、シート部材3を敷広げ、被包対象物2をシート部材3に配置した後に被包対象物2を被包するため、自走式車両などの車輪を有した被包対象物2をシート部材3に配置する場合に、皺や段差が無いようにシート部材3を平坦に敷広げることで車輪による被包具1の巻き込みを抑える共に、車高の低い自走式車両を被包する場合においても車体に接触させることなくシート部材3に配置することが可能で、被包対象物2の配置を簡単にし作業性を向上させることができる。
【0026】
また、前記実施例では請求項2に対応して、自走式車両を被包対象物2とすることにより、下方から侵入してくる水分Wに抵抗することができると共に、質量及び形状の大きい自走式車両2の被包を容易にすることができる。
【0027】
さらに、前記実施例では請求項3に対応して、前記被包具1は、シート部材3を開閉する開閉手段5を備えたことにより、被包対象物2を被包してから、開閉手段5で被包対象物2を包んだシート部材3全体を締めるので、被包対象物2をコンパクトに被包できる。
【0028】
また、前記実施例では請求項4に対応して、前記シート部材3に、前記被包具1の設置面Mに対し前記被包具1を定着させる定着手段10を備えたことにより、冠水時の被包具1の浮き上がりを防ぎ、被包具1が内部の被包対象物2とともに流されることを防ぐことができる。
【実施例2】
【0029】
図16乃至17は、本発明の実施例2を示しており、前記第1実施例と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する部分の説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。本実施例では、シート部材3の内面6に被包可能な大きさの枠部材17が設けられている。
【0030】
前記枠部材17は複数の門型のフレーム部材18と、前記門型のフレーム18同士を水平方向に連結する連結部材19とからなる。
【0031】
以上の構成に付いて作用を述べると、シート部材3の内面6に配置された枠部材17に収まるよう被包対象物2を配置させ、被包対象物2を被包する。そうすると、図17に示すようにシート部材3の内部では、シート部材3の内面6を枠部材17が支持することにより空間Kが生じ、この空間Kにより、被包対象物2と被包具1とに隙間20,21,22が生じる。
【0032】
以上のように前記シート部材3に、被包可能な枠部材17を設けたことにより、被包対象物2を被包時に、被包具1の内面6を枠部材17が支持することにより、被包具1内部に空間Kが生じ、その空間Kにより被包対象物2と被包具1とに隙間20,21,22が生じることで、被包対象物2と被包具1の内面6との接触を抑える為、被包対象物2が被包具1との接触により傷付くことを防ぐことができる。また、外部からの被包具1への衝撃が被包具1の内面6から被包対象物2へ伝わることも防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1における被包具の使用状態を示す斜視図である。
【図2】図2(a)と図2(b)は実施例1における被包具のそれぞれ平面図と背面図である。
【図3】実施例1における被包具の使用状態における断面図である。
【図4】図4(a)と図4(b)は実施例1における重量物の変形例のそれぞれ斜視図と使用状態を示す断面図である。
【図5】図5(a)と図5(b)は実施例1における定着手段の変形例のそれぞれ斜視図と使用状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例1における被包具の被包方法(1)を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例1における被包具の被包方法(2)を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例1における被包具の被包方法(3)を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例1における被包具の被包方法(4)を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例1における被包具の被包方法(5)を示す斜視図である。
【図11】図11(a)と図11(b)は実施例1における開閉手段の変形例を示しており、それぞれ斜視図と、使用状態を示す斜視図である。
【図12】実施例1における開閉手段の変形例を示す斜視図である。
【図13】実施例1における開閉手段を用いずに被包した場合の使用状態を示す斜視図である。
【図14】実施例1におけるシート部材の変形例を示す平面図である。
【図15】図15(a)と図15(b)は実施例1における被包対象物の変形例を示しており、それぞれ斜視図と、使用状態を示す斜視図である。
【図16】図16(a)と図16(b)は本発明の実施例2における被包具のそれぞれ斜視図と、使用状態を示す斜視図である。
【図17】実施例2における被包具の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 被包具
2,16 被包対象物
3 シート部材
5,14,15 開閉手段
10,11,13 定着手段
17 枠部材
M 設置面
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に下方からの水分の侵入を防ぐための被包具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に置かれ雨風に晒される自動車(自走式車両)又は建築資材等に対し、自動車には防水性を備えた布を、自動車の立体的な形状に対応するように立体裁断して縫製し、下面が開口された乗り物型の袋状の自動車用ボディカバー(特許文献1)を自動車の上方から被せて装着し、また、建築資材等においては、前記布で包む様に巻いて雨風に対し保護してきた。
【特許文献1】特開2004−306875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大量の雨水により道路が冠水するなどの場合においては、特許文献1に記載の自動車用ボディカバーでは下方から侵入してくる水又は泥水に対し何ら抵抗することなく、自動車又は建築資材等は浸水を許し、自動車又は建築資材等の所有者は多大な被害を受けてしまうという欠点があった。また、被包対象物が大きい場合に被包作業が困難になるという欠点もあった。
【0004】
本発明は、特に下方から侵入してくる水及び泥水から被包対象物を保護する被包具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、被包対象物を被包可能な面積に成形された防水性を有するシート部材を備えた被包具であって、前記シート部材上に配置された前記被包対象物を下方から上方へと被包することである。
【0006】
請求項2の発明は、前記被包対象物が自走式車両であることである。
【0007】
請求項3の発明は、前記シート部材を開閉する開閉手段を備えたことである。
【0008】
請求項4の発明は、前記シート部材の設置面に対し該シート部材を定着させる定着手段を備えたことである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、被包対象物を下方から上方へと包容することにより、下方からの水又は泥水の侵入を防ぐことができると共に被包対象物の被包を容易にすることができる。また、シート部材を敷広げ、被包対象物をシート部材に配置した後に被包対象物を被包するため、自走式車両等の車輪を有した被包対象物をシート部材に配置する場合に、皺や段差が無いようにシート部材を平坦に敷広げることで車輪による被包具の巻き込みを抑える共に、車高の低い自走式車両を被包する場合においても車体に接触させることなくシート部材に配置することが可能で、被包対象物の配置を簡単にし作業性を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、下方からの水分の侵入に弱い自走式車両をシート部材により下方から上方へと被包することにより、下方から侵入してくる水分に抵抗することができると共に、質量及び形状の大きい自走式車両の被包を容易にすることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、シート部材に開閉手段を備えたことにより、被包対象物を被包してから、開閉手段で被包対象物を包んだシート部材全体を締めるので、被包対象物をコンパクトに被包できる。
【0012】
請求項4の発明によれば、冠水時の設置面からの被包具の浮き上がりを防ぎ、被包具が内部の被包対象物とともに流されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0014】
図1乃至14は、実施例1を示しており、被包具1は、被包対象物2を被包可能な面積の方形に成形されたシート部材3と、前記シート部材3における方形の一つの角4aと、その角4aと対角線上に位置する角4bとに設けられた開閉手段5とからなる。
【0015】
前記シート部材3は、防水性を有した強度の高い布を正方形に成形したたもので、被包対象物2として最低限自走式車両が被包可能な面積を有している。
【0016】
前記開閉手段5は、シート部材3の四つの角4a、4b、4c、4dにおけるうちの一つの角4aのシート部材3の被包対象物2を包容する側の面(内面)6上に設けられた第1の面ファスナ7と、角4aと対角線上に位置する角4bの被包対象物2を外部から保護する側の面(外面)8上に設けられた前記第1の面ファスナ7と着脱自在な第2の面ファスナ9によって構成されている。また第2の面ファスナ9は、第1の面ファスナ7より大きな面積に設けることが好ましい。本実施例においては、角4bから伸びた第2の面ファスナ9は、ほぼ角4aまで達しているが、第2の面ファスナ9の長さがシート部材3の対角線の長さに近いほど様々な大きさ又は形状の被包対象物2に対応可能である。
【0017】
シート部材3の内面6中央部分には、定着手段たる重量物10が設けられており、重量物10は、本実施例においては板状に形成されたものを用いているが、重量物の変形例として、図4に示す小片状の重量物11をシート部材3に点在させたものでもよいものとする。
【0018】
更に定着手段の変形例として、図5に示すようにシート部材3に貫通部12を設け、貫通部12を介しシート部材3を被包具1の設置面Mへと定着させる杭、アンカー、螺子部材等の定着部材13を備えたものでもよいものとする。
【0019】
以上の構成について作用を述べると、本実施例の被包具1を用いた被包対象物2の被包方法は、被包具1のシート部材3を内面6が上になるように所望の設置面Mに敷広げ、被包対象物である自走式車両2をシート部材3の内面6における任意の位置に配置する(図6参照)。そして、いずれかの角、例えば角4cを折り返す(図7参照)。次いで他の角、例えば角4dを折り返す(図8参照)。さらに残りの角、例えば角4bを折り返す(図9参照)。最後に角4aを折り返し、第一の面ファスナ7と第2の面ファスナ9とを接着する(図10参照)。以上の方法により被包具1による被包対象物2の被包は完了する(図1参照)。
【0020】
上記の被包手順から分るようにシート部材3の折り返しは、被包対象物2の大きさ、形状に合わせて適宜行えるので、コンパクトに被包対象物2の被包を完了させることができる。なお、被包対象物2を被包していく順序は最後に第1の面ファスナ7と第2の面ファスナ9を接着する限り、どのような手順で進めてもよい。また、手順のみならずシート部材3の折り方も本実施例で図示したものに限られない。さらに、自走式車両等の被包対象物2を包む被包具1は定型を有しないので、被包できる被包対象物2の形状や大きさに対する許容範囲が大きい。同じ被包対象物2であってその形状や大きさが多少変化した場合でも確実にそして容易に被包することができる。
【0021】
また、以上の被包方法によれば、図3に示すように設置面Mが冠水した状態においても、被包具1は下方からの水及び泥水等の水分Wの侵入を防ぎ、冠水により被包具1周りを水分Wに囲まれた場合に生じる内部の被包対象物2もろとも被包具1を上方へ持ち上げようとする浮力Fに対し、被包対象物2の自重Gと定着手段10による抵抗力Rにより、被包具1は設置面Mに接したまま留まる。
【0022】
本実施例のその他の変形例として開閉手段5は、上記実施例のような面ファスナ7,9を用いたものではなく、図11に示すようなシート部材3の縁に開閉手段5としてファスナ部材14を設け、被包具1を開閉してもよい。また、図12に示すようにシート部材3の角又は縁に開閉手段5として紐部材15を設け、被包具1を開閉してもよい。さらに、開閉手段5を設けずに図13に示すように、角4a,4b同士を直接結んでもよい。
【0023】
シート部材3の形状は、上記実施例のような正方形に限らず、被包の対象となる物品にあわせて適宜変更することが可能である。例えば図14に示すように方形を崩した菱形に成形してもよい。このように成形すれば大きな被包対象物も容易に被包することができる。
【0024】
被包対象物2としては、自走式車両に限らず、図15に示すような建築用資材16であっても、更に工具、工具箱又は物置等の箱型形状をしたものであっても構わないこととする。
【0025】
以上のように、前記実施例では請求項1に対応して、被包対象物2を被包可能な面積に成形された可撓性及び防水性を有するシート部材3であって、前記シート部材3上に配置された前記被包対象物2を下方から上方へと容易に被包することにより、下方からの水又は泥水等の水分Wの侵入を防ぐことができると共に被包対象物2の被包を容易にすることができる。また、シート部材3を敷広げ、被包対象物2をシート部材3に配置した後に被包対象物2を被包するため、自走式車両などの車輪を有した被包対象物2をシート部材3に配置する場合に、皺や段差が無いようにシート部材3を平坦に敷広げることで車輪による被包具1の巻き込みを抑える共に、車高の低い自走式車両を被包する場合においても車体に接触させることなくシート部材3に配置することが可能で、被包対象物2の配置を簡単にし作業性を向上させることができる。
【0026】
また、前記実施例では請求項2に対応して、自走式車両を被包対象物2とすることにより、下方から侵入してくる水分Wに抵抗することができると共に、質量及び形状の大きい自走式車両2の被包を容易にすることができる。
【0027】
さらに、前記実施例では請求項3に対応して、前記被包具1は、シート部材3を開閉する開閉手段5を備えたことにより、被包対象物2を被包してから、開閉手段5で被包対象物2を包んだシート部材3全体を締めるので、被包対象物2をコンパクトに被包できる。
【0028】
また、前記実施例では請求項4に対応して、前記シート部材3に、前記被包具1の設置面Mに対し前記被包具1を定着させる定着手段10を備えたことにより、冠水時の被包具1の浮き上がりを防ぎ、被包具1が内部の被包対象物2とともに流されることを防ぐことができる。
【実施例2】
【0029】
図16乃至17は、本発明の実施例2を示しており、前記第1実施例と同一機能を有する部分には同一符号を付し、重複する部分の説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。本実施例では、シート部材3の内面6に被包可能な大きさの枠部材17が設けられている。
【0030】
前記枠部材17は複数の門型のフレーム部材18と、前記門型のフレーム18同士を水平方向に連結する連結部材19とからなる。
【0031】
以上の構成に付いて作用を述べると、シート部材3の内面6に配置された枠部材17に収まるよう被包対象物2を配置させ、被包対象物2を被包する。そうすると、図17に示すようにシート部材3の内部では、シート部材3の内面6を枠部材17が支持することにより空間Kが生じ、この空間Kにより、被包対象物2と被包具1とに隙間20,21,22が生じる。
【0032】
以上のように前記シート部材3に、被包可能な枠部材17を設けたことにより、被包対象物2を被包時に、被包具1の内面6を枠部材17が支持することにより、被包具1内部に空間Kが生じ、その空間Kにより被包対象物2と被包具1とに隙間20,21,22が生じることで、被包対象物2と被包具1の内面6との接触を抑える為、被包対象物2が被包具1との接触により傷付くことを防ぐことができる。また、外部からの被包具1への衝撃が被包具1の内面6から被包対象物2へ伝わることも防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1における被包具の使用状態を示す斜視図である。
【図2】図2(a)と図2(b)は実施例1における被包具のそれぞれ平面図と背面図である。
【図3】実施例1における被包具の使用状態における断面図である。
【図4】図4(a)と図4(b)は実施例1における重量物の変形例のそれぞれ斜視図と使用状態を示す断面図である。
【図5】図5(a)と図5(b)は実施例1における定着手段の変形例のそれぞれ斜視図と使用状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例1における被包具の被包方法(1)を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例1における被包具の被包方法(2)を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例1における被包具の被包方法(3)を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例1における被包具の被包方法(4)を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例1における被包具の被包方法(5)を示す斜視図である。
【図11】図11(a)と図11(b)は実施例1における開閉手段の変形例を示しており、それぞれ斜視図と、使用状態を示す斜視図である。
【図12】実施例1における開閉手段の変形例を示す斜視図である。
【図13】実施例1における開閉手段を用いずに被包した場合の使用状態を示す斜視図である。
【図14】実施例1におけるシート部材の変形例を示す平面図である。
【図15】図15(a)と図15(b)は実施例1における被包対象物の変形例を示しており、それぞれ斜視図と、使用状態を示す斜視図である。
【図16】図16(a)と図16(b)は本発明の実施例2における被包具のそれぞれ斜視図と、使用状態を示す斜視図である。
【図17】実施例2における被包具の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 被包具
2,16 被包対象物
3 シート部材
5,14,15 開閉手段
10,11,13 定着手段
17 枠部材
M 設置面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包対象物を被包可能な面積に成形された防水性を有するシート部材を備えた被包具であって、前記シート部材上に配置された前記被包対象物を下方から上方へと被包することを特徴とする被包具。
【請求項2】
前記被包対象物が自走式車両であることを特徴とする請求項1記載の被包具。
【請求項3】
前記シート部材を開閉する開閉手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の被包具。
【請求項4】
前記シート部材の設置面に対し該シート部材を定着させる定着手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の被包具。
【請求項1】
被包対象物を被包可能な面積に成形された防水性を有するシート部材を備えた被包具であって、前記シート部材上に配置された前記被包対象物を下方から上方へと被包することを特徴とする被包具。
【請求項2】
前記被包対象物が自走式車両であることを特徴とする請求項1記載の被包具。
【請求項3】
前記シート部材を開閉する開閉手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の被包具。
【請求項4】
前記シート部材の設置面に対し該シート部材を定着させる定着手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の被包具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−153394(P2007−153394A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351253(P2005−351253)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(505449117)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(505449117)
【Fターム(参考)】
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