説明

被封籤及び被封籤の使用方法

【課題】籤情報を紙等の基材で被覆した被封籤及びこの被封籤の使用方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】剥離紙,粘着剤層,第一の基材,擬似接着剤形成層,剥離剤層,第二の基材の順に積層された被封籤であって、第一の基材には籤情報が形成され、前記籤情報を取り囲む形状の第一の切込みが形成され、第二の基材には表出面に少なくとも説明文が印刷され、前記第一の切込みの内側に位置するように籤情報を取り囲む第二の切込みが形成された被封籤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籤情報を紙等の基材で被覆した被封籤及び被封籤の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在利用されている籤は、大きく、開封籤,スクラッチ籤(インスタント籤,被封籤などと呼ばれるが、以下の本発明の籤に関する説明では、本発明のイメージに最も相応しい被封籤という表現を使用する),数字選択籤に分けることができる。
まず、開封籤は、一意の番号が印刷された券を一定の金額で購入し、後日、発表された番号が一致すれば当せん金を受け取ることのできる籤である。各種宝くじなどはこの開封籤に該当する。
次に、スクラッチ籤は、券面に予め「当たり」、「はずれ」,「当たり番号」等が印刷され、その上から被覆材料で印刷されて、購入後にコインなどで被覆材料を外すと結果がわかる籤で、前述のように「インスタント籤」,「被封籤」などと呼ばれるものである。
また、数字選択籤は、一定のルールに従った任意の番号の組み合わせを指定した券を一定の金額で購入し、後で行われる抽せんで組み合わせ番号が一致すれば当せん金を受け取ることのできる籤である。
【0003】
前述のスクラッチ籤は、籤情報が被覆されている部分は鉛色や黒色になっているが、その上にフルカラーの印刷を施した「フルカラースクラッチオフ籤券」が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−156266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のスクラッチ籤は、隠蔽層上、または、籤券の全面にフルカラー印刷による柄層を設けることで隠蔽層の再構築を困難にさせ、偽造防止、改竄防止効果を向上させるというもので、スクラッチオフ籤券の抽選部領域を被覆する被覆層上又は籤券の全面にフルカラー印刷層を設けたスクラッチオフ籤券であり、このフルカラー印刷層を特殊インキを用いた多色ベタ印刷或いは網点によるプロセスカラー印刷で構成し、このフルカラー印刷層を籤券の絵柄層と同調させて設けたフルカラースクラッチオフ籤券であるとしている。
しかしながら、スクラッチ券にも使用方法がいくつかあって、例えば、スクラッチ部分を削って現れた籤情報を携帯電話などの通信端末に入力して応募するものや、スクラッチ部分は削らないで、籤情報が被覆されたままのシールを葉書などに貼付して送付(応募)するものがある。
籤情報が被覆されたままのシールを葉書などに貼付して応募する籤の場合、裏面に印刷された注意書きを読まなかったために、スクラッチ部を削ってしまい、無効になることがしばしばあった。
そこで、本発明は、籤情報を紙等の基材で被覆した被封籤及びこの被封籤の使用方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題の目的を達成するために、本発明の被封籤の第一の態様は、剥離紙,粘着剤層,第一の基材,擬似接着剤形成層,剥離剤層,第二の基材の順に積層された被封籤であって、第一の基材には籤情報が形成され、前記籤情報を取り囲む形状の第一の切込みが形成され、第二の基材には表出面に少なくとも説明文が印刷され、前記第一の切込みの内側に位置するように籤情報を取り囲む第二の切込みが形成されたことを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の態様は、第一の態様において、第一の切り込みは、アンカット部を含まない切込みで、第二の切り込みは、微細なアンカット部を有するミシン目状の切込みであることを特徴とするものである。
【0008】
また、第三の態様は、第一,第二何れかの態様において、擬似接着剤はパターン状に形成され、パターンの一部は第二の切り込みの内側に沿って形成されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、第四の態様は、第一から第三何れかの態様において、第二の基材の表出面には、引き剥がしのための切り込み、または、印刷による引き剥がし表示が形成されたことを特徴とするものである。
【0010】
また、第五の態様は、第一から第四何れかの態様の被封籤の使用方法であって、送付側による、第二の基材の表出面に印刷された説明文の内容を確認するステップと、引き剥がし部を始点として第二の基材を擬似接着剤形成層と剥離剤層の間から剥がし始めるステップと、第一の基材上に第二の切り込みの内側紙片を残して第一の基材から第二の基材を剥がし取るステップと、第一の切り込みの内側部分を送付用被封籤片として剥離紙から粘着剤層を伴って剥ぎ取るステップと、前記剥ぎ取った送付用被封籤片を送付関連媒体に貼付するステップと、送付先側による、送付用被封籤片から第二の基材を剥ぎ取り、籤情報を読み取るステップと、を含むステップからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
1)本発明の被封籤の、第一の態様のように、剥離紙,粘着剤層,第一の基材,擬似接着剤形成層,剥離剤層,第二の基材の順に積層された被封籤であって、第一の基材には籤情報が形成され、前記籤情報を取り囲む形状の第一の切込みが形成され、第二の基材には表出面に少なくとも説明文が印刷され、前記第一の切込みの内側に位置するように籤情報を取り囲む第二の切込みが形成されたことによって、籤情報の上に形成された被覆部が削られて籤情報が表出するトラブルがなくなる。
また、籤情報の上にスクラッチ材料が形成されていないために、スクラッチ材料を除去する作業が不要となる。
また、籤情報を表出させてはいけない籤に対して、誤って表出させてしまうというトラブル防止することができる。
2)また、第二の態様のように、第一の態様において、第一の切り込みは、アンカット部を含まない切込みとすることによって、前述の「送付用被封籤片」を剥がしやすくすることができる。また、第二の切り込みは、微細なアンカット部を有するミシン目状の切込みであることによって、籤情報を被覆している紙片が真っ先に剥がされるトラブルを防ぐことができる。
3)また、第三の態様のように、第一,第二何れかの態様において、擬似接着剤はパターン状に形成され、パターンの一部は第二の切り込みの内側に沿って形成されたことによって、第二の基材を剥がすときに、第二の切込みから正確に切り取られ、籤情報を被覆している紙片を確実に第一の基材上に残すことができる。
4)また、第四の態様のように、第一から第三何れかの態様において、第二の基材の表出面には、引き剥がしのための切り込み、または、印刷による引き剥がし表示が形成されたことによって、引き剥がしによるトラブルを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の被封籤及び被封籤の使用方法について説明する。
図1は、本発明の被封籤の一例について説明するための図,図2は、図1のX−X線断面の一例について説明するための図,図3は、本発明の被封籤の使用方法の一例について説明するための図,である。
【0013】
図1を参照して、本発明の被封籤の一例について説明する。
本発明の被封籤1は、図示しないが、剥離紙,粘着剤層,第一の基材,擬似接着剤形成層,剥離剤層,第二の基材の順に積層されている。
第一の基材140には籤情報2が形成されており、また、第一の基材140には籤情報2を取り囲む形状の第一の切込み4が形成されている。
第二の基材110には表出面に少なくとも説明文10が印刷され、また、第二の基材110には第一の切込み4の内側に位置するように、籤情報2を取り囲む第二の切込み3が形成されている。
上述の第一の切込み,第二の切込みは共に、必ずしも図に示すような横長のトラック形状に限定するものではなく、長方形でも、楕円形状でもよい。
いずれの形状にしてもよいが、籤情報2を切断したり、不鮮明にしたりするものであってはならない。
【0014】
第一の切り込み4は、アンカット部を含まない切り込み構造になっており、第二の切り込み3は、微細なアンカット部を有するミシン目状の切込み構造となっている。
【0015】
図示しないが、擬似接着剤はパターンで形成され、図の被封くじの周縁と、第二の切り込み3の内側に沿って形成されている。
また、第二の基材110の表出面には、引き剥がし部11が設けられており、引き剥がしのための切り込み、または、印刷による引き剥がし表示が形成されている。
前述の説明文10には、被封籤の使用方法について、例えば、「引き剥がし部11を始点として、右上方向に第二の基材110を剥がしてゆくと、第二の切り込み3に沿って第二の基材110が分断され、最終的に第二の切り込み3の内側部分の籤情報2を被覆している紙片部分だけが残ります。」等と記載されている。
【0016】
一方、図1の状態で、第二の切り込み3の部分から、前述の籤情報2を被覆している紙片を引き剥がそうとしても、第二の切り込み3がミシン目構造になっているために、簡単には引き剥がすことはできない。
【0017】
図2を参照して、図1のX−X線断面の一例について説明する。
本発明の被封籤1は、下の部分から、剥離紙160,粘着剤層150,第一の基材140,擬似接着剤形成層130,剥離剤層120,第二の基材110の順に積層されている。
第一の基材140には、一意の籤番号などの籤情報2が番号器やプリンタなどによって形成されている。また、第一の基材140には、粘着剤層150を突き抜ける状態で第一の切込み4が形成されている。
第二の基材110には表出面に少なくとも説明文10(図示せず)が印刷され、また、第二の基材110には第一の切込み4の内側に位置するように、籤情報2を取り囲む第二の切込み3が、剥離材層120を突き抜ける状態で形成されている。
【0018】
図に示すように、擬似接着剤形成層130には、擬似接着剤が被封籤1の周縁と、第二の切り込み3の内側に沿ってパターン状に形成されている。
被封籤を、送付関連媒体に貼付するために第二の基材を剥ぎとる場合は、矢印Aの擬似接着剤形成層130と剥離剤層120の境界で剥ぎ取る。
また、送付関連媒体に貼付するために送付用被封籤片(図示せず)を剥離紙から剥ぎ取る場合は、矢印Bの粘着剤層150と剥離紙160の境界で剥ぎ取る。
【0019】
本発明の被封籤1を製造する場合、先ず剥離紙160上、または、第一の基材の裏側に粘着剤を形成して粘着剤層150となし、第一の基材140と剥離紙を積層する。
この積層部は、粘着紙5として市販の材料を購入して使用してもよい。
第一の基材140上に必要な印刷を施し、籤情報2を形成し、第一の切り込み4を形成する。印刷,籤情報2の形成と、第一の切り込み4の形成は、どちらが先でもよい。
第一の基材140上に擬似接着剤形成層130を作成し、説明文が印刷され剥離材120が形成された第二の基材110を、第一の基材140と位置合わせをしながら貼り合わせ、同一ライン上または別ラインで、第二の基材110の上から第二の切り込み3を形成する。第二の切り込み3は、剥離剤層を突き抜ける深さで形成する。
【0020】
図3を参照して、本発明の被封籤の使用方法の一例について説明する。
まず、被封籤を送付する側は、a図に示すように、被封籤1の表出面に印刷された説明文10を読んで内容を確認する。
【0021】
次に、「ここから引き剥がしてください」と印刷表示された引き剥がし部11を始点として第二の基材を擬似接着剤形成層と剥離剤層の間から剥がす。
b図は、第二の基材110が擬似接着剤形成層130と剥離剤層120の間で剥がされた状態を示している。
b図に示すように、剥がされた第二の基材110は、第二の切り込み3の部分で分断され、第二の基材110の籤情報2を被覆する紙片は、第一の基材140の上部に残される。また、第一の基材140には、パターン状に形成された擬似接着剤130が残される。
【0022】
次に、c図に示す送付用被封籤片7を、b図に示す第一の切り込み4で、剥離紙(図示せず)から剥がし取る。
剥がし取られた送付用被封籤片7の第一の基材140上には第二の基材の一部が貼付された状態になっている。
また、第一の基材140の裏側は、粘着剤が全面に形成された状態になっている。
【0023】
次いで、d図に示すように、c図で説明した送付用被封籤片7を、第一の基材140の裏側に形成された粘着剤(図示せず)で送付関連媒体6の所定の場所に貼付する。
【0024】
被封籤の送付先では、送付用被封籤片7が貼付された送付関連媒体6を受け取り、e図に示すように、第一の基材140に貼付された第二の基材110の紙片を擬似接着剤形成層(図示せず)から剥がし取る。その結果、第二の基材110の紙片によって被覆されていた籤情報「12345678」が表出する。
【0025】
(材料)
図2を一部参照して、本発明の被封籤に使用される材料について説明する。
第一の基材140,第二の基材110として、上質紙,コート紙,グラシン紙等の紙などから選択されて使用される。
第二の基材110として使用される紙は、籤情報2が透けて見えないように、透過率が低い紙が使用される。透過率が低い紙が使用できない場合は、第二の基材110の裏側(籤情報2と対向する側)にカムフラージュ地紋を印刷する。
また、剥離剤120としては、例えば、紫外線硬化型インキのメジウム(UVインキ)にシリコーンオイルを添加したものや、シリコーンアクリレートを添加したもの、等を使用する。前記UVインキを使用できない場合は、通常の白金触媒を利用する熱硬化型剥離インキを使用してもよい。
また、擬似接着剤130としては、ゴム系接着主剤中に微粒子を添加した擬似接着剤等、各種公知の擬似接着構造を使用する。
粘着剤,剥離紙は、市販の粘着剤,剥離紙を使用する。
前述のように、「第一の基材140+粘着剤150+剥離紙160」の積層部分は、市販の粘着紙で代替させてもよい。
【0026】
材料の選択及び処方する上で留意することは、「粘着剤150と剥離紙160の接着強度」が、少なくとも「擬似接着剤130と剥離剤120の接着強度」より「大」となるよう選択、処方を行うことである。
更に、上記「粘着剤150と剥離紙160の接着強度」が、「擬似接着剤130と剥離剤120の接着強度」より「大」であることは、経時的な要素、温湿度などの保管環境要素を加味した状態で保証されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
スクラッチ籤,インスタントくじ等被封籤の分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の被封籤の一例について説明するための図である。
【図2】図1のX−X線断面の一例について説明するための図である。
【図3】本発明の被封籤の使用方法の一例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0029】
1 被封くじ
2 籤情報
3 第二の切り込み
4 第一の切り込み
5 粘着紙
6 送付関連媒体
7 送付用被封籤片
10 説明文
11 引き剥がし部
110 第二の基材
120 剥離剤層,剥離剤
130 擬似接着剤形成層,擬似接着剤
140 第一の基材
150 粘着剤層,粘着剤
160 剥離紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離紙,粘着剤層,第一の基材,擬似接着剤形成層,剥離剤層,第二の基材の順に積層された被封籤であって、
第一の基材には籤情報が形成され、前記籤情報を取り囲む形状の第一の切込みが形成され、
第二の基材には表出面に少なくとも説明文が印刷され、前記第一の切込みの内側に位置するように籤情報を取り囲む第二の切込みが形成されたことを特徴とする被封籤。
【請求項2】
請求項1に記載の被封籤において、
第一の切り込みは、アンカット部を含まない切込みで、
第二の切り込みは、微細なアンカット部を有するミシン目状の切込みであることを特徴とする被封籤。
【請求項3】
請求項1〜2何れか一項に記載の被封籤において、
擬似接着剤はパターン状に形成され、パターンの一部は第二の切り込みの内側に沿って形成されたことを特徴とする被封籤。
【請求項4】
請求項1〜3何れか一項に記載の被封籤において、
第二の基材の表出面には、引き剥がしのための切り込み、または、印刷による引き剥がし表示が形成されたことを特徴とする被封籤。
【請求項5】
請求項1〜4何れか一項に記載の被封籤の使用方法であって、
送付側による、
第二の基材の表出面に印刷された説明文の内容を確認するステップと、引き剥がし部を始点として第二の基材を擬似接着剤形成層と剥離剤層の間から剥がし始めるステップと、第一の基材上に第二の切り込みの内側紙片を残して第一の基材から第二の基材を剥がし取るステップと、第一の切り込みの内側部分を送付用被封籤片として剥離紙から粘着剤層を伴って剥ぎ取るステップと、前記剥ぎ取った送付用被封籤片を送付関連媒体に貼付するステップと、
送付先側による、
送付用被封籤片から第二の基材を剥ぎ取り、籤情報を読み取るステップと、
を含むステップからなることを特徴とする被封籤の使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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