説明

被測定物の芯出し装置

【課題】 本発明は被測定物の芯出し装置に係り、電池や蓄電池、キャパシタ等の被測定物の開発や出荷段階でその電気特性値を測定装置で測定して評価を行うに当たり、被測定物の外形が変わっても、これらの接点/電極の中心に対し、容易に測定装置側の接点中心を一致させることができる被測定物の芯出し装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 同軸上に配され、操作環に複数枚の絞り羽根を重ね合わせて装着した複数の絞り機構と、各操作環を連結する連結部材とからなり、前記操作環の一方向への回転操作で絞り羽根の絞りを開き、操作環の逆方向への回転操作で絞り羽根を絞って、前記絞り機構に挿通された電池や蓄電池、キャパシタ等の被測定物の芯出しを行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池や蓄電池、キャパシタ等の被測定物の芯出し装置に係り、詳しくはこれら被測定物の開発や出荷段階でその電気特性値を測定装置で測定して評価を行うに当たり、被測定物の外形(主に接点の直径方向)が変わっても、これらの接点/電極の中心に対し、容易に測定装置側の接点中心を一致させることができる被測定物の芯出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示されるように、今日、電池や蓄電池、キャパシタ等の開発や出荷段階で、その良否を検査する様々な検査方法が採用されているが、その一つとして、開発時点での試作品の接点/電極に測定装置の接点(接触ピン等)を圧接させて、様々な温度状態下で試作品に過充電、過放電を掛け、その電気特性値を測定装置で測定して評価を行う検査方法が知られている。
【0003】
そして、斯様に被測定物の接点に測定装置の接点を圧接する場合、測定装置側と被測定物側の夫々の接点の中心位置が一致することが重要で、通常、調整スペーサ等の設置による位置出しが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−152716号公報
【特許文献2】特開2001−299956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし乍ら、電池や蓄電池等の被測定物は仕様に応じ様々な寸法、外形形状を有している。
【0006】
このため、被測定物の外形(主に接点の直径方向)が変わる度に調整スペーサの設置や取り外しが必要となるが、このような調整スペーサによる調整作業は煩わしく、また、調整スペーサを用いて被測定物の接点中心と測定装置側の接点中心とを正確に一致させることが難しいのが実情であった。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、既述したように電池や蓄電池、キャパシタ等の被測定物の開発や出荷段階でその電気特性値を測定装置で測定して評価を行うに当たり、被測定物の外形が変わっても、これらの接点/電極の中心に対し、容易に測定装置側の接点中心を一致させることができる被測定物の芯出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る被測定物の芯出し装置は、同軸上に配され、操作環に複数枚の絞り羽根を重ね合わせて装着した複数の絞り機構と、各操作環を連結する連結部材とからなり、前記操作環の一方向への回転操作で絞り羽根の絞りを開き、操作環の逆方向への回転操作で絞り羽根を絞って、前記絞り機構に挿通された電池や蓄電池、キャパシタ等の被測定物の芯出しを行うことを特徴とする。
【0009】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の被測定物の芯出し装置に於て、前記連結部材は、各操作環に亘って一体形成された筒体であることを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の被測定物の芯出し装置に於て、前記連結部材は、各操作環に亘って一体形成された短冊状のステーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項2に係る発明によれば、同軸上に配された絞り機構に被測定物を挿通させた後、絞り機構の操作環を回転操作して絞り羽根を絞れば、被測定物の外径に応じ各絞り機構の絞り羽根が同時に絞られて、被測定物の電極が測定装置の電極の中心と一致して位置決めされる。そして、被測定物の外径が変わっても、その径に応じ絞り機構の絞り羽根が同時に絞られて、被測定物Wの電極が測定装置の電極の中心と一致して位置決めされる。
【0011】
従って、この芯出し装置によれば、調整スペーサによる従来の調整作業に比し、正確且つ容易に被測定物の電極を測定装置の電極の中心と一致させることが可能となった。
【0012】
また、請求項3に係る発明によれば、請求項2の筒体に代え、操作環に亘って短冊状のステーを複数架設することで、装置全体の軽量化が図れる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】請求項1及び請求項2の一実施形態に係る芯出し装置に用いる絞り機構の正面図である。
【図2】請求項1及び請求項2の一実施形態に係る芯出し装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2は請求項1及び請求項2に係る芯出し装置の一実施形態を示し、図中、1は環状に形成された操作環3内に、複数枚の絞り羽根5を重ね合わせて装着した絞り機構で、この絞り機構1はカメラのレンズの絞りと同一構造からなり、操作環3を一方向へ回転操作すると絞り羽根5の絞りが開き、操作環3を逆方向へ回転操作すると絞り羽根5が絞られるようになっている。
【0016】
そして、図2に示すように前記絞り機構1は、図示しない基台上に、中心軸を一致させて左右に一対配されている。そして、両操作環3間に中心軸を同じくして筒体7が一体形成されており、一方の操作環3を回転操作して絞り羽根5を絞ると、筒体7を介して他方の操作環3が同時に回転して絞り羽根5が絞られ、これにより左右の絞り機構35に挿通した電池や蓄電池等の被測定物Wの芯出しが行えるようになっている。
【0017】
その他、図中、9は測定装置の電極で、絞り羽根5の中心と電極9の中心は一致している。また、11、13は被測定物W(例えば、電池等の試作品の電極である。
【0018】
本実施形態に係る芯出し装置15はこのように構成されているから、被測定物Wの電極11、13に過充電、過放電を掛けてその電気特性値を測定装置で測定する場合、図2の破線で示すように左右の絞り機構1に被測定物Wを挿通させた後、一方の操作環3を回転操作して絞り羽根5を絞れば、被測定物Wの外径に応じ左右の絞り機構1の絞り羽根5が同時に絞られて、被測定物Wの電極11、13が測定装置の電極9の中心と一致して位置決めされる。
【0019】
そして、被測定物の外径が変わっても、その径に応じ左右の絞り機構1の絞り羽根5が同時に絞られて、被測定物Wの電極11、13が測定装置の電極9の中心と一致して位置決めされる。
【0020】
従って、本実施形態に係る芯出し装置15によれば、調整スペーサによる従来の調整作業に比し、正確且つ容易に被測定物Wの電極11、13を測定装置の電極9の中心と一致させることが可能となった。
【0021】
尚、図2に示すように前記実施形態では、両操作環3間に中心軸を同じくして筒体7を一体形成したが、当該筒体7に代え、両操作環3に亘って短冊状のステーを複数架設してもよく、斯かる請求項3の一実施形態によれば、前記芯出し装置15に比し装置全体の軽量化が図れる利点を有する。
【符号の説明】
【0022】
1 絞り機構
3 操作環
5 絞り羽根
7 筒体
9、11、13 電極
15 芯出し装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配され、操作環に複数枚の絞り羽根を重ね合わせて装着した複数の絞り機構と、各操作環を連結する連結部材とからなり、前記操作環の一方向への回転操作で絞り羽根の絞りを開き、操作環の逆方向への回転操作で絞り羽根を絞って、前記絞り機構に挿通された電池や蓄電池、キャパシタ等の被測定物の芯出しを行うことを特徴とする被測定物の芯出し装置。
【請求項2】
前記連結部材は、各操作環に亘って一体形成された筒体であることを特徴とする請求項1に記載の被測定物の芯出し装置。
【請求項3】
前記連結部材は、各操作環に亘って一体形成された短冊状のステーであることを特徴とする請求項1に記載の被測定物の芯出し装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−64585(P2012−64585A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221681(P2011−221681)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2007−116914(P2007−116914)の分割
【原出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】