説明

被災者情報提供方法、被災者情報提供システム及び被災者情報提供プログラム

【課題】被災者の個人情報をより迅速に特定することができる被災者情報提供方法、被災者情報提供システム及び被災者情報提供プログラムを提供する。
【解決手段】トリアージシステム10は、被災者データを記録する被災者データ記憶部12を備え、情報端末20及び銀行のホストシステム30に接続されている。ホストシステム30は、顧客の氏名と住所や電話番号などの連絡先などを記録した預金口座データ記憶部32を備えている。トリアージシステム10は、情報端末20から、トリアージのタグ識別子情報とともにキャッシュカードのカードデータを取得すると、このカードデータをホストシステム30に送信する。ホストシステム30は、トリアージタグが付された被災者に関するデータを、預金口座データ記憶部32から取得し、トリアージシステム10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時など、トリアージの対象者に関するトリアージ情報を提供する被災者情報提供方法、被災者情報提供システム及び被災者情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの災害の発生時には、同時期に、多数の負傷者が出ることがある。この場合、最善の医療を行なうために、トリアージが実施されることがある(例えば、非特許文献1参照。)。トリアージが実施されると、そのトリアージ区分やトリアージの実施時刻や実施者などに関する情報が記載されたトリアージタグが被災者に取り付けられる。このトリアージタグには、被災者の氏名や住所に関する情報や、負傷して病院等に収容された場合にはその医療機関に関する情報などを記載することができる。更に、トリアージタグに関連付けられる傷病者の情報と、医療設備の情報とを関連付けたトリアージタグ管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のトリアージタグ管理システムは、傷病者固有の識別コードを持つ電子タグと、電子タグの識別コードを読み取る機能を有する携帯端末と、これとネットワークで接続されたデータベースとから構成される。携帯端末には、識別コードと傷病者の状態とが入力される。そして、データベースには予め医療機関の能力に関する情報を入力しておき、傷病者に関するデータが新たに入力される毎に、傷病者に関する情報と、医療チームの活動状態から治療スケジュールを決定する。
【非特許文献1】厚生労働省著、" 厚生労働省ホームページ 災害医療体制のあり方に関する検討会" 、[online]、厚生労働省、[平成17年11月21日検索]、インターネット<URL:http://www.mhlw.go.jp/shingi/0106/s0629-3.html>
【特許文献1】特開2004−240797号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外出先などで被災し、負傷して病院に搬送された場合などには、被災者から連絡先を聞き、被災者の家族等に連絡を行なうことがある。ここで、被災者が、自分の連絡先を言えない状態にある場合もあり、家族等に対して連絡を取ることができない場合があった。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、被災者の氏名や連絡先などの個人情報をより効率的に特定することができる被災者情報提供方法、被災者情報提供システム及び被災者情報提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、金融機関システムにおいて、金融機関カードに記録されたカード識別子に関連付けて、この金融機関カードの名義人に関する個人情報を記録した名義人データ記憶手段と、トリアージ情報に関するデータを記録するトリアージデータ記憶手段と、情報端末と金融機関システムと通信を行なうトリアージ管理システムを用いて被災者情報を提供する方法であって、前記トリアージ管理システムが、前記情報端末から被災者に取り付けられたトリアージタグのタグ識別子データとともに、前記被災者に関する情報を含むトリアージ情報を受信した場合、前記タグ識別子に関連付けてトリアージ情報を前記トリアージデータ記憶手段に記録するトリアージ情報記録段階と、前記タグ識別子データとともに前記被災者の金融機関カードのカード識別子
データを受信した場合、このカード識別子に基づいて前記名義人データ記憶手段から個人情報を取得し、この個人情報を、前記トリアージデータ記憶手段において前記タグ識別子のトリアージ情報に関連付けて記録する個人情報記録段階とを実行することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の被災者情報提供方法において、前記金融機関システムは、前記名義人のカード識別子に対して、この名義人の連絡先関係者のカード識別子を関連付けて記録した連絡先データ記憶手段を更に備え、前記金融機関システムが、現金自動預払機に挿入された金融機関カードのカード識別子データを含む安否確認要求を受信した場合、前記連絡先データ記憶手段から前記名義人のカード識別子に対応付けられた連絡先関係者のカード識別子を特定し、このカード識別子に基づいて前記トリアージデータ記憶手段からトリアージ情報を取得し、前記現金自動預払機に出力する出力段階を更に実行することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の被災者情報提供方法において、前記金融機関システムは、現金自動預払機の所在地情報を記録した所在地データ記憶手段に更に接続されており、前記金融機関システムが、前記トリアージ情報に、被災者が搬送されて収容された収容医療機関の所在地に関する情報を含む場合、前記所在地データ記憶手段から、前記安否確認要求を送信した現金自動預払機の所在地に関する情報を取得する所在地取得段階と、前記現金自動預払機の所在地から前記収容医療機関の所在地まで案内するための案内ガイドデータを生成する案内データ生成段階とを更に実行し、前記出力段階は、前記トリアージ情報に関するデータとともに、前記案内ガイドデータを前記現金自動預払機に出力することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、金融機関システムにおいて、金融機関カードに記録されたカード識別子に関連付けて、この金融機関カードの名義人に関する個人情報を記録した名義人データ記憶手段と、トリアージ情報に関するデータを記録するトリアージデータ記憶手段と、情報端末と金融機関システムと通信を行なうトリアージ管理システムを用いて被災者情報を提供するシステムであって、前記トリアージ管理システムが、前記情報端末から被災者に取り付けられたトリアージタグのタグ識別子データとともに、前記被災者に関する情報を含むトリアージ情報を受信した場合、前記タグ識別子に関連付けてトリアージ情報を前記トリアージデータ記憶手段に記録するトリアージ情報記録手段と、前記タグ識別子データとともに前記被災者の金融機関カードのカード識別子データを受信した場合、このカード識別子に基づいて前記名義人データ記憶手段から個人情報を取得し、この個人情報を、前記トリアージデータ記憶手段において前記タグ識別子のトリアージ情報に関連付けて記録する個人情報記録手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の被災者情報提供システムにおいて、前記金融機関システムは、前記名義人のカード識別子に対して、この名義人の連絡先関係者のカード識別子を関連付けて記録した連絡先データ記憶手段を更に備え、前記金融機関システムが、現金自動預払機に挿入された金融機関カードのカード識別子データを含む安否確認要求を受信した場合、前記連絡先データ記憶手段から前記名義人のカード識別子に対応付けられた連絡先関係者のカード識別子を特定し、このカード識別子に基づいて前記トリアージデータ記憶手段からトリアージ情報を取得し、前記現金自動預払機に出力する出力手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の被災者情報提供システムにおいて、前記金融機関システムは、現金自動預払機の所在地情報を記録した所在地データ記憶手段に更に接続されており、前記金融機関システムが、前記トリアージ情報に、被災者が搬送されて収容された収容医療機関の所在地に関する情報を含む場合、前記所在地データ記憶手段か
ら、前記安否確認要求を送信した現金自動預払機の所在地に関する情報を取得する所在地取得手段と、前記現金自動預払機の所在地から前記収容医療機関の所在地まで案内するための案内ガイドデータを生成する案内データ生成手段とを更に実行し、前記出力手段は、前記トリアージ情報に関するデータとともに、前記案内ガイドデータを前記現金自動預払機に出力することを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、金融機関システムにおいて、金融機関カードに記録されたカード識別子に関連付けて、この金融機関カードの名義人に関する個人情報を記録した名義人データ記憶手段と、トリアージ情報に関するデータを記録するトリアージデータ記憶手段と、情報端末と金融機関システムと通信を行なうトリアージ管理システムに、被災者情報を提供させるためのプログラムであって、前記トリアージ管理システムを、前記情報端末から被災者に取り付けられたトリアージタグのタグ識別子データとともに、前記被災者に関する情報を含むトリアージ情報を受信した場合、前記タグ識別子に関連付けてトリアージ情報を前記トリアージデータ記憶手段に記録するトリアージ情報記録手段、及び前記タグ識別子データとともに前記被災者の金融機関カードのカード識別子データを受信した場合、このカード識別子に基づいて前記名義人データ記憶手段から個人情報を取得し、この個人情報を、前記トリアージデータ記憶手段において前記タグ識別子のトリアージ情報に関連付けて記録する個人情報記録手段として機能させることを要旨とする。
【0013】
(作用)
請求項1、4又は7に記載の発明によれば、管理コンピュータは、被災者の金融機関カードのカード識別子に基づいて、名義人データ記憶部から個人情報を取得し、個人情報とトリアージ情報とを関連付けて、トリアージデータ記憶部に記録する。このため、被災者が保持している金融機関カードに基づいて被災者の個人情報を取得し、その被災者の個人情報をより効率的に特定することができる。例えば、個人情報に名前や連絡先に関するデータが含まれている場合には、被災者が名前や連絡先を言えないような場合であっても、その被災者の氏名や連絡先をより確実に特定することができる。更に、連絡先を特定できるので、連絡先に連絡を行なうことも可能となる。なお、ここで、金融機関カードには、銀行の預金口座の名義人を特定するためのキャッシュカードだけに限らず、保険の名義人を特定するための保険カードや、与信対象者としての名義人を特定するためのクレジットカードなども含まれる。
【0014】
請求項2又は5に記載の発明によれば、現金自動預払機を介して金融機関カードのカード識別子データを取得した場合、これに対応付けられた連絡先関係者のカード識別子を特定し、このカード識別子に基づいてトリアージ情報を取得し、現金自動預払機に出力する。このため、現金自動預払機を介して、連絡先関係者に、トリアージデータ記憶部に記録された情報を提供することができる。
【0015】
請求項3又は6に記載の発明によれば、管理コンピュータは、トリアージ情報に、収容医療機関に関する情報を含む場合、現金自動預払機の所在地情報から医療機関の所在地までの案内ガイドデータを生成し、現金自動預払機から出力する。このため、案内ガイドデータに基づいて、現金自動預払機を利用した利用者に対して、被災者が搬送された収容医療機関に効率的に案内することができる。また、利用者は、収容医療機関に向かう途中で迷った場合には、近くの現金自動預払機から案内ガイドデータを取得して、現金自動預払機から収容医療機関に、より確実に向かうことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被災者に関する個人情報をより効率的に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した被災者情報提供方法及び被災者情報提供システムの一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。本実施形態では、被災者情報提供システムは、トリアージが実施された被災者についてのトリアージ情報を管理するトリアージ管理システムとしてのトリアージシステム10と、金融機関システムとしての銀行のホストシステム30とから構成され、被災者に関する被災者情報を提供するサービスを想定する。
【0018】
トリアージシステム10は、トリアージを実施した被災者の情報を管理するシステムである。トリアージシステム10は、管理コンピュータ11を備える。この管理コンピュータ11は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(トリアージ情報記録段階及び個人情報記録段階等を含む処理)を行なう。そして、このための被災者情報提供プログラムを実行することにより、管理コンピュータ11は、トリアージ情報記録手段及び個人情報記録手段等として機能する。
【0019】
更に、この管理コンピュータ11は、被災者情報を記録したトリアージデータ記憶手段としての被災者データ記憶部12に接続されている。
被災者データ記憶部12には、図2に示すように、被災者データ120が記録されている。被災者データ120は、トリアージの実施により、この被災者に関する情報を最初に取得した場合に登録される。この被災者データ120は、タグ識別子、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、トリアージ実施時刻、トリアージ実施者、搬送機関名、収容医療機関名、トリアージ実施場所、トリアージ実施機関、傷病名、トリアージ区分及び特記事項に関するデータを含んで構成されている。
【0020】
タグ識別子データ領域には、被災者に付与されたトリアージタグを特定するための識別子に関するデータが記録される。これに記録されたタグ識別子に基づいて、被災者が特定される。
【0021】
氏名、年齢、性別、住所、電話番号データ領域には、それぞれ被災者の属性情報として氏名、年齢、性別、住所、電話番号に関するデータが記録される。
トリアージ実施時刻データ領域には、被災者に対してトリアージが実施された時刻に関するデータが記録される。
【0022】
トリアージ実施者データ領域には、被災者に対してトリアージを実施した実施者に関するデータが記録される。
搬送機関名データ領域には、被災者を搬送した機関の名称に関するデータが記録される。
【0023】
収容医療機関名データ領域には、被災者が収容された医療機関を特定するための情報として、その医療機関の名称に関するデータが記録される。
トリアージ実施場所データ領域には、被災者に対してトリアージが実施された場所に関するデータが記録される。
【0024】
トリアージ実施機関データ領域には、被災者に対してトリアージを実施した機関を特定するための情報として、その実施機関の名称に関するデータが記録される。
傷病名データ領域には、この被災者に関する傷病に関するデータが記録される。
【0025】
トリアージ区分データ領域には、トリアージにより被災者が属すると判断された区分に関するデータが記録される。
特記事項データ領域には、被災者に関する特記事項が記録される。ここで、特記事項としては、例えば、負傷の箇所や搬送や治療における留意事項などがある。
【0026】
トリアージシステム10は、通信ネットワークを介して情報端末20に接続される。この情報端末20は、入力手段、表示手段、通信手段及びカード読取手段等を備える。入力手段は、被災者に取り付けられたトリアージタグに記録された情報を入力するために用いられる。表示手段はディスプレイを備え、入力された情報やトリアージシステム10から取得した情報等をディスプレイに表示する。通信手段は、トリアージシステム10との間でデータの送受信を行なう。カード読取手段は、この情報端末20に挿入されたカードの情報記憶部からカード識別子データとしてのカードデータを読み取るための手段である。
【0027】
一方、ホストシステム30は、バンキング業務を行なうためのシステムである。本実施形態のホストシステム30は、上述したトリアージシステム10に接続されて、トリアージシステム10とデータの送受信を行なう。また、ホストシステム30は、金融機関内ネットワークを介して、現金自動預払機40に接続されている。このホストシステム30は、現金自動預払機40との間でデータの送受信を行なうことにより、現金自動預払機40から受信した依頼に基づきバンキング処理を行なう。
【0028】
更に、ホストシステム30は、管理コンピュータ31を備える。この管理コンピュータ31は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(出力段階、所在地取得段階及び案内データ生成段階等を含む処理)を行なう。そして、このためのプログラムを実行することにより、管理コンピュータ31は、出力手段、所在地取得手段及び案内データ生成手段等として機能する。
【0029】
また、この管理コンピュータ31は、連絡先データ記憶手段及び名義人データ記憶手段としての預金口座データ記憶部32と、所在地データ記憶手段としての現金自動預払機データ記憶部33とに接続されている。
【0030】
図3に示すように、預金口座データ記憶部32には、銀行の預金口座に関する預金口座データ320が記録されている。この預金口座データ320は、顧客が新規な口座を開設した場合に登録される。この預金口座データ320は、預金口座識別子、顧客名、住所、電話番号、暗証番号及び関係者口座識別子に関するデータを含む。
【0031】
預金口座識別子データ領域には、この銀行において開設された顧客の預金口座を特定するための識別子に関するデータが記録されている。本実施形態の預金口座識別子データは、支店コード、預金種目コード及び預金口座番号に関するデータを含んで構成される。
【0032】
顧客名データ領域には、この預金口座の名義人の名前に関するデータが記録されている。
住所、電話番号データ領域には、顧客の住所、電話番号に関するデータが記録されている。
【0033】
暗証番号データ領域には、この預金口座の利用権限を確認するための情報としての暗証番号に関するデータが記録されている。この暗証番号は、顧客の預金口座を用いて取引を行なう場合など、顧客識別子データとともに本人確認を行なう際に用いられる。
【0034】
関係者口座識別子データ領域には、この預金口座の顧客に関係する関係者(例えば家族等)が保有する預金口座を特定するための識別子に関するデータが記録されている。この関係者口座識別子を介して、顧客の預金口座データ320と、その関係者の預金口座データ320とが関連付けられる。
【0035】
図4に示すように、現金自動預払機データ記憶部33には、現金自動預払機40に関する現金自動預払機データ330が記録されている。この現金自動預払機データ330は、
新たに現金自動預払機40が設置されると記録され、現金自動預払機40が撤去されると削除される。この現金自動預払機データ330は、現金自動預払機識別子及びロケーションに関するデータを記録している。
【0036】
現金自動預払機識別子データ領域には、各現金自動預払機40を特定するための識別子データが記録されている。
ロケーションデータ領域には、この現金自動預払機40が設置されているロケーションに関するデータが記録されている。このロケーションに関するデータは、例えば住所などの所在地に関するデータである。
【0037】
更に、この管理コンピュータ31は、医療機関情報記憶部(図示せず)に接続されている。医療機関情報記憶部には、医療機関の名称に対応付けて、この医療機関のロケーション情報に関するデータが記録されている。このロケーションに関するデータは、例えば住所などの所在地に関するデータであり、現金自動預払機40のロケーション情報とともに用いて、現金自動預払機40から医療機関への案内ガイドデータを生成するために用いられる。
【0038】
一方、ホストシステム30と接続されている現金自動預払機40は、タッチパネルディスプレイ、カード挿入部及び取引明細出力部等を備えている。このタッチパネルディスプレイは、表示部及び入力部として機能し、利用者に対して情報を表示したり、利用者から指示を受け付けたりする。カード挿入部は、利用者の金融機関カードとしてのキャッシュカードを収容し、このキャッシュカードから各種情報を取得する。取引明細出力部は、取引明細を出力する。また、各現金自動預払機40は、個々の現金自動預払機40を特定するために付与された現金自動預払機識別子に関するデータを保持する。そして、この現金自動預払機識別子を用いて、ホストシステム30とデータの送受信を行なう。なお、金融機関は顧客の資産を、的確に管理するため、ホストシステム30と現金自動預払機40との間の金融機関内ネットワークは、災害に強い強固なネットワーク構造により実現されている。
【0039】
次に、本実施形態における災害発生時のトリアージ情報提供処理について、まず、図5を用いて説明する。ここで、トリアージ情報の提供サービスの利用に先立ち、家族の預金口座識別子を、預金口座データ320の関係者口座識別子データとして記録しておく。
【0040】
以下、災害が発生した場合に、トリアージ情報を随時、蓄積する被災者データの登録処理について説明する。ここでは、トリアージ情報が逐次、蓄積される場合を想定する。また、本実施形態では、災害発生現場(被災者が発見された現場)においてトリアージが行なわれてトリアージ情報が取得され、次に、搬送中や収容病院等において第2のトリアージ情報が取得される場合を想定する。
【0041】
(第1のトリアージ情報の取得)
まず、災害発生現場において、第1のトリアージが実施される。具体的には、現場の医師等のトリアージ実施者が、各被災者(トリアージ対象者)の症状に基づいて、トリアージ区分に分類する。そして、トリアージ実施者は、被災者に関する情報をトリアージタグ50に書き込む。ここで、被災者に関する情報としては、タグ識別子、トリアージの実施時刻、トリアージの実施者の名前、トリアージ実施場所、実施者が所属する実施機関及びトリアージ区分に関する情報を記載する。そして、このトリアージタグ50を被災者に取り付ける。
【0042】
その後、トリアージタグ50に書き込まれたトリアージ情報は、情報端末20において入力される。そして、データ送信指示に基づき、情報端末20は、入力されたトリアージ
情報をトリアージシステム10に送信する。ここで、送信されるトリアージ情報には、タグ識別子、トリアージの実施時刻、実施者の氏名、実施場所、実施機関及びトリアージ区分に関するデータを含む。
【0043】
そして、トリアージシステム10は、情報端末20からのトリアージ情報を受け入れる(ステップS1−1)。
この場合、トリアージシステム10は、この被災者に関する被災者データの記録があるか否かを判断する(ステップS1−2)。具体的には、トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、被災者データ記憶部12において、受信したタグ識別子と同じタグ識別子が記録された被災者データ120を検索する。
【0044】
そして、一致する被災者データ120を検出できない場合(ステップS1−2において「NO」の場合)には、管理コンピュータ11は、被災者データ120を生成する(ステップS1−3)。ここで、トリアージシステム10は、最初のトリアージ情報を情報端末20から受信していることになるため、新たな被災者データ120を生成して被災者データ記憶部12に登録する。
【0045】
次に、トリアージシステム10は、トリアージ情報を記録する(ステップS1−4)。具体的には、トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、受信したタグ識別子、トリアージの実施時刻、実施者の氏名、実施場所、実施機関及びトリアージ区分に関するトリアージ情報を被災者データ120に含めて記録する。
【0046】
そして、管理コンピュータ11は、情報端末20から受信したトリアージ情報に、キャッシュカードデータが含まれているかどうかを確認する(ステップS1−5)。ここで、情報端末20から受信した第1のトリアージ情報には、被災者を特定するための情報(本実施形態では、カードデータ)は含まれない場合(ステップS1−5において「NO」の場合)には、トリアージシステム10は、第1のトリアージにおける被災者データの登録処理を終了する。
【0047】
(第2のトリアージ情報の取得)
その後、救急車での搬送中や収容医療機関などにおいて、第2のトリアージ情報が取得される。例えば、救急隊員などが、被災者を搬送する収容医療機関の名称、被災者の氏名や連絡先などに関する被災者情報をトリアージタグに記載する。更に、その被災者情報を情報端末20に入力する。これにより、情報端末20は、被災者に関する追加の被災者データを取得し、トリアージシステム10に送信する。
【0048】
本実施形態では、被災者が自分の氏名や連絡先などを伝えることができない場合、被災者が携帯するキャッシュカード60を用いる。この場合、情報端末20にキャッシュカード60を挿入し、キャッシュカード60に記録されたカードデータを情報端末20のカード読取手段を用いて読み取る。読み取られたカードデータには、そのカードの預金口座がある銀行を特定するための銀行コードと、預金口座識別子とに関するデータが含まれる。そして、情報端末20は、タグ識別子や収容医療機関の名称などに関するデータと、カードデータとをトリアージ情報としてトリアージシステム10に送信する。
【0049】
この場合、ステップS1−1においてトリアージ情報を受け入れたトリアージシステム10は、受信したトリアージ情報に含まれるタグ識別子と一致するタグ識別子の被災者データ120があるか否かを判断する(ステップS1−2)。第2のトリアージにおいては、被災現場等における第1のトリアージが実施されているため、被災者データ記憶部12に、この被災者に関する被災者データ120が記録されている。
【0050】
そこで、この場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、新たに受信したトリアージ情報を被災者データ記憶部12に記録する(ステップS1−4)。具体的には、管理コンピュータ11は、受信したトリアージ情報に含まれる収容医療機関の名称等を、被災者データ記憶部12に記録された被災者データ120に追加する。
【0051】
ここでは、トリアージシステム10は、情報端末20からカードデータを取得した場合(ステップS1−5において「YES」の場合)、このカードデータに基づいて被災者に関する情報を追加する。具体的には、トリアージシステム10は、まず、ホストシステム30に対して個人情報の要求を行なう(ステップS1−6)。具体的には、トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、受信したカードデータに含まれる銀行コードに基づいて、被災者が所持していたキャッシュカードの預金口座が開設された銀行を特定する。そして、管理コンピュータ11は、特定した銀行のホストシステム30に対して、預金口座識別子データを送信する。
【0052】
ホストシステム30は、トリアージシステム10に対して個人情報の提供を行なう(ステップS1−7)。具体的には、受信した預金口座識別子を有する預金口座データ320を検索し、該当する預金口座データ320の顧客名、住所及び電話番号を含む個人情報をトリアージシステム10に送信する。
【0053】
トリアージシステム10は、受信した個人情報を被災者データ記憶部12に記録された被災者データ120に追加する(ステップS1−8)。以上により、第2トリアージの処理が完了する。
【0054】
このように、トリアージシステム10は、現場や搬送中などに、被災者に関するトリアージ情報を取得し、このトリアージ情報を被災者データ120として被災者データ記憶部12に記録する。
【0055】
(被災者の情報提供処理)
次に、現金自動預払機40を用いて、被災者に関する情報を提供する処理について、図6を参照して説明する。
【0056】
ここでは、現金自動預払機40のタッチパネルディスプレイに表示された初期画面を用いる。この初期画面には、「残高照会」や「現金引出」などのバンキング処理のメニュー項目とともに、「安否確認」のメニュー項目が表示されている。
【0057】
ここでは、例えば被災者の家族が、現金自動預払機40を利用して被災者に関する情報を取得する場合を想定する。まず、この利用者は、自分のキャッシュカードを現金自動預払機40に挿入する。これにより、現金自動預払機40は、挿入されたキャッシュカードから、預金口座識別子を含むカードデータを取得する。また、利用者は、タッチパネルディスプレイに表示される初期画面のメニュー項目の中から、「安否確認」のメニュー項目を選択する。
【0058】
そして、利用者は、タッチパネルディスプレイを用いて、挿入したキャッシュカードの暗証番号を入力する。これにより、現金自動預払機40は、挿入されたキャッシュカードの暗証番号を取得する。そして、現金自動預払機40は、カードデータ、暗証番号に関するデータの取得及びメニュー項目の選択が完了した場合、ホストシステム30に対して処理依頼を行なう。ここでは、「安否確認」のメニュー項目が選択されたので、現金自動預払機40は、「安否確認」の処理依頼を行なう。この処理依頼には、現金自動預払機40が内部に保持している現金自動預払機識別子データも含まれる。
【0059】
現金自動預払機40から処理依頼を受信したホストシステム30は、まず本人認証を行なう(ステップS2−1)。具体的には、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、現金自動預払機40から受信した預金口座識別子と一致する預金口座データ320を預金口座データ記憶部32から検索して抽出する。そして、管理コンピュータ31は、抽出した預金口座データ320の暗証番号と、受信した暗証番号とが一致するか否かを判断する。暗証番号が一致した場合には、本人認証が完了する。一方、管理コンピュータ31は、預金口座識別子と一致する預金口座データ320がない場合や暗証番号が一致しない場合には、本人確認ができないことを、処理依頼を送信した現金自動預払機40に返信して処理を終了する。
【0060】
本人認証が完了した場合、ホストシステム30は、関係者情報の有無を判断する(ステップS2−2)。具体的には、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、まず、本人認証が完了した預金口座データ320に記録された関係者口座識別子を特定する。そして、この関係者口座識別子を預金口座識別子として記録している預金口座データ320を検索する。
【0061】
このとき、本人認証が完了した預金口座データ320に関係者口座識別子が記録されていない場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、関係者情報がないため情報提供処理を終了する。一方、関係者口座識別子が記録されている場合(ステップS2−2において「YES」の場合)には、トリアージシステム10に対して被災者情報の要求を行なう(ステップS2−3)。具体的には、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、抽出した預金口座データ320の顧客名、住所及び電話番号に関するデータを含む被災者情報要求をトリアージシステム10に送信する。
【0062】
被災者情報の要求を受けたトリアージシステム10は、ホストシステム30に対して被災者情報を提供する(ステップS2−4)。具体的には、トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、ホストシステム30から受信した顧客名、住所及び電話番号に関するデータを含む被災者データ120を検索する。そして、該当する被災者データ120が特定できた場合には、その収容医療機関の名称や傷病名に関するデータを含む被災者情報をホストシステム30に送信する。一方、該当する被災者データ120の記録がない場合には、該当情報がないことを示すデータをホストシステム30に送信する。
【0063】
トリアージシステム10から被災者情報の提供を受けたホストシステム30は、受信した被災者情報に、収容医療機関に関するデータが含まれているか否かを判断する(ステップS2−5)。この場合、収容医療機関に関するデータが含まれている場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、現金自動預払機40の所在地に関するデータを取得する(ステップS2−6)。具体的には、現金自動預払機40から受信した現金自動預払機識別子を含む現金自動預払機データ330を抽出する。
【0064】
次に、ホストシステム30は、現金自動預払機40から収容医療機関まで案内するための地図データを生成する(ステップS2−7)。具体的には、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、ホストシステム30から受信した収容医療機関の名称に基づいて、医療機関情報記憶部から収容医療機関のロケーション情報を取得する。管理コンピュータ31は、取得した収容医療機関のロケーション情報と、抽出した現金自動預払機データ330のロケーション情報とに基づいて、収容医療機関の位置と現金自動預払機とを含む地図データを取得する。そして、この地図上に両者の位置を表示した地図を生成する。ここでは、自動車等のナビゲーションシステムに用いられている地図生成技術を用いることが可能である。
【0065】
一方、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、トリアージシステム10から該当情報がないことを示すデータを受信した場合や、受信した被災者情報に収容医療機関に関するデータが含まれていない場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、上述したステップS2−6,S2−7の処理を実行しない。
【0066】
次に、ホストシステム30は、被災者情報に基づいて取引明細に出力を行なう(ステップS2−8)。具体的には、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、依頼処理を送信した現金自動預払機40に対して、取引明細に出力する印字データを送信する。
【0067】
ここで、管理コンピュータ31は、該当する情報がない場合には、その旨を印字データに含める。また、管理コンピュータ31は、トリアージシステム10から被災者情報を受信している場合には、トリアージ情報を印字データに含める。
【0068】
更に、管理コンピュータ31は、収容医療機関データに基づいて地図データを生成した場合(ステップS2−5において「YES」の場合)には、トリアージ情報の他に、地図データを印字データに含める。
【0069】
現金自動預払機40は、受信した印字データに基づいて、取引明細出力部において取引明細の印字を行ない、出力する。これにより、取引明細には、収容医療機関の名称、収容されている顧客名及び地図情報が表示される。従って、利用者は、家族の負傷状態、収容されている医療機関を把握することができる。以上により、処理が完了する。
【0070】
本実施形態の被災者情報提供システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、被災者データ120を記録した被災者データ記憶部12に接続されている。トリアージシステム10は、情報端末20から受信したトリアージ情報に、タグ識別子とともに、キャッシュカードデータが含まれていた場合(ステップS1−5において「YES」の場合)には、このカードデータに基づいて被災者に関する情報を追加する。ここで、トリアージシステム10は、ホストシステム30に対して個人情報の要求を行なうと(ステップS1−6)、ホストシステム30は、トリアージシステム10に対して個人情報の提供を行なう(ステップS1−7)。トリアージシステム10は、提供を受けた個人情報を被災者データ記憶部12に記録する(ステップS1−8)。このため、被災者が保有しているキャッシュカードから、その被災者の個人情報を取得することができるので、被災者が、自分の名前や住所などを言えないような状態であっても、その被災者の個人情報を、より確実に特定することができる。また、ホストシステム30から個人情報として連絡先に関するデータも受信した場合には、その被災者の連絡先に、より効率よく連絡を行なうこともできる。
【0071】
・ 本実施形態では、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、預金口座データ記憶部32に接続されている。預金口座データ記憶部32に記録された預金口座データ320には、預金口座識別子データと、この口座の顧客の関係者の口座を特定するための関係者口座識別子データが記録されている。トリアージシステム10の管理コンピュータ11は、現金自動預払機40からカードデータを取得すると、このカードデータに対応する預金口座データ320の関係者口座識別子を預金口座識別子とする預金口座データ320を検索する。関係者情報がある場合(ステップS2−2において「YES」の場合)には、トリアージシステム10に対して被災者情報の要求を行なう。これにより、ホストシステム30は、トリアージシステム10から被災者情報の提供を受け、この情報を取引明細に出力するべく、現金自動預払機40にデータを送信する。これにより、被災者の家族は、その被災者に対してトリアージが実施されて、トリアージデータが被災者データ記憶部
12に記録されている場合には、その被災者の負傷状態や収容医療機関に関する情報を取得することができる。
【0072】
・ 本実施形態では、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、被災者情報を要求する場合には、利用者の預金口座データ320の関係者口座識別子として関連付けられた口座を所有する顧客を特定する。このため、予め口座同士を関連付けておくことにより、効率的に被災者情報を提供することができる。
【0073】
・ 本実施形態では、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、トリアージシステム10から収容医療機関データを含む被災者情報の提供を受けた場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、この情報に含まれる収容医療機関の名称からロケーション情報を取得する。管理コンピュータ31は、取得した収容医療機関及び現金自動預払機40のロケーション情報に基づいて、現金自動預払機40から収容医療機関まで案内するための地図データを生成する(ステップS2−7)。管理コンピュータ31は、生成した地図データに基づいて取引明細に出力を行なう(ステップS2−8)。このため、現金自動預払機40を介して被災者の連絡先関係者に対して、被災者が収容されている収容医療機関へ効率よく案内することができる。
【0074】
また、ホストシステム30は、利用者が利用している現金自動預払機40から収容医療機関までの地図情報を提供する。このため、利用者が、収容医療機関に向かっている途中で迷った場合には、近くの現金自動預払機40から再度、ホストシステム30に問い合わせることにより、そこから収容医療機関への案内を受けることができる。従って、利用者は、被災者が収容されている収容医療機関に、より確実に到着することができる。なお、現金自動預払機40は、ホストシステム30とバンキング処理を行なうため、災害に強い強固なネットワークが構築されている。従って、被災地の近くの現金自動預払機40を用いても、より確実にデータを取得することができるので、より確実に案内を行なうことができる。
【0075】
・ 本実施形態では、ホストシステム30の管理コンピュータ31は、現金自動預払機40から「安否確認」の処理依頼を受信すると、本人認証を行なう(ステップS2−1)。そして、本人認証が完了し、関係者情報がある場合に、トリアージシステム10に対して被災者情報の要求を行なう。このため、被災者に関する情報を、本人認証された関係者だけに、より確実に通知することができる。
【0076】
また、本実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、ホストシステム30は、現金自動預払機40から収容医療機関までの地図データを生成し(ステップS2−7)、生成した地図データを取引明細へ出力した(ステップS2−8)。このとき、ホストシステム30は、地図データとして、携帯電話端末に表示させるデータを二次元コードに含めたデータを生成して送信してもよい。これにより、現金自動預払機40は、二次元コードを含んだ案内ガイドデータを取引明細に印字する。取引明細に印字された二次元コードを、利用者の携帯電話端末の二次元コード読取機能を用いて読み取らせる。これにより、携帯電話端末は、二次元コードに含まれるデータを復号化して案内ガイドをディスプレイに表示する。なお、二次元コードのデータ記憶容量に応じて、例えば、地図情報、病院への文字による案内、病院の所在地や電話番号などの案内ガイドデータを含ませる。また、二次元コードに、病院へ案内する地図情報を記憶しているサーバを特定するURLのデータを含ませてもよい。この場合には、利用者は、携帯電話端末をURLで特定されるサーバに接続し、このサーバから地図情報を取得する。
【0077】
更に、上記実施形態において、ホストシステム30は、現金自動預払機40から収容医
療機関までの地図データを生成した。利用者を収容医療機関の所在地まで案内するための案内データは、地図データに限らず、例えば、道順や交通機関に関するデータを用いてもよい。ここでは、自動車等のナビゲーションシステムに用いられている誘導案内技術を用いることが可能である。また、案内データに、病院に関する情報を含めてもよい。この情報としては、例えば、病院の空きベッド数や混雑状況、面会時間などがある。
【0078】
○ 上記実施形態では、トリアージシステム10は、情報端末20から追加のトリアージ情報を取得した場合に、被災者データ記憶部12にデータを記録した。これに限らず、同じ項目のデータを取得した場合には、それらすべてのデータを記録してもよい。例えば、負傷者に対して、トリアージが複数回、実施されるような場合には、すべてのトリアージ区分等に関するデータを、随時、被災者データ120に記録してもよい。この場合には、被災者のトリアージ区分の変化や傷病などの容態の変化を把握することもできる。
【0079】
○ 上記実施形態では、ホストシステム30は、現金自動預払機40から安否確認依頼を受信した場合、預金口座データ320の関係者口座識別子に基づいて、被災者情報の要求を行なう被災者を特定した。被災者情報の要求を行なう被災者を特定するには、これに限られない。例えば、ホストシステム30は、利用者の預金口座データ320の顧客の姓と、住所や電話番号等を、トリアージシステム10に送信して、一致する姓と、住所や電話番号を有する被災者に関する情報を取得してもよい。また、利用者の姓と、住所や電話番号を有する顧客を預金口座データ320から抽出し、その預金口座データ320の顧客名及び住所や電話番号をトリアージシステム10に送信してもよい。これらの場合には、予め預金口座データ320に関係者口座識別子を記録しておく必要はない。なお、この場合、姓を介して個人の口座識別子と連絡先関係者の口座識別子とが関連付けられる。
【0080】
○ 上記実施形態では、金融機関カードとしてキャッシュカードを用いた。金融機関カードはキャッシュカードに限定されるものではなく、個人の情報を管理している金融システムにおいて、個人を識別するためのカードであればよい。これにより、金融機関システムを用いて被災者を特定することができる。金融機関カードとしては、例えばクレジットカードや生命保険で用いるカードなどを用いることができる。この場合には、預金口座を記録している預金口座データ記憶部32ではなく、保険会社で管理している保険カードに関するデータを記録している記憶部や、クレジット会社で管理しているクレジットカードに関するデータを記録している記憶部から、個人情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の被災者情報提供システムの概略構成図。
【図2】被災者データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】預金口座データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】現金自動預払機データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図5】実施形態における登録処理の処理手順を説明する流れ図。
【図6】実施形態における被災者の情報提供処理の処理手順を説明する流れ図。
【符号の説明】
【0082】
10…トリアージ管理システムとしてのトリアージシステム、12…トリアージデータ記憶手段としての被災者データ記憶部、20…情報端末、30…金融機関システムとしてのホストシステム、32…連絡先データ記憶手段及び名義人データ記憶手段としての預金口座データ記憶部、33…所在地データ記憶手段としての現金自動預払機データ記憶部、40…現金自動預払機、50…トリアージタグ、60…金融機関カードとしてのキャッシュカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関システムにおいて、金融機関カードに記録されたカード識別子に関連付けて、この金融機関カードの名義人に関する個人情報を記録した名義人データ記憶手段と、
トリアージ情報に関するデータを記録するトリアージデータ記憶手段と、
情報端末と金融機関システムと通信を行なうトリアージ管理システムを用いて被災者情報を提供する方法であって、
前記トリアージ管理システムが、
前記情報端末から被災者に取り付けられたトリアージタグのタグ識別子データとともに、前記被災者に関する情報を含むトリアージ情報を受信した場合、前記タグ識別子に関連付けてトリアージ情報を前記トリアージデータ記憶手段に記録するトリアージ情報記録段階と、
前記タグ識別子データとともに前記被災者の金融機関カードのカード識別子データを受信した場合、このカード識別子に基づいて前記名義人データ記憶手段から個人情報を取得し、この個人情報を、前記トリアージデータ記憶手段において前記タグ識別子のトリアージ情報に関連付けて記録する個人情報記録段階と
を実行することを特徴とする被災者情報提供方法。
【請求項2】
前記金融機関システムは、前記名義人のカード識別子に対して、この名義人の連絡先関係者のカード識別子を関連付けて記録した連絡先データ記憶手段を更に備え、
前記金融機関システムが、現金自動預払機に挿入された金融機関カードのカード識別子データを含む安否確認要求を受信した場合、前記連絡先データ記憶手段から前記名義人のカード識別子に対応付けられた連絡先関係者のカード識別子を特定し、このカード識別子に基づいて前記トリアージデータ記憶手段からトリアージ情報を取得し、前記現金自動預払機に出力する出力段階を更に実行することを特徴とする請求項1に記載の被災者情報提供方法。
【請求項3】
前記金融機関システムは、現金自動預払機の所在地情報を記録した所在地データ記憶手段に更に接続されており、
前記金融機関システムが、
前記トリアージ情報に、被災者が搬送されて収容された収容医療機関の所在地に関する情報を含む場合、前記所在地データ記憶手段から、前記安否確認要求を送信した現金自動預払機の所在地に関する情報を取得する所在地取得段階と、
前記現金自動預払機の所在地から前記収容医療機関の所在地まで案内するための案内ガイドデータを生成する案内データ生成段階とを更に実行し、
前記出力段階は、前記トリアージ情報に関するデータとともに、前記案内ガイドデータを前記現金自動預払機に出力することを特徴とする請求項2に記載の被災者情報提供方法。
【請求項4】
金融機関システムにおいて、金融機関カードに記録されたカード識別子に関連付けて、この金融機関カードの名義人に関する個人情報を記録した名義人データ記憶手段と、
トリアージ情報に関するデータを記録するトリアージデータ記憶手段と、
情報端末と金融機関システムと通信を行なうトリアージ管理システムを用いて被災者情報を提供するシステムであって、
前記トリアージ管理システムが、
前記情報端末から被災者に取り付けられたトリアージタグのタグ識別子データとともに、前記被災者に関する情報を含むトリアージ情報を受信した場合、前記タグ識別子に関連付けてトリアージ情報を前記トリアージデータ記憶手段に記録するトリアージ情報記録手段と、
前記タグ識別子データとともに前記被災者の金融機関カードのカード識別子データを受
信した場合、このカード識別子に基づいて前記名義人データ記憶手段から個人情報を取得し、この個人情報を、前記トリアージデータ記憶手段において前記タグ識別子のトリアージ情報に関連付けて記録する個人情報記録手段と
を備えたことを特徴とする被災者情報提供システム。
【請求項5】
前記金融機関システムは、前記名義人のカード識別子に対して、この名義人の連絡先関係者のカード識別子を関連付けて記録した連絡先データ記憶手段を更に備え、
前記金融機関システムが、現金自動預払機に挿入された金融機関カードのカード識別子データを含む安否確認要求を受信した場合、前記連絡先データ記憶手段から前記名義人のカード識別子に対応付けられた連絡先関係者のカード識別子を特定し、このカード識別子に基づいて前記トリアージデータ記憶手段からトリアージ情報を取得し、前記現金自動預払機に出力する出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の被災者情報提供システム。
【請求項6】
前記金融機関システムは、現金自動預払機の所在地情報を記録した所在地データ記憶手段に更に接続されており、
前記金融機関システムが、
前記トリアージ情報に、被災者が搬送されて収容された収容医療機関の所在地に関する情報を含む場合、前記所在地データ記憶手段から、前記安否確認要求を送信した現金自動預払機の所在地に関する情報を取得する所在地取得手段と、
前記現金自動預払機の所在地から前記収容医療機関の所在地まで案内するための案内ガイドデータを生成する案内データ生成手段とを更に実行し、
前記出力手段は、前記トリアージ情報に関するデータとともに、前記案内ガイドデータを前記現金自動預払機に出力することを特徴とする請求項5に記載の被災者情報提供システム。
【請求項7】
金融機関システムにおいて、金融機関カードに記録されたカード識別子に関連付けて、この金融機関カードの名義人に関する個人情報を記録した名義人データ記憶手段と、
トリアージ情報に関するデータを記録するトリアージデータ記憶手段と、
情報端末と金融機関システムと通信を行なうトリアージ管理システムに、被災者情報を提供させるためのプログラムであって、
前記トリアージ管理システムを、
前記情報端末から被災者に取り付けられたトリアージタグのタグ識別子データとともに、前記被災者に関する情報を含むトリアージ情報を受信した場合、前記タグ識別子に関連付けてトリアージ情報を前記トリアージデータ記憶手段に記録するトリアージ情報記録手段、及び
前記タグ識別子データとともに前記被災者の金融機関カードのカード識別子データを受信した場合、このカード識別子に基づいて前記名義人データ記憶手段から個人情報を取得し、この個人情報を、前記トリアージデータ記憶手段において前記タグ識別子のトリアージ情報に関連付けて記録する個人情報記録手段
として機能させることを特徴とする被災者情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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