説明

被膜およびその形成方法

【課題】異なる複数の特性を有する被膜を得ること。また、異なる複数の特性を有する被膜を形成する被膜の形成方法を得ること。
【解決手段】加工液中または気中において電極と基材との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギーにより、前記基材表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質からなる被膜であって、前記電極の材料または前記電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる金属が含浸されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工液中または気中において電極と基材との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギーにより、前記基材表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質からなる被膜およびその形成方法に関し、特に、放電表面処理により形成した被膜の成分と異なる成分の金属を含浸した被膜およびその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属またはセラミックスからなる成形体を電極として、加工液中または気中において電極と被加工物との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギーにより、被加工物表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギーにより反応した物質からなる被膜を形成して、被加工物にある特定の特性を付与する、またはある特定の特性を高める技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−257556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、形成される被膜は電極材料あるいは電極材料が放電エネルギーにより反応した物質からなるものに限られており、形成される被膜の特性は電極材料に依存している。このため、ある特定の特性を重視して形成された被膜は、それ以外の別の特性においては極度に劣る被膜である場合が多い。そして、昨今、市場ニーズの複雑化により表面処理により形成される被膜に求められる特性は単一であることが少なくなってきており、幾つかの特性を併せ持った被膜の開発が急務である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異なる複数の特性を有する被膜を得ることを目的とする。また、異なる複数の特性を有する被膜を形成する被膜の形成方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる被膜は、加工液中または気中において電極と基材との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギーにより、前記基材表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質からなる被膜であって、前記電極の材料または前記電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる金属が含浸されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、放電表面処理により形成された被膜の特性に、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった異なる特性を付与することで、これまでの放電表面処理被膜においては実現されていない、複数の異なる特性を有した放電表面処理被膜を得ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる被膜である金属含浸放電表面処理被膜およびその形成方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0009】
実施の形態
本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜は、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜に、放電表面処理により形成した被膜の成分と異なる金属、すなわち、放電表面処理における電極の材料または電極の材料が放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる金属が含浸されていることを特徴とするものである。このような本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜は、放電表面処理により形成された被膜の特性に、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった異なる特性が付与されており、これまでの放電表面処理被膜においては実現されていない、複数の異なる特性を有した放電表面処理被膜である。
【0010】
たとえば、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜に亜鉛が含浸された本実施の形態にかかる亜鉛含浸放電表面処理被膜は、従来、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった優れた耐摩耗性が付与されている。また、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜に銅が含浸された本実施の形態にかかる銅含浸放電表面処理被膜は、従来、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった優れた熱伝導率特性が付与されている。
【0011】
このような本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜の有する特性は、放電表面処理により形成された放電表面処理被膜に存在する空隙に、該放電表面処理により形成した被膜の成分と異なる金属、すなわち、放電表面処理における電極の材料または電極の材料が放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる成分の金属が含浸されることで、この金属の有する特性が放電表面処理被膜に付与されることにより実現されている。
【0012】
上記のような本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜は、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった異なる複数の特性を有するため、複数の特性が必要とされる用途などに用いて好適である。
【0013】
次に、上述した本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜の形成方法について説明する。まず、被処理材であるワーク(基材)上に放電表面処理被膜を形成する放電表面処理方法について説明する。本実施の形態において放電表面処理を行う放電表面処理装置の概略構成を示す模式図を図1に示す。図1に示すように本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、電極101と、加工液103である油と、電極101とワーク(基材)102とを加工液中に浸漬させる、または電極101とワーク(基材)102との間に加工液103を供給する加工液供給装置(図示せず)と、電極101とワーク(基材)102との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱105)を発生させる放電表面処理用電源104とを備えて構成されている。
【0014】
電極101としては、金属またはセラミックスからなる成形体を用いる。たとえば、本実施の形態では、電極101として「クロム(Cr)25重量%、ニッケル(Ni)10重量%、タングステン(W)10重量%、残コバルト(Co)」の組成からなる成形体を用いる。なお、図1においては、放電表面処理用電源104とワーク(基材)102との相対位置を制御する駆動装置などの本発明に直接関係のない部材は記載を省略している。
【0015】
この放電表面処理装置によりワーク(基材)表面に被膜を形成するには、電極101とワーク(基材)102とを加工液103の中で対向配置し、加工液103中において放電表面処理用電源104から電極101とワーク(基材)102との間にパルス状の放電を発生させる。そして、パルス状の放電の放電エネルギーにより電極材料の被膜をワー(基材)ク表面に形成し、または放電エネルギーにより電極材料が反応した物質の被膜をワーク(基材)表面に形成する。極性は、電極101側がマイナス、ワーク(基材)102側がプラスの極性を使用する。図1に示すように放電のアーク柱105は電極101とワーク(基材)102との間に発生する。
【0016】
このような放電表面処理装置を用いて放電表面処理を行い、被膜を形成した。放電表面処理を行う場合の放電のパルス条件の一例を図2−1と図2−2とに示す。図2−1と図2−2は、放電表面処理時における放電のパルス条件の一例を示す図であり、図2−1は、放電時の電極とワーク(基材)との間にかかる電圧波形を示し、図2−2は、放電時に流れる電流の電流波形を示している。
【0017】
図2−1に示されるように時刻t0で両極間に無負荷電圧uiがかけられるが、放電遅れ時間td経過後の時刻t1に両極間に電流が流れ始め、放電が始まる。このときの電圧が放電電圧ueであり、このとき流れる電流がピーク電流値ieである。そして時刻t2で両極間への電圧の供給が停止されると、電流は流れなくなる。
【0018】
時刻t2−t1がパルス幅teである。この時刻t0〜t2における電圧波形を、休止時間toをおいて繰り返して両極間に印加する。つまり、この図2−1に示されるように、放電表面処理用電極とワーク(基材)との間に、パルス状の電圧を印加させる。
【0019】
本実施の形態における放電表面処理被膜の形成に用いた放電パルスの電気的な条件は、ピーク電流値ie=8A、放電持続時間(放電パルス幅)te=8μs、休止時間to=32μsである。本発明においては放電パルス条件は必ずしもこのとおりである必要はないが、放電パルス条件に対応して、形成される被膜の空隙率が変化し、その後に被膜に含浸される金属の割合が決まるため、含浸する金属の必要量に応じて放電パルス条件を設定しなければならない。
【0020】
次に、上記のようにして基材上に形成した放電表面処理被膜に対して、金属を含浸する含浸処理を施した。ここでは、一例として放電表面処理被膜に対して亜鉛を含浸する含浸処理について説明する。放電表面処理被膜を形成した基材と、直径20mm×長さ30mmの略円柱形の金属亜鉛と、をるつぼに入れ、大気炉にて520℃に加熱して金属亜鉛を溶融した。これにより、亜鉛が溶融した亜鉛浴に基材が浸し、溶融した亜鉛を放電表面処理被膜に接触させることにより、放電表面処理被膜に亜鉛を含浸した。なお、金属亜鉛を溶融する際には、アルゴン雰囲気またはアルゴン水素雰囲気で加熱すると溶融する亜鉛の酸化を防ぐことができるためより好ましい。
【0021】
ここで、放電表面処理被膜に含浸させる金属の融点よりも100℃〜400℃ほど高温で加熱すると、溶融した金属の流動性が上がり粘度を下げることができる。金属の融点から100℃に満たない温度では金属の粘度が高くて流動性が悪く、被膜の空隙への金属の含浸が困難である。また、金属の融点から400℃を越えた温度では金属の蒸発が起こり易いため好ましくない。したがって、亜鉛の融点は420℃であるので、放電表面処理被膜に亜鉛を含浸させる場合は、520℃〜920℃の温度で加熱するのが良い。また、銅の融点は1080℃であるので、放電表面処理被膜に銅を含浸させる場合は、1180℃〜1580℃で加熱するのが良い。
【0022】
亜鉛が十分に溶融した後、520℃の温度を保持したまま基材をるつぼより取り出し、5分から10分程度、大気炉内の台座の上に乗せて余分な亜鉛を取り除いた。ここで、るつぼ内の溶融亜鉛浴からの基材の取り出しを溶融金属の融点以下で行うと、取り出した基材および放電表面処理被膜に溶融金属が付着してしまい、付着した金属を研削等で除去する後工程が必要となる。また、融点直近の温度でも、同様の状態が生じる虞がある。
【0023】
また、溶融金属の融点から10℃に満たない温度で基材を取り出すと、基材を取り出してすぐに溶融金属凝固点に達してしまうため、基材および放電表面処理被膜に余分な金属が付着してしまい、付着した金属を研削等で除去する後工程が必要となる。また、溶融金属の融点より120℃を越えて高い温度で基材を取り出すと、金属の表面張力と重力との関係で、含浸した金属が放電表面処理被膜より流出してしまう虞がある。したがって、るつぼ内の溶融金属浴からの基材の取り出しは、溶融金属の融点より10℃〜120℃だけ高い温度で行うことが好ましい。すなわち、溶融金属の温度が該金属の融点より10℃〜120℃高温の時点で溶融金属から基材(被膜)を取り出すことが好ましい。
【0024】
最後に大気炉より基材を取り出して自然冷却することで、放電表面処理被膜に亜鉛を含浸した本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜が得られる。
【0025】
上述した本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜の形成方法によれば、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜に、放電表面処理により形成した被膜の成分と異なる金属、すなわち、放電表面処理における電極の材料または電極の材料が放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる金属を含浸することにより、放電表面処理により形成された被膜の特性に、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった異なる特性を付与することができ、これまでの放電表面処理被膜においては実現されていない、複数の異なる特性を有した放電表面処理被膜を形成することができる。
【0026】
たとえば、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜に亜鉛を含浸することにより、従来、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった優れた耐摩耗性が付与された金属含浸放電表面処理被膜を形成することができる。また、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜に銅を含浸することにより、従来、放電表面処理により形成しただけでは得られなかった優れた熱伝導率特性が付与された金属含浸放電表面処理被膜を形成することができる。
【0027】
したがって、上記のような本実施の形態にかかる金属含浸放電表面処理被膜の形成方法によれば、従来の放電表面処理では得られなかった異なる複数の特性を有する、複数の特性が必要とされる用途などに用いて好適な被膜を形成することができる。なお、電極材料は、「クロム(Cr)25重量%、ニッケル(Ni)10重量%、タングステン(W)10重量%、残コバルト(Co)」以外でも良い。
【0028】
実施例1.
実施例1では、上述した実施の形態において説明した形成方法により、亜鉛を含浸した放電表面処理被膜を作製し、その耐摩耗特性を評価した。以下、含浸処理を施した放電表面処理被膜の耐摩耗特性の評価について説明する。被膜の評価試験は、実施の形態において説明した形成方法により亜鉛を含浸した放電表面処理被膜(実施例1)と、亜鉛を含浸しない放電表面処理被膜(比較例1)の2種類の放電表面処理被膜についてピンオンディスク試験を行い、磨耗量および摩擦係数を測定した。
【0029】
なお、上述したとおり、放電表面処理被膜に金属を含浸させる場合は、含浸させる金属の融点より100℃〜400℃ほど高温で加熱すると良いため、実施例1にかかる放電表面処理被膜については、亜鉛を溶融する際の加熱温度を520℃とした。また、るつぼ内の溶融亜鉛浴から基材を取り出す際の温度も520℃とした。
【0030】
ピンオンディスク試験は、図3に示すように、放電表面処理被膜201を先端部に形成したピン202を、回転するディスク203に押しつけることにより行った。ここで、試験荷重は36N、ディスクの摺速は10m/s、試験時間は60分とし、潤滑油には合成油を用いた。また、ディスクの材質はS45Cであるが、表面にクロムメッキを施した。ピンオンディスク試験の評価結果を図4に示す。
【0031】
図4から、実施例1の放電表面処理被膜(亜鉛を含浸した放電表面処理被膜)は、比較例1の放電表面処理被膜(未含浸の放電表面処理被膜)と比べて摩擦係数が小さく、磨耗が少ないことがわかる。これは、実施例1の亜鉛を含浸した放電表面処理被膜では、放電表面処理被膜内に含浸した亜鉛が潤滑油である合成油と反応して極圧添加剤として作用したためと考えられる。このことから、実施例1にかかる放電表面処理被膜においては、放電表面処理により形成した被膜に亜鉛を含浸することで、従来得られなかった優れた耐摩耗性が付与されていることが確認された。
【0032】
実施例2.
実施例2では、上述した実施の形態において説明した形成方法により、銅を含浸した放電表面処理被膜と、亜鉛を含浸した放電表面処理被膜と、を作製し、その熱伝導率特性を評価した。以下、含浸処理を施した放電表面処理被膜の熱伝導率特性の評価について説明する。被膜の評価試験は、実施の形態において説明した形成方法により銅を含浸した放電表面処理被膜(実施例2)と、実施の形態において説明した形成方法により亜鉛を含浸した放電表面処理被膜(実施例3)と、銅も亜鉛も含浸しない放電表面処理被膜(比較例2)の3種類の放電表面処理被膜について熱伝導率を測定した。熱伝導率の測定結果を図5に示す。
【0033】
なお、上述したとおり、放電表面処理被膜に金属を含浸させる場合は、含浸させる金属の融点より100℃〜400℃ほど高温で加熱すると良いため、実施例2にかかる放電表面処理被膜については銅を溶融する際の加熱温度を1200℃とした。また、るつぼ内の溶融銅浴から基材を取り出す際の温度も1200℃とした。一方、実施例3にかかる放電表面処理被膜については亜鉛を溶融する際の加熱温度を520℃とした。また、るつぼ内の溶融亜鉛浴から基材を取り出す際の温度も520℃とした。
【0034】
図5から、実施例2の被膜(銅を含浸した放電表面処理被膜)は、比較例2の被膜(未含浸の放電表面処理被膜)と比べて熱伝導率がおよそ3倍となっていることがわかる。また、実施例3の被膜(亜鉛を含浸した放電表面処理被膜)は、比較例2の被膜(未含浸の放電表面処理被膜)と比べて熱伝導率がおよそ1.5倍となっていることがわかる。
【0035】
これは、放電表面処理により形成した放電表面処理被膜には少なからず空隙が存在するため熱伝導率は低いが、被膜の空隙に導電性の金属を含浸することで被膜の空隙が満たされ、被膜に電気が流れやすくなっているためであると考えられる。そして、熱伝導率の高い金属を含浸させることで、放電表面処理被膜の熱伝導率をより高めることができると考えられる。したがって、亜鉛よりも熱伝導率が高い銅を放電表面処理被膜に含浸することで、より高い熱伝導率を有する放電表面処理被膜を得ることができる。
【0036】
このことから、実施例2にかかる放電表面処理被膜においては、放電表面処理により形成した被膜に銅または亜鉛を含浸することで、従来得られなかった優れた熱伝導率が付与されていることが確認された。そして、より熱伝導率の高い銅を放電表面処理被膜に含浸させることで、放電表面処理被膜の熱伝導率をより高められることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる被膜は、複数の特性が必要とされるような用途などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態において放電表面処理を行う放電表面処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2−1】放電表面処理時における放電のパルス条件の一例を示す図であり、放電時の電極とワーク(基材)との間にかかる電圧波形を示す図である。
【図2−2】放電表面処理時における放電のパルス条件の一例を示す図であり、放電時に流れる電流の電流波形を示す図である。
【図3】実施例1におけるピンオンディスク試験の概要を説明するための図である。
【図4】実施例1におけるピンオンディスク試験の結果を示す図である。
【図5】実施例2における熱伝導率の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
101 電極
102 ワーク(基材)
103 加工液
104 放電表面処理用電源
105 アーク柱
201 放電表面処理被膜
202 ピン
203 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工液中または気中において電極と基材との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギーにより、前記基材表面に前記電極の材料からなる被膜または電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質からなる被膜であって、
前記電極の材料または前記電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる金属が含浸されていること、
を特徴とする被膜。
【請求項2】
前記金属が亜鉛であること、
を特徴とする請求項1に記載の被膜。
【請求項3】
前記金属が銅であること、
を特徴とする請求項1に記載の被膜。
【請求項4】
加工液中または気中において電極と基材との間にパルス状の放電を発生させ、その放電エネルギーにより、前記基材表面に前記電極の材料からなる被膜または前記電極の材料が前記放電エネルギーにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理工程と、
前記電極の材料の成分または前記電極の材料が放電エネルギーにより反応した物質の成分、と異なる金属を前記被膜に含浸させる含浸工程と、
を含むことを特徴とする被膜の形成方法。
【請求項5】
前記含浸工程において、前記金属を前記金属の融点より100℃〜400℃だけ高い温度に加熱し、前記金属を溶融させた溶融金属に前記被膜を接触させること、
を特徴とする請求項4に記載の被膜の形成方法。
【請求項6】
前記含浸工程において、前記溶融金属の温度が前記金属の融点より10℃〜120℃だけ高い時点で前記溶融金属から前記被膜を取り出すこと、
を特徴とする請求項5に記載の被膜の形成方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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