説明

被覆器及びマット

【課題】 寝床の位置や場所を変更した場合に、その寝床の位置や場所に簡単に移動させることができ、使用しないときは、簡単に片付けることができる被覆器を提供すること。
【解決手段】 利用者5が横たわった状態で顔全体を覆うことができる被覆器4において、顔全体を、間隔を隔てて覆う形状であり、保温性及び保湿性を有する布で形成された被覆体6と、座敷14に配置されて被覆体6を支持する支持部7とを備え、支持部7の下部に固定部材8が形成され、固定部材8が敷布団12の下に敷かれて安定した状態で被覆器4を配置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば利用者が横たわった状態の例えば就寝時に、顔全体又は身体全体を被覆することができる被覆器、及びこの被覆器を利用するときに使用できるマットに関する。
【背景技術】
【0002】
肺に通じる気道が乾燥したり、冷気によって冷やされると、線毛運動が低下して身体の抵抗力が弱くなる。その結果、上気道炎を起こしたりインフルエンザ等に感染することがある。そこで、気道が乾燥したり冷やされることを防止するために、例えば布製のマスクを装着して口や鼻を覆う方法がある。
【0003】
しかし、このようなマスクとして、耳に掛けて顔に装着するものがあるが、睡眠中は、無意識にマスクを取り外してしまうことがあり、気道の乾燥や冷却を防止できないこととなる。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、図11に示す就寝マスクが発明されている(例えば、特許文献1参照。)。この就寝マスク1は、同図に示すように、比較的気密性を有する布を使用してドーム型に形成したものであり、このドーム型形状を保持するために、例えば針金で骨組み(図示せず)が形成されている。
【0005】
この就寝マスク1は、就寝時に顔全体を覆うように、天井から紐2で吊り下げて使用するものであり、呼気によって就寝マスク1内を適切な湿度及び温度に保つことができる。これによって、利用者の気道の乾燥や冷却を防止することができる。
【特許文献1】特開2004−49711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図11に示す従来の就寝マスク1は、天井から紐2で吊り下げて使用するものなので、寝床3の位置や場所(例えば部屋)を変更した場合は、その寝床3の位置や場所に応じて就寝マスク1の吊り下げ位置を変更する必要があり、吊下げ位置の変更には手間が掛かる。また、就寝マスク1を使用しないときは、就寝マスク1を吊下げ紐2から取り外す必要があり手間が掛かる。更に、就寝マスク1を紐2から取り外したときは、紐2が天井から垂れ下がっており見栄えが悪い。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、顔全体又は身体全体を被覆できる被覆器であって、寝床の位置や場所を変更した場合に、その寝床の位置や場所に簡単に移動させることができ、使用しないときは、簡単に片付けることができる被覆器、及びこの被覆器を利用するときに湿気を防止で切るマットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、利用者が横たわった状態で顔全体を覆うことができる被覆器において、顔全体を、間隔を隔てて覆う形状であり、保温性及び保湿性のいずれかを有する布や膜で形成された被覆体と、座敷やベッドに配置されて前記被覆体を支持する支持部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
この発明の被覆器によると、例えば就寝時に横たわった状態で、被覆体によって顔全体を、間隔を隔てて覆うことができる。この状態で、被覆体内は、呼気によって適切な湿度、温度に保つことができ、これによって気道が乾燥したり冷やされることを防止できる。そして、被覆器は、座敷やベッドに配置して使用できるので、寝床の位置や場所(例えば部屋)を変更した場合に、その変更した寝床の位置や場所に簡単に移動させて使用することができる。
【0010】
なお、例えば睡眠中は、気道の乾燥や冷却を防止するために、部屋の湿度や温度を加湿器や空調機で調節することができるが、このように部屋全体の湿度や温度を上げると、部屋内のカビやダニ等を増加させることになり、健康を害することがある。そこで、この発明の被覆器を使用すると、部屋全体の湿度や温度を上げる必要がないので、部屋内のカビやダニ等を増加させることがない。
【0011】
そして、この発明の被覆器において、前記被覆体が前記支持部に着脱自在に取り付けられるようにできる。このように、被覆体を支持部に着脱自在に取り付けると、被覆体が汚れたときに、被覆体を支持体から簡単に取り外して洗濯できるし、この洗濯した被覆体を支持部に簡単に取り付けることができる。
【0012】
そして、この発明の被覆器において、前記支持部の下部に固定部材が設けられ、前記固定部材が敷布団や敷きマットの下に敷かれて前記支持部が固定されるようにできる。このように、固定部材が敷布団や敷きマットの下に敷かれるように配置することによって、この被覆器を座敷やベッドに安定した状態に取り付けることができる。よって、敷布団等の敷く位置や場所を変更した場合でも、被覆器をその変更した位置や場所に簡単に移動させて、安定した設置状態で使用することができる。
【0013】
また、この発明の被覆器において、前記支持部の下部に固定部材が設けられ、前記固定部材を掛け布団の上縁部上面に着脱自在に取り付けて前記支持部を固定するようにできる。このように、被覆器を掛け布団に着脱自在に取り付けるようにすると、利用者が横たわった状態で、被覆器を手で簡単に操作できるようにすることができる。つまり、利用者が横たわった状態で、被覆器が顔全体を覆うようにできるし、顔から外れるようにすることができる。
【0014】
更に、この発明の被覆器において、前記被覆体は、間隔を隔てて顔全体を覆う状態で、その下縁部が前記座敷や寝具に接触する長さに形成するとよい。このようにすると、呼気に含まれている水蒸気や、呼気により暖められた空気を効果的に被覆体内に閉じ込めておくことができる。よって、被覆体内を適切な湿度、温度に保つことができる。
【0015】
そして、この発明の被覆器において、前記支持部が線状体で形成された1又は2以上の枠体を有し、前記1又は2以上の各枠体の両端部が枢支部によって回動自在に枢支され、前記枠体が所定の回動位置で保持されるようにできる。この被覆器によると、枠体を、枢支部を中心にして回動させることによって、被覆体が顔全体を覆う状態と、顔から外れる状態とにすることができる。
【0016】
そして、この発明は、利用者が横たわった状態で身体全体を覆うことができる被覆器において、身体全体を、間隔を隔てて覆う形状であり、保温性及び保湿性のいずれかを有する布や膜で形成された被覆体と、座敷やベッドに配置されて前記被覆体を支持する支持部とを備えるようにしてもよい。このように、被覆体を、身体全体と間隔を隔てて配置すると、被覆器内で身体を動かしたり移動させることができ、このように身体を動かす等しても、身体全体が被覆体によって覆われた状態となっているので、身体全体を保湿したり、保温することができる。そして、第1実施形態の被覆器と同様に、気道が乾燥したり冷やされることを防止できる。
【0017】
また、この発明のマットは、通気性を有するクッション部と、前記クッション部を保持し前記クッション部に向かって開口する多数の通気孔を有する保持部と、前記保持部に設けられ前記多数の通気孔と連通する開口部とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
この発明のマットによると、例えば布団乾燥機が吐出する高温乾燥空気を開口部から供給すると、この高温乾燥空気を多数の通気孔に通してクッション部全体に行き渡らせることができる。これによって、このマットが吸湿した湿気を乾燥させることができるし、マットに付着するダニ等の害虫を死滅させることができる。そして、例えば掃除機によって開口部からマット内の空気を吸い込むと、多数の通気孔を介してマットに付着するダニやハウスダスト等を吸い込んで、マットを綺麗に掃除することができる。
【0019】
更に、この発明のマットにおいて、前記保持部の下面が通気性の低い封止布や封止膜で被覆されているようにするとよい。これによって、例えば布団乾燥機が吐出する高温乾燥空気が保持部の下面から漏出するのを防止でき、高温乾燥空気をマット全体に広く行き渡らせることができる。そして、例えば掃除機によってマットに付着するダニやハウスダスト等を吸い込む際に、保持部の下面から空気が吸い込まれるのを防止して、マットを綺麗に掃除することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の被覆器によると、座敷やベッドに配置して使用できるので、寝床の位置や場所を変更した場合でも、その変更した寝床の位置や場所に手間を掛けずに簡単に移動させて使用できる。そして、使用しないときは、簡単に片付けることができて便利である。また、顔全体等を覆うものであり、部屋全体の湿度や温度を上げるものではないので、部屋内のカビやダニ等を増加させることがなく、カビ等により健康を害されることがない。
【0021】
そして、被覆体が身体全体を覆うようにすると、身体を保湿したり保温することができる。また、この発明のマットは、多数の通気孔及びこれと連通する開口部を備えているので、布団乾燥機によって簡単に乾燥させることができるし、掃除機によって簡単にダニ等を吸引して清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る被覆器の第1実施形態を図1〜図3を参照して説明する。この被覆器4は、例えば図1に示すように、利用者5が横たわった状態で、被覆体6が顔全体を覆うよう広げて使用できるものである。この被覆体6は支持部7によって支持されている。
【0023】
支持部7は、例えば合成樹脂製であり、図1に示すように、固定部材8と、第1〜第3枠体9、10、11とを備えている。固定部材8は、例えば断面形状がL字状であり、水平部8aと垂直部8bとを有している。そして、固定部材8は、利用者5の肩幅よりも少し長い寸法に形成されている。水平部8aは、例えば敷布団12の下に敷かれることによって、被覆器4が安定して起立するように、図2に示すように、その縦横の各寸法T、Yが規定されている。また、同図に示すように、固定部材8の垂直部8bには、第1枠体9が固定して設けられている。
【0024】
第1〜第3枠体9〜11は、図2に示すように、それぞれ略同一の形状、及び大きさに形成された略コ字状の線状体である。第1枠体9は、互いに平行する一対の各平行部9a、9aが鉛直方向と平行する状態で、各下端部が垂直部8bの左右の各端部と結合している。第2及び第3の各枠体10、11は、それぞれの互いに平行する各平行部10a、10a、11a、11aの両端部が2つの各枢支部13、13に回動自在に枢支されており、第2及び第3の各枠体10、11が所定の回動位置で保持されるように設けられている。これら2つの各枢支部13、13は、垂直部8bの左右の各端部の上部に設けられている。
【0025】
枢支部13は、軸13aと、この軸13aを支持する一対の軸受板13b、13bとを備えている。この軸13aは、第2及び第3の各枠体10、11の各端部に形成されている挿通孔(図示せず)に挿通しており、これによって第2及び第3の各枠体10、11を回動自在に支持している。そして、一対の軸受板13b、13bが2つの枠体10、11のそれぞれの端部を外側から所定の力で挟み込んでおり、これによって、第2及び第3の各枠体10、11が所定(任意)の回動位置で保持されるようにしてある。
【0026】
被覆体6は、保温性及び保湿性を有する例えば織布、不織布又は膜で形成されている。膜としては、例えばビニール等の合成樹脂製とすることができる。ただし、被覆体(膜)6内と外部との間で空気が循環するように、膜に多数の小孔を形成するとよい。被覆体6は、図2に示すように、第1〜第3枠体9〜11を外側から覆うように、これら第1〜第3枠体9〜11に着脱自在に取り付けられている。つまり、クリップ、マジックテープ(登録商標)、又はホック等を利用して、被覆体6を第1〜第3枠体9〜11に取り付けてある。このように、クリップ等を利用して、被覆体6を第1〜第3枠体9〜11に着脱自在に取り付けてあるのは、例えば被覆体6が汚れたときに、被覆体6を第1〜第3枠体9〜11から簡単に取り外して洗濯できるようにすることと、この洗濯した被覆体6を第1〜第3枠体9〜11に簡単に取り付けできるようにすることのためである。
【0027】
図2は、被覆器4の第2及び第3枠体10、11を広げた状態を示している。被覆体6は、被覆器4をこのように広げた状態で示すように、第1枠体9と固定部材8の垂直部8b上縁とによって形成される領域を覆う矩形状部6a、第1〜第3枠体9〜11のそれぞれの両側の平行部9a、10a、11a、・・・の隣り合うものどうしによって形成される領域を覆う合計4つの三角形状部6b、6b、6b、6b、第1〜第3枠体9〜11のそれぞれの水平連結部9b、10b、11bの隣り合うものどうしによって形成される領域を覆う2つの矩形状部6c、6c、並びに第3枠体11から垂れ下がる垂下がり部6dによって構成されている。この被覆体6は、複数枚の布地等を使用して形成してあるが、1枚の布地を使用して形成してもよい。
【0028】
図3は、被覆器4の第2及び第3枠体10、11を閉じた状態を示している。この閉じた状態では、第1〜第3枠体9〜11が略鉛直方向と平行し、互いに略重なり合う状態となっている。そして、第2及び第3枠体10、11は、枢支部13、13によってこの閉状態に保持されており、被覆器4は図3に示すように起立することができる。
【0029】
上記のように構成された被覆器4は、例えば図1に示すように、就寝時に顔全体を覆うように設置して使用することができる。被覆器4を設置するときは、被覆器4を閉じた状態にして、固定部材8の水平部8aを敷布団12の上縁と座敷14の上面との間に敷き込む。これによって、被覆器4を座敷14に安定した状態で設置することができる。そして、同図に示すように、利用者5が敷布団12と掛け布団15との間に入って横たわり、閉じた状態の被覆器4を開いた状態にする。これによって、顔全体が、間隔を隔てて被覆体6によって覆われた状態となる。そして、被覆体6の垂下がり部6dは、図1に示すように被覆体6が顔全体を覆う状態で、掛け布団15及び敷布団12と接触する状態となる。このように、顔全体が被覆体6によって覆われた状態では、呼気に含まれている水蒸気や、呼気により暖められた空気を効果的に被覆体6内に閉じ込めておくことができる。これによって、被覆体6内を適切な湿度及び温度に保つことができるので、気道が乾燥したり冷やされることを防止できる。
【0030】
そして、被覆器4は、図1に示すように、敷布団12と座敷14の上面との間に水平部8aを敷き込んで使用できるので、寝床(敷布団12等)の位置や場所(例えば部屋)を変更した場合に、その変更した寝床の位置や場所に、手間を掛けずに簡単に移動させることができるし、その移動した位置や場所で安定した設置状態で使用することができる。そして、使用しないときは、敷布団12から引き離して、図3に示すように被覆器4を閉じた状態にして、簡単に片付けることができて便利である。
【0031】
そして、この被覆器4は、自分の呼気によって被覆体6内の湿度及び温度を上げて気道を保護するものであり、加湿器や空調機によって部屋全体の湿度や温度を上げるものでないので、部屋内のカビやダニ等を増加させることがない。
【0032】
そして、利用者5は、図1に示すように、第2及び第3枠体10、11を、枢支部13を中心にして利用者5の顔に向かって回動させることによって、被覆体6が顔全体を覆うように広げた状態にすることができる。そして、第2及び第3枠体10、11を、枢支部13を中心にして利用者5の顔から離れる方向に回動させることによって、被覆体6を顔から離れる位置に移動させることができる。このように、利用者5は、横たわった状態で、被覆体6を広げたり閉じたりすることができて便利である。そして、第2及び第3枠体10、11を所望の回動位置で停止させておくことができるので、被覆体6の垂下がり部6dと掛け布団15等との間に空間(隙間)が形成されるようにすることができるし、顔が被覆体6によって覆われる範囲を少なくできる。これによって、顔を覆う被覆体6による圧迫感を軽減させることができる。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、本発明に係る被覆器の第2実施形態を説明する。この被覆器16は、図4に示すように、図1に示す第1実施形態の被覆器4と同様に、利用者5が横たわった状態で、被覆体17が顔全体を覆うよう使用できるものであり、第1実施形態の被覆器4と同程度の横幅に形成されている。この被覆体17は支持部18によって支持されている。
【0034】
支持部18は、例えば合成樹脂製の線状体によって形成されたものであり、図5に示すように、上側支持体19と下側支持体20とを備えている。この上側及び下側支持体19、20は、それぞれが略同一形状の横長の矩形枠体として形成されている。そして、この上側支持体19及び下側支持体20は、所定の間隔を隔てて平行した状態で、それぞれの後ろ側部の左右の各角部が2本の支柱21、21によって互いに連結されている。この上側支持体19と下側支持体20との間隔H1は、図4に示すように、上側支持体19によって支持されている被覆体17と顔との間に所定の隙間が形成される寸法である。この所定の隙間の大きさは、利用者5が被覆体17や上側支持体19による圧迫感が気にならない程度の大きさであり、例えば約20cmである。下側支持体20は、第1実施形態の固定部材8と同様に、敷布団12の下に敷かれることによって、この被覆器16を安定して起立させることができ、そのために所定の縦横の各寸法が規定されている。
【0035】
被覆体17は、第1実施形態の被服体6と同等のものであり、保温性及び保湿性を有する布等で形成されている。そして、被覆体17は、図5に示すように、支持部18の全体を外側から覆うように取り付けられている。そして、第1実施形態と同様に、被覆体17は、クリップ等を利用して、上側支持体19及び各支柱21、21に着脱自在に取り付けてある。
【0036】
被覆体17は、図5に示すように、上側支持体19によって形成される領域を覆う矩形状部17a、2本の支柱21、21間に形成されている領域を覆う矩形状部17b、並びに上側支持体19の一対の平行部19a、19a及び自由端側の水平連結部19bから垂れ下がる垂下がり部17cによって構成されている。
【0037】
上記のように構成された被覆器16は、図4に示すように、断面形状がコ字形状であり、図3に示す第1実施形態の被覆器4のように閉じた状態にすることができないが、これ以外は、第1実施形態と同様にして使用することができるし同様に作用するので、それらの詳細な説明を省略する。
【0038】
ただし、図5に示す被覆器16を、上側支持体19、下側支持体20、及び2本の支柱21、21が互いに重なり合うように、折り畳んだ状態にできるようにすることができる。例えば、上側支持体19と2本の各支柱21、21の上端部とを回動自在に連結部(図示せず)を介して連結すると共に、下側支持体20と2本の各支柱21、21の下端部とを回動自在に連結部(図示せず)を介して連結する構成としてもよい。このようにすると、上側支持体19及び下側支持体20を、それぞれ回動部を中心にして2本の支柱21、21側に向かって回動させることができ、これによって、上側支持体19、下側支持体20、及び2本の支柱21、21が互いに重なり合うように折り畳んだ状態にすることができる。このように折り畳むことによって、持ち運び及び収納をし易くすることができる。勿論、回動部は、図5に示すように、上側支持体19及び下側支持体20を水平状態に保持できるように形成されている。
【0039】
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係る被覆器22の第3実施形態を説明する。この被覆器22は、図6に示すように、図1に示す第1実施形態の被覆器4と同様に、利用者5が横たわった状態で、被覆体23が顔全体を覆うよう使用できるものであり、第1実施形態の被覆器4と同程度の横幅に形成されている。この被覆体23は支持部24によって支持されている。
【0040】
支持部24は、例えば合成樹脂製であり、図7に示すように、固定部材25と、枠体26とを備えている。固定部材25は、例えば横長の矩形の板状体である。そして、固定部材25は、例えば掛け布団15、毛布、又はタオルケット等の上縁部上面27に着脱自在に取り付けることができるように形成されており、例えば固定部材25が掛け布団15等の上面にマジックテープ(登録商標)(図示せず)によって取り付けられている。
【0041】
枠体26は、図7に示すように、略コ字状に形成された線状体である。この枠体26は、互いに平行する各平行部26a、26aの両端部が枢支部28に回動自在に枢支されており、所定の回動位置で保持されるように設けられている。この枢支部28は、固定部材25の上面に設けられている。
【0042】
枢支部28は、突条であり、中心孔に枠体26の各端部が挿通しており、枠体26を回動自在に支持している。そして、各端部と中心孔(枢支部)28の内面との摩擦力によって枠体26が所定(任意)の回動位置で保持されるようにしてある。
【0043】
被覆体23は、第1実施形態の被服体6と同等のものであり、保温性及び保湿性を有する布等で形成されている。そして、被覆体23は、図7に示すように、枠体26及び固定部材25を外側から覆うように取り付けられている。そして、第1実施形態と同様に、被覆体23は、クリップ等を利用して、枠体26及び固定部材25に着脱自在に取り付けてある。
【0044】
被覆体23は、図7に示すように、枠体26と固定部材25とによって形成される領域を覆う矩形状部23a、及び枠体26の周囲から垂れ下がる垂下がり部23bによって構成されている。
【0045】
上記のように構成された被覆器22は、例えば図6に示すように、就寝時に顔全体を覆うように、掛け布団15に取り付けて使用することができる。被覆器22を掛け布団15に取り付けるときは、例えばまず、二点鎖線で示すように、枠体26を掛け布団15の上面に沿う不使用位置に回動させた状態にして、固定部材25を掛け布団15の上縁部上面27にマジックテープ(登録商標)によって着脱自在に取り付ける。これによって、被覆器22を掛け布団15に安定した状態にして取り付けることができる。そして、同図の実線で示すように、利用者5が敷布団12と掛け布団15との間に入って横たわり、不使用状態の枠体26を回動させて、実線で示す使用状態にする。これによって、顔全体が、間隔を隔てて被覆体23によって覆われた状態となる。そして、被覆体23の垂下がり部23bは、掛け布団15及び敷布団12と接触する状態となる。このように、顔全体が被覆体23によって覆われた状態では、第1実施形態の被覆器4と同様に、気道が乾燥したり冷やされることを防止できる。
【0046】
そして、被覆器22は、図6に示すように、掛け布団15の上縁部上面27にマジックテープ(登録商標)等によって着脱自在に取り付けて使用できるので、寝床(敷布団12等)の位置や場所(例えば部屋)を変更した場合に、その変更した寝床の位置や場所に、被覆器22を掛け布団15に取り付けた状態で又は取り外して、手間を掛けずに簡単に移動させることができるし、その移動した位置や場所で安定した取付け状態で使用することができる。そして、使用しないときは、被覆器22を掛け布団15から簡単に取り外して片付けることができて便利である。
【0047】
そして、この被覆器22によると、図6に示すように、利用者5は、横たわった状態で、枠体26を、枢支部28を中心にして回動させることによって、被覆体23が顔全体を覆うように使用状態にすることができるし、被覆体23を不使用状態にすることができて便利である。また、枠体26を所望の回動位置で停止させることができるので、被覆体23の垂下がり部23bと掛け布団15等との間に隙間を形成することができる。これによって、顔全体を覆う被覆体23による圧迫感を軽減させることができる。更に、この被覆器22は、第1実施形態の被覆器4と同様に、部屋全体の湿度や温度を上げるものでないので、部屋内のカビやダニ等を増加させることがない。
【0048】
次に、図8〜図10を参照して本発明に係る被覆器の第4実施形態、及びこの被覆器に使用できるマットを説明する。この被覆器29は、図8に示すように、利用者5がベッド30上に横たわった状態で、被覆体31が身体全体を覆うことができるものであり、被覆器29がベッド30のマット32の全体を覆うことができる大きさに形成されている。この被覆体31は支持部33によって支持されている。
【0049】
支持部33は、例えば合成樹脂製であり、図8に示すように、逆U字形状に形成された第1枠体34及び第2枠体35を備えている。そして、この第1枠体34と第2枠体35とは、第1〜第4連結部36、37、38、39を介して連結されている。第1及び第2連結部36、37は、第1及び第2枠体34、35のそれぞれの端部どうしを互いに連結している。そして、第3及び第4連結部38、39は、第1及び第2枠体34、35のそれぞれの屈曲部34a、35aと平行部34b、34b、35b、35bとの結合部どうしを互いに連結している。また、第1枠体34の両端部、及び第2枠体35の両端部は、それぞれ補強部40によって連結されている。そして、この支持部33は、図8に示すように、ベッド30の基台30aに着脱自在に取り付けられており、マット32が内側に収容されている。
【0050】
被覆体31は、第1実施形態の被覆体6と同等のものであり、保温性及び保湿性を有する布等で形成されている。そして、被覆体31は、図8に示すように、支持部33を外側から覆うように取り付けられている。また、第1実施形態と同様に、被覆体31は、クリップ等を利用して、支持部33に着脱自在に取り付けてある。
【0051】
被覆体31は、図8に示すように、第1連結部36、第3連結部38及び2本の平行部34b、35bによって形成される領域を覆う第1及び第2正面部41、42と、第2連結部37、第4連結部39及び2本の平行部34b、35bによって形成される領域を覆う背面部43と、第3連結部38、第4連結部39、及び2本の屈曲部34a、35aによって形成される領域を覆う天井部44と、第1枠体34によって形成される領域を覆う左側面部45と、第2枠体35によって形成される領域を覆う第1及び第2右側面部46、47とによって構成されている。なお、第1及び第2正面部41、42は、図9に示すように、互いに重なり合う部分を左右にめくって開くことができ、これによって出入口48を形成できるようになっている。図には示さないが、第1右側面部46及び第2右側面部47もこれと同様に、互いに重なり合う部分を左右にめくって開くことによって、出入口を形成できるようになっている。
【0052】
上記のように構成された被覆器29は、図8に示すように、就寝時に身体全体を覆うようにして使用することができる。この被覆器29は、使用の際にベッド30に取り付けてもよいし、使用の有無にかかわらず、ベッド30に取り付けておくこともできる。
【0053】
この被覆器29によると、図8に示すように、利用者5が被覆器29内に入ってベッド30に横たわると、被覆体31が身体全体と間隔を隔てて配置されているので、利用者5がベッド30上で身体を動かしたり移動することができ、このように身体を動かす等しても、身体全体が被覆体31によって覆われた状態を確実に維持することができる。このように、身体全体が被覆体31によって覆われた状態となるので、身体全体を保湿したり、保温することができる。そして、第1実施形態の被覆器4と同様に、気道が乾燥したり冷やされることを防止できる。
【0054】
また、この被覆器29は、マット32の上面から天井部44までの高さを約1〜1.5mとしてあるので、利用者5がベッド30上で横たわった状態で、被覆体31による圧迫感を軽減させることができる。
【0055】
マット32は、図8に示すように、クッション部49と保持部50の2層構造となっている。クッション部49は、例えば通気性を有する連通気泡の発泡合成樹脂製であり、例えば発泡ウレタンゴムによって形成されている。
【0056】
保持部50は、図10に示すように、クッション部49を保持しており、クッション部49の下面に向かって開口する多数の通気孔50a、・・・を有している。各通気孔50aは、クッション部49側に向かうに従って開口面積が広がるように漏斗状に形成されている。これら多数の通気孔50aは、連通孔51を介して開口部52と連通している。この開口部52は、保持部50の側面から外側に向かって開口しており、短円筒部53によって形成されている。保持部50は、クッション部49よりも比較的硬質の例えば発泡合成樹脂で形成されている。そして、この保持部50の下面には通気性の低い封止布54が設けられている。なお、この封止布54に代えて、例えば合成樹脂製の封止膜を設けてもよい。
【0057】
このように構成したマット32によると、例えば布団乾燥機が吐出する高温乾燥空気を開口部52から供給した場合、この高温乾燥空気を、連通孔51及び多数の各通気孔50a、・・・に通してクッション部49の全体に行き渡らせることができる。これによって、このマット32が吸湿した湿気を乾燥させることができるし、マット32に付着するダニ等の害虫を死滅させることができる。そして、例えば掃除機によって開口部52からマット32内の空気を吸い込むと、多数の各通気孔50a及び連通孔51を介してマット32に付着するダニやハウスダスト等を吸い込んで、マット32を綺麗に掃除することができる。また、各通気孔50aを漏斗状に形成してあるので、開口部52から供給される高温乾燥空気をクッション部49の下面全体に広く行き渡らせることができる。更に、掃除機によって開口部52から空気を吸引したときに、クッション部49の下面全体からダニやハウスダスト等を吸い込むことができる。よって、マット32の全体を乾燥させることができるし、綺麗に掃除することができる。
【0058】
そして、保持部50の下面に封止布54を設けたことによって、例えば布団乾燥機が吐出する高温乾燥空気が保持部50の下面から漏出するのを防止でき、高温乾燥空気をマット32の全体に広く行き渡らせることができる。また、例えば掃除機によってマット32に付着するダニやハウスダスト等を吸い込む際に、保持部50の下面から空気が吸い込まれるのを防止して、マット32を綺麗に掃除することができる。
【0059】
ただし、第1〜第4実施形態において、支持部7、18、24、33を合成樹脂製としたが、金属製としてもよい。そして、図6に示す第3実施形態では、被覆器22をマジックテープ(登録商標)によって掛け布団15の上縁部上面27に着脱自在に取り付けたが、これ以外の方法によって被覆器22を掛け布団15に着脱自在に取り付けてもよい。例えば、被覆器22の固定部材25を掛け布団15に対してホックによって取り付けてもよい。
【0060】
また、図10に示すように、上記実施形態のマット32は、保持部50の下面を通気性の低い封止布54や封止膜で被覆したが、この封止布54等を省略してもよい。このようにした場合は、このマット32の下面に別のマット(図示せず)等を敷くとよい。この別のマットは、通気性の低いものであり、封止布54等と同等の機能を有するものとする。また、保持部50の下面部を通気性の低い材料で形成してもよい。
【0061】
更に、第4実施形態において、被覆器29及びマット32をベッド30の基台30a上に載置したが、これに代えて、被覆器29及びマット32を座敷14や床に直接配置してもよい。勿論、マット32を省略して、被服器29を座敷14等に配置して使用することもできる。そして、第1、第2、及び第3実施形態において、被覆器4等を座敷14に敷かれた敷布団12や掛け布団15に適用した例を示したが、例えばベッド30の基台30a上に敷かれたマットや掛け布団15に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係る被覆器は、寝床の位置や場所を変更した場合に、その寝床の位置や場所に簡単に移動させることができ、使用しないときは、簡単に片付けることができる優れた効果を有し、このような被覆器等に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の第1実施形態に係る被覆器の使用状態を示す縦断面図である。
【図2】同第1実施形態に係る被覆器の広げた状態を示す斜視図である。
【図3】同第1実施形態に係る被覆器の閉じた状態を示す斜視図である。
【図4】同発明の第2実施形態に係る被覆器の使用状態を示す縦断面図である。
【図5】同第2実施形態に係る被服器を示す斜視図である。
【図6】同発明の第3実施形態に係る被覆器の使用状態を示す縦断面図である。
【図7】同第3実施形態に係る被服器を示す斜視図である。
【図8】同発明の第4実施形態に係る被覆器を示す斜視図である。
【図9】同第4実施形態に係る被覆器の被覆体を開いた状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係るマットの部分拡大縦断面図である。
【図11】従来の就寝マスクの使用状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0064】
4、16、22、29 被覆器
5 利用者
6、17、23、31 被覆体
7、18、24、33 支持部
8、25 固定部材
9、34 第1枠体
10、35 第2枠体
11 第3枠体
12 敷布団
13、28 枢支部
14 座敷
15 掛け布団
19 上側支持体
20 下側支持体
21 支柱
26 枠体
27 掛け布団の上縁部上面
30 ベッド
32 マット
48 出入口
49 クッション部
50 保持部
51 連通孔
52 開口部
53 短円筒部
54 封止布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が横たわった状態で顔全体を覆うことができる被覆器において、
顔全体を、間隔を隔てて覆う形状であり、保温性及び保湿性のいずれかを有する布や膜で形成された被覆体と、座敷やベッドに配置されて前記被覆体を支持する支持部とを備えることを特徴とする被覆器。
【請求項2】
前記被覆体が前記支持部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の被覆器。
【請求項3】
前記支持部の下部に固定部材が設けられ、前記固定部材が敷布団や敷きマットの下に敷かれて前記支持部が固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の被覆器。
【請求項4】
前記支持部の下部に固定部材が設けられ、前記固定部材を掛け布団の上縁部上面に着脱自在に取り付けて前記支持部を固定することを特徴とする請求項1又は2記載の被覆器。
【請求項5】
前記被覆体は、間隔を隔てて顔全体を覆う状態で、その下縁部が前記座敷や寝具に接触する長さに形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の被覆器。
【請求項6】
前記支持部が線状体で形成された1又は2以上の枠体を有し、前記1又は2以上の各枠体の両端部が枢支部によって回動自在に枢支され、前記枠体が所定の回動位置で保持されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の被覆器。
【請求項7】
利用者が横たわった状態で身体全体を覆うことができる被覆器において、
身体全体を、間隔を隔てて覆う形状であり、保温性及び保湿性のいずれかを有する布や膜で形成された被覆体と、座敷やベッドに配置されて前記被覆体を支持する支持部とを備えることを特徴とする被覆器。
【請求項8】
通気性を有するクッション部と、前記クッション部を保持し前記クッション部に向かって開口する多数の通気孔を有する保持部と、前記保持部に設けられ前記多数の通気孔と連通する開口部とを備えることを特徴とするマット。
【請求項9】
前記保持部の下面が通気性の低い封止布や封止膜で被覆されていることを特徴とする請求項8記載のマット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−55490(P2006−55490A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242156(P2004−242156)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(599120244)
【Fターム(参考)】