説明

裁断機

【課題】 安価な装置でパーツが識別可能となり、ピックアップ作業時の生産効率向上を図ることができる裁断機を提供する。
【解決手段】 裁断機1の裁断ヘッド3には、筆記具としてペン20を備えている。ペン20は、たとえば市販の油性ペンであり、ペン先20aで筆記を行う。ペン本体20bには液状のインクが貯留される。ホルダ21は、ペン20を着脱可能に保持する。昇降機構22は、制御手段13の制御で、ペン先20aが裁断テーブル2に載置されるシート材料の表面に接触または離隔するように、ホルダ21を昇降させる。カム機構23は、ペン先20aがシート材料10の表面から離隔している待機状態で、ペン先20aにキャップ50を被せて密閉する。密閉によって、ペン先20aの乾燥防止などを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断するシート材料の表面に、文字や記号などを筆記する機能を備える裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、縫製品のパーツなどは、布帛などのシート材料を裁断機で裁断して製造されている。裁断機は、裁断テーブルと裁断ヘッドとを備え、裁断テーブルの表面にシート材料を載置し、裁断刃を有する裁断ヘッドを移動させて、シート材料を裁断する。裁断機では、生産効率を向上させるため、種々の方法が用いられている。
【0003】
たとえば、シート材料は、複数枚を同時に裁断して生産効率を向上させる。布帛などのシート材料は通気性を有するので、複数枚を積層し、表面を非通気性の樹脂フィルムなどで覆うようにすれば、裁断テーブルの表面に吸引して保持しながら裁断を行うことができる。パーツの連続的な裁断は、裁断刃がシート材料に接触する状態で行われるけれども、裁断を中断して移動する部分では、裁断刃をシート材料から離して退避させ、裁断中よりも高速で移動する。裁断機に、シート材料の厚さを検出する手段を備え、裁断刃を退避させる動作の範囲を必要最小限に近付ければ、さらに生産効率を向上させることができる(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
裁断後のパーツなどは、裁断テーブルから除去するピックアップ作業の対象となり、縫製などの工程で使用される。一般に、裁断した形状や相互間の位置関係だけでは、そのパーツについての情報を知って識別することができない。縫製品の生産効率を良くするためには、裁断後のパーツの識別を容易にすることが要望される。パーツの識別を容易にするために、パーツの情報を印字したラベルをパーツに貼ることができるラベリング装置を備える裁断機も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
また、縫製では、位置合わせなどのマーキングを有するパーツが必要な場合があり、裁断ヘッドにマーキングペンを備える裁断機も知られている(たとえば、特許文献3参照)。この裁断機には、非通気性の樹脂フィルムで覆われるシート材料にマーキングを施すために、樹脂フィルムを部分的に切開する機構も設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3786975号公報
【特許文献2】特開平5−124632号公報
【特許文献3】特開2009−160683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のようなラベリング装置によって、パーツの情報を示すバーコードなどを印字したラベルをパーツに貼付けておけば、裁断後のパーツの管理に有用となり、ピックアップ作業での生産効率も向上する。しかしながら、装置は高価であり、ラベルへの印字を装置に装着する前に行い、印字した情報を有するラベルの管理の手間なども必要となる。特許文献3のようなマーキングペンによるマーキングは、パーツの識別用ではないので、ピックアップ作業時の生産効率の向上には寄与しない。
【0008】
本発明の目的は、安価な装置でパーツが識別可能となり、ピックアップ作業時の生産効率向上を図ることができる裁断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート材料の載置面を備える裁断テーブルと、裁断テーブルの載置面に沿って移動しながらシート材料を切断する裁断ヘッドとを含む裁断機において、
裁断ヘッドに、
先端で筆記を行う筆記具を着脱可能に保持するホルダと、
ホルダで保持される筆記具の先端を覆って密閉可能なキャップと、
筆記具の先端が裁断テーブルに載置されるシート材料の表面に接触または離隔するように、ホルダを昇降させる昇降機構と、
昇降機構によるホルダの昇降に連動してキャップに作用し、筆記具の先端がシート材料の表面から離隔して待機状態となると、筆記具の先端を密閉するカム機構とを、
備えることを特徴とする裁断機である。
【0010】
また本発明は、前記ホルダ内に、前記筆記具の先端が前記シート材料の表面を押圧するように付勢する押圧ばねを、
さらに備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明で、前記筆記具は、尾部が前記ホルダから上方に突出する胴を備え、
胴は、ホルダ内に、先端側で径が減少する段部を有し、
胴の段部とホルダとの間を封止可能な封止部材と、
胴の尾部に当接して胴を押込み、封止部材によって胴とホルダとの間を封止させる状態と、該尾部を解放する状態とを、切換え可能な当接機構とを、
さらに含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記裁断テーブル上に載置されるシート材料の表面に接触して、表面の位置を検出し、検出されるシート材料の表面位置に基づいて、シート材料の積層厚を設定する積層厚設定手段と、
積層厚測定手段によって検出されるシート材料の表面位置に基づいて、前記筆記具の先端をシート材料の表面に接触させるように、前記昇降機構を制御する制御手段とを、
さらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホルダで保持する筆記具の先端を、昇降機構でシート材料の表面に接触させて、裁断ヘッドを移動させると、シート材料の表面にパーツの識別のための文字や記号を筆記することができる。筆記具の先端がシート材料の表面から離隔して待機状態になると、キャップで筆記具の先端を密閉することができるので、筆記を行わないシート材料の裁断中などは、筆記具の先端が埃などで汚れたり、筆記具の先端でシート材料を汚すことなく、待機させることができる。筆記具に市販品や汎用品を使用することによって、低コストの装置を実現することができる。安価な装置でもパーツが識別可能となり、ピックアップ作業時の生産効率向上を図ることができる。キャップの開閉は、昇降機構によるホルダの昇降に連動してキャップに作用するカム機構によって行うので、独立した駆動源を持たなくてもよく、簡単かつ安価な装置にすることができる。
【0014】
また本発明によれば、筆記具の先端をホルダ内の押圧ばねでシート材料の表面に押しつけることができ、印字を行う表面への筆圧を保つことができる。
【0015】
また本発明によれば、当接機構で、筆記具の胴とホルダとの間を封止する状態と、筆記具除去して交換する際に便宜を図る状態とを、切換えることができることができる。
【0016】
また本発明によれば、シート材料の積層厚を測定し、積層厚に応じてシート材料の表面を検出し、たとえば筆記具の先端を表面から少し押込む状態で、識別情報の筆記を行わせることができる 。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施例である裁断機1の主要部分の構成を簡略化して示す部分的な正面断面図である。
【図2】図2は、図1の昇降機構22による待機状態での構成を示す部分的な正面図である。
【図3】図3は、図2の昇降機構22などの右側面図である。
【図4】図4は、図2の昇降機構22がペン20を最下端まで下降させた状態を示す右側面図である。
【図5】図5は、図2の当接機構27の構成を示す部分的な正面図である。
【図6】図6は、図2のペン20と、ホルダ21の部品とを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜図6で、本発明の一実施例としての裁断機1について説明する。本実施例で、先に説明してある部分と対応する部分に同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の一実施例である裁断機1の主要部分の構成を簡略化して示す。部分的な正面断面図である。裁断機1は、裁断テーブル2と、裁断ヘッド3とを含む。裁断ヘッド3は、紙面に垂直な方向に延びるYビーム4に沿って往復移動する。Yビーム4は、紙面の横方向に往復移動する。Yビーム4の移動をX方向とし、Yビーム4に対する裁断ヘッド3の移動をY方向として、裁断ヘッド3は裁断テーブル2の載置面に沿って、X方向とY方向とを組合せた二次元的な移動を行うことができる。
【0020】
裁断ヘッド3には、裁断刃5および裁断機構6が備えられ、裁断テーブル2の載置面側に裁断刃5を接触させたり、裁断テーブル2の表面から裁断刃5を離隔させたりすることができる。図示のようなナイフ状の裁断刃5に対しては、側方に設けられる刃先に平行な往復振動を与えながら、刃先の向きも変えることができる。裁断刃5としては、回転刃などを用いることもできる。裁断時には、裁断刃5の周囲にフットプレッサ7を降ろして、裁断するシート材料の載置面を押えておく。
【0021】
裁断テーブル2は、搬送および吸引装置8の通気性表面9で載置面を形成している。通気性表面9は、剛毛ブラシなどを並べたり、フェルトなどのベルトを用いたりして形成される。搬送は、図の横方向となるX方向に行われ、一方から、布帛などのシート材料10を搬入し、吸引でシート材料10を保持する。シート材料10の表面は、非通気性樹脂フィルムなどの密閉シート11で覆われ、裁断機1としては、シート材料10および密閉シート11を、裁断対象となるシート材料10として扱う。また、条件によっては、密閉シート11を用いないでシート材料10のみで裁断を行う場合もある。以下の説明では、密閉シート11を含めて、シート材料10と称する場合がある。
【0022】
シート材料10および密閉シート11の積層厚は、特許文献1で開示している方法で、積層厚測定手段12がフットプレッサ7を利用して測定することができる。積層厚測定手段12による積層厚の測定は、フットプレッサ7が密閉シート11の表面から離れて上昇している基準位置から、フットプレッサ7を下降させて表面に接触する位置までの下降距離に基づいて、制御手段13が測定する。
【0023】
本実施例の裁断機1は、裁断ヘッド3に、筆記具としてペン20を備えている。ペン20は、たとえば市販の油性ペンであり、市場には安価に、かつ多量に供給されており、先端のペン先20aで筆記を行う。ペン本体20bには液状のインクが貯留される。ホルダ21は、ペン20を着脱可能に保持する。昇降機構22は、制御手段13の制御で、ペン先20aが裁断テーブル2に載置されるシート材料10の表面に接触または離隔するように、ホルダ21を昇降させる。カム機構23は、ペン先20aがシート材料10の表面から充分に上昇して離隔している待機状態で、ペン先20aの周囲の空間を密閉するようにキャップ50を被せる。後述するように、カム機構23は、昇降機構22に連動し、ペン先20aが下降すると、キャップ50による密閉を解除して、ペン先20aを露出させる。昇降機構22による下降量は、積層厚測定手段12による積層厚の測定結果に対応するように、制御手段13によって制御される。押圧ばね24は、ペン先20aをシート材料10の表面に押圧する方向に付勢する。ペン先20aを、積層厚測定に基づいて検出されるシート材料10の表面よりも少し下降させると、ペン先20aは表面からの反力で上昇し、押圧ばね24で印字に必要な筆圧を発生させることができる。
【0024】
裁断後のパーツ識別のための印字は、裁断刃5によるシート材料10の裁断に先行することが好ましい。裁断後には、パーツの輪郭が切断されているので、筆圧でパーツがずれてしまい、印字が困難になるからである。なお、印字が裁断に先行すれば、たとえばパーツ全体への印字を行ってから個々のパーツを裁断してもよく、各パーツ毎に印字と裁断とを繰返してもよい。
【0025】
図2および図3は、図1の昇降機構22などを含む部分の構成を示す。昇降機構22などは、裁断ヘッド3の取付ベース25にブラケット26の昇降機構取付部26aを介して取付けられる。ブラケット26には、ホルダ21から上方へ突出するペン20の尾部に当接し、ペン20をホルダ21で保持する状態と、ペン20の尾部を解放する状態とを、切換え可能な当接機構27も設けられる。昇降機構22としての駆動力は、昇降機構取付部26aにモータベース29を介して取付けられるモータ30で発生する。モータ30の出力軸には、ピニオン31が取付けられている。ピニオン31は、ラック部材32の一側方に形成されているラック32aに噛合する。ラック部材32には長孔32bが形成される。ラック部材32の下端は折曲げられて連結部32cとなり、連結板33の中央部分と対向する。連結板33の両端付近には、2本のガイド軸34の上端がそれぞれ取付けられる。ガイド軸34は、ブラケット26の軸ガイド部26bに設ける縦孔を通り、下端がホルダ支持体35に設けられる挿入穴に挿入されて、ホルダ支持体35が取付けられる。
【0026】
図2および図3は、ラック部材32が最も上昇している待機状態を示し、この状態は、マイクロスイッチ36などのセンサで検出される。マイクロスイッチ36は、カバー板37に取付けられるけれども、図3以降では図示を省略する。カバー板37は、モータ30とともに、取付ねじ38でモータベース29に取付けられる。カバー板37とモータベース29との間には取付ねじ38に挿通させるカラー39で隙間が形成され、この隙間にラック部材32が挿入される。マイクロスイッチ36に近い上下一組のカラー39は、ラック部材32の長孔32bと係合させ、昇降駆動時の案内に利用する。
【0027】
ホルダ21で保持されるペン20に対しては、尾部に当接板40の当接部40aを当接させて下方に押圧する。当接板40は、ガイド孔40b,40cに段付の案内ボルト41が嵌合する状態で、ブラケット26に取付けられる。当接板40とブラケット26との間には、引張りばね42が掛け渡され、当接部40aがペン20の尾部を下方に押すように付勢している。これによって、後述するように、ホルダ21内でペン20の胴であるペン本体20bに対する封止状態が保たれる。緩衝ばね44は、ラック部材32の連結部32cに螺合する調整ねじ45の頭部と連結板33との間に装着する。
【0028】
引張りばね42の下方には、カム機構23が設けられる。カム機構23には、キャップ50を開閉し、取付板51、開閉カム52、ローラ53およびトルクばね54が含まれる。ラック部材32が上昇して、ローラ53が開閉カム52のカム部52aとなる曲面に当接している状態では、キャップ50がペン先20aの周囲を密閉している。取付板51は、上端がブラケット26に取付けられる。キャップ50は、トルクばね54の部分に揺動軸55を有し、この揺動軸55が取付板51の下端で支持される。ローラ53は、キャップ50に取付けられる。開閉カム52は、下端がホルダ支持体35に取付けられる。トルクばね54は、キャップ50が閉じるように、図3の時計回り方向に付勢している。
【0029】
図4は、図3の昇降機構22がペン20を最下端まで下降させ、カム機構23でキャップ50によるペン先20aの密封を解除した状態を示す。ペン20とともに、ホルダ支持体35に取付けられている開閉カム52もキャップ50に対して下降する。開閉カム52のカム部52bとなる平面がローラ53をトルクばね54の付勢力に抗して横方向に押し、キャップ50を反時計回り方向に揺動させ、密閉を解除させる。このような密閉の解除は、最下端まで下降しないでも、ラック部材32が図2および図3に示す待機状態よりも下降して、ローラ53がカム部52bに当接するようになれば当然に可能となる。すなわち、シート材料10の積層厚に応じてペン先20aを下降させ、密閉を解除した状態で表面への印字に使用することができる。なお、キャップ50には、図3に示す密閉状態でペン先20aを覆う空間を形成する凹部50aが形成されている。
【0030】
図5は、図2の当接機構27の構成を示す。当接板40は、上下に二つのガイド孔40b,40cを有する。ガイド孔40bは長孔状であっても、ガイド孔40cがL字状であるので、当接部40aがペン本体20bの尾部から外れた状態に留め、ペン20の交換の便宜を図るための退避を行うことができる。
【0031】
図6は、図1に示すように、ペン20をホルダ21に収容している状態と、ホルダ21に関連する部品の構成を示す。ペン20は、先端のペン先20aと胴となるペン本体20bとを備える。ペン本体20bでホルダ21内に収容される部分には、先端側で径が減少する段部20cが設けられる。ホルダ21は、押圧ばね24とともに、下筒60、上筒61、Oリング62、シールリング63、およびスリーブ64,65を含む。下筒60は、上端に雄ねじ部60aを有し、上筒61の下端に設ける雌ねじ部61aに螺合させることができる。Oリング62およびシールリング63は、下筒60に設けるOリング保持部60bおよびシールリング保持部60cでそれぞれ保持する。下筒60の下端には、雄ねじ部60dも設けられている。
【0032】
筆記具として市販されているペン20で、油性インクを使用するものは、ペン先20aがフェルト状の素材で形成され、漏出するインクで、樹脂フィルム製の密閉シート11にも印字が可能である。インクを速乾性にするために、揮発性の溶剤が使用され、不使用時にペン先20aから溶剤が揮発して失われることを防止するため、キャップ20dも使用する。裁断機1に装着する場合は、キャップ50でペン先20aを密閉することができるので、キャップ20dは使用しない。ペン本体20bの太さの違いは、スリーブ64,65を、ペン本体20bの段部20cよりも上方に装着して調整する。下筒60に、シールリング63およびOリング62を挿入し、スリーブ64,65をペン本体20bの周囲に被せたペン20を挿入した後で、押圧ばね24を挿入し、上筒61を被せると、ホルダ21にペン20を収容することができる。この状態で、押圧ばね24は、スリーブ64,65を介して、ペン本体20bを下方に付勢する。下筒60の下端の雄ねじ部60dは、ホルダ支持体35の雌ねじ部35aに螺合させる。
【0033】
図2および図3に示すような待機状態では、ホルダ支持体35には、下方からキャップ50が被せられる。シールリング63は、ペン先20bの周囲と、キャップ50の凹部50aとの間を密閉する。ペン本体20bの尾端が上方から当接板40の当接部40aで押下げられることで、Oリング62は、封止部材として、ペン本体20bの段部20cと下筒60のOリング保持部60bとの間で押圧される。ペン先20aをシート材料10の表面に当接させて印字を行うと、筆圧でペン20が上昇し、Oリング62によるペン先20a付近の空間とホルダ21との間の封止状態が緩むけれども、待機状態に戻れば、封止状態を回復させることができる。
【0034】
以上で説明した実施例では、筆記具として油性インクをペン先20aから漏出させるペン20を使用しているけれども、ボールペンなどであっても同様に使用することができる。インクは、色鉛筆やクレヨンなどのように固体であってもよい。また、識別情報を直接シート材料10の表面に印字する場合などでは、水性のインクを使用可能な場合もある。キャップ50で筆記具の先端を密閉すれば、インクの乾燥ばかりではなく、裁断時の埃による汚れなどの付着を防止することもできる。また、筆記具の先端が露出していると、シート材料10へインクなどが付着して汚してしまうおそれもある。筆記具の先端を密閉しておけば、シート材料10への汚れ防止も可能になる。
【符号の説明】
【0035】
1 裁断機
2 裁断テーブル
3 裁断ヘッド
7 フットプレッサ
10 シート材料
11 密閉シート
12 積層厚測定手段
13 制御手段
20 ペン
20a ペン先
20b ペン本体
21 ホルダ
22 昇降機構
23 カム機構
24 押圧ばね
27 当接機構
50 キャップ
62 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料の載置面を備える裁断テーブルと、裁断テーブルの載置面に沿って移動しながらシート材料を切断する裁断ヘッドとを含む裁断機において、
裁断ヘッドに、
先端で筆記を行う筆記具を着脱可能に保持するホルダと、
ホルダで保持される筆記具の先端を覆って密閉可能なキャップと、
筆記具の先端が裁断テーブルに載置されるシート材料の表面に接触または離隔するように、ホルダを昇降させる昇降機構と、
昇降機構によるホルダの昇降に連動してキャップに作用し、筆記具の先端がシート材料の表面から離隔して待機状態となると、筆記具の先端を密閉するカム機構とを、
備えることを特徴とする裁断機。
【請求項2】
前記ホルダ内に、前記筆記具の先端が前記シート材料の表面を押圧するように付勢する押圧ばねを、
さらに備えることを特徴とする請求項1記載の裁断機。
【請求項3】
前記筆記具は、尾部が前記ホルダから上方に突出する胴を備え、
胴は、ホルダ内に、先端側で径が減少する段部を有し、
胴の段部とホルダとの間を封止可能な封止部材と、
胴の尾部に当接して胴を押込み、封止部材によって胴とホルダとの間を封止させる状態と、該尾部を解放する状態とを、切換え可能な当接機構とを、
さらに含むことを特徴とする請求項2記載の裁断機。
【請求項4】
前記裁断テーブル上に載置されるシート材料の表面に接触して、表面の位置を検出し、検出されるシート材料の表面位置に基づいて、シート材料の積層厚を設定する積層厚設定手段と、
積層厚測定手段によって検出されるシート材料の表面位置に基づいて、前記筆記具の先端をシート材料の表面に接触させるように、前記昇降機構を制御する制御手段とを、
さらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の裁断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−104670(P2011−104670A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259348(P2009−259348)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000151221)株式会社島精機製作所 (357)
【Fターム(参考)】