説明

装着型デバイス

一次データを供給する少なくとも2つの計測装置(2,3,4,5,6)を有する装着型デバイスであり、プロセッサ(1)は、前記一次データから二次データを計算し、これら一次及び/又は二次データから基準データを計算し、この基準データを、活動を自動的に認識するための少なくとも2つの特定のデータパターンと比較するように構成され、メモリ(7)は、一次及び二次データ並びにある活動に各々割り当てられた少なくとも2つの特定のデータパターンを記憶するように構成される。活動の認識は、一次及び/又は二次データを前記プロセッサ(1)にロードし、基準データを計算し、この基準データを特定のデータパターンと比較し、一次及び/又は二次データを前記認識した活動に割り当て、前記割り当てられた一次及び/又は二次データをメモリ(7)に記憶することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行われる活動を計測及び認識するための装着型デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
活動モニタは、フィットネス運動のような行われる活動、健康診断又は医学的な理由による24時間のモニタリングのデータを決めるのに用いられる。このデータは一次データと呼ばれるセンサにより直接計測されるデータ、又は二次データと呼ばれるセンサデータから計算されるデータである。健康診断中、患者は通常、皮膚と接している幾つかのセンサがケーブルにより分析装置に接続されている検査環境において特定の活動を行うように指示される。スポーツ運動、野外活動及び/又は24時間のモニタリングのために、制限される数のセンサ及びデータ記憶ユニットを有する装着型デバイスが使用される。
【0003】
データ記憶/処理ユニット、ディスプレイ、無線によるデータ交換を行うための手段、及び複数のセンサを有する装着型デバイスのようなリストウォッチが知られている。装着型デバイスは特に、例えばサイクリング、ジョギング、フィットネス又は体重管理のような特定の活動のために構成され、センサの数及び種類はその特定の活動に適合する。例えば、サイクリング専用のPOLAR-Germanyによる装着型デバイスS725は、知っている円周を持つ車輪の回転数を介して速度/移動距離を決め、これはジョギングには応用できない。ジョギング用のPOLAR-Germanyによる装着型デバイスS625Xは、歩数計を介して速度を決め、これはサイクリングには応用できない。異なる種類の活動を1つの装着型デバイスを用いて行う場合、特定ではないセンサからのデータの分析は、計測されたデータが異なる種類の活動に対し大きく変化したとしても、平均的な結果を生み出すだけである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、活動データを特定の活動に相関させることができる、及びそれ故に別々の活動を夫々特徴付けることができる装着型デバイスを提供することである。
【0005】
本発明は、一次データを供給する少なくとも2つの計測装置、プロセッサ及びメモリを有する装着型デバイスにより達成される。プロセッサは、一次データから二次データを計算し、これら一次及び/又は二次データから基準データを計算すると共に、この基準データを少なくとも2つの特定のデータパターンと比較して、活動を自動的に認識するように構成される。メモリは、一次データ、二次データ及びある活動に各々割り当てられた少なくとも2つの特定のデータパターンを記憶するように構成される。行われた活動の自動認識は、一次及び/又は二次データをある活動と直接の相関させることを可能にして、別々の活動に対し個々にデータ分析を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施例は、以下のデータクラスのうち少なくとも2つに対応する一次及び二次データを計測するように構成される装着型デバイスを示す。これらデータクラスは、心拍数、呼吸、熱流束(heat flux)、体温、生体インピーダンス、酸素摂取量、カロリー消費量、歩数、GPS信号、周囲温度、垂直及び水平加速、時間、時間期間、速度及び皮膚湿度を有する。ここで、前記データクラスは、特定の計測装置により計測される一次データ(例えば心拍数モニタにより計測される心拍数)に対応すると共に、一次データの特定の組から生じる二次データ(例えばGPS信号及び時間から生じる速度)にも対応している。GPS信号は、実際の位置を特定するためのGPSの位置座標を表している。
【0007】
著しく異なる特定のデータパターンが活動の認識を可能にする。ある実施例において、ジョギング用の特定のデータパターンは、長い時間期間にわたり僅かに変化する心拍数、7km/hから25km/hの間の速度、周期的な垂直方向及び僅かな水平方向への加速、及び長い時間期間にわたり一定の歩数を有する。
【0008】
他の実施例において、サイクリング用の特定のデータパターンは、中程度の時間期間内において大体は一定である心拍数、10km/hから90km/hの間の速度、不連続な水平方向への加速、無視できるほどの垂直方向への加速、及び無歩数を有する。
【0009】
他の実施例において、ウォータースポーツ用の特定のデータパターンは、中程度の時間期間にわたり僅かに変化する心拍数、20km/hよりも低い速度、低く且つ周期的な加速、無歩数、及び高い皮膚湿度を有する。
【0010】
他の実施例において、球技用の特定のデータパターンは、大きく変化する心拍数、0km/hから30km/hの間を大きく変化する速度、短い時間期間中の歩数と同じく、大きく変化する水平方向及び垂直方向への加速を有する。
【0011】
他の実施例において、フィットネス運動用の特定のデータパターンは、中程度の時間期間内に小さく変化する心拍数、5km/hよりも低い速度、短い時間期間中に周期的に変化する水平方向及び垂直方向への加速、中程度の時間期間中の僅かな歩数の変化を有する。
【0012】
これら特定のデータパターンは、例えば中間データ値、最高及び最低値、時間期間内のデータ拡散、及びデータクラスの全体的なデータ拡散のような統計的量、並びに例えばデータのフーリエ変換のような特定の活動を特徴付ける対応するスペクトル特性を有する。特定のデータパターンの数は、述べられた特定のデータパターンには制限されず、要望に応じて拡大されることができる。
【0013】
ある実施例において、特定のデータパターンは、少なくとも1つのデータクラスに対し、活動を特定する所望の上限及び下限を有する。同じデータクラスの所望の限界は、別々の活動に対し異ならせることができる。所望の限界は、医学的な理由(例えば心疾患で苦しんでいる人々に対しては心拍数に対する上限)又は個々の訓練目標から生じることができる。
【0014】
ある実施例において、装着型デバイスは、自動的に認識されない活動を行う場合、ユーザによる活動の割り当てを要求するためのユーザインタフェース、及び活動データを特定の活動に割り当てるために、ユーザにより行われた割り当てを入力する手段を具備する。正確な活動をモニタリングするために、同じ活動のデータセット全てを比較することが重要であり、これにより全ての記憶されるデータは活動毎に割り当てられなければならない。ここでデータセットとは、異なる時間期間から等しく割り当てられたデータを示す。
【0015】
他の実施例において、プロセッサは、ユーザが割り当てた一次及び/又は二次データから新しい特定のデータパターンを計算し、ユーザが規定した活動を後で自動的に認識する。より多くのデータパターンは、活動を認識する可能性を高め、これによりユーザの便宜性が向上する。
【0016】
他の実施例において、ユーザインタフェースは、ユーザによる自動的に認識された活動の再割り当てを挿入するように構成され、プロセッサは一次及び/又は二次データを再割り当てするように構成される。
【0017】
他の実施例において、装着型デバイスはさらに、データ及び/又はある活動に割り当てられた特定のデータパターンを交換又は追加するためのコンピュータインタフェースを有する。活動データは他の処理、例えば訓練の概念、若しくは他の目的の効果のデータモニタリング又は分析をするためのコンピュータにロードされることができる。その上、体重、年齢又は身長を有する及び/又は活動特定のデータパターンに適合する新しいデータがコンピュータからロードされる。多数の特定のデータパターン及び/又は適合するパターンを用いると、うまく実施された活動認識の確率が高くなる。新しい及び/又は適合する活動に関連するデータパターンは、変化した訓練状態及び/又は医療装置に従う新しい及び/又は適合する所望のデータ範囲及び/又は活動スケジュールも有する。
【0018】
異なる実施例からなる別々の追加の特性が実現され、さらに1つの実施例に組み合わされる。
【0019】
本発明は、以下のステップ、
−一次データを時間の関数として計測するステップ、
−一次及び/又は二次データを時間の関数として記憶するステップ、
−前記一次及び/又は二次データ、並びに特定のデータパターンをロードするステップ、
−一次及び/又は二次データから基準データを計算するステップ、
−前記基準データを前記特定のデータパターンと比較して、活動を自動的に認識するステップ、
−前記一次及び/又は二次データを前記認識した活動に割り当てるステップ、
−前記割り当てられたデータを記憶するステップ、
−前記割り当てられたデータを分析するステップ、及び
−分析された前記割り当てられたデータに従って、前記特定のデータパターンを適合させるステップ
を有する装着型デバイス用の活動認識方法にも関し、ここで、基準データとある活動に割り当てられた1つの特定のデータパターンとの間の対応する確率がある限界より上にあるとき、活動が認識される。このデータ分析及び特定のデータパターンの適合は、特定の活動を変更した後、又は装着型デバイスの活動状態をオフに切り換えた後に行われる。
【0020】
ある実施例において、活動認識方法はさらに、一次データから二次データ(例えば速度)を計算するステップを有する。
【0021】
他の実施例において、活動認識方法はさらに、
−認識されていない活動を割り当てるようにユーザにリクエストを送るステップ、
−ユーザ割り当てを入力するステップ、
−一次及び/又は二次データを前記ユーザ割り当てに割り当てるステップ、
−ユーザが割り当てた活動に対する新しいデータパターンを計算するステップ、及び
−前記ユーザが割り当てたデータ及び特定の前記新しいデータパターンを記憶するステップ
を有する。
【0022】
これは、一次及び/又は二次データが存在してないことを保証し、これは、同じ活動から割り当てられたデータに相関付けされない及び/又はこのデータを用いて分析されない。認識されない活動は、基準データと対応する確率が全ての利用可能な特定のデータパターンに対し、一定の限界よりも下にある状況を表している。
【0023】
他の実施例において、以下のステップ
−ユーザインタフェースを介してユーザが規定した期間を開始するステップ、
−ユーザにより現在行われている活動の割り当てを挿入するステップ、
−他の一次及び/又は二次データの全てをユーザ割り当てに割り当てるステップ、
−ユーザが割り当てたデータを記憶するステップ、
−ユーザインタフェースを介して前記ユーザが規定した期間から離れるステップ、
−前記ユーザが規定した期間からユーザが割り当てたデータをロードするステップ、
−新しい特定のデータパターンを計算するステップ、及び
−前記新しい特定のデータパターンを記憶するステップ
を有する自動認識は、ユーザが規定した期間中は中断される。
【0024】
ここで、装着型デバイスは、特定のデータパターンが現在利用可能ではない場合、ある活動を認識するように教示される。
【0025】
特定の活動へのデータの割り当ては特に、トライアスロン(水泳、サイクリング及びジョギング)、又は何れかの他の組み合わせのような異なる種類のスポーツ活動を組み合わせたスポーツ競技をモニタリングするために用いられることができる。本発明は、上記競技の特定のスポーツ活動を別々に分析することを可能にする。
【0026】
同様の利点が医学的な理由のための24時間のモニタリング中に使用されることができる。この場合、計測されたデータと毎日の活動との間の相関関係が形成され、臨床的な活動が所望のデータ範囲に対して識別される。それ程特定的ではない又は短期間の日常の活動に対し、ユーザ割り当て及び/又はユーザインタフェースを介した活動の再割り当ては、ある時間期間の活動記録を作るために用いられることができる。本発明の装着型デバイスを用いて、識別される臨床的な活動に対して、人の日常行動を訓練することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下のように、本発明は、添付される図を参照してさらに詳細に説明されるであろう。
【0028】
装着型デバイスが図1に概略図で示されている。この実施例において、例えば心拍数2、垂直及び水平方向への加速3、歩数4、時間5並びにGPS信号6を計測するための5つの計測装置2から6がプロセッサ1に接続されている。計測装置とプロセッサとの間の接続は、有線又は無線により実現されることができる。計測装置の数及び計測されるデータクラスの種類は、図1に与えられる実施例と異なることが可能である。これら計測装置は常に一次データを計測し、これらデータをプロセッサ1に転送する。プロセッサ1は、一次データから二次データを計算し、これら一次及び/又は二次データから基準データを計算し、これら一次及び/又は二次データをメモリ7に記憶し、前記基準データを活動特定のデータパターンと比較することにより、行われたパターンを認識するように構成される。メモリは耐震型の固体メモリを有する何れかの種類の記憶手段とすることができる。
【0029】
前記特定のデータパターンは、活動特定の上方及び下方値、例えば中間データ値、時間期間内におけるデータの拡散、及び全体的なデータの拡散のような統計量、並びに活動を特徴付けるデータクラスの対応するスペクトル特性(例えばデータのフーリエ変換)を有する。特定の活動を識別するのに必要とされるデータクラスの数は、計測される一次データクラス及び/又は計算される二次データクラスの数よりも少なくすることができる。他の実施例において、前記特定のデータパターンはさらに所望する上限及び下限を有し、これらは特定の活動を特徴付ける前記上方及び下方値には対応しない。所望する上限及び下限は、対応するデータが所望する限界内にあるように前記活動を行うためのガイドラインとして使用する。上記所望する限界は、何れかの一次及び/又は二次データクラスに対し規定されることができる。
【0030】
図2は、装着型デバイスの他の実施例を示し、これはさらに、自動的に認識されない活動のユーザ割り当てを要求及び入力するために構成されるユーザインタフェース8を有する。現在行われている活動を割り当てるための要求は、ディスプレイ8c及び/又は知覚及び/又は音響信号手段8bを介して映像信号手段により行われる。ユーザは現在行われている活動を割り当て、割り当てられていない一次及び/又は二次データは、前記ユーザ割り当てが割り当てられる。図2において、ユーザは、キー8aを介して手動でユーザ割り当てを挿入する。代わりに、前記ユーザ割り当てが音声手段又は特別なペン若しくは何らかの他の手動手段を介して挿入されることも可能である。
【0031】
他の実施例において、ユーザインタフェースは行われる活動の自動認識を表示して、この自動的に行われる活動の割り当てをユーザが訂正又は上書きすることを可能にする。確率を順位付け(ranking)することにより認識が行われるので、ユーザが望まない割り当てにする可能性が常に存在することになる。さらに、上書きは、ユーザがより特定な活動の割り当てを行う確率である。
【0032】
他の実施例において、ユーザインタフェースは、現在の一次及び二次データ、並びに対応する所望の上限及び下限の何れかを表示する。ユーザインタフェースはさらに、信号手段を介してユーザに現在の一次及び二次データが所望する上限及び下限内にあるかのフィードバックを与える。ユーザはさらに、このユーザインタフェースを介して活動特定の所望する上限及び下限を変更することができる。自動的に認識されない活動の場合、プロセッサ1は、ユーザが行った活動の割り当てを用いて、割り当てられていない一次及び/又は二次データを割り当て、これら割り当てられたデータをメモリ7に記憶する。加えて、プロセッサ1は、前記ユーザ割り当てされた活動に対応する新しい特定のデータパターンを計算し、この新しい特定のデータパターンをメモリ7に記憶する。加えて、前記新しい特定のデータパターンに対する所望の上限及び下限は、ユーザインタフェースを介して挿入されることができる。次の認識手順の間に、正式には認識されていない活動が自動的に認識される。新しい所望の上限及び下限を挿入された場合、対応する特定のデータパターンが適合され、メモリに記憶される。説明した手順の間、計測装置2から6は常に一次データを供給し、計測されたデータをプロセッサ1に転送すると共に、プロセッサ1は、計測された一次データから二次データの同時計算を行うように構成される。
【0033】
他の実施例において、特定のデータパターンは、いつ及びどのように特定の活動を行うかの活動スケジュールを有する。ユーザインタフェースは、この活動スケジュールに従って活動を行うことをユーザに思い起させる。
【0034】
特定のデータパターンは、同じクラスの基準データと比較されるべき特定のデータ特性を持つ重要なデータクラスを有する。1つ以上の計測装置が対応する基準データを計算するために必要な一次データクラスを供給しない場合、活動認識は難しい又は不可能となる。他の実施例において、プロセッサ1は、ユーザに信号手段により1つ以上の計測装置から欠損したデータ又は何れかの適正な範囲の外側にあるデータについて知らせるようにユーザインタフェース8に助言する。ユーザは計測装置の動作状態をチェックすることができると共に、加えて現在行われる活動のユーザ割り当てを挿入することもできる。
【0035】
他の実施例において、装着型デバイスはさらに、図2に示されるように、ある活動に割り当てられた特定のデータパターン及び/又はデータを交換又は追加するためのコンピュータインタフェース9を有する。ユーザのローカルコンピュータ及び/又は例えば医療センター又は警護車(escorting car)内のような遠方に配置されるコンピュータへのデータ転送は、ケーブル接続を介して又は無線手段により実施される。記憶される一次及び/又は二次データは、メモリ7からコンピュータインタフェース9を介して、例えばトレーニング効果を評価する及び/又は日常の変化を特定の活動の関数としてモニタリングする及び/又はあるデータクラスの活動特定の所望する上限及び下限を変更するように、更に分析を行うためのコンピュータ10に転送される。体重、身長及び年齢のような個人データをコンピュータ10から、二次データを計算するためのユーザインタフェース及び/又はコンピュータインタフェース9を介してメモリ7へロードすることも可能である。体重計がコンピュータに接続されることも可能であり、装着型デバイスとデータを交換している間に体重のデータを更新する。コンピュータインタフェースは、メモリに記憶されるべき新しい又は修正された特定のデータパターンをロードするようにも構成される。この特定のデータパターンは、いつ、どの活動が、どのように活動が行われるかに関する情報を有する活動スケジュールも含むことができる。このような活動スケジュールは、活動の認識も対応(サポート)することができる。
【0036】
図3を参照してみると、装着型デバイスの活動認識方法は、以下のようなステップを有する。計測を行うための活動状態に入る前に、デバイスセットアップ手順が現在の計測装置とのデータ接続をチェックする(11)。計測の開始は、データを入力する及び/又はユーザインタフェースを介して挿入される開始命令によりトリガが立てられる。計測を開始した後、装着型デバイスが活動状態である限り、一次データが定期的に計測される(12)。一次データ及び/又は二次データはメモリ7に記憶される(13)。新しいデータを計測する前に、活動認識手順を実施するのにデータ量が十分であるであるかがチェックされる(14)。データ量が少なすぎる場合、新しいデータが計測される(12)。データ量がある限界より上にある場合、特定の活動に割り当てられていないデータ及び記憶された特定のデータパターンがプロセッサにロードされる(15)。活動認識手順中(16)、プロセッサは、例えば中間データ値、最高及び最低値、時間期間内のデータ拡散、及びデータクラスの全体的なデータ拡散のような統計的量、並びに一次及び/又は二次データからの対応するスペクトル特性を有する基準データを計算する。アルゴリズムは、基準データとロードされた特定のデータパターンとの間の相関確率を決める。幾つかのデータクラスが他のデータクラスよりも良好な相関関係を示すので、各データクラスのインパクトは、確率目盛(probability scale)を形成する、従ってクラスの異なる組を信頼する活動間の比較を可能にするように重み付けされる。基準データとある特定のデータパターンとの間に最終的な対応が存在している場合、活動はこれにより自動的に認識され、一次及び/又は二次データは認識された活動に割り当てられる。これにより、バイナリ手法及び/又はViterbiのような手法を含む異なる手法がある活動を認識するのに利用されることができる。全ての手法は計算された相関確率に基づいている。バイナリ手法は、固定された時間期間中の最も高い相関確率(瞬間確率:IP)を用いて特定のデータパターンを選択する。Viterbiのような手法は、減少した数の最も起こり易い特定の活動(高いIP)を事前に選択し、瞬間確率の計算を長期にわたり計算し続ける。瞬間確率のシーケンスから累積確率(CP)が計算される。データ量が増大する場合、最も起こり易い特定のデータパターンに対するCPと、その次に起こり易い特定のデータパターンに対するCPとの差は増大する。最も起こり易い特定のデータパターンと、その次に起こり易い特定のデータパターンとの間にあるCPに関する差がある限界よりも上になるまで、前記手順は続く。特定の活動を認識するための他の手順があってもよい。
【0037】
一次及び二次データを認識した活動に割り当てた後、これら割り当てられたデータはメモリ7に記憶される(17)。特定の活動が続く場合、説明された手順が繰り返される。他の認識された活動又は現在の活動のユーザが規定した結末となる場合、先行する活動に割り当てられた記憶されたデータは、データ分析を行うためのプロセッサにロードされる(19)。必要ならば、特定のデータパターンが適合され(20)、メモリ7に記憶される(21)。活動がさらに続く場合(22)、前記手順はデータ計測を続ける(12)。装置の活動モードがオフに切り換わると、手順全体が停止する。
【0038】
一次データクラスが二次データの計算を可能にする場合、前記計測ステップ12はさらに二次データの計算も有する。データの記憶、データのロード、データの処理及びデータの分析ステップを有する他のステップ全ては、一次及び二次データの両方を扱っている。
【0039】
他の実施例において、活動認識方法はさらに、図4に示されるように、活動認識手順16中、自動的に認識されない活動の場合に以下のステップを有する。基準データを全ての利用可能な特定のデータパターンと比較する(23)ことがある活動の認識(24)に到らない(Noの)場合、リクエスト25が信号手段26によりユーザに送信され、認識されない活動を割り当てる。ユーザは、入力手段28を介してこの認識されない活動を割り当てる。ユーザ割り当てを入力した(27)後、プロセッサは現在割り当てられていないデータをユーザ割り当てに割り当て(29)、このユーザ割り当てに対応する新しい特定のデータパターンを計算し(30)、割り当てられたデータ及び新しく計算したデータパターンを記憶する(17)。以下の活動認識手順中に、正式に認識されていない活動はここで自動的に認識される。
【0040】
他の実施例において、ユーザは、うまく行われた自動的な活動認識に関係なく、ユーザインタフェースを介してユーザが規定する期間を始めることができる。このユーザが規定する期間中、特定のデータパターンとの比較は行われない。一次及び/又は二次データは、ユーザが規定する期間が続いている限り、ユーザ割り当てに割り当てられる。このユーザが規定する期間から外れた後、プロセッサは再び活動認識手順を行い、ユーザ割り当てに対応する新しい特定のデータパターンが計算され、メモリに記憶される。
【0041】
上述した本発明のこれら実施例は、それを達成する方法の上記実施例を示し、本発明の範囲を制限するようには構成されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】装着型デバイスの外略図を示す。
【図2】装着型デバイスの他の構成要素を示す。
【図3】活動認識方法の流れ図を示す。
【図4】活動のユーザ割り当ての流れ図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−一次データを供給する少なくとも2つの計測装置、
−前記一次データから二次データを計算し、前記一次及び/又は二次データから基準データを計算し、前記基準データを少なくとも2つの特定のデータパターンと比較して活動を自動的に認識するように構成されるプロセッサ、及び
−前記一次データ、前記二次データ及びある活動に各々割り当てられた前記少なくとも2つの特定のデータパターンを記憶するように構成されるメモリ
を有する装着型デバイス。
【請求項2】
前記一次及び/又は二次データは、心拍数、呼吸、熱流束、体温、生体インピーダンス、酸素摂取量、カロリー消費量、歩数、GPS信号、周囲温度、垂直及び水平加速、時間、時間期間、速度及び皮膚湿度を有する少なくとも2つのデータクラスに対応している請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項3】
ジョギングに割り当てられる前記特定のデータパターンは、長い時間期間にわたり僅かに変化する心拍数、7km/hから25km/hの間の速度、周期的な垂直方向及び僅かな水平方向への加速、及びジョギングに対し一定の歩数を有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項4】
サイクリングに割り当てられる前記特定のデータパターンは、中程度の時間期間内において大体は一定である心拍数、10km/hから90km/hの間の速度、不連続な水平方向及び無視できるほどの垂直方向への加速、並びに無歩数を有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項5】
ウォータースポーツに割り当てられる前記特定のデータパターンは、中程度の時間期間にわたり僅かに変化する心拍数、20km/hよりも低い速度、低く且つ周期的な加速、高い皮膚湿度、並びに無歩数を有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項6】
球技に割り当てられる前記特定のデータパターンは、大きく変化する心拍数、0km/hから30km/hの間を大きく変化する速度、短い時間期間中に大きく変化する水平方向及び垂直方向への加速、並びに大きく変化する歩数を有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項7】
フィットネス運動に割り当てられる前記特定のデータパターンは、中程度の時間期間内に僅かな変化を持つ心拍数、5km/hよりも低い速度、短い時間期間中に周期的に変化する水平方向及び垂直方向への加速、並びに短い時間期間中にわずかに変化する歩数を有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項8】
前記特定のデータパターンは、少なくとも1つのデータクラスに対し所望の上限及び下限を有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項9】
ユーザによる自動的に認識されない活動の割り当てを要求及び入力するように構成されるユーザインタフェースをさらに有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記ユーザにより割り当てられた活動に一致する新しい特定のデータパターンを計算するように構成される請求項9に記載の装着型デバイス。
【請求項11】
前記ユーザインタフェースは、ユーザによる自動的に認識された活動の再割り当てを挿入するように構成され、並びに前記プロセッサは前記対応する一次及び/又は二次データの再割り当てを行うように構成される請求項9に記載の装着型デバイス。
【請求項12】
データ及び/又はある活動に割り当てられた特定のデータパターンを交換及び/又は追加するためのコンピュータインタフェースを有する請求項1に記載の装着型デバイス。
【請求項13】
−前記一次データを時間の関数として計測するステップ、
−前記一次及び/又は二次データを時間の関数として記憶するステップ、
−前記一次及び/又は二次データ、並びに前記特定のデータパターンをロードするステップ、
−前記一次及び/又は二次データから前記基準データを計算するステップ、
−前記基準データを前記特定のデータパターンと比較して、活動を自動的に認識するステップ、
−前記一次及び/又は二次データを前記認識した活動に割り当てるステップ、
−前記割り当てられたデータを記憶するステップ、
−前記割り当てられたデータを分析するステップ、及び
−分析された前記割り当てられたデータに従って、前記特定のデータパターンを適合させるステップ
を有する請求項1に記載の装着型デバイス用の活動認識方法。
【請求項14】
前記一次データから二次データを計算するステップをさらに有する請求項13に記載の活動認識方法。
【請求項15】
−認識されていない活動を割り当てるようにユーザにリクエストを送るステップ、
−ユーザ割り当てを入力するステップ、
−一次及び/又は二次データを前記ユーザ割り当てに割り当てるステップ、
−ユーザが割り当てた活動に対する新しいデータパターンを計算するステップ、及び
−前記ユーザが割り当てたデータ及び特定の前記新しいデータパターンを記憶するステップ
をさらに有する請求項13に記載の活動認識方法。
【請求項16】
前記自動認識は、
−ユーザインタフェースを介してユーザが規定した期間を開始するステップ、
−ユーザにより現在行われている活動の割り当てを挿入するステップ、
−他の一次及び/又は二次データの全てをユーザ割り当てに割り当てるステップ、
−ユーザが割り当てたデータを記憶するステップ、
−ユーザインタフェースを介して前記ユーザが規定した期間から離れるステップ、
−前記ユーザが規定した期間からユーザが割り当てたデータをロードするステップ、
−新しい特定のデータパターンを計算するステップ、及び
−前記新しい特定のデータパターンを記憶するステップ
を有するユーザが規定した期間中は中断される請求項13に記載の活動認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−505677(P2008−505677A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519929(P2007−519929)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052082
【国際公開番号】WO2006/006092
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】