説明

装着式船形水泳補助具

【課題】水中で自由な水泳動作と安定した水泳姿勢を保て、水の抵抗を減少させて、自由な呼吸を確保できる装着式船形水泳補助具を提供する。
【解決手段】比重が水に近い樹脂製等の板材で形成される船形の外郭であって、先端は船の舳先状又は円錐状に尖っていて、上腕の付根の位置に切り欠きがあり、胴体部にベルト又はベルクロ、ひも等の締め具で人体に装着し、うつ伏せの姿勢でも自由な呼吸が可能な鼻口が常に空気中にあるための浮力を先端部と頭部付近に備え、顔面付近が透明で、人体頭部の前方より腰の下方までをほぼ半円形の船体形の外郭で覆っている装着式船形水泳補助具を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装着式船形水泳補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水泳補助具は、救命用に浮力を確保するためや初心者の練習用のために浮力を付与するもの等であった。
【0003】
したがって、水泳者がより速く進むためや、水の抵抗を減らして小さい力で快適に泳ぐことができない欠点があった。
【0004】
また、他の従来の水泳補助具は、水の抵抗を減らす手段としては競泳等で用いられる高速水着であった。
【0005】
したがって、水着表面の抵抗を減らすことは可能だが、水泳者の外形で受ける水の抵抗は減らせない欠点があった。
【0006】
また、他の従来の水泳補助具は、推進力を増すために足や手に装着するフィン等であった。
【0007】
したがって、手の平や足の平を拡張して推進効果を増大させる効果は期待されるが、速く進む分、水の抵抗も増してエネルギーを消耗する欠点があった。
【0008】
また、他の従来の水泳補助具は、うつ伏せの姿勢のままで呼吸をする手段としてはシュノーケルや空気ボンベ等であった。
【0009】
したがって、マウスピースを口にくわえて口からのみで呼吸をしなければいけない欠点があった。
【0010】
また、他の従来の水泳補助具は、水中での視野を確保するための手段としてはゴーグルマスク等であった。
【0011】
したがって、水密のゴーグルマスクを顔面に装着していなければいけない欠点があった。
【0012】
また、他の従来の水泳補助具は、船体形状や浮力を有する場合では一定の大きさ以上である。
【0013】
したがって、携帯移動や保管に不便である欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−149447
【特許文献2】特開昭62−236567
【特許文献3】実開昭63−74150
【特許文献4】実開昭54−34997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、用具の浮力を必要最低限として体に装着することによって、水中での水泳の姿勢を保ち手足の水泳動作を自由に水泳姿勢を安定させる装着式船形水泳補助具を提供することを目的とする。
【0016】
また、頭、肩、胸、腰等が受ける水流による抵抗を減じる装着式船形水泳補助具を提供することを目的とする。
【0017】
また、水中での水泳の姿勢を安定させ、揚力による推進力を使って省力で高速な装着式船形水泳補助具を提供することを目的とする。
【0018】
また、水中での水泳の姿勢を保ちながら鼻、口を常に空気中に保ち自由に呼吸ができる装着式船形水泳補助具を提供することを目的とする。
【0019】
また、船体の顔面付近あるいは全体が透明で視野が確保できる装着式船形水泳補助具を提供することを目的とする。
【0020】
また、薄板状の外板を折り曲げ、あるいは曲げて体に装着することにより船形をなし、携帯の時は巻いて移動できる装着式船形水泳補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明は比重が水に近い樹脂製等の板材で形成される船形の外郭であって、先端は船の舳先状又は円錐状に尖っていて、上腕の付根の位置に切り欠きがあり、胴体部にベルト又はベルクロ、ひも等の締め具で人体に装着し、うつ伏せの姿勢でも自由な呼吸が可能なように鼻口が常に空気中にあるための浮力を先端部と頭部付近に備え、顔面付近は透明であり、人体頭部の前方より腰の下方までをほぼ半円形の船体形の外郭で覆っている装着式船形水泳補助具を構成している。
【0022】
第2の発明においては、前縁が硬質の芯でその上下に一対のフィルム材又は薄板等で後縁が閉じておらず、上腕部から手の平まで差し込んで着脱が容易な腕ヒレを前記上腕の付根の切り欠き位置付近に自由度を持って連結された装着式船形水泳補助具を構成している。
【0023】
第3の発明においては、推進力を増強するための足の平に装着するモノフィン又はセパレートフィンで、翼端版を使ってブレードの適正な迎え角を保ち翼断面に揚力を発生させる揚力推進形尾ヒレを有する装着式船形水泳補助具を構成している。
【0024】
第4の発明においては、上腕部の切り欠きを無くして両腕を前方に伸ばす姿勢をとり、先端から腰下までを半円形の船形の外郭で覆うように構成された装着式船形水泳補助具を構成している。
【0025】
第5の発明においては、柔軟な素材あるいは、前後方向の柔軟性が高い強度に方向性を持った素材を用いて船体を構成して、使用時には十分な船体強度を有するが、携帯時には小さく巻ける装着式船形水泳補助具を構成している。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)比重が水に近い樹脂製等の板材で形成される船形の外郭であって、先端は船の舳先状又は円錐状に尖っていて、上腕の付根の位置に切り欠きがあり、胴体部にベルト又はベルクロ、ひも等の締め具で人体に装着し、うつ伏せの姿勢でも自由な呼吸が可能なように鼻口が常に空気中にあるための浮力を先端部と頭部付近に備え、顔面付近は透明であり、人体頭部の前方より腰の下方までをほぼ半円形の船体形の外郭で覆っている、したがって、水中での水泳の姿勢を保ち手足の水泳動作を自由に水泳姿勢を安定させられまた、水流による抵抗を減じられる。
【0027】
(2)前記(1)によって水中での水泳の姿勢を保ちながら鼻、口を常に空気中に保ちしたがって、自由に呼吸ができる。
【0028】
(3)前記(1)によって船体の顔面付近あるいは全体が透明である、したがって、視野が確保できる
【0029】
(4)前縁が硬質の芯でその上下に一対のフィルム材又は薄板等で後縁が閉じておらず、上腕部から手の平まで差し込んで着脱が容易な腕ヒレを前記上腕の付根の切り欠き位置付近に自由度を持って連結されている、したがって、水中での水泳の姿勢を安定させ、揚力による推進力を使って省力でしかも高速化が図れる。
【0030】
(5)推進力を増強するための足の平に装着するモノフィン又はセパレートフィンで、翼端版を使ってブレードの適正な迎え角を保ち翼断面に揚力を発生させる揚力推進形尾ヒレを有する、したがって、水中での水泳の姿勢を安定させ、揚力による推進力を使って省力でしかも高速化が図れる。
【0031】
(6)上腕部の切り欠きを無くして両腕を前方に伸ばす姿勢をとり、先端から腰下までを半円形の船形の外郭で覆うように構成される、したがって、水流による抵抗をより小さくできて高速化につながる。
【0032】
(7)柔軟な素材あるいは、前後方向の柔軟性が高い強度に方向性を持った素材を用いて船体を構成して、使用時には十分な船体強度を有するが、携帯時には小さく巻ける、したがって、携帯に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の斜視図
【図2】本発明を実施するための第2の形態の斜視図
【図3】本発明を実施するための第3の形態の斜視図
【図4】本発明を実施するための第4の形態の斜視図
【図5】本発明を実施するための第5の形態の斜視図
【図6】本発明を実施するための第5の形態の断面説明図
【図7】本発明を実施するための第6の形態の斜視図
【図8】本発明を実施するための第6の形態の断面説明図
【図9】本発明を実施するための第7の形態の斜視図
【図10】本発明を実施するための第8の形態の斜視図
【図11】本発明を実施するための第9の形態の斜視図
【図12】本発明を実施するための第10の形態の斜視図
【図13】本発明を実施するための第11の形態の斜視図
【図14】本発明を実施するための第12の形態の使用状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に示す発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0035】
図1に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は船体である、3は人体に装着するためのベルト及びバックル(ベルクロやひも等その他締結用具)、4は浮力体(発泡体あるいは空気膨張袋等)、5は顎乗せ、6は上腕付根の切り欠き、12は排水孔である。
【0036】
上記構成の装着式船形水泳補助具は、浮力が小さく体がほぼ水中にあり装着式であるために、水泳動作が自然で自由にできる。
【0037】
また、水泳者の頭部前方から腰の下辺りまでを、先端が船の舳先状でほぼ半円形の船形の外郭1で覆うため、水流に対する抵抗を小さくできる。
【0038】
また、前記浮力体4と前記顎乗せ4とによって、鼻と口が常に空気中にあるので通常の呼吸ができ、水が浸入した場合でも排水孔12によって排水でき、また、顔面前に透明板を空間を置いて2重にすることにより船底に浸入する水が顔に当らないようにする、また、前記浮力体4と前記顎乗せ5は使用者が各自調整あるいは空気の注入量によって浮力を微調整する。
【0039】
また、体を反転させて船体が背中側に位置するように装着すれば背泳ぎに対応すことは当然である。
【0040】
次に、図2から図14までに示す本発明を実施するための異なる形態について説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
図2に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は先端部の前記浮力体を1の船体の下側7に設置した点で、これにより船の先端角が上向きになり顔面がより水面上に出易い効果が期待され、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0042】
図3に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、前記1の船体を、8頭部船体と9胴体部船体とに分けて頚部の位置で軸支することによって、首の角度が変えられるようにした点で、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1の形態及び第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0043】
図4に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第3の形態と主に異なる点は、前記8、9の船体の内、9の胴体部を9’の上下式にしてクロールと背泳ぎの両方に対応できることを目的として、8の頭部船体を22の回転リングを介して水泳中であっても頭部船体8’を上下反転させて泳ぎ方を随時替えられる点で、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1、第3の形態と同様な作用効果が得られる。
【0044】
図5に示す本発明を実施するための第5の形態において主に異なる点は、10の腕ヒレを装着する点で、図6に示す前縁の芯13の上下に後ろの開いた薄板あるいは膜14を設置してその中に腕Aを、手の平ポケット15まで差し込んでゆっくり羽ばたかせて、抵抗を減らしながら効果的に推進力が得られまた、バランスや方向転換にも役立つ点で、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1、第2、第3の形態と同様な作用効果が得られる。
【0045】
図7に示す本発明を実施するための第6の形態において主に異なる点は、図8に示す揚力フィン16を、水流と平行をなす翼端板17と角度差(5度から15度)を付けられるように連結することによって揚力フィン16の水流に対する迎え角を適正化でき、また、18は船体1との連結棒、19は足の差込みである図7に示す揚力推進形尾ヒレ11を装着する点で、これによって推進効率が高まる、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1、第2、第3の形態と同様な作用効果が得られる。
【0046】
図9に示す本発明を実施するための第7の形態において主に異なる点は、前記第5の形態の腕ヒレ10と、前記第6の形態の揚力推進形尾ヒレとを、組み合わせた点で、これによってより一層速度を高められる、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1、第2、第3、第5、第6の形態と同様な作用効果が得られる。
【0047】
図10に示す本発明を実施するための第8の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、前記船体1の上腕付根の切り欠き6を無くして、上腕を前に伸ばした姿勢で先端から腰下まで体を覆いより抵抗を抑えた船体2である点で、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0048】
図11に示す本発明を実施するための第9の形態において、前記本発明を実施するための第7の形態と主に異なる点は、船体2の前方にカナードフィン20を設置して軸21を操作することによってローリングを抑えたり、方向転換を助けたりできる点で、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第8の形態と同様な作用効果が得られる。
【0049】
図12に示す本発明を実施するための第10の形態において、前記本発明を実施するための第9の形態と主に異なる点は、揚力推進形尾鰭11を装着する点で、これによって省エネルギーで効率性が高まる、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1、第8、第9の形態と同様な作用効果が得られる。
【0050】
図13に示す本発明を実施するための第11の形態において、前記本発明を実施するための第1から第7までの形態と主に異なる点は、顎乗せ6の替わりに、ゴム質又は発泡素材等で水密マスク状に顔面を覆うフェイスマスク25で、両側又は片側もしくは前方に通気候26を、顎の下には排水弁27を設けた点で、顔面を押し付けるだけではあるが、これによって顔面前の水密性が高まる、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1から第7までの形態と同様な作用効果が得られる。
【0051】
図14に示す本発明を実施するための第12の形態において、特に柔軟な素材あるいは、前後方向の柔軟性が高い強度に方向性を持った素材を用いて船体1あるいは2を構成するとき、使用時には十分な船体強度を有するが、携帯時には小さく巻ける点で、このように形成した装着式船形水泳補助具にしても、前記本発明を実施するための第1から第11までの形態と同様な作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0052】
1 船体
2 他の船体
3 装着ベルト
4 浮力体
5 顎乗せ
6 上腕付根の切り欠き
10腕ヒレ
11揚力推進形尾ヒレ
25フェイスマスク




【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重が水に近い樹脂製等の板材で形成される船形の外郭であって、先端は船の舳先状又は円錐状に尖っていて、上腕の付根の位置に切り欠きがあり、胴体部にベルト又はベルクロ、ひも等の締め具で人体に装着し、うつ伏せの姿勢でも自由な呼吸が可能なように鼻口が常に空気中にあるための浮力を先端部と頭部付近に備え、顔面付近は透明であり、人体頭部の前方より腰の下方までをほぼ半円形の船体形の外郭で覆っている装着式船形水泳補助具。
【請求項2】
請求項1の装着式船形水泳補助具において、前縁が硬質の芯でその上下に一対のフィルム材又は薄板等で後縁が閉じておらず、上腕部から手の平まで差し込んで着脱が容易な腕ヒレを前記上腕の付根の切り欠き位置付近に自由度を持って連結された装着式船形水泳補助具。
【請求項3】
請求項1の装着式船形水泳補助具において、推進力を増強するための足の平に装着するモノフィン又はセパレートフィンで、翼端版を使ってブレードの適正な迎え角を保ち翼断面に揚力を発生させる揚力推進形尾ヒレを有する装着式船形水泳補助具。
【請求項4】
請求項1の装着式船形水泳補助具において、上腕部の切り欠きを無くして両腕を前方に伸ばす姿勢をとり、先端から腰下までを半円形の船形の外郭で覆うように構成された装着式船形水泳補助具。
【請求項5】
請求項1の装着式船形水泳補助具において、柔軟な素材あるいは、前後方向の柔軟性が高い強度に方向性を持った素材を用いて船体を構成して、使用時には十分な船体強度を有するが、携帯時には小さく巻ける装着式船形水泳補助具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−177468(P2011−177468A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47610(P2010−47610)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(593076091)