説明

装置およびその制御方法

【課題】装置本体を支持する4以上の複数の脚を全て接地させつつ、装置本体を水平状態とする。
【解決手段】本発明の装置は、装置本体と、前記装置本体を支持する伸縮可能な4以上の複数の脚と、前記装置本体が水平状態であるか否かを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する水平センサと、前記複数の脚を伸縮させ、前記装置本体が水平状態である旨を示す検出信号である水平信号が前記水平センサから出力されると、前記複数の脚のそれぞれについて、前記装置本体が水平状態ではない旨を示す検出信号である非水平信号が前記水平センサから出力されるまで伸張させる伸張処理と、前記伸張処理の結果、前記非水平信号が前記水平センサから出力されると、前記水平信号が前記水平センサから出力されるまで収縮させる収縮処理とを行う制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体と装置本体を支持する伸縮可能な4以上の複数の脚とを有する装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、装置本体11と装置本体11を支持する伸縮可能な4本の脚12a〜12dとを有する装置10において、装置本体11が水平状態となるような装置10の配置が必要となることがある。
【0003】
そこで、特許文献1(特開平3−262917号公報)には、装置本体と装置本体を支持する伸縮可能な4本の脚とを有する装置において、水平センサを用いて装置本体が水平状態であるか否かを検出しながら、装置本体が水平状態となるように4本の脚を伸縮させる方法が開示されている。
【0004】
4本の脚で装置本体を支持する場合には、装置本体の重心位置などによっては、4本の脚のうちの1本が接地していなくても装置本体が水平状態となることがある。しかし、1本でも脚が接地していないと、装置がぐらついてしまい問題となる。
【0005】
そこで、図5に示すように、4本の脚12a〜12dそれぞれの接地面側に圧力センサ13a〜13dを設け、圧力センサ13a〜13dの検出結果に基づき4本の脚12a〜12dが接地しているか否かを判定する方法が一般的に用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−262917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧力センサを用いて脚の接地を確認する方法では、以下のような問題点がある。
【0008】
4本の脚のそれぞれに圧力センサを設けるために部品点数が多くなり装置構成が複雑になる。
【0009】
圧力センサの感度によっては、脚が十分に接地していないのに、接地していると圧力センサが誤検出する場合がある。
【0010】
接地面の固さによっては、装置本体が水平状態であるとして装置が配置された後に、装置本体の水平状態を維持できない可能性がある。例えば、接地面が柔らかい場合に、脚にかかる荷重が十分でない状態で、脚が接地していると圧力センサが検出し、装置本体が水平状態であるとして装置が配置された後に、装置の荷重のために脚の沈み込みが起こり、装置本体が水平状態に保たれなくなるおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、装置本体を支持する4以上の複数の脚のそれぞれを接地させつつ、装置本体を水平状態とすることができる装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の装置は、
装置本体と、
前記装置本体を支持する伸縮可能な4以上の複数の脚と、
前記装置本体が水平状態であるか否かを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する水平センサと、
前記複数の脚を伸縮させ、前記装置本体が水平状態である旨を示す検出信号である水平信号が前記水平センサから出力されると、前記複数の脚のそれぞれについて、前記装置本体が水平状態ではない旨を示す検出信号である非水平信号が前記水平センサから出力されるまで伸張させる伸張処理と、前記伸張処理の結果、前記非水平信号が前記水平センサから出力されると、前記水平信号が前記水平センサから出力されるまで収縮させる収縮処理とを行う制御部と、を有する。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の装置の制御方法は、
装置本体と、前記装置本体を支持する伸縮可能な4以上の複数の脚と、前記装置本体が水平状態であるか否かを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する水平センサと、を有する装置の制御方法であって、
制御部が、前記複数の脚を伸縮させ、前記装置本体が水平状態である旨を示す検出信号である水平信号が前記水平センサから出力されると、前記複数の脚のそれぞれについて、前記装置本体が水平状態ではない旨を示す検出信号である非水平信号が前記水平センサから出力されるまで伸張させる伸張処理を行い、前記伸張処理の結果、前記非水平信号が前記水平センサから出力されると、前記水平信号が前記水平センサから出力されるまで収縮させる収縮処理を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置本体を支持する4以上の複数の脚のそれぞれを接地させつつ、装置本体を水平状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す装置本体が水平状態である場合の一例を示す図である。
【図4】関連する装置の外観の一例を示す図である。
【図5】関連する装置の外観の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の装置100の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態の装置100は、図4に示す装置10と同様の外観を有する。また、図1において、図4と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0018】
図1に示す装置100は、装置本体11と、装置本体11を支持する4本の脚12a〜12dと、水平センサ101と、制御部102と、を有する。
【0019】
また、脚12aは、脚12aを伸縮させる伸縮機構121aを具備する。同様に、脚12b〜12dはそれぞれ、伸縮機構121b〜121dを具備する。なお、伸縮機構121a〜121dは、当業者にとってよく知られており、また、本発明と直接関係しないので説明を省略する。
【0020】
水平センサ101は、装置本体11が水平状態であるか否かを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する。
【0021】
制御部102は、水平センサ101から出力される検出信号に応じて伸縮機構121a〜121dを制御し、脚12a〜12dを伸縮させる。
【0022】
次に、本実施形態の装置100の動作について説明する。
【0023】
図2は、本実施形態の装置100の動作を示すフローチャートである。
【0024】
所定の操作入力などが行われると、制御部102は、水平センサ101より出力される検出信号に基づき、伸縮機構121a〜121dを制御して脚12a〜12dを伸縮させ、装置本体11を水平状態とする(ステップS21)。ここで、装置本体11の重心位置によっては、図3に示すように、4本の脚12a〜12dのうち1本(図3では、脚12b)が接地していない状態でも、装置本体11が水平状態となることがある。
【0025】
装置本体11が水平状態である旨を示す検出信号である水平信号が水平センサ101から出力されると、制御部102は、脚12a〜12dのうちの1本、例えば、脚12bを、伸縮機構121bを制御して所定値だけ伸張させ(ステップS22)、水平センサ101から水平信号が出力されるか否かを判定する(ステップS23)。
【0026】
水平センサ101から水平信号が出力されると(ステップS23:Yes)、制御部102は、ステップS22の処理に戻る。ここで、接地面が柔らかく、装置100の荷重により脚12bの沈み込みが起こる間は、脚12bを伸張させても装置本体11は水平状態のままである。脚12bの沈み込みが止まり、確実に脚12bが接地した状態からさらに脚12bが伸張されると、装置本体11が水平状態でなくなり、装置本体11が水平状態ではない旨を示す検出信号である非水平信号が水平センサ101から出力される。
【0027】
水平センサ101から非水平信号が出力されると(ステップS23:No)、制御部102は、伸縮機構121bを制御して脚12bの伸張を停止させる(ステップS24)。
【0028】
なお、以下では、ステップS22からステップS24までの処理を合わせて、伸張処理と称する。
【0029】
次に、制御部102は、伸縮機構121bを制御して脚12bを所定値だけ収縮させ(ステップS25)、水平センサ101から水平信号が出力されるか否かを判定する(ステップS26)。
【0030】
水平センサ101から非水平信号が出力されると(ステップS26:No)、制御部102は、ステップS25の処理に戻る。
【0031】
水平センサ101から水平信号が出力されると(ステップS26:Yes)、制御部102は、伸縮機構121bを制御して脚12bの収縮を停止させる(ステップS27)。
【0032】
なお、以下では、ステップS25からステップS27までの処理を合わせて、収縮処理と称する。
【0033】
次に、制御部102は、全ての脚について、伸張処理と収縮処理とを行ったか否かを判定する(ステップS28)。
【0034】
全ての脚について伸張処理と収縮処理とを行っていない場合には(ステップS28:No)、制御部102は、ステップS22に戻り、脚12b以外の脚について、伸張処理と収縮処理とを行う。
【0035】
全ての脚について伸張処理と収縮処理とを行った場合には(ステップS28:Yes)、制御部102は、処理を終了する。
【0036】
このように、本実施形態によれば、装置100は、装置本体11が水平状態になると、脚12a〜12dのそれぞれについて、装置本体11が水平状態でなくなるまで脚を伸張させる伸張処理と、伸張処理の結果、水平状態でなくなった装置本体11が水平状態となるまでその脚を収縮させる収縮処理とを行う。
【0037】
そのため、以下のような効果が得られる。
【0038】
第1の効果は、脚12a〜12dの接地の確認のために圧力センサを用いないので、部品点数の増加を抑制することができるという効果である。部品点数の増加を抑制することで、故障の要因を減らし、また、故障時の修理も容易にすることができる。
【0039】
第2の効果は、圧力センサを用いず、実際に脚を伸縮させて装置本体11を水平状態とするので、接地の誤検出が起こらず、全ての脚を確実に接地させることができる。
【0040】
第3の効果は、実際に脚を伸張させ装置10の荷重がかかった状態で装置本体11が水平状態であるか否かを判定するので、接地面の固さによる影響を受けることなく、全ての脚を確実に接地させつつ、装置本体11の水平状態を維持することができる。
【0041】
なお、上述した実施形態においては、装置本体11を支持する脚が4本である例を用いて説明したが、これに限られるものではなく、5本以上の脚で装置本体が支持される装置に適用することも可能である。
【0042】
また、上述した実施形態においては、伸張処理を行った後に、収縮処理を行う例を用いて説明したが、これに限られるものではなく、収縮処理を行った後に、伸張処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 装置
11 装置本体
12a〜12d 脚
121a〜121d 伸縮機構
101 水平センサ
102 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体を支持する伸縮可能な4以上の複数の脚と、
前記装置本体が水平状態であるか否かを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する水平センサと、
前記複数の脚を伸縮させ、前記装置本体が水平状態である旨を示す検出信号である水平信号が前記水平センサから出力されると、前記複数の脚のそれぞれについて、前記装置本体が水平状態ではない旨を示す検出信号である非水平信号が前記水平センサから出力されるまで伸張させる伸張処理と、前記伸張処理の結果、前記非水平信号が前記水平センサから出力されると、前記水平信号が前記水平センサから出力されるまで収縮させる収縮処理とを行う制御部と、を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
装置本体と、前記装置本体を支持する伸縮可能な4以上の複数の脚と、前記装置本体が水平状態であるか否かを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する水平センサと、を有する装置の制御方法であって、
制御部が、前記複数の脚を伸縮させ、前記装置本体が水平状態である旨を示す検出信号である水平信号が前記水平センサから出力されると、前記複数の脚のそれぞれについて、前記装置本体が水平状態ではない旨を示す検出信号である非水平信号が前記水平センサから出力されるまで伸張させる伸張処理を行い、前記伸張処理の結果、前記非水平信号が前記水平センサから出力されると、前記水平信号が前記水平センサから出力されるまで収縮させる収縮処理を行うことを特徴とする装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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