説明

装置を制御するデバイス及びその方法

【課題】本発明は、複数の部分組立品を備え、そして前記部分組立品に関する少なくとも1セットの情報を格納する記憶装置(2)を備える装置(1)を制御するデバイスおよび方法に関するものであり、接続(5)が前記符号化情報のセットを抽出するために使用される。
【解決手段】本発明に従って、前記接続(5)によって受信した前記情報のセットは記録媒体(7)の第1ファイルに記録され、次に、以前に記録媒体(7)に記録した少なくとも第2ファイル(8)から、符号化の特性がこの情報を識別するために決定される。第1ファイルの内容は前記特性を用いて解析され、そしてこのようにして得られた結果は記録媒体(7)の第3ファイルに記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、詳細には航空機搭載装置を制御するデバイスおよび方法に関するものである。
【0002】
より正確に言えば、本発明は、複数の部分組立品、特にハードウェアおよびソフトウェアを備え、そしてこれらの部分組立品に関する少なくとも1セットの情報を格納する記憶装置を備える装置に適用する。
【背景技術】
【0003】
このような航空機搭載装置は周知であり、例えば飛行制御コンピュータ、空気力学データコンピュータなどのような機載コンピュータである。これらのコンピュータはこの装置に関するいくらかの事象、例えば故障、状態などを記憶することができる。航空機または前記装置の整備時、オペレータは、この装置の状態を確認して、それを修理または改善する必要があるかどうかを決定するために、記憶装置内の各コンピュータによって格納されたデータを調べなければならない。
【0004】
これを行うために、オペレータは、この記憶装置のコンピュータによって格納されたすべてのデータを回復するのに関与するツールを使用する。これらのデータは、製造業者によって生成される符号に従って各コンピュータについて特定的に公式化される。その結果、さまざまなコンピュータに格納された前記データの回復は、さまざまなコンピュータによって多様に実行され、各コンピュータに特有であるこのツールを必要とする。
【0005】
従って、航空機またはこの航空機搭載装置の整備の工程は長期にわたり、かつ費用のかかることになり、数人の専門オペレータが、それぞれが装置の種類ごとの専任として、複数のツールを動作させるために必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はこれらの欠点を改善することである。従ってその目的は、設計および動作モードが簡単で、経済的な、かつこのデバイスを制御される各新しい種類の装置に適合させるようにデバイスを構成することによって、さまざまなデータ符号化を用いる複数の種類の装置の制御を可能にする、整備時または故障時に装置を制御するデバイスおよび方法を提案することである。このようにして汎用装置制御デバイスが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明は、複数の部分組立品を備え、そして部分組立品に関する少なくとも1セットの情報を格納する記憶装置を備える装置を制御する方法に関するものであり、接続がこの情報のセットを抽出するために実施され、この情報は符号化される。
【0008】
本発明に従って、この方法は次の工程を含む。
a)接続によって受信した情報のセットが記録媒体の第1ファイルに記録される工程、
b)以前に記録媒体に記録した少なくとも第2ファイルから、符号化の特性がこの情報を識別するために決定される工程、
c)第1ファイルの内容が符号化の前記特性を用いて解析される工程、および
d)このようにして得られた結果が記録媒体の第3ファイルに記録される工程。
【0009】
表現「装置を制御するデバイスおよび方法」中の「制御」は、この装置に格納されたデータの調査により、この装置の整備を補助する意味合いを有する。
【0010】
この制御方法のさまざまな特定の実施形態では、各々はその特定の利点を有し、考えられる多数の技術的組み合わせが可能である。
−工程c)は次の工程を含む。
)データがデフォーマットされる工程、
)デフォーマットされたデータが識別される工程、および
)このようにして識別されたデータが復号される工程。
−圧縮解除器はデータを圧縮解除するために工程c)で使用される。
−工程c)はデータの隠蔽解除の工程を含む。
−「隠蔽解除」は、機密保護データ(CRCなど)のような符号化に特有のデータの除去を特に意味する。
−接続はシリアルタイプの信号を伝送することを目的としている。有利なことに、接続はRS232タイプまたはRS422タイプの非同期シリアル接続である。
−接続は無線またはオプティカルタイプの信号を伝送することを目的としている。
【0011】
例として、変換器は、シリアルタイプの信号を、単一モードまたはマルチモード光ファイバケーブルによって移送されるように意図される信号に変換するために使用することができ、このケーブルは、データを航空機内のより長い距離にわたって、例えば装置からコックピットへ移送することを、そしてまた電気的干渉に対する耐性を確保することも可能にする。あるいは、それはイーサネット(登録商標)タイプのケーブル接続の場合であってもよい。
【0012】
本発明はまた上述の方法を実施する装置制御デバイスに関する。この装置は部分組立品を備え、そしてこれらの部分組立品に関する少なくとも1セットの符号化情報を格納する記憶装置を備える。
【0013】
本発明に従って、デバイスは、
−制御デバイスと記憶装置との間に接続を確立する手段と、
−これらの部分組立品に関する少なくとも1セットの情報を記録媒体の第1ファイルに記録する記録手段であって、以前に記録したファイルのセットを含む記録手段と、
−少なくとも1つの以前に記録したファイルを用いて第1ファイルの内容を解析する処理装置と、
を備える。
【0014】
本発明は添付の単一図面を参照してさらに詳細に説明され、この図1は本発明の特定の実施形態による装置制御デバイスを図式的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の装置制御方法は、複数の部分組立品(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)を備える装置の制御に特に適合される。
【0016】
この装置はまた部分組立品に関する少なくとも1セットの情報を格納する記憶装置も備える。この記憶装置は不揮発性記憶装置であることが好ましい。
【0017】
接続は情報のセットを記憶装置から制御デバイスへ抽出するために使用され、この情報は符号化される。
【0018】
本発明の方法の第1工程において、この接続によって受信した、この情報のセットは第1ファイルに記録される。前記第1ファイルは記録媒体に格納される。
【0019】
第2工程に従って、符号化の特性はこの情報を識別するために少なくとも第2ファイルから決定される。
【0020】
この第2ファイルは予め記録媒体に記録されている。このために、記録媒体を備える、この方法を使用するデバイスはまた、構成ファイル付きの記録媒体を遠隔ロードする手段も備える。
【0021】
この第2ファイルは、実際は、符号化情報のセットを復号する少なくとも1つのコーディングライブラリを含む構成ファイルである。
【0022】
有利なことに、この装置の参照は、記憶装置に格納した情報のセットを抽出する前記第1工程と同時に、この第2ファイルの決定を可能にするために記録媒体へ送り出される。これらの参照は、例えば、この装置の一致を規定する数(PNすなわち「部品番号」)を含む。
【0023】
次に第1ファイルの内容は、前記少なくとも第2ファイルによって提供される符号化の特性を用いて解析される。
【0024】
このために、情報のセットが記憶装置から制御デバイスへのその伝送前に圧縮器によって予め圧縮されている場合に、圧縮解除器が第1ファイルに記録したデータから情報のセットを復元するために使用される。
【0025】
使用されるデータ圧縮解除アルゴリズムは、記憶装置のデータを圧縮するために使用される圧縮アルゴリズムに依存する。この圧縮解除アルゴリズムは、RLEまたはGZIPタイプの可逆的圧縮解除アルゴリズム、またはLemple−Ziv圧縮解除アルゴリズムであり得る。
【0026】
このようにして圧縮解除された情報は隠蔽解除の主体であり、そして得られる結果はデフォーマットされるファイルに記録される。隠蔽解除されるデータは前記少なくとも第2ファイルによって規定される。
【0027】
従って、データのデフォーマッティングは、データ隠蔽解除工程と、場合により圧縮解除の事前工程とから成る。
【0028】
データのデフォーマッティング後に、デフォーマットされるファイルに記録したデフォーマットされたデータは識別される。このデータ識別工程は、処理される情報のタイプ(例えばこの情報は飛行工程に関する)、この情報が生じる装置の部分組立品などを決定することから成る。
【0029】
前記少なくとも第2ファイルによって提供される符号を用いてこのようにして識別したデータの復号後に、このようにして得られた結果は記録媒体の第3ファイルに記録される。第1ファイルがデフォーマッティングを必要としない場合に、第1ファイルの内容は、前記少なくとも第2ファイルによって提供される符号を用いて直接解析される。
【0030】
次に第3ファイルのデータが表示手段に表示されることが好ましい。
【0031】
このために、以前に記録媒体に記録したプレゼンテーションファイルを使用して、第3ファイルのデータの表示を規定することが有利に可能である。それは、この第3ファイルのデータを、装置を制御するオペレータによって読取られ得る報告書に提示する場合である。
【0032】
表示手段はテキストファイルまたは表を含む文書の編集を可能にする。それはまた、表またはテキストを表示する表示画面の場合であってもよい。
【0033】
あるいは、第3ファイルのデータは統計量を作成するために使用することができる。一例として、さまざまな種類の装置に関する故障の解析を実行するために、デバイス4を外部処理装置に接続することが可能である。
【0034】
図1は本発明の特定の実施形態による装置制御デバイスを示す。この装置1は複数の部分組立品を備え、そして記憶装置2を備える。記憶装置2は不揮発性記憶装置であることが好ましい。
【0035】
制御デバイス4は、制御デバイス4と記憶装置2との間に接続を確立する手段5を備える。接続を確立するこの手段5は、RS232タイプまたはRS422タイプの非同期シリアルリンク、イーサネットケーブル接続、あるいは装置1に配置され、制御デバイス4に配置した受信器と連動することができる電磁波エミッタから成る群から選ばれることが好ましい。
【0036】
接続5を用いてデータを記憶装置2から制御デバイス4へ伝送する前に、データは、伝送されるデータのボリュームを考慮して転送時間を短縮するために、データ圧縮器3によって有利に圧縮される。次にデータ圧縮アルゴリズムが使用される。後者は可逆的圧縮アルゴリズムであることが有利である。
【0037】
次に制御デバイス4は、接続5を用いて受信した情報のセットを記録媒体に格納し、続いてこのデバイス4を外部処理装置に接続することによってこのセットを検索すること可能であってもよい。いずれにせよ、それ自体がこの情報のセットを処理することできる。
【0038】
このために、制御デバイス4は、記録媒体7の第1ファイル内のサブセットに関する情報の少なくとも1つのセットを記録する記録手段6を備える。この記録媒体7はまた以前に記録したファイル8のセットも含む。これらのファイル8は符号化情報のセットを復号するコーディングライブラリを含む。これらのコーディングライブラリは表またはコーディングマトリックスの形式であり得る。これらのファイル8はまた、隠蔽解除されるデータを規定するために、かつデフォーマッティング工程後にデータを識別するために解析工程中にも使用される。最後に、それらは提示されるデータの数を特に決定するために使用される。
【0039】
制御デバイス4は、以前に記録したファイル8の少なくとも1つを用いて第1ファイルの内容を解析する処理装置9を備える。デバイスは構成ファイル付きの記録媒体7を遠隔ロードする手段を備えることが好ましい。以前に記録したファイルの数を増やすこと、そしてこのようにして制御デバイスを連続的に適合させることはこのようにして可能である。
【0040】
処理装置9によって実行された解析の結果は表示手段10に表示することができる。
【0041】
情報のセットが装置1の記憶装置2から制御デバイス4へ伝送される前にそれが圧縮された場合に、デバイスは情報のセットを復元する圧縮解除器11を備えることができる。
【0042】
装置1の電源が投入されない場合に、デバイスはまた記憶装置2にエネルギーを供給する供給源12を備えてもよい。この供給源12は、例えば少なくとも1つの再充電可能または不可能である電池または蓄電池を備える。オペレータは、装置1の状態、すなわち後者の電源が投入されているかどうかに応じて、記憶装置2にこの供給源12を選択的に供給したり、しなかったりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の特定の実施形態による装置制御デバイスを図式的に示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 装置
2 記憶装置
3 データ圧縮器
4 制御デバイス
5 接続
6 記録手段
7 記録媒体
8 ファイル
9 処理装置
10 表示手段
11 圧縮解除器
12 供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部分組立品を備え、そして前記部分組立品に関する少なくとも1セットの情報を格納する記憶装置を備える装置を制御する方法において、接続が前記情報のセットを抽出するために使用され、前記情報が符号化される方法であって、
a)前記接続によって受信した前記情報のセットが記録媒体の第1ファイルに記録される工程と、
b)以前に前記記録媒体に記録した少なくとも第2ファイルから、前記符号の特性がこの情報を識別するために決定される工程と、
c)前記第1ファイルの内容が前記符号化の前記特性を用いて解析される工程と、
d)このようにして得られた結果が前記記録媒体の第3ファイルに記録される工程と、
からなることを特徴とする記憶装置を備える装置を制御する方法。
【請求項2】
工程c)が、
)前記データがデフォーマットされる工程と、
)前記デフォーマットされたデータが識別される工程と、
)このようにして識別された前記データが復号される工程と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)で、圧縮解除器が前記データを圧縮解除するために使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程c)がデータ隠蔽解除工程からなることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記記憶装置に格納した前記情報のセットを前記記録媒体へ抽出する工程中に、前記少なくとも第2ファイルを決定するための前記装置の参照が送り出されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第3ファイルの前記データが表示手段に表示されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
以前に前記記録媒体に記録したプレゼンテーションファイルが、前記第3ファイルのデータの表示を規定するために使用されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接続がシリアルタイプの信号を伝送することを目的としていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記接続が無線またはオプティカルタイプの信号を伝送することを目的としていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を実施する装置制御デバイスにおいて、前記装置(1)が部分組立品を備え、そして前記部分組立品に関する少なくとも1セットの符号化情報を格納する記憶装置(2)を備える装置制御デバイスであって、
−前記制御デバイス(4)と前記記憶装置(2)との間に接続を確立する手段(5)と、
−これらの部分組立品に関する前記情報のセットを記録媒体(7)の第1ファイルに記録する記録手段(6)であって、前記記録媒体(7)は以前に記録したファイル(8)のセットからなる記録手段(6)と、
−前記以前に記録したファイル(8)の少なくとも1つを用いて前記第1ファイルの内容を解析する処理装置(9)と、
を備えることを特徴とする前記装置制御デバイス。
【請求項11】
構成ファイル付きの前記記録媒体(7)を遠隔ロードする手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記装置(1)の前記記憶装置(2)に給電する源(12)を備えることを特徴とする請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記情報のセットを復元する圧縮解除器(11)を備えることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のデバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2009−512916(P2009−512916A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532841(P2008−532841)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050947
【国際公開番号】WO2007/036674
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】