説明

装身具又は治療具

【課題】居ながらにして温泉気分に浸りながら手軽でより有効な温泉効果を経穴(つぼ)を刺激するような局所的刺激と併せた治療具を提供する。
【解決手段】温泉、冷泉、鉱泉などの泉成分を有するセラミックス、樹脂、及びこれらの複合材からなる硬質体11、前記硬質体を生体に身装するための身装部材12よりなる構成であって、硬質体に多孔質部を設け、温泉成分を含浸させ、液状、ゲル状、乾燥した状態で使用する。更には、硬質部材を作成する際、温泉成分を含有させて緻密状に成型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泉成分を身体に貼着し、装身して使用する装身具又は治療具に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の食生活、ストレスによる成人病の増加は、健康への関心を高めることとなり、成人病を初めとする各種疾病に対する予防策が数多く講じられている。
その中でも、温泉、冷泉、鉱泉等を利用した入浴療法は、多彩な泉質を有する温泉を持つ日本においては、有効な療法である。
温泉療法の作用は、温度刺激、浮力、水の抵抗等の力学的作用、及び化学作用の三つに分けられ、これらの作用が相乗的に組み合わされて自然治癒力の向上、生体活性の向上等の効能効果が生まれることから、どこでもできる治療法ではなく、温泉地は、日本各地に散在し、思うようには利用できない場合が多い。又、日本に留まらず、台湾、アイスランド等、世界各地に様々な泉質を有する温泉が存在する。

【0003】
【特許文献1】特開2004−149465号公報
【特許文献2】実用新案登録第3072149号公報
【特許文献3】特開平9−111664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温泉療法は、上述のような相乗効果を求める環境を形成することには、時間と費用が必要であり、いつでもどこでもできるものではなく、忙しい人々にとっては、利用し難い治療法であり、せいぜい、風呂に温泉地表示のある入浴剤をいれて入る程度である。
様々な自然治癒力を向上させる為の治療法が提案されているが、時間と費用がなければなかなか治療を受けることができないものの方が多い。
ところで、実用新案登録公報3072149号には、温泉成分が含浸された布が開示され、特開平9-111664号にも、洋服など服飾に利用されるための繊維に温泉成分が乾燥状態で含浸され、これらの布、繊維を用いた下着等を着ると肌がすべすべになるといった温泉効果が得られることが開示されている。
この様な、皮膚に触れるだけで、温泉効果が得られる先行技術に対し、より血行促進作用等を高めるための治療器の提案を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み本発明は、泉成分を含む硬質体、前記硬質体を生体に密着身装するための身装部材の組み合わせにより、硬質体の泉成分が温熱作用等の生体に局所的温泉効果等を与え、しかも経穴を継続的に且つ物理的に刺激することで、自然治癒力の向上、生体活性の向上により血行促進を図り、経皮的な成分の吸収を促進することを実現する。
本発明における泉成分とは、温泉、冷泉、鉱泉など地中から採取される鉱物等であり、天然物又は、人工的に配合された物が例示される。
温泉成分においては、いわゆる湯ノ花といったものが好適に利用され、特に名湯といわれる温泉の湯ノ花、泉成分、よく知られた泉成分が有効に利用される。
例えば、草津温泉、別府温泉、銀山温泉、等の成分を配合し、その中でも特徴となる成分の配合を多くする事が好ましい。
より具体的には、硫黄泉、鉄泉、食塩泉、重曹泉、重炭酸土類泉、明礬泉、緑礬泉等が例示され、成分例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫黄、硫化水素、チオ硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム等を一乃至二種以上用いるものであってもよい。
又、本発明は、玉川温泉、増富温泉、三朝温泉等の放射線を出す成分、放射線泉を含有し、これをセラミックス化して使用することで、微量放射線による効果的な温泉効果を経穴を刺激することで得ることができる。
その際は、温泉地の土、鉱泥を素焼きにして使用し、他の温泉成分を含浸させる場合もある。
更に、ウラニウム、トリウム、セリウムなどの放射性元素を0.01〜0.02マイクロシーベルト/時間放出する程度配合しても良い。
【0006】
本発明における硬質体は、例えば、直径1mm〜8mmで、中心の高さが0.5mm〜1.5mm位の円盤状、円柱状の物であって。中心が膨らんだ形状が例示されるが、適用部位、経穴(つぼ)の大きさ等によってその他の大きさ、形状であってもよい。
硬質体は、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、バイオガラス、リン酸カルシウム、長石、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、フェライト、などのセラミックス材、磁性部材、チタン材、PET、PP、PC、等の硬質ポリマー、ポリマーとセラミックスの複合材(ハイブリッド)が例示される。
複合材は光硬化、熱硬化処理を行うアクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル等の重合性単量体と重合剤、二酸化珪素、アルミナ、ジルコニア等の無機材微粒子及び温泉成分の組み合わせによる構成が例示される。
泉成分を有するとは、例えば、セラミックス製造時に配合する、多孔質状の硬質体であれば、泉質成分を含浸させて固化乾燥させる。溶液状、ゲル状の泉質成分を多孔質状の硬質部材に含浸させてもよい。
尚、硬質体は、500℃〜800℃で焼成した素焼き程度のものが好ましく、素焼きした硬質体に温泉、冷泉、鉱泉等の天然泉又は、上述した1種類以上の温泉成分を含浸させ乾燥させるか、又は、含浸させた状態で使用する。
又、本発明は、硬質体を温泉地の鉱泥、その周囲の土、粘土を素焼きにしたものがより好ましい。
その他、硬質体の表面に泉質成分を塗布した状態、塗布後乾燥した状態、硬質体上に泉質成分を有するシート状、粒状の担体を装着した状態等が例示される。

【0007】
本発明における硬質部材は、イオン化された状態で表面に泉成分が表出していることが好ましい。
イオン化は、貼着時間の間、半永久的な期間等が例示されるが エレクトレット化した状態である場合は、半永久的にプラス、マイナスに帯電した状態を形成する。
この様に帯電させた状態は、いわば水中に居る状態で、イオン化した泉成分と接触した状態に近い点と経皮的な刺激が与えられる点で好ましい。
エレクトレット化は、例えば、電圧100V〜120Vで形成される電界中にセラミックス等の硬質部材を置き、200℃〜300℃で数時間加熱して形成されるが、好ましくは、特開平10−324584号公報の手法が好適に利用される。
泉成分を硬質体とした場合の製造方法としては、例えば 湯ノ花などの天然硫黄含有物質とシリカ、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム系化合物等のセラミックス前駆体を混合練り合わせを行った後、焼成する手法が例示される。
尚、素焼化して多孔質状としてもよく、多孔質化した場合は、上述した泉成分、化粧料、ハーブ成分、その他のものを含浸させても良い。
又、温泉成分が結晶化した湯ノ花等の天然温泉成分の他、温泉成分、硫黄 - カルシウム・ナトリウム - 硫酸塩・炭酸水素塩等、各地の温泉成分を、その配合比率を調整して上述したセラミックス前駆体に混ぜ合わせた調整成分を用いても良い。
本発明において示される身装具は、ブレスレット、指輪等の装飾品や、体に貼り付けるシールの様なものを示す。治療具は、温泉療法に代表される民間療法を含む治療を意味するものの他、気休め、心身の安定等を示し、装着することにより心身の安定を生じさせることなども含まれるものである。
心身の安定は、例えば血流、心拍数等生体情報によっても表され、併せて経穴への刺激が、泉成分の体への作用に重ねられて血液の循環の促進という形で発揮される場合もある。
尚、泉成分は、皮膚を過剰に刺激するものも少なくないため、例えば硬質部材を逆円錐型で、凹状を形成したプラスチックシートとし、この凹部に泉成分を入れて上部からシールしたものを硬質部材として使用しても良い。
この場合、泉成分は、生体に直接接触はしないが、泉成分が発揮する遠赤外線等の各種赤外線等がプラスチックシートを介して生体に伝達させたものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、泉成分を有する硬質体を生体に貼着することで、局所押圧下における経穴刺激と、泉成分と生体との接触による放射線、イオン成分等による温泉効果による相乗的な血行促進等を実現する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、少なくとも経穴等の生体局所を刺激する硬質体と、生体へ硬質体を装着するための装着部材との組み合わせよりなり、硬質体の形状も、円盤状、鋭角部をもつ円筒状等が例示されるが、経穴をより効果的に刺激したり、温泉効果を効率良く供給するものであれば、その他の形状であっても良い。
硬質状体の構成も、皮膚との接触面が緻密状、交差する溝、微小な連続した凹凸をもつもの、多孔質状、或いは、繊維状等を有するものが例示される。
本発明は例えば、絆創膏のような粘着シートに硬質体を粘着結合させた状態のものを生体治療部位に貼り付けるだけでよく、硬質体が皮膚を押圧すると共にその部位に温泉効果を与え、有効な血行促進を図る。
硬質体を人体に密着的に身装できればよいことから、下着類、シャツ、靴下、リストバンド、腕時計、帽子、マフラー、ベルト等に装着し、人体に密着して使用する形態であってもよい。

【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の一実施例を示す図である。
図1(a)において、
11は硬質体であって、セラミックス緻密体、樹脂緻密体、セラミックスと樹脂の複合材 又は、セラミックス多孔質体、素焼き、木材、紙類、これらの複合多孔体等よりなる。
緻密体の場合は、製造時、温泉成分を配合するか、表面に塗布する。塗布する際は、温泉成分に多糖類等の粘着成分を配合して、付着性を高めても良い。
温泉成分を含有したセラミックス緻密体の製法例
セラミックス緻密体の場合、温泉成分は、例えば、増富温泉の温泉成分であって、これを二酸化珪素に混ぜて練り合わせ成形後800℃〜1500℃で3時間焼成して直径4mm、厚さ0.12mmの中心が膨らんだ円盤状のセラミックス緻密体を得る。
硬質体11は、生体により刺激を与えるべく点線で示すような鋭角の部分を持つものであっても良い。

温泉成分を含有したセラミックス多孔体の製法例
他方11を多孔質セラミックスよりなる硬質体としてもよい。製法は、既存の方法を利用して、上述の大きさの硬質体を得れば足りるが、例えば、特開平11−300713号公報に記載されたセラミックススラリーを−80℃〜−10℃前後に冷却した鋳型に流し込み減圧後、脱水処理を施した後、乾燥することで、様々な形状の多孔質体を得る手法が好適に利用される。
素焼きの場合
温泉地各地から入手した鉱泥又は、土、或いは、二酸化珪素、アルミナ等を成形した後、500℃〜800℃で5〜8時間焼成して得る。
多孔質体11の場合は、所望の温泉を含浸させた後乾燥させれば足りる場合もある。
又、温泉成分として、CO2、HCO3、2S、CaSO4、Rn、Ra、NaHCO3、NaClの1種又は2種以上から選ばれた成分を含む溶液を多孔質体に含浸させて乾燥させても良い。
12は、貼着部材であり、絆創膏等の可繞性を有する裏打ち部材に粘着剤を塗布したものが例示されるがこれに限るものではない。
図1(b)は、人体の肩Mの部分に本実施例を適用した状態である。貼着部材12が、硬質部材11よりも充分広い為、安定した貼着固定された状態で、一日以上貼着して使用され、局所的な刺激と生体の発する汗、水蒸気等の水分により、乾燥した温泉成分が、徐々に溶解して硬質体11表面に表出し、生体と接触して安定した温泉効果が期待できる。
【実施例2】
【0011】
図2は、本発明の他の実施例である。
13は、含浸部材であり、セラミックス多孔体、ゲル基材、繊維体等、温泉成分を含浸可能なもので形成されている。例えば、草津温泉、道後温泉等の温泉水を含浸させて乾燥させた状態が例示される。その他、硫黄泉、鉄泉、食塩泉、重曹泉、重炭酸土類泉、明礬泉、緑礬泉等を含浸させて乾燥させる。
含浸部材13には、温泉成分が含浸されるが、上述した成分を含む溶液、天然温泉が含浸され、長期保存に問題が無い場合は、溶液のまま密閉された状態で取り扱われても良い。又、その後乾燥させてもよい。温泉成分の含有量は、含浸部材の絶乾重量に対して約0.5〜2%とした。
14は、硬質部材であり、ここでは生体に貼着された際変形しない程度に硬質であれば如何なる物であってもよく、セラミックス、ポリマー、紙、木材であってもよい。
本実施例の大きさも実施例1と同様の大きさを有するものであるが、含浸部材が多少の変形性があってもよく、高さは、更に数mmほど高くても良い。
本実施例は、より温泉効果の高い形態であって、大きさも目立たない程の大きさであり、長時間貼着して使用される。
【実施例3】
【0012】
図3は、本発明の他の実施例を示す図であり、(a)は、実際人体に適用した場合の図を示し、(b)は、(a)のX-X’断面図である。
図3で示す実施例は、図1で示す硬質部材14を複数個配列したものであって、1回の貼着で、より確実な経穴への刺激を可能とするものである。
すなわち、経穴(つぼ)は、その部位が点の状態で分散されており、一つの硬質部材よりも複数の硬質部材で一度に皮膚を刺激した場合の方が、硬質部材が経穴に合致する確率が大きくなるのである。
また、温泉成分を複数の種類それぞれの硬質部材に含浸させ、それぞれをカバーで覆っておき、異なるタイミングで個々のカバーを剥がすなどして利用できるようにしてもよいのである。
10は支持シートであり、経皮との接触面に粘着材が塗布されている。
15a〜15cは、硬質部材であり、その形状は、同一であっても良いし、異なるものであっても良く、少なくとも経穴に有効な刺激となる形状であれば特に限定されない。
16a〜16cは、発散部材であり、揮発性を有する温泉成分、天然香料、合成香料がスポンジ、不織布等の多孔質部材に含浸された状態のものを示す。
17a〜17cは、発散用孔であり、発散部材16a〜16cの揮発成分を外部へ発散させるための孔であり、必要に応じ、一乃至複数、穿設されている。
【0013】
本実施例は、支持シート10を裏打ち部材から剥離し、図3で示すように、患部近辺に貼るだけで、温泉療法、温泉気分になれる他、複数の硬質部材の配列により、生体の要部への適用が容易になり得るものである。
尚、温泉療法には、吸入、吸引による治療もあることから、硬質部材に温泉成分を付着させず、発散部材16a〜16cへ含浸させたものだけであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、経穴等を刺激しながら、温泉成分を供給することで、より有効な血行の促進が可能となり、生体への装着も、硬質体が小さいため、長期間の装着にも苦痛が無く、静かで、効率の良い血行の促進、生体活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例を示す図。
【図2】本発明の他の実施例を示す図。
【図3】本発明の他の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0016】
11 硬質体又は多孔性硬質部材
12 粘着部材
13 多孔質部材
14 硬質部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数個の硬質体、前記硬質体を生体に密着的に身装するための身装部材、前記硬質体又は身装部の何れか一方又は両方に泉成分を含身させてなる身装具乃至治療具。
【請求項2】
前記硬質体が、泉成分を含浸する含浸部材と硬質部材を重ねることで得られる請求項1に記載の身装具乃至治療具。
【請求項3】
前記硬質体が、素焼き、セラミックス、樹脂、セラミックスと樹脂との複合材に泉成分を含有させてなる請求項1に記載の身装具乃至治療具。
【請求項4】
前記硬質体が、多孔質状、表面が凹凸状を有している請求項3に記載の身装具乃至治療具。
【請求項5】
前記泉成分が、天然鉱物成分、温泉成分、冷泉成分から選ばれてなる請求項1に記載の身装具乃至治療具。
【請求項6】
前記硬質体の表面をイオン化させた状態とする請求項1に記載の身装具乃至治療具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−37995(P2007−37995A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184894(P2006−184894)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】