説明

装身具式治療具用部材及び装身具式治療具

【課題】生体電池作用を内蔵した装身具式治療具であって、生体電池素子又は生体電池素子を構成する負極部が容易に交換でき、長期間に渡り使用できる装身具式治療具を提供する。
【解決手段】 装身具本体5を構成する被取付体3の裏側に凹陥部6を穿設し、生体電池素子4を嵌合する。生体電池素子4は抜け落ちを防止するため、接着、弾性圧入、又は弾性を有する部材と共に凹陥部に圧入される。被取付体3を形成する素材を貴金属又は貴金属のメッキ品とし、凹陥部6には負極部2を同様に圧入してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体電池の作用により肌に電気的刺激を与える健康器具で、装飾性をも兼ね備えた装身具式治療具及び該装身具式治療具を構成する部材に関し、さらに詳しくは、生体電池素子の組付けや交換が容易にできる装身具式治療具及び該装身具式治療具を構成する部材に関する。
【背景技術】
【0002】
生体電池素子とは、例えば特許文献1に示す原理に基づくものであり、生体電池素子を皮膚に接触させることで人体と共に生体電池を構成し、電気的刺激を与えて身体各部位の痛み、不定愁訴、スポーツ障害に対する原因治療を行うものである。
【0003】
従来、生体電池素子の負極部には金属ゲルマニウム結晶体が使用され、金属ゲルマニウム結晶体は加工が困難な上に脆いので取り扱いが不便であったが、多数の臨床観察の結果から、負極部を亜鉛、錫、インジューム、アンチモン等の酸化物、すなわち金属ゲルマニウム結晶体以外であってもn型の半導体を形成している物質とすれば充分な効果が得られることが立証され、セラミック基板上に正極部として貴金属層と、負極部として前記金属酸化物層とを形成し、両者を保護抵抗で接続して生体電池素子(バイオセル:登録商標)を容易に構成して、これを痛みのある所や経穴いわゆるツボに絆創膏で貼って原因治療するバイオセル(登録商標)療法が普及している。
【0004】
ところで、原因がスポーツによる筋肉疲労や打ち身のように一過性のものではなく、日常生活に基づくような場合には、慢性疾患をもたらすことが多く、生体電池素子も長期に渡って常時貼っておくのが望ましいが、首、手首、足首等の目立つ部位に治療具を絆創膏で直接肌に貼付しているのは薄着の季節には見映えが良くないと言う短所、首回り等に絆創膏でかぶれができることがあると言う短所があり、毎日少し位置を変えて貼り替えるなどの手間があった。
【0005】
そこで、バイオセル(登録商標)療法自体は、生体電池素子を構成する正極部と負極部とが皮膚に同時に接触しておれば治療の効果が得られるから、近年はブレスレット、アンクレット、アームリング、ネックレス、指輪等の肌に直接付ける装身具の肌との接触面側に、図11、図12に示すような中空円盤形の正極部の中空部内に、金属素子製の負極部を圧入した大型の生体電池素子を取り付けた装身具式治療具が、バイオセル(登録商標)治療用装身具として考案された。これらは見映えの点においては皮接治療具には見えず、通常ではかぶれる虞がなく、貼り替える手間もないものである。
(1)特許文献1
【0006】
少なくとも皮接面が貴金属またはその合金で構成される導電性鉱物Aと、Aに近接配置され且つ少なくとも皮接面が前記導電性鉱物Aより標準単極電位の低いn型半導体から成る導電性鉱物Bと、を互いの非皮接領域において保護抵抗Rを介して電気接続し、導電性鉱物Aと導電性鉱物Bとを同時皮接して用いる。Rが0.1〜50MΩの間の適当な抵抗値を有する。前記導電性鉱物Bは酸化物半導体、前記導電性鉱物Bがこの酸化物半導体を構成する金属元素を含んでいてよい。更に、皮内に注入されたキャリアの運動に影響を与える程度の大きさの磁場を付与した皮接治療具を含む構成としたものである。
【特許文献1】特開平08−173554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、生体電池素子の負極部は物理的に、また化学的にも消耗する性質のものであり、例えば負極部にn型酸化亜鉛電極を用いた場合、患部の状態にも依るが早ければ1ヶ月乃至1年で寿命となるから、装身具本体の寿命を考慮すると、生体電池素子の組付けや交換が容易に行うことができ、生体電池素子に寿命が来たときには補修が行える必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、生体電池作用を内蔵した装身具式治療具用部材及び装身具式治療具であって、生体電池素子の組付けや交換が容易で、生体電池素子の効果が薄れたときには、生体電池素子または負極部の部分のみの補修・交換を行うことができる装身具式治療具用部材及び装身具式治療具を提供することを第1の課題としている。
【0009】
また、女性用にはよりお洒落でファッショナブルな装身具が求められるが、図11、図12に示すような従来の生体電池素子は、その形状と大きさとに制限が在り、女性に好まれる細身の装身具には適応し難かった。そこで本発明は、生体電池素子の形状や大きさに制限がなく、細身の装身具にも適応可能であって、かつ生体電池素子部の交換が容易に行うことができる装身具式治療具用部材及び装身具式治療具を提供することを第2の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
係る課題を達成するために、本発明は提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、互いに電気的に接続されて正極部及び負極部を形成する、前記正極部は少なくとも表面が前記負極部より高い標準電極電位を有する導電性物質からなり、前記負極部は少なくとも表面が前記正極部より低い標準電極電位を有する導電性物質からなる、前記正極部と前記負極部とが皮膚に同時に接触して人体と共に生体電池を構成する生体電池素子と、一方の面に前記生体電池素子が取付られる凹陥部が穿設された被取付体とを有し、前記凹陥部内には前記生体電池素子が、前記正極部と前記負極部とが皮膚に接触するよう前記凹陥部の周縁部より僅かに突出して嵌合されている装身具式治療具用部材としたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記生体電池素子は、前記凹陥部内に接着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記生体電池素子を形成する前記正極部又は前記負極部の少なくとも一方は、該極部を形成する部材が弾性変形可能な材質で形成され、前記生体電池素子は、前記部材の弾性変形により前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記生体電池素子は、弾性を有する部材と共に前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、負極部と、一方の面に前記負極部が取付られる凹陥部が穿設された被取付体とを有し、該被取付体の少なくとも前記凹陥部が穿設された側の表面は、前記負極部より高い標準電極電位を有する導電性物質からなり正極部を形成すると共に、前記凹陥部内には、少なくとも表面が前記被取付体の凹陥部側表面より低い標準電極電位を有する導電性物質からなる負極部が前記凹陥部の周縁部より僅かに突出して嵌合され、前記被取付体は全体が生体電池素子を構成している装身具式治療具用部材としたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加えて、前記負極部を形成する部材が弾性変形可能な材質で形成され、前記負極部は、前記部材の弾性変形により前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加えて、前記負極部は、弾性を有する部材と共に前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載の装身具式治療具用部材が、前記凹陥部が穿設された面が皮膚に接触するよう、環状に連接されている装身具式治療具としたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記被取付体は略蹄鉄形の形状を有し、該略蹄鉄形の内側の面に2つ以上の凹陥部が穿設され、該凹陥部内には前記生体電池素子又は前記負極部が、請求項1乃至7に記載の構成により取り付けられている装身具式治療具としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記、請求項1に記載の発明によれば、生体電池素子は装身具本体を構成する被取付体の一方の面に穿設された凹陥部内に嵌合されているから、負極部が消耗し、例えば変色してきたら簡単に取り外して交換できる。指輪の様に本体と皮膚が常時密着する形態の装身具であれば、嵌合させてあれば脱落の心配はなく交換が容易である。そして生体電池素子は凹陥部の周縁部より僅かに突出して嵌合されているから、係る部材で構成された装身具式治療具は生体電池素子が皮膚と良好に接触し、治療の効果を上げることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて、生体電池素子は、被取付体の凹陥部内に接着されていることを特徴とするので、生体電池素子と凹陥部の寸法精度が粗く遊嵌されたような状態であっても脱落する虞がなく、樹脂のように寸法精度の出しにくい素材を生体電池素子の部材に採用することや、専用部品として作製されていない生体電池素子を使用することが可能となる。そして、生体電池素子は接着されているから容易に取り外して交換することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて、電極部の少なくとも一方は、電極部を形成する部材が弾性変形可能な材質で形成され、生体電池素子は部材の弾性変形により被取付体の凹陥部内に圧入されていることを特徴とするので、生体電池素子はハンドプレス等で簡単に組付けることができ、使用時には脱落する虞がなく、容易に取り外して交換することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の構成に加えて、生体電池素子は、弾性を有する部材と共に被取付体の凹陥部内に圧入されていることを特徴とするので、生体電池素子の外形寸法が凹陥部の内形寸法より小さければ、生体電池素子の外形寸法や外形形状の如何を問わず、凹陥部と生体電池素子の隙間を弾性を有する部材で充填して支持するから、生体電池素子は簡単に、使用時には脱落する虞がなく、容易に取り外して交換することができるように組付けることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、被取付体全体が正極部となり、そこに負極部が僅かに突出して嵌合されることを特徴とするので、負極部が消耗したらそれのみを交換することが可能となり、交換用部品は負極部のみを作れば良く安価に製造でき、交換も簡単になり装身具式治療具の使用者が自ら交換するのも容易である。被取付体を小さくし、装身具本体は細身としても、生体電池素子そのものが装身具本体と同じ大きさを有するので、治療効果は変わらず、細身で装飾性に優れた装飾性及び治療性能の両立を達成できる皮接治療用装身具とすることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果に加えて、負極部を形成する部材が弾性変形可能な材質で形成され、負極部は部材の弾性変形により被取付体の凹陥部内に圧入されていることを特徴とするので、負極部はハンドプレス等で簡単に組付けることができ、使用時には脱落する虞がなく、容易に取り外して交換することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項5に記載の効果に加えて、負極部は、弾性を有する部材と共に被取付体の凹陥部内に圧入されていることを特徴とするので、負極部の外形寸法が凹陥部の内形寸法より小さければ、負極部の外形寸法や外形形状の如何を問わず、凹陥部と負極部の隙間を弾性を有する部材で充填して支持するから、負極部は簡単に取付けられ、使用時には脱落する虞がなく、容易に取り外して交換することができるように組付けることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7に記載の装身具式治療具用部材が、前記凹陥部が穿設された面が皮膚に接触するよう、環状に連接されている装身具式治療具を特徴とするので、上述の効果を有する、ブレスレット、アンクレット、ネックレス、指輪等の環状の装身具式治療具が得られる。これらによれば、環状を呈するので、貼る手間も要らなければ、貼付用シートも不要であり、装着し易い。見た目にも治療具を装着しているとは思われないで治療が行える。金属時計バンドや、バンドを連接する金具バックル等にも勿論応用できる。
請求項9に記載の発明によれば、略蹄鉄形の被取付体の内側の面に2つ以上の凹陥部が穿設され、生体電池素子又は負極部が、請求項1乃至7に記載の構成により取り付けられていることを特徴とするので、上述の効果を有するアームリング(腕輪)が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、本発明は、複数個を互いに連接すれば無限軌道状の組立ベルトとして装身具本体5を形成する被取付体3と、少なくとも表面が貴金属又はその合金からなる正極部1と、少なくとも表面が正極部1を構成する金属よりも低い標準電極電位を有する金属及びその合金、又はそれを酸化した金属酸化物からなる負極部2とが電気的に接触するようにした生体電池素子4を構成要素とする。
【0027】
被取付体3には一方の面に生体電池素子4を組付けるための凹陥部6が穿設される。他方の面は任意であるが、被取付体3を連接して装身具本体5としたときに装身具として見える部分になるので、見映えを良くする表面加飾が施してあってもよい。
【0028】
被取付体3の材質はステンレス鋼やチタンが錆びたり傷付きにくいことから好適に用いられるが、これに限られず、貴金属、銅、鉄、その他の金属、真鍮等の合金、又硬質プラスチックス等の樹脂も用いることができる。さらに、これらの金属や樹脂に金メッキ、硬質クロムメッキ、無電解ニッケルメッキ等の表面加飾したものでもよい。
【0029】
被取付体3を貴金属又はその合金、或いは貴金属がメッキされた材質で作製すれば、被取付体3自身が正極部1として機能するので、被取付体3の凹陥部6に、次に詳述する負極部2のみを電気的に接触するように嵌合して、被取付体3自体を生体電池素子4として機能させてもよい。被取付体3自体を正極部1とする構成では負極部2のみ嵌合すれば良いから、貴金属メッキした細いベルトに小型の負極部2を嵌合させ、女性用の細身の装身具式治療具なども容易に作ることができる。
【0030】
被取付体3の形状は短冊型の平板形状に限らず、腕や身体の曲面に合わせて湾曲した形状とするのが、皮膚と良好に接触して、治療効果を高めることができると共に、装着感も良くなり好ましい。また、三日月状に湾曲させた被取付体3を2〜3個連接して指輪の装身具本体5としてもよい。更に、一つの環に形成して指輪や、腕や手首の断面形状に合わせた蹄鉄形に形成してアームリング(腕輪)型の装身具本体5としてもよい。
【0031】
生体電池素子4は、標準電極電位の異なる2種類の金属を電気的に接触させ、高い標準電極電位を有する側を正極部1、低い標準電極電位を有する側を負極部2とし、装身具本体5を装着したときに、正極部1と負極部2とはほぼ同時に皮膚に接触するように構成する。
【0032】
正極部1の材質は少なくとも表面に貴金属を用いるのが好ましく、24金又は24金のメッキ処理とするのがより好ましい。
【0033】
負極部2の材質は半導体であることが好ましく、特にn型半導体を用いると、負極部2の電極上に塩が析出せずに、電子が安定的に供給される為、n型半導体を用いることが好ましい。n型半導体の負極部としては、金属ゲルマニウム結晶体や、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジュウム、酸化アンチモン等の金属酸化物半導体が好適に使用できる。
【0034】
通常の金属亜鉛や金属錫を負極部2として用いてもよい。卑金属で負極部2を構成した場合、理論上は電子の不足する負極部2の表面に、皮膚表面の水酸化物マイナスイオンが吸着されて絶縁性被膜が形成され、時間とともに生体電池としての機能は停止するが、バイオセル(登録商標)を絆創膏で皮膚に固定した場合と異なり、装身具式治療具は皮膚表面を擦って動くため、表面の水酸化物が物理的に擦り取られているものと考えられ、金属亜鉛の負極部2としても電池機能が短期間で停止することがなく、空気中で使用しているから表面はやがて酸化亜鉛や酸化錫に変わり、バイオセル(登録商標)の効果が持続する。
【0035】
電極は金属製に限られず、樹脂等で基材を成形し、電極となる金属をメッキ処理等により表面に設けることで正極部1や負極部2を構成してもよい。樹脂は多少の弾性変形が可能だから、基材が樹脂で成形された電極で生体電池素子4を形成すれば、簡便なハンドプレスなどで生体電池素子4を圧入することが可能であり、着脱容易であると共に、接着剤などを使用しなくとも脱落する虞がない電極とできる。
【0036】
電極の部材に使用できる弾性変形可能な材料としては、PS、ABS、POM等の熱可塑性樹脂、熱硬化性のポリエステル樹脂、エボナイトなどの架橋密度の高いゴム材などが挙げられるが、無電解メッキや真空蒸着により表面が金属化できる材料であればその材質が限定されるものではない。
【0037】
また、貴金属メッキされた金属バネ材を正極部1に使用するか、或いは亜鉛メッキや錫メッキされた金属バネ材を負極部2に使用して、当該メッキされた金属バネ材が対向する電極を押圧しつつ凹陥部6の中に係合する構成とし、金属バネ電極の弾性を利用して生体電池素子4を凹陥部6の中に係止する構成としても、圧入と抜出が容易な生体電池素子4とすることができる。
【0038】
生体電池素子4や負極部2と共に被取付体3の凹陥部6に圧入して、その弾性反発力により電極の脱落防止する弾性を有する部材としては、各種のゴムが簡便に使用できる。人体に接触しても影響を与えず、圧縮永久歪み性に優れて長期に渡り弾性反発力を維持する等の観点から、シリコーンゴムやフッ素ゴムが好適に使用できる。
【0039】
弾性を有する部材の形状は、凹陥部6の大きさと、一緒に圧入する電極の大きさとに合わせ適宜選択する。凹陥部6を円形とした場合、外径が一致するシリコーンチューブを輪切りにして挿入し、シリコーンチューブの中に生体電池素子4や負極部2を圧入するのが便利である。
〔発明の実施の形態1〕
【0040】
図2は本発明の実施の形態1に係る、生体電池作用を内蔵した装身具式治療具用部材の平面図である。軟鉄に亜鉛メッキ処理した後、表面を酸化して酸化亜鉛被膜を形成した負極部2を、軟鉄のリングに金メッキ処理した正極部1のリングの中に挿入し、生体電池素子4を構成して、それを更にステンレス合金製の被取付体3の一方の面に形成した凹陥部6の中に、凹陥部6の周縁部から僅かに突出するようにして嵌合している。図3はその断面図である。
【0041】
正極部1と負極部2とは、電気的に接続していれば図2とは逆の配置としても良い。しかし、両極が皮膚に同時に接触しないと生体電池が構成されず治療効果は得られないので、図3の断面図に示したように、生体電池素子4は被取付体3の表面から僅かに突出させて嵌合させる。本実施の形態の如くリング状電極を用いる場合、リング電極の内側に入る電極(図3で言えば負極部2)は、リング電極(図3で言えば正極部1)より、更にごく僅か突出するように構成する。皮膚は柔らかくて凹むが、生体電池素子4を図3のように構成することで、リング電極とその内側の電極は同時に、十分に皮膚と接触し、治療効果が高くなる。
【0042】
図2、図3の如く、被取付体3に生体電池素子4を嵌合し皮接治療用装身具用部材とする。これを図1に示す如く任意の個数連接し、所望の長さの環状の装身具式治療具とする。
〔発明の実施の形態2〕
【0043】
図4は本発明の実施の形態2に係る、生体電池作用を内蔵した装身具式治療具用部材の平面図である。この実施の形態では、被取付体3に穿設した凹陥部6の中に生体電池素子4と一緒にゴム状弾性部材7を挿入することで、このゴム状弾性部材7の弾性反発力を利用して生体電池素子4が凹陥部6から脱落しないしないように固定している。
【0044】
ゴム状弾性部材7の大きさと厚みを適宜選択することで、凹陥部6の内径と生体電池素子4の外径とが著しく異なる場合にも、そのまま圧入して固定できる。そして、接着剤のように乾くまで待つ時間が必要無く、装身具本体5が汚れる虞もないので、生体電池素子4の組付け作業が素早く円滑に行える。更に、正極部1と負極部2との間に接着剤が侵入して両極間に絶縁性皮膜を形成し、生体電池素子4が機能しなくなるトラブルが発生しない。
【0045】
実施例では、図4に示すように、シリコーンゴムのチューブを凹陥部6の深さと略同じ長さに輪切りにした環状のゴム状弾性体7を凹陥部6の中に挿入し、更にその中に、半月(半円筒)形状の正極部1と負極部2とを各1個圧入している。
〔発明の実施の形態3〕
図6は本発明の実施の形態3に係る、生体電池作用を内蔵した装身具式治療具用部材の平面図である。この実施の形態では、被取付体13は銀の無垢材で形成されて被取付体13全体が正極部1として機能する。凹陥部6には、ABS樹脂で成形された部材に亜鉛を無電解メッキしたものが、負極部2として圧入されている。ABS樹脂製の負極部2は弾性変形するので、着脱が容易である。
【0046】
係る構成は、凹陥部6に挿入するのは負極部2を構成する部材だけだから、凹陥部6の大きさを小さくすることができ、被取付体13も小さくできるので、装身具本体5は細身となる。しかし、装身具式治療具全体が生体電池素子4を構成するから、生体電池素子4そのものはそれほど小さくならず、治療効果は変わらずに、細身で装飾性に優れた装飾性及び治療性能の両立を達成できる装身具式治療具となる。
〔発明の実施の形態4〕
【0047】
図8は本発明の実施の形態4に係る、生体電池作用を内蔵した装身具式治療具の斜視図である。
【0048】
この実施の形態では、生体電池素子4が嵌合される部材が、被取付体3に替わって略蹄鉄形アームリング10となっているが、生体電池素子4の嵌合方法は被取付体3に嵌合する場合と同じである。略蹄鉄形アームリング10を貴金属で作製し、負極部2のみを嵌合する形態としても良いのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は以上の通りであるから、治療効果が抜群であり装飾性に優れると共に、治療効果が薄れたときには生体電池素子又は生体電池素子を構成する負極部を容易に交換することができるから、長期間に渡り装着するブレスレット、アンクレット、アームリング、ネックレス、指輪又は腕時計ベルト等の装身具式治療具として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1に係る連接型の装身具式治療具の裏面正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る装身具式治療具を構成する装身具式治療具用部材の裏面正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る装身具式治療具を構成する装身具式治療具用部材の図2のA−A’断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る装身具式治療具を構成する装身具式治療具用部材の裏側正面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る連接型の装身具式治療具の裏面正面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る装身具式治療具を構成する装身具式治療具用部材の裏面正面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る装身具式治療具を構成する装身具式治療具用部材の図6のC−C’断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る蹄鉄形アームリングの斜視図である。
【図9】従来の皮接治療用装身具に使用されていた生体電池素子の平面図である。
【図10】従来の皮接治療用装身具に使用されていた生体電池素子の図9のA−A’断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 正極部
2 負極部
3 被取付体
4 生体電池素子
5 装身具本体
6 凹陥部
7 ゴム状弾性体(シリコーンゴムチューブ)
10 蹄鉄形アームリング型の装身具式治療具
13 貴金属製の被取付体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に接続されて正極部及び負極部を形成する、前記正極部は少なくとも表面が前記負極部より高い標準電極電位を有する導電性物質からなり、前記負極部は少なくとも表面が前記正極部より低い標準電極電位を有する導電性物質からなる、前記正極部と前記負極部とが皮膚に同時に接触して人体と共に生体電池を構成する生体電池素子と、一方の面に前記生体電池素子が取付られる凹陥部が穿設された被取付体とを有し、
前記凹陥部内には前記生体電池素子が、前記正極部と前記負極部とが皮膚に接触するよう前記凹陥部の周縁部より僅かに突出して嵌合されていることを特徴とする装身具式治療具用部材。
【請求項2】
前記生体電池素子は、前記凹陥部内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の装身具式治療具用部材。
【請求項3】
前記生体電池素子を形成する前記正極部又は前記負極部の少なくとも一方は、該極部を形成する部材が弾性変形可能な材質で形成され、前記生体電池素子は、前記部材の弾性変形により前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする請求項1に記載の装身具式治療具用部材。
【請求項4】
前記生体電池素子は、弾性を有する部材と共に前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする請求項1に記載の装身具式治療具用部材。
【請求項5】
負極部と、一方の面に前記負極部が取付られる凹陥部が穿設された被取付体とを有し、該被取付体の少なくとも前記凹陥部が穿設された側の表面は、前記負極部より高い標準電極電位を有する導電性物質からなり正極部を形成すると共に、
前記凹陥部内には、少なくとも表面が前記被取付体の凹陥部側表面より低い標準電極電位を有する導電性物質からなる負極部が前記凹陥部の周縁部より僅かに突出して嵌合され、前記被取付体は全体が生体電池素子を構成していることを特徴とする装身具式治療具用部材。
【請求項6】
前記負極部を形成する部材が弾性変形可能な材質で形成され、前記負極部は、前記部材の弾性変形により前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする請求項5に記載の装身具式治療具用部材。
【請求項7】
前記負極部は、弾性を有する部材と共に前記凹陥部内に圧入されていることを特徴とする請求項5に記載の装身具式治療具用部材。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載の装身具式治療具用部材が、前記凹陥部が穿設された面が皮膚に接触するよう、環状に連接されていることを特徴とする装身具式治療具。
【請求項9】
前記被取付体は略蹄鉄形の形状を有し、該略蹄鉄形の内側の面に2つ以上の凹陥部が穿設され、該凹陥部内には前記生体電池素子又は前記負極部が、請求項1乃至7に記載の構成により取り付けられていることを特徴とする装身具式治療具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−229309(P2007−229309A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56698(P2006−56698)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(500469176)株式会社ヴァンガード (3)
【出願人】(504446157)有限会社マックス・ネットワーク (1)
【出願人】(506073661)株式会社アスタ・プランニング (1)
【Fターム(参考)】