説明

装飾性紙カップ容器

【課題】表面の装飾性、美粧性、意匠性、装飾性、店頭陳列効果等に優れ、内側端面の見栄えが綺麗で、且つ、紙カップ成形適性が良く、さらに接着部の接着強度が良好な装飾性紙カップ容器を提供する。
【解決手段】
胴部材シートの両端縁を筒状に重ね接着した筒状胴部と底部とからなる紙カップであって、エンボスホログラムを設けたエンボスホログラムフイルムの内側面にアルミ蒸着で適宜の形状に形成された加飾フイルムが胴部材シートに貼り合わせてあることを特徴とする装飾性紙カップ容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙カップ容器の内側接着部端面が見栄え良く、また、収納物を収納して流通する際の、美観を向上させる美粧性、装飾性、意匠性あるいは店頭陳列やディスプレイ効果に優れ、ブランドイメージを向上させることができ、且つ、紙カップ容器を製造する際の、成形適性に優れ、安定して効率良く生産できる装飾紙カップ容器に関する。
収納物としては、例えば、酒、ワイン、ウイスキー等のアルコール飲料;水、ジュース、コーヒー、ココア、紅茶、お茶等の非アルコール飲料;スナック菓子、チョコレート等のお菓子類;アイスクリーム、氷菓等の冷菓品;ゼリー、プリン、ヨーグルト等のデザート類等が例示される。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙カップ容器は用途によって飲料用カップ容器、食品用カップ容器、医療用カップ容器等に大別される。そしてジュース、炭酸飲料などのコールド飲料用とコーヒー、ココアなどのホット飲料用が飲料用紙カップ容器として使用されている。
【0003】
前記、コールド飲料用はパラフィンワックス加工した紙カップ容器が主流を占めていたが近年、紙カップ容器の内側面に押出しラミネーション加工あるいはドライラミネーション加工等により熱可塑性樹脂層が形成されている。そして、表側面は耐水性を付与するためのオーバーコート剤が塗布され、結露によるカップ剛度の劣化防止効果のある紙カップ容器が製造されている。
【0004】
また、耐水性のある紙で、片側面あるいは両側面に押出しラミネーション加工あるいはドライラミネーション加工等により熱可塑性樹脂層を形成して、さらに、表側面に広告媒体あるいは美粧性を施すための綺麗な印刷層を形成した、ディスプレーイ効果のある紙カップ容器が主流となっている。
【0005】
また、ホット飲料用は内側面あるいは両側面に押出しラミネーション加工あるいはドライラミネーション加工等により熱可塑性樹脂層が形成されている。そして、使用目的あるいは流通条件等によって表側面に美粧性の有る印刷層が形成された紙カップ容器も使用されている。
【0006】
さらに、コールド飲料用紙カップ容器とホット飲料用紙カップ容器は使い方によってベンディング用とマニュアル用に大別されている。そして、ベンディング用は自動販売機で使用され、マニュアル用はコンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売されているコンシュマ用の紙カップ容器として使用されている。
【0007】
これらの紙カップ容器に使用されている紙は紙カップ容器の大きさ、使用用途、使用目的等によって適宜選択されるが、通常、坪量は150g/m2〜300g/m2位が好ましい。そして、紙の表側面あるいは内側面または両側面に14〜60μm位の厚さに熱可塑性樹脂層が形成されている。
【0008】
さらに、紙カップ容器は食品用紙カップ容器を中心に電子レンジ調理食品あるいは加熱調理加工食品をはじめ、電子レンジを利用し、加熱調理することが盛んに行われてきている。そして、機能性と、外観が綺麗で、見栄えが良い、紙カップ容器の要求が高まっている。
【0009】
また、紙カップ容器は収納物が収納された後、開口部を密封して包装容器として多く使
用されている。そして、商品の多様化等に鑑み、商品のブランドイメージを向上させることを目的として、個性的で特徴的な装飾を施して、店頭陳列やディスプレー効果に優れている、紙カップ容器が求められている。
【0010】
(1)先行技術1
美観を向上させる装飾性、美粧性、意匠性あるいは店頭陳列やディスプレー効果に優れている紙カップ容器として、容器の胴部全面に蒸着層が形成されている紙カップ容器が広く知られている。
【0011】
この、紙カップ容器は図10(a)に示すように胴部となる胴部材シート100が扇状に形成されている。また、この胴部材シート100は図10(b)に示すように紙基材101の内側面に、熱可塑性樹脂層102が形成されている。そして、外側面には蒸着層103が形成されている蒸着フイルム104が貼り合わされている。さらに、蒸着フイルム104の外側面に印刷層105を介して熱可塑性樹脂層106が形成されている。
【0012】
(2)先行技術2
また、液体食品等を充填する紙カップ容器で、表側面の文字や絵柄等に美粧性やデザイン性を持たせ、さらに表面光沢を向上させて店頭陳列効果を上げる新規な美粧性紙カップ容器(例えば、特許文献1参照。)も知られている。
【0013】
この、美粧性紙カップ容器のカップ部材200は図11に示すように最外層に透明合成樹脂110を有し、順に蒸着薄膜保護層111、印刷層112、蒸着薄膜層113、厚紙層114、さらに最内層に合成樹脂層を積層してなる積層体で形成されている。
【0014】
そして、カップ部材200が成形によって得られる液体用紙カップの最外層である透明合成樹脂110の表面を加熱処理することにより、表面光沢に優れ、且つ外観上金属光沢のある印刷層を有する美粧性紙カップ容器が得られると記載されている。
【0015】
(3)先行技術3
また、デザイン的に独特な風合いを持ち、断熱効果が十分あり、さらに滑り止め効果のある発泡紙カップ容器(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
【0016】
この、発泡紙カップ容器の胴部の胴部材300は図12に示すように外側面から順に熱可塑性樹脂の発泡層116、印刷層117、紙を主体とする基材層118、熱可塑性樹脂層119から形成されている。そして、前記、熱可塑性樹脂の発泡層116と紙を主体とする基材層118との間に透明ニス120が施されている。
【0017】
(4)先行技術4
また、表面絵柄層の耐摩耗性等の物性、および表面光沢等の意匠性を改良した紙容器用積層材400および紙容器(例えば、特許文献3参照。)も知られている。
【0018】
上記、紙容器用積層材400および紙容器は図13に示すように紙基材121と最内面に熱可塑性樹脂層122が形成されている。また、紙基材121の外側面にポリエチレン樹脂層123が積層されている。さらに、ポリエチレン樹脂層126の上面に接着剤層と絵柄層125が転写により形成された積層構成からなっている。そして、この積層材400を使用して紙容器が作製されている。
【0019】
(5)先行技術5
また、表面の印刷光沢が高く、耐摩耗性があり、紙カップ成形も可能であり、外観が良好な強光沢紙カップ(例えば、特許文献4参照。)も知られている。
【0020】
この強光沢紙カップは図14(a)に示すように、印刷が施された胴部126を熱融着によりサイドシール部128を形成して円筒状に成形されている。そして、開口部の上部端縁にカール127が施されている。
【0021】
また、胴部126の材料構成は図14(b)に示すように紙を基材とする積層材500からなっている。この積層材500は紙層129の最内層に、熱シール性のあるバリアー層132が形成されている。また、紙層129の外側にアルミニウム箔あるいはアルミニウム蒸着等の金属層130を形成し、さらに、金属層130の上面に印刷層131が表側面あるいは裏側面に形成されているポリエチレンテレフタレートフイルムまたは延伸ポリプロピレンフイルムからなる印刷光沢付与フイルム133が積層されている。
【0022】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平11−100020号公報
【特許文献2】特開平9−142435号公報
【特許文献3】特開平10−35646号公報
【特許文献4】特開2000−211628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
(1)先行技術1について
先行技術1では、紙カップ容器の胴部となる胴部材シートの紙基材外側面全面に蒸着層が形成されている蒸着フイルムが積層されている。このために、胴部材シートを筒状に成形する際に、胴部材シートの両側端縁を重ね合わせて貼り合わされている接着部にも蒸着層が形成されるために、接着部の強度がバラツキ易く、且つ、安定した接着強度を維持することが難しいという問題がある。
【0024】
また、紙カップ容器が成形された際に、紙カップ容器の重ね合わせて貼り合わされている内側の接着部端面に蒸着層の端面があるために、その部分が目視でき、したがつて、見栄えが悪いという問題がある。
【0025】
また、紙カップ容器に収納する収納物によって胴部材シートの端縁をスカイブヘミング加工した場合に、重ね合わせて貼り合わされている内側接着部の、一方の端面が蒸着層で覆われているために、その部分が目視できるために、一層見栄えが悪いという問題がある。
【0026】
さらに、紙カップ容器の検品作業で使用する内面異物検査装置等で、内側接着部端面の蒸着層の端面が異物と間違えられ、異物混入紙カップ容器として排出されるという問題がある。
【0027】
また、紙カップ容器に収納する収納物によって、蒸着層端面と接することにより、収納物が汚染するなど、収納物への悪影響を起こす問題がある。さらに、収納物の一部が端面に浸透して内側接着部に層間剥離が生じる問題がある。
【0028】
(2)先行技術2について
先行技術2では、店頭陳列効果を良くするためにカップ部材の紙基材表側面全面に蒸着
層が形成され、さらに、印刷層が形成されている。このために紙カップ容器を成形する際に、カップ部材の両側端縁を重ね合わせて貼り合わされている接着部にも蒸着層が設けられているために、接着部の強度がバラツキ易く、且つ、安定した接着強度を維持することが難しいという問題がある。
【0029】
さらに、紙カップ容器内面の接着部端面に蒸着層の端面があるために、その部分が目視でき、したがつて、見栄えが悪いという問題がある。また、紙カップ容器に収納する収納物によって、蒸着層端面と接することにより、収納物が汚染するなど、悪影響を起こす問題がある。さらに、収納物の一部が端面に浸透して内側接着部等が層間剥離を生じる問題がある。
【0030】
また、カップ部材が成形によって得られた液体用紙カップの最外層である透明合成樹脂の表面を、さらに表面光沢を向上させるために約150℃程度のオーブン内に約30秒通過させる加熱処理を行うと記載されている。
【0031】
しかし、通常、透明合成樹脂層の表面光沢の向上は樹脂層を加熱するだけでは困難である。また、透明合成樹脂層の材質等によって逆にマット状態に形成される問題がある。
【0032】
(3)先行技術3について
先行技術3では、成形された紙カップ容器を加熱することにより紙の中の水分が蒸発し、その蒸発圧と空気の熱膨張とが加わって作用し、最外層表面の熱可塑性樹脂層に発泡構造を生成させると記載されている。しかし、均一な発泡層を形成させるためには、紙の中の水分を常に均一で一定の含水率に保持しなければならないという問題がある。
【0033】
また、紙の中の水分を均一で、一定に保持するために、通常、シーズニングが施される。しかし、基材層の外側面と内側面に熱可塑性樹脂層が形成されているために、長期間シーズニングしても基材層の水分を均一で、一定に保持することは難しい。
【0034】
また、最外層表面の熱可塑性樹脂層だけを発泡させるためには、紙カップ内面に形成されている熱可塑性樹脂層が最外層表面の熱可塑性樹脂層よりも軟化点の高い樹脂を用いなければならない等、樹脂の選定が難しい問題がある。
【0035】
また、外側面に紙の中の水分を蒸発し易くするためにアルミニウム箔等を紙の内側面に形成することが好ましいと記載されている。しかし、アルミニウム箔の上側面は成形加工上熱可塑性樹脂層が形成されるために最外層表面と最内層表面の熱可塑性樹脂層が共に発泡するという問題がある。
【0036】
また、紙カップ容器は加熱される前に、胴部の接着部分あるいは胴部と底部の接着部分等を成形する際に、加熱加圧されているために他の胴部部分と同じように均一な発泡状態を得ることが困難である。そして、外観の見栄えが悪くなるという問題がある。
【0037】
さらに、紙カップ容器は胴部の両端縁が重ね合わせて貼り合わされている、内側接着部端面にアルミニウム箔等の端面があるために、その部分が目視でき,したがって、見栄えが良くないという問題がある。
また、紙カップ容器に収納する収納物によって胴部の端縁をスカイブヘミング加工した場合に、重ね合わせて貼り合わされている内側接着部の、一方の端面がアルミニウム箔等で覆われているためにより見栄えが悪くなる。さらに、紙カップ容器の検品作業で使用する内面異物検査装置等で、内側接着部端面の蒸着層の端面が異物と間違えられ、異物混入紙カップ容器として排出される問題がある。
【0038】
また、紙カップ容器に収納する収納物によって、アルミニウム箔端面と接することにより、収納物が汚染するなど、悪影響を起こす問題がある。さらに、収納物の一部が端面に浸透して内側接着部に層間剥離を生じる問題がある。
【0039】
また、最外層の熱可塑性樹脂層を発泡させるための専用の加熱発泡装置等が必要になると共に、生産性が著しく悪くなるという問題がある。さらに作業工程が煩雑であるという問題もある。
【0040】
また、最外層の熱可塑性樹脂層が発泡されることにより、外側面は光沢が無くマット状に形成される。そして、 見栄えが悪く、店頭陳列効果を向上させることは困難である。
【0041】
(4)先行技術4について
先行技術4では、紙基材の外面にポリエチレン樹脂層を積層する作業と、ポリエチレン樹脂層面に表面絵柄層を形成するための転写紙を作製する作業と、さらに、作製された転写紙をポリエチレン樹脂層に転写する作業によって紙容器用積層材が作製される。このために、作製する時間がかかり、且つ、作業が煩雑となるという問題がある。
【0042】
また、紙容器用積層材を作製する際には、転写紙を作製したり、あるいは、転写紙をポリエチレン樹脂層に転写するなどの作業があるために、作業工程が多く、且つ、製造コスト等が高くなるという問題がある。さらに、転写するための専用機を用いなければならないという問題もある。
【0043】
さらに、紙容器用積層材は転写紙をポリエチレン樹脂層に転写する際の、転写不良(皺、ムラ、見当不良他)等が生じるという問題がある。そして、転写不良材料や転写紙のバックペーパー(剥離紙)処理等の問題が発生する。
【0044】
(5)先行技術5について
先行技術5では、ポリエチレンテレフタレートフイルムまたは延伸ポリプロピレンフイルムからなる印刷光沢付与フイルム層の表面あるいは裏面に印刷を施すことにより高い印刷光沢を持つ強光沢紙カップが得られると記載されている。
【0045】
しかし、透明な樹脂フイルムに印刷を施して紙層に貼り合わす場合には、通常、紙層の表面光沢あるいは表面粗さ等によって光沢性や見栄えが異なってくる。さらに、表面粗さあるいは表面光沢に優れ、さらに成形加工適性の良い紙層を選定することは難しいという問題がある。
【0046】
また、印刷にメタリック感を出すためにアルミニウム箔層が形成されている場合には、紙カップ容器が成形された際に、重ね合わせて貼り合わされている接着部にもアルミニウム箔層が形成されているために、接着部の強度がバラツキ易く、且つ、安定した接着強度を維持することが難しいという問題がある。
【0047】
さらに、紙カップ容器の内面接着部の端面にアルミニウム箔層が発現し、見栄えが悪いという問題がある。また、収納する収納物によって、アルミニウム箔層の端面と接することにより、収納物が汚染するなど、悪影響を起こす問題がある。さらに、収納物の一部が端面に浸透して、紙層とアルミニウム箔層の間に層間剥離を生じる問題がある。
【0048】
本発明は上記した従来の問題点を鑑みてなされるものであり、次のような装飾性紙カップ容器を提供することを目的とする。すなわち、本発明の第1の目的は、装飾性、美粧性、デザイン性、意匠性あるいは店頭陳列やディスプレイ効果に優れ、高級感がある綺麗な装飾性紙カップ容器を提供することである。
【0049】
また、本発明の第2の目的は、紙カップ容器が成形された際に、胴部の両端縁が重ね合わされ、貼り合わされている内側接着部端面に印刷層や蒸着層の端面がないために、その部分が目視できない、したがって、見栄えの良い装飾性紙カップ容器を提供することである。
【0050】
また、本発明の第3の目的は、成形適性に優れ、公知の紙カップ成形機を用いて、効率良く、安定して成形できる装飾性紙カップ容器を提供することである。
【0051】
また、本発明の第4の目的は、紙カップ容器に収納する収納物が汚染するなどの、悪影響を起こすことのない、外観の装飾性、美粧性、デザイン性、意匠性あるいは店頭陳列やディスプレイ効果に優れ、高級感がある綺麗な装飾性紙カップ容器を提供することである。
【0052】
また、本発明の第5の目的は、胴部材の両端縁が重ね合わされ、筒状に貼り合わされている接着部が紙基材と熱可塑性樹脂層であるために、安定した接着強度と、強さが得られ、且つ層間剥離等の無い接着部の強固な装飾性紙カップ容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0053】
上記の課題を解決するために、まず本発明の請求項1に係る発明は、
胴部材の両端縁を筒状に重ね合わせて接着した筒状胴部と底部とからなる紙カップ容器であって、
エンボスホログラムを設けたエンボスホログラムフイルムの内側面にアルミ蒸着で適宜の形状に形成した加飾フイルムが胴部材シートに貼り合わせてあり、
且つ、胴部材シートの両端縁を筒状に重ね合わせて接着した紙カップ容器の少なくても内側接着端面に該アルミ蒸着が設けられていないことを特徴とする装飾性紙カップ容器である。
【0054】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記、アルミ蒸着が設けられていない部分が、マスキング加工法、酸アルカリ抜き加工法、水洗い抜き加工法のいずれかの加工方法によって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装飾用紙カップ容器である。
【発明の効果】
【0055】
本発明の装飾性紙カップ容器はエンボスホログラムを設けたエンボスホログラムフイルムの内側面にアルミ蒸着が形成されていることにより外観の装飾性、美粧性、デザイン性、意匠性に優れ、且つ、店頭陳列やディスプレイ効果があり商品の差別化が計れる。
【0056】
また、該紙カップ容器は胴部材の両端縁が重ね合わされ、筒状に貼り合わされている接着部が紙基材と熱可塑性樹脂層であるために、内側接着部端面の見栄えが良く、且つ、清潔感に富む。
【0057】
さらに、エンボスホログラムが施されている胴部材は公知の押し出し加工機やラミネート加工機あるいは印刷機等で、均一に、安定した品質で、容易に、且つ安価に製造することができる。
【0058】
また、該紙カップ容器は胴部材の両端縁が重ね合わされ、筒状に貼り合わされている接着部が紙基材と熱可塑性樹脂層であるために、均一で、安定した接着強度で、強固な接着部を得ることができる。また、内側端面からの層間剥離等が防止できる。
【0059】
さらに、独特な風合いおよび意匠性、個性的、デザイン性、美粧性に優れ、さらに特徴的な装飾により商品のブランドイメージを向上させることができる。
【0060】
また、公知のカップ成形機で従来の紙カップ製造作業と同様に、安定した品質で、効率良く、美粧性に優れている装飾性紙カップ容器を成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明の装飾性紙カップ容器を実施の形態に沿って以下に図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図9は本発明の一実施例を示す。
【0062】
本発明の装飾性紙カップ容器は内側接着部端面が見栄え良く、また、収納物を収納して流通する際の、美観を向上させる美粧性、装飾性、意匠性あるいは店頭陳列やディスプレイ効果に優れ、ブランドイメージを向上させることができ、且つ、紙カップ容器を製造する際の、成形適性に優れ、安定して効率良く生産できる装飾性紙カップ容器である。
【0063】
上記、収納物としては、例えば、酒、ワイン、ウイスキー等のアルコール飲料;水、ジュース、コーヒー、ココア、紅茶、お茶等の非アルコール飲料;スナック菓子、チョコレート等のお菓子類;アイスクリーム、氷菓等の冷菓品;ゼリー、プリン、ヨーグルト等のデザート類等が例示される。
【0064】
次に、図1は本発明の装飾性紙カップ容器の胴部が成形される胴部材シートを示す、(a)は平面を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線の断面を示す断面図である。
【0065】
図1(a)および(b)に示すように本発明の装飾性紙カップ容器の胴部が成形される胴部材シート1は、重ね合わされて筒状に接着される端縁の一方の接着部11にアルミ蒸着層4および印刷層7が取り除かれている。
【0066】
また、該紙カップ容器が成形された際に、該紙カップ容器の内側の接着部分にこの一方の接着部11端縁が形成される。そして、アルミ蒸着層4あるいは印刷層7の端面は該紙カップ容器の内側接着部端面にないために、その部分が目視できない。
【0067】
また、本発明の装飾性紙カップ容器の胴部は図1(b)に示すように紙基材2の内側面に熱接着性樹脂層3が形成されている。そして、外側面に適宜の形状のアルミ蒸着層4が、熱可塑性樹脂層5に設けられているエンボスホログラム上に形成されて、加飾フイルムが作製されている。さらに、熱可塑性樹脂層5の外側面に印刷基材樹脂層6が形成され、印刷層7を介して熱可塑性樹脂層8が積層されている。
【0068】
前記、紙基材2は特に限定されるものではないが、例えば、針葉樹材の晒クラフトパルプ(N−BKP)あるいは広葉樹材の晒クラフトパルプ(L−BKP)を用いて長網の抄紙機かあるいは円網または短網の抄合せによる抄紙機で抄造されるカップ原紙が好ましい。
【0069】
さらに、カップ原紙は、上記の晒クラフトパルプに非木材パルプであるケナフ、バガス等と配合することも可能である。また、牛乳パックを再生した原紙も使用することができる。
【0070】
上記カップ原紙は、抄造工程の中間に設置されているサイズプレス工程でデンプンなどのバインダー水溶液を含浸させ、さらにカレンダープレス加工等が施される。そして、カレンダープレス加工等を施すことにより表面の平滑性が良くなり、さらに印刷適正に優れ
た紙が作製される。
【0071】
さらに、カップ原紙の坪量は成形される該紙カップ容器の大きさ、あるいは収納される収納物等によって適宜選択されるが、通常、150g/m2〜420g/m2位が好ましい。
【0072】
また、紙基材2は、該紙カップ容器に収納される収納物や流通条件等によって耐水性あるいは耐油性が付与される。
【0073】
また、紙基材2に耐水性あるいは耐油性を附与する方法としては紙を抄造加工する際に行う方法と、抄造加工された紙に含浸あるいは塗工する方法がある。
【0074】
さらに、抄造加工する際に行う場合、添加される耐水剤は、通常、抄紙前のパルプ縣濁液に内添する内添耐水剤であり、湿潤紙力増強剤として、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒドでんぷん、グリオキザール化ポリアクリルアミド樹脂等がある。また、この耐水剤の添加量は、使用するパルプの種類、薬剤の種類や目的とする耐水性により異なる。
【0075】
また、抄造加工された紙に耐水性を附与する二次加工用薬剤としては、価格あるいは性能等のバランスが優れているものが使用される。例えば、カルナバワックス、パラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のワックスが多く使用されている。また、ほかに水に不溶なポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンー酢酸ビニル共重合体などの高分子溶液あるいはエマルジョン等が用いられる。
【0076】
次に、紙基材2に耐油性を付与するためには、通常、加工処理面の臨界表面張力を油性物質の表面張力より小さくすることが必要である。このような機能を有する薬品を耐油剤と称し、主に過フッ素化水素のアクリルレートまたはリン酸エステル等のフッ素化合物を用いたものが耐油紙として知られている。そして一般的にフッ素系耐油剤で処理されている。
【0077】
また、紙基材2に耐水剤あるいは耐油剤等の塗工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メータリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等の塗工機が使用される。そして耐水剤あるいは耐油剤等はいずれかの適宜の塗工機を用いて紙基材2の内側面あるいは外側面または両側面に施される。
【0078】
また、紙基材2の内側面に形成されている熱接着性樹脂層3の樹脂として、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー樹脂、ポリブテンポリマー樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、その他の公知の樹脂から任意に選択して使用することができる。
【0079】
また、上記熱可塑性樹脂の中でも、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂
、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂が多く使用されている。さらに、成形された該紙カップ容器の大きさ、あるいは収納される収納物、または流通条件等によって低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂以外にポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等がより多く使用されている。
【0080】
また、装飾性紙カップ容器にバリア性が必要とされる場合には、図には示していないが、紙基材2の内側面にガスバリア性樹脂層が形成される。そして、ガスバリア性樹脂層の樹脂フイルムとしては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フイルム、ポリビニルアルコールフイルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリアミドフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、各種フィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムなどが使用できる。また、当然ながら紙基材2と積層される。
【0081】
積層する方法としは、通常の包装材料を製造する際に使用するラミネート方法、例えば、ウエットラミネーション法、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法、サーマルラミネーション法、無溶剤型ラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、Tダイ共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法等がある。
【0082】
また、積層を行う際には接着性を良くするためにコロナ処理あるいはオゾン処理、フレーム処理等の処理が樹脂フイルムないし紙基材2に施される。
【0083】
また、積層する際に、例えば、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系等のラミネート用接着剤等、公知のアンカーコート剤あるいは接着剤等を任意に使用することができる。
【0084】
また、紙基材2の内側面にガスバリア性樹脂層が形成されるされる場合には、最内層に熱接着性樹脂層が形成される。そして、通常、紙基材2の内側面は、例えば、ポリエチレン(PE)単層、あるいはポリエチレン(PE)/エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAC)/ポリエチレン(PE)等が積層される。
【0085】
また、紙基材2の内側最内層に設けられる熱可塑性樹脂層3は12μm〜50μm位の厚さに形成される。
【0086】
さらに、ガスバリア性を付与すると共に該紙カップ容器は収納される収納物、保存期間・条件、あるいは流通条件等によって、胴部材シート1が筒状に接着される内側端縁を図には示していないが、あらかじめスカイブ(切削)した後、ヘミング(折り返し)するスカイブヘミング加工が施される。
【0087】
次に、エンボスホログラムが形成される熱可塑性樹脂層5の熱可塑性樹脂として、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー樹脂、ポリブテンポリマー樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビ
ニル系樹脂、その他の公知の樹脂から任意に選択して使用することができる。
【0088】
上記、熱可塑性樹脂の中でも低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂が多く用いられる。
【0089】
前記、熱可塑性樹脂層5と貼り合わされる印刷基材樹脂層6は、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー樹脂、ポリブテンポリマー樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、その他の公知の樹脂から任意に選択して使用することができる。
【0090】
上記、熱可塑性樹脂の中でも低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂フイルムが多く使用されるが、透明性、印刷適性、表面平滑性、加工適性、耐熱性等が良く、さらにコストが安い点でポリエチレンテレフタレートフイルムあるいは延伸ポリプロピレンフイルムが望ましい。
【0091】
また、上記ポリエチレンテレフタレートフイルムあるいは延伸ポリプロピレンフイルムの厚さは9〜100μmの範囲で適宜設定される。また、フイルムの厚さが100μm以上になると、胴部材シート1が成形される際の加工適性が著しく悪くなる。
【0092】
次に、アルミ蒸着層4は熱可塑性樹脂層5の内側面に形成されているエンボスホログラム上に適宜の形状に形成することにより加飾フイルムが作製される。
【0093】
上記、アルミ蒸着層4の膜厚は、50Å〜4000Å位、が好ましく、具体的には、100Å〜1000Å位、が望ましい。そして4000Å以上になると、胴部材シート1が成形される際の、加工適性が悪くなる。また、50Å以下では光沢性が低下し、装飾性に欠ける。
【0094】
次に、熱可塑性樹脂層5と貼り合わされている印刷基材樹脂層6の外側面に形成されている印刷層7は文字、図形、絵柄あるいは記号、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷あるいはフレキソ印刷等いずれかの任意の印刷方式で形成さける。しかし、印刷仕上がり、加工適性、加工速度などの点でグラビア印刷が多く使用されている。
【0095】
上記、グラビア印刷に使用されるインキは、一般的に包装材料の印刷に用いられているインキを使用することができる。
【0096】
上記、インキの樹脂としては、例えば、ニトロセルロース(硝化綿)、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニールそしてこれらを混合した樹脂などが用いられる。
【0097】
次に、最外層の熱可塑性樹脂層8の熱可塑性樹脂として、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー樹脂、ポリブテンポリマー樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂等が用いられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、その他の公知の樹脂から任意に選択して使用することができる。
【0098】
また、上記熱可塑性樹脂の中でも、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂が多く使用されている。さらに、成形された該紙カップ容器の大きさ、あるいは収納される収納物、または流通条件等によって低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂以外にポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等がより多く使用される。
【0099】
また、最外層の熱可塑性樹脂層8が主に印刷層7を保護するために形成されている場合には、熱可塑性樹脂8に替えてOPニス(オーバープリントニス)を使用することもできる。
【0100】
上記、OPニスの塗工に際しては、グラビア印刷機、あるいはフレキソ印刷機で塗工されるが、ロールコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等の塗工機も使用できる。
【0101】
前記、使用されるOPニスの樹脂としては、インキと同様に、硝化綿、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、そしてこれらを混合した樹脂などがある。耐摩擦性、耐熱性が良好であるという点から、一液タイプでは、硝化綿樹脂を使用することが好ましく、光沢性を付与するためにはウレタン樹脂を主成分とする二液反応タイプを使用することが好ましい。
【0102】
次ぎに、図2はエンボスホログラムフイルムの一実施例の概略を示す概略図、また図3はエンボスホログラムフイルムを作製する一実施例の概略を示す概略図である。さらに、図4はエンボスホログラムフイルムが作製される一実施例の概略を示す概略図である。
【0103】
図2に示すようにエンボスホログラムフイルム10は、エンボスホログラム12(数ミクロンの凹凸が刻み込まれ形成されている。)が形成されている熱可塑性樹脂層5とアンカーコート剤層9を介して印刷基材樹脂層6が積層されている。
【0104】
上記、印刷基材樹脂層6と熱可塑性樹脂層5の積層は、図4に示すような公知のシングル型押し出しラミネーター機36で成される。そして、図3あるいは図4に示すように積層と同時に熱可塑性樹脂層5の表面に冷却ロール15外周面に設けられているエンボスホログラムスタンパー37でエンボスホログラム12が形成される。
【0105】
また、印刷基材樹脂層6と熱可塑性樹脂層5が積層され、エンボスホログラムフイルムを形成するシングル型押しラミネート機36は、図4に示すように印刷基材樹脂フイルム35が繰り出されれる巻き出し部16と、アンカー剤を塗工するアンカー塗工部29と、塗工されたアンカー剤を乾燥する乾燥部22と、プレスロール13と冷却ロール15が設けられている冷却ロール部14と、冷却ロール部14の上方に繰り出された印刷基材樹脂
フイルム35と積層する熱可塑性樹脂を溶融し、成膜降下させる押し出し機42およびTダイ41と、積層と同時にエンボスホログラムが形成され、冷却されたエンボスホログラムフイルム10を巻き取る巻き取り部17が具備されている。
【0106】
また、図3に示すように巻き出し部から繰り出された、印刷基材樹脂フイルム35はアンカー剤等が塗工されて、さらに乾燥された後、冷却ロール部14の上方に設けられている、押し出し機42のTダイ41から溶融した熱可塑性樹脂が冷却ロール部14方向に成膜降下し、積層される。そして、同時に、プレスロール13とエンボスホログラムスタンパー37が外周面に形成されている冷却ロール15により熱可塑性樹脂層5の表面にエンボスホログラム12が形成されて、さらに冷却されて、エンボスホログラムフイルム10が作製される。
【0107】
上記、熱可塑性樹脂層5の表面に形成されるエンボスホログラム12は熱可塑性樹脂層5の全面あるいは部分的に形成することもできる。
【0108】
次に、図5はエンボスホログラムを設けたエンボスホログラムフイルムの内側面にアルミ蒸着を形成して加飾フイルムが作製される一実施例を示す、(a)は平面を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線の断面を示す断面図である。
【0109】
図5(a)または(b)に示すようにウェブ状エンボスホログラムフイルム10は紙基材等と積層され胴部材シートとなり、両端縁が重ね合わされ筒状に接着される。そして、一方の接着部11となる部分を除く、熱可塑性樹脂層5の内側に設けられているエンボスホログラム面上に蒸着層4が形成されることにより加飾フイルムが作製される。
【0110】
また、蒸着層4が形成されない接着部11は、ウェブ状エンボスホログラムフイルム10の端面に平行に蒸着層が、図には示していないがストライプ状(帯状)で抜脱されている。
【0111】
上記、エンボスホログラム面上に形成される蒸着層4は公知の蒸着加工機を用いて形成される。また、ストライプ状(帯状)の蒸着層4の抜脱は、蒸着加工機内にマスクを設ける、マスキング方法により形成される。
【0112】
上記、マスキング方法はウェブ状エンボスホログラムフイルム10の流れ方向に胴部材シートになった際に、接着部11となる部分がストライプ状(帯状)に蒸着層4が抜脱できる安価な方法である。また、ウェブ状エンボスホログラムフイルム10に適宜の形状の蒸着層4が形成されている加飾フイルムは紙基材等と積層して、胴部材シートの両端縁が筒状に重ね合わされて接着した際に、接着部11の内側端面に蒸着層4の端面がないために、その部分が目視できない、したがって見栄えが良く、さらに、接着部分の接着強度が強く、且つ、安定した接着力が維持される。
【0113】
さらに、該紙カップ容器は内側端面に蒸着層4の端面がないために、その部分が目視されない、したがって、検品作業で使用する内面異物検査装置等で、内側端面に蒸着層4の端面が異物と間違えられ、異物混入紙カップ容器として排出される問題がない。
【0114】
また、該紙カップ容器は内側端面に蒸着層の端面がないために、収納物を収納した際に、収納物が汚染するなどの悪影響を生じることがない。
【0115】
また、エンボスホログラムフイルム10は蒸着層4が形成された後、あるいは形成される前に、図には示していないがエンボスホログラムフイルム10の印刷基材樹脂層6の外側面上に、適宜の箇所に、適宜の形状の絵柄、図形あるいは記号または文字等の印刷層が
形成される。そして、印刷層の上側面に図には示していないが熱可塑性樹脂層等が形成される。
【0116】
次に、図6はエンボスエンボスホログラムフイルムのエンボスホログラム面上に蒸着層を形成して加飾フイルムが作製される他の一実施例を示す、(a)は平面を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線の断面を示す断面図である。
【0117】
図6(a)あるいは(b)に示すようにウェブ状エンボスホログラムフイルム10は紙基材等と積層され胴部材シートとなり、両端縁が重ね合わされ筒状に接着される。そして、一方の接着部11となる部分を除く、熱可塑性樹脂層5の内側に設けられているエンボスホログラム面上に蒸着層4が形成されて加飾フイルムが作製される。また、エンボスホログラムフイルム10の印刷基材樹脂層6の外側面上に、図には示していないが適宜の箇所に適宜の形状の絵柄、図形あるいは記号または文字等の印刷層が形成される。さらに、印刷層の上側面に熱可塑性樹脂層等が形成される。
【0118】
上記、胴部材シートになった際に、接着部11となる部分の蒸着層4の抜脱は酸、アルカリ抜き加工(エッチング法)あるいは水洗い抜き加工等が施される。
【0119】
上記、酸、アルカリ抜き加工は図7(a)に示すようにエンボスホログラムフイルム10のエンボスホログラム面上に蒸着層4を形成する。次ぎに、図7(b)に示すように、胴部材シート1になった際に接着部11となる部分を除く蒸着層の外側全面にインキ等で印刷加工等が施され印刷層43を形成する。さらに、図7(c)に示すように印刷層43が形成されていない蒸着層4は5%の水酸化ナトリウムあるいは弗化水素酸溶液に浸漬された際に、接着部11となる部分の蒸着層4が溶解除去により抜脱される。そして、胴部材シート1になった際に、接着部11となる部分のエンボスホログラムフイルム10のエンボスホログラム面上に蒸着層4のない胴部材シート1が得られる。
【0120】
さらに、水洗い抜き加工は胴部材シートになった際に接着部11となる部分のエンボスホログラム面上に、シーライトプライマー44を付着する(図8aに示す)。そして、シーライトプライマー44を付着した後、エンボスホログラム面上に蒸着加工が施され蒸着層4が形成される(図8bに示す)。さらに、蒸着層4を水洗いしてシーライトプライマー44上の蒸着層が除去される(図8cに示す)。そして、接着部11となる部分の蒸着層が抜脱されている加飾フイルムが得られる。
【0121】
また、エンボスホログラム面上に形成される蒸着層4は上記のような方法で、胴部材シートになった際に、接着部11となる部分を抜脱して作製される。そして、紙基材等と積層して、胴部材シートの両端縁が重ね合わされ、筒状に接着した際に、接着部分の内側端面に蒸着層の端面がないために、その部分が目視できない、したがって見栄えが良い。
【0122】
次に、図9は本発明の装飾性紙カップ容器が成形される紙カップ成形機の一実施例の概略を示す概略図である。本発明の装飾性紙カップ容器は図9に示すように、胴部材がウェブ状シートから成形する紙カップ成形機あるいは図には示していないが胴部材がブランクシートから成形する紙カップ成形機等を任意に選択して使用することができる。
【0123】
上記、ウェブ状シートから成形する紙カップ成形機は図9に示すように巻き出し部21と、打ち抜き部23と、カップ成形部30と、底部材成形部31と、トップカール成形部32から形成されている。そして、巻き出し部21から胴部材用ウェブ状シートが繰り出さ、打ち抜き部23で胴部材シート24に打ち抜かれ、ターンテーブル25に設けられているくわえ爪26でカップ成形部30に搬送される。
【0124】
上記、カップ成形部30に搬送された胴部材シート24は巻き付けウイング部33のウイングによりマンドレル金型28に巻かれる。また、胴部材シート24がマンドレル金型28に巻かれる時には、マンドレル金型28の先端に底部材成型部31で底部材39が逆皿状に成形された底材27が吸着されている。そして、胴部材24と底材27が接着された後、トップカール成形部32のトレー40に挿入され開口部の上部端縁が外側方向にカールされ、排出部38に排出される。
【0125】
上記、底部材39の紙の坪量は成形される紙カップの大きさ、あるいは収納される収納物、流通条件、保存方法等によって適宜選択されるが、通常、150g/m2〜550g/m2位が好もしい。また底部材39は紙の表側面あるいは表裏両側面に熱可塑性樹脂層が形成されている。
【0126】
上記、熱可塑性性樹脂層の熱可塑性樹脂として、例えば、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー樹脂、ポリブテンポリマー樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、その他の公知の樹脂から任意に選択して使用することができる。
【0127】
また、上記熱可塑性樹脂の中でも低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂等が成形適性、接着性等に優れ、望ましい。
【0128】
また、上記底部材39の紙の表側面あるいは表裏両側面に形成されている熱可塑性樹脂層の厚さは両側面とも任意であるが、通常、10〜100μm位、更には、20〜60μm位が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の装飾性紙カップ容器は収納物を収納し、店頭陳列効果の優れた包装容器として使用できる。また、室内または野外での装飾物、例えば、生花、造花、旗等の装飾用紙筒等、日用雑貨分野にも利用できるなど、広い分野に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の装飾性紙カップ容器の胴部が成形される胴部材シートを示す、(a)は平面を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線の断面を示す断面図である。
【図2】エンボスホログラムフイルムの一実施例の概略を示す概略図である。
【図3】エンボスホログラムフイルムを作製する一実施例の概略を示す概略図である。
【図4】エンボスホログラムフイルムが作製される一実施例の概略を示す概略図である。
【図5】エンボスエンボスホログラムフイルムのエンボスホログラム面上に蒸着層を形成して加飾フイルムが作製される一実施例を示す、(a)は平面を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線の断面を示す断面図である。
【図6】エンボスエンボスホログラムフイルムのエンボスホログラム面上に蒸着層を形成して加飾フイルムが作製される他の一実施例を示す、(a)は平面を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線の断面を示す断面図である。
【図7】酸、アルカリ抜き加工(エッチング法)の工程の概略を示す、(a)はエンボスホログラムフイルムのエンボスホログラム面上の全面に蒸着層が形成されている状態の断面概略図であり、(b)は蒸着層上にインキが形成されている状態の断面概略図であり、(c)は接着部となる部分に蒸着層が形成されていない状態の断面概略図である。
【図8】水洗い抜き加工の工程の概略を示す、(a)はエンボスホログラムフイルムのエンボスホログラム面上にシーライトプライマーが付着された状態の断面概略図であり、(b)はエンボスホログラム面上およびシーライトプライマー上に蒸着層が形成された状態の断面概略図であり、(c)は接着部となる部分に蒸着層が形成されていない状態の断面概略図である。
【図9】本発明の装飾性紙カップ容器が成形される紙カップ成形機の一実施例の概略を示す概略図である。
【図10】従来の装飾性紙カップ容器の胴部材を示す、(a)は平面説明図であり、(b)は(a)のA−A′線断面説明図である。
【図11】従来の美粧性紙カップの胴部材の概略を示す概略図である。
【図12】従来の装飾性を有す発泡紙カップの胴部材の概略を示す概略図である。
【図13】従来の表面光沢等の意匠性を改良した紙容器用積層材の概略断面図である。
【図14】従来の強光沢用紙カップの概略を示す、(a)は強光沢用紙カップ容器の斜視図、(b)はA部の拡大断面説明図である。
【符号の説明】
【0131】
1……胴部材シート
2……紙基材
3……熱接着樹脂層
4……蒸着層
5……熱可塑性樹脂層
6……印刷基材樹脂層
7……印刷層
8……熱可塑性樹脂層
9……アンカーコート剤層
10……エンボスホログラムフイルム
11……接着部
12……エンボスホログラム
13……プレスロール
14……冷却ロール部
15……冷却ロール
16……巻き出し部
17……巻き取り部
21……巻き出し部
22……乾燥部
23……打ち抜き部
24……胴部材シート
25……ターンテーブル
26……くわえ爪
27……逆皿状に成形された底部材
28……マンドレル
29……アンカー塗工部
30……カップ成形部
31……底部材成形部
32……トップカール成形部
34……巻き付けウイング部
35……印刷基材樹脂フイルム
36……シングル型押し出しラミネート機
37……エンボスホログラムスタンパー
38……排出部
39……底部材
40……トレー
41……Tダイ
42……押し出し機
43……印刷層
44……シーライトプライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部材シートの両端縁を筒状に重ね合わせて接着した筒状胴部と底部とからなる紙カップであって、
エンボスホログラムを設けたエンボスホログラムフイルムの内側面にアルミ蒸着で適宜の形状に形成した加飾フイルムが胴部材シートに貼り合わせてあり、
且つ、胴部材シートの両端縁を筒状に重ね合わせて接着した紙カップ容器の少なくても内側接着端面に該アルミ蒸着が設けられていないことを特徴とする装飾性紙カップ容器。
【請求項2】
前記、アルミ蒸着が設けられていない部分が、マスキング加工法、酸アルカリ抜き加工法、水洗い抜き加工法のいずれかの加工方法によって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装飾用紙カップ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−151434(P2006−151434A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343626(P2004−343626)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)