説明

装飾用燻焼竹の製造方法

【課題】 永年にたり屋内で薪を燃やすことにより発生する熱と煤に晒されることによって表面が煤けて赤黒く変化した煤竹、当該煤竹を炭焼釜を用いて作出すること、これが発明が解決しようとする課題である。
【解決手段】 竹材を炭焼きに比して比較的低温で蒸し焼きにし、表層から深層まで乾燥させて硬化し、表層にタール等を浸透させて、煤竹独特の黒色の光沢を表面に発生させること、また燻焼した竹材の表面に当該燻焼による色違いの模様を付すこと、これが課題を解決するための手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹の表面を弱炭化、即ち燻焼した状態とする装飾用燻焼竹の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竹の大半を占める孟宗竹は、九州を中心に西日本で広く栽培されてきた。北限は宮城県から岩手県南部。それより北でも育つが、生育はよくない。笛、竿、箸等、竹かんむりの字の多さからも分かるように、かつては日用品など生活資材のほか、傾斜地が崩壊するのを防ぐことや堤防の補強などに使われてきた。だが近年、生活用品は化学製品に、堤防はコンクリートに替わり、筍も輸入品が大半を占め、日本の竹はほとんど顧みられなくなった。竹の利用価値がなくなったことに加え、高齢化と人口減で、竹林は管理されなくなる一方だ。林野庁によると、全国の竹林は約15万6000ヘクタールだが、これは山林にあって一応管理されている竹林であり、自然に増えたものや家屋、田畑の周辺にあるものを加えると、この倍以上はあると推測される。竹に侵入された杉やヒノキの幼木林は、見るも無残な状態になる。成木林でも林内が竹で覆われているところが散見され、放置すると生態系への悪影響も予想される。もともと竹は、何かに利用するため人の手で広がったものであり、里山を中心に栽培されてきた。従って、竹林の荒廃は里山の管理ができなくなったということでもあり、里山荒廃のバロメーターともいえる。里山の荒廃は、農地の荒廃などと重なると集落の崩壊につながる。竹林を管理し、素材として利用することは、竹林だけでなく里山・集落の再生にもなる。
【0003】
一方、竹材は装飾としての建築材とか工芸品に利用されている。特に黒竹とか、高知県の須崎から算出される、表面に虎皮状の模様が入った虎斑竹等がよく知られている。また煤竹と言って、田舎の古い家屋の中で、永年にたり薪を燃やすことにより発生する熱と煤に晒されることによって竹の表面が煤けて赤黒く変化したものがあるが、当該煤竹は表面の色や艶等による美しさ、材質の硬化と共に防腐性が高く、また虫がつかないことから建築材としては特に重宝されている。
【0004】
しかし、黒竹は細い竹が多いことから利用に制限があるし、虎斑竹等は限られた地域にしかなく産出量も少ない。また自然の煤竹は長期間を要しなければできないことから、これらの模造品として竹の表面を塗料により着色したもの、或いはバーナー等を用いて表面を焙り黒色にしたもの等が使われている。
【0005】
これらの模造品は着色したものにあっては塗料の脱色とか剥離が発生し、また腐食の発生とか外的環境の変化の影響を受けやすく、バーナー等で焙ったものにあっても、単に表面を黒色に焦がしただけであるから、表面の艶出しもなく自然の煤竹と比較して見栄えが悪く格段の差があった。しかも内側からの腐食とか虫がつくことは防げなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
永年にたり屋内で薪を燃やすことにより発生する熱と煤に晒されることによって表面が煤けて赤黒く変化した煤竹、当該煤竹を炭焼釜を用いて作出すること、これが発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
竹材を炭焼きに比して比較的低温で蒸し焼きにし、表層から深層まで乾燥させて硬化し、表層にタール等を浸透させて、煤竹独特の黒色の光沢を表面に発生させること、また燻焼した竹材の表面に当該燻焼による色違いの模様を付すこと、これが課題を解決するための手段である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、適宜の炭焼き釜の中に竹とか竹の枝等の竹材を入れ、150℃から300℃の炭焼きに比して比較的低温で10時間から20時間蒸し焼きにし、竹材の表面にタール等が滲み出した時点で火を止め、冷却後、釜を開いて竹材を取り出すことを特徴とした装飾用燻焼竹の製造方法であり、更には、竹材の表面に縄、紐、テープ等を巻きつけ、または種々の形状の布、紙等を貼付して模様付けする等をして燻焼し、竹材燻焼時の表面の温度差により模様付けをすること、更には、竹材に種々の穴を開けて模様状とし燻焼することを特徴とした請求項1の装飾用燻焼竹の製造方法であるから、従来、装飾としての建築材とか工芸品に利用されている黒竹とか虎斑竹等がよく知られているが、黒竹は細い竹が多いことから利用に制限があるし、虎斑竹等は限られた地域にしかなく産出量も少ないという問題があり、これを補うために竹の表面に塗料等で着色していたが、これは着色が色褪せてきたり剥落するという欠点があり、また田舎の古い家屋の中で、永年にたり薪を燃やすことにより発生する熱と煤に晒されることによって竹の表面が煤けて赤黒く変化した煤竹の模造品として竹の表面をバーナー等で焙って黒色にした模造品があったが、やはり単に表面を黒色に焦がしただけであるから、表面の艶出しもなく自然の煤竹と比較して見栄えが悪く格段の差があった。しかも内側からの腐食とか虫がつくことは防げなかったのであるが、本発明に係る燻焼竹は、比較的低温で蒸し焼きにし、表層から深層まで乾燥させて硬化し、表層にタール等を浸透させて、煤竹独特の黒色の光沢を表面に発生させているので、永年に亘って屋内で燻されてできた煤竹と変わりない表面の色や艶等による美しさ、材質の硬化と共に防腐性が高く、また虫がつかないことから建築材が得られる等、極めて顕著なる効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、適宜の炭焼き釜の中に竹とか竹の枝等の竹材を入れ、150℃から300℃の炭焼きに比して比較的低温で10時間から20時間蒸し焼きにし、竹材の表面にタール等が滲み出した時点で火を止め、冷却後、釜を開いて竹材を取り出すことを特徴とした装飾用燻焼竹の製造方法であり、更には、竹材の表面に縄、紐、テープ等を巻きつけ、または種々の形状の布、紙等を貼付して模様付けする等をして燻焼し、竹材燻焼時の表面の温度差により模様付けをすること、更には、竹材に種々の穴を開けて模様状とし燻焼することを特徴とした請求項1の装飾用燻焼竹の製造方法を呈せんとするものである。
【実施例1】
【0010】
炭焼き釜に竹材を入れる。竹材としてはどのような種類の竹でもよく、また竹の枝を入れておけば、他の装飾用材として利用できる。
【0011】
竹材に縄とか紐、またはテープを巻きつけたり、紙、布等を適宜の形にしたものを貼付して、竹材の表面に模様を付すようにする。
【0012】
竹材に任意の穴をあけておく。これは仕上がった燻焼竹に灯りをいれ、当該穴より光を表現できるようにするものである。
【0013】
これらの竹材を釜に入れた後、150℃から300℃くらいの炭焼きに比して比較的低温で10時間から20時間程度蒸し焼きにする。温度の幅、燻焼時間は、竹材の乾燥度に寄って異なるものである。竹材の表面にタール等が滲み出した時点で火を止め、冷却後、釜を開いて竹材を取り出すものである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、適宜の炭焼き釜の中に竹とか竹の枝等の竹材を入れ、150℃から300℃の炭焼きに比して比較的低温で10時間から20時間蒸し焼きにし、竹材の表面にタール等が滲み出した時点で火を止め、冷却後、釜を開いて竹材を取り出すことを特徴とした装飾用燻焼竹の製造方法であり、更には、竹材の表面に縄、紐、テープ等を巻きつけ、または種々の形状の布、紙等を貼付して模様付けする等をして燻焼し、竹材燻焼時の表面の温度差により模様付けをすること、更には、竹材に種々の穴を開けて模様状とし燻焼することを特徴とした請求項1の装飾用燻焼竹の製造方法であるから、従来、装飾としての建築材とか工芸品に利用されている黒竹とか虎斑竹等がよく知られているが、黒竹は細い竹が多いことから利用に制限があるし、虎斑竹等は限られた地域にしかなく産出量も少ないという問題があり、これを補うために竹の表面に塗料等で着色していたが、これは着色が色褪せてきたり剥落するという欠点があり、また田舎の古い家屋の中で、永年にたり薪を燃やすことにより発生する熱と煤に晒されることによって竹の表面が煤けて赤黒く変化した煤竹の模造品として竹の表面をバーナー等で焙って黒色にした模造品があったが、やはり単に表面を黒色に焦がしただけであるから、表面の艶出しもなく自然の煤竹と比較して見栄えが悪く格段の差があった。しかも内側からの腐食とか虫がつくことは防げなかったのであるが、本発明に係る燻焼竹は、比較的低温で蒸し焼きにし、表層から深層まで乾燥させて硬化し、表層にタール等を浸透させて、煤竹独特の黒色の光沢を表面に発生させているので、永年に亘って屋内で燻されてできた煤竹と変わりない表面の色や艶等による美しさ、材質の硬化と共に防腐性が高く、また虫がつかないことから建築材が得られる効果を有し、更には、全国の竹林は約15万6000ヘクタールだが、これは山林にあって一応管理されている竹林であり、自然に増えたものや家屋、田畑の周辺にあるものを加えると、この倍以上はあると推測される。竹に侵入された杉やヒノキの幼木林は、見るも無残な状態になる。放置すると生態系への悪影響も予想される。もともと竹は、何かに利用するため人の手で広がったものであり、里山を中心に栽培されてきた。従って、竹林の荒廃は里山の管理ができなくなったということでもあり、里山荒廃のバロメーターともいえる。里山の荒廃は、農地の荒廃などと重なると集落の崩壊につながる。竹林を管理し、建築、装飾素材として竹を利用することは、竹林だけでなく里山・集落の再生にもなる等、効果は極めて大きく利用可能性は極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜の炭焼き釜の中に竹とか竹の枝等の竹材を入れ、150℃から300℃の通常の炭焼きに比して比較的低温で10時間から20時間蒸し焼きにし、竹材の表面にタール等が滲み出した時点で火を止め、冷却後、釜を開いて竹材を取り出すことを特徴とした装飾用燻焼竹の製造方法。
【請求項2】
竹材の表面に縄、紐、テープ等を巻きつけ、または種々の形状の布、紙等を貼付して模様付けする等をして燻焼し、竹材燻焼時の表面の温度差により模様付けをすることを特徴とした請求項1の装飾用燻焼竹の製造方法。
【請求項3】
竹材に種々の穴を開けて模様状とし燻焼することを特徴とした請求項1の装飾用燻焼竹の製造方法。

【公開番号】特開2010−111840(P2010−111840A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312692(P2008−312692)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(508248520)
【Fターム(参考)】